JP3003935B2 - 成形断熱材とその製造方法 - Google Patents

成形断熱材とその製造方法

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JP3003935B2 JP1026165A JP2616589A JP3003935B2 JP 3003935 B2 JP3003935 B2 JP 3003935B2 JP 1026165 A JP1026165 A JP 1026165A JP 2616589 A JP2616589 A JP 2616589A JP 3003935 B2 JP3003935 B2 JP 3003935B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高温熱処理時の断熱材等として好適な成形
断熱材とその製造方法に関するものである。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 近年、真空蒸着炉、半導体単結晶成長炉、セラミック
ス焼結炉やC/Cコンポジット焼成炉等による高温熱処理
が重要視されている。この高温熱処理用断熱材には、耐
熱性および耐熱性に優れ、高温で物性劣化が生じないこ
とが必要とされる。従って、炭素繊維を用いた断熱材の
有用性が高まっている。
一方、炭素繊維製断熱材の製造方法として、炭素繊
維フェルトに炭化又は黒鉛化可能な樹脂を含浸し熱処理
する方法が知られている。また炭素繊維フェルトに炭
化又は黒鉛化可能な樹脂を含浸させ、含浸フェルトを積
層圧縮して所望の厚さと嵩密度をもつ成形物とし、次い
で成形物を成形断熱材とする製造方法が提案されている
(特公昭50−35930号公報参照)。
しかしながら、これらの方法では、ニードルパンチに
より繊維を接合させた炭素繊維フェルトを用いるので、
繊維が多軸配向しその配向方向が不規則である。従っ
て、繊維による熱移動を十分に規制することができず、
熱伝導度が大きく断熱製が十分でない。特に前者の方法
では、製法上の問題から断熱材の嵩密度が小さいた
め、繊維の配向方向が不規則であることと相まって、断
熱性に劣る。
またこれらの方法では、フェルト特有の繊維むら、含
浸むらに基づき断熱材の均一性及び加工性が十分でな
い。特に後者の方法では、金属バンドで積層体を締め
付けるので均一性が十分でない。
また前者の方法では、複雑な形状の断熱材を得るに
は、適宜の形状が切断しかつ接合する必要があるので、
フェルトのロス等が生じコスト高となると共に、作業が
煩雑化し、複雑な形状の断熱材を生産性よく製造するこ
とが困難である。
さらには後者の方法では、成形断熱材の嵩密度が圧
縮力に支配される。従って、平板状の成形断熱材の場合
は、比較的高密度に積層圧縮するのが容易であるが、円
筒状成形断熱材等の場合は、嵩密度の大きな成形断熱材
を得るために大きな機械的エネルギーを必要とし、作業
性及び生産性が低下する。
また均一性に優れた断熱材を製造する方法として、
炭素繊維1重量部に対してポリビニルアルコール等のバ
インダーを0.05〜0.2重量部添加する方法も知られてい
る。この方法は厚み1mm程度の軽量のシート状断熱材
を製造する上では有用であるものの、厚みの大きな断熱
材を製造するには適さない。すなわち、熱圧着等しなけ
ればバインダー効果が得られず、十分な強度を有する断
熱材を得ることが困難である。またバインダーのマイグ
レーションにより、断熱材の表面のみが硬質で、内部が
非常に脆い構造となり不均一である。
本発明の目的は、繊維が特定の方向に配向していると
共に、所望の嵩密度を有し、断熱性、均一性、均質性及
び加工性に優れる成形断熱材を提供することにある。
また本発明の他の目的は、複雑な形状であっても、上
記特性を有する成形断熱材を作業性、生産性よく製造で
きる成形断熱材の製造方法を提供することにある。
[発明の構成] 本発明は、炭素繊維と、樹脂の炭化物又は黒鉛化物と
で一体に構成され、均一かつ均質な成形断熱材であっ
て、前記炭素繊維が、成形断熱材の厚み方向と直交する
方向に配向しており、厚さが3〜200mmであって、嵩密
度が0.3g/cm3以下である成形断熱材により、上記課題を
解決するものである。一体的に構成された成形断熱材の
形状は、中空筒状、リング状又はディスク状であっても
よい。
また本発明は、炭素繊維化可能な繊維又は炭素繊維
と、有機繊維と、炭化又は黒鉛化可能な粉末状熱硬化性
樹脂と、カチオン系樹脂とを含有するスラリーを調製
し、該スラリーを吸引成形した後、得られた成形体を焼
成することを特徴とする成形断熱材の製造方法により、
上記課題を解決するものである。
なお、本明細書における用語の定義は次の通りであ
る。
炭化とは、ポリアクリロニトリル等の炭素含有物質
を、例えば450〜1500℃程度の温度で焼成処理すること
を言う。黒鉛化とは、炭素含有物質を、例えば1500〜30
00℃程度の温度で焼成処理することを言い、結晶構造が
黒鉛化していないときでも黒鉛化の概念に含める。
炭素繊維とは炭化又は黒鉛化された繊維を言う。
本発明の成形断熱材を構成する炭素繊維としては、例
えば、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、レーヨ
ン等の高分子繊維、石油ピッチ、石炭ピッチ、液晶ピッ
チ等を素材とする種々の炭素繊維が使用できる。これら
の炭素繊維は少なくとも一種使用される。炭素繊維の長
さは、成形断熱材の嵩密度等を損わない範囲で適宜設定
できるが、繊維長0.1〜10mmであるのが好ましい。繊維
長が0.1mm未満であると成形断熱材の一体性を確保でき
ない場合があり、10mmを越えると嵩密度を高めるのが困
難であると共に、繊維の集合体である毛玉状物が生成し
易くなり、機械的強度が低下する。なお、上記炭素繊維
の繊維長を調整することにより、成形断熱材の嵩密度を
容易に制御することができる。炭素繊維は、例えば繊維
径5〜20μm等適宜のものが使用できる。
また成形断熱材は、均一かつ均質であり、樹脂の炭化
物又は黒鉛化物で一体化している。樹脂としては、例え
ば、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、尿素
樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、
ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエ
ステル、熱硬化性アクリル樹脂、ポリイミドなどの熱硬
化性樹脂が例示され、一種または二種以上使用される。
上記樹脂のうちレゾール型又はノボラック型フェノール
樹脂が好ましい。
上記樹脂の炭化物又は黒鉛化物は、通常、炭素繊維1
重量部に対して樹脂の炭化物又は黒鉛化物0.05〜5重量
部、好ましくは0.1〜3重量部程度である。樹脂の炭化
物又は黒鉛化物の量が0.1重量部未満であると機械的強
度が十分でなく、5重量部を越えると均一性が低下す
る。
なお、成形断熱材の均質性を高めるには、炭素繊維を
均質に絡み合わせることが重要である。しかしながら、
炭素繊維が剛直であるため、炭素繊維同士の絡み合いの
強度が十分でない。従って、炭素繊維の絡み合いを補助
するため、有機繊維、特にフィブリル化した有機繊維を
添加するのが好ましい。このような有機繊維としては、
例えば、木材パルプ、麻等の天然繊維、レーヨン等の半
合成繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリ
ル、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド等の合
成繊維などが例示され、少なくとも一種使用される。こ
れらのうち特にフィブリル化したアクリル繊維が好まし
い。
有機繊維は、焼成後、通常、前記炭素繊維1重量部に
対して0〜0.5重量部程度含有される。
また成形断熱材は、他の樹脂、例えばカチオン系樹
脂、高分子凝集剤等や、歩留り向上剤等の添加剤の焼成
物を含有していてもよい。
そして、炭素繊維は成形断熱材の厚み方向と直交する
方向に配列している。上記の方向に炭素繊維が配合して
いるので、炭素繊維の配向方向が不規則で、同じ嵩密度
を有する成形断熱材よりも断熱性を大きくすることがで
きる。すなわち、炭素繊維が成形断熱材の厚み方向に配
向していると、炭素繊維間に形成された空隙部が、高温
側から低温側への熱移動方向と一致するので、熱移動度
が大きくなる。これに対して、炭素繊維が成形断熱材の
厚み方向と直交する方向に配向すると、熱の移動が、熱
移動方向と直交する炭素繊維により規制され、熱移動度
を小さくすることができる。
なお、炭素繊維の大部分が上記方向に配向していれば
よく、全ての炭素繊維が成形断熱材の厚み方向と直交す
る方向に配列している必要はない。
本発明の成形断熱材は、適宜の嵩密度を有していても
よいが、通常、嵩密度0.3g/cm3以下、例えば、0.05〜0.
3g/cm3程度である。嵩密度は、炭素繊維/樹脂の炭化物
又は黒鉛化物=1/0.2〜1(重量部)の範囲において、
0.05〜0.3g/cm3程度であってもよい。また成形断熱材の
厚みは、通常3〜200mm程度で十分である。
本発明の成形断熱材の形状は、特に制限されず、シー
ト状のほか、中空筒状、リング状やディスク状などであ
ってもよい。
以下に、本発明の成形断熱材の製造方法について説明
する。
本発明の成形断熱材の製造方法は、炭素繊維化可能な
繊維又は炭素繊維と、有機繊維と、炭化又は黒鉛化可能
な粉末状熱硬化性樹脂と、カチオン系樹脂とを含有する
スラリーを調製するスラリー調製工程と、スラリーを吸
引成形する成形工程と、成形体を焼成する焼成工程とで
構成される。
スラリー調製工程では、上記材料と共に溶媒が用いら
れる。炭素繊維化可能な繊維としては、前記炭素繊維の
素材となる繊維、不融化したピッチ繊維が挙げられ、少
なくとも一種使用される。上記繊維のうちポリアクリロ
ニトリル繊維、フェノール樹脂繊維、レーヨン、ピッチ
系繊維が好ましい。炭素繊維としては前記と同様のもの
が使用できる。なお、本発明では炭素繊維化可能な繊維
又は炭素繊維として、前記のように短繊維が使用できる
ので、繊維製造時や加工時に生成する屑糸を有効利用で
きる。
また有機繊維としてはフィブリル化した有機繊維が好
ましく、フィルブリル化した有機繊維の叩解度は、カナ
ディアン・フリーネス式叩解度試験器において、100〜4
00mlが好ましい。叩解度が100ml未満であると吸引成形
性および生産性が低下し、400mlを越えると短繊維との
均一混合性が低下する。
炭素繊維化可能な繊維又は炭素繊維と樹脂と有機繊維
との割合は、炭化又は黒鉛化により重量が減少すること
を考慮して設定される。すなわち、上記炭素繊維化可能
な繊維又は炭素繊維と樹脂との割合は、通常繊維1重量
部に対して樹脂0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜3重
量部程度である。また炭素繊維化可能な繊維又は炭素繊
維と有機繊維との割合は、通常繊維1重量部に対して有
機繊維0.01〜0.5重量部程度である。
カチオン系樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリ
アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリエチレンイミ
ン等の窒素原子含有の樹脂が例示され、少なくとも一種
使用される。このカチオン系樹脂により、炭素繊維化可
能な繊維又は炭素繊維に前記熱硬化性樹脂を定着させる
ことができる。カチオン系樹脂は、適宜量使用できる
が、通常固形分に対して0.02〜2重量%程度である。な
お、カチオン系樹脂の使用量は、前記熱硬化性樹脂の使
用割合等に応じて調整することができる。
なお、上記カチオン系樹脂は、カチオン化澱粉、硫酸
バンド等と併用してもよい。
スラリー調製工程で使用される溶媒としては、例え
ば、水、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、エス
テル類、ケトン類やこれらの混合溶媒が使用できる。な
お、上記溶媒は、吸引成形工程における樹脂の歩留りを
高めるため、樹脂に対する溶解性が小さく、樹脂が粒子
状に分散した状態で存在しうる溶媒、特に水が好まし
い。溶媒中の樹脂の粒径は、吸引成形効率等に応じて設
定できるが、成形断熱材の緻密性及び均質性を確保する
ため、微細なものが好ましく、通常、粒度100メッシュ
以下、好ましくは40μm以下で平均粒径が15μm程度で
ある。
なお、上記溶媒の使用量は、通常、スラリー中の固形
分濃度0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%程度で
ある。
スラリーは前記材料を同時に撹拌混合することによっ
ても調製できるが、炭素繊維化可能な繊維又は炭素繊維
と有機繊維、特にフィブリル化した有機繊維とを同時に
叩解し、その後、他の材料を添加混合するのが好まし
い。この同時叩解により、炭素繊維化可能な繊維又は炭
素繊維の繊維同士の絡み合いが促進され、均質で混合性
及び分散性に優れたスラリーが得られる。なお、炭素繊
維化可能な繊維又は炭素繊維と有機繊維とを叩解せずに
単に混合撹拌すると、不均一な絡み合いが生じ、ロング
テール等を形成し易く分散性が十分でない。
また吸引成形による歩留りを高めるため、凝集作用を
有する界面活性剤、特に高分子凝集剤や歩留り向上剤を
添加するのが好ましい。高分子凝集剤としては、例え
ば、分子量10万以上の高分子量のポリアクリルアミド等
のアクリル系樹脂を用いることができる。凝集剤の使用
量は、凝集により歩留りを向上させ得る範囲であれば特
に制限されないが、通常、固形物に対して0.005〜0.5重
量%程度である。凝集剤の量が0.005重量%未満である
と十分な凝集効果を得るのが困難であり、0.5重量%を
越えると過度の凝集が起り易く均質な分散液を調製する
のが困難である。
なお、必要に応じて、成形断熱材の特性に悪影響を及
ぼさない範囲で、分散剤、安定剤、粘度調整剤、充填剤
等の添加剤を添加してもよい。
次いで、上記のようにして調製されたスラリー中で吸
引成形する。この吸引成形工程について、添付図面に基
づき説明する。
第1図は吸引成形状態を示す概略縦断面図、第2図は
吸引成形型と成形体とを示す概略断面図、第3図は成形
体を示す概略断面斜視図である。吸引成形工程は、スラ
リー槽(2)内に収容されたスラリー(1)を吸引成形
型(3)で吸引し、スラリー(1)中の固形物を吸引成
形型(3)の外面に堆積させることにより行なわれる。
上記吸引成形型(3)は、第1図及び第2図に示される
ように、パイプ(5)接続用のパイプ接続部(6)が形
成された吸引部(4)と、この吸引部(4)と連通し、
かつスラリー(1)中の固形物の通過を阻止する大きさ
の多数のメッシュ状の孔(8)が形成された筒部(7)
と、筒部(7)に連設された鍔(9)とで構成されてい
る。従って、吸引成形型(3)のパイプ接続部(6)に
接続されたパイプ(5)を介して吸引ポンプ(図示せ
ず)で吸引することにより、筒部(7)の外周面にスラ
リー(1)中の固形分を吸引堆積させ、第3図に示され
るように、筒部(7)の外径に対応した中空部(11)を
有する中空筒状成形体(10)を得ることができる。その
際、スラリー(1)中の炭化可能な繊維や炭素繊維が筒
部(7)の外面に沿って堆積するので、成形体(10)の
炭素繊維化可能な繊維や炭素繊維が成形体(10)の厚み
方向dtと直交する方向drに配向する。なお、吸引成形
に際して、吸引力、炭素繊維化可能な繊維又は炭素繊維
の繊維長や、該繊維と樹脂との割合を調整することによ
り、成形体(10)の嵩密度を容易に制御できる。また吸
引成形するので、成形体は均質であり、均一性に優れ
る。
第4図は他の成形体を示す斜視図である。この成形体
(20)は厚みが小さく、前記と同様の中空部(21)を有
するリング状であり、厚み方向dtと直交する方向drに
炭素繊維化可能な繊維又は炭素繊維が配向している。な
お、第4図では吸引成形終了時の状態を示しているた
め、図中、上端面の繊維が種々の方向に配向している。
このような形状の成形体(20)は、第2図に示す吸引成
形型において、筒部(7)に孔(8)を形成せず、鍔
(9)の周縁部に外筒を立設し、筒部(7)と外筒との
間に位置する鍔(9)部、すなわち底板に多数の孔を形
成し、上記筒部(7)と外筒との高さを小さくした成形
型を用いて、吸引成形することにより作製できる。な
お、筒部と外筒との空間は吸引空間として利用され、底
板に形成された多数の孔はスラリー中の固形分の通過を
阻止する大きさを有し、第2図と同様の吸引部(4)と
連通している。この場合、底板上にスラリー中の固形分
を吸引堆積でき、炭素繊維化可能な繊維又は炭素繊維を
吸引面と平行、すなわち成形体(20)の厚み方向dtと
直交する方向drに配向させることができる。
なお、スラリーの吸引方向は、横方向等、いずれであ
ってもよい。また吸引成形型は、所望する成形断熱材の
形状に応じて適宜選択することができる。例えば、平板
状、波型状等のシート状成形体を得るには、多数の孔が
成形された板等を、吸引部に設ければよい。また前記筒
部と外筒との間に位置する底板に適宜の高さの周壁や凸
部等を設けることにより、成形体に円周状スリットや凹
部等を形成することができる。
なお、スラリーとして炭素繊維化可能な繊維又は炭素
繊維と樹脂等との割合が異なる複数のスラリーを用い、
順次、吸引成形することにより、嵩密度が厚み方向に連
続的又は段階的に異なる成形体を得ることができる。
成形体の形状は、前記シート状のほか、中空筒状、リ
ング状やディスク状などであってもよい。
上記成形体を乾燥し、焼成工程で焼成することによ
り、成形断熱材が得られる。成形体の乾燥は、例えば、
100〜200℃程度の適宜の温度で行なうことができる。な
お、乾燥工程では、前記炭化又は黒鉛化可能な樹脂を硬
化させるのが好ましい。炭化又は黒鉛化可能な樹脂の硬
化は、例えば120〜250℃程度の温度で行なうことがで
き、その際、樹脂の種類に応じた硬化剤、例えば、好ま
しい樹脂であるノボラック型フェノール樹脂の場合、ヘ
キサメチレンテトラミン等が使用でき、レゾール型フェ
ノール樹脂の場合、酸触媒等が使用できる。
そして、成形体を焼成工程で焼成することにより一体
化した成形断熱材が得られる。焼成工程での炭化及び黒
鉛化は、通常、真空下又は不活性雰囲気中で行なわれ、
炭化温度は、450〜1500℃程度、黒鉛化温度は、1500〜3
000℃程度である。なお、吸引成形により得られた成形
体は、上記焼成により若干収縮する。従って、成形体の
大きさは、最終製品である成形断熱材の大きさを考慮し
て成形すればよい。
上記のようにして得られた成形断熱材は、前記成形体
に対応して形状を有している。また第3図を参照して説
明すると、炭素繊維が成形断熱材の厚み方向dtと直交
する方向drに配向しているので、焼成工程を経て得ら
れた成形断熱材の中空部(11)を高温側としても断熱効
率を高めることができる。すなわち、高温側の熱は、成
形断熱材の中空部(11)から外周面側、すなわち厚み方
向dtに移動するが、熱の移動方向と直交する方向drに
繊維が配向しているため、熱の移動が炭素繊維で規制さ
れ、断熱効率を大きくすることができる。このように成
形断熱材の断熱効率が大きいので、同じ嵩密度を有する
従来の成形断熱材よりも厚みを小さくすることができ
る。
本発明の成形断熱材は、その嵩密度や形状等に応じて
高温炉や真空炉用断熱材、瓶のプッシャーのクッション
材としての緩衝材等の種々の用途に使用できる。例え
ば、嵩密度0.3g/cm3までの成形断熱材は高温用断熱材、
嵩密度0.3〜0.5g/cm3程度の成形体は耐熱性、機械的強
度に優れると共に適度の硬度を有するため、断熱材以外
にクッション材等に使用できる。また中空筒状等の成形
断熱材は高温炉等に使用でき、ディスク状等の成形断熱
材は真空蒸着炉における溶融ルツボの下敷部材等として
好適に使用される。
[発明の効果] 以上のように、本発明の成形断熱材によれば、炭素繊
維が、均一かつ均質な成形断熱材の厚み方向と直交する
方向に配向しているので、高い断熱性を示す。また炭素
繊維と樹脂の炭化物又は黒鉛化物とで一体に構成されて
いるため、両者の割合などの調整することにより、所望
の嵩密度を有し、均一性、均質性及び加工性に優れてい
る。
また本発明の成形断熱材の製造方法によれば、炭素繊
維等と有機繊維と炭化又は黒鉛化可能な粉末状熱硬化性
樹脂とカチオン系樹脂とを含有するスラリーを調製し、
吸引成形した後、成形体を焼成するので、樹脂含浸工程
を経ることなく、炭素繊維等の長さ及び吸引力を調整す
ることにより嵩密度を容易に制御することができるだけ
でなく、炭素繊維等が成形断熱材の厚み方向と直交する
方向に配向しているので、断熱性に優れた成形断熱材が
得られる。また吸引成形するので、均一性、均質性及び
加工性に優れ、複雑な形状の成形断熱材を作業性、生産
性よく製造できる。さらには、炭素繊維等として短繊維
を使用できるので、屑糸を有効利用できる。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて、本発明のより詳細に説明
する。
炭素繊維の原綿チョップ(繊維直径13μm、長さ3m
m)65重量部、ポリアクリロニトリル繊維(繊維直径7
μm、長さ100mm)5重量部、粉末状ノボラック型フェ
ノール樹脂30重量部とヘキサメチレンテトラミン、ポリ
アクリルアミド(荒川化学(株)製、商品名ポリストロ
ン705)0.1重量部とを水10000重量部に添加して撹拌混
合しさ後、ポリアクリルアミド系高分子凝集剤(アライ
ドコロイド社製、商品名パコール292)0.01重量部を添
加しスラリーを調製した。
次いで、パイプを介して吸引ポンプに接続された吸引
成形型を用い、吸引成形することにより、外径540mm、
内径420mm、厚み60mm、高さ630mmの中空筒状成形体を得
た。この成形体を110℃の温度で乾燥し、黒鉛化炉で最
高温度2000℃で焼成することにより、成形断熱材を得
た。得られた成形断熱材の嵩密度は0.15g/cm3であり、
均質であった。また成形断熱材の炭素繊維は、厚み方向
と略直交する方向に配向していた。
【図面の簡単な説明】
第1図は吸引成形状態を示す概略縦断面図、 第2図は吸引成形型と成形体とを示す概略断面図、 第3図は成形体を示す概略断面斜視図、 第4図は他の成形体を示す斜視図である。 (1)……スラリー、(3)……吸引成形型、(10)
(20)……成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中東 義貴 大阪府大阪市東区平野町5丁目1番地 大阪瓦斯株式会社内

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維と、樹脂の炭化物又は黒鉛化物と
    で一体に構成され、均一かつ均質な成形断熱材であっ
    て、前記炭素繊維が、成形断熱材の厚み方向と直交する
    方向に配向しており、厚さが3〜200mmであって、嵩密
    度が0.3g/cm3以下であることを特徴とする成形断熱材。
  2. 【請求項2】一体的に構成された成形断熱材の形状が、
    中空筒状、リング状又はディスク状である請求項1記載
    の成形断熱材。
  3. 【請求項3】炭素繊維化可能な繊維又は炭素繊維と、有
    機繊維と、炭化又は黒鉛化可能な粉末状熱硬化性樹脂
    と、カチオン系樹脂とを含有するスラリーを調製し、該
    スラリーを吸引成形した後、得られた成形体を焼成する
    ことを特徴とする成形断熱材の製造方法。
  4. 【請求項4】中空筒状、リング状又はディスク状の成形
    体を焼成する請求項3記載の成形断熱材の製造方法。
JP1026165A 1989-02-04 1989-02-04 成形断熱材とその製造方法 Expired - Lifetime JP3003935B2 (ja)

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