JP2902980B2 - 調味油の製造方法 - Google Patents
調味油の製造方法Info
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Description
の製造方法に関し、更に詳細には、畜肉のもつ旨味と畜
肉を焼成したときの香ばしいロースト風味が混然一体と
なった濃厚感のある肉風味を有する調味油の製造方法に
関するものである。
ー、シチュー、肉じゃが等の惣菜等の料理あるいは加工
食品の味を引き立たせたり、調整したりするために、ビ
ーフ味、ポーク味、チキン味等の肉風味の調味油をはじ
め各種調味油が利用されている。
は、例えば、動植物性食用油脂に畜肉魚介類及び/又は
細断または磨砕した野菜を加え、仕込全量中の水分が1
0〜40重量%、内圧が1〜3kg/cm2ゲージの条
件下に加熱処理を行った後、油を採取する調味油の製造
法(特公昭63−31169号)等が知られている。
は、アミノ酸とカルボニル化合物を反応させるメイラー
ド反応を利用したロースト風味を有する調味油が知られ
ており、特開昭60−30663号公報には、アミノ酸
と単糖又はアミノ酸とオリゴサツカライド又はオリゴペ
プタイドと単糖を植物又は動物油脂と加熱し、若しくは
これらに植物乾燥粉末を加えて加熱することからなる香
気と風味を豊富に含有するロースト油が開示されてい
る。
法に基づき畜肉魚介類から得られた調味油は、畜肉のも
つ旨味は付与されているものの、畜肉を焼成したときの
香ばしいロースト風味に欠けるものであった。
上記ロースト油は、アミノ酸とカルボニル化合物の反応
によるロースト感が付与されているのみであり、畜肉の
もつ旨味及び畜肉を焼成したときの香ばしいロースト風
味を共に有するものではなかった。
畜肉のもつ旨味と畜肉を焼成したときの香ばしいロース
ト風味が混然一体となり、濃厚感のある肉風味を有する
調味油を製造することを目的として、上記メイラード反
応に着目し、鋭意研究開発を行った。その結果、アミノ
酸とカルボニル化合物によるメイラード反応を生じさせ
る工程を、油脂と畜肉等の加熱処理後に行うことによ
り、はじめて上記目的を達成することができるという知
見を得た。この知見に基づき完成した本発明の要旨は、
畜肉及び/又は畜肉の骨に油脂を加えて加熱処理を施
し、次いでこれにアミノ酸及びカルボニル化合物を添加
し混合撹拌処理を施した後、油を採取することを特徴と
する調味油の製造方法である。以下、本発明について詳
細に説明する。
肉、牛肉、豚肉等が挙げられ、これらは単独で又は2種
以上を組み合せて用いることができる。また、使用に際
しては、肉の部分、骨の部分、あるいはこれらを併用し
てもよく、適当な大きさに切断して用いることが望まし
い。
肉の骨に油脂を加えて加熱処理を施し、畜肉に含まれる
各種成分を油脂中に抽出する。上記油脂としては、食用
油脂であればよく、例えば、牛脂、ラード、チキンファ
ット等の動物性油脂、菜種油、コーン油、パーム油等の
植物性油、あるいはこれらの油脂を2種以上組み合せた
ものを用いることができる。特に、濃厚感のある調味油
を得る場合には、上記動物性油脂を用いることが望まし
い。
割合は、1:0.5〜10、好ましくは1:1〜3が望
ましい。上記割合よりも油脂の量が少ない場合には、畜
肉及び/又は畜肉の骨に含まれる各種成分の油脂への抽
出効率が悪くなる。反対に上記割合よりも油脂の量が多
い場合には、得られた調味油は、肉風味が希薄になり、
畜肉のもつ旨味が十分に感じられ難いものになってしま
う。
て加熱処理する場合の処理条件は、畜肉を煮込んだとき
の風味、畜肉をフライ処理したときの風味等々所望の肉
風味に応じて適宜設定すればよい。例えば、畜肉を煮込
んだときの風味を得たい場合には、比較的低温で加熱処
理し、畜肉をフライ処理したときの風味を得たい場合に
は、比較的高温で加熱処理すればよい。具体的な加熱条
件としては、90〜110°C、10〜180分間、好
ましくは95〜105°C、15〜90分間の範囲で適
宜設定することが望ましい。これにより、畜肉に含まれ
る各種成分、特に旨味成分を、所望の肉風味に応じて油
脂中に抽出させることができる。上記範囲よりも処理温
度が低い場合には、畜肉成分が油脂中に十分抽出され難
くなり、得られた調味油は、肉風味が希薄なものになっ
てしまう。反対に上記範囲よりも処理温度が高い場合に
は、焦げ臭が生じ、調味油の風味が損なわれてしまう。
げが発生しないように撹拌を行うことが好ましい。上記
撹拌に当たっては、撹拌羽根を5〜40rpm、好まし
くは10〜30rpmの条件で回転させるのが望まし
い。上記範囲よりも回転数が少ない場合には、加熱ムラ
あるいは焦げが発生し易くなる傾向があり、反対に上記
範囲よりも回転数が多い場合には、畜肉及び/又は畜肉
の骨が損傷し、油脂中に畜肉及び/又は畜肉の骨のもつ
雑味が多く含まれ、調味油の風味が損なわれてしまう。
なお、上記加熱温度域に昇温させる場合、加熱温度を一
気に上昇させることなく序々に撹拌しながら昇温させ、
その後上記加熱処理を行うことが望ましい。例えば、約
30分間程度で90〜95°Cまで昇温させることが好
ましい。これにより、加熱ムラを防止することができ
る。
をさらに120〜150°Cまで10〜60分間で上昇
させることが好ましい。これにより、畜肉の旨味の力価
を一層高めることができる。しかし、上記温度条件より
高くなると、焦げ臭が生じ、調味油の風味が損なわれて
しまうので好ましくない。
ノ酸とカルボニル化合物を添加し混合撹拌処理する。本
願発明は、油脂中に上記アミノ酸とカルボニル化合物を
添加するタイミング、すなわち上記加熱処理後にアミノ
酸とカルボニル化合物を添加する点に特徴を有するもの
である。これにより、はじめて畜肉の旨味成分が抽出し
た油脂に、畜肉を焼成したときの香ばしいロースト風味
を十分に付与させることができ、上記アミノ酸とカルボ
ニル化合物を上記加熱処理中に添加した場合には、畜肉
の旨味成分を油脂中に十分抽出することはできない。
とメイラード反応が生じるものであれば如何なるもので
もよく、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラ
ニン、リジン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、
トリプトファン、バリン、ヒスリジン、アラギニン、プ
ロリン、セリン等を例示することができ、これらを単独
でもしくは2種以上を組み合せて使用してもよい。ま
た、上記アミノ酸を含む食品、例えば、醤油、味噌等の
発酵調味料を用いてもよい。
ミノ酸とメイラード反応が生じるものであれば如何なる
ものでもよく、例えば、ショ糖、キシロース、フラクト
ース、アラビノース、グルコース、マルトース、ラクト
ース、ラムノース等の糖類、アルデヒド類、ケトン類、
レダクトン類等を例示することができ、これらを単独で
もしくは2種以上を組み合せて使用してもよい。
する畜肉の種類等により適宜選定すればよく、その割合
は、使用するアミノ酸およびカルボニル化合物の種類、
組み合せ等に応じて適宜決定すればよい。例えば、畜肉
の骨として鶏ガラを用い、上記アミノ酸とカルボニル化
合物としてそれぞれ醤油と上白糖を用いた場合には、チ
キンの照り焼き風味を醸し出すことができる。この場
合、醤油と上白糖は、1:0.5〜3、好ましくは1:
1〜2とするのが望ましい。上記割合よりも上白糖の量
が少ない場合には、醤油の焦げ臭が強く感じられ、香ば
しいロースト風味が得難くなる。反対に上記割合よりも
上白糖の量が多い場合には、甘味が増大し、調味油全体
の風味バランスが崩れてしまう。
に添加し混合撹拌処理する場合には、50〜95°C、
10〜180分間、好ましくは60〜80°C、30〜
120分間の条件で行うことが望ましい。これにより、
自然なロースト風味を油脂中に付与することができる。
上記範囲よりも処理温度が低く、処理時間が短い場合に
は、畜肉及び/又は畜肉の骨を焼成したときの香ばしい
ロースト風味を十分に醸し出すことができず、反対に上
記範囲よりも処理温度が高く、処理時間が長い場合に
は、焦げ臭が強く感じられ、畜肉及び/又は畜肉の骨の
旨味を十分に感じることができなくなる。なお、上記温
度域に調整する方法としては、特に限定されるものでは
ないが、例えば、畜肉及び/又は畜肉の骨等の原料を入
れた撹拌釜に備えたジャケットの加熱媒体を冷却媒体に
置換する方法、あるいは該加熱媒体を除去し上記アミノ
酸とカルボニル化合物の投入のみにより全体の品温を低
下させる方法等が例示できる。
根を適宜回転数、例えば、5〜40rpm、好ましくは
10〜30rpmの条件で回転させればよく、これによ
り混合撹拌処理中における加熱ムラあるいは焦げの発生
を防止することができる。
処理を施し、上記温度域からさらに100〜120°C
まで5〜70分間で上昇させることが好ましい。これに
より、畜肉のロースト風味の力価を一層高めることがで
きる。
の骨等の抽出残渣物を取り除き、油を採取する。上記抽
出残渣物の分離除去は、ろ化処理、遠心分離処理等によ
り行えばよい。この場合、混合撹拌処理後、油脂が固化
しない間、即ち油脂の品温を40〜90°Cに保持した
状態で処理することが大切である。また、上記ろ化処理
を行う場合には、耐熱性の不織布、金網等のフィルター
を用い、その目開きは、畜肉及び/又は畜肉の骨の大き
さにより適宜決定すればよいが、50〜90μm程度が
好ましい。
は、該調味油を用いる料理あるいは加工食品、例えばラ
ーメン等のスープ、カレー、シチュー、肉じゃが等の惣
菜等に応じて適宜ネギ、しょうが、ガーリック、オニオ
ン等の原料を加えてもよい。以下、実施例により本発明
を更に具体的に説明する。
程度の大きさに粗砕した鶏がら100重量部を蒸気加熱
式ニーダーに入れ、30rpmの条件で撹拌しながら3
0分間で95°Cまで昇温させ、撹拌と加熱を続けなが
ら約100°Cで90分間の加熱処理を施した。次い
で、約30分間で一旦120°Cまで昇温させた後加熱
を止め、醤油10重量部および上白糖10重量部を添加
し、70°Cで約30分間混合撹拌処理を行った。その
後、約20分間で一旦110°Cまで昇温させた後、速
やかに目開き約75μmの不織布を用いてろ化処理を施
し、残渣物である鶏がらを取り除き、チキン風味の調味
油を採取した。得られた調味油は、チキンの旨味とロー
スト風味が混然一体となり、照り焼き風の濃厚感のある
チキン風味を有するものであった。
程度の大きさに粗砕した鶏がら100重量部、醤油10
重量部および上白糖10重量部を蒸気加熱式ニーダーに
入れ、30rpmの条件で撹拌しながら30分間で95
°Cまで昇温させ、撹拌と加熱を続けながら約100°
Cで90分間の加熱処理を施した。次いで、約30分間
で一旦120°Cまで昇温させた後、目開き約75μm
の不織布を用いてろ化処理を施し、残渣物である鶏がら
を取り除き、チキン風味の調味油を採取した。得られた
調味油は、チキンの旨味が十分に抽出されておらず、肉
風味に乏しく、若干焦げ臭が感じられるものであった。
ン風味の調味油を、即席ラーメン(塩味)に1.5重量
部添加し、ラーメンスープにおけるチキンの旨味及びチ
キンの照り焼き風のロースト感について8名のパネルに
よる官能評価を行った。その結果を表1に示す。 (評価基準)5…非常に強い、4…強い、3…普通、2
…弱い、1…非常に弱い
ば、各種食品の味を一層引き立たせることができる。
の香ばしいロースト風味が混然一体となり、濃厚感のあ
る肉風味を有する調味油を得ることができる。これを用
いることにより、ラーメン等のスープ、カレー、シチュ
ー、肉じゃが等の惣菜等の料理あるいは加工食品の味を
一層引き立たせることができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 畜肉及び/又は畜肉の骨に油脂を加えて
加熱処理を施し、次いでこれにアミノ酸及びカルボニル
化合物を添加し混合撹拌処理を施した後、油を採取する
ことを特徴とする調味油の製造方法。 - 【請求項2】 上記加熱処理を、90〜110°C、1
0〜180分間の条件で行うことを特徴とする請求項1
記載の調味油の製造方法。 - 【請求項3】 上記加熱処理後において、加熱温度をさ
らに120〜150°Cまで10〜60分間で上昇させ
ることを特徴とする請求項1記載の調味油の製造方法。 - 【請求項4】 上記混合撹拌処理を、50〜95°C、
10〜180分間の条件で行うことを特徴とする請求項
1記載の調味油の製造方法。 - 【請求項5】 上記混合撹拌処理後において、さらに加
熱処理を施し、油脂の品温を100〜120°Cまで5
〜70分間で上昇させることを特徴とする請求項1記載
の調味油の製造方法。
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JP7165443A JP2902980B2 (ja) | 1995-06-30 | 1995-06-30 | 調味油の製造方法 |
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JP2902980B2 true JP2902980B2 (ja) | 1999-06-07 |
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Family Applications (1)
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JP7165443A Expired - Fee Related JP2902980B2 (ja) | 1995-06-30 | 1995-06-30 | 調味油の製造方法 |
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1995
- 1995-06-30 JP JP7165443A patent/JP2902980B2/ja not_active Expired - Fee Related
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