JP3079539B2 - コーティング組成物及びこれが塗布されたプラスチック成形物 - Google Patents

コーティング組成物及びこれが塗布されたプラスチック成形物

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JP3079539B2 JP02104564A JP10456490A JP3079539B2 JP 3079539 B2 JP3079539 B2 JP 3079539B2 JP 02104564 A JP02104564 A JP 02104564A JP 10456490 A JP10456490 A JP 10456490A JP 3079539 B2 JP3079539 B2 JP 3079539B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、プラスチック成形物用のコーティング組成
物、特にプラスチック成形物を保護するためのコーティ
ング組成物に関する。
〔従来の技術〕
プラスチック成形物は、軽量、易加工性、耐衝撃性な
どの長所を活かして多量に使用されているが、反面、硬
度が不十分で傷がつき易い、溶媒に侵されやすい、帯電
してほこりを吸着する、耐熱性が不十分などの欠点があ
り、めがねレンズ、窓材などとして使用するには、無機
ガラス成形物にくらべ実用上不満足であった。
そこで、プラスチック成形物に保護コートを施すこと
が提案された。コートに使用されるコーティング組成物
は、実に多数の種類が提案された。その中には、無機系
に近く硬い塗膜を与えるものとして期待された「有機ケ
イ素化合物又はその加水分解物を主成分(樹脂成分又は
塗膜形成成分)とするコーティング組成物」があり(例
えば、特開昭52−11261号参照)、これは、めがねレン
ズ用として実用化されている。
しかしながら、このコーティング組成物も未だ耐擦傷
性(傷つき難さ)が不満足であるため、これにコロイド
状に分散したシリカゾルを添加したものが提案され(例
えば、特開昭53−111336号参照)、これも、めがねレン
ズ用として実用化されている。
ところで、従来、プラスチック性めがねレンズは、大
半がジエチレングリコールビスアリルカーボネートとい
うモノマーを注型重合することにより製造されていた。
このレンズは、屈折率が約1.50であり、ガラスレンズの
屈折率約1.52に比べ低いことから、近視用レンズの場
合、縁の厚さが厚くなるという欠点があり、装用者から
嫌われる主因となっていた。
そのため、ジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ートより高いモノマーの開発が進められ、例えば、特開
昭55−13747号、特開昭56−166214号、特開昭57−23611
号、特開昭57−54901号などが提案された。現在では、
数社からnd=1.54〜1.60の中〜高屈折率プラスチック製
レンズが市販されているに至っている。
そして、これらのレンズにも先のシリカゾルを添加し
たコーティング組成物が塗布されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、シリカゾルを添加したコーティング組
成物は、塗膜に干渉縞が見え、レンズの見栄えが悪いと
いう第1の問題点があった。
また、レンズでは、塗膜の上に反射防止膜(光学干渉
理論に基づく無機酸化物薄膜の多層構造膜からなる)を
形成することが多い。この場合、反射防止膜が例えば極
く薄い緑色の反射色を呈するが、この反射色がレンズ表
面の位置に応じて変わり、ムラがあるという第2の問題
点があった。
従って、本発明の第1の目的は、nd=1.54〜1.60の中
〜高屈折率プラスチック成形物に対して、塗膜に干渉縞
が見えず、かつ反射色にムラがない塗膜を与えるコーテ
ィング組成物を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、耐擦傷性、表面硬度、
耐磨耗性、可撓性、透明性、帯電防止性、染色性、耐熱
性、耐水性、耐薬品性、などに優れたプラスチック成形
物用コーティング組成物を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
そのため、本発明は、 (a)一般式: R1 aR2 bSi(OR34-(a+b) …(式I) (但し、式中、 R1は、官能基又は不飽和2重結合を有する炭素数4〜14
の有機基であり、 R2は、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン化炭化水
素基であり、 R3は、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル
基又はアシル基であり、 a及びbは、それぞれ0又は1であり、かつa+bは、
1又は2である。) で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解物; (b)コロイド状に分散した酸化スズと酸化タングステ
ンの複合ゾル; 並びに、場合により(c)硬化触媒; 及び場合により(d)溶媒; からなることを特徴とするコーティング組成物 を提供する。
〔作用〕
(a)成分の説明: 一般式(I)の化合物のうち、R1が官能基としてエポ
キシ基を有するものについて言うと、例えば、次のもの
が使用される。
(1) 一般式(II): (但し、式中、R4は、炭素数1〜4のアルキル基又はア
ルコキシアルキル基又はアシル基、R5は、炭素数1〜6
の炭化水素基又はハロゲン化炭素化水素基、R6は、水素
またはメチル基、mは2又は3、pは1〜6、qは0〜
2である。) で表わされる化合物。
(2) 一般式(III): (但し、R7は、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキ
シアルキル基又はアシル基、R8は、炭素数1〜4の炭化
水素基又はハロゲン化炭素化水素基、1は2又は3、r
は1〜4である。) で表わされる化合物。
上記一般式で表される化合物は、いずれもポキシ基を
有するので、エポキシシランとも呼ばれる。
エポキシシランの具体例としては、例えば、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリエトキシシランなどが挙げられ
る。
また、一般式(I)の化合物のうち、R1が官能基とし
てエポキシ基を有するもの以外(a=0のものを含む)
の例としては、例えば、次のものが使用される。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキ
シエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、3−
アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、フエニルトリメトキシシラン、
フエニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシ
シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシ
ランなどの各種トリアルコキシシラン、トリアシロキシ
シランあるいはトリアルコキシアルコキシシラン化合
物。
以上に挙げた一般式(I)の例示化合物は、いずれも
Si原子に結合するOR3基が3個ある(a+b=1)3官
能の例であるが、OR3基が2個ある(a+b=2)2官
能の相当する化合物ももちろん使用することができる。
2官能の相当する化合物の例としては、ジメチルジメト
キシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、メチルフエ
ニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシランなどがある。
一般式(I)の化合物は、1種で使用してもよいが、
目的に応じて2種以上を混合して使用してもよい。
特に、2官能の化合物を使用するときには、3官能の
化合物と併用することが好ましい。併用した場合には、
平均で2>a+b>1となる。
更に、a+b=0の4官能の相当する化合物を併用す
ることも可能である。4官能の相当する化合物の例とし
ては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロ
ピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチル
シリケート、t−ブチルシリケート、sec−ブチルシリ
ケートなどが挙げられる。
一般式(I)の化合物は、そのまま使用してもよい
が、反応速度を増し、硬化温度を下げる目的で加水分解
物として使用することが望ましい。2〜4官能の化合物
の中で同一官能数の化合物を2種以上を併用する場合、
或いは異なる官能数の化合物を2種以上を併用する場
合、加水分解後に併用してもよいし、加水分解前に併用
して共加水分解を行なってもよい。加水分解によりHOR3
なるアルコールが遊離され、一般式(I)の化合物は、
相当する シラノール: になる。シラノールは、速やかに脱水縮合が進み、オリ
ゴマーになる。従って、この反応が十分に進むように、
加水分解後、1〜24時間放置(養生)させてもよい。
(b)成分の説明: コロイド状に分散した酸化スズと酸化タングステンの
複合ゾルが使用される。
酸化スズと酸化タングステンの割合は、酸化スズ100
重量部に対し酸化タングステン2〜100重量部である。
コロイド状に分散した酸化スズゾル、酸化タングステ
ンゾル、酸化スズと酸化タングステンの複合ゾル自身は
各々公知であり、一部市販品として入手可能である。
酸化スズゾルは屈折率が高く好ましく、単独でゾルと
して存在するが、物質の持つ本質的性質として(a)成
分とは安定に存在することが出来ない。また、酸化タン
グステンゾルは比較的屈折率が高く、単独でゾルとして
存在し、(a)成分とも安定に存在することができる
が、(a)成分と酸化タングステンゾルで形成されたコ
ーティング組成物は耐水性に問題がある。
酸化スズと酸化タングステンの複合ゾルを用いること
により両者の欠点を補い、好ましい性質を引き出すこと
ができる。即ち、(a)成分とも安定に存在し、耐久性
に問題の無い、屈折率が高いコーティング組成物を獲る
ことができる。
酸化スズと酸化タングステンの割合は各々の長所を生
かし、欠点を補うため、酸化スズ100重量部に対し酸化
タングステン2〜100重量部、好ましくは5〜50重量部
が用いられる。これより比率が小さいと(a)成分と混
合した場合の安定性に欠け、これより比率が大きいと、
コーティング組成物の耐水性に問題がある。
ゾルの粒子径は1〜200mμ、特に5〜100mμのものが
好ましい。これより小さいと製造が困難であり、ゾル自
身の安定性も悪く、かつ効果も小さい。これより大きい
と、コーティング組成物の安定性、塗膜の透明性、平滑
性などが低下する。
ゾルは、酸化スズと酸化タングステンの複合した微粒
子を水又は有機溶媒又は両者の混合溶媒に分散させたコ
ロイド溶液であり、適当なアルカリ、特に有機アミンを
添加して安定化させたものが有用である。
(c)成分の説明: 硬化触媒(c)は、(a)成分を重合させて3次元網
目構造の塗膜を形成させる上で時間を短縮させるため
に、必要に応じ、使用されるもの(但し、コーティング
組成物の安定性を損なうものは好ましくない)であり、
例えば、次のようなものが使用される。
(1).アミン類: モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプ
ロパノールアミン、エチレンジアミン、イソプロピルア
ミン、ジイソプロピルアミン、モルホリン、トリエタノ
ールアミン、ジアミノプロパン、アミノエチルエタノー
ルアミン、ジシアンジアミド、トリエチレンジアミン、
2−エチル−4−メチルイミダゾール。
(2).各種金属錯化合物: 一般式:AlXnY3-n (但し、式中、XはOL(Lは低級アルキル基)、Yは一
般式M1COCH2COM2(M1、M2は低級アルキル基)及びM1COC
H2COOM2に由来する配位子から選ばれる少くとも1つ
で、nは0又は1又は2である) で示されるアルミニウムキレート化合物。
特に有用なキレート化合物としては、溶解性、安定
性、触媒硬化の観点から、アルミニウムアセチルアセト
ネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノ
アセチルアセトネート、アルミニウム−ジ−n−ブトキ
シド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ
−iso−プロポキシド−モノメチルアセトアセテートな
どである。
その外、クロムアセチルアセトネート、チタニルアセ
チルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート、鉄
(III)アセチルアセトネート、マンガンアセチルアセ
トネート、ニッケルアセチルアセトネート。
(3).金属アルコキシド: アルミニウムトリ−n−プロポキシド、アルミニウム
トリ−n−ブトキシド、テトラエトキシチタン、テトラ
−n−ブトキシチタン。
(4).有機金属塩: 酢酸ナトリウム、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバル
ト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ。
(5).過塩素酸塩: 過塩素酸マグネシウム、過塩素酸アンモニウム。
(6).有機酸又はその無水物: マロン酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、アゼライ
ン酸、マレイン酸、O−フタル酸、テレフタル酸、フマ
ル酸、イタコン酸、オキザロ酢酸、無水コハク酸、無水
マレイン酸、無水イタコン酸、1,2−ジメチルマレイン
酸無水物、無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水
物、無水ナフタル酸。
(7).ルイス酸: 塩化第二鉄、塩化アルミニウム。
(8).ハロゲン化金属: 塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化スズ、塩化亜鉛、
臭化亜鉛、四塩化チタン、臭化チタン、臭化タリウム、
塩化ゲルマニウム、塩化ハフニウム、塩化鉛、臭化鉛。
以上の触媒は、単独で使用することなく2種以上混合
して使用してもよい。特に(a)成分がエポキシ基を持
つときには、エポキシ基の開環重合触媒を兼ねるものを
使用してもよい。
とりわけ、アルミニウムキレート化合物は好ましい触
媒の1つである。
(d)成分の説明: 溶媒(d)は、コーティング組成物を液状にするため
或いは粘度を低くするために、必要に応じ使用される。
例えば、水、低級アルコール、アセトン、エーテル、ケ
トン、エステルなどが使用される。本発明のコーティン
グ組成物においては、 (a)成分の100重量部(固形分)当たり、 (b)成分を10〜400重量部(固形分)好ましくは50〜2
50重量部(固形分)使用し、 (a)成分と(b)成分の合計100重量部(固形分)当
たり、(c)成分を0.00001〜20重量部使用することが
適当である。
(d)成分は、組成物の粘度に応じて適当量使用され
る。
以上の(a)〜(d)成分の外に更に必要に応じて例
えば、塗布される側の基材(成形物)との接着性改良、
耐候性向上などを目的として、或いはコーティング組成
物の安定性を向上させる目的で各種添加剤を併用しても
よい。
添加剤の例としてはpH調節剤、粘度調節剤、レベリン
グ剤、つや消し剤、染料、顔料、安定剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤などがある。
その外、塗膜の染色性を向上させる目的でエポキシ樹
脂その他の有機ポリマーを併用してもよい。エポキシ樹
脂としては、塗料、注形用に汎用されている、ポリオレ
フィン系エポキシ、シクロペンタジエンオキシドや、シ
クロヘキセンオキシドであるいは、ポリグリシジルエス
テルなどの脂環式エポキシ樹脂、ポリグリシジルエーテ
ル、エポキシ化植物油、ノボラック型フェノール樹脂と
エピクロルヒドリンから成る、エポキシノホラック、更
にはグリシジルメタクリレートとメチルメタクリレート
共重合体などがある。
その他の有機ポリマーとしては、例えば、ポリオー
ル、繊維素系樹脂、メラミン樹脂などがある。
塗布時におけるフローを向上させ、塗膜の平滑性を向
上させて塗膜表面の摩擦係数を低下させる目的で、各種
の界面活性剤をコーティング組成物に併用することも可
能であり、とくにジメチルシロキサンとアルキレンオキ
シドとのブロックまたはグラフト共重合体、さらにはフ
ッ素系界面活性剤などが有効である。
場合により、本発明の目的を損なわない範囲で、無機
系充填材例えば、シリカゾル、酸化アンチモンゾルやダ
イヤモンド微粒子などを併用することもできる。
本発明の組成物は、特にプラスチック成形物に塗布さ
れる。成形物を材料から言えば、例えば、ポリメチルメ
タクリレート及びその共重合体、アクリロニトリル−ス
チレン共重合体、ポリカーボネート、セルロースアセテ
ート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、CR−39の重合体などに本発明の組成物は塗布され
る。
成形物を形態から言えば、塊状物、線材、フィルムな
どに本発明の組成物は塗布される。
成形物を機能から言えば、光学製品特にカメラレン
ズ、めがねレンズ、反射鏡、プリズムなどに本発明の組
成物は塗布される。
本発明の組成物は、特にnd=1.53以上の中〜高屈折率
の樹脂成形された「めがねレンズ」の傷付き防止膜とし
て有用である。
なお、プラスチック成形物に限らず、本発明の組成物
は、無機ガラス、木材、金属物品などにも塗布すること
ができる。
塗布手段は、刷毛塗り、浸漬、ロール塗り、スプレー
塗装、流し塗りなど通常の塗装法を用いることができ
る。
更に、本発明の組成物を鋳型に塗布後、基材成形物と
なる原料注形重合してプラスチック成形物を成形した
り、本発明の組成物を成形物に塗布した後、未だ硬化し
ていない塗膜表面を鋳型と密着させ、その上で塗膜を硬
化させることもできる。
本発明のコーティング用組成物は、塗布した後、多く
の場合、加熱処理することにより硬化させて硬質塗膜を
得る。加熱温度は約50〜200℃好ましくは80〜140℃で十
分な効果が得られる。
塗膜の厚さは、一般に乾燥後で0.3〜30μ好ましくは
0.5〜10μもあれば十分である。
塗膜は、透明で硬度特に耐スクラッチ性に優れ、プラ
スチック成形物の問題点であった引っかき傷による外観
の低下を起こすことがなく、商品価値の著しく高い成形
物を提供できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する
が、本発明はこれに限られるものではない。
〔実施例〕
(1).予備組成物Aの調製: 回転子を備えた反応容器中にγ−グリシドキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン248重量部を仕込み、マグネ
チックスターラーを用いて激しく撹拌しながら、0.05規
定塩酸水溶液36重量部を一度に添加した。
添加直後は不均一溶液であったが、数分で発熱しなが
ら均一で無色透明な溶液になった。更に1時間撹拌を続
け、成分(a)に相当する加水分解物を得た。
得られた加水分解物に、(d)成分としてエタノール
56.6重量部及びエチレングリコール53.4重量部を添加し
た後、(c)成分としてアルミニウムアセチルアセトネ
ート4.7重量部を加え、十分に混合溶解させて、予備組
成物Aを調整した。
(2).予備組成物Bの調製: 回転子を備えた反応容器中にγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン212.4重量部を仕込み、容器内の
温度を10℃に保ち、マグネチックスターラーを用いて激
しく撹拌しながら、0.01規定塩酸水溶液48.6重量部を徐
々に滴下した。滴下終了後は直ちに冷却を止めると、均
一で無色透明な溶液状の成分(a)に相当する加水分解
物を得た。
得られた加水分解物に、(d)成分としてエタノール
77.1重量部及びエチレングリコール37.7重量部を添加し
た後、(c)成分としてアルミニウムアセチルアセトネ
ート7.65重量部を加え、十分に混合溶解させて、予備組
成物Bを調整した。
(3).コーティング組成物の調製: ガラス容器に、前記(1)、(2)で調整した予備組
成物A、Bを下記第1表記載の重量部(固形分ではな
い)を秤量して注ぎいれ、そこへ市販の酸化スズと酸化
タングステンの複合ゾル(水分散ゾル、平均粒子径:10
〜15mμ、酸化スズと酸化タングステンの比率:100重量
部/40重量部、固形分20%)を200重量部(固形分ではな
い)、シリコーン系界面活性剤を0.45重量部添加し、十
分に撹拌混合することにより、均一で無色透明な溶液状
のコーティング組成物を調製した。
(4).塗布: 市販の屈折率nd=1.59のポリカーボネート系めがねレ
ンズを用意し、これに浸漬法(引上げ速度10cm/分)で
上記コーティング組成物を塗布し、100℃で2時間加熱
処理して、塗膜を硬化させた。
(5).評価: 前項(4)で得た硬化塗膜付レンズを次の試験に供
し、塗膜の性能を評価した。
(イ)耐摩擦試験 スチールウール#0000で塗膜表面を摩擦し傷付き難さ
を調べた。尚、評価は次のように行なった。
◎……強く摩擦しても傷がつかない。
○……かなり強く摩擦すると少し傷がつく。
×……弱い摩擦でも傷がつく。
ちなみに塗膜なしのレンズの評価は×であった。
(ロ)外観 前項(4)で硬化させた塗膜の上に汎用的な反射防止
膜を真空蒸着法により形成し、反射色のムラを肉眼観察
で調べ、以下の通り評価した。
◎……反射色のムラなし ○…… 〃 ややあり ×…… 〃 が著しい (ハ)密着性 硬化塗膜を有するレンズを90℃の熱水に2時間浸漬
後、塗膜面にナイフで1mmおきに縦方向横方向にカット
線を入れることにより100個のゴバンの目を作り、その
後、セロハン粘着テープ(商品)名“セロテープ”ニチ
バン株式会社製)を強く張り付けた。テープの一端を手
に持って90度方向に急速にはがし、塗膜のゴバンの目が
何個剥がれるかを調べた。剥がれたゴバンの目の数Xを
分子にしてX/100で表す。Xが小さいほど密着性がよ
い。
(ニ)染色性 硬化塗膜を有するレンズを分散染料(赤、黄、青3色
混合)浴に90℃、30分間浸漬し、染色程度を光線透過率
で測定した。
以上の評価の結果を下記第1表に示す。
〔比較例1〕 実施例において、酸化スズと酸化タングステンの複合
ゾルに代えて、市販のシリカゾル(メタノール分散ゾ
ル、平均粒子径:13±1mμ、固形分20%)を使用した外
は、実施例とほぼ同様にして本例のコーティング組成物
を調製し、評価した。
〔比較例2〕 実施例において、酸化スズと酸化タングステンの複合
ゾルに代えて、市販の五酸化アンチモンゾル(平均粒子
径:15mμ、固形分20%)を使用した外は、実施例とほぼ
同様にして本例のコーティング組成物を調製し、評価し
た。
以上の評価の結果を下記第1表に合わせて示す。
〔発明の効果〕 以上の通り、本発明によれば、次のような特徴を有す
るコーティング組成物が得られる。
(1).中〜高屈折率のプラスチックめがねレンズに塗
布して硬質塗膜を形成し、その上に反射防止膜を形成し
たとき、反射色のムラがない。
(2).塗膜の耐擦傷性、表面硬度、耐磨耗性、可撓
性、透明性、耐熱性、耐水性などに優れる。
(3).塗膜の伸びが大きく、基材が撓んでも塗膜表面
の亀裂発生の危険が著しく小さい。
(4).硬化時の収縮が小さくとくに薄いフィルムに塗
布したときカールなどのトラブルがない。
(5).塗膜が帯電防止性がすぐれ、汚れが比較的付き
難い。
(6).塗膜が分散染料で染色できる。
(7).塗膜の表面反射率が大きい。
(8).塗膜に対する反射防止膜、金属蒸着膜などの接
着性が良好である。
(9).塗膜表面のすべり特性が良好である(摩擦係数
が低い)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 1/00 - 201/10 C08K 1/00 - 13/08 C08L 1/00 - 101/16 C01G 25/00 - 57/00 CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)一般式: R1 aR2 bSi(OR34-(a+b) ・・・・・・・・・(式1) (但し、式中 R1は、官能基又は不飽和二重結合を有する炭素数4〜14
    の有機基であり、 R2は、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン化炭化水
    素基であり、 R3は、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル
    基又はアシル基であり、 a及びbは、それぞれ0又は1であり、かつa+bは、
    1又は2である) で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解物; (b)コロイド状に分散した酸化スズと酸化タングステ
    ンの複合ゾル; からなり、前記酸化スズ100重量部に対して酸化タング
    ステン2〜100重量部とすることを特徴とするコーティ
    ング組成物。
  2. 【請求項2】屈折率が1.54〜1.60であるプラスチック成
    形物上に透明塗膜を有し、該透明塗膜は、 (a)一般式: R1 aR2 bSi(OR34-(a+b) ・・・・・・・・・(式1) (但し、式中 R1は、官能基又は不飽和二重結合を有する炭素数4〜14
    の有機基であり、 R2は、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン化炭化水
    素基であり、 R3は、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル
    基又はアシル基であり、 a及びbは、それぞれ0又は1であり、かつa+bは、
    1又は2である) で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解物; (b)コロイド状に分散した酸化スズと酸化タングステ
    ンの複合ゾル; からなるコーティング組成物を塗布してなることを特徴
    とするプラスチック成形物。
  3. 【請求項3】前記透明塗膜の膜厚は、0.3〜30μである
    ことを特徴とする請求項2に記載のプラスチック成形
    物。
  4. 【請求項4】前記透明塗膜は3次元網目構造を成すこと
    を特徴とする請求項2又は3に記載のプラスチック成形
    物。
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