JP2991524B2 - 広角レンズ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、一眼レフカメラ等の
カメラに使用されるレトロフォーカス型の広角レンズに
関し、特に、非球面を有する広角レンズに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】一眼レフカメラ用の広角レンズとして
は、充分なバックフォーカスを確保するため、従来から
前群が負、後群が正のパワー配置をとったレトロフォー
カスタイプが使用されている。例えば特開昭５４−１２
７２８号公報には、Ｆナンバー２．８、半画角３７゜の
５枚構成の簡単でコンパクトな広角レンズが開示されて
いる。

【０００３】また、特開昭６２−７８５２０号公報に
は、５枚構成で前群に非球面を設けたレトロフォーカス
型の広角レンズが開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
５４−１２７２８号公報に記載された広角レンズは、５
枚構成と簡易にしたため、軸外のコマ収差や倍率の色収
差の発生が大きい。

【０００５】また、特開昭６２−７８５２０号公報に開
示された広角レンズは、軸外収差の補正を目的として非
球面を絞りから離れた前群に設けているため、像面湾
曲、歪曲収差は良く補正されているが、非点収差と倍率
色収差との補正が不充分である。

【０００６】

【発明の目的】この発明は、上記の課題に鑑みてなされ
たものであり、適切な非球面を設けることにより、５枚
構成で高性能なレトロフォーカス型広角レンズを提供す
ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するために、物体側から順に、負のパワーをもつ前
群と、絞りを有し正のパワーをもつ後群とを配列して構
成し、前群を正の第１レンズと物体側に凸面を向けた負
メニスカスの第２レンズとから構成し、後群を正の第３
レンズと、周辺部に行くに従って負のパワーが増加する
非球面を有する負の第４レンズと、正の第５レンズとか
ら構成し、かつ以下の条件を満足することを特徴とす
る。

【０００８】

【０００９】

【実施例】以下に、この発明の実施例を説明をする。

【００１０】この発明にかかる広角レンズは、図１に示
すように、物体側から負のパワーをもつ前群と、絞りを
有し正のパワーをもつ後群とを配列して構成されてい
る。前群は、正の第１レンズと、物体側に凸面を向けた
負メニスカスの第２レンズとから構成され、後群は、正
の第３レンズと、周辺部に行くに従って負のパワーが増
加する非球面を有する負の第４レンズと、正の第５レン
ズとから構成されている。

【００１１】レトロフォーカスタイプの広角レンズの後
群は、前群で発散させた光束を収束させるため強い正の
パワーを持つ。したがって、球面収差が補正不足になリ
やすい。そこで、後群中の絞り近傍の面を上記のような
非球面とすることにより、軸外光束に余り影響を与えず
球面収差を補正できる。

【００１２】なお、この第４レンズは、硝材を直接非球
面加工しても、また球面レンズ上に薄い合成樹脂層を設
けて非球面を形成してもよい。後述する実施例１、２は
硝材を直接非球面加工した例、実施例３、４、５は球面
上に薄い合成樹脂層を設けて非球面を形成した例を示し
てある。

【００１３】また、有効径の周辺における非球面の近軸
球面からの光軸方向のズレ量を△Ｘ１、有効径の１／２
の位置における非球面の近軸球面からの光軸方向のズレ
量を△Ｘ２、前群の焦点距離をｆＦ、レンズ系全体の焦
点距離をｆ、後群中の正レンズのｄ線屈折率をＮＲＰと
して、以下の（１）（２）（３）の条件を満たすことを
特徴とする。

【００１４】

【００１５】球面収差は、入射高さ（ｈ）の４乗に比例
する形状の波面収差であるため、ｈの４乗に比例した形
状の非球面を用いて補正できる。したがって、４次の形
状の正の波面収差を発生させるように絞りの近傍に、周
辺部へ行くに従い負のパワーの増加する４次の形状の非
球面を設ければよい。

【００１６】条件（１）は、第４レンズの非球面の形状
を規定するものでり、その形状がほぼ入射高さ（ｈ）の
４乗に比例した形状の非球面になることを規定するもの
である。この条件の上限を越えて高次の非球面を設ける
と、軸上の周辺光線は補正過剰になり、また条件を越え
て低次の非球面にすると球面収差が補正不足となる。

【００１７】条件（２）は、レンズ系のバックフォーカ
スを十分に確保し、かつ、レンズ全系をコンパクトにす
るための条件である。下限値を越えて前群の負のパワー
を強くすると、第２レンズの２面で内方コマ収差が発生
する。また、前群による光束の発散の度合も大きくなる
ため、後群の正のパワーも強くせねばならず、球面収差
が補正不足になりやすい。逆に上限値より前群の負のパ
ワーを弱くすると、レンズ全系が大きくなり、かつ広い
画角を確保することも困難となる。

【００１８】条件（３）は、後群中の正レンズの屈折率
を規定するものである。後群中の正レンズは、全体のパ
ワーを支配するレンズで、正の強いパワーを持ってい
る。したがって、ここには屈折率の高い硝材を配するこ
とによりペッツバール和を小さく抑え、像面湾曲を小さ
くすることができる。条件（３）の下限を越える低い屈
折率ではペッツバール和が大きくなリ物体側に像面湾曲
が発生しやすく、また後群のパワーを確保するために曲
率を強くせざるをえず、球面収差、コマ収差の発生要因
となる。

【００１９】更に、この発明の広角レンズは、第１レン
ズのアッベ数をν１、第１レンズのｄ線屈折率をＮ１と
して、以下の（４）（５）の条件を満たすことが望まし
い。

【００２０】

【００２１】条件（４）（５）は、第１レンズのアッベ
数と屈折率とを規定したものであり、条件（４）を満た
すことにより、倍率の色収差をより良好に補正すること
ができ、条件（５）を満たすことにより、歪曲収差をよ
り良好に補正することができる。

【００２２】以下、この発明の数値実施例を示す。ただ
し、非球面（面番号の左に＊印を付けてある面）の形状
は下式で表すものとする。

【００２３】

【数１】 Ｘは光軸方向の座標 ｈは光軸と垂直方向の座標 Ｃは曲率（１／ｒ） ｋは円錐定数 Ａｎは非球面係数（ｎ＝４，６，８，１０）

【００２４】

【実施例１】図１は、この発明の実施例１を示したもの
である。具体的な数値構成は表１、この構成による諸収
差は図２に示されている。表中、ｒは曲率半径、ｄは面
間隔、Ｎは屈折率、νはアッベ数、ｆは焦点距離、ｆＢ
はバックフォーカス、ＦＮｏ．は口径比、ωは半画角で
ある。

【００２５】

【表１】

【００２６】

【実施例２】図３は、この発明の実施例２を示したもの
である。具体的な数値構成は表２、この構成による諸収
差は図４に示されている。

【００２７】

【表２】

【００２８】

【実施例３】図５は、この発明の実施例３を示したもの
である。具体的な数値構成は表３、この構成による諸収
差は図６に示されている。

【００２９】

【表３】

【００３０】

【実施例４】図７は、この発明の実施例４を示したもの
である。具体的な数値構成は表４、この構成による諸収
差は図８に示されている。

【００３１】

【表４】

【００３２】

【実施例５】図９は、この発明の実施例５を示したもの
である。具体的な数値構成は表５、この構成による諸収
差は図１０に示されている。

【００３３】

【表５】

【００３４】

【効果】以上説明したように、この発明によれば、５枚
構成という簡易な構成のレトロフォーカス型広角レンズ
に適切な非球面を設けることにより、コンパクトで高性
能な広角レンズを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施例１のレンズ断面図である。

【図２】 実施例１の収差図である。

【図３】 実施例２のレンズ断面図である。

【図４】 実施例２の収差図である。

【図５】 実施例３のレンズ断面図である。

【図６】 実施例３の収差図である。

【図７】 実施例４のレンズ断面図である。

【図８】 実施例４の収差図である。

【図９】 実施例５のレンズ断面図である。

【図１０】 実施例５の収差図である。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 物体側から順に、負のパワーをもつ前群
   と、絞りを有し正のパワーをもつ後群とが配列して構成
   され、前記前群は正の第１レンズと物体側に凸面を向け
   た負メニスカスの第２レンズとからなり、前記後群は正
   の第３レンズと、周辺部に行くに従って負のパワーが増
   加する非球面を有する負の第４レンズと、正の第５レン
   ズとからなり、かつ以下の条件を満足することを特徴と
   する広角レンズ。
2. 【請求項２】 前記第４レンズは、球面に研磨されたガ
   ラス上に合成樹脂層を形成することにより非球面形状に
   形成されていることを特徴とする請求項１に記載の広角
   レンズ。
3. 【請求項３】 以下の条件を満足することを特徴とする
   請求項１または２に記載の広角レンズ。