JP2631445B2 - 微結晶質焼結体とその製造方法 - Google Patents
微結晶質焼結体とその製造方法Info
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- JP2631445B2 JP2631445B2 JP5261989A JP26198993A JP2631445B2 JP 2631445 B2 JP2631445 B2 JP 2631445B2 JP 5261989 A JP5261989 A JP 5261989A JP 26198993 A JP26198993 A JP 26198993A JP 2631445 B2 JP2631445 B2 JP 2631445B2
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- sio
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- Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス屑の廃材を主原
料とし少量のカルシウムシリケート乃至カルシウムアル
ミネートを副原料として形成され、業界最初に天然と同
一のβCaO・SiO2の針状結晶を主に構成されたセ
ラミックス系の焼結体とその製造方法に係り、特に、軽
量曲げ強度が高く、耐衝撃力が大で熱膨脹率が低く、低
コストで製造し得て主に建設乃至は工業材料として広く
利用される可能性が大である微結晶質焼結体とその製造
方法に関する。
料とし少量のカルシウムシリケート乃至カルシウムアル
ミネートを副原料として形成され、業界最初に天然と同
一のβCaO・SiO2の針状結晶を主に構成されたセ
ラミックス系の焼結体とその製造方法に係り、特に、軽
量曲げ強度が高く、耐衝撃力が大で熱膨脹率が低く、低
コストで製造し得て主に建設乃至は工業材料として広く
利用される可能性が大である微結晶質焼結体とその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス組成物に結晶核形成剤を加えて溶
融しガラス相の製品とした後、再加熱および冷却条件を
精密にコントロールしながら前記ガラス相に0.02乃
至20[ミクロン]程度の微結晶を均一に分布生成させ
て製造されるガラスセラミック製品が従来よりある。当
該ガラスセラミック製品はパイロセラム(米国コーニン
グ社開発のもの)およびネオセラム(我国で開発のも
の)として広く実用化されている。前記ガラスセラミッ
ク製品は前記のようにガラス組成物と結晶核形成剤を高
温度で溶融し所定形状に成形して第一次製品としてから
結晶化処理をして最終製品とするものである。また、前
記のものはガラス組成物としてはLi2O−Al2O3−
SiO2系又はMgO−Al2O3−SiO2系が使用さ
れ、結晶核形成剤としては金,銀等の貴金属,銅又は酸
化チタンを使用するものでいずれも高価なものである。
また、イタリヤで製造されたガラスモザイクタイルがあ
るが、これはガラスカレット(ガラス屑)に粗粒子の珪
砂粉末を入れ、再溶融し成形して製作されるもので結晶
化されたものではない。また、ガラスを主原料として粘
土,珪石等を配合し、粉末成形した後に800[℃]程
度の低温で焼成して製作されるタイルが研究されている
が、この物は低温度で急速に軟化変形し、かつ著しい収
縮率を有することから実用化されるまでに到っていな
い。また、ガラスセラミックスとして近年市場に普及さ
れている商品名ネオパリエと称するガラス板がある。こ
のものは粒度を調整したガラスカレット又はガラス粉末
を金属又は耐久物の平板上に敷いて900[℃]乃至1
000[℃]で再溶融して形成されるものであるが、ガ
ラスの軟化点600[℃]乃至800[℃]で急速に変
化し、形状,寸法精度を要求される製品には適用し得な
い。
融しガラス相の製品とした後、再加熱および冷却条件を
精密にコントロールしながら前記ガラス相に0.02乃
至20[ミクロン]程度の微結晶を均一に分布生成させ
て製造されるガラスセラミック製品が従来よりある。当
該ガラスセラミック製品はパイロセラム(米国コーニン
グ社開発のもの)およびネオセラム(我国で開発のも
の)として広く実用化されている。前記ガラスセラミッ
ク製品は前記のようにガラス組成物と結晶核形成剤を高
温度で溶融し所定形状に成形して第一次製品としてから
結晶化処理をして最終製品とするものである。また、前
記のものはガラス組成物としてはLi2O−Al2O3−
SiO2系又はMgO−Al2O3−SiO2系が使用さ
れ、結晶核形成剤としては金,銀等の貴金属,銅又は酸
化チタンを使用するものでいずれも高価なものである。
また、イタリヤで製造されたガラスモザイクタイルがあ
るが、これはガラスカレット(ガラス屑)に粗粒子の珪
砂粉末を入れ、再溶融し成形して製作されるもので結晶
化されたものではない。また、ガラスを主原料として粘
土,珪石等を配合し、粉末成形した後に800[℃]程
度の低温で焼成して製作されるタイルが研究されている
が、この物は低温度で急速に軟化変形し、かつ著しい収
縮率を有することから実用化されるまでに到っていな
い。また、ガラスセラミックスとして近年市場に普及さ
れている商品名ネオパリエと称するガラス板がある。こ
のものは粒度を調整したガラスカレット又はガラス粉末
を金属又は耐久物の平板上に敷いて900[℃]乃至1
000[℃]で再溶融して形成されるものであるが、ガ
ラスの軟化点600[℃]乃至800[℃]で急速に変
化し、形状,寸法精度を要求される製品には適用し得な
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、パイ
ロセラムやネオセラムのようなセラミック焼成品は構成
材料が高価であり実用的ではない。また、ガラス材の場
合にはその軟化点で急速に変形し、大きな収縮を示すと
共に熱の急変化に対して弱く、焼成時の冷却過程で熱ワ
レが発生する。この欠点を解決するため、例えば、Si
O2,Al2O3,CaO等の原料を加えて成分調整して
も、主原料であるガラス粒子の溶融が約800[℃]以
下の低温度で起った後に周辺の化学成分との反応が開始
されるため、焼成過程では極めて不安定な状態となり、
変形,亀裂を解消することは難しい。
ロセラムやネオセラムのようなセラミック焼成品は構成
材料が高価であり実用的ではない。また、ガラス材の場
合にはその軟化点で急速に変形し、大きな収縮を示すと
共に熱の急変化に対して弱く、焼成時の冷却過程で熱ワ
レが発生する。この欠点を解決するため、例えば、Si
O2,Al2O3,CaO等の原料を加えて成分調整して
も、主原料であるガラス粒子の溶融が約800[℃]以
下の低温度で起った後に周辺の化学成分との反応が開始
されるため、焼成過程では極めて不安定な状態となり、
変形,亀裂を解消することは難しい。
【0004】一方、本願の発明者は特許登録番号172
6273号の「陶磁器質焼結体の製造方法」に示すよう
に、天然又は人工のガラス質の原料に水硬性セメント
(水和反応化合物の一種)を加えて成形,焼成,焼結し
てなる陶磁器製品の製造方法について登録を受け実用化
しているが、その研究過程において次の現象を確認し
た。すなわち、ガラス質の特定の組成範囲においてガラ
ス粉末に水和反応化合物を混在させて焼成すると水和反
応化合物の熱分解時に発生する[K2O+Na2O]及び
CaO成分を含む熱アルカリ蒸気が成型体内の圧縮され
た状態にあるガラス粒子に約200[℃]の低温度域か
ら熱水反応を起し当該ガラス粒子を失透させる(結晶化
させる)と共に、水和反応化合物の結晶水が完全に脱水
する温度まで前記反応が続く。そのため、結晶化が微細
となり、ガラス粒子はNa2O−3CaO−6SiO2の
デビトライトの結晶が生成されることが熱分析(D・T
・A)で確認された。
6273号の「陶磁器質焼結体の製造方法」に示すよう
に、天然又は人工のガラス質の原料に水硬性セメント
(水和反応化合物の一種)を加えて成形,焼成,焼結し
てなる陶磁器製品の製造方法について登録を受け実用化
しているが、その研究過程において次の現象を確認し
た。すなわち、ガラス質の特定の組成範囲においてガラ
ス粉末に水和反応化合物を混在させて焼成すると水和反
応化合物の熱分解時に発生する[K2O+Na2O]及び
CaO成分を含む熱アルカリ蒸気が成型体内の圧縮され
た状態にあるガラス粒子に約200[℃]の低温度域か
ら熱水反応を起し当該ガラス粒子を失透させる(結晶化
させる)と共に、水和反応化合物の結晶水が完全に脱水
する温度まで前記反応が続く。そのため、結晶化が微細
となり、ガラス粒子はNa2O−3CaO−6SiO2の
デビトライトの結晶が生成されることが熱分析(D・T
・A)で確認された。
【0005】一方、従来よりガラスカレットは回収され
てリサイクルされていたが、近年では特に有色瓶などは
分別するためのコストが高いためリサイクルされずに廃
棄される場合が多くその処理に困っていた、また、一般
にガラスカレットのリサイクルは付加価値が低く製品化
コストが合わない問題点があった。
てリサイクルされていたが、近年では特に有色瓶などは
分別するためのコストが高いためリサイクルされずに廃
棄される場合が多くその処理に困っていた、また、一般
にガラスカレットのリサイクルは付加価値が低く製品化
コストが合わない問題点があった。
【0006】本発明は、以上の事情に鑑みて創案された
ものであり、ガラスとして最も広く普及されているソー
ダ,石灰ガラスが使用出来、そのガラスカレットのリサ
イクル後の製品価値が高く、かつ曲げ強度が高く、熱膨
脹率が低く、低コストで製造し得る微結晶質焼結体とそ
の製造方法を提供することを目的とする。
ものであり、ガラスとして最も広く普及されているソー
ダ,石灰ガラスが使用出来、そのガラスカレットのリサ
イクル後の製品価値が高く、かつ曲げ強度が高く、熱膨
脹率が低く、低コストで製造し得る微結晶質焼結体とそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記したように、SiO
2,Al2O3,MgO,CaO等のガラス質の微粉砕粒
子にCaO−SiO2−H2O系又はCaO−Al2O3−
H2O系の水和反応化合物を混在させると、CaO成分
を含む熱アルカリ蒸気によりガラス粒子が低温度から熱
水反応を起し、矢透し結晶化しガラスの軟化点である6
50[℃]付近ではガラス粒子は殆ど矢透し結晶化され
る。そのためガラス特有の軟化変形が全く生じない。そ
の結果、正確な形状を保ち、一般の陶磁器質と同じ焼成
条件で焼成することが出来る。水硬性セメントの代表的
なポルトランドセメントの場合、結晶水の脱水は260
[℃]から480[℃]迄に起るが、ガラス質との混合
比や加熱条件,昇温速度等の成形焼成条件を工夫するこ
とにより700[℃]位まで脱水が残存させることが出
来る。また、珪酸カルシウム系の気泡軽量コンクリート
(A・L・C)のようなトベモライト結晶相のものは7
50[℃]まで結晶水の残存が可能であり、更に、ゾノ
トライト結晶相のものは約1000[℃]まで結晶水の
脱水が残存させることが出来る。すなわち、水和反応化
合物の選択により蒸発水の残存する温度の調整が可能で
ある。以上のように特定の成分のガラス組成物と水和反
応化合物とを混在調整し一定温度で加熱焼成して得られ
た焼結物は乳白色の磁器質からなり、X線回析によると
βCaO・SiO2(β型フラストナイト)の微細な針
状結晶体と微量β2CaO・SiO2(ラーナイト)の
粉状結晶物が形成されることがわかった。針状結晶のβ
CaO・SiO2は普通天然物にしか存在せず人工的に
合成された場合は偽ワラストとなり針状結晶とならない
ものである。そのため、本発明の焼結物はβCaO・S
iO2を主晶とするため曲げ強度が高いものとなった。
また、吸水率が低く膨脹率も低い特性を有するものが得
られる。
2,Al2O3,MgO,CaO等のガラス質の微粉砕粒
子にCaO−SiO2−H2O系又はCaO−Al2O3−
H2O系の水和反応化合物を混在させると、CaO成分
を含む熱アルカリ蒸気によりガラス粒子が低温度から熱
水反応を起し、矢透し結晶化しガラスの軟化点である6
50[℃]付近ではガラス粒子は殆ど矢透し結晶化され
る。そのためガラス特有の軟化変形が全く生じない。そ
の結果、正確な形状を保ち、一般の陶磁器質と同じ焼成
条件で焼成することが出来る。水硬性セメントの代表的
なポルトランドセメントの場合、結晶水の脱水は260
[℃]から480[℃]迄に起るが、ガラス質との混合
比や加熱条件,昇温速度等の成形焼成条件を工夫するこ
とにより700[℃]位まで脱水が残存させることが出
来る。また、珪酸カルシウム系の気泡軽量コンクリート
(A・L・C)のようなトベモライト結晶相のものは7
50[℃]まで結晶水の残存が可能であり、更に、ゾノ
トライト結晶相のものは約1000[℃]まで結晶水の
脱水が残存させることが出来る。すなわち、水和反応化
合物の選択により蒸発水の残存する温度の調整が可能で
ある。以上のように特定の成分のガラス組成物と水和反
応化合物とを混在調整し一定温度で加熱焼成して得られ
た焼結物は乳白色の磁器質からなり、X線回析によると
βCaO・SiO2(β型フラストナイト)の微細な針
状結晶体と微量β2CaO・SiO2(ラーナイト)の
粉状結晶物が形成されることがわかった。針状結晶のβ
CaO・SiO2は普通天然物にしか存在せず人工的に
合成された場合は偽ワラストとなり針状結晶とならない
ものである。そのため、本発明の焼結物はβCaO・S
iO2を主晶とするため曲げ強度が高いものとなった。
また、吸水率が低く膨脹率も低い特性を有するものが得
られる。
【0008】具体的には、本発明は、以上の目的を達成
するために、SiO260[%]乃至75[%],Al2
O31[%]乃至6[%],MgOが0[%]乃至4
[%],CaO5[%]乃至15[%],K2O+Na2
がO9[%]乃至15[%]の化学成分からなるガラス
及び/又は人工的に合成されたガラス質の微粉砕粉末小
計100重量と、CaO−SiO2系又はCaO−Al2
O3系の単独又は両者を含む水和反応化合物10重量乃
至50重量とが混合調整されており、焼成されている焼
結体であって、βCaO・SiO2の針状結晶が重量で
全体の1[%]以上80[%]以下含まれてなる微結晶
質焼結体を構成するものである。また、その製造方法と
してはSiO2を60[%]乃至75[%],Al2O3
を1[%]乃至6[%],MgOを0[%]乃至4
[%],CaOを5[%]乃至15[%],K2O+N
a2Oを9[%]乃至15[%]とを含有する化学成分
からなる板ガラス,瓶ガラス及び人工的に合成されたガ
ラス質を微粉砕してガラス粉末としたものを主原料と
し、該主原料の重量比100[%]にCaO−SiO2
−H2O系又はCaO−Al2O3−H2Oの単独又は両者
を含む水和反応化合物を重量比で10[%]乃至50
[%]加え、必要により成形助剤を重量で0.1[%]
乃至1[%]を添加し均一に混合調整した後、該組成物
を乾式又は湿式で所望の形状に成形し、乾燥した後、ア
ルカリ性の[K2O+Na2O]及びCaOの水蒸気の水
熱加熱過程を経て1000[℃]以上1250[℃]以
下の温度範囲で焼成,焼結されることを特徴とする。ま
た、更に、具体的には、前記水和反応化合物が、ポルト
ランドセメント,高炉セメント,アルミナセメントから
生成されるもの及び珪酸カルシウム系組成分を水熱合成
して生成してなるトバモライト{3CaO・2SiO2
・3H2O}及びゾノトライト{Ca6(Si6O17)
(OH)2}等の1つ以上のものが採用される。
するために、SiO260[%]乃至75[%],Al2
O31[%]乃至6[%],MgOが0[%]乃至4
[%],CaO5[%]乃至15[%],K2O+Na2
がO9[%]乃至15[%]の化学成分からなるガラス
及び/又は人工的に合成されたガラス質の微粉砕粉末小
計100重量と、CaO−SiO2系又はCaO−Al2
O3系の単独又は両者を含む水和反応化合物10重量乃
至50重量とが混合調整されており、焼成されている焼
結体であって、βCaO・SiO2の針状結晶が重量で
全体の1[%]以上80[%]以下含まれてなる微結晶
質焼結体を構成するものである。また、その製造方法と
してはSiO2を60[%]乃至75[%],Al2O3
を1[%]乃至6[%],MgOを0[%]乃至4
[%],CaOを5[%]乃至15[%],K2O+N
a2Oを9[%]乃至15[%]とを含有する化学成分
からなる板ガラス,瓶ガラス及び人工的に合成されたガ
ラス質を微粉砕してガラス粉末としたものを主原料と
し、該主原料の重量比100[%]にCaO−SiO2
−H2O系又はCaO−Al2O3−H2Oの単独又は両者
を含む水和反応化合物を重量比で10[%]乃至50
[%]加え、必要により成形助剤を重量で0.1[%]
乃至1[%]を添加し均一に混合調整した後、該組成物
を乾式又は湿式で所望の形状に成形し、乾燥した後、ア
ルカリ性の[K2O+Na2O]及びCaOの水蒸気の水
熱加熱過程を経て1000[℃]以上1250[℃]以
下の温度範囲で焼成,焼結されることを特徴とする。ま
た、更に、具体的には、前記水和反応化合物が、ポルト
ランドセメント,高炉セメント,アルミナセメントから
生成されるもの及び珪酸カルシウム系組成分を水熱合成
して生成してなるトバモライト{3CaO・2SiO2
・3H2O}及びゾノトライト{Ca6(Si6O17)
(OH)2}等の1つ以上のものが採用される。
【0009】
【作用】請求項1に示した化学成分のガラスはソーダ,
石灰ガラスであり、最も広く普及されるものでガラスカ
レットも容易に、かつ安価に入手し得るものである。ガ
ラス組成物を主原料とし、これに融点の高いCaO−S
iO2−H2O系又はCaO−Al2O3−H2O系の水和
反応化合物を混在し、調整し乾燥,成形焼成することに
より前記水和反応化合物の熱分解時に発生する熱アルカ
リ蒸気が成形型内で圧縮されて封入された状態でガラス
粒子に約200[℃]の低温度域から熱水反応し、ガラ
スは矢透し、軟化変形を起すことなく結晶化する。その
結晶体には微結晶のβCaO・SiO2やβ2CaO・
SiO2の微粒子が分散し、収縮率を小さくすると共に
熱衝撃に強く、切断加工が出来る結晶体を形成する。そ
のため、寸法,形状精度の優れた建物用セラミックス材
を作ることが出来る。なお、ガラス組成物の主原料の重
量比100[%]に対し、水和反応化合物の混在率を1
0[%]乃至50[%]としたのは10[%]未満では
組織の焼結が不十分になり、50[%]を超えると融点
が上り過ぎ焼結が不十分になるためである。また、K2
O+Na2Oを9[%]乃至15[%]を存在させるの
はこれ等のアルカリ材が融点を下げる効果があり、前記
重量比の水和反応化合物との融点調整に前記[%]の範
囲が最適であると実証されたためである。また、焼成温
度を1000[℃]乃至1250[℃]としたのは10
00[℃]未満では焼結が不十分となりβCaO・Si
O2の結晶形成が不十分となり、1250[℃]を超え
ると熔解部分が多くなりβCaO・SiO2の生成が少
なくなり過ぎ、曲げ強度の向上効果が少なくなるためで
ある。本発明品は微結晶が多いため曲げ強度が強く、か
つ耐衝撃力が大となり熱膨脹率も低くなる。
石灰ガラスであり、最も広く普及されるものでガラスカ
レットも容易に、かつ安価に入手し得るものである。ガ
ラス組成物を主原料とし、これに融点の高いCaO−S
iO2−H2O系又はCaO−Al2O3−H2O系の水和
反応化合物を混在し、調整し乾燥,成形焼成することに
より前記水和反応化合物の熱分解時に発生する熱アルカ
リ蒸気が成形型内で圧縮されて封入された状態でガラス
粒子に約200[℃]の低温度域から熱水反応し、ガラ
スは矢透し、軟化変形を起すことなく結晶化する。その
結晶体には微結晶のβCaO・SiO2やβ2CaO・
SiO2の微粒子が分散し、収縮率を小さくすると共に
熱衝撃に強く、切断加工が出来る結晶体を形成する。そ
のため、寸法,形状精度の優れた建物用セラミックス材
を作ることが出来る。なお、ガラス組成物の主原料の重
量比100[%]に対し、水和反応化合物の混在率を1
0[%]乃至50[%]としたのは10[%]未満では
組織の焼結が不十分になり、50[%]を超えると融点
が上り過ぎ焼結が不十分になるためである。また、K2
O+Na2Oを9[%]乃至15[%]を存在させるの
はこれ等のアルカリ材が融点を下げる効果があり、前記
重量比の水和反応化合物との融点調整に前記[%]の範
囲が最適であると実証されたためである。また、焼成温
度を1000[℃]乃至1250[℃]としたのは10
00[℃]未満では焼結が不十分となりβCaO・Si
O2の結晶形成が不十分となり、1250[℃]を超え
ると熔解部分が多くなりβCaO・SiO2の生成が少
なくなり過ぎ、曲げ強度の向上効果が少なくなるためで
ある。本発明品は微結晶が多いため曲げ強度が強く、か
つ耐衝撃力が大となり熱膨脹率も低くなる。
【0010】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。なお、実
施例ではガラス質の主原料に水和反応化合物を混在させ
る重量比[%]を特定するだけでなく、ALC粉末(気
泡軽量コンクリート粉末),コーデライト粉末{コーデ
ィライトセラミックス(2MgO・2A2O3・5SiO
2)の粉末}および成形接着剤のC・M・Cの混在
[%]も特定した実施例が示されている。表1はそれ等
の配合率[%]を示すものである。
施例ではガラス質の主原料に水和反応化合物を混在させ
る重量比[%]を特定するだけでなく、ALC粉末(気
泡軽量コンクリート粉末),コーデライト粉末{コーデ
ィライトセラミックス(2MgO・2A2O3・5SiO
2)の粉末}および成形接着剤のC・M・Cの混在
[%]も特定した実施例が示されている。表1はそれ等
の配合率[%]を示すものである。
【0011】
【表1】
【0012】本実施例における主原料のガラス組成物
(ガラス粉末)は、SiO2を72[%],Al2O3を
2[%],CaOを10[%],Na2Oを14[%]
の化学組成を有する瓶ガラス粉末からなり、水和反応化
合物は市販品のポルトランドセメントを使用し、ALC
粉末,コーディライト粉末も市販品のものが使用され
る。これ等のものを100[メッシュ]以下に粉砕し、
乾燥粉末として配合する。成形は成形水分15[%]を
加えて湿潤粉末としたものを成形圧力250[kg/c
m2]の油圧成形機で加圧して行われ、100[mm]
×50[mm]×10[mm]の成形品を作成した。ま
た、焼成は30[℃]/分の昇温速度に調整したローラ
ハースキルンを用いて耐火板上に成形品を立てて焼成を
行ない高温変形の観察を行った。なお、焼成温度は11
40[℃]にした。その結果、表2に示す特性を有する
焼結物A,B,Cが得られた。
(ガラス粉末)は、SiO2を72[%],Al2O3を
2[%],CaOを10[%],Na2Oを14[%]
の化学組成を有する瓶ガラス粉末からなり、水和反応化
合物は市販品のポルトランドセメントを使用し、ALC
粉末,コーディライト粉末も市販品のものが使用され
る。これ等のものを100[メッシュ]以下に粉砕し、
乾燥粉末として配合する。成形は成形水分15[%]を
加えて湿潤粉末としたものを成形圧力250[kg/c
m2]の油圧成形機で加圧して行われ、100[mm]
×50[mm]×10[mm]の成形品を作成した。ま
た、焼成は30[℃]/分の昇温速度に調整したローラ
ハースキルンを用いて耐火板上に成形品を立てて焼成を
行ない高温変形の観察を行った。なお、焼成温度は11
40[℃]にした。その結果、表2に示す特性を有する
焼結物A,B,Cが得られた。
【0013】
【表2】
【0014】従来の陶磁器質タイルは曲げ強度約270
[kg/cm2]で熱膨脹率は約80×[10-7/℃]
からなり、A,B,Cのいずれの焼結物も従来品よりは
るかに大きい曲げ強度を有し、かつ熱膨脹率も小さいこ
とがわかる。これは前記したように本来人工的には作れ
ないβCaO・SiO2の1[μ]乃至50[μ]の微
細な微結晶相が均一に分散されているためであり、水和
物の脱水により微細な気孔が分散生成し収縮率を少なく
している。なお、これ等の焼結物は切断加工が可能であ
り、建材はセラミックとして極めて好都合のものであ
る。また、ガラスカレットを使用しているため従来品よ
りもはるかに安価に(約1/10)に製作することが出
来る。
[kg/cm2]で熱膨脹率は約80×[10-7/℃]
からなり、A,B,Cのいずれの焼結物も従来品よりは
るかに大きい曲げ強度を有し、かつ熱膨脹率も小さいこ
とがわかる。これは前記したように本来人工的には作れ
ないβCaO・SiO2の1[μ]乃至50[μ]の微
細な微結晶相が均一に分散されているためであり、水和
物の脱水により微細な気孔が分散生成し収縮率を少なく
している。なお、これ等の焼結物は切断加工が可能であ
り、建材はセラミックとして極めて好都合のものであ
る。また、ガラスカレットを使用しているため従来品よ
りもはるかに安価に(約1/10)に製作することが出
来る。
【0015】前記実施例ではガラス組成物の一部をコー
ディライトで置換た場合を示したが、LiO2化合物で
置換すると熱膨脹率が低く耐熱性のある焼結体を得るこ
とが出来る。また、Fe3O4やフェライト粉末を入れて
磁性を有する焼結体を作ることも可能になる。
ディライトで置換た場合を示したが、LiO2化合物で
置換すると熱膨脹率が低く耐熱性のある焼結体を得るこ
とが出来る。また、Fe3O4やフェライト粉末を入れて
磁性を有する焼結体を作ることも可能になる。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、次のような顕著な効果
を奏する。 1)本発明は、現在廃棄されているガラスカレットをリ
サイクル使用し得るもので資源の有効利用と環境保護に
大きく貢献すると共に低コスト(従来の1/10程度)
で製作することが出来る。 2)ソーダ,石灰系のガラス組成物に水和反応化合物を
混在調整して焼成することによりガラスの有する軟化,
変形の欠点が解消され、変形のない高品質の形状の製品
を作ることが出来る。 3)ガラスが低温度から矢透し結晶化すると共に、針状
結晶のβCaO・SiO2の微結晶相が均一に分散する
ため、曲げ強度が大となる。 4)高温度まで脱水が続くため結晶が微細化し、収縮率
を少なくすると共に熱衝撃に強い物性を有するものが製
作される。また、熱膨脹率も低下する。 5)特に針状結晶のβCaO・SiO2(β型珪灰石)
は学術的には天然にしか産出されない鉱物であり人工的
には出来なかったものであるが、本発明は業界最初にこ
のものを焼結体内に生成することが出来たため学術的に
も極めて貴重なデータを提供することになる。
を奏する。 1)本発明は、現在廃棄されているガラスカレットをリ
サイクル使用し得るもので資源の有効利用と環境保護に
大きく貢献すると共に低コスト(従来の1/10程度)
で製作することが出来る。 2)ソーダ,石灰系のガラス組成物に水和反応化合物を
混在調整して焼成することによりガラスの有する軟化,
変形の欠点が解消され、変形のない高品質の形状の製品
を作ることが出来る。 3)ガラスが低温度から矢透し結晶化すると共に、針状
結晶のβCaO・SiO2の微結晶相が均一に分散する
ため、曲げ強度が大となる。 4)高温度まで脱水が続くため結晶が微細化し、収縮率
を少なくすると共に熱衝撃に強い物性を有するものが製
作される。また、熱膨脹率も低下する。 5)特に針状結晶のβCaO・SiO2(β型珪灰石)
は学術的には天然にしか産出されない鉱物であり人工的
には出来なかったものであるが、本発明は業界最初にこ
のものを焼結体内に生成することが出来たため学術的に
も極めて貴重なデータを提供することになる。
Claims (3)
- 【請求項1】 SiO260[%]乃至75[%],A
l2O31[%]乃至6[%],MgOが0[%]乃至4
[%],CaO5[%]乃至15[%],K2O+Na2
がO9[%]乃至15[%]の化学成分からなるガラス
及び/又は人工的に合成されたガラス質の微粉砕粉末小
計100重量と、CaO−SiO2系又はCaO−Al2
O3系の単独又は両者を含む水和反応化合物10重量乃
至50重量とが混合調整されており、焼成されている焼
結体であって、βCaO・SiO2の針状結晶が重量で
全体の1[%]以上80[%]以下含まれていることを
特徴とする微結晶質焼結体。 - 【請求項2】 SiO2を60[%]乃至75[%],
Al2O3を1[%]乃至6[%],MgOを0[%]乃
至4[%],CaOを5[%]乃至15[%],K2O
+Na2Oを9[%]乃至15[%]とを含有する化学
成分からなる板ガラス,瓶ガラス及び人工的に合成され
たガラス質を微粉砕してガラス粉末としたものを主原料
とし、該主原料の重量比100[%]にCaO−SiO
2−H2O系又はCaO−Al2O3−H2Oの単独又は両
者を含む水和反応化合物を重量比で10[%]乃至50
[%]加え、必要により成形助剤を重量で0.1[%]
乃至1[%]を添加し均一に混合調整した後、該組成物
を乾式又は湿式で所望の形状に成形し、乾燥した後、ア
ルカリ性の[K2O+Na2O]及びCaOの水蒸気の水
熱加熱過程を経て1000[℃]以上1250[℃]以
下の温度範囲で焼成,焼結することを特徴とする微結晶
質焼結体の製造方法。 - 【請求項3】 前記水和反応化合物が、ポルトランドセ
メント,高炉セメント,アルミナセメントから生成され
るもの及び珪酸カルシウム系組成分を水熱合成して生成
してなるトバモライト{3CaO・2SiO2・3H
2O}及びゾノトライト{Ca6(Si6O17)(O
H)2}の内から選ばれた1以上のものである請求項2
の微結晶質焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5261989A JP2631445B2 (ja) | 1993-10-20 | 1993-10-20 | 微結晶質焼結体とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5261989A JP2631445B2 (ja) | 1993-10-20 | 1993-10-20 | 微結晶質焼結体とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07118078A JPH07118078A (ja) | 1995-05-09 |
JP2631445B2 true JP2631445B2 (ja) | 1997-07-16 |
Family
ID=17369464
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5261989A Expired - Lifetime JP2631445B2 (ja) | 1993-10-20 | 1993-10-20 | 微結晶質焼結体とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2631445B2 (ja) |
-
1993
- 1993-10-20 JP JP5261989A patent/JP2631445B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07118078A (ja) | 1995-05-09 |
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