JP2925372B2 - 難燃抗菌性繊維およびその製造法 - Google Patents

難燃抗菌性繊維およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機リン化合物を分散
媒として粒径5ミクロン以下の抗菌性を有するリン酸塩
型の層状化合物を混合したものをポリエステルポリマー
に分散させた難燃性と抗菌性を有する繊維及びその製造
法に関するものである。更に詳しくは、本発明は基本的
特性を損なうことなく、かつ耐久性のある難燃性と抗菌
性を有する繊維を提供せんとするものであり、またその
ような繊維を操業性よく製造するための製造法を提供せ
んとするものである。
【0002】
【従来技術】ポリエステル繊維はすぐれた物理的特性お
よび化学的特性を有する衣料用、工業用に広く使用され
ているが、その可燃性のためひとたび着火すると激しく
燃焼する欠点を有しており、その使用分野が制限されて
いる。ポリエステル繊維製品の難燃化については社会的
要請を背景として20数年前より種々検討が進められて
おり、織物あるいは編物などの段階で難燃性を付与する
いわゆる後加工によるものや難燃剤を共重合するものが
一部実用化されている。
【0003】しかしながら後加工方法では一般に処理が
煩雑であること、洗たくなどの処理に対し耐久性が乏し
いこと、十分な難燃性を付与するために多量の難燃剤を
使用すると風合いを著しく損ったり使用中人体に好まし
くない影響を与える恐れがあることなど、種々の欠点を
有している。したがって後加工による欠点を改善するた
めにはポリマーあるいは繊維形成の段階で難燃性を付与
することが好ましい。即ち、難燃剤をいわゆる練込み法
によって繊維中へ付与することが好ましい。
【0004】ポリエステルポリマーへの難燃剤の練込み
方法を大別すると難燃剤をポリエステルの重合後に練込
み方法と、ポリエステルの重合以前に添加し共重合する
方法がある。練込みタイプの難燃剤としては特公昭47
−32297号公報や特公昭53−33992号公報な
どに記載されているポリアリールホスホネート、特開昭
54−40854号公報などに示されるアルキルリン酸
エステル、特公昭51−19858号公報などの芳香族
リン酸エステルあるいは特公昭45−25989号公報
で提案されている環状ホスホネートなどのリン化合物が
あり、さらにハロゲン化合物としてテトラブロム無水フ
タール酸あるいはこれとエチレンクリコールとの環状縮
合物、特公昭49−33337号公報の如きハロゲン化
リン化合物など数多くの難燃剤が知られている。共重合
タイプの難燃剤としては特開昭53−56250号公報
などに示されるエステル形成能を有する芳香族リン酸エ
ステルや特公昭53−13479号公報などに示される
脂肪族又は芳香族リン酸エステルなどが知られている。
【0005】一方、我々の生活環境中には、さまざまな
細菌、かびが存在しており、媒介物を経て人体や繊維に
付着して繁殖し、皮膚障害を与えたり、繊維の変質、劣
化現象を起こしたり、悪臭を放って不快感を与えたりす
る。特に合成繊維は汗を吸収することが少ないため、該
繊維を身につける場合、汗の付着した皮膚、衣料等に微
生物が繁殖して腐敗現象を起こし、汗くさい臭いを生ず
る。従って、より清潔で悪臭を漂わす事がなく、快適で
安全なポリエステル繊維製品の開発が望まれている。
【0006】繊維に抗菌性を付与する方法として、繊維
に有機錫、有機水銀化合物を適用する方法が使用されて
いた時期があるが、これら化合物の毒性が問題視され、
現在ではそれらのほとんど大部分が使用中止になってい
る。後加工方法としては、従来より特に安全性の高い抗
菌防かび剤としてシリコーン第4級アンモニウム塩など
が用いられている。例えば、特開昭57−51874号
公報にはオルガノシリコーン第4級アンモニウム塩を吸
着させたカーペット及びその製造方法が開示されてい
る。しかしながら、シリコーン系第4級アンモニウム塩
はセルロース系繊維に対しては反応性を持ち洗たく耐久
性のある抗菌効果を示すが、合成繊維に対しては一時的
な抗菌効果を示すものしか得られていない。
【0007】また、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンを
溶出させる銀、銅、亜鉛等の化合物が抗菌性を有するこ
とは古くから知られており、例えば、硝酸銀の水溶液は
消毒剤や殺菌剤として広く利用されて来た。しかしなが
ら、溶液状では取り扱いの点で不便であり、又用途の点
でも限定される欠点がある。そこで銀、銅、亜鉛等のイ
オン又は塩を高分子体に保持させるならば、かかる欠点
が少なく広い分野での利用を期待することができる。例
えば、銀、銅、亜鉛等の金属化合物を重合体中に混合し
繊維とする方法が特開昭54−147220号公報に提
案されている。また、銀イオン、銅イオン交換したゼオ
ライト系固体粒子を有機高分子体に添加混合する方法が
特開昭59−133235号公報に提案されている。
【0008】しかしながら、繊維化工程通過性が良好で
しかも繊維物性の悪化を招かずに、耐久性のある難燃性
能と抗菌性能の両方を十分に満足する繊維は得られてい
ないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは低添加量
で難燃効果が大きくポリマー紡糸延伸などの工程通過性
が良好であり、銘柄切替えが容易でコンタミネーション
が少なく、且つ従来の繊維物性を損わない難燃剤及びそ
の添加方法について鋭意研究を重ねた結果本発明に到達
したものである。しかも、染色等の繊維加工工程を経て
も十分な抗菌、抗かび性を保持し、又水洗、温水洗たく
等の後でも、抗菌、抗かび性の低下しない、洗濯耐久性
の極めて優れた抗菌性をも有するポリエステル系繊維を
提供することになる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の合成繊維は、ポ
リエステルポリマー中に、平均粒子径が5ミクロン以下
の抗菌性を有する金属イオンを含有するリン酸塩型の層
状化合物と下記一般式(1)で表される融点200℃以
下の有機リン化合物との重量比が好ましくは60:40
〜5:95にある混合物がポリエステル繊維に分散して
いる難燃性及び抗菌性を有するポリエステル繊維に関す
るものであり、第2の発明は、前記層状化合物と有機リ
ン化合物の混合分散液をポリエステルポリマーの重合完
了後紡糸直前の間で1〜10重量%添加することを特徴
とする難燃性ポリエステル繊維の製造法に関するもので
ある。
【0011】
【化5】
【0012】式中 Y ;フェニル基又はビスフェノー
ルアルキレン基又はビスフェノールスルホン基の有機残
基 R↓1;H又は化6又は化7で表される基 R↓2;フェニル基又はフェノキシ基又はアルキルフェ
ノキシ基 R↓3;フェニル基又はアルキルフェニル基又はアルコ
キシフェニル基 n :1〜10の整数
【0013】
【化6】
【化7】
【0014】即ち本発明は、前記(1)式の難燃剤であ
る有機リン化合物を、前記のリン酸塩型の層状化合物の
分散剤として用いることによって、前記(1)式のリン
化合物あるいは前記のリン酸塩型の層状化合物の各々単
独で用いる場合に比し、その添加量を極めて少量で難燃
化効果を上げ、しかも抗菌性能をも付与し得るもので、
それ故にコストの上昇が抑え得るばかりてか、繊維製造
における工程通過性は良く、しかも得られる繊維の物性
の悪化を招かないという優れた繊維並びに製造方法が得
られ、確立できたものである。
【0015】本発明に言うポリエステルとは、ポリエチ
レンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートを
主成分とするポリエステルであり、テレフタール酸、イ
ソフタール酸、ナフタリン2,6ジカルボン酸、フター
ル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)エタン、
4,4′−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸もしくはア
ジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、また
はこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノー
ル、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリ
コールなどのジオール化合物とから合成される繊維形成
性ポリエステルであり、その構成単位の80モル%以上
が、特には90モル%以上がポリエチレンテレフタレー
ト単位又はポリブチレンテレフタレート単位であるポリ
エステルが好ましく、なおかつ融点が200℃以上であ
ることが望ましい。融点が低くなると耐熱性不十分等の
理由により衣料用等の繊維素材としての用途がやや限定
されてくるため好ましくない。また、ポリエステル中に
は、少量の添加剤、たとえば、酸化チタンなどの艶消し
剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、安定剤あるいは紫外線吸
収剤などを含くんでいても良い。
【0016】次に本発明に用いるリン酸塩型の層状化合
物は、平均粒子径が5ミクロン以下であることが好まし
い。粒径が5ミクロンを超えると溶融紡糸時にフイルタ
ー詰りや毛羽断糸を起し易く使用困難である。特に各種
衣料素材、寝装製品等への応用を考えた場合は、単繊維
デニールが1デニール前後の細デニール糸も必要とさ
れ、粒径が大きくなると延伸時の糸切れが激しくなり好
ましくない。従って本発明に用いるリン酸塩型の層状化
合物は平均粒径5ミクロン以下のものが、更に好ましく
は1ミクロン以下のものが望ましい。
【0017】基材としてのリン酸塩型の層状化合物とし
ては、例えば、リン酸ジルコニウムZr(HPO↓4)
↓2・nH↓2O、リン酸チタンTi(HPO↓4)↓2・
nH↓2O、トリポリリン酸アルミニウムAlH↓2P↓
3O↓10・nH↓2Oなどを用いることができる。重要な
ことは、基材としてのリン塩型の層状化合物のイオン交
換可能なプロトン部分が抗菌性を有する金属イオンの1
種又は2種以上とイオン交換させたものを用いることで
ある。
【0018】抗菌性を有する金属イオンの好適例として
は、Ag,Cu,Zn,Fe,Cr,Ni,Sn,Hg
が挙げられる。特にAg,Cu,Znのイオンが好まし
い。最も好ましいのは、抗菌性が高く、かつ繊維の商品
上着色がない方が好ましいことなどを総合的に考える
と、Agが好適である。抗菌性のある上記金属の単独ま
たは混合型の使用が可能である。
【0019】本発明で用いるリン酸塩型の層状化合物と
は、たとえば、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等
の原子が隣接するジルコニウム、チタン、アルミニウム
等の原子と結合して平面的な広がりを有し、その平面の
上下にPO↓3(OH)基がその酸素原子を介してジル
コニウム、チタン、アルミニウム等の原子と結合し、か
つ該PO↓3(OH)基のOH基は該平面と反対側(該
平面から見て外側)に存在している。そして、このよう
な平面的広がりを有する原子団は複数枚積層されて、本
発明で用いる層状化合物が形成されている。そして上記
OH基のHプロトン(H↑+)が種々の陽イオンと交換
可能である。陽イオンとしては、前述の抗菌性を有する
金属イオンであり、そのイオン交換量(結合量)は、リ
ン酸塩型の層状化合物の基本単位1モルに対して最大値
で2モルである。2モルを越える量を配合しても過剰の
金属イオンはリン酸塩型の層状化合物と有効なイオン結
合が形成されず、事実上好ましくない。
【0020】金属イオンの結合量は多ければ多い程抗菌
性能が発現されるわけであるが、コスト上及び性能上適
度のレベルに保持する必要がある場合、適宜金属イオン
結合量をMax2モルの範囲で変更しても良い。また、
銀、銅および亜鉛イオンを併用して利用することも可能
であり、この場合も金属イオンの合計量はリン酸塩型の
層状化合物に対して2モル以下である。また、銀、銅、
亜鉛以外の金属イオン、例えばナトリウム、カリウム、
カルシウムあるいは他の金属イオンが共存していても殺
菌効果をさまたげることはないので、これらのイオンの
残存又は共存は何らさしつかえない。
【0021】また、最も好適な金属イオンの例として銀
イオンを挙げたが、銀イオンは、酸素存在下では酸化し
やすく、酸化銀になるため、白色から灰色を呈する場合
がある。繊維製品の場合、白生地が灰色に変色すること
は、外観上からも好ましくないケースが多い。このため
に変色のトラブルを避けるため本発明のリン酸塩型の層
状化合物へ安定剤化合物を含有させることは有効であ
る。例えばアルカリ金属及び又はアンモニア及び又はア
ミン等の塩基性化合物または塩基性原子などを利用する
ことが好ましい。安定剤化合物を使用する場合は、金属
イオン結合量と安定剤化合物のトータルがリン酸塩型の
層状化合物の基本単位1モル当たり2モル以下である。
2モルを越える量にしても、過剰の化合物は耐久性がな
く脱落してしまうので何らメリットがない。
【0022】抗菌性能を調べる手段としは、一般的には
(1)シェークフラスコ法、(2)菌数測定法、(3)
ハローテスト法があり、例えばシェークフラスコ法の場
合、減菌率が目安として対照標準試料との比較で、減菌
率差が26%以上であれば抗菌性能としては十分に役目
をはたすと言われている。減菌率差が26%以下となる
と抗菌性能としては不十分になってくるため、微生物が
繁殖して腐敗現象を起こし、汗くさい臭が繊維に生じ防
臭効果があまり認められなくなってくる結果となり、抗
菌繊維製品としては欠陥商品と言わざるを得ない。
【0023】単に本発明のリン酸塩型の層状化合物をポ
リマー中に分散させて繊維にされたものは、添加量を多
くしなければ安定して減菌率差が26%以上にならない
ばかりか、時々性能がバラツイて不安定になる場合が発
生し好ましくない状況があった。これの理由としては、
繊維が抗菌効果を発揮させるためには繊維表面に常に微
量の抗菌性金属イオンが存在していることが必要である
と考えられ、単にリン酸塩型の層状化合物を樹脂中に分
散させるだけでは、該層状化合物より放出される抗菌性
金属イオンがスムースに繊維表面へ放出されないためと
思われる。この推定を裏づけるモデルテストとして、ポ
リマー中の添加量と同じ量の該層状化合物パウダーを繊
維表面に単に付着させたものについて抗菌性を調べた
所、十分な性能が認められたことから上記の推定が正し
いと思われる。しかし、単に繊維表面へ付着させたもの
は、当然のことながら使用中に脱落しやすく、本発明の
洗濯耐久性を有する抗菌性繊維にはなりえない。
【0024】我々はポリエステル中に該層状化合物を分
散させた繊維で、抗菌性金属イオンのすぐれた殺菌作用
を十分な洗濯耐久性を保持して持続発揮させることが、
いかにしたらできるのか鋭意検討した結果、ある特定の
有機リン化合物をリン酸塩型層状化合物と共にポリマー
中に共存させることにより、後述するようにすぐれた難
燃性能と抗菌性能をあわせもつものが初めて、実現出来
ることを見い出した。
【0025】ついで、有機リン化合物について説明する
と、抗菌性を有するリン酸塩型層状化合物は、P原子を
多く含むためポリエステルへの難燃化剤としての効果も
発揮するのであるが、該層状化合物の分散液であり難燃
剤でもある融点200℃以下の(1)式の有機リン化合
物は特に次の条件を満足するものが好ましい。
【0026】(1) 300℃×10分N↓2中での加
熱減量が10wt%以下好ましくは3wt%以下でポリ
エステルポリマー重合後紡糸までの間に着色分解の少な
いもの (2) ポリエステルと相溶性が良く融点が200℃以
下でポリエステルと溶液状で混合するもの (3) 混合時又は紡糸後ポリエステルの粘度変化が少
ないもので好ましくはリン化合物の末端はエステル形成
能を有さない有機基であり、かつ水分又は不純物をほと
んど含まないもの (4) リンの含有量が多く難燃効果の大きいもの特に
耐熱性、相溶性および難燃性の点で融点が200℃以下
【化8】 (式中R↓2、R↓3はフェニル基又はアルキルフェニル
基で同種又は異種の基、Yは前記と同じ)のリン化合物
が好ましい。なおポリエステル重合触媒に酸化アンチモ
ンを使用した場合3価のホスファイト化合物はポリマー
を灰色に着色させて良くない。
【0027】本発明では該有機リン化合物とリン酸塩型
層状化合物との混合物をポリエステルポリマーへ均一分
散させるために有機リン化合物を溶融して添加するのが
好ましく、該リン化合物の融点が200℃を超えると取
扱いが難しくなり、該層状化合物との混合系における高
温での変質分解が起こりやすく、ひいてはコストアップ
を招いて望ましくない。
【0028】本発明における前記有機リン化合物のみを
添加する場合は高添加量でなければ難燃効果は得られ
ず、それにより紡糸性及び繊維物性の悪化を招きひいて
はコストアップとなる。一方本発明における前記リン酸
塩型層状化合物のみを添加する場合も以下の問題が生じ
て好ましくない。即ち、微粒子をポリエステルの重合後
に添加する場合直接微粒子をポリマーに練込むと均一分
散が難しく粒子の凝集により紡糸時の毛羽断糸が多発す
る。従って前述した如く耐熱性、ポリエステルとの相溶
性、微粒子の分散性などに問題がなく難燃効果の大きい
分散媒が必要であり、本発明の有機リン化合物は十分に
それを満足している。また微粒子をエチレングリコール
などに分散してポリエステルの重合前に添加した場合は
ポリマーの重合性低下、着色あるいは微粒子の凝集など
が起こり易く好ましくない。
【0029】本発明の前記有機リン化合物の重要な役割
は、ポリエステルに対してマクロなオーダーで相溶性が
良く均一分散混合しやすいために、ポリマー中に内在し
ている層状化合物から放出される抗菌性金属イオンをポ
リマー中にとじこめておくことなく繊維表面へ運搬する
役割をはたすことてある。層状化合物と前記有機リン化
合物が共存することによってはじめて、殺菌効果を発揮
する抗菌性金属イオンが半永久的に繊維表面へ繊維中の
有機リン化合物の一種の通路を流れて徐放されるシステ
ムができるわけである。なおかつ、有機リン化合物は水
に不溶であり耐水性が十分あることから、温水洗濯後で
も全く性能が低下することなく抗菌効果が維持されるこ
とが大きな特徴であり、本発明の重要な効果の一つであ
る。
【0030】また、抗菌性イオンの繊維表面への徐放効
果をより強く発揮させたい場合は、前記有機リン化合物
は、室温で流動性を示すものが好ましい。しかしながら
流動性の目安としては、25℃下での粘度が10ポイズ
以上であることが望ましい。10ポイズ未満になってく
ると、温水洗濯後の抗菌性レベルがやや低下してくる傾
向が認められた。このことは今迄知られていなかった新
しい事実であり、明確な理由は現時点では不明である
が、おそらくポリエステル系化合物の粘度があまり低く
なってくると、化合物自身の移行性が発生しやすくな
り、温水洗濯時に繊維中より少し抜け出やすくなるため
か、あるいは耐水性がやや減少してくるためではないか
と推定される。
【0031】本発明の要件の1つは前記(1)式で示さ
れる有機リン化合物と前記リン酸塩型層状化合物の混合
物をポリエステルポリマーの重合完了後紡糸直前までに
添加することであり、これにより副反応や白度低下を少
なくし、ポリマーの切替えによるロスやコンタミネーシ
ョンなどの問題をなくす事ができることである。従って
本発明ではあらかじめ該有機リン化合物を液体にして分
散媒に用いリン酸塩型層状化合物を分散又は溶解させて
両者を均一に混合させた後ポリマーに添加するのが望ま
しく、該有機リン化合物とリン酸塩型層状化合物の混合
比は以下の理由により95:5〜40:60好ましくは
90:10〜50:50である。難燃化剤がリン化合物
に対し5重量%未満では難燃効果及び抗菌効果が減少し
混合系添加剤の添加量が増加するため繊維物性の悪化を
招き易い。又リン酸塩型層状化合物が60重量%を超え
ると微粒子の場合、分散媒およびポリマー中で凝集が起
こり難燃効果の変動と紡糸延伸性の悪化を生じ易く、好
ましくない。また該有機リン化合物およびリン酸塩型層
状化合物はポリエステルポリマーへの分散性に問題がな
ければ2種以上でもよく、両成分を混合した後室温に冷
却固化し粉末状で重合後のポリマーに添加しても支障な
い。
【0032】本発明において該混合物の添加量に関して
好適範囲がある。即ち、難燃効果が大きくポリマーに均
一分散させ繊維物性を悪化させないためにポリマーに対
し1〜20重量%が好ましく、特に好ましくは2〜15
重量%である。更に本発明では添加方法としてポリマー
の粘度低下、副反応、リン化合物の分解、層状化合物の
凝集などの点で該有機リン化合物を融液にして層状化合
物を分散又は溶解して紡糸直前のポリエステルポリマー
に注入しスタチックミキサーなどにて均一に混合分散さ
せるのがより好ましい。
【0033】本発明の繊維は、仮撚捲縮加工等の高次加
工により、5角、6角に類似した形状になったり、紡糸
時の異形断面ノズルにより3葉形、T形、4葉形、5葉
形、6葉形、7葉形、8葉形等多葉形や各種の断面形状
をとることができ、その効果は十分に発現される。ま
た、短繊維でも長繊維でも同様の効果が期待できること
は言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】本発明の成形物は、リン酸塩型層状化合
物微粉末と有機リン化合物の混合物を繊維中に分散させ
ることにより、該層状化合物より放出される殺菌効果を
有する微量の抗菌性金属イオンを有効に徐放し、優れた
抗菌性を保持させると共に優れた難燃性も付与するもの
である。しかも、頻繁な洗濯を行なっても抗菌、防かび
性及び難燃性が低下しないので、例えば耐洗濯性を高度
に要求される衣料分野に用いても、十分に菌の繁殖を抑
えかつ防臭効果を発揮させることと同時に難燃性能も維
持させることが可能である。
【0035】
【実施例】以下実施例をあげて本発明を具体的に説明す
る。実施例中の殺菌効果の評価及び洗たく条件は、以下
の試験方法によって行なった。
【0036】<菌の減菌率の測定>シェークフラスコ法
により実施。使用菌種は黄色ブドー状球菌(Staph
ylococcus aureus FDA209p)
を用い、三角フラスコ中に試験菌液を所定量加えさらに
測定試料片0.75gを加え、リアクション振とう33
0rpm×1hr、25℃で振とうを実施した後、フラ
スコ中の生菌数を培養計測した後、減菌率を算出した。 減菌率(%)=100×(B−A)/B A;振とう後の三角フラスコ内1ml当たりの菌数 B;振とう前の三角フラスコ内1ml当たりの菌数
【0037】<洗濯試験法>JIS L0217−10
3法に従って実施。液温40℃の水1lに2gの割合で
衣料用合成洗剤を添加溶解し、洗たく液とする。この洗
たく液に浴比が1対30になるように試料及び必要に応
じて負荷布を投入して運転を開始する。5分間処理した
後、運転を止め、試料及び負荷布を脱水機で脱水し、次
に洗たく液を常温の新しい水に替えて同一の浴比で2分
間すすぎ洗いをした後脱水し、再び2分間すすぎ洗いを
行い風乾させる。以上の操作を50回くりかえし50回
後のサンプルとした。
【0038】<LOI値>JISK−7201の酸素指
数法による燃焼試験方法により染色後の織物を矩形に切
りガラス繊維でたてに1cm間隔の3本ステッチを施し
上部より着火した時5cm以上又は3分以上燃焼する時
の最低酸素濃度の数値を示す。
【0039】実施例1、比較例1、3 〔η〕=0.65dl/g(フェノールとテトラクロル
エタンの等温混合溶媒を用い30℃恒温槽中でウーペロ
ーデ型粘度計を用い測定した極限粘度)でTiO↓2を
含有しないポリエチレンテレフタレートを40φ押出機
にて押出し、該ポリマーの溶融ポリマーラインに、平均
粒径0.3ミクロンのトリポリリン酸アルミニウムをベ
ースとした層状化合物を基材とし、基材のプロトンと銀
イオンが1.5モルとナトリウムイオンが0.5モルイ
オン交換した微粒子と25℃下での流動性を示す粘度が
約50ポイズの下記式の有機リン化合物を重量比30:
70に混合し、120℃であらかじめ絶乾したものを、
ポリマー流に対して該混合物が6重量%、つまり該層状
化合物が1.8重量%、有機リン化合物が4.2重量%
になるように注入し、その後ケーニクス社製の40エレ
メントスタチックミキサーで混練し、丸孔ノズルより吐
出し紡糸した。該紡糸原糸をローラープレート方式で通
常の条件により延伸し、150デニール48フイラメン
トのマルチフイラメントを得た。紡糸性延伸性良好で問
題なかった。該延伸糸をタテ糸及びヨコ糸に用いて2/
2ツイル織物を作成して常法によりリラックス−ヒート
セット−染色を施した後物性を評価し、表1にその結果
を示した。 <染色条件>浸染 Dianix Red BN −S
E(CI Disperse Red127) 5%
owf Disper TL(明成化学工業製)1g/
l 130℃×60分 浴比 1:25 洗浄 NaOH 1g/l アミラジン(第一工業製薬製) 1g/l 80℃×20分 ハイドロサルファイト 1g/l 浴比 1:25
【0040】
【化9】
【0041】比較例1は、添加剤を全く加えないポリエ
チレンテレフタレートのみのもの、比較例2は、実施例
1と同じリン酸塩型層状化合物のみをポリエチレンテレ
フタレートへ含有させたもの、比較例3は、実施例1と
同じ有機リン化合物のみをポリエチレンテレフタレート
へ含有させた場合のもので、実施例1と同様に評価し、
その結果を表1に併記した。
【0042】実施例1ではLOI値29.9とリン化合
物未添加の対照ポリエステル20.5に比べて高い難燃
性を示した。染色堅牢度も4級以上と実用するに何ら問
題となるところはなくトータル6重量%と少ない添加量
で難燃織物が得られた。また洗濯前と洗濯50回後の抗
菌性を測定したところ、減菌率が洗たく前95.0%、
洗濯後94.5%といずれもすばらしい抗菌性が認めら
れた。この時に対照の無加工試料としてナイロン標準白
布を用いて測定した時の減菌率は22.1%であった。
比較例2は、リン酸塩型層状化合物のみを5wt%添加
したものであるが、難燃性能、抗菌性能ともに劣るレベ
ルであった。しかも紡糸性、延伸性がやや不良であっ
た。比較例3は、有機リン化合物のみ10wt%添加し
たものであるが、抗菌性能が不十分なレベルであった。
染色物の堅牢度もやや低いレベルとなった。
【0043】実施例2〜5 実施例1と同じ有機リン化合物と同じリン酸塩型層状化
合物を用い、表2の条件で実施した以外は実施例1と同
様にして行い、評価した。いずれも本発明の目的を満足
する繊維であった。
【0044】実施例6 予め150℃で下記化10で表される有機リン化合物を
溶融し、その中に実施例1と同様のリン酸塩型層状化合
物を添加し、該層状化合物が30%の混合添加剤を作成
した。その他は、実施例1と同様の方法で実施し、同様
の方法で評価した。紡糸性、延伸性は良好で工程性は良
好であった。また、難燃性はLOI値洗たく後29.5
であった。抗菌性は洗たく後減菌率97.5であった。
いずれも良好な性能レベルを維持したものであった。
【0045】
【化10】
【0046】
【表1】
【0047】耐光堅牢度…JIS L−0842に準じ
カーボンアーク燈による試料の変退色を評価 洗濯堅牢度…JIS L−0844に準じ添付布として
エステルおよび綿布を用い汚染度と変退色を評価 マサツ堅牢度…JIS L−0849に準じ学振型マサ
ツ堅牢試験機にて荷重200gで100回マサツ後の綿
布の汚染度を評価
【0048】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D01F 1/10 D01F 1/10 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/92 304 D01F 1/07 D01F 1/10 A01N 59/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径が5ミクロン以下であり、抗
    菌性を有する金属イオンを含有するリン酸塩型の層状化
    合物と、下記一般式(1) 【化1】 式中 Y ;フェニル基又はビスフェノールアルキレン
    基又はビスフェノールスルホン基の有機残基 R↓1;H又は化2又は化3で表される基 【化2】 【化3】 R↓2;フェニル基又はフェノキシ基又はアルキルフェ
    ノキシ基 R↓3;フェニル基又はアルキルフェニル基又はアルコ
    キシフェニル基 n ;1〜10の整数 で表されかつ融点200℃以下の有機リン化合物が含有
    されている繊維形成性ポリエステルポリマーからなるポ
    リエステル系繊維。
  2. 【請求項2】 平均粒子径が5ミクロン以下であり、抗
    菌性を有する金属イオン及び安定剤化合物を含有するリ
    ン酸塩型の層状化合物と下記一般式(1)で表され、か
    つ融点200℃以下の有機リン化合物の溶融液とを混合
    させたものをポリエステルポリマーの重合完了後紡糸直
    前の間で、該ポリマーに添加する事を特徴とするポリエ
    ステル繊維の製造法。
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