JP3158863B2 - 水性樹脂分散体およびその製造方法 - Google Patents

水性樹脂分散体およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水性樹脂分散体に関す
る。更に詳しくは金属素材に直接もしくは下地塗料の上
に塗布する焼付用の被覆用組成物として缶内面用塗料等
に用いた場合、優れたロールコート塗装性と物性を併せ
持つ水性樹脂分散体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、缶用塗料や防食用塗料は省資
源、省エネルギー、低公害化、あるいは安全衛生性等の
面から水系への移行が望まれている。水系においても溶
剤型の場合と同様、主としてエポキシ樹脂系のものが検
討され、エポキシ樹脂を水中に分散させる方法として種
々の方法が提案されている。
【0003】例えば、界面活性剤を使用して、エポキシ
樹脂を水中に分散させる方法としては、アニオン系界面
活性剤を用いる方法と、ノニオン系界面活性剤を用いる
方法の2法が知られている。しかしながら、前者におい
ては、乳化過程および貯蔵中にオキシラン環が開環して
しまい、反応性が低下して形成塗膜の性能が劣ったり、
また、時には貯蔵中に増粘、ゲル化の問題を起こし易
く、一方、後者においては、分散性および貯蔵安定性を
向上させるため系中にかなり多量の界面活性剤を含ませ
ている。このためこの界面活性剤が、形成された塗膜の
化学的および機械的性質に悪影響を及ぼす傾向がある。
【0004】この問題解決方法として、エポキシ樹脂を
アクリル系樹脂で変性して、乳化力のあるセグメントを
分子中に導入した自己乳化型エポキシ樹脂が種々提案さ
れている。
【0005】例えば、特開昭53−1228号公報は、
エポキシ樹脂の存在下にて過酸化ベンゾイルなどのフリ
ーラジカル発生剤を用いてカルボン酸モノマーを含むモ
ノマー混合物を重合することにより得られるグラフト化
されたエポキシ樹脂が、塩基を含む水性媒体中に安定に
分散され得ることを開示している。特開昭53−149
63号公報および特開昭55−9433号公報は、アク
リル系樹脂と比較的高分子量の芳香族系エポキシ樹脂と
を反応させたカルボキシル基過剰の部分反応物が、アン
モニアもしくはアミンの存在で水性媒体中に安定に分散
し得ることを開示している。特開昭55−3481号公
報、および特開昭55−3482号公報は、カルボキシ
ル基官能性ポリマーをアミンエステル化触媒の存在下で
エポキシ樹脂とエステル化したエポキシ樹脂のオキシラ
ン基を実質上有しない化合物を塩基によって水中に自己
乳化した自己乳化性エポキシエステルコポリマーを開示
している。特開昭57−105418号公報および特開
昭58−198513号公報は、芳香族系エポキシ樹脂
と(メタ)アクリル酸を部分反応させてなる一分子中に
エポキシ基とアクリロイル基とを有する低分子化合物と
アクリル酸もしくはメタアクリル酸を含むモノマー混合
物を調合し、塩基性化合物で中和して得られる水性の分
散体組成物が開示している。
【0006】上記技術により得られる自己乳化型エポキ
シ樹脂の水性樹脂分散体を塗料として用いる場合、より
速い硬化速度が必要とされる時には水溶性アミノ樹脂や
フェノール樹脂が配合される。これらの水性樹脂分散体
を金属板のような被塗装基材に塗装する方法としては、
スプレー塗装、ロールコーター塗装、浸漬塗装、カーテ
ンフローコーター等の種々のものがあるが、その中でも
ロールコーター塗装は塗装装置のコストおよび塗膜量の
比較的少ない塗膜であっても安定して塗装することがで
きるという利点を有するので、種々の金属板の塗装、特
にコイル状あるいはシート状金属板を塗装する場合の主
流となっている。
【0007】しかしながら、前述のような自己乳化型エ
ポキシ樹脂による水性塗料は、その性状としてチキソト
ロピック性が高いという特徴があり、塗料の粘弾性等の
性質によりロールコーター塗装を行うと次のような問題
点があることが判明した。すなわち塗料供給ロールから
アプリケーションロールへの転移が不安定であり、形成
塗膜量が不安定になること、またアプリケーションロー
ルから金属板に塗料が転移する際フローが不良であり金
属板上で塗料のリブが発生し、形成塗膜に固定され塗膜
厚が極端に薄い塗膜欠陥部が生じることである。
【0008】又、特開昭59−213718号公報は、
アクリル系樹脂の合成および芳香族系エポキシ樹脂の溶
解に比較的高沸点の溶剤を用い、無触媒下で反応したカ
ルボキシル基過剰のエポキシ樹脂・アクリル系樹脂部分
反応物を、塩基の存在下に水性媒体中に分散する水性樹
脂分散体を開示している。この水性塗料は、原料である
アクリル系樹脂で比較的低分子量の樹脂を選択するとニ
ュートニアンに近い水性樹脂分散体が得られるためロー
ルコーターでの塗装性は良好となる。しかし、原料であ
るアクリル系樹脂の合成および芳香族系エポキシ樹脂の
溶剤に比較的高沸点の溶剤、たとえば、ヘキシルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテー
ト、エチルセロソルブアセテートなどを用いている。こ
のため、使用溶剤の置換や再利用などを目的として、水
性樹脂分散体中の水を含む溶剤の一部または全部を減圧
下除去しようとすると、反応に用いた溶剤が高沸点であ
り、尚かつ水に対する溶解度が非常に高いことから、溶
剤を除去するのに長時間を要するとともに泡の発生を伴
うという欠点があった。また、アクリル系樹脂と芳香族
系アクリル系樹脂の反応は、反応温度が140℃程度必
要とし、また実質的な反応時間も8ないし12時間を必
要とするため、作業性の点でも劣っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ロール
コーター塗装における塗装性の向上を図るために鋭意検
討を重ねた結果、微量のアミン触媒をアクリル系樹脂と
芳香族系エポキシ樹脂の反応触媒として用い水性樹脂分
散体を得て、これを塗料に応用した場合優れたロールコ
ート塗装性を示すことを見いだし先に出願した。この発
明は前記の従来における種々の欠点を改良し、缶内面用
塗料としてロールコーター塗装の際、溶剤型塗料と同等
の良好な形成塗膜を形成するものであるが、形成塗膜の
要求物性を満足しつつ、より高度の塗装性を得たい場合
には、必ずしも十分満足できるものではなかった。本発
明は形成塗膜の要求物性を満足しつつ、より高度の塗装
性を得られるように塗料組成を設計する自由度を向上さ
せることにより、優れた水性樹脂分散体およびその製造
方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、30〜70重
量%の一塩基性カルボン酸モノマーを必須成分とする重
量平均分子量3000〜30000のアクリル系樹脂
(A1)40〜92重量%と、30〜70重量%の一塩
基性カルボン酸モノマーを必須成分とする重量平均分子
量104000〜300000のアクリル系樹脂(A
2)8〜60重量%とからなるアクリル系樹脂(A)1
00重量部と、数平均分子量1400以上の芳香族系エ
ポキシ樹脂(B)100〜400重量部とを、上記樹脂
(A)と樹脂(B)との合計に対して0.01〜0.5
0重量%のアミン系触媒の存在下反応せしめた遊離のカ
ルボキシル基を含有する部分反応物(C)を塩基の存在
下に水性媒体中に分散させてなる水性樹脂分散体および
その製造方法を提供する。
【0011】本発明において用いられるアクリル系樹脂
(A)は、アクリル酸、メタクリル酸などの一塩基性カ
ルボン酸モノマーとその他の共重合性モノマーからなる
モノマー混合物を反応溶剤中でアゾビスイソブチロニト
リル、過酸化ベンゾイルなどの通常のラジカル重合開始
剤を用いて70℃ないし150℃の温度で共重合せしめ
ることにより得ることができる。上記共重合性モノマー
としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル
酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソ
アミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシ
ル、アクリル酸ドデシルなどのアクリル酸エステル類、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリ
ル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル
酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル
酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メ
タクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルなどのメタク
リル酸エステル類、スチレン、ビニルトルエン、2−メ
チルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンな
どのスチレン系モノマー、アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒド
ロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどの
ヒドロキシ基含有モノマー、N−メチロール(メタ)ア
クリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルア
ミドなどのN−置換(メタ)アクリル系モノマー、アク
リル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポ
キシ基含有モノマー、並びにアクリロニトリルなどの1
種又は2種以上から選択することができる。
【0012】一塩基性カルボン酸モノマーの使用量は全
モノマー量に対して30ないし70重量%、好ましくは
30ないし60重量%であって、30重量%より少ない
使用量では水性媒体中における樹脂の分散安定性、塗装
した塗膜の金属に対する密着性や耐溶剤性などがいずれ
も悪くなるので好ましくなく、逆に、70重量%より多
い使用量ではアクリル系樹脂(A)を重合させる際反応
系の粘度が極端に高くなるので、製造が困難となるばか
りでなく、塗装した塗膜の耐水性などが悪くなる。
【0013】反応溶剤はアクリル系樹脂(A)の良溶媒
であれば特に制限はないが、後で述べるようなアクリル
系樹脂(A)と芳香族系エポキシ樹脂(B)との常圧で
の反応において使用される70℃以上の沸点を有する有
機溶剤をこのアクリル系樹脂(A)の製造工程から用い
れば、次の反応に際して溶剤を変える必要がないので好
ましい。溶剤の種類は、1種類または数種類使用しても
構わない。また、水性樹脂分散体の調整後、溶剤の置換
や使用溶剤の再利用などを目的として、分散体中の水を
含む溶剤の一部または全部を、泡の発生を伴うことなく
比較的短時間で減圧下除去する場合には、150℃以下
の沸点でかつ水に対する溶解度が30重量%以下、好ま
しくは10重量%以下の有機溶剤を用いることが好まし
い。さらに、アクリル系樹脂(A)の仕上がり樹脂粘度
を下げる目的で、アクリル系樹脂合成反応中または反応
後、少量のイオン交換水を添加することもできる。
【0014】アクリル系樹脂(A)の内、アクリル系樹
脂(A1)は重量平均分子量で3000〜30000、
好ましくは3000ないし20000の範囲のものが使
用される。アクリル系樹脂(A2)の分子量はアクリル
系樹脂(A1)の分子量より大きく、重量平均分子量1
04000〜300000である。
【0015】アクリル系樹脂(A2)が存在しない場合
に、アクリル系樹脂(A1)の重量平均分子量が300
0より小さいと塗膜の架橋密度が増大する結果、加工性
に支障をきたすと同時に塗膜表面のグロスが低下する。
一方、アクリル系樹脂(A2)が存在しない場合に、ア
クリル系樹脂(A1)の重量平均分子量が30000よ
り大きくなると芳香族系エポキシ樹脂(B)との反応時
ゲル化を生じやすくなる傾向がある。また、そのアクリ
ル系樹脂を用いた塗料はローソリッドになる傾向があ
り、ハイソリッドの必要な用途には不向きとなる。しか
しながら、加工性、衛生性など塗膜の性質は向上する。
【0016】アクリル系樹脂(A2)をアクリル系樹脂
(A1)と併用することによって塗料設計の自由度が増
し、上記欠点が克服できる。従って、アクリル系樹脂
(A2)の分子量はアクリル系樹脂(A1)の分子量よ
り大きく、104000〜300000とする。アクリ
ル系樹脂(A2)の分子量を300000より大きくす
ると粘度が高く取扱いが困難となるので、望ましくな
い。
【0017】本発明において用いられる芳香族系エポキ
シ樹脂(B)はビスフェノールA、ビスフェノールB、
ビスフェノールF等のビスフェノール類とエピクロルヒ
ドリンとをアルカリ触媒の存在化に縮合させて得られる
もので、1分子中に平均1.1個ないし2.0個のエポ
キシ基を有し、数平均分子量が1400以上のものが使
用される。市販品としては、シェル化学株式会社の“エ
ピコート1004”、“エピコート1007”、“エピ
コート1009”、“エピコート1010”などがあ
る。また、芳香族系エポキシ樹脂(B)として上記ビス
フェノール型エポキシ樹脂のエポキシ基または水酸基に
脱水ヒマシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸など
の植物油脂肪酸もしくはビスフェノールAなどの変性剤
を反応せしめた変性エポキシ樹脂を使用することもでき
る。
【0018】本発明におけるアクリル系樹脂−芳香族系
エポキシ樹脂部分反応物(C)は、一塩基性カルボン酸
モノマーを30〜70重量%含む共重合性モノマー混合
物を共重合せしめてなるアクリル系樹脂(A)と数平均
分子量1400以上の芳香族系エポキシ樹脂(B)とを
部分反応せしめることにより製造される。
【0019】本発明におけるアクリル系樹脂−芳香族系
エポキシ樹脂部分反応物(C)の製造にあたり、アクリ
ル系樹脂(A2)はアクリル系樹脂(A1)、芳香族系
エポキシ樹脂(B)、アミン系触媒とともに、必要に応
じて、フェノール樹脂などの硬化性樹脂を一緒に反応さ
せる事ができる。それぞれの反応性が異なる場合など必
要な場合は添加時期を適切に選定する事もできる。硬化
剤樹脂は、アンモニアレゾール、アルカリレゾール等の
フェノール樹脂、ヘキサメトキシメチルメラミン、メチ
ロール化ベンゾグアナミン樹脂、メチロール化尿素樹脂
などのアミノプラスト樹脂等が使用できる。
【0020】アクリル系樹脂−芳香族系エポキシ樹脂部
分反応物(C)を作成するには、予め芳香族系エポキシ
樹脂(B)を有機溶剤で十分に溶解する必要がある。こ
の場合、芳香族系エポキシ樹脂(B)を完全に溶かさな
い溶剤であっても、溶解時の固形分が40重量%以上に
おいて、樹脂溶液が透明な状態となる溶剤であれば使用
できる。溶剤の種類は、1種類または数種類使用しても
構わない。また、水性樹脂分散体の調整後、溶剤の置換
や使用溶剤の再利用などを目的として、分散体中の水を
含む溶剤の一部または全部を、泡の発生を伴うことなく
比較的短時間で減圧下除去する場合には、150℃以下
の沸点でかつ水に対する溶解度が30重量%以下、好ま
しくは10重量%以下の有機溶剤を用いることが好まし
い。
【0021】アクリル系樹脂−芳香族系エポキシ樹脂部
分反応物(C)の反応条件は、アクリル系樹脂(A)1
00重量部と芳香族系エポキシ樹脂(B)100〜40
0重量部、好ましくは100〜300重量部とを、後述
するようなアミン系触媒が上記樹脂(A)と樹脂(B)
との合計に対して0.01〜0.50重量%、好ましく
は0.01〜0.20重量%の存在下において70ない
し120℃で10分間ないし4時間程度反応させればよ
い。
【0022】上記アミン系触媒としては例えば、トリメ
チルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン等のアル
キルアミン類、2−ジメチルアミノエタノール、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプ
ロパノール等のアルコールアミン類、モルホリン等が使
用される。またエチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン等多価アミンも使用できる。
【0023】反応の制御はオキシラン%の測定、粘度上
昇の測定あるいはゲルパーミューションクロマトグラフ
ィ(GPC)による分子量分布のチャートによってチェ
ックすることができる。例えばオキシラン%の測定法と
しては、試料の溶剤溶液に所定量の臭化テトラエチルア
ンモニウム溶液を加え、クリスタルバイオレットを指示
薬として標準化した過塩素酸で滴定する方法が知られて
いる。しかし、アクリル系樹脂−芳香族系エポキシ樹脂
部分反応物(C)に対する上記の滴定法の適用は、共存
する過剰のカルボキシル基の阻害作用のためか、滴定の
終点が不明瞭になることが多いので、プロトンNMRに
よる定量が簡便で好ましい。プロトンNMRではオキシ
ラン基のメチレンは2.5〜2.9ppm にあるので、反
応中におけるこのピーク面積を追跡し、基準となる他の
ピーク、例えば芳香族エポキシ樹脂に含まれるベンゼン
環のプロトンのピークの面積と比較してオキシラン基の
減少率を求めることができる。この際アクリル系樹脂に
ベンゼン環を有するモノマーを使用した場合にはその量
を考慮して計算する必要がある。反応段落におけるオキ
シラン基の減少率は原料である芳香族系エポキシ樹脂の
オキシラン基含有量に対して5ないし85%、より好ま
しくは10ないし50%である。オキシラン基の減少率
が5%より小さいとアクリル系樹脂−芳香族系エポキシ
樹脂部分反応物(C)が水性媒体中に十分に自己乳化で
きず保存中に分離する傾向があり、また85%より大き
いと塗膜の加工性が悪くなる傾向がある。特にオキシラ
ン基が10ないし50%の範囲において得られた水性樹
脂分散体はロールコート塗装適性の点において優れてい
る。
【0024】本発明において水性樹脂分散体の調整は、
部分反応物(C)に最終樹脂分散体のPHが5ないし1
1となる量のアンモニアもしくはアミンを加え水性媒体
中に分散せしめればよいが、前の反応工程で使用した溶
剤量が非常に多い場合、すなわち、反応時の樹脂固形分
として30重量%以下の場合は、予め減圧下にてこれら
の溶剤を除去しておかないと、部分反応物(C)を水性
媒体中に分散させたとき、分散不良を起こす場合があ
る。分散前の樹脂固形分としては30重量%以上、好ま
しくは40重量%以上が適切である。つまり、反応時の
樹脂固形分が最初から40重量%以上になるような条件
下で反応させれば、分散前に溶剤を除去する手間が省け
るため好ましい。
【0025】上記アミンとしては例えば、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、ブチルアミン等のアルキルア
ミン類、2−ジメチルアミノエタノール、ジエタノール
アミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノ
ール等のアルコールアミン類、モルホリン等が使用され
る。またエチレンジアミン、ジエチレントリアミン等多
価アミンも使用できる。
【0026】本発明において水性媒体とは少なくとも1
0重量%以上が水である水単独もしくは良好な塗装性を
保持するための若干の有機溶剤との混合物を意味し、有
機溶剤としてはメタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、イソプロパノール、n−ブタノール、 sec−ブタ
ノール、tert−ブタノール、イソブタノール等のアルキ
ルアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカ
ルビトール、エチルカルビトール等のエーテルアルコー
ル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ
アセテート等のエーテルエステル類、その他ジオキサ
ン、ジメチルホルムアミド、ダイアセトンアルコール等
が使用される。
【0027】本発明の水性樹脂分散体の特徴は、これを
塗料に応用した場合優れたロールコート塗装性を示すこ
とである。特に缶内面用塗料としてロールコーター塗装
の際、溶剤型塗料と同等の良好な形成塗膜、すなわち塗
膜欠陥が発生せず、平滑な塗膜表面を形成することがで
きる。
【0028】適用される基材としては、未処理鋼板、処
理鋼板、亜鉛鉄板、ブリキ板、クロムメッキ鋼板やクロ
ム酸処理鋼板等のティンフリースチール、さらにはニッ
ケルメッキ鋼板、アルミメッキ鋼板、アルミ板などの金
属板がある。塗装方法としては、ロールコーター塗装の
他、エアスプレー、エアレススプレー、静電スプレーな
どのスプレー塗装、浸漬塗装、電着塗装などが可能であ
る。また焼付条件は、温度150℃ないし230℃、時
間としては2ないし30分の範囲から選ぶことができ
る。
【0029】本発明の水性樹脂分散体は必要に応じて分
散体中の水を含む溶剤の一部または全部を、減圧下除去
して塗料として用いることができる。また、塗装性を改
良するための有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、滑り剤な
どを添加することができる。また、用途に応じて、適当
な防錆剤、顔料、充填剤などを配合して防錆プライマ
ー、印刷インキ、防食性塗料などに使用することもでき
る。
【0030】以下、本発明を実施例により説明する。な
お、例中「部」、「%」はそれぞれ「重量部」、「重量
%」を示す。
【0031】
【実施例】
製造例 1 アクリル樹脂(A1)溶液(a1) の調整 1)n−ブタノール 56部 2)スチレン 15 3)アクリル酸エチル 6 4)メタクリル酸 19 5)過酸化ベンゾイル 4 1)の90%を窒素ガス置換した4ッ口フラスコに仕込
み、加熱して115℃に保持した。1)の10%と2)
〜5)の混合溶液を115℃に保ちながら5時間かけて
滴下した。滴下終了後、更にその温度で2時間撹拌した
後、固形分41.6%、重量平均分子量5200のアク
リル樹脂(A1)溶液(a1)を得た。
【0032】製造例 2 アクリル樹脂(A2)溶液(a2)の調整 1)n−ブタノール 60部 2)スチレン 8 3)アクリル酸エチル 16 4)メタクリル酸 16 5)過酸化ベンゾイル 0.08 1)の100%と2)〜5)の25%からなる混合溶液
を窒素ガス置換した4ッ口フラスコに仕込み、加熱して
90℃に保持した。ついで2)〜5)の残部75%から
なる混合溶液を90℃に保ちながら2時間かけて滴下し
た。滴下終了後、更にその温度で5時間撹拌した後、固
形分40%、重量平均分子量104000のアクリル樹
脂(A2)溶液(a2)を得た。
【0033】製造例 3 アクリル樹脂(A1)溶液(a3)の調整 製造例2と同じ方法で5)の過酸化ベンゾイルの量を
0.08部から1.6部に変更してアクリル樹脂(A
1)溶液(a3)を得た。固形分40%、重量平均分子
量9800であった。
【0034】製造例 4 エポキシ樹脂溶液(B1)の調整 1)エピコート1009 60部 2)酢酸ブチル 40 1)、2)を窒素ガス置換した4ッ口フラスコに仕込
み、徐々に加熱して内温を120℃まで上げ、1時間か
けて溶解した後80℃まで冷却し、固形分60.0%の
エポキシ樹脂溶液(B−1)を得た。
【0035】製造例 5 硬化剤樹脂溶液(フェノール樹脂溶液(D1))の調整 1)イオン交換水 80部 2)21.5%水酸化ナトリウム水溶液 72 3)ビスフェノールA 140 4)37%ホルマリン 400 5)20%塩酸 70 6)n−ブタノール 180 1)〜4)を窒素ガス置換した4ッ口フラスコに仕込
み、50℃で2時間と70℃で1時間反応させて、赤褐
色透明な溶液を得た。40℃まで冷却して、5)を仕込
んだところ、数分間で上層が無色透明の水層、下層が褐
色の有機層に分離した。上層をデカンテーションにより
分離した後6)を仕込み、固形分54%、重量平均分子
量680の硬化剤樹脂溶液(D1)を得た。
【0036】実施例 1 水性樹脂分散体及び水性塗料(実施例 1)の調整 1)アクリル樹脂(A1)溶液(a1) 167部 2)アクリル樹脂(A2)溶液(a2) 60 3)エポキシ樹脂溶液(B1) 300 4)硬化性樹脂溶液(D1) 49 5)ブチルカルビトール 20 6)2−ジメチルアミノエタノール 0.15 7)10%アンモニア水 90 8)イオン交換水 666 1)〜5)を窒素ガス置換した4ッ口フラスコに仕込
み、加熱して115℃に保持した。さらに反応触媒であ
る6)を添加して3時間反応した。反応後、冷却し50
〜55℃に達したら7)を20〜30分間かけて滴下し
中和を行った。滴下終了後、更に8)を45〜60分間
かけて滴下し、固形分22.2%の水性樹脂分散体を得
た。その後、固形分42%まで溶剤の一部を減圧除去
し、これにn−ブタノール、ブチルカルビトールを最終
的に塗料中にそれぞれ5%になるように添加し、イオン
交換水で希釈して固形分37.3%、粘度45秒(フォ
ードカップNo.4を用いて25℃の時測定、以下の例
についても同じ)の水性塗料(実施例 1)を得た。
【0037】実施例 2 実施例 1の組成の内、1)のアクリル樹脂(A1)溶
液(a1)に替えてアクリル樹脂(A1)溶液(a3)
を使用した。6)を添加後、115℃2時間反応した。
その他の条件は実施例 1と同様にして調整し、水性塗
料(実施例 2)を得た。固形分30.3%、粘度85
秒であった。
【0038】実施例 3 実施例 2と同一組成で115℃1時間反応した。その
他の組成・条件は実施例 2と同様にして調整し、水性
塗料(実施例 3)を得た。固形分35.0%、粘度8
5秒であった。
【0039】比較例 1 水性樹脂分散体及び水性塗料(比較例 1)の調整 1)アクリル樹脂(A1)溶液(a1) 225部 2)エポキシ樹脂溶液(B1) 300 3)硬化剤樹脂溶液(D1) 49 4)ブチルカルビトール 20 5)2−ジメチルアミノエタノール 0.15 6)10%アンモニア水 90 7)イオン交換水 666 1)〜4)を窒素ガス置換した4ッ口フラスコに仕込
み、加熱して115℃に保持した。さらに反応触媒であ
る5)を添加して3時間反応した。反応後、冷却し50
〜55℃に達したら6)を20〜30分間かけて滴下し
中和を行った。滴下終了後、更に7)を45〜60分間
かけて滴下し、固形分22.3%の水性樹脂分散体を得
た。その後、固形分42%まで溶剤の一部を減圧除去
し、これにn−ブタノール、ブチルカルビトールを最終
的に塗料中にそれぞれ5%になるように添加し、イオン
交換水で希釈して固形分35.6%、粘度43秒の水性
塗料(比較例 1)を得た。
【0040】比較例 2 水性樹脂分散体及び水性塗料(比較例 2)の調整比較
例 1の組成の内、1)のアクリル樹脂(A1)溶液
(a1)に替えてアクリル樹脂(A1)溶液(a3)を
使用した。6)を添加後115℃2時間反応した。その
他の組成・条件は比較例 1と同様にして調整し、水性
塗料(比較例2)を得た。固形分27.0%、粘度85
秒であった。
【0041】比較例 3 水性樹脂分散体及び水性塗料(比較例 3)の調整 1)アクリル樹脂(A1)溶液(a1) 225部 2)エポキシ樹脂溶液(B1) 300 3)ブチルカルビトール 20 4)2−ジメチルアミノエタノール 42.8 5)イオン交換水 720 1)〜3)を窒素ガス置換した4ッ口フラスコに仕込
み、攪拌しながら4)を添加して中和を行った後、80
℃まで昇温させ、30分間反応した後急冷した。冷却後
5)を攪拌しながら徐々に添加したところ固形分21.
0%の水性樹脂分散体を得た。その後、固形分37%ま
で溶剤の一部を減圧除去し、これにn−ブタノール、ブ
チルカルビトールを最終的に塗料中にそれぞれ5%にな
るように添加し、イオン交換水で稀釈して固形分30.
8%、粘度46秒の水性塗料(比較例 3)を得た。
【0042】実施例 1〜3、比較例 1〜3で得られ
た水性塗料をブリキ板上に5〜6μmになるようにナチ
ュラルロールコーターを用いて塗装した。200℃で1
0分間焼き付け乾燥して塗装試験パネルを作成し、塗装
時に発生するフローの高さを表面粗さ計で測定した。な
お、評価基準は次のとおりである。 0〜0.3μm・・・○印 0.3〜0.7μm・・・△印 0.7μm以上・・・・・×印で示した。
【0043】塗装後の板を焼き付けしないで垂直に立
て、塗装された塗料のタレを目視で評価した。なお、評
価基準は次のとおりである。 ほとんど認められない・・○印 少し認められる・・・・・△印 不良・・・・・・・・・・×印で示した。
【0044】焼き付け後の塗装板のグロスを目視で評価
した。なお、評価基準は次のとおりである。 良好・・・・・・・○印 不良・・・・・・・△印 中間・・・・・・・×印で示した。
【0045】
【表1】
【発明の効果】本発明によれば、焼き付け型の被覆用塗
料として優れたロールコート塗装性と優れた塗膜が得ら
れる水性樹脂分散体およびその製造方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−135260(JP,A) 特開 昭59−213718(JP,A) 特開 平4−114070(JP,A) 特開 昭62−25181(JP,A) 特開 平3−128982(JP,A) 特許2848088(JP,B2) 特公 昭62−44578(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 163/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 30〜70重量%の一塩基性カルボン酸
    モノマーを必須成分とする重量平均分子量3000〜3
    0000のアクリル系樹脂(A1)40〜92重量%
    と、30〜70重量%の一塩基性カルボン酸モノマーを
    必須成分とする重量平均分子量104000〜3000
    00のアクリル系樹脂(A2)8〜60重量%とからな
    るアクリル系樹脂(A)100重量部と、数平均分子量
    1400以上の芳香族系エポキシ樹脂(B)100〜4
    00重量部とを、上記樹脂(A)と樹脂(B)との合計
    に対して0.01〜0.50重量%のアミン系触媒の存
    在下反応せしめた遊離のカルボキシル基を含有する部分
    反応物(C)を塩基の存在下に水性媒体中に分散させて
    なる水性樹脂分散体。
  2. 【請求項2】 30〜70重量%の一塩基性カルボン酸
    モノマーを必須成分とする重量平均分子量3000〜3
    0000のアクリル系樹脂(A1)40〜92重量%
    と、30〜70重量%の一塩基性カルボン酸モノマーを
    必須成分とする重量平均分子量104000〜3000
    00アクリル系樹脂(A2)8〜60重量%とからな
    るアクリル系樹脂(A)100重量部と、数平均分子量
    1400以上の芳香族系エポキシ樹脂(B)100〜4
    00重量部とを、有機溶剤中で、上記樹脂(A)と樹脂
    (B)との合計に対して0.01〜0.50重量%のア
    ミン系触媒の存在下、70〜120℃で反応せしめた遊
    離のカルボキシル基を含有する部分反応物(C)をpH
    5〜11となる量の塩基の存在下、水性媒体中に分散さ
    せることからなる水性樹脂分散体の製造方法。
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