JP2987964B2 - 窒化ホウ素被覆硬質材料 - Google Patents

窒化ホウ素被覆硬質材料

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JP2987964B2
JP2987964B2 JP3041844A JP4184491A JP2987964B2 JP 2987964 B2 JP2987964 B2 JP 2987964B2 JP 3041844 A JP3041844 A JP 3041844A JP 4184491 A JP4184491 A JP 4184491A JP 2987964 B2 JP2987964 B2 JP 2987964B2
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直也 大森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基材との高い密着強度
を持った窒化ホウ素被覆層を有する窒化ホウ素被覆硬質
材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化ホウ素(BN)は六方晶窒化ホウ
素、立方晶窒化ホウ素(以下CBNとも呼ぶ)などの結
晶構造を持つことが知られており、そのうちのCBNは
ダイヤモンドに次ぐ常温硬度をもち、またダイヤモンド
に比べて高温で安定であり、強度も高いことが知られて
いる。このため、CBN、またはCBNを含む被覆層を
切削工具、耐摩工具その他の機械部品の表面に被覆した
場合、良好な耐磨耗性が期待できる。特に被加工部位や
被削材が、鋼および鋳鉄であるロール、ガイドーラー、
しールリング、ロッカーアームチップ、ノズル類、およ
びダイス、金型類などの耐摩工具、切削工具の表面に被
覆層として用いた場合、良好な耐磨耗性が期待できる。
そして実際にCBNや金属をセラミックで接合した切削
工具、耐摩工具は実用されている。
【0003】人工窒化ホウ素の製造法のうら、気相より
窒化ホウ素被覆層を形成する方法としては、プラズマC
VD法、イオンプレーティング法、スパッタ法、イオン
ビーム支援真空蒸着法など、種々の方法が知られてお
り、窒化ホウ素被覆硬質材料製造の有力な方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、窒化ホウ素
被覆硬質材料の多くは基材と窒化ホウ素被覆層の密着強
度がまだ不足している。特に、切削工具などの過酷な条
件下で使用するものに適用した場合、窒化ホウ素被覆層
が剥離することにより寿命にいたる場合が多い。この大
きな原因として、他の物質との中間相を持たないことが
考えられる。この点を改良するため、基材と窒化ホウ素
被覆層との間に中間層を設ける、といった多くの試みが
なされている(例えば特開昭60−204687号公
報、特開昭63−20446号公報、特開昭63−35
774号公報、特開昭63−239103号公報等)。
しかし未だ良好な密着強度を持つ窒化ホウ素被覆層は実
現できていない。また、ArやH2 などのプラズマで基
板を処理し、表面の不純物を除去し、これにより得られ
た清浄表面上に窒化ホウ素被覆層を成膜することで基材
との密着強度を確保するというものである。この方法に
おいても、充分な密着強度は得られていない。本発明は
これらの問題点を解消し、優れた密着強度をもつ窒化ホ
ウ素被覆硬質材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】優れた密着強度を持つ窒
化ホウ素被覆硬質材料を作製する場合、窒化ホウ素被覆
層と基材がなんらかの物理的な強い力にて接合されてい
る状態を作り出さねばならない。本発明者は、これを実
現するため、基材表面に、機械的、または化学的に作製
され、基材と高い密着強度をもつ凸部が存在する状態を
作り出し、この基材表面に窒化ホウ素被覆層を形成し、
凸部が窒化ホウ素被覆層に侵入した状態を作った場合、
窒化ホウ素被覆層と基材との密着強度が非常に高くなる
ことを発見した。これは、窒化ホウ素被覆層と基材との
接触面積が増大したことと、凸部が、窒化ホウ素被覆層
のアンカー作用を持ち、窒化ホウ素被覆層が剥がれにく
くなったためと考えられる。
【0006】すなわち、本発明は硬質材料の表面に、窒
化ホウ素被覆層を形成してなる被覆硬質材料において、 (1)基材表面に微視的凹凸が存在し、 (2)凸部が、窒化ホウ素被覆層−基材界面において、
基準長さを10μmとしたとき、この基準長さ内におい
て少なくとも1箇所以上存在し、 (3)界面における基準長さ内において、凸部の長さの
総和Bと、凹部の長さの総和Aの比が、0.05≦A/
B≦20であり、 (4)凸部が、窒化ホウ素被覆層中に少なくとも0.2
μm侵入しており(5)かつ侵入する物質の形状が、アスペクト比が1.
5以上の柱状形状であるか、あるいは針状形状である 、 ことを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料である。
【0007】ここで述べる凹凸とは、砥石等による研削
加工により形成される巨視的にみた凹凸ではなく、微小
区間内および凹凸であり、窒化ホウ素被覆層−基材界面
において、基準長さを10μmなどの微小区間とした、
この基準長さ内における凹凸のことである。本発明者た
ちは種々の凹凸状態を作り出した結果、10μmの基準
長さ内に、少なくとも凸部が1箇所以上存在し、かつ基
準長さ内において、凸部の長さの総和Aと、凹部の長さ
の総和Bの比が、0.05≦A/B≦20であり、かつ
凸部が窒化ホウ素被覆層中に0.2μm以上侵入してい
る状態が、密着強度が高くなることを発見した。
【0008】基材に凹凸を作る具体的方法としては、 基材表面に柱状晶および/または針状晶を析出する
方法 エッチングによりエッチングされやすいバインダー
を取り除く方法 基材にマスクを施してからエッチングし、そのあ
と、マスクを取り除く方法 レーザー等による物理的加工による方法 など、基材に応じて適当な方法を選択する。の方法は
基材に何らかの熱処理を施し、表面に基材成分による柱
結晶または針状結晶を自由成長させるか、および/また
は2次結晶発生を促進するものであり、の方法は、
酸、アルカリに対する腐食性の異なる硬質相と結合相に
より構成される素材に対して有効であり、の方法はホ
トマスクを用い任意のパターンにマスクを設けた後、エ
ッチングによりマスクを取り除く方法である。
【0009】凸部を構成する材料としては、窒化珪素結
晶、窒化珪素を含む結晶、サイアロン、炭化珪素、炭化
珪素を含む物質、タングステン、タングステンの炭化物
もしくは炭窒化物、タングステンと他の1種もしくは2
種以上の金属の炭化物または炭窒化物およびこれらを含
む物質、チタン、チタンの炭化物もしくは炭窒化物、チ
タンと他の1種もしくは2種以上の金属の炭化物または
炭窒化物およびこれらを含む物質からなる群から選ばれ
る。こゝで、サイアロン(Sialon) は、窒化珪素結晶の
SiおよびNの一部が夫々AlとOで置換されたもので
あり、α−サイアロン、β−サイアロンがある。そし
て、これら凹凸部を形成する物質は基材と一体で同一材
料であることが好ましく、同一材料で組成が異なっても
よい。
【0010】本発明による窒化ホウ素被覆層−基材界面
の状態を模式的に示すと図1のようになる。こゝでは、
凸部の長さの総和A、すなわちΣAと凹部の長さの総和
B、すなわちΣBの比H0.05≦ΣA/ΣB≦20で
なければならず、凸部の侵入長さは0.2μm以上とす
るのが好ましい。例えば、0.5μmの凸部が10μm
中に1個あるときΣA/ΣB=19となる。
【0011】いずれにしても、このようにして形成され
る凸部は、窒化ホウ素被覆層−基材界面において、基準
長さを10μmとしたとき、この基準長さ内において、
少なくとも1箇所以上存在し、凸部の長さの総和Bと凹
部の長さの総和Aの比が0.05以上、20以下の範囲
にあることが必要で、かつ該凸部が窒化ホウ素被覆層中
に侵入していなければならない。この場合、侵入長さは
0.2μm以上であることが好ましい。凸部の長さの総
和Bと凹部の長さの総和Aの比が 0.05≦A/B≦
20の範囲を逸脱した場合、密着強度の向上が認められ
ない。
【0012】基材は、超硬合金、サーメット、Al2
3 、窒化珪素、炭化珪素など各種セラミックを始めとす
る硬質材料であれば何でも可能である。この中で、特
に、窒化珪素、炭化珪素、炭化チタン、窒化チタン、炭
窒化チタンのようなチタンの化合物および/またはチタ
ンの化合物を含む物質、タングステンの炭化物および/
またはタングステン合金の炭化物および/またはこれら
を含む物質による凹凸が存在する場合、高い密着強度を
示すことも判った。さらに、凸部の形状がアスペクト比
1.5以上の柱状結晶である場合や、針状結晶である場
合、さらに密着強度が高くなることも判った。
【0013】窒化ホウ素被覆層は基材の全面に被覆して
もよいし、部分的に施してもよい。切削工具、耐摩工具
として用いる場合、実際に摩耗が生じる面のみに被覆し
てもよい。被覆を施す面積は、少なくとも性能向上が要
求される部分の表面積の10%以上であることが望まし
い。また、被覆後の表面を、ダイヤモンド砥粒などによ
りラッピングすることも可能で、良好な表面面粗度が要
求される場合にも本発明は対応可能である。さらに切削
工具に本発明を適用した場合、少なくとも切れ刃近傍に
ラッピング等による平坦化処理を施せば、切削抵抗が減
少するため切削性能が向上し、また仕上げ面面粗度も向
上する。
【0014】なお、窒化ホウ素被覆層の層厚に関して
は、0.1μm未満では被覆層による耐摩耗性など諸性
能の向上が認められず、また200μmを越える被覆層
を形成した場合でも、もはや大きな性能の向上が認めら
れないため、0.1μm〜200μmが望ましい。
【0015】以上の説明は窒化ホウ素一般を被覆する場
合について行ったが、これはCBNのみからなる窒化ホ
ウ素でなくても実用上問題はない。少なくとも1容量%
以上CBNを含み、その他の部分が他の結晶型窒化ホウ
素であるか、ホウ素であるものでも、被覆層の存在によ
る耐磨耗性の向上が認められる。また窒化ホウ素被覆層
の単層、2層以上にて構成される場合も全く同様の効果
が得られる。被覆層を設ける手段としては、前述したい
ずれの方法でもよく、また六方晶型窒化ホウ素などの他
の結晶型をした窒化ホウ素を被覆した後、加熱等の処理
により被覆層中のCBNの割合を変更する方法であって
も同様の効果が奏せられる。次に本発明を実施例により
具体的に説明する。
【0016】
【実施例】実施例1 母材として、窒化珪素基のセラミック(具体的にはSi
3 4 −4wt%Al 2 3 −4wt%ZrO2 −3w
t%Y2 3 )で形状がISO規格SNGN432のス
ローアウェイチップを作製した。本チップを、1800
℃、5atmのN2 ガス雰囲気にて、40分間熱処理を
行ったところ、チップ表面には短径2μm、長径8μ
m、アスペクト比4の窒化珪素の柱状結晶および針状結
晶が発生した。このようにして作製したチップに対し、
公知のRFプラズマCVD装置を用いて、基板温度を5
00℃とし、ジボランガス:N2 ガス=1:2の比にて
0.05Torrまで導入し、切削チップの切り刃近傍
で平均層厚3.0μmの窒化ホウ素被覆切削チップを作
製した。また、比較のため、同一形状、同一組成で被覆
層を設けなかった比較チップ1、および熱処理を行わな
かったため、表面に窒化珪素の柱状晶が存在しないチッ
プに窒化ホウ素被覆層を設けた比較チップ2を準備し
た。なお、本試験において、基材の表面に析出した被覆
層は、赤外線吸収分析、オージェ分析、透過電子線回折
法によって、CBNを1容量%以上含む窒化ホウ素被覆
層であることを確認した。
【0017】これらの切削チップを用いて、 被削材 : HB 230を有するFC30の丸棒 切削速度 : 1000m/min 送り : 0.3mm/rev. 切込み : 1.5mm 切削油 : エマルジョンタイプ の条件にて湿式連続切削を行い、使用寿命とされる切れ
刃の逃げ面摩耗量が0.1mmに至るまでの切削時間を
調べたところ、本発明切削チップが23分であったのに
対して、比較チップ1は2分、比較チップ2は3.5分
であり、被覆層が大きく剥離しているのが観察できた。
【0018】また、上記と同様の各チップについて、 被削材 : SCM−3(断面形状は図1に示す) 切削速度 : 220m/min 送り : 0.2mm/rev. 切込み : 1.0mm 切削時間 : 1分間 切削油 : エマルジョンタイプ の条件にて湿式断続切削を行い、16切れ刃切削し、欠
損率を調べたところ、本発明切削チップは12.5%で
あったのに対して、比較チップ1は12.5%、比較チ
ップ2は18.7%であり、被覆層が大きく剥離してい
るのが観察できた。
【0019】切削試験後のチップを切断、ラッピング
後、基材−窒化ホウ素被覆層界面を光学顕微鏡にて観察
したところ、本発明切削チップにおいては、窒化珪素の
柱状晶が窒化ホウ素被覆層に最大3μmの深さにて侵入
し、また、10μmの基準長さ内に、3〜5の凸部が存
在し、A/Bは0.7〜1.2となっていることを確認
した。なお比較チップにおいては、基材−窒化ホウ素被
覆層界面に、窒化珪素の柱状晶は存在せず、また基材の
窒化ホウ素被覆層中への侵入は観察されなかった。
【0020】実施例2 母材として、炭化珪素ウイスカーセラミック(具体的に
はAl2 3 −35vol%SiCウイスカー5wt%
ZrO2 )で形状がISO規格SNGN432のスロー
アウエイチップを作製した。本チップを、溶融NaOH
と接触させ、エッチングを行うことにより、チップ表面
には短径1μm、長径8μmの炭化珪素ウイスカーの針
状結晶が露出した。本切削チップを、公知の高周波スパ
ッタリング装置を用いて、ターゲットに六方晶BNのタ
ーゲットを用い、基本加熱温度200〜500℃、雰囲
気N2 /Ar比が1/10、雰囲気圧力0.01Tor
r、バイアス電圧100V、反応時間10時間にて、平
均層厚5μmの窒化ホウ素被覆切削チップを作製した。
また、比較のため、同一形状、同一組成でエッチング処
理を行わなかった比較チップ1、およびこれに全く同じ
被覆を施した比較チップ2を準備した。なお、本試験に
おいて、基材の表面に析出した被覆層は、赤外線吸収分
析、オージェ分析、透過電子線回折法によって、CBN
を1容量%以上含む窒化ホウ素被覆層であることを確認
した。
【0021】これらの切削チップを用いて、 被削材 : HB 230を有するFC30の丸棒 切削速度 : 1000m/min 送り : 0.3mm/rev. 切込み : 1.5mm 切削油 : エマルジョンタイプ の条件にて湿式連続切削を行い、使用寿命とされる切れ
刃の逃げ面摩耗量が0.1mmに至るまでの切削時間を
調べたところ、本発明切削チップが20分であったのに
対して、比較チップ1は2.5分、比較チップ2は3.
5分であり、被覆層が大きく剥離しているのが観察でき
た。
【0022】切削試験後のチップを切断、ラッピング
後、基材−窒化ホウ素被覆層界面を光学顕微鏡にて観察
したところ、本発明切削チップにおいては、炭化珪素ウ
イスカーが窒化ホウ素被覆層に最大3.5μmの深さに
て侵入し、界面において、10μmの基準長さ内に、3
〜6箇所の凹凸が存在し、A/Bは1.0〜1.6とな
っていることを確認した。なお比較チップにおいては、
基材−窒化ホウ素被覆層界面に、炭化珪素ウイスカーは
存在せず、また基材の窒化ホウ素被覆層中への侵入は観
察されなかった。
【0023】実施例3 母材として、JIS−K10超硬合金(具体的にはWC
−1.5wt%NbC−6wt%Co)で、形状が、内
接円:9.53mm、厚み:3.22mmの三角形状の
スローアウエイチップを作製した。本チップを、鏡面加
工した後、レーザー加工により、 (1)深さ3.0μm、幅1.5μmの溝を、2μm間
隔の格子状に加工 (2)深さ6.0μm、幅3.0μmの溝を、3μm間
隔の格子状に加工 した本発明チップ(1)および(2)を作製した。各
々、A/Bは、1.33、1となる。これらのチップに
対して、公知のRFプラズマCVD装置を用いて、基板
温度を500℃とし、ジボランガス:N2 ガス=1:2
の比にて0.05Torrまで導入し、切削チップの切
れ刃近傍で平均層厚2.0μmの窒化ホウ素被覆切削チ
ップを作製した。また、比較のため、同一形状、同一組
成で被覆層を設けなかった比較チップ1、およびこのチ
ップに同一組成でレーザー加工処理を行わなかったチッ
プに窒化ホウ素被覆層を設けた比較チップ2を準備し
た。なお、本試験において、基材の表面に析出した被覆
層は、赤外線吸収分析、オージェ分析、透過電子線回折
法によって、CBNを1容量%以上含む窒化ホウ素被覆
層であることを確認した。
【0024】これらの切削チップを用いて、 被削材 : SKD−11(硬さ:HRC 60)の丸
棒 切削速度 : 150m/min 送り : 0.1mm/rev. 切込み : 0.5mm の条件にて乾式連続切削を行ったところ、本発明切削チ
ップ(1)、(2)は30分の切削に対して、逃げ面摩
耗量はそれぞれ0.15mm、0.20mmで正常摩耗
であり、これに対して比較チップ1、2では、逃げ面摩
耗量はそれぞれ0.45mm、0.38mmであり、比
較チップ2においては、窒化ホウ素被覆層の大きな剥離
が観察された。
【0025】切削試験後のチップを切断、ラッピング
後、基材−窒化ホウ素被覆層界面を光学顕微鏡にて観察
した所、本発明切削チップにおいては、基材である超硬
合金が窒化ホウ素被覆層に最大3μmの深さにて侵入し
ており、また、A/Bは予想された値となっていること
を確認した。比較チップにおいては、基材の窒化ホウ素
被覆層中への侵入および凹凸の存在は観察されなかっ
た。
【0026】実施例4 母材として、実施例3と同じ組成、形状のJIS−K1
0超硬合金のスローアウェイチップを作製した。本チッ
プを50℃に加熱した王水溶液にて30分間浸漬した後
水洗いし、Coをエッチングすることにより表面に微視
的凹凸が存在するように加工した。これらのチップに対
して、公知のRFプラズマCVD装置を用いて、基板温
度を500℃とし、ジボランガス:N2 ガス=1:2の
比にて0.05Torrまで導入し、切削チップの切れ
刃近傍で平均層厚3.5μmの窒化ホウ素被覆切削チッ
プを作製した。また、比較のため、同一形状、同一組成
で窒化ホウ素被覆層を設けなかった比較チップ1、およ
びこのチップに同一組成でエッチング処理を行わなかっ
たチップに窒化ホウ素被覆層を設けた比較チップ2を準
備した。なお、本試験において、基材の表面に析出した
被覆層は、赤外線吸収分析、オージェ分析、透過電子線
回折法によって、CBNを1容量%以上含む窒化ホウ素
被覆層であることを確認した。
【0027】これらの切削チップを用いて、 被削材 : JIS・SCM415の浸炭焼入鋼(硬
さ:HRC55)の丸棒 切削速度 : 140m/min 送り : 0.2mm/rev. 切込み : 0.3mm 切削油 : なし の条件にて乾式連続切削を行ったところ、本発明切削チ
ップは15分の切削に対して、逃げ面摩耗量は0.04
mmで、正常摩耗であった。これに対して比較チップ
1、2では、逃げ面摩耗量はそれぞれ0.25mm、
0.2mmであり、比較チップ2においては、窒化ホウ
素被覆層の大きな剥離が観察さた。
【0028】切削試験後のチップを切断、ラッピング
後、基材−窒化ホウ素被覆層界面を光学顕微鏡にて観察
した所、本発明切削チップにおいては、基材である超硬
合金が窒化ホウ素被覆層に最大1.2μmの深さにて侵
入しており、また、基準長さ10μm内において、A/
Bは0.2〜0.4で、10〜14箇所の凸部が存在し
ていることを確認した。比較チップにおいては、基材の
窒化ホウ素被覆層中への侵入および凹凸の存在は観察さ
れなかった。
【0029】
【発明の効果】本発明窒化ホウ素被覆硬質材料において
は、いずれも従来の窒化ホウ素被覆硬質材料と比べる
と、良好な耐剥離性を持つことがわかる。本実施例1の
結果より、本発明チップは基材の京都(靱性)も損なっ
ていないことがわかる。本実施例1、2、4における方
法は、基材の特性を生かした表面処理であるが、本実施
例3における方法は基材を選ばない応用力に優れた方法
であるため、炭化珪素、Al2 3 を主体とした各種セ
ラミック、サーメットなどを基材とした場合も、良好な
結果が得られる。また、本実施例は、切削工具の場合を
紹介したが、TABツールなどの耐摩工具や機械部品に
応用した場合も、良好な結果が得られた。そのほか、エ
ンドミル、ドリル、プリント基板穴あけ用ドリル、リー
マーなどにも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被覆層−基材界面の状態を模式的に示
す概念図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 16/00 - 16/56 C04B 41/87 C23C 14/00 - 14/58

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬質材料の表面に、窒化ホウ素被覆層を
    形成してなる被覆硬質材料において、 (1)基材表面に微視的凹凸が存在し、 (2)凸部が、窒化ホウ素被覆層−基材界面において、
    基準長さを10μmとしたとき、この基準長さ内におい
    て少なくとも1箇所以上存在し、 (3)界面における基準長さ内において、凸部の長さの
    総和Bと、凹部の長さの総和Aの比が、0.05≦A/
    B≦20であり、 (4)凸部が、窒化ホウ素被覆層中に少なくとも0.2
    μm侵入しており(5)かつ侵入する物質の形状が、アスペクト比が1.
    5以上の柱状形状である ことを特徴とする窒化ホウ素被
    覆硬質材料。
  2. 【請求項2】 硬質材料の表面に、窒化ホウ素被覆層を
    形成してなる被覆硬質材料において、 (1)基材表面に微視的凹凸が存在し、 (2)凸部が、窒化ホウ素被覆層−基材界面において、
    基準長さを10μmとしたとき、この基準長さ内におい
    て少なくとも1箇所以上存在し、 (3)界面における基準長さ内において、凸部の長さの
    総和Bと、凹部の長さの総和Aの比が、0.05≦A/
    B≦20であり、 (4)凸部が、窒化ホウ素被覆層中に少なくとも0.2
    μm侵入しており(5)かつ侵入する物質の形状が針状形状である ことを
    特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料。
  3. 【請求項3】 凸部が、窒素珪素結晶および/または窒
    化珪素を含む結晶および/またはサイアロンであること
    を特徴とする請求項1または2記載の窒化ホウ素被覆硬
    質材料。
  4. 【請求項4】 凸部が、炭化珪素および/または炭化珪
    素を含む物質で構成されることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の窒化ホウ素被覆硬質材料。
  5. 【請求項5】 凸部が、(1)タングステン、(2)タ
    ングステンの炭化物または炭窒化物、(3)タングステ
    ンと他の1種または2種以上の金属の炭化物または炭窒
    化物および(4)これらを含む物質からなる群から選ば
    れる1種の材料で構成されることを特徴とする請求項1
    または2記載の窒化ホウ素被覆硬質材料。
  6. 【請求項6】 凸部が、(1)チタン、(2)チタンの
    炭化物または炭窒化物、(3)チタンと他の1種または
    2種以上の金属の炭化物または炭窒化物および(4)こ
    れらを含む物質からなる群から選ばれる1種の材料で構
    成されることを特徴とする請求項1または2記載の窒化
    ホウ素被覆硬質材料。
  7. 【請求項7】 硬質材料が、(1)超硬合金、(2)サ
    ーメット、(3)Al 2 3 、窒化珪素、炭化珪素など
    の各種セラミック、または(4)これらの複合材料であ
    ることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の窒化
    ホウ素被覆硬質材料。
  8. 【請求項8】 窒化ホウ素被覆層と基材との境界部にお
    いて、凹凸部を形成する物質が、基材と一体同一材料で
    あることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の窒
    化ホウ素被覆硬質材料。
  9. 【請求項9】 窒化ホウ素被覆層と基材との境界部にお
    いて、凹凸部を形成する物質が、基材と同一材料である
    が、組成が異なる物質であることを特徴とする請求項1
    〜8の何れかに記載の窒化ホウ素被覆硬質材料。
  10. 【請求項10】 窒化ホウ素被覆層が、1容量%以上の
    割合で立方晶窒化ホウ素を含む組織であることを特徴と
    する請求項1〜9の何れかに記載の窒化ホウ素被覆硬質
    材料。
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