JP3093935B2 - バイト工具による主軸回転角制御式切削加工方法 - Google Patents

バイト工具による主軸回転角制御式切削加工方法

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JP3093935B2
JP3093935B2 JP06258296A JP25829694A JP3093935B2 JP 3093935 B2 JP3093935 B2 JP 3093935B2 JP 06258296 A JP06258296 A JP 06258296A JP 25829694 A JP25829694 A JP 25829694A JP 3093935 B2 JP3093935 B2 JP 3093935B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バイト工具による切削
加工方法に関し、特に同時多軸制御機能を有するNC工
作機械などによる切削加工に使用するバイト工具による
主軸回転角制御式の切削加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ボーリング工具などのバイト工具
による切削加工は、バイト工具を主軸に装着し、主軸の
回転数を制御して主軸を軸線方向、即ちZ軸方向へ移動
させることによりワークテーブル上の被加工物に対して
バイト半径の穴加工を行う。
【0003】この切削加工は、ボーリング加工と云わ
れ、このボーリング加工においては、ワークテーブル上
の被加工物は、穴加工位置の位置決めのために主軸の回
転軸線に直交する平面に沿って、即ちX軸方向とY軸方
向とに主軸に対して相対変位するが、バイト工具による
穴加工時には位置決めされた位置にて静止している。従
ってボーリング加工はバイト工具のバイト半径により決
まる内径のストレート穴の加工に限定される。
【0004】ヘール加工に属する切削加工方法として、
加工すべき横断面形状と同一形状をした総形ヘールバイ
トを使用し、X軸とY軸とZ軸の3軸の3次元方向の送
り制御を行い、総形ヘールバイトが工具移動軌跡に於け
る前進方向に対して常に正面を向くように、総形ヘール
バイトのZ軸周りの回転角、即ちC軸の回転角を制御す
る切削加工方法が特公昭63−54485号公報に示さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のバイト工具によ
る切削加工は、バイト工具を単に回転させるだけの単純
な主軸回転式切削加工であり、この切削加工において
は、ストレート穴の加工に限定され、しかもバイト工具
のバイト半径により加工穴径が一義的に決まるため、加
工穴径毎に所要のバイト半径を有するバイト工具を準備
し、また加工穴径の変更の度に主軸に装着するバイト工
具を加工穴径に適合するバイト工具に交換する必要があ
る。この場合、バイト工具のバイト半径の寸法精度が加
工精度に直接に影響し、所要の加工精度を得るために
は、バイト工具のバイト刃先位置を高精度に設定するな
ど、工具プリセットを正確を行う必要がある。
【0006】またバイト工具を単に回転させるだけの単
純な主軸回転式切削加工では、加工方向は主軸の軸線方
向と一致した方向だけであり、主軸の中心軸線に対して
傾斜した穴加工などは行うことができず、またこのこと
により被加工物のワークテーブル上における主軸中心軸
線に対する位置決めなども正確に行う必要がある。
【0007】また被加工物の加工前や加工途中の加工部
形状、例えば穴径を自動計測して切り込み量が設定され
ても、加工穴径がバイト工具のバイト半径により機械的
に決まるから、切り込み量に応じて加工穴径が変わる度
に、工具交換を行うか、あるいは手作業によってバイト
刃先の突き出し量を変更する必要がある。
【0008】特公昭63−54485号公報に示されて
いる切削加工方法は、プレーナ削りの変形であり、切削
運動はX軸、Y軸、Z軸の3軸の動きにより生み出さ
れ、C軸はこれに追従して位相を変えるだけであり、切
削速度は、X軸、Y軸、Z軸の3軸の送り速度により決
まり、その切削速度は、5〜40m/min程度で、バ
イト工具を使用した回転切削における切削速度には達せ
ず、いわゆるプレーナ切削どまりであり、加工対象はX
軸、Y軸、Z軸の3次元方向に任意に変化する形状の溝
堀加工のような総形ヘールバイト加工に限定される。
【0009】本発明は、上述の如き問題点に着目してな
されたものであり、バイト半径に関係なく一本のバイト
工具により任意の内径の穴加工、任意の外径の外周面加
工、その他、テーパ加工、球面加工、多角形加工、ねじ
切り加工、フランジ面加工、自由形状加工を効率よく、
しかもバイト半径に関係なく高精度な切削加工を行える
新規な切削加工方法を提供することを目的としている。
【0010】更に本発明は、主軸の中心軸線に対して傾
斜した穴やフランジ面などの加工も行うことができ、こ
の傾斜加工の応用として被加工物の主軸中心軸線に対す
る位置決め誤差を補償でき、また加工部形状の自動計測
のもとに、工具交換などを要することなく所要の切り込
み量をもって一連の切削加工を行うことができる切削加
工方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の如き目的を達成す
るために、請求項1の主軸回転角制御式切削加工方法で
は、自身の中心軸線周りの回転角を定量的に制御可能な
主軸にバイト工具を取り付け、前記主軸の主軸中心の被
加工物に対する相対的な移動軌跡を、主軸と被加工物と
XY軸の軸制御により少なくとも前記主軸の回転軸線
に直交するXY平面で前記被加工物の加工面に沿って相
対変位させ、主軸の主軸中心から前記被加工物の加工す
べき加工面までの直線距離を常に一定に保つよう相互補
間運動を行わせ、前記主軸の回転角を前記軸制御に対し
て所定の相関関係をもって同期制御することにより主軸
の回転角の全回転角位置にてバイト工具の刃先における
前面と前記被加工物の加工面との角度を常に一定の角度
となるように保ちながら、前記相互補間運動による補間
軌跡により決まる曲面形状に切削加工することを特徴と
している。
【0012】請求項2の主軸回転角制御式切削加工方法
では、請求項1に記載の主軸回転角制御式切削加工方法
において、被加工物の加工軸線あるいは加工面の前記主
軸の中心軸線に対する傾斜度に応じて前記主軸と前記被
加工物との相対変位の軸制御量を修正することにより、
前記主軸と前記被加工物との間の前記相互補間運動に被
加工物の加工軸線あるいは加工面の前記主軸の中心軸線
に対する傾斜成分を与え、主軸中心軸線に対して加工軸
線が傾斜している内外周面あるいは傾斜フランジ面を切
削することを詳細な特徴としている。
【0013】請求項3の主軸回転角制御式切削加工方法
では、請求項1に記載の主軸回転角制御式切削加工方法
において、被加工物の位置決め誤差による被加工物の加
工軸線あるいは加工面の正規状態よりの傾斜度を自動計
測し、この傾斜度に応じて前記主軸と前記被加工物との
相対変位の軸制御量を修正することにより、前記主軸と
前記被加工物との間の前記相互補間運動に被加工物の加
工軸線あるいは加工面の傾斜補償成分を与え、正規状態
の加工軸線による内外周面あるいはフランジ面を切削す
ることを詳細な特徴としている。
【0014】請求項4の主軸回転角制御式切削加工方法
では、請求項1〜3の何れかに記載の主軸回転角制御式
切削加工方法において、被加工物の加工部形状の自動計
測によって加工開始寸法を決定し、この加工開始寸法に
よって前記主軸と前記被加工物との相対変位量より前記
バイト工具による切削加工量を決定することを詳細な特
徴としている。
【0015】請求項5の主軸回転角制御式切削加工方法
では、請求項1〜4の何れかに記載の主軸回転角制御式
切削加工方法において、加工途中で被加工物の加工部形
状を自動計測し、仕上げ加工に必要な加工寸法を自動決
定し、この加工寸法によって前記主軸と前記被加工物と
の相対変位量より前記バイト工具による切削加工量を決
定することを詳細な特徴としている。
【0016】また本発明による主軸回転角制御式切削加
工方法は、前記バイト工具として被加工物に実質的に点
接触するシングルポイントバイト工具を使用することを
詳細な特徴としている。
【0017】また本発明による主軸回転角制御式切削加
工方法においては、前記軸制御は少なくとも同一平面に
て互いに直交する2軸の同時制御により行われ、当該2
軸の各軸制御は相互に90度の位相差を有する三角関数
を含む関数式により定義される軌跡を描くよう行うこと
を詳細な特徴としている。
【0018】
【作用】請求項1の主軸回転角制御式切削加工方法で
は、主軸と被加工物との相対的な軸制御により主軸と被
加工物との間に相互補間運動が行われつつ軸制御に対す
る主軸の回転角の同期制御によって主軸の全回転角位置
にて被加工物の加工面に対するバイト工具の刃先方向が
所定値に保たれ、相互補間運動による補間軌跡により決
まる形状に切削が行われる。
【0019】請求項2の主軸回転角制御式切削加工方法
では、被加工物の加工軸線あるいは加工面の前記主軸の
中心軸線に対する傾斜度に応じて前記主軸と前記被加工
物との相対変位の軸制御量が修正され、前記主軸と前記
被加工物との間の前記相互補間運動に被加工物の加工軸
線あるいは加工面の前記主軸の中心軸線に対する傾斜成
分が与えられることにより、主軸中心軸線に対して加工
軸線が傾斜している内外周面あるいは傾斜フランジ面の
切削が行われる。
【0020】請求項3の主軸回転角制御式切削加工方法
では、被加工物の位置決め誤差による被加工物の加工軸
線あるいは加工面の正規状態よりの傾斜度が自動計測さ
れ、この傾斜度に応じて前記主軸と前記被加工物との相
対変位の軸制御量がを修正され、前記主軸と前記被加工
物との間の前記相互補間運動に被加工物の加工軸線ある
いは加工面の傾斜補償成分が与えられることにより、正
規状態の加工軸線による内外周面あるいはフランジ面の
切削が行われる。
【0021】請求項4の主軸回転角制御式切削加工方法
では、被加工物の加工部形状の自動計測によって加工開
始寸法が決定され、この加工開始寸法によって前記主軸
と前記被加工物との相対変位量より前記バイト工具によ
る切削加工量が決定される。
【0022】請求項5の主軸回転角制御式切削加工方法
では、加工途中で被加工物の加工部形状が自動計測さ
れ、この自動計測に基づいて仕上げ加工に必要な加工寸
法が自動決定され、この加工寸法によって前記主軸と前
記被加工物との相対変位量より前記バイト工具による切
削加工量が決定される。
【0023】バイト工具としてシングルポイントバイト
工具を使用することにより、総形バイト工具による場合
に比して切削抵抗が小さく、このことにより軸制御によ
る相互補間運動の速度を速めることが可能になる。
【0024】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。
【0025】図1(a)、(b)は本発明による主軸回
転角制御式切削加工方法による切削加工の原理を示して
いる。図1(a)は内周面加工の例を示しており、その
図示より明らかなように、バイト工具50は自身の中心
軸線周りの回転角を定量的に制御可能な主軸51に取り
付けられ、主軸中心Csの被加工物Wに対する相対的な
移動軌跡が切削すべき形状に適合したものとなるよう
に、すなわち、主軸51の主軸中心(Cs)から前記被
加工物Wの加工すべき加工面までの直線距離を常に一定
に保つように、換言すればバイト工具50のバイト半径
Trの距離に保つように主軸51と被加工物Wとを軸制
御、この場合、X軸制御とY軸制御とにより主軸51の
回転軸線に直交するXY平面に沿って相対変位させて主
軸51と被加工物Wとの間に真円の相互補間運動を行わ
せ、主軸51の回転角をX軸制御とY軸制御とに対して
所定の相関関係をもって同期制御することにより主軸5
1の全回転角位置にて被加工物Wの加工面である内周面
に対するバイト工具50の刃先方向を所定の方向に保
ち、換言すれば図1(a)に示されているように、バイ
ト工具50の刃先における前面と被加工物Wの加工面で
ある内周面との角度を一定の角度βとなるように保ち、
前記相互補間運動による補間軌跡(主軸中心軌跡)Lに
よる決まる形状、即ち真円の断面形状に切削する。
【0026】なお、図1(a)において、符号a、b、
cは各々主軸51が符号A、B、Cにより示されて各回
転角位置に位置している時の主軸中心Csの位置を示し
ており、これらは補間軌跡L上にある。
【0027】バイト工具50のバイト半径をTr、被加
工物Wの加工半径Rとすると、R>Trの前提条件の下
に、主軸中心Csと被加工物Wの中心CwとはR−Tr
だけ偏心しており、補間軌跡LはR−Trを半径とし、
被加工物Wの中心Cwと同心の真円となる。
【0028】この場合、補間軌跡Lが真円を描くべく、
X軸制御とY軸制御の座標値は、被加工物中心Cw周り
の角度を媒体変数として、相互に90度の位相差を有す
る三角関数式により与えられる。
【0029】ここで使用されるバイト工具50はシング
ルポイントバイト工具であってよい。ここで云うシング
ルポイントバイト工具は、被加工物に実質的に点接触す
る形式のバイト工具、換言すれば非総形のバイト工具の
総称であり、これには、穴ぐりバイト、中ぐりバイト、
突切りバイト、ねじ切りバイト、丸こまバイト、旋削バ
イトなどがある。
【0030】一例として、加工半径Rが60mmの内径
加工を、バイト半径Trが50mmの通常の中ぐりバイ
トを使用して行う場合、主軸51の回転数は292RP
M、切削速度は110m/min、補間軌跡Lを描く主
軸51の中心移動速度は18m/minとすることがで
きる。
【0031】図1(b)は外周面加工の例を示してい
る。なお、図1(b)において図1(a)に対応する部
分は図1(a)に付した符号と同一の符号を付けてその
説明を省略する。
【0032】この場合も、X軸制御とY軸制御とにより
主軸51の回転軸線に直交する平面に沿って相対変位さ
せて主軸51と被加工物Wとの間に真円の相互補間運動
を行わせ、主軸51の回転角をX軸制御とY軸制御とに
対して所定の相関関係をもって同期制御することにより
主軸51の全回転角位置にて被加工物Wの加工面である
外周面に対するバイト工具50の刃先方向を所定の方向
に保ち、換言すれば図1(b)に示されているように、
バイト工具50の刃先における前面と被加工物Wの加工
面である外周面との角度を一定の角度βとなるように
ち、前記相互補間運動による補間軌跡(主軸中心軌跡)
Lによる決まる形状、即ち真円の断面形状に切削する。
【0033】なお、外周面加工の場合、補間軌跡Lの半
径は被加工物Wの半径より大きくても、小さくてもよ
く、この両者に拘束関係はない。
【0034】図2は本発明による主軸回転角制御式切削
加工方法の実施に使用するNC工作機械の一例を示して
いる。NC工作機械は、ベッド1と、ベッド1上にY軸
方向に移動可能に設けられてY軸テーブル3と、Y軸テ
ーブル3上にX軸方向に移動可能に設けられてX軸テー
ブル5とを有し、X軸テーブル5上に被加工物Wを固定
載置される。Y軸テーブル3はY軸サーボモータ7によ
ってY軸方向に駆動され、X軸テーブル5はX軸サーボ
モータ9によってX軸方向に駆動され、X軸テーブル5
上の被加工物Wは、Y軸サーボモータ7によるY軸テー
ブル3のY軸方向の移動とX軸サーボモータ9によるX
軸テーブル5のX軸方向の移動により、X軸とY軸によ
る水平面に沿ってX座標とY座標による任意に座標位置
に軸制御する。
【0035】NC工作機械のコラム11にはZ軸スライ
ダ13が上下方向、即ちZ軸方向に移動可能に装着され
ており、Z軸スライダ13はZ軸サーボモータ15によ
ってZ軸方向に駆動される。
【0036】Z軸スライダ13には主軸頭17が取り付
けられており、主軸頭17には主軸19がZ軸と同一方
向の軸線周り、即ちC軸周りの回転可能に装着されてい
る。主軸19は主軸モータであるC軸サーボモータ21
により回転駆動されると共にC軸回転角を定量的に制御
され、主軸19にはバイト工具23が装着される。ここ
で、X軸とY軸による被加工物Wの移動平面は主軸19
の回転軸線、即ちC軸(Z軸)に直交する平面である。
【0037】X軸サーボモータ9、Y軸サーボモータ
7、Z軸サーボモータ15、C軸サーボモータ21の各
々にはロータリエンコーダ25、27、29、31が装
着されており、このロータリエンコーダ25、27、2
9、31は各軸のサーボモータ9、7、15、21の回
転角を検出し、回転角情報をNC装置33へ出力する。
このうちC軸サーボモータ21のロータリエンコーダ3
1は、アブソリュート型のロータリエンコーダにより構
成され、主軸19の回転角をX軸方向あるいはY軸方向
を絶対基準位置として計測する。
【0038】NC装置33は、図3に示されているよう
に、NC加工プログラムを実行して各軸指令を出力する
プログラム実行部35、プログラム実行部35より軸指
令を入力して補間演算を行う補間演算部37とを有し、
補間演算部37は、X、Y、Z、Cの各軸の移動量を指
令値として各軸の位置制御・駆動部39、41、43、
45へ出力する。
【0039】位置制御・駆動部39、41、43、45
は、各々同軸のロータリエンコーダ25、27、29、
31より回転角情報を入力し、位置フィードバック補償
制御により演算される各軸の操作量をもって各軸のサー
ボモータ9、7、15、21の駆動を制御する。
【0040】本発明による主軸回転角制御式切削加工方
法においては、主軸中心の被加工物Wに対する相対的な
移動軌跡が切削すべき形状に適合したものになるように
X、Y、Zの各軸の指令量をNC加工プログラムで設定
しておき、このNC加工プログラムの実行によってバイ
ト工具23と被加工物WとをX、Y、Zの軸制御、少な
くともX、Yの軸制御によって主軸19の回転軸線に直
交する平面に沿って相対変位させてバイト工具23と被
加工物Wとの間に相対補間運動を行わせ、主軸19の回
転角をX、Y、Zの各軸の軸制御に対して所定の相関関
係をもって同期制御し、主軸19の全回転角位置にて被
加工物Wの加工面に対するバイト工具23の刃先方向を
所定の方向、例えば法線方向に保って被加工物Wを相対
補間運動による補間軌跡により決まる形状に切削する。
【0041】この場合、X、Yの2軸の各軸制御は相互
に90度の位相差を有する三角関数を含む方程式により
定義される軌跡を描くよう行われる。
【0042】この主軸回転角制御式切削加工方法におい
ては、主軸19の回転角制御と、X、Yの同時2軸制
御、あるいはX、Y、Zの同時3軸制御との組み合わせ
により、バイト工具23のバイト半径に関係なく一本の
バイト工具によって任意の内径の穴加工、任意の外径の
外周面加工、テーパ加工、球面加工、多角形加工、ねじ
切り加工、フランジ面加工、自由形状加工を行うことが
でき、またシングルポイントバイト工具の使用のもと
に、切削加工速度が総形バイト工具を使用したヘール加
工に属する切削加工法による場合に比して3〜20倍に
向上する。
【0043】図4は、円筒内面加工(穴加工)を、図5
は円筒外周面加工を、図6はテーパ孔加工(円錐内面加
工)を、図7はテーパ軸加工(円錐外面加工)を、図8
は球状内面加工を、図9は球状外面加工を、図10は多
角形内面加工を、図11は多角形外面加工を、図12は
めねじ切り加工を、図13はおねじ切り加工を、図14
はフランジ面加工の加工例を各々示している。
【0044】なお、これらの図において、符号24はバ
イト工具23のバイト部を示しており、各バイト工具2
3のバイト半径(主軸中心からバイト部24の刃先まで
の半径)は符号Trにより示されている。
【0045】次に本発明により主軸回転角制御式切削加
工方法における移動制御と同期制御との詳細を各切削加
工について個別に説明する。
【0046】(1)円筒内外面加工 図15に示されているように、円筒面の半径をR、1回
転当たりのZ軸方向送り量をp、Z軸方向送り開始位置
のZ軸座標をZoとすると、各回転角位置における刃先
の座標位置(Xt,Yt,Zt)はX軸方向を原線とす
る角度θを媒体変数として下式の関数式により与えられ
る。 Xt=Rcosθ Yt=Rsinθ Zt=Zo−(p/2π)θ 円筒内面加工では刃先軌跡のXY平面における加工面外
向き法線ベクトル→n=(nx,ny)は下式により示
される。 nx=−cosθ ny=−sinθ
【0047】従って、主軸中心軌跡、即ち主軸中心座標
位置(Xs,Ys,Zs)は下式により示される。
【数1】 Xs=Xt+nx・Tr=Rcosθ−Trcosθ=(R−Tr)cosθ Ys=Yt+ny・Tr=Rsinθ−Trsinθ=(R−Tr)sinθ Zs=Zt−Tz
【0048】この場合、主軸中心座標位置(Xs,Y
s)によるX軸とY軸との同時2軸制御により、バイト
工具23と被加工物Wとの間に相互円弧補間運動が行わ
れ、その円弧補間軌跡として、主軸中心軌跡は真円をな
す。
【0049】ただし、Trはバイト工具23のバイト半
径、Tzは工具長さ(主軸19のZ軸原点からバイト部
24の刃先までのZ軸方向の軸長)である。
【0050】円筒内面加工ではX軸方向を原線とする主
軸回転角度αは下式により示される。
【数2】 α=tan-1(ny/nx)=tan-1(−sinθ/−cosθ)=θ+π
【0051】上述の条件を満たしてX、Y、Zの各軸の
軸制御が行われ、この軸制御に対して主軸回転角度αが
同期制御されることにより、バイト工具23は主軸19
の全回転角位置にて被加工面に対して常に法線を向くよ
うになり、バイト半径Trを最小半径とする任意の半径
Rの円筒内面加工が行われる。
【0052】円筒外面加工では刃先軌跡のXY平面にお
ける加工面外向き法線ベクトル→n=(nx,ny)は
円筒内面加工とは逆方向となり、下式により示される。 nx=cosθ ny=sinθ
【0053】従って、主軸中心軌跡、即ち主軸中心座標
位置(Xs,Ys,Zs)は下式により示される。
【数3】 Xs=Xt+nx・Tr=Rcosθ+Trcosθ=(R+Tr)cosθ Ys=Yt+ny・Tr=Rsinθ+Trsinθ=(R+Tr)sinθ Zs=Zt−Tz
【0054】また円筒外面加工ではX軸方向を原線とす
る主軸回転角度αは下式により示される。
【数4】 α=tan-1(ny/nx)=tan-1(sinθ/cosθ)=θ 従って、円筒内面加工時と同様に、X、Y、Zの各軸の
軸制御が行われ、この軸制御に対して軸回転角度αが同
期制御されることにより、この場合もバイト工具23は
主軸19の全回転角位置にて加工面に対して常に法線を
向くようになり、任意の半径Rの円筒外面加工が行われ
る。
【0055】なお、Xs=(R+Tr)cosθ、Ys
=(R+Tr)sinθは、主軸中心Csが、図4に示
されているように、Z軸方向で見て被加工物Wの外側に
ある場合に成立し、主軸中心CsがZ軸方向で見て被加
工物Wの内側にある場合には、Xs=(R−Tr)co
sθ、Ys=(R−Tr)sinθとなる。
【0056】めねじ切り加工は円筒内面加工と同様の同
期制御で、Zs=Zt−Tzがねじピッチに応じて適正
値に設定されればよく、またおねじ切り加工は円筒外面
加工と同様の同期制御で、Zs=Zt−Tzがねじピッ
チに応じて適正値に設定されればよく、何れの場合もR
値の設定により任意のねじ径のめねじ或いはおねじのね
じ切り加工が行われる。
【0057】(2)テーパ加工等、Z軸方向において径
変化があるZ軸回転体の切削加工 図16に示されているように、この切削加工では、刃先
がアール形状したバイト工具23を使用するとし、その
刃先アール半径Cr、その刃先アール中心から主軸中心
までの距離をTr、主軸19のZ軸原点からバイト24
の刃先までのZ軸方向の軸長をTz、加工面の切削半径
をZの関数fr(z)、1回転当たりのZ軸方向送り量
をp、Z軸方向送り開始位置のZ軸座標をZoとする。
【0058】刃先の軌跡、即ち各回転角位置における刃
先の座標位置(Xt,Yt,Zt)はX軸方向を原線と
する角度θを媒体変数として下式の関数式により与えら
れる。 Xt=fr(z)cosθ Yt=fr(z)sinθ Zt=Zo−(p/2π)θ ここで、fr(z)をfr(Zt)に置き換えると、
【数5】 Xt=fr(Zt)cosθ=fr{Zo−(p/2π)θ}cosθ Yt=fr(Zt)sinθ=fr{Zo−(p/2π)θ}sinθ
【0059】加工点とZ軸を含む仮想の平面をZ−r平
面とし、Z−r平面にてZ軸と直交するr軸を取ると、
加工点におけるfr(z)の接線ベクトル→t=(t
r,tz)は下式により示される。 tr=dfr(z)/dZ tz=1この接線ベクトル→tの大きさが1になるよう
に正規化すると、
【数6】 tr={dfr(z)/dZ}/{{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 tz=1/{{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 となる。
【0060】従って外周面加工の場合には、加工面外向
き法線ベクトル→n=(nr,nz)は下式により示さ
れる。
【数7】 nr=tz=1/{{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 nz=−tr =−{dfr(z)/dZ}/{{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 これをX、Y、Zの座標軸で表すと次のようになる。
【数8】 nx=nrcosθ=1/{{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 ・cosθ ny=nrsinθ=1/{{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 ・sinθ nz=−{dfr(z)/dZ}/{{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 刃先アール中心の軌跡(Xr,Yr,Zr)は下式によ
り与えられる。 Xr=Xt+nx・Cc Yr=Yt+ny・Cc Zr=Zt+nz・Cc
【0061】従って主軸中心軌跡(Xs,Ys,Zs)
は下式により示される。
【数9】 Xs=Xr−Trcosθ=fr{Zo−(p/2π)θ}cosθ+{1/ {{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 ・cosθ } −Trcosθ Ys=Yr−Trsinθ=fr{Zo−(p/2π)θ}sinθ+{1/ {{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 ・sinθ } −Trsinθ Zs=Zr−Tz=Zo−(p/2π)θ−{dfr(z)/dZ}/ {{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 ・Cc−Tz
【0062】なお、この場合も主軸中心CsがZ軸方向
で見て被加工物Wの内側とある場合は、Xs=Xr−T
rcosθ、Ys=Yr−Trsinθであるが、主軸
中心CsがZ軸方向で見て被加工物Wの外側にある場合
には、Xs=Xr+Trcosθ、Ys=Yr+Trs
inθとなる。
【0063】主軸回転角度αは下式により示される。
【数10】 α=tan-1(ny/nx) =tan-1[{1/{{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 ・sinθ/ (1/{{dfr(z)/dZ}2 +1}1/2 ・cosθ]=θ
【0064】主軸回転角度αの制御によりバイト工具2
3は加工面に対して法線を向くようになり、主軸19の
全回転角位置にて被加工物Wに対するバイト工具23の
刃先角度が所定値に保たれる。
【0065】内周面加工の場合には、上述の外周面加工
における外向き法線ベクトル→nの向きが反対になり、
主軸回転角度α=θ+πとすることによってバイト工具
23は加工面に対して法線を向くようになる。
【0066】このこと以外は、内周面加工と外周面加工
とは同様の要領で行われればよい。
【0067】上述の切削加工が円錐面である場合には、
fr(z)は下式により定義される。 fr(z)=Ro+a・Z ただし、Roは加工開始位置の半径、aはZ軸方向の半
径増加率である。
【0068】また球面である場合にはfr(z)は下式
により定義される。 fr(z)=(R2 +Z2 1/2
【0069】以上の説明より刃先がアール形状したバイ
ト工具23を使用しての任意形状の切削加工を含む全て
の切削加工における要件は以下にのように要約すること
ができる。
【0070】即ち、θを一つのパラメータとすると、加
工点軌跡(Xt,Yt,Zt)、加工面外向き法線ベク
トル(nx,ny,nz)はθの関数として表される。
【0071】(a)刃先アール中心の軌跡(Xr,Y
r,Zr) Xr=Xt+nx・Cc Yr=Yt+ny・Cc Zr=Zt+nz・Cc (b)バイト工具23が加工面に対して法線を向くよう
するための主軸回 転角度α α=tan-1(ny/nx) (c)主軸中心の座標(Xs,Ys,Zs) Xs=Xr−Trcosθ Ys=Yr−Trsinθ Zs=Zr−Tz
【0072】この場合も主軸中心CsがZ軸方向で見て
被加工物Wの内側とある場合は、Xs=Xr−Trco
sθ、Ys=Yr−Trsinθであるが、主軸中心C
sがZ軸方向で見て被加工物Wの外側にある場合には、
Xs=Xr+Trcosθ、Ys=Yr+Trsinθ
となる。
【0073】(3)フランジ面加工 図17に示されているように、加工開始時の加工半径を
Ro、工具1回転での半径増加量をδRとすると、刃先
の各回転角位置における刃先の座標位置(Xt,Yt,
Zt)、即ち軌跡は回転角度θを関数として下式により
与えられる。 Xt={Ro+(δR/2π)}cosθ Yt={Ro+(δR/2π)sinθ なお、これより以降、δR/2πをdRと表す。
【0074】刃先軌跡の接線ベクトルは→t=(tx,
ty)は下式により示される。
【数11】 tx=δXt/δθ=dRcosθ−(Ro+dRθ)sinθ ty=δYt/δθ=dRsinθ−(Ro+dRθ)cosθ
【0075】中心向き法線ベクトル→n=(nx,n
y)は接線ベクトル→tを90度回転させたものである
から、下式により示される。
【数12】 nx=−ty=−{dRsinθ−(Ro+dRθ)cosθ} ny=tx=dRcosθ−(Ro+dRθ)sinθ このベクトルの大きさが1になるように正規化すると、
【数13】 nx´=nx/(nx2 +ny2 1/2 =−{dRsinθ−(Ro+dRθ)cosθ}/(dR2 +Ro2 + 2dR・Ro・θ+dR2 ・θ2 1/2 ny´=ny/(nx2 +ny2 1/2 ={dRcosθ−(Ro+dRθ)sinθ}/(dR2 +Ro2 + 2dR・Ro・θ+dR2 ・θ2 1/2
【0076】主軸中心から刃先までの距離をTrとする
と、主軸中心の軌跡(Xs,Ys)は下式により示され
る。
【数14】 Xs=Xt+nx´・Tr =(Ro+dRθ)cosθ+ [−{dRsinθ−(Ro+dRθ)cosθ}/ (dR2 +Ro2 +2dR・Ro・θ+dR2 ・θ2 1/2 ]Tr Ys=Yt+ny´・Tr =(Ro+dRθ)sinθ+ [{dRcosθ−(Ro+dRθ)sinθ}/ (dR2 +Ro2 +2dR・Ro・θ+dR2 ・θ2 1/2 ]Tr
【0077】主軸回転角度αは下式により示される。 α=tan-1(−ny/−nx) これによりバイト工具23は主軸19の全回転角位置に
て刃先軌跡の法線を向き、バイト目によるフランジ(レ
コード目)加工を行う。
【0078】上述の切削加工において、主軸中心座標位
置(Xs,Ys,Zs)により決まる一連の加工パスデ
ータ、換言すればX、Y、Zの各軸指令データは、素材
穴径寸法、仕上げ径寸法、加工ピッチ、穴深さ、最大取
り代の各データをパラメータとして、NCプログラムの
自動作成装置に与えることにより、NCプログラム自動
作成装置によって自動生成することが可能である。
【0079】この場合、NCプログラム自動作成装置
は、切削加工の種類等に応じて予め定義されている上述
のような演算式に従って主軸中心座標位置(Xs,Y
s,Zs)を算出し、これにより一連の加工パスデー
タ、換言すればX、Y、Zの各軸指令データを生成すれ
ばよい。
【0080】次に図18を参照して、本発明による主軸
回転角制御式切削加工方法によって穴あけ加工、ねじ穴
加工を行う場合の一連の手順を説明する。先ず素材穴径
寸法、仕上げ径寸法、加工ピッチ、穴深さ、最大取り代
の各データをNCプログラムの自動作成装置に入力する
(ステップ10)。
【0081】このデータ入力によりプログラム自動作成
装置は、径方向の加工回数と一回の加工での取り代を算
出する(ステップ20)。
【0082】次に素材穴径と取り代より加工半径Rを決
定し(ステップ30)、加工半径Rに基づいて主軸中心
座標位置(Xs,Ys,Zs)を、各々Xs=(R−T
r)cosθ、Ys=(R−Tr)sinθ、Zs=Z
t−Tzの演算式をもって演算し、一連の加工パスデー
タ、換言すればX、Y、Zの各軸指令データを自動生成
する(ステップ40)。
【0083】X、Y、Zの各軸指令データが生成されれ
れば、その各軸の指令データ加工パスデータに従ってN
C工作機械を運転し、バイト工具23と被加工物Wとを
X、Y、Zの軸制御によって主軸19の回転軸線に直交
する平面に沿って相対変位させてバイト工具23と被加
工物Wとの間に相対な円弧補間運動を行わせると共に、
主軸19の回転角をその軸制御に対して所定の相関関係
をもって同期制御することによって主軸19の全回転角
位置にて被加工物Wの加工面に対するバイト工具23の
刃先方向を所定の方向に保ち、指定された深さの穴あけ
加工、ねじ穴加工を実施する(ステップ50)。
【0084】この一回の穴あけ加工、ねじ穴加工により
加工終了寸法に達する場合には加工を完了するが(ステ
ップ60肯定)、一回の穴あけ加工、ねじ穴加工により
加工終了寸法に達しない場合には(ステップ60否
定)、現加工径と取り代より再度、加工半径Rを決定し
(ステップ70)、ステップ40に戻り、再度、加工半
径Rに基づいて主軸中心座標位置(Xs,Ys,Zs)
を、各々Xs=(R−Tr)cosθ、Ys=(R−T
r)sinθ、Zs=Zt−Tzの演算式をもって演算
し、一連の加工パスデータ、換言すればX、Y、Zの各
軸指令データを自動生成し、またステップ50の穴あけ
加工、ねじ穴加工を再実施する。
【0085】また本発明による主軸回転角制御式切削加
工方法においては、図19に示されているように、主軸
19にバイト工具23に代えてタッチプローブ47によ
る自動計測器49を取り付け、この自動計測器49によ
って被加工物Wの加工部形状、例えば穴径を自動計測
し、この計測値(素材寸法)よって加工開始寸法を決定
し、この加工開始寸法に応じて主軸19と被加工物Wと
の相対変位量、この場合、前述の補間軌跡Lの半径を決
定し、このことによりバイト工具23による切削加工量
を可変設定することができる。
【0086】更に、加工途中で、例えば荒加工完了時点
で、自動計測器49によって被加工物Wの穴径を自動計
測し、この計測値より仕上げ加工に必要な加工寸法を自
動決定し、この加工寸法に応じて主軸19と被加工物W
との相対変位量、即ち前述の補間軌跡Lの半径を決定
し、このことによりバイト工具23による仕上げ加工量
を可変設定することができる。
【0087】次に図20を参照して自動計測によって穴
あけ加工、ねじ穴加工を行う場合の一連の手順を説明す
る。この場合には、仕上げ径寸法、加工ピッチ、穴深
さ、最大取り代の各データをNCプログラムの自動作成
装置に入力する(ステップ10)。
【0088】次に素材穴径寸法を自動計測して計測値を
プログラム自動作成装置に取り込む(ステップ15)。
【0089】これらのデータ入力によりプログラム自動
作成装置は、径方向の加工回数と一回の加工での取り代
を算出する(ステップ20)。
【0090】次に素材穴径と取り代より加工半径Rを決
定し(ステップ30)、加工半径Rに基づいて主軸中心
座標位置(Xs,Ys,Zs)を、各々Xs=(R−T
r)cosθ、Ys=(R−Tr)sinθ、Zs=Z
t−Tzの演算式をもって演算し、一連の加工パスデー
タ、換言すればX、Y、Zの各軸指令データを自動生成
する(ステップ40)。
【0091】X、Y、Zの各軸指令データが生成されれ
ば、その各軸の指令データ加工パスデータに従ってNC
工作機械を運転し、バイト工具23と被加工物Wとを
X、Y、Zの軸制御によって主軸19の回転軸線に直交
する平面に沿って相対変位させてバイト工具23と被加
工物Wとの間に相対な円弧補間運動を行わせると共に、
主軸19の回転角をその軸制御に対して所定の相関関係
をもって同期制御することによって主軸19の全回転角
位置にて被加工物Wの加工面に対するバイト工具23の
刃先方向を所定の方向に保ち、指定された深さの穴あ
け、ねじ穴の荒加工を実施する(ステップ50)。
【0092】この一回の穴あけ加工、ねじ穴加工により
荒加工終了寸法に達しない場合には(ステップ60否
定)、現加工径と取り代より再度、加工半径Rを決定し
(ステップ70)、ステップ40に戻り、再度、加工半
径Rに基づいて主軸中心座標位置(Xs,Ys,Zs)
を、各々Xs=(R−Tr)cosθ、Ys=(R−T
r)sinθ、Zs=Zt−Tzの演算式をもって演算
し、一連の加工パスデータ、換言すればX、Y、Zの各
軸指令データを自動生成し、またステップ50の穴あ
け、ねじ穴の荒加工を再実施する。
【0093】加工径が荒加工終了寸法に達すれば(ステ
ップ60肯定)、次に現加工径を自動計測し(ステップ
80)、この計測値よりバイト工具23のバイト径誤差
を検出し、このバイト径誤差に拘らず仕上げ径寸法が得
られるべく、バイト径誤差を補償する補正値を含んた加
工半径Rを決定し(ステップ90)、この加工半径Rに
基づいて主軸中心座標位置(Xs,Ys,Zs)を、各
々Xs=(R−Tr)cosθ、Ys=(R−Tr)s
inθ、Zs=Zt−Tzの演算式をもって演算し、一
連の加工パスデータ、換言すればX、Y、Zの各軸指令
データを自動生成する(ステップ100)。
【0094】X、Y、Zの各軸指令データが生成されれ
れば、その各軸の指令データ加工パスデータに従ってN
C工作機械を運転し、バイト工具23と被加工物Wとを
X、Y、Zの軸制御によって主軸19の回転軸線に直交
する平面に沿って相対変位させてバイト工具23と被加
工物Wとの間に相対な円弧補間運動を行わせると共に、
主軸19の回転角をその軸制御に対して所定の相関関係
をもって同期制御することによって主軸19の全回転角
位置にて被加工物Wの加工面に対するバイト工具23の
刃先方向を所定の方向に保ち、指定された深さの穴あ
け、ねじ穴の仕上げ加工を実施する(ステップ11
0)。
【0095】また、本発明による主軸回転角制御式切削
加工方法においては、図21、図22に例示されている
ように、被加工物Wの加工軸線Aあるいは加工面fの主
軸19の中心軸線に対する傾斜度に応じて主軸19と被
加工物Wとの相対変位の軸制御量を修正することによ
り、主軸19と被加工物Wとの間の上述の相互補間運動
に被加工物Wの加工軸線あるいは加工面の主軸19の中
心軸線に対する傾斜成分を与え、主軸中心軸線に対して
加工軸線が傾斜している内外周面あるいは傾斜フランジ
面を切削することもできる。
【0096】この傾斜切削加工を真円の穴あけ加工に適
用する場合について詳細に説明する。傾斜切削加工は、
図23に示されているように、加工穴の軸線に垂直な面
で刃先を回転させる場合と、図24に示されているよう
に、主軸19の中心軸線(Z軸)に垂直な面で刃先を回
転させる場合と、図25に示されているように、その両
者の中間位置に存在する面で刃先を回転させる場合の3
通りが考えられ、以下に各ケースについて、先ず被加工
物Wの加工軸線AがXZ平面のみで傾斜している場合を
説明する。なお、ここでは、被加工物Wの加工軸線Aの
Z軸に対するX軸方向の傾斜角をγと定義する。
【0097】(1)加工穴の軸線Aに垂直な面で刃先を
回転させる場合 この場合には、刃先の軌跡は、XY座標面で見て、Y軸
方向に長軸を有する楕円となり、その刃先の座標値(X
t,Yt,Zt)はX軸方向を原線とする角度θを媒体
変数として下式により示される。 Xt=Rcosγ・cosθ Yt=Rsinθ Zt=−Rsinγ・cosθ この刃先をZ軸方向にピッチpの螺旋運動させる場合、
刃先の座標値(Xt,Yt,Zt)は下式により示され
る。なお、i、j、kは各々加工穴のX、Y、Zの各軸
方向の軸ベクトル成分であり、被加工物Wの加工軸線A
がXZ平面のみで傾斜している前提により、ここではj
=0である。
【0098】
【数15】 Xt=Rcosγ・cosθ+i(p/2π)θ Yt=Rsinθ+j(p/2π)θ=Rsinθ Zt=−Rsinγ・cosθ+k(p/2π)θ
【0099】(2)Z軸に垂直な面で刃先を回転させる
場合 この場合には、刃先の軌跡は、XY座標面で見て、X軸
方向に長軸を有する楕円となり、その刃先の座標値(X
t,Yt,Zt)はX軸方向を原線とする角度θを媒体
変数として下式により示される。 Xt=R/cosγ・cosθ Yt=Rsinθ Zt=0 この刃先をZ軸方向にピッチpの螺旋運動させる場合、
刃先の座標値(Xt,Yt,Zt)は下式により示され
る。
【数16】 Xt=R/cosγ・cosθ+i(p/2π)θ Yt=Rsinθ+j(p/2π)θ=Rsinθ Zt=k(p/2π)θ
【0100】(3)加工穴の軸線に垂直な面とZ軸に垂
直な面とので中間位置に存在する面で刃先を回転させる
場合 この場合には、刃先の軌跡は、XY座標面で見て、真円
になり、その刃先の座標値(Xt,Yt,Zt)はX軸
方向を原線とする角度θを媒体変数として下式により示
される。 Xt=Rcosθ Yt=Rsinθ Zt=−Rtan(γ/2)・cosθ この刃先をZ軸方向にピッチpの螺旋運動させる場合、
刃先の座標値(Xt,Yt,Zt)は下式により示され
る。
【数17】 Xt=Rcosθ+i(p/2π)θ Yt=Rsinθ+j(p/2π)θ=Rsinθ Zt=−Rtan(γ/2)・cosθ+k(p/2π)θ なお、傾斜角γはcos-1kで表されるから、cosγ
=kと置換することが可能である。
【0101】つぎに被加工物Wの加工軸線AがXYZ平
面で傾斜している場合、即ち加工軸線AがZ軸に対して
X軸方向にも、Y軸方向に傾斜している場合について考
察する。
【0102】図26に示されているように、XY座標面
と加工穴の横断面との交線である楕円の長軸方向を
X’、短軸方向をY’とし、X’Y’Zの座標系で考え
ば、XYZX座標系とX’Y’Z座標系との座標変換に
よって、上述の如く被加工物Wの加工軸線AがXZ平面
のみで傾斜している場合と同等に取り扱うことができ
る。
【0103】X’Y’Z座標系がYZX座標系に対して
Z軸周りにδだけ回転変位しているとすれば、δ=ta
n-1(J/i)であり、次のように座標変換することが
できる。
【数18】 従ってこの場合、刃先の描くべき軌跡は次のようにな
る。
【0104】(1)加工穴の軸線Aに垂直な面で刃先を
回転させる場合 この場合には、その刃先のX’Y’座標面における座標
値(X’t,Y’t,Zt)はX’軸方向を原線とする
角度θを媒体変数として下式により示される。 X’t=Rcosδ・cosθ Y’t=Rsinθ Zt=−Rsinδ・cosθ
【0105】これをYZX座標系に座標変換すると、刃
先の座標値(Xt,Yt,Zt)は下式により示され
る。
【数19】 Xt=Rcosγ・cosδ・cosδ−R・sinθ・sinδ Yt=Rcosγ・cosθ・sinδ+R・sinθ・cosδ Z=−Rsinγ・cosθ
【0106】この刃先をZ軸方向にピッチpの螺旋運動
させる場合、刃先の座標値(Xt,Yt,Zt)は下式
により示される。
【数20】 Xt=Rcosγ・cosθ・cosδ−R・sinθ・sinδ +i(p/2π)θ Yt=Rcosγ・cosθ・sinδ+R・sinθ・cosδ +j(p/2π)θ Zt=−Rsinγ・cosθ+k(p/2π)θ
【0107】(2)Z軸に垂直な面で刃先を回転させる
場合 この場合には、その刃先のX’Y’座標面における座標
値(X’t,Y’t,Zt)はX’軸方向を原線とする
角度θを媒体変数として下式により示される。 X’t=R/cosγ・cosθ Y’t=R・sinθ Z=0
【0108】これをYZX座標系に座標変換すると、刃
先の座標値(Xt,Yt,Zt)は下式により示され
る。
【数21】 Xt=R/cosγ・cosθ・cosδ−Rsinθ・sinδ Yt=R/cosγ・cosθ・sinδ+Rsinθ・cosδ Zt=0
【0109】この刃先をZ軸方向にピッチpの螺旋運動
させる場合、刃先の座標値(Xt,Yt,Zt)は下式
により示される。
【数22】 Xt=R/cosγ・cosθ・cosδ−R・sinθ・sinδ +i(p/2π)θ Yt=R/cosγ・cosθ・sinδ+R・sinθ・cosδ +j(p/2π)θ Zt=k(p/2π)θ
【0110】(3)加工穴の軸線に垂直な面とZ軸に垂
直な面とので中間位置に存在する面で刃先を回転させる
場合 この場合には、その刃先のX’Y’座標面における座標
値(X’t,Y’t,Zt)はX’軸方向を原線とする
角度θを媒体変数として下式により示される。 X’t=Rcosγ Y’t=Rsinθ Zt=−Rtan(γ/2)・cosθ
【0111】これをYZX座標系に座標変換すると、刃
先の座標値(Xt,Yt,Zt)は下式により示され
る。
【数23】 Xt=Rcosθ・cosδ−R・sinθ・sinδ Yt=Rcosθ・sinδ+R・sinθ・cosδ Zt=−Rtan(γ/2)・cosθ
【0112】この刃先をZ軸方向にピッチpの螺旋運動
させる場合、刃先の座標値(Xt,Yt,Zt)は下式
により示される。
【数24】 Xt=Rcosθ・cosδ−R・sinθ・sinδ+i(p/2π)θ =Rcos(θ+δ)+i(p/2π)θ Yt=Rcosθ・sinδ+Rsinθ・cosδ+j(p/2π)θ =Rsin(θ+δ)+j(p/2π)θ Zt=−Rtan(γ/2)・cosθ+k(p/2π)θ
【0113】次に刃先が楕円軌跡を描いて切削加工を行
う場合の主軸中心の軌跡について図27を参照して説明
する。図27では、X軸方向に長い楕円を想定してお
り、この楕円の長軸をa、短軸をbとする。
【0114】点(X=acosθ,Y=bsinθ)に
おける接線ベクトル→tは次のようになる。 tX =dX /dθ=−asinθ tY =dY/dθ=+bcosθ ここで、→tの大きさが1になるように正規化すると、
【数25】 tX ={−a/(a2 sin2 θ+b2 cos2 θ)1/2 }sinθ tY ={b/(a2 sin2 θ+b2 cos2 θ)1/2 }cosθ となる。
【0115】したがって法線ベクトル→nは次のように
なる。
【数26】 nX =tY ={b/(a2 sin2 θ+b2 cos2 θ)1/2 }cosθ nY =−yX ={a/(a2 sin2 θ+b2 cos2 θ)1/2 }sinθ
【0116】主軸中心から刃先までの距離をTrとする
と、主軸中心軌跡(Xs,Ys)は次のようになる。
【数27】 Xs=acosθ−nX ・Tr =a・cosθ−{b・Tr/(a2 sin2 θ+b2 cos2 θ)1/2 } cosθ ={a−(b・Tr/(a2 sin2 θ+b2 cos2 θ)1/2 }cosθ Ys=bsinθ−nY ・Tr =b・sinθ−{a・Tr/(a2 sin2 θ+b2 cos2 θ)1/2 } sinθ ={b−(a・Tr/(a2 sin2 θ+b2 cos2 θ)1/2 }sinθ なお、楕円がXY軸に対して傾斜している場合には、そ
の傾斜角に応じて上述と同じ要領で座標系を変換すれば
よい。
【0117】また、本発明による主軸回転角制御式切削
加工方法においては、上述の傾斜加工の応用として、被
加工物Wの主軸中心軸線に対する位置決め誤差による被
加工物Wの加工軸線あるいは加工面の正規状態よりの傾
斜度を自動計測し、この傾斜度に応じて主軸19と被加
工物Wとの相対変位の軸制御量を修正することにより、
主軸19と被加工物Wとの間の相互補間運動に被加工物
Wの加工軸線あるいは加工面の傾斜補償成分を与え、正
規状態の加工軸線による内外周面あるいはフランジ面を
切削することができる。
【0118】この場合には、図28に示されているよう
に、被加工物Wの加工基準面Wsの3点P1 、P2 、P
3 の各々の座標値(Xp1 、Yp1 、Zp1 )、(Xp
2 、Yp2 、Zp2 )、(Xp3 、Yp3 、Zp3 )を
自動計測器49を使用して計測し、加工基準面WsのX
軸方向の傾斜度XγとY軸方向の傾斜度Yγを下式によ
り算出する。
【数28】 Xγ=tan{(Zp2 −Zp1 )/(Zx2 −Zx1 ) Yγ=tan{(Zp3 −Zp1 )/(Zy3 −Zy1 ) ただし、X軸方向の傾斜度Xγの計測中はY軸座標値を
一定とし、Y軸方向の傾斜度Yγの計測中はX軸座標値
を一定とする。
【0119】これにより加工穴のX、Y、Zの各軸方向
の軸ベクトル成分ijkは下式により示される。 i=−cosYγ・sinXγ j=−cosXγ・sinYγ k=cosXγ・cosYγ これにより傾斜角γとδは下式により示され、上述の傾
斜切削加工と同様に行わればよい。 γ=tan-1{k/(i2 +j2 )} δ=tan-1(j/i) 上述の何れの軸制御および主軸回転角制御も、上述の関
数式の演算をNC装置内部で行って座標位置データを得
る方法と、NC加工プログラム作成時点で予め座標位置
データを点群データとしてプログラムに記述しておく方
法の何れにより行われてもよい。
【0120】以上に於ては、本発明を特定の実施例につ
いて詳細に説明したが、本発明は、これらに限定される
ものではなく、本発明の範囲内にて種々の実施例が可能
であることは当業者にとって明らかであろう。
【0121】
【発明の効果】以上の説明から理解される如く、本発明
によるバイト工具による主軸回転角制御式切削加工方法
によれば、主軸にバイト工具を取り付け、バイト工具と
被加工物との相対的な軸制御により主軸の主軸中心から
前記被加工物の加工すべき加工面までの直線距離を常に
一定に保つよう相互補間運動を行わせ、軸制御に対する
主軸回転角の同期制御によって主軸の回転角の全回転角
位置にてバイト工具の刃先における前面と前記被加工物
の加工面との角度を一定の角度に、かつバイト工具の刃
先における後面が被加工物の加工面に対して常に離れた
状態となるように保たれ、相互補間運動による補間軌跡
により決まる形状に切削加工が行われるから、一本のバ
イト工具により任意の内径の円筒内外周面加工、その
他、テーパ加工、球面加工、多角形加工、ねじ切り加
工、フランジ面加工、自由形状加工が行われる。
【0122】この場合、加工寸法は、前記相互補間運動
による補間軌跡の形状寸法とバイト工具のバイト半径と
により決まり、補間軌跡の形状寸法の補正によってバイ
ト工具のバイト半径誤差を補償することができ、このこ
とにより、バイト工具のバイト刃先位置がさほど高精度
にされなくとも所要の加工精度が得られ、工具のプリセ
ット作業が容易になる。
【0123】バイト工具としてシングルポイントバイト
工具を使用することにより、総形バイト工具による場合
に比して切削抵抗が小さくなり、このことにより軸制御
による相互補間運動の速度を総形バイト工具を使用した
ヘール加工に属する切削加工法による場合に比して3〜
20倍程度速くすることが可能になる。
【0124】円筒内外周面加工においては、従来のボー
リング加工と同一のバイト工具で、同一の切削能率を得
ながら、上述の相互補間運動の円弧補間径を変更するこ
とにより、一本のバイト工具で、任意の穴径あるいは外
径を切削することができ、さらには、加工途中で円弧補
間径を間欠的に、あるいは連続的に変更することで、テ
ーパ加工、球面加工など、任意形状の加工を行うことが
できる。
【0125】フランジ加工においては、バイトの繰り出
し機構を備えた回転面板を要することなく、バイト目に
よるフランジ面のバイト削りが行われ、エンドミル、正
面フライスによる切削目のフランジ面より気密性に優れ
たフランジ面が得られる。
【0126】また被加工物の加工軸線あるいは加工面の
前記主軸の中心軸線に対する傾斜度に応じて主軸と被加
工物との相対変位の軸制御量が修正され、主軸と被加工
物との間の相互補間運動に被加工物の加工軸線あるいは
加工面の主軸中心軸線に対する傾斜成分が与えられるこ
とにより、主軸中心軸線に対して加工軸線が傾斜してい
る内外周面あるいは傾斜フランジ面の切削も行われる。
【0127】また被加工物の位置決め誤差による被加工
物の加工軸線あるいは加工面の正規状態よりの傾斜度が
自動計測され、この傾斜度に応じて主軸と被加工物との
相対変位の軸制御量が修正され、主軸と被加工物との間
の相互補間運動に被加工物の加工軸線あるいは加工面の
傾斜補償成分が与えられることにより、被加工物の位置
決めに誤差があっても正規状態の加工軸線による内外周
面あるいはフランジ面の切削が行われる。
【0128】また被加工物の加工部形状の自動計測によ
って加工開始寸法が決定され、この加工開始寸法によっ
て前記主軸と前記被加工物との相対変位量より前記バイ
ト工具による切削加工量が決定され、更に加工途中で被
加工物の加工部形状が自動計測され、この自動計測に基
づいて仕上げ加工に必要な加工寸法が自動決定され、こ
の加工寸法によって前記主軸と前記被加工物との相対変
位量より前記バイト工具による切削加工量が決定され、
これにより加工部形状の自動計測のもとに、工具交換な
どを要することなく所要の切り込み量をもって一連の切
削加工が行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は本発明による主軸回転角制御
式切削加工方法による切削加工の原理を示す説明図であ
る。
【図2】本発明による主軸回転角制御式切削加工方法の
実施例に使用するNC工作機械の一例を示す概略斜視図
である。
【図3】本発明による主軸回転角制御式切削加工方法の
実施例に使用するNC工作機械の制御系を示すブロック
線図である。
【図4】円筒内面加工例を示す説明図である。
【図5】円筒外周面加工を示す説明図である。
【図6】円錐内面加工を示す説明図である。
【図7】円錐外面加工を示す説明図である。
【図8】球状内面加工を示す説明図である。
【図9】球状外面加工を示す説明図である。
【図10】多角形内面加工を示す説明図である。
【図11】多角形外面加工を示す説明図である。
【図12】めねじ切り加工を示す説明図である。
【図13】おねじ切り加工を示す説明図である。
【図14】フランジ面加工を示す説明図である
【図15】円筒内面加工例を詳細に示す説明図である。
【図16】円錐加工例を詳細に示す説明図である。
【図17】フランジ面加工を詳細に示す説明図である。
【図18】本発明による主軸回転角制御式切削加工方法
によって穴あけ加工、ねじ穴加工を行う場合の一連の手
順を示すフローチャートである。
【図19】被加工物の自動計測を示す斜視図である。
【図20】自動計測によって穴あけ加工、ねじ穴加工を
行う場合の一連の手順を示すフローチャートである。
【図21】被加工物の加工軸線が主軸の中心軸線に対し
て傾斜している状態を示す斜視図である。
【図22】被加工物の加工面が主軸の中心軸線に対して
傾斜している状態を示す斜視図である。
【図23】加工穴の軸線に垂直な面で刃先を回転させる
場合の説明図。
【図24】主軸の中心軸線に垂直な面で刃先を回転させ
る場合場合の説明図。
【図25】加工穴の軸線に垂直な面と主軸の中心軸線に
垂直な面との中間位置に存在する面で刃先を回転させる
場合の説明図。
【図26】被加工物の加工軸線がXYZ平面で傾斜して
いる場合の座標系を示す説明図である。
【図27】刃先が楕円軌跡を描いて切削加工を行う場合
の主軸中心の軌跡を説明する説明図である。
【図28】被加工物の主軸中心軸線に対する位置決め誤
差の計測要領を示す説明図である。
【符号の説明】
3 Y軸テーブル 5 X軸テーブル 7 Y軸サーボモータ 9 X軸サーボモータ 13 Z軸スライダ 15 Z軸サーボモータ 17 主軸頭 19 主軸 21 C軸サーボモータ 25、27、29、31 ロータリエンコーダ 33 NC装置 35 プログラム実行部 37 補間演算部 39、41、43、45 位置制御・駆動部 47 タッチプルーブ 49 自動計測器 50 バイト工具 51 主軸
フロントページの続き (72)発明者 河野 真 静岡県沼津市大岡2068の3 東芝機械株 式会社 沼津事業所内 (56)参考文献 特開 昭58−149102(JP,A) 特開 平5−42452(JP,A) 特開 平5−257514(JP,A) 特開 昭56−139854(JP,A) 実開 平3−126508(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23B 1/00 B23B 35/00 B23B 39/00 - 39/28 B23B 41/00 - 41/16 B23C 3/00 B23D 5/00 - 5/04 B23Q 15/00 - 15/28

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自身の中心軸線周りの回転角を定量的に
    制御可能な主軸(51)にバイト工具(50)を取り付
    け、前記主軸(51)の主軸中心(Cs )の被加工物
    (W)に対する相対的な移動軌跡を、主軸(51)と被
    加工物(W)とをXY軸の軸制御により少なくとも前記
    主軸(51)の回転軸線に直交するXY平面で前記被加
    工物(W)の加工面に沿って相対変位させ、主軸(5
    1)の主軸中心(Cs)から前記被加工物(W)の加工
    すべき加工面までの直線距離を常に一定に保つよう相互
    補間運動を行わせ、前記主軸(51)の回転角を前記軸
    制御に対して所定の相関関係をもって同期制御すること
    により主軸(51)の回転角の全回転角位置にて、バイ
    ト工具(50)の刃先における前面と前記被加工物
    (W)の加工面との角度を常に一定の角度(β)となる
    ように保ちながら、前記相互補間運動による補間軌跡に
    より決まる曲面形状に切削加工することを特徴とする主
    軸回転角制御式切削加工方法。
  2. 【請求項2】 被加工物(W)の加工軸線あるいは加工
    面の前記主軸(51)の中心軸線に対する傾斜度に応じ
    て前記主軸(51)と前記被加工物(W)との相対変位
    の軸制御量を修正することにより、前記主軸(51)と
    前記被加工物(W)との間の前記相互補間運動に被加工
    物(W)の加工軸線あるいは加工面の前記主軸(51)
    の中心軸線に対する傾斜成分を与え、主軸中心軸線に対
    して加工軸線が傾斜している内外周面あるいは傾斜フラ
    ンジ面を切削することを特徴とする請求項1に記載の主
    軸回転角制御式切削加工方法。
  3. 【請求項3】 被加工物(W)の主軸中心軸線に対する
    位置決め誤差による被加工物(W)の加工軸線あるいは
    加工面の正規状態よりの傾斜度を自動計測し、この傾斜
    度に応じて前記主軸(51)と前記被加工物(W)との
    相対変位の軸制御量を修正することにより、前記主軸
    (51)と前記被加工物(W)との間の前記相互補間運
    動に被加工物(W)の加工軸線あるいは加工面の傾斜補
    償成分を与え、正規状態の加工軸線による内外周面ある
    いはフランジ面を切削することを特徴とする請求項1に
    記載の主軸回転角制御式切削加工方法。
  4. 【請求項4】 被加工物(W)の加工部形状の自動計測
    によって加工開始寸法を決定し、この加工開始寸法によ
    って前記主軸(51)と前記被加工物(W)との相対変
    位量より前記バイト工具(50)による切削加工量を決
    定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の
    主軸回転角制御式切削加工方法。
  5. 【請求項5】 加工途中で被加工物(W)の加工部形状
    を自動計測し、仕上げ加工に必要な加工寸法を自動決定
    し、この加工寸法によって前記主軸(51)と前記被加
    工物(W)との相対変位量より前記バイト工具(50)
    による切削加工量を決定することを特徴とする請求項1
    〜4の何れかに記載の主軸回転角制御式切削加工方法。
  6. 【請求項6】 前記バイト工具(50)として被加工物
    (W)に実質的に点接触するシングルポイントバイト工
    具を使用することを特徴とする請求項1〜5の何れかに
    記載の主軸回転角制御式切削加工方法。
  7. 【請求項7】 前記軸制御は少なくとも同一平面にて互
    いに直交する2軸の同時制御により行われ、当該2軸の
    各軸制御は相互に90度の位相差を有する三角関数を含
    む関数式により定義される軌跡を描くよう行うことを特
    徴とする請求項1〜6の何れかに記載の主軸回転角制御
    式切削加工方法。
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