JP3077392B2 - エンジンの潤滑装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、エンジンの潤滑装置
に係り、特に潤滑油をオイルパン内に円滑に導くととも
に、落下する潤滑油が駆動チェーンによって攪拌される
のを防止し得るエンジンの潤滑装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】エンジンにおいては、動弁機構、あるい
は、オイルポンプ等の補機を駆動するために、前面側に
クランク軸の回転に伴って連動するタイミングチェーン
やオイルポンプチェーン等の駆動チェーンを設けてい
る。この駆動チェーンは、伸び等が生ずることから、シ
リンダブロック等に別途に設けられたチェーンテンショ
ナあるいはチェーンガイド等により、その張力が一定に
保持されている。これらエンジンの前面側に配置された
駆動チェーン等の部品は、機能維持や安全性のために、
チェーンカバーによって覆われている。

【０００３】また、補機や駆動チェーンには、潤滑装置
によって潤滑油が施されている。

【０００４】このような潤滑装置としては、例えば、実
開平１−９３３１２号公報に開示されている。この公報
に記載のものは、Ｖ型エンジンにおいて、吸込通路と吐
出通路とをシリンダブロック内に形成するとともに、吐
出油通路を機関後部において潤滑油主通路に接続した構
成である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、エンジンの
シリンダヘッド等で各部品を潤滑した潤滑油がチェーン
カバー内を落下してオイルパン内に戻るが、このとき、
この潤滑油が駆動チェーンに当り、潤滑油の落下が阻害
され、潤滑油がオイルパン内に円滑に戻らないという不
都合があった。

【０００６】また、潤滑油が駆動チェーンによって攪拌
されるので、機械的損失（メカロス）が増加するととも
に、ブローバイガス中に潤滑油が混入し易く、しかも、
潤滑油が劣化し易くなるという不都合がある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述の不都合を除去するために、クランク軸の回転に伴っ
て連動する駆動チェーンの張力を調整するチェーンテン
ショナを設け、このチェーンテンショナ及び前記駆動チ
ェーンを覆うチェーンカバーを設けたエンジンにおい
て、前記チェーンテンショナを前記駆動チェーンに接す
る摺動部とこの摺動部を支持するプレート部とから構成
し、このプレート部の少なくとも上部位を前記駆動チェ
ーンに沿って折曲して設け、前記チェーンカバーには前
記チェーンテンショナ側に指向するリブ部を設けたこと
を特徴とする。

【０００８】

【作用】この発明の構成によれば、チェーンテンショナ
のプレート部の少なくとも上部位とチェーンカバーのリ
ブ部とによって駆動チェーンの上方に壁が形成され、こ
れにより落下する潤滑油が駆動チェーンの外側に導か
れ、潤滑油が駆動チェーンに直接当たることがなく、潤
滑油が円滑にオイルパンに戻されるとともに、潤滑油が
駆動チェーンに当たらないので、機械的損失を減少させ
たり、潤滑油がブローバイガス中に混入するのを防止
し、しかも、潤滑油が劣化するのを防止することができ
る。

【０００９】

【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
且つ具体的に説明する。図１、２は、この発明の第１実
施例を示すものである。図１において、２はＶ型のエン
ジン、４はシリンダブロック、６はクランクベアリング
キャップ、８は補機であるオイルポンプ、１０はオイル
パンである。

【００１０】前記シリンダブロック４とクランクベアリ
ングキャップ６とには、クランク軸１２が軸支されてい
る。このクランク軸１２の前側端部位には、タイミング
チェーンスプロケット１４とこのタイミングチェーンス
プロケット１４と重合するオイルポンプチェーンスプロ
ケット（図示せず）とが設けられている。

【００１１】前記クランクベアリングキャップ６の下部
位には、オイルポンプ保持体１６が固設されている。こ
のオイルポンプ保持体１６の下部位には、オイルポンプ
軸１８を軸支するオイルポンプ保持キャップ２０が取付
ボルト２２、２２によって固設されている。

【００１２】前記オイルポンプ１８には、オイルポンプ
スプロケット２４が設けられている。

【００１３】前記オイルポンプ８には、先端側にオイル
ストレーナ２６を有するオイル吸入管２８が連設されて
いる。オイルストレーナ２６は、オイルパン１０内の底
部位に位置している。

【００１４】前記タイミングチェーンスプロケット１４
には、動弁装置のカム軸（図示せず）を回転させる駆動
チェーンであるタイミングチェーン３０が巻掛けられて
いる。

【００１５】また、上述のオイルポンプチェーンスプロ
ケットとオイルポンプスプロケット２４とには、駆動チ
ェーンであるオイルポンプチェーン３２が巻掛けられて
いる。

【００１６】このオイルポンプチェーン３２は、例え
ば、図１の右側上方で外側面に接するチェーンテンショ
ナ３４によって一定の張力に保持され且つ案内されてい
る。

【００１７】このチェーンテンショナ３４は、図１に示
す如く、オイルポンプチェーンスプロケット（図示せ
ず）とオイルポンプスプロケット２４間でオイルポンプ
８の上方に位置して配設されている。

【００１８】このチェーンテンショナ３４は、図２に示
す如く、駆動チェーンであるオイルポンプチェーン３２
の外側面に直接する摺動部３６とこの摺動部３６を支持
するプレート部３８とからなる。

【００１９】このプレート部３８には、図１に示す如
く、プレート固定部材４０が連設されている。このプレ
ート固定部材４０は、上方の一端側が上側支持ボルト４
２によって支持されているとともに、下方の他端側が下
側支持ボルト４４によって支持されている。これら上
側、下側支持ボルト４２、４４は、クランクベアリング
キャップ６の側面に取付けられている。このとき、プレ
ート部３８は、クランクベアリングキャップ６の側面か
ら少許間隙を形成して位置する（図２参照）。

【００２０】前記プレート部３８の上部位３８ａは、図
２に示す如く、前記オイルポンプチェーン３２に沿って
折曲して設けられている。これにより、プレート部３８
は、図２に示す如く、断面Ｌ字形状に形成される。

【００２１】これらオイルポンプチェーン３２等の部品
は、図２に示す如く、機能維持や安全性のために、チェ
ーンカバー４６によって覆われている。

【００２２】このチェーンカバー４６には、図２に示す
如く、チェーンテンショナ３４の例えばプレート部３８
の上部位３８ａ側に指向してリブ部４８が該チェーンカ
バー４６と略直角且つプレート部３８と略直角に連設さ
れている。この図２においては、リブ部４８のリブ先端
面４８ａは、プレート部３８の上部位３８ａから少許離
間している。

【００２３】従って、プレート部３８の上部位３８ａと
リブ部４８とによつて、オイルポンプチェーン３２の上
方で外側には壁が形成され、落下する潤滑油がオイルポ
ンプチェーン１２に当たるのを防止させる構成である。

【００２４】次に、この第１実施例の作用を説明する。

【００２５】図２において、上方から落下する潤滑油
は、チェーンテンショナ３４のプレート部３８の上部位
３８ａとリブ部４８とによって形成される壁により、オ
イルポンプチェーン３２の外側に導かれるので、潤滑油
がオイルポンプチェーン３２に直接当たることがなく、
これにより、潤滑油をオイルパン１０内に円滑に戻すこ
とができ、オイルパン１０内の油面変化を減少させるこ
とができる。

【００２６】また、潤滑油がオイルポンプチェーン３２
によって攪拌されることがないので、機械的損失（メカ
ロス）を減少させ、また、プローバイガス中に潤滑油が
混入するのを防止し、しかも、オイル劣化を低減するこ
とができる。

【００２７】更に、プレート部３８を断面Ｌ字状に形成
したので、チェーンテンショナ３４の強度を向上させる
ことができる。

【００２８】更にまた、プレート部３８及びリブ部４８
のみで潤滑油をオイルポンプチェーン３２の外側に導く
ことができるので、構成が簡単で、しかも部品点数の増
加を防止することができる。

【００２９】なお、この第１実施例においては、図３に
示す如く、プレート部３８の上部位３８ａ及び下部位３
８ｂをオイルポンプチェーン３２に沿って折曲し、プレ
ート部３８を断面Ｕ字状に形成することも可能である。

【００３０】この図３のチェーンテンショナ３４の構成
によれば、プレート部３８の下部位３８ｂにおいても潤
滑油の案内を積極的に行わせることができるとともに、
チェーンテンショナ３４の強度をさらに向上させること
ができる。

【００３１】また、図４に示す如く、チェーンカバー４
６のリブ部４８を摺動部３６側に指向するとともに、リ
ブ部４８のリブ先端面４８ａを摺動部３６の側面３６ａ
に接して設けることも可能である。

【００３２】この図４の構成によれば、リブ部４８とチ
ェーンテンショナ３４との間に隙間が形成されないの
で、潤滑油がオイルポンプチェーン３２側に流出するの
を効果的に防止することができる。

【００３３】図５は、この発明の第２実施例を示すもの
である。

【００３４】この第２実施例においては、上述の第１実
施例と同一機能を果す箇所には同一符号を付して説明す
る。

【００３５】この第２実施例の特徴とするところは、チ
ェーンテンショナ３４を上述の第１実施例の場合と同様
に構成するとともに、チェーンテンショナ３４の下方の
延長部３４Ｄを、オイルポンプスプロケット２４及びオ
イルポンプチェーン３２が上方から完全に覆われるよう
に延設した点にある。

【００３６】この第２実施例の構成によれば、プレート
部３８の上部位３８ａとリブ部４８とで導かれた潤滑油
がオイルポンプスプロケット２４及びオイルポンプチェ
ーン３２を避けて落下するので、潤滑油がオイルポンプ
チェーン３２等で攪拌されることがなく、潤滑油をオイ
ルパン１０内にさらに円滑に導かせ、しかも、機械的損
失等をさらに減少させることができる。

【００３７】なお、上述の実施例においては、オイルポ
ンプチェーン３２について説明したが、タイミングチェ
ーン３０や他の補機のチェーンについても、同様にチェ
ーンテンショナ３４を設けることも可能である。

【００３８】

【発明の効果】以上詳細な説明から明らかなようにこの
発明によれば、チェーンテンショナを駆動チェーンに接
する摺動部と摺動部を支持するプレート部とから構成
し、プレート部の少なくとも上部位を駆動チェーンに沿
って折曲して設け、チェーンカバーにはチェーンテンシ
ョナ側に指向するリブ部を設けたことにより、チェーン
テンショナのプレート部の上部位とチェーンカバーのリ
ブ部とによって駆動チェーンの上方に壁が形成され、こ
れにより、落下する潤滑油が駆動チェーンの外側に導か
れ、潤滑油が駆動チェーンに直接当たることがなく、潤
滑油を円滑にオイルパンに戻すとともに、潤滑油が駆動
チェーンに当たらないので、機械的損失を減少させた
り、潤滑油がブローバイガス中に混入するのを防止し、
しかも、潤滑油が劣化するのを防止し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例のエンジンの潤滑装置の一部正面図
である。

【図２】図１における〓−〓線によるエンジンの潤滑装
置の断面図である。

【図３】第１実施例における一の変形例のエンジンの潤
滑装置の断面図である。

【図４】第１実施例における他の変形例のエンジンの潤
滑装置の断面図である。

【図５】第２実施例のエンジンの潤滑装置の一部正面図
である。

【符号の説明】

２ エンジン ４ シリンダブロック ８ オイルポンプ ３２ オイルポンプチェーン ３４ チェーンテンショナ ３６ 摺動部 ３８ プレート部 ４６ チェーンカバー ４８ リブ部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランク軸の回転に伴って連動する駆動
   チェーンの張力を調整するチェーンテンショナを設け、
   このチェーンテンショナ及び前記駆動チェーンを覆うチ
   ェーンカバーを設けたエンジンにおいて、前記チェーン
   テンショナを前記駆動チェーンに接する摺動部とこの摺
   動部を支持するプレート部とから構成し、このプレート
   部の少なくとも上部位を前記駆動チェーンに沿って折曲
   して設け、前記チェーンカバーには前記チェーンテンシ
   ョナ側に指向するリブ部を設けたことを特徴とするエン
   ジンの潤滑装置。