JP3017829B2 - けい酸カルシウム焼結体及びその製造方法 - Google Patents
けい酸カルシウム焼結体及びその製造方法Info
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Description
結体及びその製造方法に関する。特に曲げ強度などの機
械的性質や耐熱衝撃性に優れた低熱膨張、高強度を有す
るけい酸カルシウム焼結体及びその製造方法に関するも
のである。
火性、保温性、加工性などに優れている上に比較的低価
格で、すでに建材、その他の多くの工業材料に広く用い
られている。しかし、けい酸カルシウム系材料は、いま
だ建材以外の分野で、高度利用に供されている段階まで
には至っていないのが現状である。
な用途は、けい酸カルシウム板、パイル、耐火被覆材、
保温材などであり、これをさらに付加価値の高い高度利
用の用途に用いるまで各種特性の改善がなされていな
い。
い酸カルシウム系材料にカサ比重をもたせ、これを高温
で焼成することにより高強度焼結体とし、その加工性を
保持したままで耐熱性、耐圧強度を大幅に改善させるこ
とに成功し、その結果この焼結体を、熱間成形用型に適
用出来るなど、従来では考えられなかったけい酸カルシ
ウム焼結体の高度利用のための技術を開発し、これを特
開平1−164767号としてすでに提案した。
断熱性には優れているが、耐熱衝撃性が劣り、これが改
善されるとその用途が一段と開けることが期待される材
料である。すでに特開昭62−143855号は、けい
酸カルシウム系材料の耐熱衝撃性を改善しようとして提
案しているが、しかしこのものは建材を対象とした成形
体で焼結体でなく、しかもこの中には高強度を有するけ
い酸カルシウム焼結体についてその耐熱衝撃性の改善を
示すものは何ら存しない。
ルシウム焼結体であって、強度などの機械的性質やその
耐熱衝撃性を大幅に改善し低熱膨張性、高強度焼結体を
得ようとするものである。
アルミノけい酸塩とウォラストナイトとからなり、リチ
ウム−アルミノけい酸塩の含有量が5〜90重量%で、
かつその熱膨張係数が−120×10-7〜+20×10
-7(/℃)、またその粒径が1〜100μmであって、
焼結体の熱膨脹係数が−65×10-7〜+65×10-7
(/℃)であることを特徴とするけい酸カルシウム焼結
体(請求項1)およびトバモライト、ゾノトライト及び
ウォラストナイトの少なくとも1種からなるけい酸カル
シウム結晶の10〜95重量%と、ユ−クリプタイト、
スポジューメン及びペタライトの少なくとも1種からな
るリチウム−アルミノけい酸塩の90〜5重量%との混
合物で成形体を成形し、これを900〜1300℃で焼
成することを特徴とするけい酸カルシウム焼結体の製造
方法(請求項2)である。以下に、これらの発明を説明
する。
は、その組成がリチウム−アルミノけい酸塩(以下に
「LAS」という。)とウォラストナイトの2成分から
成る。即ち、ウォラストナイトの特性の長所を残しなが
ら、その欠点を限定されたLASを配合するだけで改善
せんとするものである。
ストナイト、β−ウォラストナイトのいずれでもよい。
このウォラストナイトは、トバモライト、ゾノトライト
が焼成時にウォラストナイトに転位したものでもよい。
さらに、α−ウォラストナイトはβ−ウォラストナイト
から転位したものでもよい。また、最初からα−ウォラ
ストナイト、β−ウォラストナイトであったものでもよ
い。
数を−120×10-7〜+20×10-7(/℃)とす
る。ここに用いるLASとして、熱膨脹係数が−120
×10-7 (/℃)以下のものを得るのは、合成或いは天
然のいずれのLASにおいても困難である。また、熱膨
脹係数の上限を+20×10-7(/℃)としたのは、こ
れ以上の熱膨脹係数を有するLASを添加しても、けい
酸カルシウムの耐熱衝撃性があまり改善されない。LA
Sの熱膨張係数のさらに好ましい範囲は、−120×1
0-7〜+5×10-7(/℃)である。
0μmの範囲とする。これを1μm未満とすることは、
微粉砕が困難で得策でない。また、LASの粒径が10
0μmを超えると焼結体の強度が低下し好ましくない。
粒子径のより好ましい範囲は1〜50μmである。さら
に好ましい範囲は1〜10μmである。
量%の範囲で配合される。しかも、その焼結体の熱膨脹
係数を−65×10-7〜+65×10-7(/℃)とす
る。LASの添加量が5重量%未満の場合は、熱膨脹係
数が最小値のLASを配合しても、得られる焼結体の熱
膨脹係数の値を+65×10-7(/℃)まで下げること
は出来ず、従って焼結体の熱衝撃特性の改善効果も十分
ではない。こうした焼結体は、熱膨張係数が比較的大き
いために寸法変化も大きく、精度が落ち良好な材料とは
なり得ない。
緻密化しなくなる。LASのさらに好適な混合比は、1
5〜90重量%である。このLASの添加量は、使用す
るLASの熱膨張係数、得られるけい酸カルシウム焼結
体の熱膨脹係数及びそれに基ずく耐熱衝撃性などとの関
連で上記範囲内で具体的に決定される。
カルシウム焼結体の製造方法である。ここで使用される
原料は、けい酸カルシウム結晶とLASの2成分であ
る。けい酸カルシウム結晶は、トバモライト、ゾノトラ
イト及びウォラストナイトの中の1種又は複数の混合物
からなるものを用いる。また、これに混合されるLAS
は、ユ−クリプタイト、スポジューメンのα又はβ型、
それにペタライトの1種又は複数からなるものである。
してもよく、またすでに公知な方法で製造したものを用
いることもできる。けい酸カルシウムを製造するには、
例えばけい酸質原料と石灰質原料との混合物に水を加
え、これをオ−トクレ−ブ中で水熱合成反応する。ここ
に用いるけい酸質原料としては、珪石、珪砂、シリカフ
ラワ−、珪藻土などであり、また、石灰質原料として
は、生石灰、消石灰、セメントなど公知なものが何れも
使用できる。けい酸カルシウム結晶としては、トバモラ
イト、ゾノトライト、ウォラストナイトの中の1種又は
複数種の混合物を用いることができる。
でも合成したものでも使用できる。合成のものは、広い
範囲でその熱膨張係数を変えることができるので好都合
である。LASの合成は、例えばLi2 O原料、Al2
O3 原料、SiO2 原料から所定配合比の原料バッチ
を、溶融,冷却してガラスフリットを得、次いでこのガ
ラスフリットに所定の結晶化処理を施し製造するもので
ある。
リチウム、炭酸リチウムなど、Al2 O3 原料として
は、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、カリ長
石、カオリンなど、SiO2 原料としては、珪砂、カリ
長石、ソ−ダ長石などが使用される。LASとしては、
ペタライト、スポジュ−メン、ユ−クリプタイトの中の
1種又は複数種の混合物を用いることが出来る。
ナ、シリカの比が、1:1:6のリチア長石の外、同比
が、1:1:3、1:1:10、1:1:12及び1:
1:15のものも用いることが出来る。
合物は、これを従来から公知な方法で成形体に成形す
る。成形方法としては、例えば抄造法、湿式プレス法、
乾式プレス法などが好適に使用できる。この成形体は、
900〜1300℃の焼成温度で焼成して焼結体とす
る。
ストナイトの焼結に要する時間が長くかかり、工業生産
する上で好ましくない。また、焼成温度が1300℃を
超えるとウォラストナイトの融点に接近し、局所的にガ
ラス化が進行し好ましくない。この焼成温度まで昇温し
た後所定の時間、例えば5〜6時間保持し徐冷して製品
を得る。
し、併せて得られたものについての試験について説明す
る。
石を用い、CaO:SiO2 がモル比で1:1となるよ
うに混合した。この原料100重量部に対し水400重
量部を加え、220℃でオ−トクレ−ブ処理してゾノト
ライトを得て、これを120℃で乾燥させてゾノトライ
ト結晶の乾燥粉末とした。
作製した。重量比で、SiO2 ,71%、Al2 O3 ,
21%、Li2 O,5%、CaO,3%になるように、
けい砂、アルミナ、炭酸リチウム、炭酸カルシウムを調
合した。この原料バッチを1600℃にて5時間溶融
し、その後冷却しガラスフリットを得た。
/分で、750℃2時間、850℃2時間、1250℃
2時間それぞれ保持した。徐冷後、これをX線回折した
ところ、このものの組成は、β−スポジュ−メンである
ことが確認された。また、その熱膨脹係数は+5×10
-7(/℃)であった。このβ−スポジュ−メンを、エタ
ノ−ルを溶媒にしたアルミナ振動ミルで湿式粉砕し、そ
の粒径を2μmとした。 焼成後の焼結体中のウォラス
トナイトを重量比で90%、β−スポジュ−メンを重量
比で10%となるように上記のゾノトライトとβ−スポ
ジュ−メンとを配合して、エタノ−ルを溶媒にしたボ−
ルミルで24時間湿式混合した後、これを乾燥して試料
粉末とした。
/分で1100℃まで昇温したのち、1100℃で5時
間保持し、その後炉冷した。
加量を変化させたものであり、また実施例5のものは、
更にLASの粒径も変化させたものである。ここに得ら
れた焼結体について次の実験を行ない、結果を表1に示
した。
おける値であり、その測定は、焼結体より直径5mm、長
さ15mmの試料を取り出し、昇温速度20℃/分の条件
で示差型熱膨張計を用いて行った。限界熱衝撃温度差
は、4×4×35mmの試料を取り出し、これに通常の水
中急冷法により熱衝撃を与えた後、JIS R 1601 に定め
る3点曲げ強度試験を行い、強度が低下するときの温度
差より定めた。この場合の熱衝撃温度差は、室温から1
000℃までの範囲で、50℃毎に与えた。
10-7(/℃)が優で◎、−65×10-7〜+65×1
0-7(/℃)の範囲で上記の優の範囲を除いたものが良
で○、優及び良の範囲以外のものを不可で×とした。
◎、100〜200℃が良で○、0〜100℃を不可で
×とした。曲げ強度では500kgf /cm2 以上が優で
◎、300〜500kgf /cm 2 が良で○、300kgf /
cm2 未満は不可で×とした。
(優)であるものを◎、いずれかの項目に○(良)があ
ったものは○、いずれかの項目に×(不可)のあったも
のは×で表した。
結果を得ている。特に、評価◎のものは、いずれの試験
でも良好であるので、熱間プレスなどの成形型材として
十分に使用することが出来るものであった。
2 Oが10%、TiO2 が5%となるように、けい砂、
アルミナ、炭酸リチウム、チタニアを調合した。この原
料バッチを1600℃にて5時間溶融し、その後冷却し
てガラスフリットを得た。このガラスフリットを、昇温
速度5℃/分として750℃で2時間、850℃で2時
間保持して焼成し、結晶化ガラスを得た。このものをX
線回折したところ、この組成はβ−ユ−クリプタイトで
あることが確認され、その熱膨張係数を測定したとこ
ろ、−100×10-7(/℃)であった。
を溶媒にしたアルミナ振動ミルで湿式粉砕し、その粒径
を2μmとした。
重量比で95%、上記β−ユ−クリプタイトが5%にな
るように実施例1のゾノトライトを配合し、これをエタ
ノ−ルを溶媒にしたボ−ルミルで24時間湿式混合した
後、乾燥して試料粉末とした。 この試料粉末を成形し
た後、昇温速度5℃/分で1100℃まで昇温したの
ち、1100℃で5時間保持し、その後炉冷した。
ものに対しLASの添加量を変化させたものであり、実
施例9のものは、添加量及び焼成温度を変化させたもの
(900℃)であり、また実施例10のものは、更にL
ASの粒径も変化させたものである。
同様な実験を行ない、結果を表2に示した。
得ている。
ラストナイトを10%、天然産のLASとしてα−スポ
ジュ−メンを10%、外にペタライトを10%使用した
以外は実施例7と同様にして焼結体を得た。この焼結体
について実施例1と同様な実験を行い、結果を表3に示
した。
焼結体について実施例1と同様な実験を行い、結果を表
4に示した。
を少量混合した事例である。いずれも焼結体の熱膨脹係
数、限界熱衝撃温度差の値がよくない。
である。比較例3,4は、LASの粒度が大きい場合で
あり、この焼結体は曲げ強度が落ちる。
どの機械的強度を損なうことなく、耐熱衝撃性を大幅に
向上させた低熱膨張、高強度けい酸カルシウム焼結体を
製造することができ、従ってその焼結体は従来になく高
度利用が可能となった。
Claims (2)
- 【請求項1】 リチウム−アルミノけい酸塩とウォラス
トナイトとからなり、リチウム−アルミノけい酸塩の含
有量が5〜90重量%で、かつその熱膨張係数が−12
0×10-7〜+20×10-7(/℃)、またその粒径が
1〜100μmであって、焼結体の熱膨脹係数が−65
×10-7〜+65×10-7 (/℃)であることを特徴と
するけい酸カルシウム焼結体。 - 【請求項2】 トバモライト、ゾノトライト及びウォラ
ストナイトの少なくとも1種からなるけい酸カルシウム
結晶の10〜95重量%と、ユ−クリプタイト、スポジ
ュ−メン及びペタライトの少なくとも1種からなるリチ
ウム−アルミノけい酸塩の90〜5重量%との混合物で
成形体を成形し、これを900〜1300℃で焼成する
ことを特徴とするけい酸カルシウム焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9171691A JP3017829B2 (ja) | 1991-03-29 | 1991-03-29 | けい酸カルシウム焼結体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9171691A JP3017829B2 (ja) | 1991-03-29 | 1991-03-29 | けい酸カルシウム焼結体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04305046A JPH04305046A (ja) | 1992-10-28 |
JP3017829B2 true JP3017829B2 (ja) | 2000-03-13 |
Family
ID=14034236
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9171691A Expired - Lifetime JP3017829B2 (ja) | 1991-03-29 | 1991-03-29 | けい酸カルシウム焼結体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3017829B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20210078786A (ko) * | 2019-12-19 | 2021-06-29 | 한국세라믹기술원 | 저열팽창 las계 세라믹 소재 및 이의 제조방법 |
-
1991
- 1991-03-29 JP JP9171691A patent/JP3017829B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20210078786A (ko) * | 2019-12-19 | 2021-06-29 | 한국세라믹기술원 | 저열팽창 las계 세라믹 소재 및 이의 제조방법 |
KR102368968B1 (ko) | 2019-12-19 | 2022-02-28 | 한국세라믹기술원 | 저열팽창 las계 세라믹 소재 및 이의 제조방법 |
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Publication number | Publication date |
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JPH04305046A (ja) | 1992-10-28 |
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