JP2917776B2 - 高周波用無方向性電磁鋼板 - Google Patents

高周波用無方向性電磁鋼板

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JP2917776B2 JP5295416A JP29541693A JP2917776B2 JP 2917776 B2 JP2917776 B2 JP 2917776B2 JP 5295416 A JP5295416 A JP 5295416A JP 29541693 A JP29541693 A JP 29541693A JP 2917776 B2 JP2917776 B2 JP 2917776B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高周波用無方向性電
磁鋼板に関し、特に鉄損が低く磁束密度が高い高周波用
無方向性電磁鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギーの観点から電気機器
の高効率化が求められており、電気機器を高周波域で使
用することが多くなっている。このため、モーター等の
鉄心に用いられる電磁鋼板には優れた高周波磁気特性が
要求される。
【0003】しかし、電磁鋼板を高周波域で磁化する
と、渦電流損の増大に起因して、鉄損が急激に増大す
る。このため、鋼板の薄肉化及び鋼板の固有抵抗を上げ
ることにより渦電流損を減少させる試みがなされてき
た。すなわち、従来、高周波用途には、固有抵抗を上げ
る観点から、Si+Alを重量%で1.7〜6.5%程
度添加し、板厚を0.1〜0.25mmとした電磁鋼板が
用いられている。
【0004】例えば、特開平3−223445号公報に
はSi+Al量を2.0〜4.0%とし、板厚を0.1
〜0.25mmとした高周波用の無方向性電磁鋼板が開示
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、NC工作機
械や研削盤に自動車に用いられるモーターは、高周波で
駆動されるとはいっても、周波数は700〜2000H
z程度である。このような用途に用いられる電磁鋼板は
低鉄損化による効率向上が重要であることはもちろんの
こと、高トルク化の観点から高磁束密度も要求されてい
る。このような用途に上述のSi+Alが1.7〜6.
5%程度含まれた鋼板を用いると、低鉄損化は達成され
るものの、飽和磁束密度の低下に起因する磁束密度の低
下は避けられず、高磁束密度化による高トルク化という
要望は満たせない状況にある。
【0006】この発明はかかる事情に鑑みてなされたも
のであって、高周波磁化領域において、鉄損が低くかつ
磁束密度が高い高周波用無方向性電磁鋼板を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】鋼板の磁束密度
を低下させないためには、鋼板中のSi,Al量を少な
くする必要があるが、Si,Al量の低下は当然のこと
ながら渦電流損の増大に伴う全鉄損の増大につながる。
このように相反する特性を両立させるべく本願発明者ら
が検討を重ねた結果、以下の知見を得るに至った。
【0008】板厚0.1〜0.25mm程度の電磁鋼板を
100〜2000Hz程度で磁化した場合に、全鉄損中
ヒステリシス損の占める割合が30〜70%程度であ
る。従って、板厚0.1〜0.25mm程度の薄物電磁鋼
板における高周波鉄損の低減のためには、渦電流損を下
げる以外に、ヒステリシス損を下げることが有効である
と考えられる。
【0009】このヒステリシス損を下げるために、高周
波磁化時における板厚方向の磁束分布に着目した。すな
わち、高周波で鋼板を磁化した場合、磁束の表皮効果に
より、磁束の分布は鋼板板厚方向に均一にならず表層部
に集中する。このため、鋼板表層部の集合組織を制御す
ることにより磁束密度を向上させることができるのみな
らず、ヒステリシス損を低減することも可能となるので
ある。このようなヒステリシス損低減効果に起因して、
板厚0.1〜0.25mm程度の薄物電磁鋼板において
は、従来の成分よりも低Si、低Alの電磁鋼板でも高
周波域で低鉄損の電磁鋼板を得ることができ、しかも低
Si、低Alであることによる飽和磁束密度の向上と、
特定の集合組織の形成により低鉄損であるだけでなく、
磁束密度が高くなることを見出したのである。この発明
は本願発明者らのこのような知見に基づいてなされたも
のである。
【0010】すなわち、本発明は、重量%で、C:0.
005%以下、Si:1.0%超え2.0%以下、A
l:0.004%以下又は0.1〜0.5%、N:0.
005%以下を含み、板厚tが0.10〜0.25mm
であり、熱延板調圧率または焼鈍条件を調整することに
より、その板面内での(211)、(222)、(32
1)、(332)、(200)、(110)及び(31
0)面の各面についてのX線積分反射強度の理論強度に
対する比の値をP(hkl)とした場合に、以下の式で
表されるTP値が1.5以下となるような集合組織をそ
の各表面から板厚方向に板厚の3割以上含むことを特徴
とする高周波用無方向性電磁鋼板を提供するものであ
る。
【0011】 TP=[P(211)+P(222)+P(321)+P(332)]/ [P(200)+P(110)+P(310)] また、重量%で、C:0.005%以下、Si:1.0
%超え2.0%以下、Mn:0.2〜1.0%、P:0.
2%以下、S:0.01%以下、Al:0.004%以
下又は0.1〜0.5%、N:0.005%以下を含
み、板厚tが0.10〜0.25mmであり、熱延板調
圧率または焼鈍条件を調整することにより、その板面内
での(211)、(222)、(321)、(33
2)、(200)、(110)及び(310)面の各面
についてのX線積分反射強度の理論強度に対する比の値
をP(hkl)とした場合に、上記式で表されるTP値
が1.5以下となるような集合組織をその各表面から板
厚方向に板厚の3割以上含むことを特徴とする高周波用
無方向性電磁鋼板を提供するものである。
【0012】さらに、上記いずれかの高周波用無方向性
電磁鋼板において、鋼板断面での平均結晶粒径Dが、
0.1t≦D≦0.7tを満足することを特徴とする高
周波用無方向性電磁鋼板を提供するものである。
【0013】さらにまた、上記いずれかの高周波用無方
向性電磁鋼板において、周波数100〜2000Hzに
おいて、B10≧1.54T、W15/400≦35W/kgで
あることを特徴とする高周波用無方向性電磁鋼板を提供
するものである。
【0014】以下、本発明について詳細に説明する。
(1)成分について各成分の限定理由は以下の通りであ
る。なお、以下%表示はいずれも重量%である。
【0015】Si: Siは鋼板の固有抵抗を上げるた
めに有効な元素であり、この効果が本発明が想定する周
波数域で十分に発揮されるためには1.0%を超えて含
有することが必要である。一方、Siの添加に伴って飽
和磁束密度が低下し、2.0%を超えるとその値が許容
範囲よりも低くなってしまう。従って、Si量を1.0
%超え2.0%以下の範囲に規定する。
【0016】Al: Alは微量に添加した場合には微
細なAlNを形成し、磁気特性を阻害するため、その恐
れが少ない0.004%以下に規定する。一方、0.1
%を超えて添加した場合には、AlNが粗大になるため
磁気特性を劣化させず、固有抵抗の上昇に寄与するが、
0.5%以上になると、Si同様磁束密度を低下させて
しまう。従って、Al量を0.004%以下又は0.1
〜0.5%の範囲に規定する。
【0017】C: Cは磁気時効の問題があるため、そ
のような問題が生じない0.005%以下に規定する。 N: Nは0.005%以上となると磁気特性を劣化さ
せるため、0.005%以下に規定する。
【0018】以上がこの発明において重要な成分である
が、以下に示すMn,S,Pを以下のように規定するこ
とにより、さらに良好な特性を得ることができる。 Mn: Mnは熱間圧延時の赤熱脆性を防止するため
に、0.2%以上必要であるが、1.0%を超えると磁
気特性を劣化させる。従って、Mn量を0.2〜1.0
%の範囲に規定する。
【0019】S: Sは磁気特性を劣化させるMnS等
を形成するため、そのような恐れがない0.01%を上
限とする。 P: Pは鋼板の打ち抜き性を改善するために必要な元
素であるが、0.2%を超えて添加すると磁束密度の低
下を招く。従って、P量を0.2%以下とした。
【0020】なお、Sb、Sn、B、Cu、Zrを磁気
特性向上のために添加することは何等さしつかえない。
また、これら元素以外の不可避不純物元素は通常の鋼に
含有される程度の量は許容される。
【0021】(2)板厚 次に板厚の限定理由について説明する。板厚を薄くする
ことは、高周波域での渦電流損の低減に非常に効果的で
ある。しかし、板厚が0.10mm未満であると、冷間圧
延が困難となるだけでなく、モーターのローター、ステ
ーター組立時の鋼板の積層数の増大につながり、生産効
率が低下してしまう。また、0.25mmを超えると渦電
流損が増大し、鉄損の増大につながる。従って、板厚を
0.10〜0.25mmとした。
【0022】(3)集合組織 鋼板板面の集合組織は、鋼板を目標とする板厚まで減厚
した後、X線回折装置を用いて反射法に基づいてX線回
折パターンを測定し、(211)、(222)、(32
1)、(332)、(200)、(110)及び(31
0)面のX線積分反射強度Iから、以下の(1)式で定
義されるP値を求め、さらにこのP値から(2)式で示
すTP値を求め、このTP値の大小で評価する。
【0023】 P(hkl)=7×[I/I0 (hkl)]/[ΣI/I0 (hkl)] I(hkl) : (hkl)面におけるX線積分強度 I0 (hkl): (hkl)面における理論強度 ………(1) TP=[P(211)+P(222)+P(321)+P(332)]/ [P(200)+P(110)+P(310)] ………(2) すなわち、磁化容易軸である<100>方向を含まない
(211)、(222)、(321)、及び(332)
面のP値の和と、<100>方向を含む(200)、
(110)、及び(310)面のP値の和との比である
TP値が低いほど鋼板の磁気特性上良好な集合組織が形
成されていることとなる。
【0024】ところで、高周波で鋼板を磁化した場合、
磁束の表皮効果により、磁束の分布は鋼板板厚方向に均
一にならず表層部に集中する。例えば、100Hzでは
磁束の約7割が各表面から板厚の3割以内の部分に集中
する。この傾向は、周波数が高くなるにつれて顕著にな
り。1000Hzにおいては表面から板厚の3割以内の
部分に8〜9割の磁束が集中するようになる。このこと
から鋼板の表層部に好ましい集合組織を形成すれば、磁
束密度を向上させることができ、かつヒステリシス損を
効率良く低減できることが理解される。
【0025】ここで、所望の集合組織を形成する方法は
特に限定されないが、本発明では、鋼板表層部の集合組
織を制御することが重要であるから、熱延板に調圧を加
えた後に熱延板焼鈍を行う方法を適用することが好まし
い。この方法では、調圧率又は焼鈍温度を調整すること
により、鋼板表層部の所望の集合組織の深さを任意に調
整することができる。
【0026】本発明においては、以上のことに基づい
て、上記TP値が1.5以下となるような集合組織を各
表面から板厚方向に板厚の3割以上含むことを要件とす
る。その理由について以下に説明する。
【0027】図1は、鋼種A(C:0.040%、S
i:1.05%、Mn:0.22%、P:0.10%、
S:0.004%、Al:tr、N:0.0031
%)、鋼種B(C:0.031%、Si:1.90%、
Mn:0.60%、P:0.03%、S:0.004
%、Al:0.40%、N:0.0030%)を用い、
熱延板調圧−焼鈍を行わない通常のプロセスを用いて作
製した電磁鋼板と、熱延板調圧−焼鈍条件を調整して集
合組織を制御した電磁鋼板とについて、鋼板表面から板
厚の3割の深さにおけるTP値と磁束密度B10との関係
を示す図である。なお、鋼種Aを用いて熱延板調圧−焼
鈍を行わない通常のプロセスで作製した鋼板は、板厚t
=0.20mm、平均結晶粒径D=50μmであり、熱
延板調圧−焼鈍を行ったものは、板厚t=0.20m
m、平均結晶粒径D=48μmであった。鋼種Bを用い
て通常のプロセスで作製した鋼板は、板厚t=0.20
mm、結晶粒径D=60μmであり、熱延板調圧−焼鈍
を行ったものは、板厚t=0.20mm、結晶粒径D=
56μmであった。ここで、鋼板表面から板厚の3割の
深さにおけるTP値によって集合組織を評価したのは、
周波数100〜2000Hzにおいては鋼板表面から板
厚の3割以内の領域に磁束の7〜9割が集中するためで
ある。また、B10で磁束密度を評価したのは、周波数1
00〜2000Hzで用いられる機器の励磁磁束密度が
高周波でありながら1.5T程度の比較的高磁束密度で
使用されることが多く、B10がほぼそれに相当するため
である。
【0028】この図1より、TP≦1.5とすることに
より、従来材よりも磁束密度が0.03T以上高くな
り、明らかに磁束密度の向上が確認される。次に、集合
組織を制御することによる鉄損低減効果の周波数による
影響について示す。ここでは、鋼種C(C:0.037
%、Si:1.10%、Mn:0.18%、P:0.1
1%、S:0.005%、Al:0.30%、N:0.
0035%)、鋼種D(C:0.045%、Si:1.
50%、Mn:0.25%、P:0.09%、S:0.
004%、Al:0.20%、N:0.0030%)を
用い、熱延板調圧−焼鈍を行わない通常のプロセスを用
いて作製した電磁鋼板と、熱延板調圧−焼鈍条件を調整
してTP値が1.5以下となるような集合組織を表層か
ら板厚方向に板厚の3割以上含むようにした本発明の電
磁鋼板とについて、各周波数における鉄損W15の値を求
めた。なお、本発明材としては、鋼種Cについてはt=
0.2mm、平均結晶粒径D=31μm、TP≦1.5
の領域深さ0.082mm(x/t=41%)、鋼種D
についてはt=0.1mm、平均結晶粒径D=23μ
m、TP≦1.5の領域深さ0.035mm(x/t=
35%)のものを用いた。また、従来材としては、鋼種
Cについてはt=0.2mm、平均結晶粒径D=30μ
m、鋼板表面から板厚の3割の深さにおけるTP=2.
7、鋼種Dについてはt=0.1mm、平均結晶粒径D
=21μm、鋼板表面から板厚の3割の深さにおけるT
P=2.6のものを用いた。図2は、本発明材のW15の
従来材のW15に対する比を周波数に対してプロットした
ものである。
【0029】この図2から、周波数100〜2000H
zの領域では鉄損の改善効果は大きいが、100Hz未
満及び2000Hz超えでは鉄損の改善効果は比較的小
さいことがわかる。これは、100Hz未満においては
磁束の表皮効果が小さいために、板厚表層部の板厚の3
割程度の集合組織の調整では効果が少なく、また200
0Hzを超えた場合には、全鉄損中に占めるヒステリシ
ス損の割合が小さくなるため、集合組織の調整によりヒ
ステリシス損を低下させたとしても全鉄損に及ぼす効果
が小さいためである。なお、図2からわかるように、周
波数100〜2000Hzの領域においては、本発明材
のW15の従来材のW15に対する比の値はほぼ一定であ
り、集合組織の調整による鉄損の改善効果はこの範囲に
おいて周波数によらないことがわかる。以上のことか
ら、本発明の電磁鋼板は100〜2000Hzで使用す
ることが好ましいことがわかる。
【0030】図3は、上述の鋼種A(板厚t=0.20
mm、平均結晶粒径D=60μm)及び鋼種E(C:
0.036%、Si:1.40%、Mn:0.17%、
P:0.13%、S:0.003%、Al:0.40
%、N:0.0040%、板厚t=0.20mm、平均
結晶粒径D=41μm)について、TP≦1.5の領域
の鋼板表面からの深さと磁束密度B10及び鉄損W15/100
との関係を示す図である。ここでTP≦1.5の領域の
深さは、鋼板表面から板厚方向に減厚しながら板面の集
合組織をX線回折によって測定していき、TP=1.5
となった深さxを用いた。なお、ここで周波数100H
zでの鉄損を把握したのは、上記図2で示した結果に基
づく。
【0031】この図3より、磁束密度B10及び鉄損W15
/100のいずれも、TP≦1.5の領域が30%までは鋼
板表面から内部に入るに従って急激に上昇し、それより
TP≦1.5の領域が深くなっても大きく変化しないこ
とが確認される。これは、前述したように、100Hz
では磁束の約7割が鋼板表面から板厚の部分に集中する
ためである。この磁束密度の表皮効果は周波数が高くな
るほど顕著となり、磁束がより表層に集中するようにな
るため、これより高周波側でも板厚の3割以上をTP≦
1.5とすれば十分である。
【0032】以上の結果により、本発明ではTP値が
1.5以下となるような集合組織を各表面から板厚方向
に板厚の3割以上含むことを要件としている。 (4)結晶粒径 図4は、前述の鋼種B及び鋼種Cを用いて作製した電磁
鋼板の結晶粒径と板厚との比D/tの鉄損W15/400に及
ぼす影響を示す図である。ここで鋼種Bを用いて作製し
た鋼板は、t=0.15mm、TP≦1.5の領域の鋼
板表面からの深さ0.05mm以上鋼種Cを用いて作製
した鋼板は、t=0.2mm、TP≦1.5の領域の鋼
板表面からの深さ0.07mm以上、とした。
【0033】この図4に示すように、D/tが0.1〜
0.7の範囲、すなわち結晶粒径Dが0.1t〜0.7
tの範囲で鉄損がより低下している。これは、結晶粒径
Dが0.1t〜0.7tの範囲である場合には鋼板表層
部に所望の集合組織が適度に発達するが、結晶粒径Dが
0.1t未満であると所望の集合組織が得られても粒界
が磁壁移動を妨げるためにヒステリシス損が増大し、逆
に結晶粒径Dが0.7tを超えるとヒステリシス損は小
さくなるものの渦電流損が増大し、全鉄損が増大するた
めである。
【0034】以上のことより結晶粒径Dは、0.1t≦
D≦0.7tの範囲が好ましい。次に、本発明の無方向
性電磁鋼板を製造する方法について説明する。本発明に
おいては、鋼板表層部の集合組織を制御することが重要
であり、適宜の手法を用いて鋼板表層部の集合組織を調
整する必要があるが、その手法に関しては何等制約はな
く、前述した熱延調圧−焼鈍プロセスの他どのような手
法でも用いることができる。
【0035】それ以外の工程に関しても、通常用いられ
るプロセスで良い。すなわち、製鋼に関しては、転炉で
吹錬した溶鋼を脱ガス処理して所定の成分に調整すれば
よい。また、熱間圧延も通常の条件でよい。冷間圧延に
関しては1回でも、中間焼鈍を挟んで2回以上行っても
いずれでもよく、最終的に所望の板厚となればよい。最
終焼鈍に関しても通常の焼鈍でよく、この最終焼鈍条件
を制御することにより、結晶粒径を所望のものとするこ
とが可能となる。
【0036】例えば、1.4%Si−0.4%Al鋼に
おいては、熱延板調圧率を7.0%、熱延板焼鈍条件を
850℃×3時間とし、冷間圧延により板厚を0.2m
mとした後、最終焼鈍を850℃×2分間行うことによ
り所望の集合組織を得ることが可能となる。なお、本発
明において、Sb、Sn、B、Cu、Zr等の添加によ
り本発明の集合組織を得ることは何等問題はない。
【0037】
【実施例】表1に示した鋼種1〜13の組成を有する鋼
材を、板厚2.0mmに熱間圧延した後酸洗し、表2に
示す熱延板調圧条件及び熱延板焼鈍条件で熱延板調圧−
焼鈍を行った。これら鋼板を引き続き板厚0.1〜0.
25mmまで冷間圧延し、表2に示す条件で最終焼鈍を
行った。なお、熱延板焼鈍は100%H2 雰囲気で行
い、最終焼鈍は25%H2 −75%N2 雰囲気で行っ
た。
【0038】磁気特性は、各鋼板から外径45mm、内
径33mmのリング試験片を採取し、これら試験片につ
いて周波数400Hzで測定し、さらに結晶粒径を測定
した。
【0039】各鋼板板厚、平均結晶粒径、TP≦1.5
の領域の鋼板表面からの深さ、及び磁気特性を表3に示
す。なお、表1中、鋼種1〜10は組成が本発明の範囲
内のものであり、鋼種11〜13は組成が本発明の範囲
外のものである。また、表2及び表3の番号1〜29は
これら鋼種に対して種々の条件で熱延板調圧−焼鈍処理
して作製した鋼板の番号を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】鋼の組成、板厚、及びTP値が1.5以下
となるような集合組織を有する領域深さがいずれも本発
明を満たす番号1、2、4、7〜9、11、13、15
〜20、23〜25はいずれも高周波域において鉄損が
低くかつ磁束密度が高く、高周波用無方向性電磁鋼板と
して優れていることが確認された。
【0044】それに対して、組成、TP≦1.5の領域
深さ、及び板厚の少なくとも1つが外れる番号3、5、
10、12、14、21、27〜29は、鉄損が高い
か、又は磁束密度が低い値となることが確認された。
【0045】
【発明の効果】この発明によれば、組成、板厚及び鋼板
表層部の集合組織を調整することにより、高周波磁化領
域において鉄損が低くかつ磁束密度が高い高周波用無方
向性電磁鋼が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱延板調圧−焼鈍を行わない通常のプロセスを
用いて作製した電磁鋼板と、熱延板調圧−焼鈍条件を調
整して集合組織を制御した電磁鋼板とについて、鋼板表
面から板厚の3割の深さにおけるTP値と磁束密度B10
との関係を示す図。
【図2】本発明材のW15の従来材のW15に対する比を周
波数に対してプロットした図。
【図3】TP≦1.5の領域の鋼板表面からの深さと磁
束密度B10及び鉄損W15/100との関係を示す図。
【図4】鋼板の結晶粒径と板厚との比D/tの鉄損W15
/400に及ぼす影響を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大北 智良 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−140646(JP,A) 特開 平5−5126(JP,A) 特開 平2−310316(JP,A) 特開 平2−141530(JP,A) 特開 平4−107216(JP,A) 特開 平4−325629(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 303 C22C 38/06 H01F 1/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.005%以下、S
    i:1.0%超え2.0%以下、Al:0.004%以
    下又は0.1〜0.5%、N:0.005%以下を含
    み、板厚tが0.10〜0.25mmであり、熱延板調
    圧率または焼鈍条件を調整することにより、その板面内
    での(211)、(222)、(321)、(33
    2)、(200)、(110)及び(310)面の各面
    についてのX線積分反射強度の理論強度に対する比の値
    をP(hkl)とした場合に、以下の式で表されるTP
    値が1.5以下となるような集合組織をその各表面から
    板厚方向に板厚の3割以上含むことを特徴とする高周波
    用無方向性電磁鋼板。 TP=[P(211)+P(222)+P(321)+P(332)]/ [P(200)+P(110)+P(310)]
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.005%以下、S
    i:1.0%超え2.0%以下、Mn:0.2〜1.0
    %、P:0.2%以下、S:0.01%以下、Al:
    0.004%以下又は0.1〜0.5%、N:0.00
    5%以下を含み、板厚tが0.10〜0.25mmであ
    り、熱延板調圧率または焼鈍条件を調整することによ
    り、その板面内での(211)、(222)、(32
    1)、(332)、(200)、(110)及び(31
    0)面の各面についてのX線積分反射強度の理論強度に
    対する比の値をP(hkl)とした場合に、以下の式で
    表されるTP値が1.5以下となるような集合組織をそ
    の各表面から板厚方向に板厚の3割以上含むことを特徴
    とする高周波用無方向性電磁鋼板。 TP=[P(211)+P(222)+P(321)+P(332)]/ [P(200)+P(110)+P(310)]
  3. 【請求項3】 鋼板断面での平均結晶粒径Dが、0.1
    t≦D≦0.7tを満足することを特徴とする請求項1
    又は2記載の高周波用無方向成電磁鋼板。
  4. 【請求項4】 周波数100〜2000Hzにおいて、
    10≧1.54T、W15/400≦35W/kgであること
    を特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の高周波
    用無方向成電磁鋼板。
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