JP3671623B2 - 被覆超硬合金 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆超硬合金に関し、より特定的には、切削工具などに使用される強靱かつ耐摩耗性に優れる被覆超硬合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
超硬合金の表面に炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタンあるいは酸化アルミニウムなどの被覆層を蒸着することにより切削工具の寿命を向上させることが行なわれており、一般に化学蒸着法、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )法、物理蒸着法などを用いて生成された被覆層などが広く普及している。
【0003】
しかし、これらの被覆切削工具を用いて加工を行なった場合、特に鋼の高速切削加工や高速で鋳鉄の加工のように高温での被覆層の耐摩耗性および耐クレーター性が必要な加工、あるいは小物部品加工のように加工数が多く被削材への食いつき回数が多い加工などで被覆層の耐摩耗性が不足したり、被覆層の損傷、剥離が発生することによる工具寿命の低下が発生していた。
【0004】
これらの課題を克服するために、これまでに被覆技術については、被覆層の組織制御がなされてきた。たとえば、特開平8−132130号公報や特開平5−269606号公報に示されるような内層の配向性、組織の制御や、外層の酸化アルミニウム層の結晶系や配向の制御などの多くの改良が試みられてきた。しかし、その効果は十分とは言えないのが現状であった。
【0005】
それゆえ、本発明の目的は、優れた耐剥離性、耐摩耗性および耐クレーター性と優れた破壊強度とを有し、切削工具に適した被覆超硬合金を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、従来の被覆切削工具用の被覆超硬合金に比較して、切削における被覆層の耐剥離性を大きく向上させるとともに、膜自体の耐摩耗性と耐クレーター性とを向上させ、膜の破壊強度の向上を可能にすることにより、工具の寿命を安定して飛躍的に向上させ得る被覆超硬合金を見出した。
【0007】
このため、本発明の被覆超硬合金は以下の構成を有する。
本発明の被覆超硬合金は、炭化タングステンを主成分とし、IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物の少なくとも1種を含む硬質相とCoを主成分とする結合相とからなる超硬合金の基材と、その基材表面に形成された内層および外層を有するセラミックス被覆層とを備えており、内層および外層は以下の特徴を有する。
【0008】
内層は炭窒化チタン層を有する多層構造からなり、炭窒化チタン層の配向性指数TCを、
【0009】
【数3】
Figure 0003671623
【0010】
と定義したとき、この式で表わされる(311)面の配向性指数TC(311)が他の面の配向性指数に比較して最も大きく、かつ配向性指数TC(311)の値が1.5以上3以下である。
【0011】
外層は少なくとも酸化アルミニウム層を有し、酸化アルミニウム層の結晶構造がα型を有し、この酸化アルミニウムの配向性指数TCaを、
【0012】
【数4】
Figure 0003671623
【0013】
と定義したとき、この式で表される(104)面と(116)面との各配向性指数TCa(104)とTCa(116)とが各々1.3以上である。
【0014】
炭窒化チタンの配向性については、配向性指数TC(311)を1.5以上とすることにより、膜の耐破壊性を大きく向上させることが可能となり、膜の微小チッピングを防止できることから、結果として耐摩耗性が大きく向上する。ただし、配向性指数TC(311)が3を超えると、一定方向の配向が強くなり過ぎることにより、逆に膜の破壊性が低下する。
【0015】
また、酸化アルミニウム層の配向性については、配向性指数TCa(104)とTCa(116)を各々1.3以上とすることにより、膜の強度と硬度とをともに向上させることが可能となり、膜の耐摩耗性と耐チッピング性とが向上することにより工具寿命の向上が可能となる。
【0016】
以上の内層と外層との膜質、膜構造の組合せにより、これまで得られなかったような膜全体としての膜硬度および膜強度が初めて実現でき、これにより飛躍的に工具寿命を向上させることが可能となるのである。
【0017】
上記の被覆超硬合金においては、内層は、炭窒化チタン層以外に、窒化チタン層、炭窒化チタン層および硼窒化チタン層よりなる群から選ばれる少なくとも1層を有し、外層は酸化アルミニウム層以外に、炭化チタン層、炭窒化チタン層および窒化チタン層よりなる群から選ばれる少なくとも1層を有することが好ましい。
【0018】
上記の被覆超硬合金においては、外層の酸化アルミニウム層の直下の層が、硼窒化チタン層であることが好ましい。
【0019】
上記の被覆超硬合金においては、外層の酸化アルミニウムの配向性指数が、TCa(104)+TCa(116)≧3.5であることが好ましい。また、これに加えて、酸化アルミニウム層において、(104)面および(116)面を除く面の配向性指数が、いずれも0.6以下であることがより好ましい。
【0020】
上記の被覆超硬合金においては、被覆層の層厚が10μm以上20μm以下であり、外層の酸化アルミニウム層の層厚が4μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0021】
従来の酸化アルミニウム層では膜強度が不足して、層厚を厚くしていくと耐クレーター性を向上させる効果よりも、膜の破壊による耐摩耗性、耐チッピング性の低下のデメリットが大きくなり、十分な厚膜化の効果が得られなかった。本発明の構造をとることにより、酸化アルミニウム層の耐チッピング性を向上させながら、耐クレーター性を向上させることが可能となった。この効果は特に、被覆層の総膜厚を10〜20μmとし、そのうち酸化アルミニウム層の膜厚が4μm以上とすることにより、より効果的に得られる。ただし、酸化アルミニウム層の膜厚が15μmを超えると、膜の硬度不足あるいは膜の耐チッピング性の不足による耐摩耗性の低下がみられるようになる。
【0022】
上記の被覆超硬合金においては、外層のアルミニウム層の硬度が、内層の炭窒化チタン層の硬度の80%以上であることが好ましい。
【0023】
炭窒化チタンと酸化アルミニウムとでは、元々物性的には炭窒化チタンの方が硬く、耐摩耗性に優れることが知られているが、外層の酸化アルミニウム層を内層の炭窒化チタン層で支えることで、ある程度は酸化アルミニウム層の塑性変形の不足が補われていた。しかし、酸化アルミニウム層の厚みが増加するに従って、酸化アルミニウム層自体の硬さの影響が大きくなり、耐摩耗性(耐塑性変形)が不足気味になる。これを防ぐためには、上記したような高硬度を有する酸化アルミニウム層が必要となる。
【0024】
この高硬度の酸化アルミニウム層は、TCa(104)+TCa(116)≧3.5でかつTCa(104)>TCa(116)で得られる。
【0025】
なお、硬度は膜表面にほぼ平行な面(膜表面と4°以内の傾きの面)で膜を鏡面に仕上げ、その面において膜表面になるべく近い位置(下地の膜質の影響を避けるため)でマイクロヌープ硬度計で50gの荷重で測定される。
【0026】
以下に本発明の構造の製造方法について説明する。
まず、本発明における炭窒化チタン層は、被覆する際の雰囲気をTiCl4 、CH3 CN、N2 およびH2 とし、前半と後半との条件を次のように変更して成膜する。すなわち、成膜初期から120分の間は(TiCl4 +CH3 CN)/トータルガス量の比率を後半に比べて小さくし、かつ前半のN2 /トータルガス量の比率を後半の2倍以上とし、層厚を10μm未満とすることにより達成できる。
【0027】
次に、本発明の酸化アルミニウム層は、AlCl3 およびCO2 を原料ガスとする通常のCVDプロセスにより製造される。
【0028】
具体的なαアルミナの配向性の制御は、以下の方法による。まず、アルミナ層直下層まで被覆した後、アルミナ成膜を開始する前に、CO/CO2 比が0.3以下、PCO2 が0.3〜0.6Torrの雰囲気に10〜15分間晒し、直下層表面を部分的に僅かに酸化させ、その後に1000〜1050℃の温度でアルミナ膜を成膜する。これにより、アルミナ成膜温度にかかわらず、α型のアルミナの成膜が可能となるが、この際の直下層表面の酸化条件の選定により、アルミナ膜の配向性の制御が可能となる。また、同じ酸化条件を用いてアルミナの膜厚を変えることによっても配向性を変化させることが可能である。
【0029】
なお、この直下層としてTiNに硼素を微量添加したTiBN層を用いることは、上層の酸化アルミニウム層の密着度向上により有効である。
【0030】
被覆した後、被覆層の表面にブラスト処理あるいはブラシ処理などの機械的処理により切り刃稜線部のみでアルミナ層が薄膜化あるいは除去されるまで表面を処理することにより、上述の効果はより大きくなる。この際の処理の程度は、切り刃稜線部の中でも実際に切削時に切り粉が接触する刃先部で確実にアルミナ層が薄膜化あるいは除去されていることが必要である。しかし、処理の程度により、刃先から離れた位置の稜線部でアルミナ層が一部薄膜化あるいは除去されていなくても全く問題はなく、本発明の効果は得られる。
【0031】
また、本発明では、アルミナ層が薄膜化あるいは除去されているのは切り刃稜線部のみとしているが、処理法によってはチップの座面周辺などの切削と関係ない角張った場所でも処理されていることがあるが、これについても実質的には本発明の効果には全く影響しない。
【0032】
また、このような膜表面処理により、被覆後被覆層中に存在する引っ張り残留応力を内層のTiCN層で10kg/mm2 以下まで低減させることにより、膜の耐破壊に対する効果を向上させることが可能となる。
【0033】
さらに、超硬合金基材の表面部で炭化タングステンを除く硬質相が減少または消失した層を有し、その厚みが平坦部において50μm以下である表層部が強靱化された超硬合金と本発明の被覆層および表面処理とを組合せることにより、超硬合金部表層付近ごと被覆層が脱落するような損傷に対し、非常に効果がある。
【0034】
基材表面領域の厚みを50μm以下としたのは、50μmを超えると切削中に表層部でやや塑性変形あるいは弾性変形が生じる傾向があるためで、50μm以下でより効果的であるためである。
【0035】
なお、表層領域は、従来より知られているような窒素含有硬質相原料を用いる方法、または焼結時の昇温過程で加窒雰囲気とし、結合相の液相出現後に脱窒、脱炭雰囲気とすることで製造できる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0037】
実施例1
基材として以下のA〜Dの組成でCNMG120408の形状を有するWC基超硬合金基体を準備した。
【0038】
A:WC−9%Co−2%ZrCN−4%NbC
B:WC−6%Co−2%ZrCN−3%TiCN
C:WC−9%Co−4%TiCN−4%NbC
D:WC−6%Co−2%ZrC−3%TiC
この基体の表面に以下の表1に示す内層および外層の構造の被覆膜を生成した。内層はTiCN層以外にTiN層、TiC層およびTiBN層の少なくとも一層を有する積層構造とし、外層は少なくともAl2 3 層を有し、これに適宜、TiC層やTiN層を積層した構造とした。
【0039】
【表1】
Figure 0003671623
【0040】
A〜Cのサンプルの基材表層部には、WCとCoのみからなる層が存在し、それぞれの厚みは平坦部厚みで基材A:25μm、基材B:50μm、基材C:55μmであった。サンプルDの基材表面には表層領域は存在しなかった。以下に本発明品の各層の被覆条件を示す。
【0041】
(TiN層)
温度:900℃、圧力:120torr、
反応ガス組成:容量%で、46%H2 −4%TiCl4 −50%N2
(本発明品1〜9のTiCN)
TiCN層(前半120分):
温度:900℃、圧力:50torr、
反応ガス組成:容量%で、68.6%H2 −1.2%TiCl4 −0.2%CH3 CN−30%N2
TiCN層(後半残り):
温度:900℃、圧力:50torr、
反応ガス組成:容量%で、76.6%H2 −7.2%TiCl4 −1.2%CH3 CN−15%N2
(TiBN層)
温度:980℃、圧力:200torr、
反応ガス組成:容量%で、45.5%H2 −4%TiCl4 −49%N2 −1.5%BCl3
(Al2 3 層)
温度:980℃、圧力:50torr、
反応ガス組成:容量%で、87%H2 −9%AlCl3 −4%CO2
(TiC層)
温度:1020℃、圧力:50torr、
反応ガス組成:容量%で、92%H2 −3%TiCl4 −5%CH4
ここで、内層のTiCN層の配向性指数は、X線回折による回折ピークから求めた。この際、TiCN層の(311)面の回折ピークは基材のWCの(111)面ピークと重なり、(111)面のピーク強度は、(WCの最強ピークである(101)面の強度)×0.25であることから、TiCN層の(311)位置の強度からこれを減じてWC(111)面による強度分を差し引いた。また、各試料のTiCN層の配向性を表2に示す。
【0042】
【表2】
Figure 0003671623
【0043】
この結果より、本発明のサンプルのTiCN層は、いずれも(311)面に配向しており、配向性指数は他の面のそれに比較して最も大きかった。またアルミナの配向性を表3に示す。
【0044】
【表3】
Figure 0003671623
【0045】
ここでアルミナ成膜前のTiBN膜表面の酸化状態を変えることにより、アルミナの配向性を変えたサンプルを同時に作製し、これをたとえば1a、1b、1cというように表記して表中に示した。ここで、CO/CO2 =0.3に固定し、試料aではPCO2 =0.3torr、10分、試料bではPCO2 =0.4torr、12分、試料cではPCO2 =0.6torr、15分の酸化条件を用いたものである。
【0046】
なお、本発明のTiCN層は被覆後破断し、破断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察を行なったところ柱状組織となっていた。表1、2および3には比較のために従来品(比較品)も併せて載せた。比較品10〜14のTiCN膜の成膜は、以下に示す条件で行なった。
【0047】
(TiCN層(比較品10、11))
温度:900℃、圧力:50torr、
反応ガス組成:容量%で、76.6%H2 −7.2%TiCl4 −1.2%CH3 CN−15%N2
(TiCN層(比較品12))
温度:1000℃、圧力:150torr、
反応ガス組成:容量%で、90%H2 −4%TiCl4 −4%CH4 −2%N2
また、比較品13および14のアルミナ層は、以下に示す成膜条件でα型アルミナを生成した。なお、これらにおいては、アルミナ層以外は本発明品の条件で成膜を実施した。
【0048】
(アルミナ層(比較品13、14))
温度:1060℃、圧力:68torr、
反応ガス組成:容量%で、85%H2 −9%AlCl3 −6%CO2
(アルミナ生成前のTiBN層表面の酸化処理は行なわず、アルミナの反応ガス組成で同時にアルミナ生成を開始)
以上のサンプルを用い、次に示す切削条件1および2で性能評価を行なった。
【0049】
(切削条件1)
被削材:SCM415
切削速度:400m/min
送り:0.30mm/rev
切込み:1.5mm
切削時間:15分
切削油:水溶性
(切削条件2)
被削材:FC25
切削速度:300m/min
送り:0.3mm/rev
切込み:1.5mm
切削時間:30分
切削油:水溶性
この評価結果を表4および5に示す。
【0050】
【表4】
Figure 0003671623
【0051】
【表5】
Figure 0003671623
【0052】
この結果から、本発明品では比較品に比較して膜の耐摩耗性および耐チッピング性と、耐クレーター性のいずれにおいても優れていることが判明した。
【0053】
実施例2
実施例1で作製した本発明のサンプルのうち、試料1a、2a、…、6aを用い、これに被覆した後、SiC砥粒を含有するナイロンブラシで、膜表面に処理を施した。この処理により、試料1a、4aおよび6aでは稜線部のアルミナ層が除去されていた。また、試料2a、3aおよび5aでは、アルミナ膜厚が平坦部での厚みの2/3〜1/2になるまで処理されていた。表面を処理した試料を1aH〜6aHとする。また、さらにこれに鉄粉を用いたブラスト処理を施した試料1aHB〜6aHBを作製した。これらについては、X線回折装置を用いて、sin2 φ法により内層のTiCN層の残留応力を測定した結果を表6に、実施例1の切削条件1および2の条件で切削評価をした結果を表7および8に各々示す。
【0054】
【表6】
Figure 0003671623
【0055】
【表7】
Figure 0003671623
【0056】
【表8】
Figure 0003671623
【0057】
これらの結果から、ブラスト処理を施さない試料1aH〜6aHでは引っ張り残留応力がすべて10kg/mm2 より大きかったのに対し、ブラスト処理を施した試料1aHB〜6aHBでは引っ張り残留応力はすべて10kg/mm2 以下となることが判明した。またブラスト処理を施した試料1aHB〜6aHBでは、切削条件1および2の双方においてブラスト処理を施さない試料1aH〜6aHの場合よりも膜のチッピング、境界欠損および逃げ面摩耗が改善されることが判明した。
【0058】
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の被覆超硬合金においてはセラミックス被覆層の内層に含まれる炭窒化チタン層と外層に含まれる酸化アルミニウム層との配向性を所定の範囲とすることにより、優れた耐剥離性、耐摩耗性および耐クレーター性と優れた破壊強度とを有し、切削工具に適した被覆超硬合金を得ることができる。これにより、切削工具の寿命を安定して飛躍的に向上させることが可能となる。

Claims (10)

  1. 炭化タングステンを主成分とし、IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物の少なくとも1種を含む硬質相とCoを主成分とする結合相とからなる超硬合金の基材と、
    前記基材表面に形成された内層および外層を有するセラミックス被覆層とを備え、
    前記内層は炭窒化チタン層を有する多層構造からなり、前記炭窒化チタン層において、以下の式で表わされる(311)面の配向性指数TC(311)が他の面の配向性指数に比較して最も大きく、かつ前記配向性指数TC(311)の値が1.5以上3以下であり、
    前記外層は少なくとも酸化アルミニウム層を有し、前記酸化アルミニウム層の結晶構造がα型を有し、前記酸化アルミニウム層において、以下の式で表わされる(104)面と(116)面との各配向性指数TCa(104)とTCa(116)とが、各々1.3以上であることを特徴とする、被覆超硬合金。
    Figure 0003671623
    Figure 0003671623
  2. 前記内層は、前記炭窒化チタン層以外に窒化チタン層、炭窒化チタン層および硼窒化チタン層よりなる群から選ばれる少なくとも1層を有し、
    前記外層は前記酸化アルミニウム以外に前記炭化チタン層、炭窒化チタン層および窒化チタン層よりなる群から選ばれる少なくとも1層を有する、請求項1に記載の被覆超硬合金。
  3. 前記外層の前記酸化アルミニウム層の直下の層が、硼窒化チタン層であることを特徴とする、請求項1および2のいずれかに記載の被覆超硬合金。
  4. 前記外層の前記酸化アルミニウム層の配向性指数が、TCa(104)+TCa(116)≧3.5であることを特徴とする、請求項1、2および3のいずれかに記載の被覆超硬合金。
  5. 前記酸化アルミニウム層において、(104)面および(116)面を除く面の配向性指数が、いずれも0.6以下であることを特徴とする、請求項4に記載の被覆超硬合金。
  6. 前記被覆層の層厚が10μm以上20μm以下であり、前記外層の前記酸化アルミニウム層の層厚が4μm以上15μm以下であることを特徴とする、請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の被覆超硬合金。
  7. 前記外層の前記アルミニウム層の硬度が、前記内層の前記炭窒化チタン層の硬度の80%以上であることを特徴とする、請求項6に記載の被覆超硬合金。
  8. 切り刃稜線部付近の前記酸化アルミニウム層の膜厚が、平坦部に比較し、薄くなっているまたは存在しないことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6および7のいずれかに記載の被覆超硬合金。
  9. 少なくとも前記切り刃稜線部において、前記内層の前記炭窒化チタン層の引っ張り残留応力が10kg/mm2 以下であることを特徴とする、請求項8に記載の被覆超硬合金。
  10. 超硬合金の前記基材の表面部で前記炭化タングステンを除く前記硬質相が減少または消失した層を有し、その層の厚みが前記平坦部において50μm以内であることを特徴とする、請求項8および9のいずれかに記載の被覆超硬合金。
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