JPH06135770A - 炭素質予備成形体とその製造方法並びに電極基板の製造方法 - Google Patents

炭素質予備成形体とその製造方法並びに電極基板の製造方法

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JPH06135770A
JPH06135770A JP5142839A JP14283993A JPH06135770A JP H06135770 A JPH06135770 A JP H06135770A JP 5142839 A JP5142839 A JP 5142839A JP 14283993 A JP14283993 A JP 14283993A JP H06135770 A JPH06135770 A JP H06135770A
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weight
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fibers
carbonaceous
mesophase pitch
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JP5142839A
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Hiroyuki Tajiri
博幸 田尻
Shoji Doi
祥司 土肥
Satoru Hamaoka
覚 浜岡
Yoshiteru Nakagawa
喜照 中川
Kazuo Okamoto
一夫 岡本
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
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    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料電池用電極基板において、均質性、ガス
透過性、熱伝導性、電気伝導性及び機械的強度を高める
と共に、細孔径とその分布をコントロールする。 【構成】 炭素繊維化可能な繊維及び/又は炭素繊維1
00重量部に対して、炭化収率40〜75重量%の結合
剤20〜200重量部、炭化収率30重量%以下の有機
粒状物質10〜500重量部、および炭化収率70重量
%以上のメソフェーズピッチ10〜250重量部を含む
スラリーを吸引成形し、抄紙構造を有する炭素質予備成
形体とする。有機粒状物質としては、熱により軟化しな
い熱硬化性樹脂の硬化物、ピッチを含む熱硬化性樹脂の
硬化物が使用できる。抄紙構造を有する予備成形体は、
有機粒状物質の偏析がなく均質である。予備成形体を加
熱加圧成形し、炭化又は黒鉛化することにより、電極基
板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リン酸型燃料電池など
の電極板を得る上で有用な炭素質予備成形体とその製造
方法、並びに電極基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、他の発電装置と異なり、S
Ox 、NOx 及び粉塵などの公害物質の発生が極めて少
なく、騒音発生源も少ないなどの特徴を有している。こ
のような燃料電池のうちリン酸型燃料電池は、電解液の
両側にポーラスな陰極と陽極を設けて単位セルを構成
し、各単位セルをセパレータを介して積層した構造を有
する。
【0003】前記陰極および陽極には、電気エネルギー
への変換効率を高めるため、細孔分布を任意にコントロ
ールでき、ガス透過性が高いことが要求される。さら
に、電気伝導性、機械的強度および作動温度における耐
リン酸液性などに加えて、高い熱伝導性が要求される。
【0004】従来、燃料電池電極板の製造方法として、
フェノール樹脂などの結合剤と、炭素繊維と、粉粒状の
熱可塑性樹脂を特定の割合で乾式混合し、混合物を熱ロ
ールや熱プレスによりシート状に加圧成形し、炭化又は
黒鉛化処理する方法が採用されている(特公平1−36
670号公報)。
【0005】しかし、この方法では、炭素繊維と、結合
剤及び熱可塑性樹脂とが、混合性の悪い繊維状と粉粒状
であるため、乾式混合する際、炭素繊維と結合剤及び熱
可塑性樹脂とが偏析し易く、均質な混合物を得るのが困
難である。また、粉末状混合物の加圧成形により、偏析
した結合剤及び熱可塑性樹脂が凝集し、成形物がさらに
不均質となり易い。さらに、加熱加圧成形により、偏析
した熱可塑性樹脂が軟化するだけでなく、炭化又は黒鉛
化処理する際に、熱可塑性樹脂が再び軟化する。そのた
め、結合剤及び熱可塑性樹脂の偏析と、熱可塑性樹脂の
二度に亘る軟化とにより、電極基板の均質性が低下す
る。そして、この不均質性に起因するためか、結合剤、
炭素繊維、及び粉粒状の熱可塑性樹脂を用いて得られた
電極基板は、曲げ強度、圧縮強度、ガス透過性が部位に
よって変動し、不均質であるだけでなく、熱伝導率も小
さい。
【0006】また、偏析した結合剤及び熱可塑性樹脂に
起因して、電極基板の細孔径分布が不均一となる。特に
厚みの薄い電極板を得る場合には、均質な細孔を形成さ
せるのが困難である。
【0007】より具体的には、前記の方法において厚み
が1mm以上である場合には、大きさが1000mm×
1000mm程度であっても、電極板の細孔が比較的均
質であるが、厚みが1mm未満では均質な細孔が形成さ
れない。さらに、炭素繊維の短繊維、結合剤及び粉粒状
の有機物質とを乾式混合した粉末状であるため、加圧成
形時に金型に均一に充填するのが困難であり、作業性が
極めて悪い。
【0008】また、上記方法においては、気孔形成剤と
しての熱可塑性樹脂の粒径が細孔径分布に大きく影響す
るものの、前記のように二度に亘って熱可塑性樹脂が軟
化するため、結合剤の偏析と相まって、細孔径が大きく
変化し、細孔径分布が不均一になり易い。その結果、細
孔径分布を任意に精度よくコントロールできず、ガス透
過性、電気伝導性及び機械的強度の優れた電極板を得る
ことができない。
【0009】しかも、混合物を熱ロールや熱プレスによ
りシート状に加熱加圧成形すると、偏析した熱可塑性樹
脂の軟化により、成形板に反りや、膨れが発生しやす
く、特に脱型時にその発生が著しい。更に、この成形板
を焼成により炭化又は黒鉛化処理すると、熱可塑性樹脂
が再び軟化、分解するため、焼成板に反り及び膨れが発
生し易く、均一性、寸法安定性が低下し、最終的に高品
質の電極板の歩留まりが悪い。
【0010】特開平3−174359号公報には、炭素
繊維とバインダー粒子とを混合し、抄紙して得られたシ
ート状物を加圧成形した後、炭化又は黒鉛化する方法が
開示されている。しかし、この方法では、気孔率60〜
80%を確保するためには、加圧加熱成形時に低圧で成
形する必要がある。一方、低圧で成形すると、繊維同志
の接合強度が低下し、焼成により得られる電極材の曲げ
強度が、1kgf/mm2 以下、圧縮強度が、0.4k
gf/mm2 以下に低下し、リン酸型燃料電池用電極材
の要求性能を充足できない。また、電極基板の厚み方向
の体積固有抵抗率も大きく、熱伝導率も小さい。
【0011】特開平3−76821号公報には、炭素繊
維製造用の有機繊維とパルプとバインダーとしての有機
高分子物質などを混合し、抄紙した得られたシートを成
形した後、焼成し、電極材を得る方法が開示されてい
る。この方法では、有機繊維を用いるため、繊維として
炭素繊維だけを用いた場合よりも高密度に成形できる。
しかし、焼成時における有機繊維の炭化収率(残炭率)
が10〜30%と小さい。そのため、得られた電極材
は、成形体に比べて著しく収縮し、厚み1〜3mm、大
きさ1m角の電極板を製造しても、割り、反り、捩れな
どが生じ、均一性に乏しい。また、厚み方向の収縮率が
大きいため、ガス透過性、体積抵抗率が電極材の部位に
よって変動し、不均質となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、均質性及び熱伝導性に優れる電極基板を得る上で有
用な炭素質予備成形体とその製造方法を提供することに
ある。
【0013】また、本発明の他の目的は、細孔径とその
分布を任意に精度よくコントロールでき、ガス透過性、
電気伝導性、機械的強度に優れる電極基板を得る上で有
用な炭素質予備成形体とその製造方法を提供することに
ある。
【0014】本発明のさらに他の目的は、前記の如き優
れた特性を有する電極基板を効率よく製造できる方法を
提供することにある。
【0015】
【発明の構成】前記目的を達成するため、本発明者ら
は、鋭意検討の結果、炭素繊維化可能な繊維及び/又は
炭素繊維、結合剤、有機粒状物質およびメソフェーズピ
ッチを含む抄紙構造の炭素質予備成形体を圧縮成形し、
かつ炭化又は黒鉛化する場合には、有機粒状物質の偏析
を防止でき、均質で、熱伝導性に優れた炭素質基板が得
られることを見いだし、本発明を完成した。
【0016】すなわち、本発明は、炭素繊維化可能な繊
維及び/又は炭素繊維の短繊維、炭化収率40〜75重
量%の結合剤、有機粒状物質、およびメソフェーズピッ
チを含む抄紙構造の炭素質予備成形体を提供する。
【0017】また、本発明の方法では、前記成分を含む
スラリーを吸引成形し、炭素質予備成形体を製造する。
【0018】さらに、本発明は、前記炭素質予備成形体
を圧縮成形し、炭化又は黒鉛化する電極基板の製造方法
を提供する。
【0019】なお、本明細書において、炭化とは、炭素
化可能な成分を、例えば、450〜1500℃程度の温
度で焼成処理することを言う。黒鉛化とは、例えば、1
500〜3000℃程度の温度で焼成することを言い、
黒鉛の結晶構造を有していないときでも黒鉛化の概念に
含める。また、炭化収率とは、炭素化可能な成分を炭化
又は黒鉛化したときの残炭率を言う。
【0020】炭素繊維とは炭化又は黒鉛化された繊維を
言う。耐炎化処理とは、ピッチ系繊維以外の繊維を、例
えば、酸素存在下、200〜450℃程度の温度で加熱
して表面に耐熱層を形成し、焼成時の溶融を防止する処
理を言う。不融化処理とは、例えば、ピッチ系繊維を、
酸素存在下、200〜450℃程度の温度で加熱して表
面に耐熱層を形成し、焼成時の溶融を防止する処理を言
う。
【0021】本発明の主たる特徴は、(a)炭素質予備
成形体が均質性に優れ、有機粒状物質の偏析を防止する
上で有用な抄紙構造を有する点、(b)抄紙構造の炭素
質予備成形体を用い、電極基板の均質性、ガス透過性、
電気伝導性、機械的強度を高めると共に、細孔径とその
分布をコントロールする点、(c)メソフェーズピッチ
を用いることにより、電極基板の熱伝導性を高める点に
ある。
【0022】本発明の炭素質予備成形体において、炭素
繊維化可能な繊維としては、炭素繊維の素材となり得る
種々の繊維、例えば、ポリアクリロニトリル繊維、フェ
ノール樹脂繊維、再生セルロース繊維(例えばレーヨ
ン、ポリノジック繊維など)、セルロース系繊維などの
有機繊維、ピッチ系繊維などが挙げられる。炭素繊維化
可能な繊維は、耐炎化処理又は不融化処理されていても
よい。炭素繊維化可能な繊維は、一種又は二種以上使用
できる。
【0023】炭素繊維化可能な繊維の繊維直径は、例え
ば、10〜50μm、好ましくは15〜45μm程度で
ある。繊維径が10μm未満であると、ガス透過性が低
下し易く、50μmを越えると、電極基板の気孔径が大
きくなり、リン酸などの電解液が気孔を塞ぎ、ガス透過
性が低下し易い。
【0024】なお、炭素繊維化可能な繊維の残炭率は、
例えば、10〜50%程度である。そのため、炭化又は
黒鉛化に伴なって、上記繊維が、補強材として機能する
炭素繊維となると共に、例えば30〜70%程度の体積
収縮に伴なって、炭化又は黒鉛化した結合剤のマトリッ
クス内に間隙が生成し、ガス透過性が向上する。
【0025】炭素繊維としては、前記炭素繊維化可能な
繊維を炭化又は黒鉛化した繊維が挙げられる。炭素繊維
も、一種又は二種以上使用できる。炭素繊維の繊維径
は、例えば、5〜30μm、好ましくは10〜25μm
程度である。繊維径が5μm未満であるとガス透過性が
低下し易く、30μmを越えると電極基板の気孔径が大
きくなり易い。なお、電極基板における平均気孔径は、
例えば、10〜40μm程度であるのが好ましい。
【0026】前記炭素繊維は、電極基板の曲げ強度、圧
縮強度を向上させる補強材として機能すると共に、炭化
又は黒鉛化に伴なって電極基板が面方向に収縮するのを
抑制する。
【0027】炭素繊維化可能な繊維および炭素繊維とし
ては、通常、短繊維が用いられる。短繊維の繊維長は、
例えば0.05mm〜10mm、好ましくは0.5mm
〜3mm程度である。炭素繊維の繊維長は、電極基板の
曲げ強度、電気伝導性や熱伝導度に大きく寄与する。繊
維長が10mmを越えると細孔径分布をコントロールし
にくくなり、0.05mm未満では強度などが低下し易
い。
【0028】炭素繊維化可能な繊維と炭素繊維とは単独
で用いてもよいが、少なくとも炭素繊維を含むのが好ま
しい。また、炭素繊維化可能な繊維と炭素繊維とを併用
すると、ガス透過性および強度が向上する。炭素繊維化
可能な繊維と炭素繊維との割合は、電極基板の強度や導
電性などに応じて選択でき、例えば、炭素繊維化可能な
繊維/炭素繊維=10〜90/90〜10(重量%)、
好ましくは25〜75/75〜25(重量%)、さらに
好ましくは30〜70/70〜30(重量%)程度であ
る。炭素繊維の割合が10重量%未満では、電極基板の
機械的強度が低下すると共に、収縮が大きくなる傾向を
示し、90重量%を越えると、ガス透過性が低下し易
い。
【0029】結合剤としては、例えば、フェノール樹
脂、フラン樹脂、コプナ樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリ
アクリロニトリルなどの熱可塑性樹脂;石炭又は石油ピ
ッチなどが使用できる。これらの結合剤のうち、熱硬化
性樹脂、特にフェノール樹脂が好ましい。結合剤の炭化
収率は、電極基板の機械的強度の低下を防止し、気孔率
を調整するため、40〜75重量%、好ましくは50〜
75重量%程度である。なお、前記フェノール樹脂の炭
化収率は、通常65〜75重量%程度と大きい。これら
の結合剤は少なくとも一種使用できる。
【0030】結合剤の割合は、電極基板の強度などに応
じて適当に選択でき、例えば、前記炭素繊維化可能な繊
維および炭素繊維で構成された繊維100重量部に対し
て、20〜200重量部、好ましくは25〜150重量
部程度である。結合剤の割合が20重量部未満である
と、電極基板の機械的強度が低下し易く、200重量部
を越えると気孔率が小さくなり、細孔径分布もブロード
になり易く、ガス透過性が低下し易い。
【0031】本発明の炭素質予備成形体は、有機粒状物
質を含んでいる。有機粒状物質としては、例えば、炭化
収率30重量%以下の有機粒状物質を用いてもよい。炭
化収率が30%を越えると、微細で均一な気孔の形成や
気孔率の調整が困難である場合が多い。なお、有機粒状
物質の軟化点は、100℃以上であるのが好ましく、前
記メソフェーズピッチよりも約25〜100℃低い場合
が多い。
【0032】このような有機粒状物質としては、例え
ば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ユリ
ア樹脂及びポリウレタンなどの熱硬化性樹脂の粉粒体
や、熱硬化性樹脂の硬化物からなる粉粒体;ポリ酢酸ビ
ニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアル
コール、ポリ塩化ビニル、アクリル系ポリマー、ポリエ
ステル、ナイロン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体、スチレン−アクリル共重合体などのスチレン
系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアセタールなどの
合成樹脂、ロジンなどの天然物とその誘導体などの熱可
塑性樹脂の粉粒体等が挙げられる。
【0033】なお、前記熱硬化性樹脂のうち、フェノー
ル樹脂としては、前記結合剤と異なり、炭化収率30%
以下のものが使用される。これらの有機粒状物質は一種
又は二種以上混合して使用できる。
【0034】これらの有機粒状物質は、炭素材に細孔を
生成させる気孔形成剤として機能する。有機粒状物質
は、熱硬化性樹脂の硬化物からなる粉粒体であるのが好
ましい。熱硬化性樹脂の硬化物からなる粉粒体を用いる
と、気孔率及び細孔径を精度よくコントロールできる。
すなわち、熱硬化性樹脂の硬化物からなる粉粒体は加熱
により軟化しないため、硬化物の粒径とその量に対応す
る細孔径の気孔が形成される。そのため、細孔径とその
分布を任意にコントロールでき、シャープ又はブロード
な細孔径分布を有する電極板が得られる。また、同様な
理由から、均質で、ガス透過性、電気伝導度及び機械強
度の優れた電極板を得ることができる。
【0035】さらに、前記硬化物の粉粒体が加熱加圧成
形時に軟化しないため、厚みが1mm以下と薄く、10
00mm×1000mm程度の大きな面積であっても、
脱型時などに反り及び膨れが発生せず、均一性及び寸法
安定性の優れた電極基板が得られる。また、炭化又は黒
鉛化処理時にも気孔形成剤は再軟化しないため、電極板
の反り、膨れ、割れ等が発生せず製造工程での歩留まり
が非常に高い。
【0036】さらに好ましい有機粒状物質には、ピッチ
を含む有機粒状物質、特にメソフェーズピッチを含む有
機粒状物質が含まれる。なかでも、メソフェーズピッチ
を含む熱硬化性樹脂が好ましい。有機粒状物質における
ピッチの含有量は、10〜75重量%、好ましくは25
〜60重量%程度である。
【0037】上記粒状物質の粒径は、所望する細孔径な
どに応じて選択できるが、通常、0.1〜500μm程
度、好ましくは50〜300μm程度である。
【0038】有機粒状物質の割合は、所望する気孔率な
どに応じて適当に選択でき、例えば、前記繊維100重
量部に対して10〜500重量部、好ましくは25〜3
00重量部程度である。有機粒状物質の割合が、前記範
囲を外れると、電極基板の気孔率及び曲げ強度のいずれ
か一方の特性が低下し易い。
【0039】本発明の炭素質予備成形体は、メソフェー
ズピッチを含んでいる。このメソフェーズピッチによ
り、電極基板の熱伝導性が著しく向上する。メソフェー
ズピッチは、圧縮成形された炭素質予備成形体の焼成時
に、軟化しマトリックス内で溶融すると共に、空隙部に
流入し、発生する分解ガスにより、繊維と結合剤との間
に生成した空隙部や流路を通じて外部と連通し、連続気
泡を形成するようである。また、メソフェーズピッチ成
分が前記空隙部の内面で硬化し、炭化又は黒鉛化するも
のと推測される。そのため、メソフェーズピッチを用い
ない電極基板に比べて、電極基板のガス透過性、厚み方
向の熱伝導率および電気伝導率が顕著に向上する。
【0040】メソフェーズピッチは、例えば、石油系及
び石炭系のいずれのメソフェーズピッチであってもよ
く、炭化収率50重量%以上、好ましくは70重量%以
上のメソフェーズピッチが使用できる。炭化収率が50
重量%未満では電極基板の熱伝導性を高めるのが困難で
ある。また、メソフェーズピッチの軟化点は、150〜
400℃、好ましくは200〜400℃程度である。な
お、前記炭素繊維化可能な繊維を用いる場合、前記炭素
繊維化可能な繊維よりも約25〜100℃以上高い軟化
点を有するメソフェーズピッチを用いる場合が多い。
【0041】メソフェーズピッチの使用量は、熱伝導性
を高めることができる範囲、例えば、前記繊維100重
量部に対して、10〜250重量部、好ましくは25〜
200重量部程度である。メソフェーズピッチの割合が
10重量部未満であると、電極基板の熱伝導率、気孔率
およびガス透過性が低下し易く、250重量部を越える
と、メソフェーズピッチの分解ガスによる膨れや割れが
生じ易く、気孔とその分布が不均一となり易い。
【0042】メソフェーズピッチは、通常、粉粒状、例
えば、100μm以下の粉末状で使用できる。メソフェ
ーズピッチの粒径が100μmを越えると、焼成に伴な
って、電極基板の表面に焼け、膨れなどの欠陥が生じ易
い。
【0043】前記炭素質予備成形体は、抄紙構造を有す
る。抄紙構造とは、和紙の如く、繊維がランダムに配向
している構造を意味する。このような予備成形体は、例
えば、吸引成形法により得ることができる。前記吸引成
形法としては、例えば、(1)前記成分を含むスラリー
を多数の吸引孔が形成された吸引成形型により吸引し、
吸引成形型の表面に前記成分を堆積させる方法、(2)
吸引成形型内にスラリーを注入して吸引する方法などが
採用できる。吸引成形法により得られた吸引成形体の密
度は、吸引圧により容易にコントロールできる。
【0044】なお、スラリーの調製に際しては、炭素繊
維化可能な繊維及び/又は炭素繊維を叩解し、前記短繊
維としてもよい。スラリーの固形分濃度は、吸引成形性
を損わない範囲で選択でき、例えば、0.1〜2重量%
程度である。また、スラリーには、前記繊維、結合剤、
有機粒状物質及びメソフェーズピッチを均一に分散させ
るため、分散剤、安定剤、粘度調整剤、沈降防止剤など
を添加してもよく、増粘剤、紙力増強剤、凝集作用を有
する界面活性剤、特に高分子凝集剤や歩留り向上剤など
の種々の添加剤を添加してもよい。
【0045】吸引成形型から脱型した炭素質予備成形体
は、通常、加熱乾燥される。湿潤状態の炭素質予備成形
体の加熱乾燥は、常圧又は減圧下50〜200℃程度の
温度で行うことができる。
【0046】前記のような吸引成形法によると、従来の
乾式混合法では均一に混合することが困難な繊維状物質
と粉粒状物質を用いても、繊維状物質や粉粒状物質が偏
析せず、均質な炭素質予備成形体が得られる。また、炭
素質予備成形体を圧縮成形しても、成形体の均質性は維
持される。従って、有機粒状物質として熱により軟化す
る熱可塑性樹脂を用いても、可塑性樹脂の偏析に起因し
て加熱加圧成形及び焼成時に生じる成形体や電極板の反
りや膨れを著しく抑制でき、成形体や電極板の均一性を
高めることができる。
【0047】また、炭素質予備成形体を圧縮成形する場
合には、厚みが1mm未満であっても組成、密度及び厚
みが均質な成形体が得られる。特に、前記結合剤として
熱硬化性樹脂を使用する場合には、炭素質予備成形体が
プリプレグとして機能し、加熱加圧成形により、硬化し
て一体化する。そのため、厚みが1mm未満であっても
均質で均一な成形体が得られる。
【0048】また、繁雑な乾式混合の工程が不要である
ため、吸引成形により予備成形体を簡易に製造できる。
さらに、予備成形体を圧縮成形する場合、粉粒状の混合
物を金型内に均一に装填する必要がなく、シート状の予
備成形体を成形金型へ装填すればよく、装填作業が容易
であり、成形サイクルを短縮でき、成形効率、ひいては
電極基板の生産効率を高めることができる。
【0049】本発明の電極基板は、前記炭素質予備成形
体を圧縮成形、好ましくは加熱加圧成形し、炭化又は黒
鉛化することにより製造できる。前記圧縮成形により、
成形体の均質性がさらに高まる。
【0050】炭素質予備成形体の圧縮成形は、慣用の方
法、例えば、金型プレス又はローラーによるプレス等の
方法で行なうことができる。圧縮成形は成形体の均一性
を高めるため加熱下で行うのが好ましい。加熱温度は、
適当に選択できるが、通常、100〜250℃程度であ
る。成形圧は、所望する電極板の密度や厚みなどに応じ
て選択でき、例えば、30〜750kgf/cm2 、好
ましくは50〜500kgf/cm2 程度である。
【0051】炭素質予備成形体を、圧縮成形した後、成
形体は炭化又は黒鉛化する焼成工程に供される。焼成温
度は、800℃以上、好ましくは1000〜3000℃
程度である。焼成は、真空下または不活性ガス雰囲気中
で行われる。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ア
ルゴン等が使用できる。
【0052】このようにして得られた炭素質の電極基板
は、予備成形体が均質であるため、厚みが1mm未満で
あっても気孔径が均一であり、機械的強度も大きく、ま
た優れたガス透過性、導電性および熱伝導性を有する。
特に、メソフェーズピッチを含む前記組成の炭素質予備
成形体を用いて得られた電極基板は、熱伝導性に優れて
いる。
【0053】前記炭素質予備成形体の焼成に際して、各
成分は、次のように機能すると推測される。すなわち、
予備成形体を加熱加圧成形すると、結合剤が溶融して固
化又は硬化し、成形体が生成する。この成形体を例えば
150℃以上の温度で焼成すると、有機粒状物質の分解
ガスにより気孔が生成する。また、有機粒状物質として
熱硬化性樹脂を用いる場合には、有機粒状物質の形状に
対応した気孔が生成し、気孔径とその分布を任意にコン
トロールできる。焼成温度が、メソフェーズピッチの軟
化又は分解開始温度以上、例えば、200℃以上となる
と、メソフェーズピッチも軟化しガスを発生し、軟化部
や気孔部を通じて分解ガスが外部へ放出され、外部へ通
じる網目状の気孔が形成され、ガス透過性が顕著に向上
する。また、気孔にメソフェーズピッチ成分が流入し、
例えば、450℃を越えると、メソフェーズピッチが固
化する。このようにして生成した電極基板の気孔は、少
なくとも厚み方向に連続して貫通しているようであり、
その気孔の内面は、熱伝導性を高める上で有用なメソフ
ェーズピッチ成分の炭化物でコートされるようである。
そして、高温、例えば、2000℃以上、特に2400
℃以上で焼成することにより、電極基板として優れたガ
ス透過性(例えば、ガス透過率700ml・mm/cm
2 ・hr・mmAq以上のガス透過率)、熱伝導性およ
び電気伝導性を発現する。特に電極基板の厚み方向の熱
伝導性および電気伝導性が高い。
【0054】また、炭素繊維化可能な繊維を含む成形体
を焼成すると、炭素繊維化可能な繊維は、例えば150
℃以上の温度で分解ガスを発生し、繊維の収縮に伴なっ
て、成形体の繊維と結合剤との界面に沿って空隙及び/
又は流路が生成し始める。炭素繊維化可能な繊維は、例
えば、700℃まで分解ガスを発生し、収縮する。ま
た、ピッチを含む熱硬化性樹脂を有機粒状物質として用
いると、有機物質の分解にやや遅れて有機粒状物質中の
ピッチが軟化分解し、有機粒状物質によって形成された
気孔と外部とを繋ぐ通路が形成される。さらに、メソフ
ェーズピッチの軟化と生成するガスにより、さらに網目
状の気孔が発達し、ガス透過性、熱伝導性および導電性
がさらに向上する。そのため、例えば、ガス透過率70
0ml・mm/cm2 ・hr・mmAq以上、好ましく
は1000ml・mm/cm2 ・hr・mmAq以上と
いう高いガス透過性、および熱伝導率7W/mK以上の
熱伝導性を有する電極基板を得ることもできる。
【0055】生成した電極基板は、焼成前の炭素質予備
成形体が均質であるため、前記炭素繊維化可能な繊維に
より形成された炭素繊維及び/又は炭素繊維によって補
強された均質な構造を有する。しかも、炭素繊維により
電極基板の面方向及び厚み方向に収縮するのを抑制で
き、均一な電極基板を得ることができる。
【0056】
【発明の効果】本発明の炭素質予備成形体は、前記成分
を含む抄紙構造を有しているので、有機粒状物質の偏析
を顕著に抑制でき、均質性に優れる。また、炭素質予備
成形体がメソフェーズピッチを含む。そのため、細孔径
とその分布を任意に精度よくコントロールでき、均質
性、熱伝導性、ガス透過性、電気伝導性に優れる電極基
板を得ることができる。特に有機粒状物質として熱硬化
性樹脂の硬化物やピッチを含む熱硬化性樹脂の硬化物を
用いる場合には、電極基板の細孔径とその分布をさらに
精度よくコントロールでき、均質な細孔径分布を有する
と共に、均一性及び寸法安定性に優れる電極基板を得る
ことができる。
【0057】また、本発明の方法では、熱可塑性樹脂の
偏析が抑制された均質な炭素質予備成形体を、吸引成形
という簡単な方法で効率よく製造できる。
【0058】さらに、本発明の方法によると、前記の如
き優れた特性を有する電極基板を生産性よく製造でき
る。
【0059】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。
【0060】実施例1 結合剤としてフェノール樹脂[群栄化学工業(株)製、
商品名レジトップPS−4101、炭化収率60重量
%]100重量部、平均繊維長0.7mmの炭素繊維
[(株)ドナック製、商品名ドナカーボS−244]1
00重量部、有機粒状物質としてエポキシ樹脂硬化物
[油化シェル(株)製、商品名エピコート815、炭化
収率10重量%]の粉末(粒径20〜80μm)250
重量部、及び軟化点320℃、炭化収率80重量%のメ
ソフェーズピッチの粉末[大阪瓦斯(株)製、200メ
ッシュ粉砕品]100重量部を水中に分散させ、均一な
スラリーを調製した。
【0061】そして、底面に多数の吸引用小孔を形成し
た吸引成形型(600mm×600mm)内に、吸引を
行いながら上記のスラリーを流し込み、成形用型の底面
に堆積させた。形成された湿潤状態の平板を型から取り
外し、100℃で4時間乾燥した。こうして得られた抄
紙構造の予備成形体の寸法は、厚み10mm×600m
m×600mmであり、その嵩密度は0.2g/cm3
であった。
【0062】次いで、この予備成形体を、600mm×
600mmの平板金型に入れ、プレス温度165℃、成
形圧150kgf/cm2 で20分間加熱加圧成形して
硬化させ、厚み1mm、密度1.3g/cm3 の成形体
を得た。この成形体を、220℃の温度で4時間放置し
て硬化させた後、黒鉛板に挾み、30℃/時の昇温速度
で2700℃まで昇温し、同温度で3時間黒鉛化処理す
ることにより、炭素質の電極基板を得た。
【0063】実施例2 実施例1と同様にして得られた抄紙構造の予備成形体の
成形圧を80kgf/cm2 とする以外は、実施例1と
同様に加圧成形し、厚み1.3mm、密度1.0g/c
3 の成形体を得た。この成形体を実施例1と同様に処
理して炭素質の電極基板を得た。
【0064】比較例1 実施例1で用いたフェノール樹脂100重量部、平均繊
維長0.7mmの炭素繊維100重量部、及び有機粒状
物質としてポリビニルアルコール[(株)クラレ製、粒
径20〜30μm]250重量部を乾式混合した。この
例では、メソフェーズピッチの粉末は混合しなかった。
【0065】この混合物を、600mm×600mmの
平板金型に入れ、プレス温度165℃、成形圧150k
gf/cm2 で20分間加熱加圧成形し、厚み1mmの
硬化板を得た。この硬化板を、220℃の温度で4時間
放置して硬化させた後、黒鉛板に挾み、30℃/時の昇
温速度で2700℃まで昇温し、同温度で3時間黒鉛化
処理することにより、炭素質の電極基板を得た。
【0066】実施例3 結合剤としてフェノール樹脂[鐘紡(株)製、商品名ベ
ルパールS−899、炭化収率65重量%]100重量
部、平均繊維長0.7mmの炭素繊維[(株)ドナッ
ク、商品名ドナカーボS−244]100重量部、有機
粒状物質として不飽和ポリエステル樹脂硬化物[武田薬
品工業(株)製、商品名ポリマール9802、炭化収率
10重量%]の粉末(粒径50〜300μm)100重
量部、及び軟化点320℃、炭化収率80重量%のメソ
フェーズピッチの粉末[大阪瓦斯(株)製、200メッ
シュ粉砕品]100重量部を水中に分散させ、均一なス
ラリーを調製し、実施例1と同様にして、炭素質の電極
基板を得た。
【0067】実施例4 メソフェーズピッチの粉末の使用量を100重量部から
150重量部に変更する以外、実施例3と同様にして、
炭素質の電極基板を得た。
【0068】実施例5 実施例3と同様にした得られた抄紙構造の予備成形体の
成形圧を40kgf/cm2 とする以外、実施例3と同
様にして加圧成形し、厚み1.6mm、密度0.8g/
cm3 の成形体を得た。この成形体を実施例1と同様に
処理して炭素質の電極基板を得た。
【0069】比較例2 メソフェーズピッチの粉末を用いることなく、実施例2
と同様にして、成形及び焼成し、炭素質の電極基板を得
た。
【0070】実施例1〜5及び比較例1,2で得られた
電極基板の気孔率、曲げ強度、圧縮強度、ガス透過率、
厚み方向の体積固有抵抗及び熱伝導率を測定したとこ
ろ、表1に示す結果を得た。
【0071】
【表1】 表1より、実施例1〜5で得られた電極基板は、比較例
1,2で得られた電極基板と比べて、特にガス透過性お
よび厚み方向の熱伝導率が優れている。
【0072】実施例6〜8 炭素繊維化可能な繊維としてのレーヨン繊維(大和紡績
(株)製、SAレーヨン、30μmφ×3mm)、炭素
繊維((株)ドナック製、ドナカーボS−331、18
μmφ×3mm)、結合剤としてフェノール樹脂(鐘紡
(株)製、ベルパールS−899、炭化収率65重量
%)、石油系メソフェーズピッチ(三菱瓦斯化学(株)
製、軟化点310℃、100μm以下、炭化収率80重
量%)および有機粒状物質を表2に示す割合で水中に分
散させ、均一なスラリーを調製した。このスラリーを用
いて吸引成形法により湿式抄紙し、抄紙体(300mm
×300mm×厚み10mm、嵩密度0.2g/c
3 )を作製した。
【0073】なお、前記有機粒状物質としては、不飽和
ポリエステル樹脂(武田薬品工業(株)製、商品名ポリ
マール9802、炭化収率10重量%)50重量%と上
記メソフェーズピッチ粉50重量%とを混合し、硬化さ
せた後、粉砕した粉粒状物(粒径50〜120μm)を
用いた。
【0074】抄紙体を乾燥し、170℃で30分間加熱
プレスして硬化させ、嵩密度0.8〜1.0g/cm3
の成形体を得た。得られた成形体を、窒素ガス雰囲気
中、2700℃で焼成し、電極基板を作製した。
【0075】実施例10〜11 有機粒状物質として、メソフェーズピッチを40重量%
含む前記エポキシ樹脂の硬化物の粉粒状物を用いると共
に、実施例6で用いた炭素繊維、レーヨン繊維、フェノ
ール樹脂およびメソフェーズピッチ粉を表2に示す割合
で用いる以外、実施例6〜9と同様にして、電極基板を
作製した。
【0076】実施例12〜14 炭素繊維化可能な繊維として、ポリアクリロニトリル繊
維[東邦ベスロン(株)製、パイロメックス]を用いる
と共に、実施例6で用いた炭素繊維、フェノール樹脂お
よびメソフェーズピッチ粉、実施例10で用いたメソフ
ェーズピッチを含むエポキシ樹脂の硬化物の粉粒状物を
表3に示す割合で用いる以外、実施例10〜11と同様
にして、電極基板を作製した。
【0077】比較例3〜13 下記の成分を表3及び表4に示す割合で用いる以外、実
施例3と同様にして、電極基板を作製した。
【0078】炭素繊維化可能な繊維:(1)実施例6の
レーヨン繊維、および (2)実施例12のポリアクリロニトリル繊維 炭素繊維:実施例1の炭素繊維 フェノール樹脂:実施例1のフェノール樹脂 有機粒状物質:(1)実施例3の不飽和ポリエステルの
硬化物の粉末、 (2)実施例1のエポキシ樹脂の硬化物の粉末、および (3)ポリスチレンの粉末(粒径20〜80μm) そして、実施例6〜14および比較例3〜13で得られ
た電極基板の特性を測定したところ、表2〜表4に示す
結果を得た。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】 表2〜表4から明らかなように、実施例6〜14の電極
基板は、比較例3〜13の電極基板に比べて、ガス透過
性、厚み方向の熱伝導性が極めて高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 喜照 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 (72)発明者 岡本 一夫 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維化可能な繊維及び/又は炭素繊
    維、炭化収率40〜75重量%の結合剤、有機粒状物
    質、およびメソフェーズピッチを含む抄紙構造の炭素質
    予備成形体。
  2. 【請求項2】 有機粒状物質が、熱硬化性樹脂の硬化物
    である請求項1記載の炭素質予備成形体。
  3. 【請求項3】 有機粒状物質が、ピッチを含む熱硬化性
    樹脂の硬化物である請求項2記載の炭素質予備成形体。
  4. 【請求項4】 炭素質予備成形体が、繊維100重量部
    に対して、結合剤20〜200重量部、有機粒状物質1
    0〜500重量部、およびメソフェーズピッチ10〜2
    50重量部を含む請求項1記載の炭素質予備成形体。
  5. 【請求項5】 メソフェーズピッチの軟化点が150〜
    400℃である請求項1記載の炭素質予備成形体。
  6. 【請求項6】 炭素繊維化可能な繊維及び/又は炭素繊
    維の短繊維、炭化収率40〜75重量%の結合剤、有機
    粒状物質、およびメソフェーズピッチを含むスラリーを
    吸引成形する抄紙構造の炭素質予備成形体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の炭素質予備成形体を圧縮
    成形し、炭化又は黒鉛化する電極基板の製造方法。
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