JP3216927B2 - オレフィン重合反応器の運転法 - Google Patents

オレフィン重合反応器の運転法

Info

Publication number
JP3216927B2
JP3216927B2 JP36030792A JP36030792A JP3216927B2 JP 3216927 B2 JP3216927 B2 JP 3216927B2 JP 36030792 A JP36030792 A JP 36030792A JP 36030792 A JP36030792 A JP 36030792A JP 3216927 B2 JP3216927 B2 JP 3216927B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
gas
reactor
compound
solid catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP36030792A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06199949A (ja
Inventor
国道 久保
雅裕 丹羽
喜久 山口
章 佐野
Original Assignee
日本石油化学株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本石油化学株式会社 filed Critical 日本石油化学株式会社
Priority to JP36030792A priority Critical patent/JP3216927B2/ja
Priority to EP93121042A priority patent/EP0604993B1/en
Priority to DE69320163T priority patent/DE69320163T2/de
Priority to US08/174,269 priority patent/US5543478A/en
Priority to CA002112506A priority patent/CA2112506A1/en
Publication of JPH06199949A publication Critical patent/JPH06199949A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3216927B2 publication Critical patent/JP3216927B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気相重合法によりポリ
オレフィンを製造する際の反応器の運転法に関する。更
に詳しくは、気相重合法によりポリオレフィンを製造す
る際、重合反応器の運転を停止した場合の再運転法に関
する。
【0002】
【従来の技術】オレフィンを気相状態で重合してポリオ
レフィンを製造する方法は、経費が安いなどの理由から
近年広く用いられるようになった。オレフィンの気相重
合に用いる反応器の形式としては、流動床式や撹拌床式
が主である(例えば特公昭47−13962号、特開昭
51−86584号各公報等)。気相重合法でポリオレ
フィンを製造する際には、各種のトラブルが原因で、重
合反応器の運転を緊急に停止しなければならない場合が
生ずる。例えば、重合反応の後続工程(ペレット化工
程、ブレンド工程等)においてトラブルが発生し、しか
もポリマー粒子の中間貯槽が充満しており余裕がない場
合、あるいは反応系の循環ガスブロワーに故障が発生し
た場合などである。このような場合に通常行われる緊急
停止と反応再開方法は以下の通りである。すなわち、一
酸化炭素ガスまたは二酸化炭素ガスなどの反応停止剤を
反応器内へ供給して重合反応を停止させ(例えば、特開
昭60−72904号公報)、引き続き反応系内のガス
を窒素でパージする。その後、反応器内に残留している
ポリオレフィン粒子を器外へ抜き出す。そして運転を再
開するには、まず新しいポリオレフィン粒子を再び反応
器に導入し、窒素で系内をパージした後、反応のスター
トアップの手順を繰り返す。
【0003】ここで、初めに反応停止剤による反応停止
機構を考察すると、まず反応停止剤と触媒あるいは助触
媒との間に反応が起こり、その結果として触媒が機能を
喪失し、反応が停止することになる。反応停止剤と触媒
あるいは助触媒との反応については、一応の解析はなさ
れているが、その反応生成物の重合反応に対する影響な
どは従来十分には解明されていない。また、反応停止剤
が系内に残存している場合にも、同様な懸念がある。従
って、前記のように反応停止剤により反応を停止させ、
その後再開する場合には、系内ガスのみならず系内に残
存するポリオレフィン粒子も実質的に全て系外へ排出
し、その後、新たにポリオレフィン粒子を系内へ充填し
た後に、ガスや触媒を供給し、運転を再開するのが従来
の方法であった。すなわち、運転の再開とはいえ、全く
新たに運転を開始する場合とほとんど変わらない方法が
採用されていた。
【0004】また、ポリオレフィンの気相重合反応器の
運転において、運転開始の初期にシート状ポリマーの生
成によるトラブルが多いことは既往の特許公報に詳細に
記載されている(例えば、特公表昭63−500176
号、特開平1−230607号、特開平2−14560
8号および特開平2−135205号各公報)。従っ
て、運転再開においても同様に、その開始の初期にシー
ト状ポリマーの生成によるトラブルなどが多く見られ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、反応停
止剤を供給してポリオレフィンの重合反応を緊急停止さ
せた後、再び反応器の運転を開始する場合に、従来の方
法では次のような欠点があった。 (1)ポリオレフィン反応器の運転の初期にはシート状
ポリマーが生成し易く、これが生成すると配管およびバ
ルブを閉塞して、運転の停止を余儀なくされる。 (2)運転開始時には、通常触媒供給量を徐々に増大し
て、ポリオレフィンの生成速度を少しずつ高める方法が
採用されている。従って過渡的な非定常状態が続くた
め、この期間には規格外の製品が生ずる。 (3)反応器内のポリオレフィン粒子を系外へ排出した
り、新しいポリオレフィン粒子を導入する際に、反応器
を大気に開放することが必要となり、水分や酸素等の不
純物が混入し易い。そのため、運転再開にあたって重合
反応が起こり難く定常運転に達するまでに長時間を要し
た。特に、長期間にわたって反応系を大気に開放したと
きにはこの現象が著しい。 従って、反応停止剤を導入してポリオレフィン反応器の
運転を停止した場合の簡単な運転再開方法が強く望まれ
ていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、ガス状反応停止剤
を導入することにより反応を停止させた後に、ガス状反
応停止剤を系外へ排出し、その後ポリマー粒子を反応系
外へ排出せず、かつ有機アルミニウム化合物を供給した
後に運転を再開することにより、再開後の反応の運転が
容易になることを見出して本発明に到達した。すなわ
ち、本発明の第一は、少なくともチタンおよび/または
バナジウムならびにマグネシウムを含有する固体触媒成
分と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を反応器へ
供給し、オレフィンを気相状態で定常的に重合または共
重合させた後、ガス状反応停止剤を系内へ導入すること
により該重合反応を停止させ、その後該反応器の運転を
再開する方法において、(1)ガス状反応停止剤を反応
系内へ導入することにより、反応を停止させる工程、
(2)導入したガス状反応停止剤を系外へ排出する工
程、および(3)運転再開にあたり、はじめに有機アル
ミニウム化合物を系内へ導入することにより反応を開始
させる工程を含み、かつ反応停止時に反応系内に存在し
ていたポリマー粒子を実質的に系外へ排出することな
く、反応停止から反応再開までの全操作を行うことを特
徴とするオレフィン重合反応器の運転法を提供するもの
である。また、本発明の第二は、上記のガス状反応停止
剤が、酸素、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素、アルコ
ール類およびケトン類から選択されるいずれかのガス状
反応停止剤である方法を提供するものである。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明で用いるオレフィンとしては、通常炭素数2〜8、
好ましくは2〜6のオレフィン、例えば、エチレン、プ
ロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、
4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンが挙げられ
る。これらを用いて単独(ホモ)重合または適宜の割合
による共重合を行うことができる。共重合としては、例
えばエチレン/プロピレン、エチレン/ブテン−1、エ
チレン/ヘキセン−1、エチレン/4−メチルペンテン
−1等のエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンと
の共重合、プロピレンとブテン−1との共重合、および
エチレンと他の2種以上のα−オレフィンとの共重合等
が挙げられる。また、ポリオレフィンの改質を目的とし
て、ジエンを用いる共重合も可能である。 これに用い
るジエンとしては、ブタジエン、1,4−ヘキサジエ
ン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等
が例示される。反応系へのオレフィンの供給は、好まし
くは適宜の不活性キャリアーガス、例えば窒素と共に供
給することができる。
【0008】上記オレフィンの重合に使用する触媒とし
ては、少なくともチタンおよび/またはバナジウムなら
びにマグネシウムを含有する固体触媒成分と有機アルミ
ニウム化合物とからなるものを用いる。少なくともチタ
ンおよび/またはバナジウムならびにマグネシウムを含
有する固体触媒成分としては、オレフィン重合用触媒と
して従来公知のチーグラー系触媒に用いられるチタンお
よびマグネシウムを含有する固体触媒成分、バナジウム
およびマグネシウムを含有する固体触媒成分、またはチ
タン、バナジウムおよびマグネシウムを含有する固体触
媒成分等を使用することができる。
【0009】上記固体触媒成分としては、例えば金属マ
グネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、
酸化マグネシウム、塩化マグネシウム等、またケイ素、
アルミニウム、カルシウムから選ばれる元素とマグネシ
ウム原子とを含有する複塩、複酸化物、炭酸塩、塩化物
あるいは水酸化物等、更にこれらの無機固体化合物を含
酸素化合物、含硫黄化合物、芳香族炭化水素、ハロゲン
含有物質で処理しまたは反応させたもの等のマグネシウ
ムを含む無機固体化合物に、チタン化合物および/また
はバナジウム化合物を公知の方法により担持させたもの
が挙げられる。
【0010】上記含酸素化合物としては、例えば水;ポ
リシロキサン;アルコール、フェノール、ケトン、アル
デヒド、カルボン酸、エステル、酸アミドなどの有機含
酸素化合物;金属アルコキシド;金属のオキシ塩化物な
どの無機含酸素化合物を例示することができる。含硫黄
化合物としては、チオール、チオエーテル等の有機硫黄
化合物あるいは二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫酸等の無機
硫黄化合物が挙げられる。また芳香族炭化水素として
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、アントラセン、フ
ェナントレン等の各種単環または多環芳香族炭化水素を
例示することができる。ハロゲン含有物質としては、塩
素、塩化水素、金属塩化物、有機ハロゲン化物等が挙げ
られる。
【0011】前記のチタン化合物としては、チタンのハ
ロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、
ハロゲン化酸化物等を挙げることができる。これらのう
ち、4価のチタン化合物と3価のチタン化合物が好適で
あり、4価のチタン化合物としては、具体的には一般式
Ti(OR)n4-n(ここで、Rは炭素数1〜20のアル
キル基、アリール基またはアラルキル基等の炭化水素基
を示し、Xはハロゲン原子を示す。nは0≦n≦4の範
囲の数である。)で示されるものが好ましく、具体的に
は四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、モノ
メトキシトリクロロチタン、ジメトキシジクロロチタ
ン、トリメトキシモノクロロチタン、テトラメトキシチ
タン、 モノエトキシトリクロロチタン、 ジエトキシジ
クロロチタン、トリエトキシモノクロロチタン、テトラ
エトキシチタン、モノイソプロポキシトリクロロチタ
ン、ジイソプロポキシジクロロチタン、トリイソプロポ
キシモノクロロチタン、 テトライソプロポキシチタ
ン、 モノブトキシトリクロロチタン、ジブトキシジク
ロロチタン、トリブトキシモノクロロチタン、テトラブ
トキシチタン、 モノペントキシトリクロロチタン、 モ
ノフェノキシトリクロロチタン、ジフェノキシジクロロ
チタン、トリフェノキシモノクロロチタン、テトラフェ
ノキシチタン等を挙げることができる。3価のチタン化
合物としては、一般式 Ti(OR)m4-m(ここで、Rは
炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはアラル
キル基等の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示
す。mは0<m<4の範囲の数である。)で示される4
価のアルコキシハロゲン化チタンを、水素、アルミニウ
ム、チタンあるいは周期律表第 I から III 族金属の有
機金属化合物により還元して得られる3価のチタン化合
物が挙げられる。
【0012】上記のチタン化合物のうち、4価のチタン
化合物が特に好ましい。これらの触媒の具体的なものと
しては、例えばMgO−RX−TiCl4系(特公昭51−
3514号公報)、 Mg−SiCl4−ROH−TiCl4
(特公昭50−23864号公報)、MgCl2−Al(O
R)3−TiCl4系(特公昭51−152号公報、特公昭
52−15111号公報)、 MgCl2−SiCl4−RO
H−TiCl4系(特開昭49−106581号公報)、M
g(OOCR)2−Al(OR)3−TiCl4系(特公昭52−
11710号公報)、Mg−POCl3−TiCl4系(特公
昭51−153号公報)、MgCl2−AlOCl−TiCl4
系(特公昭54−15316号公報)、MgCl2−Al
(OR)n−X3-n−Si(OR')m−TiCl4系(特開昭56
−95909号公報)等の固体触媒成分(前記式中にお
いて、 RおよびR'は有機残基、Xはハロゲン原子を示
す。)に有機アルミニウム化合物を組み合わせたものが
好ましい例として挙げられる。
【0013】前記バナジウム化合物としては、四塩化バ
ナジウム、四臭化バナジウム、四ヨウ化バナジウム等の
4価のバナジウム化合物、オキシ三塩化バナジウム、オ
ルソアルキルバナデート等の5価のバナジウム化合物、
三塩化バナジウム、バナジウムトリエトキシド等の3価
のバナジウム化合物などが挙げられる。バナジウム化合
物は、単独であるいはチタン化合物と併用して用いられ
る。
【0014】他の触媒系の例としては、固体触媒成分と
していわゆるグリニャール化合物などの有機マグネシウ
ム化合物とチタン化合物および/またはバナジウム化合
物との反応生成物を用い、これに有機アルミニウム化合
物を組み合わせた触媒系を例示することができる。有機
マグネシウム化合物としては、例えば一般式RMgX、
2Mg、RMg(OR)等で示されるマグネシウム化合物
(ここで、Rは炭素数1〜20の有機残基、Xはハロゲ
ン原子を示す。)およびこれらのエーテル錯体、または
これらの有機マグネシウム化合物に、更に他の有機金属
化合物、例えば有機ナトリウム、有機リチウム、有機カ
リウム、有機ホウ素、有機カルシウム、有機亜鉛等を加
えて変性したものを用いることができる。上記触媒系の
具体的な例としては、例えば、RMgX−TiCl4系(特
公昭50−39470号公報)、RMgX−フェノール
−TiCl4系(特公昭54−12953号公報)、RMg
X−ハロゲン化フェノール−TiCl4系(特公昭54−
12954号公報)、RMgX−CO2−TiCl4系(特開
昭57−73009号公報)等の固体触媒成分に有機ア
ルミニウム化合物を組み合わせたものを挙げることがで
きる。
【0015】また他の触媒系の例としては、固体触媒成
分としてSiO2、Al23およびSiO2・Al23等の無
機酸化物と前記のチタンおよび/またはバナジウムなら
びにマグネシウムを含有する固体触媒成分とを接触させ
て得られる固体物質を用い、これに有機アルミニウム化
合物を組み合わせたものを例示することができる。無機
酸化物としては上記SiO2、Al23およびSiO2・Al
23等のほかにCaO、B23、SnO2等を挙げること
ができ、またこれらの酸化物の複酸化物も使用すること
ができる。これら各種の無機酸化物とチタンおよび/ま
たはバナジウムならびにマグネシウムを含有する固体触
媒成分とを接触させる方法としては、公知の方法を採用
することができる。すなわち、不活性炭化水素、アルコ
ール類、フェノール類、エーテル類、ケトン類、エステ
ル類、アミン類、ニトリル類またはこれらの混合物等の
有機溶媒の存在下または不存在下で、温度20〜400
℃、好ましくは50〜300℃において通常5分〜20
時間反応させる方法が用いられるが、共粉砕処理による
方法、あるいはこれらを適宜に組み合わせる方法により
反応させてもよい。上記触媒系の具体的な例としては、
例えばSiO2−ROH−MgCl2−TiCl4(特開昭56
−47407号公報)、SiO2−ROR'−MgO−AlC
l3−TiCl4(特開昭57−187305号公報)、 Si
2−MgCl2−Al(OR)3−TiCl4−Si(OR')4
(特開昭58−21405号公報)、 SiO2−TiCl4
−RnAlCl3-n−MgCl2−Al(OR')nCl3-n(特開平
3−35004号公報)、SiO2−TiCl4−RnAlX
3-n−MgCl2−Al(OR')nCl3-n−Si(OR'')mCl
4-m(特開平3−64306号公報)、 SiO2−MgCl
2−Al(OR')nCl3-n−Ti(OR'')4−RnAlCl
3-n(特開平3−153707号公報)、SiO2−MgC
l2−Al(OR')nCl3-n−Ti(OR'')nCl4-n−RnAl
Cl3-n(特開平3−185004号公報)、SiO2−Ti
Cl4−RnAlCl3-n−MgCl2−Al(OR')nCl3-n
R''mSi(OR''')n4-(m+n)(特願平2−41526
5号公報)、SiO2−RnMgX2ーn−Al(OR')nCl3-n
−Ti(OR'')nCl4-n−R'''OH−RnAlX3-n(特願
平3−94983号公報)、 SiO2−MgCl2−Al(O
R')nCl3-n−Ti(OR'')nCl4-n−R'''OH−RnAl
Cl3-n−Al(OR')nCl3-n (特願平3−48643号
公報)(前記式中においてR、R'、R''およびR'''は
炭化水素残基を示す。)等に有機アルミニウム化合物を
組み合わせたものを挙げることができる。
【0016】これらの触媒系において、チタン化合物お
よび/またはバナジウム化合物を有機カルボン酸エステ
ルとの付加物として使用することもでき、また前記のマ
グネシウムを含む無機固体化合物を有機カルボン酸エス
テルと接触処理した後使用することもできる。更に、有
機アルミニウム化合物を有機カルボン酸エステルとの付
加物として使用することもできる。また、あらゆる場合
において、有機カルボン酸エステルの存在下で調製され
た触媒系を使用することができる。ここで使用する有機
カルボン酸エステルとしては、脂肪族、脂環族、芳香族
カルボン酸の各種エステルが挙げられ、好ましくは炭素
数7〜12の芳香族カルボン酸エステルが用いられる。
具体的な例としては安息香酸、アニス酸、トルイル酸の
メチル、エチル等のアルキルエステルを挙げることがで
きる。
【0017】本発明において上記固体触媒成分と共に用
いる有機アルミニウム化合物とは、分子内に少なくとも
一個のアルミニウム−炭素原子の結合を有する有機アル
ミニウム化合物をいう。例えば、(i)一般式RmAl(O
R')npq(ここで、RおよびR'は炭素原子を通常1
〜15個、好ましくは1〜4個を含む炭化水素基、例え
ばアルキル基、アリール基、アルケニル基、シクロアル
キル基等であり、アルキル基の場合にはメチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチ
ル、 tert−ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ
る。 RおよびR'は同一であっても異なってもよい。X
はハロゲン原子を示し、m、n、pおよびqはそれぞれ
0<m≦3、0≦n<3、0≦p<3および0≦q<3
の範囲にあり、かつm+n+p+q=3を満足する数で
ある。)で表される有機アルミニウム化合物、(ii)一
般式MAlR4(ここで、Mはリチウム、ナトリウムまた
はカリウムから選ばれる金属であり、Rは前記と同じ炭
化水素基である。)で表される、周期律表第 I 族金属と
アルミニウムとの錯アルキル化物などを挙げることがで
きる。
【0018】前記(i)に属する有機アルミニウム化合
物としては、例えば 一般式 RmAl(OR')3ーm (ここで、RおよびR'は前記と同じ炭化水素基であ
る。mは好ましくは1.5≦m≦3の範囲の数であ
る。)、 一般式 RmAlX3ーm (ここで、Rは前記と同じ炭化水素基である。Xはハロ
ゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3の範囲の数
である。)、 一般式 RmAlH3ーm (ここで、Rは前記と同じ炭化水素基である。mは好ま
しくは2≦m<3の範囲の数である。)および 一般式 RmAl(OR')nq (ここで、RおよびR'は前記と同じ炭化水素基であ
る。 Xはハロゲン原子を示し、m、nおよびqは好ま
しくはそれぞれm0<m≦3、0≦n<3、0≦q<3
の範囲にあり、かつm+n+q=3を満足する数であ
る。)で表されるものなどを例示することができる。
(i)に属する有機アルミニウム化合物として、具体的に
は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、トリ−sec−ブチルアルミニウム、 トリ−
tert−ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウ
ム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミ
ニウム;トリアルケニルアルミニウム;ジエチルアルミ
ニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等
のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミ
ニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブ
トキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド
のほかに、 R2.5Al(OR)0.5などで表される平均組成
を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニ
ウム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミ
ニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジ
アルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセ
スキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エ
チルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニ
ウムセスキハライドのような部分的にハロゲン化された
アルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリ
ド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアル
ミニウムヒドリドおよびエチルアルミニウムジヒドリ
ド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアル
ミニウムジヒドリドなど、部分的に水素化されたアルキ
ルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリ
ド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアル
ミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化お
よびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを例示
することができる。前記(ii)に属する有機アルミニウ
ム化合物としては、LiAl(C25)4、LiAl(C715)
4等が挙げられる。また、(i)に類似する有機アルミニ
ウム化合物として、 酸素原子や窒素原子を介して2個
以上のアルミニウム原子が結合した有機アルミニウム化
合物を用いることもできる。これらの化合物として、例
えば(C25)2AlOAl(C25)2、(C49)2AlOAl
(C49)2、(C25)2AlN(C25)Al(C25)2等を
例示することができる。これらの中でも、トリアルキル
アルミニウムが好ましい。
【0019】定常運転中における有機アルミニウム化合
物の使用量は特に制限されないが、通常、チタン化合物
1モルに対して0.05〜1000モルを使用すること
ができる。
【0020】重合反応は、通常のチーグラー型触媒によ
るオレフィンの重合反応と同様にして行われる。すなわ
ち、反応は実質的に気相で行われる。オレフィンの重合
条件として、温度は20〜300℃、好ましくは40〜
200℃であり、圧力は常圧〜70kgf/cm2・G、好まし
くは2〜60kgf/cm2・Gである。分子量の調節は、重合
温度、触媒のモル比等の重合条件を変えることによって
もある程度行うことができるが、重合系中に水素を添加
することにより効果的に行われる。また本発明におい
て、オレフィンを気相状態で重合または共重合するため
に使用する反応器は、実質的に気−固系で運転される流
動床系をすべてを包含し、撹拌機を有するものまたは有
しないもののいずれであってもよい。定常運転中は、オ
レフィン、固体触媒成分、有機アルミニウム化合物が定
常的に反応系に導入され、一方、生成したポリマー粒子
が抜き出される。
【0021】反応を停止させる際には、オレフィン、固
体触媒成分、有機アルミニウム化合物の供給を停止し、
適宜に系内圧力および温度を下げ、ガス状反応停止剤を
系内へ導入する。本発明のガス状反応停止剤としては、
酸素、水蒸気、 一酸化炭素、 二酸化炭素、メタノール
やエタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケト
ン類等を用いることができる。これらは適宜に混合する
こともできる。上記ガス状反応停止剤は、適宜のキャリ
アーガス、例えばオレフィンなどの反応性ガス、あるい
は好ましくはアルゴン、ヘリウム、特に好ましくは窒素
などの非反応性キャリアーガスと共に系内へ導入するこ
ともできる。導入する停止剤は供給量の厳密な制御が困
難である。また完全に触媒を失活する必要があるなどの
ために、通常は大過剰の量を系内へ導入する。反応が停
止したことを確認した後、過剰の二酸化炭素ガスを系外
へ排出する。必要な場合は系内を窒素ガスなどの不活性
ガスにより置換する。本発明においては、重合により生
成し反応器内に残留するポリマーは、系外へ抜き出すこ
となく運転再開まで系内に保持する。保持する期間は、
反応器の気密が保たれる限り特に制限がなく、数週間あ
るいはそれ以上継続してもよい。すなわち、故障が発生
して反応停止の原因となった重合反応の後続工程(例え
ばパウダー化工程、ペレット化工程等)あるいは反応系
の循環ガスブロワーなどの修理を行う間、ポリマーを反
応器内に保持しておく。
【0022】通常は運転再開前に、あらかじめ重合反応
停止のために供給したガス状反応停止剤を可能な限り系
外へ排出することが好ましい。このため不活性ガスを用
いて反応系内のパージを行い、ガス状反応停止剤を置換
する。不活性ガスとしては窒素が好ましい。上記のガス
置換は、反応停止後の段階で行うこともできる。置換の
方法は、系内に連続的に窒素を流通してもよく、窒素で
加圧した後ベントへ放出してもよい。系内に残存するガ
ス状反応停止剤の濃度は、ベントへ放出した後の常圧下
において、10ppm以下、望ましくは1ppm以下、
更に望ましくは0.1ppm以下とする。
【0023】本発明においては、運転再開まで系内にポ
リマー粒子を保持すると共に、運転再開にあたり、初め
に有機アルミニウム化合物を供給する。初めに固体触媒
成分のみ、あるいは固体触媒成分と有機アルミニウム化
合物とを同時に供給する方法なども考えられるが、本発
明では初めに有機アルミニウム化合物のみを供給するこ
とが肝要である。運転再開前における有機アルミニウム
化合物の供給は、有機アルミニウム化合物の分散を均一
にするために、反応系内に窒素を循環しているとき行う
ことが望ましい。なお、窒素の循環は圧力0〜10kgf/
cm2・G、望ましくは3〜6kgf/cm2・Gで行う。また、温度
は重合温度とし、通常10〜100℃であり、望ましく
は40〜90℃である。
【0024】運転再開の初めに供給する有機アルミニウ
ム化合物の量は、定常運転時の供給割合としてもよい
が、好ましくは停止前に反応系内に残存していた有機ア
ルミニウム化合物のアルミニウム1モルに対して1モル
以上、より好ましくは2モル以上とする。著しく過剰に
加えても効果はあまり増大せず、不経済であるため、最
大100モルまでとする。ここで、反応系内とは、反応
器内のポリオレフィン粒子内、循環ガス中および反応系
各部の器壁等を含む。この際の供給速度は適宜に選択す
ることができる。なお、停止前に反応系内に残存してい
た有機アルミニウム化合物の量は、有機アルミニウムの
供給速度とポリマー粒子の反応器内における平均滞留時
間との積として求めることができる。
【0025】所定量の有機アルミニウム化合物を供給し
た後、窒素を循環しながらオレフィンガスおよび分子量
調節剤として水素を導入し、これらにより徐々に圧力を
上昇させる。なお、各オレフィンガスおよび水素の供給
流量比は、最終的な反応系の組成比と同じにしておくこ
とが望ましい。次いで、固体触媒成分を、例えば窒素な
どの不活性ガスに同伴させて反応器内へ供給する。固体
触媒成分の供給と共に重合反応が開始し、ポリオレフィ
ン生成量は徐々に上昇し、定常運転の状態に達する。そ
の後はオレフィン、固体触媒成分、有機アルミニウム化
合物等の供給量を定常状態における各所定供給量とする
ことにより、重合反応は定常的に進行する。
【0026】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例に基づ
いて具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定
されるものではない。
【0027】<固体触媒成分の調製例>撹拌機および還
流冷却器を付けた500mlの三つ口フラスコに600
℃で焼成したSiO2 50gを入れて、 脱水ヘキサン1
60ml、 四塩化チタン2.2mlを加え、ヘキサンの
還流下で3時間反応させた。冷却後、ジエチルアルミニ
ウムクロライドのヘキサン溶液(1mmol/cc)を30m
l加え、 再びヘキサンの還流下で2時間反応させた
後、120℃で減圧乾燥を行いヘキサンを除去した。得
られた反応生成物を成分(I)とする。別に、直径1/
2インチのステンレススチール製ボール25個を入れた
内容積400mlのステンレススチール製ポットに、市
販の無水塩化マグネシウム10gおよびアルミニウムト
リエトキシド4.2gを入れ、 窒素雰囲気下の室温にお
いて、16時間ボールミリングを行い反応生成物を得
た。これを成分(II)とする。上記成分(II)の5.4
gを脱水エタノール160mlに溶解し、 その溶液全
量を成分(I)を収容する三つ口フラスコに加え、 エタ
ノールの還流下で3時間反応させた後、150℃で6時
間減圧乾燥を行い、固体触媒成分を得た。得られた固体
触媒成分1g中のチタンの含有量は15mgであった。
【0028】<実施例1>図1に示したものと同様な、
直径25cmの流動床反応器1を使用した。あらかじめ
乾燥した平均粒径780μmの直鎖低密度ポリエチレン
12kgを種ポリマーとして反応器へ充填した。 次い
で反応系内を窒素ガスで5kgf/cm2・Gに昇圧し、ブロワ
ー13を用いて、系内のガスを流動床反応器1、ガス循
環配管12、 ブロワー13および冷却器14からなる
経路を通して流量88m3/hrで循環し、循環ガス温度の
調節により温度を85℃に保持した。気相中の水素/エ
チレン/ブテン−1比(モル比、以下同様)=0.1/
1/0.4、および窒素濃度25モル%となるように各
ガス量の調節を行い、 全圧は20kgf/cm2・Gに保持し
た。助触媒として、 トリエチルアルミニウムを1.1g/
hrの速度でヘキサン溶液として助触媒供給配管5から供
給し、前記固体触媒成分の調製例で得たTiとMgを含有
する固体触媒成分を0.8g/hrの速度で触媒供給配管8
により供給し、 重合反応を開始した。15時間後に反
応は定常状態となり、その後運転は順調に継続した。重
合体粒子排出バルブ15および16を通して排出された
エチレン・ブテン−1共重合体の生成速度は4.0kg/hr
であり、その性状はMFR0.88g/10min、密度0.9
208g/cm3であり、外観は白色で、平均粒径760μ
mのきれいな粒子であった。なお、流動床反応器内に滞
留しているポリマー粒子の量は流動床上下の差圧計(図
示せず)の指示から推定して12kgであり、従ってポ
リマー粒子の平均滞留時間は3時間であった。
【0029】次に重合反応の緊急停止を行うため、一酸
化炭素ガス3gをガス状反応停止剤供給配管9により循
環ガス中に供給した。その直後から、冷却用に用いる循
環ガス温度は急激に上昇し、また流動床の差圧上昇も停
止して、重合反応の停止が確認された。循環ガスをベン
ト配管11から放出し、 系内の圧力を20分間で6kgf
/cm2・Gまで下げ、また同時に温度を50℃まで低下させ
た。ブロワー13を用いて系内のガスを流量16m3/hr
でベント配管から放出しながら、 他方において窒素供
給配管10により窒素を導入し、圧力を6kgf/cm2・Gに
保持した。5時間後にブロワー13を停止し、系内の圧
力が常圧に達するまでガスをベント配管11から放出し
た。 続いて、系内を窒素で5kgf/cm2・Gまで昇圧した
後、常圧まで放出する操作を3回繰り返し、一酸化炭素
ガスのパージを行った。なお、流動床反応器内には、ポ
リマー粒子を残したまま20時間保持した。
【0030】流動床反応器内を窒素で5kgf/cm2・Gまで
昇圧した後、 ブロワー13を用いて系内のガスを流量
88m3/hrで循環し、 温度の調節により85℃まで昇温
した。このとき循環ガス中の一酸化炭素濃度は0.1p
pm以下であった。 その後、トリエチルアルミニウム
を10g/hrの速度で2時間(合計20g)供給した。続
いて、気相中の水素/エチレン/ブテン−1比=0.1
/1/0.4、および窒素濃度25モル%となるように
各ガスを供給し、 全圧を20kgf/cm2・Gまで昇圧した。
全圧が20kgf/cm2・Gに到達した後、 最初の運転開始時
と同様にトリエチルアルミニウムを1.1g/hrの速度
で、また固体触媒成分を0.8g/hrの速度で供給を開始
した。12時間後に反応は定常状態に達し、ポリマー粒
子の生成速度は最初と同様に4.0kg/hrであり、運転は
順調に継続した。また得られたエチレン・ブテン−1共
重合体は、MFR0.85g/10min、密度0.9211g/c
m3であり、最初の運転で得られたポリマー粒子とほぼ一
致する値であった。
【0031】<実施例2>図1に示したものと同様な、
直径25cmの流動床反応器1を使用した。あらかじめ
乾燥した平均粒径830μmの直鎖低密度ポリエチレン
12kgを種ポリマーとして反応器へ充填した。 次い
で反応系内を窒素ガスで5kgf/cm2・Gに昇圧し、ブロワ
ー13を用いて、系内のガスを流動床反応器1、ガス循
環配管12、 ブロワー13および冷却器14からなる
経路を通して流量88m3/hrで循環し、循環ガス温度の
調節により温度を85℃に保持した。気相中の水素/エ
チレン/ブテン−1比=0.1/1/0.4、および窒素
濃度25モル%となるように各ガス量の調節を行い、全
圧は20kgf/cm2・Gに保持した。助触媒として、 トリエ
チルアルミニウムを0.5g/hrの速度でヘキサン溶液と
して助触媒供給配管5から供給し、前記固体触媒成分の
調製例で得たTiとMgを含有する固体触媒成分を0.8g
/hrの速度で触媒供給配管8により供給し、 重合反応を
開始させた。12時間後に反応は定常状態となり、その
後運転は順調に継続した。重合体粒子排出バルブ15お
よび16を通して排出されたエチレン・ブテン−1共重
合体の生成速度は3.8kg/hrであり、その性状はMFR
1.0g/10min、密度0.9185g/cm3であり、外観は白
色で、平均粒径810μmのきれいな粒子であった。な
お、流動床反応器内に滞留しているポリマー粒子の量は
流動床上下の差圧計(図示せず)の指示から推定して1
2kgであり、従ってポリマー粒子の平均滞留時間は
3.2時間であった。
【0032】次に重合反応の緊急停止を行うため、常
圧、20℃の乾燥空気1l(酸素として8.3mmo
l)を窒素により加圧して、 ガス状反応停止剤供給配
管9により循環ガス中に供給した。その直後から冷却用
の循環ガスの温度は急激に上昇し、また流動床の差圧上
昇も停止し、重合反応の停止が確認された。循環ガスを
ベント配管11から放出し、 系内の圧力を20分間で
5kgf/cm2・Gまで下げ、また同時に温度を50℃まで低
下させた。ブロワー13を用いて系内のガスを流量16
m3/hrでベント配管から放出しながら、 他方において窒
素供給配管10により窒素を導入し、圧力を5kgf/cm2
Gに保持した。4時間後にブロワー13を停止し、系内
の圧力が常圧に達するまでガスをベント配管11から放
出した。 続いて、系内を窒素で5kgf/cm2・Gまで昇圧し
た後、常圧まで放出する操作を3回繰り返し、酸素のパ
ージを行った。なお、流動床反応器内には、ポリマー粒
子を残したまま65時間保持した。
【0033】流動床反応器内を窒素で5kgf/cm2・Gまで
昇圧した後、 ブロワー13を用いて系内のガスを流量
88m3/hrで循環し、 温度の調節により85℃まで昇温
した。このとき循環ガス中の酸素濃度は1ppmであっ
た。その後、トリエチルアルミニウムを5g/hrの速度で
2時間(合計10g)供給した。続いて、気相中の水素
/エチレン/ブテン−1比=0.1/1/0.4、および
窒素濃度25モル%となるように各ガスを供給し、 全
圧を20kgf/cm2・Gまで昇圧した。全圧が20kgf/cm2・G
に到達した後、 最初の運転開始時と同様にトリエチル
アルミニウムを0.5g/hrの速度で、また固体触媒成分
を0.8g/hrの速度でそれぞれ供給を開始した。16時
間後に反応は定常状態に達し、ポリマー粒子の生成速度
は最初と同様に3.8kg/hrであり、運転は順調に継続し
た。また得られたエチレン・ブテン−1共重合体は、M
FR0.95g/10min、密度0.9190g/cm3であり、最
初の運転で得られたポリマー粒子とほぼ一致する値であ
った。
【0034】<比較例1>運転再開前に、実施例1で行
ったトリエチルアルミニウムの供給(10g/hr×2時
間、合計20g)を行わなかった以外は、すべて実施例
1と同様に行った。すなわち、一酸化炭素による反応停
止後の運転再開にあたっては、定常状態の際と同様な供
給割合でオレフィン、固体触媒成分およびトリエチルア
ルミニウムを反応器へ供給することにより運転を再開し
た。その結果、反応は容易に起こらず、14時間後に始
めて重合反応が開始した。しかも、その後にシート状ポ
リマーが生成し、固体触媒の供給開始から18時間後に
流動床反応器からのポリマー抜出し配管に詰まりを生じ
たため運転を停止した。
【0035】<比較例2>実施例1では、一酸化炭素ガ
スのパージを行った後に、トリエチルアルミニウムを
10g/hrの速度で2時間(合計20g)を供給し、 続
いて運転を開始したが、本比較例においては、上記トリ
エチルアルミニウムの供給を固体触媒成分を供給する際
に同時に行った。上記以外はすべて実施例1と同様に操
作を行った。すなわち、運転再開にあたっては、オレフ
ィン、固体触媒成分およびトリエチルアルミニウムを同
時に供給し、オレフィンおよび固体触媒成分の供給は定
常状態の際の供給割合および供給速度で行い、トリエチ
ルアルミニウムの供給は実施例1の運転再開時と同様に
10g/hrの速度で行った。各反応原料の供給開始から1
時間15分後に重合反応が開始したが、チップ状のポリ
マーが生成した。同2時間後にトリエチルアルミニウム
の供給速度を10g/hrから実施例1における定常状態の
供給速度である 1.1g/hrに変更したが、同2時間45
分後に流動床反応器からのポリマー抜出し配管に詰まり
を生じたため運転を停止した。
【0036】<比較例3>実施例1と同様に運転を開始
し、一酸化炭素ガスの供給により運転を中断した後、流
動床反応器内のポリマー粒子をすべて系外へ排出した。
その後、あらかじめ乾燥した平均粒径780μmの直鎖
低密度ポリエチレンである種ポリマー12kgを新たに
流動床反応器へ装入し、系内を窒素でパージした後、実
施例1の最初の運転開始時と同様にして再開した。すな
わち、反応系内を窒素ガスで5kgf/cm2・Gに昇圧し、 ブ
ロワー13を用いて、系内のガスを流動床反応器1、ガ
ス循環配管12、ブロワー13および冷却器14からな
る経路を通して流量88m3/hrで循環し、 循環ガス温度
の調節により温度を85℃に保持した。気相中の水素/
エチレン/ブテン−1比=0.1/1/0.4、および窒
素濃度25モル%となるように各ガス量の調節を行い、
全圧は20kgf/cm2・Gに保持した。助触媒として、 ト
リエチルアルミニウムを1.1g/hrの速度でヘキサン溶
液として助触媒供給配管5から供給し、前記固体触媒成
分の調製例で得たTiとMgを含有する固体触媒成分を
0.8g/hrの速度で触媒供給配管8により供給し、 重合
反応を開始させた。しかしながら、系内に存在する不純
物のために重合反応が容易に安定せず、運転が定常状態
に達したのは5日後であった。
【0037】
【発明の効果】ポリオレフィン気相重合反応器の運転に
おいて、ガス状反応停止剤を用いて運転を停止した後、
反応器内のポリマー粒子を系外へ排出せず、運転再開に
あたっては、はじめに有機アルミニウム化合物を供給し
た後、オレフィンガスおよび触媒を供給して反応を開始
させることによって、再開後における運転を迅速に定常
状態に到達させ得ると共に、ポリマー粒子の詰まりなど
がない定常運転を容易に継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気相重合反応装置の説明図である。
【符号の説明】
1 流動床反応器 2 上部空間区域 3 流動床区域 4 ガス分散板 5 助触媒供給配管 6 水素供給配管 7 オレフィン供給配管 8 触媒供給配管 9 ガス状反応停止剤供給配管 10 窒素供給配管 11 ベント配管 12 ガス循環配管 13 ブロワー 14 冷却器 15、16 重合体粒子排出バルブ 17 触媒装入用窒素供給配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 米国特許4326048(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/34 C08F 10/00 - 10/14 C08F 110/00 - 110/14 C08F 210/00 - 210/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともチタンおよび/またはバナジ
    ウムならびにマグネシウムを含有する固体触媒成分と有
    機アルミニウム化合物とからなる触媒を反応器へ供給
    し、オレフィンを気相状態で定常的に重合または共重合
    させた後、ガス状反応停止剤を系内へ導入することによ
    り該重合反応を停止させ、その後該反応器の運転を再開
    する方法において、(1)ガス状反応停止剤を反応系内
    へ導入することにより、反応を停止させる工程、(2)
    導入したガス状反応停止剤を系外へ排出する工程、およ
    び(3)運転再開にあたり、はじめに有機アルミニウム
    化合物を系内へ導入することにより反応を開始させる工
    程を含み、かつ反応停止時に反応系内に存在していたポ
    リマー粒子を実質的に系外へ排出することなく、反応停
    止から反応再開までの全操作を行うことを特徴とするオ
    レフィン重合反応器の運転法。
  2. 【請求項2】 前記有機アルミニウム化合物がアルキル
    アルミニウムである請求項1に記載のオレフィン重合反
    応器の運転法。
  3. 【請求項3】 前記ガス状反応停止剤が、酸素、水蒸
    気、一酸化炭素、二酸化炭素、アルコール類およびケト
    ン類から選択される物質であることを特徴とする請求項
    1に記載のオレフィン重合反応器の運転法。
JP36030792A 1992-12-29 1992-12-29 オレフィン重合反応器の運転法 Expired - Fee Related JP3216927B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36030792A JP3216927B2 (ja) 1992-12-29 1992-12-29 オレフィン重合反応器の運転法
EP93121042A EP0604993B1 (en) 1992-12-29 1993-12-28 Method for operating reactor for polymerizing olefins
DE69320163T DE69320163T2 (de) 1992-12-29 1993-12-28 Verfahren zum Betreiben eines Olefinpolymerisationreaktors
US08/174,269 US5543478A (en) 1992-12-29 1993-12-28 Method for operating reactor for polymerizing olefins
CA002112506A CA2112506A1 (en) 1992-12-29 1993-12-29 Method for operating reactor for polymerizing olefins

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36030792A JP3216927B2 (ja) 1992-12-29 1992-12-29 オレフィン重合反応器の運転法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06199949A JPH06199949A (ja) 1994-07-19
JP3216927B2 true JP3216927B2 (ja) 2001-10-09

Family

ID=18468837

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36030792A Expired - Fee Related JP3216927B2 (ja) 1992-12-29 1992-12-29 オレフィン重合反応器の運転法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3216927B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06199949A (ja) 1994-07-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS6324001B2 (ja)
NO166867B (no) Fremgangsmaate for polymerisasjon eller kopolymerisasjon av alfa-olefiner i et virvelsjikt i naervaer av et ziegler-natta-katalysatorsystem.
JP3216928B2 (ja) 気相重合反応系の乾燥方法
EP0604993B1 (en) Method for operating reactor for polymerizing olefins
JP3338542B2 (ja) オレフィン気相重合反応器の運転法
JP3216927B2 (ja) オレフィン重合反応器の運転法
JP3305787B2 (ja) ポリオレフィン反応器の運転法
JP3216926B2 (ja) ポリオレフィン反応器の運転方法
JPH0995509A (ja) オレフィンの定常的気相重合における触媒切替え法
JP3222596B2 (ja) α−オレフィンの重合開始方法
GB2133020A (en) Polymerising olefins with an improved Ziegler catalyst
JP3216930B2 (ja) オレフィン類の気相重合法
US7332549B2 (en) Process for the (co-)polymerisation of ethylene in the gas phase
JP2011084612A (ja) プロピレン系ブロック共重合体の製造方法
JP3553745B2 (ja) プロピレンの連続重合方法
JP3215736B2 (ja) オレフィンの気相重合法
JPS6169822A (ja) プロピレンブロツク共重合体の製造方法
JP3215737B2 (ja) オレフィンの気相重合方法
JPH06199915A (ja) ポリオレフィンの製造方法
JP3577394B2 (ja) プロピレンの連続重合方法
EP1644423B1 (en) Process for the (co-)polymerisation of ethylene in the gas phase
JPH0995503A (ja) オレフィンの定常的気相重合における触媒切替え方法
JPH0354125B2 (ja)
JPH01118504A (ja) オレフィン重合用固体触媒成分の乾燥方法
JPS58145708A (ja) ポリプロピレンの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080803

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080803

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090803

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090803

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100803

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110803

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees