JP2836952B2 - 架橋ヒアルロン酸ゲル、その使用およびその製造方法 - Google Patents

架橋ヒアルロン酸ゲル、その使用およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、リン含有試薬とくにリン(V)の酸の誘導
体との反応によって架橋が行われた架橋ヒアルロン酸誘
導体に関する。本発明はまた、このような生成物の製造
方法、ならびにそのゲル中に導入されたヒアルロン酸ま
たは医薬の投与のための徐放性デポ剤としてのその使用
に関する。
ヒアルロン酸は高分子量の多糖であり、その特性は著
しく粘稠性であり、N−アセチルグルコサミンとグルク
ロン酸の二糖反復単位から構成されている。それは、ヒ
トおよび動物の生体内、たとえば関節液、硝子体液およ
び心膜液中に天然に存在する。すべての種においてヒア
ルロン酸の構造は同じであるが、その分子量は広範囲に
変動する。その生体吸収性と、毒性および免疫作用がな
いことから、ヒアルロン酸は、医学的関係で、たとえば
関節の可動性に影響を与える関節疾患の処置に、また眼
の手術に関連してあるいは術後の癒着を防止するための
外科的補助剤として有用であることが明らかにされてき
た。このような場合に、ヒアルロン酸は粘稠な水溶液の
形で使用されてきた。しかしながら、多くの場合、その
持続性は短く、また機械的な安定化は弱く、所望の治療
効果は達成されない。
この点の改良は、ヒアルロン酸を化学的に架橋して不
溶性のゲルを形成させることによって実現されている。
このようなゲルの製造、および硝子体液の代替物として
また網膜剥離の処置におけるその使用は、たとえば米国
特許第4,716,154号に記載されている。第一に癒着防止
剤として使用される、分解性を調節可能なゲルが、PCT
出願WO86/00912号に記載されている。これらのヒアルロ
ン酸ゲルに共通した特徴は、架橋操作の過程でその物質
中に、生体にとって「異物」である非内因性構造が導入
されていることである。この事情が、架橋用のマトリッ
クスとしてヒアルロン酸のような内因性物質を使うとい
う基本的な考え方の効果を損ってしまっている。この新
物質は現実に、生体に対して「異物」である構造を含有
しているからである。結果として、内因性、非毒性、非
免疫原性のヒアルロン酸は、「異物」として認識され免
疫反応や炎症反応を生じる架橋物質への変貌を遂げてし
まっている。
本発明者らは驚くべきことに、新規な、生体が分解で
きる架橋ヒアルロン酸ゲル誘導体を見出したのである。
この誘導体は、ヒアルロン酸をリン含有試薬、とくにリ
ン(V)酸誘導体と反応させることによって製造され、
内因性の架橋すなわちリン酸エステルを含んでいる。リ
ン酸エステルはin vivoに広く存在する。その例として
は、リン脂質、DNAおよびRNAを挙げることができる。
本発明のリン酸架橋ヒアルロン酸ゲルは、他の多くの
点で、たとえばその製造過程でもその性質でも、従来技
術における架橋ヒアルロン酸物質の製造過程および性質
に比べて優れている。架橋反応の時間はきわめて短く、
また反応性架橋試薬はすぐに加水分解されるので本発明
の物質は最低限の精製しか必要としない。このゲルは生
体によって分解され、この分解時間は広い限界内で変動
させることができる。従来の架橋ヒアルロン酸ゲルと異
なり、本発明のゲルは完全に乾燥したのちにも、完全な
再膨潤が可能である。
多糖のリン酸架橋は、主としてデンプンの処理に関し
て公知の方法である(たとえばKoch,H.ら:Strke,34:1
6,1982参照)。しかしながら、デンプンの誘導体化は、
不均一系における不溶性物質の処理である。ヒアルロン
酸のリン酸架橋も固体材料に対し、たとえばピリジン中
で不均一に行うこともできるが、再現性の高い、膨潤性
ゲル物質を得るためには、ヒアルロン酸を溶解された形
で架橋剤と処理する反応の選択が好ましい。この処理
は、ヒアルロン酸がたとえば新油性の陽イオンとの塩の
形成によって可溶化される有機溶媒中で実施することが
できる。しかしながら驚くべきことに、本発明者らは、
反応をヒアルロン酸塩の水溶液中で行うと、驚くべきこ
とに、濁りのない透明なゲルが得られることを見出した
のである。この反応を水溶液中で行うことは、取扱いお
よび精製の観点から好ましい。
使用される架橋試薬はリン(V)酸の誘導体とくにそ
のハライド、オキシハライドまたは無水物である。この
ような架橋試薬の例としては、五塩化リン、塩化ホスホ
リル(オキシ塩化リン)またはその相当する臭化物もし
くはヨウ化物、五酸化リンおよび三メタリン酸塩を挙げ
ることができる。
反応はアルカリ性メジウム中で行われる。リン酸誘導
体のカップリングおよび加水分解は、かなり大量の酸の
放出を招く。形成されたリン酸エステルもヒアルロン酸
マトリックスも、いずれも酸分解を受けやすい。したが
って、反応の全く開始時から十分な塩基を存在させてお
くことがきわめて重要である。粘稠なゲル化系に何かを
添加することは不可能だからである。しかしながら同時
に、ヒアルロン酸はアルカリ分解を受けやすいので、初
期溶液のpHは高すぎてはならない。これは、水溶液中で
の架橋の場合にはpHは9〜14でなければならないこと
(しかし、この範囲の高領域部分のpH値はアルカリ性ヒ
アルロン酸塩溶液を冷却時in situで調製する場合にの
み使用できる)、またその系は十分な緩衝能をもつべき
ことを意味する。使用できる塩基には水酸化ナトリウム
およびカリウムのような金属水酸化物がある。しかしな
がら、これらの水酸化物ではすでに低濃度で高いpH値を
生じ、同時に酸の中和に対する緩衝能は低い。この理由
から、他の緩衝能が優れている塩基、たとえばアルキル
アミンのような窒素塩基とくにトリエチルアミン、トリ
ブチルアミンおよびメチルモルホリンのような立体障害
のある塩基を使用すべきである。しかしまた、水溶液中
での架橋による好ましい製造には、塩基性リン酸金属塩
たとえばリン酸三ナトリウムまたはリン酸カリウムが用
いられる。これらのゲルの後処理操作では、生成する副
生成物は生物学的に耐性のあるリン酸塩のみであるか
ら、毒性を示す可能性があるアルカリの残留物を除去す
るための精製工程をさらに実施する必要がない。反応を
無水メジウム中で行う場合には、上述した塩基よりも弱
い塩基、たとえばピリジンを使用することも可能であ
る。
架橋反応をヒアルロン酸の溶液中均一系で行う場合に
は、その濃度は広範囲に変動させることができる。実用
的に好都合な濃度範囲は、反応混合物中ヒアルロン酸2
〜15重量%である。1%程度の低濃度でもすでにゲルの
形成は起こるが、これらのゲルはきわめて液体に近い稠
性(liquescent consistency)を示し、技術的目的では
あまり価値がない。架橋操作に用いられるヒアルロン酸
の濃度には理論的な上限はない。しかしながら、すでに
中程度の濃度で、高分子量のヒアルロン酸は処理がきわ
めて困難な溶液を形成するという事情から、実用的な上
限が設けられる。すなわち、分子量がたとえば約106
ヒアルロン酸の場合、濃度は約10%を超えてはならな
い。
架橋に用いられるヒアルロン酸の分子量は約数千から
約数百万まで広範囲に変動させることができる。たとえ
ば、その濃度または架橋剤の量によって20,000〜5×10
6とすることができる。しかしながら、好ましい分子量
範囲は約10,000〜4×106である。
ヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩たとえばナトリウ
ム塩のほかに、他のヒアルロン酸誘導体、たとえば部分
硫酸化ヒアルロン酸またはエステル化ヒアルロン酸(EP
265,116参照)も、本発明の方法に従って架橋できる。
これはもちろん、たとえば米国特許4,713,448号に記載
されているような、他のある種のわずかな化学修飾に付
されたヒアルロン酸にも適用できる。
架橋剤の量も、ヒアルロン酸の分子量および濃度に応
じて広範囲に変動させることができる。ヒアルロン酸の
水溶液と架橋剤として塩化ホスホリルを用いた好ましい
態様においては、後者の量はヒアルロン酸に基づいて10
〜500重量%と変動させることができる。
架橋反応は室温またはそれより幾分高い温度で実施す
ることもできる。しかしながら、これらの温度では反応
は著しく速く、ゲルの形成は室温の場合、反応時間数分
で起こってしまう。したがって、反応を十分制御するた
めには、もっと低温、たとえば0〜10℃の範囲内の温度
が選ばれる。
しかしながら、ヒアルロン酸を水溶液中で架橋する場
合の好ましい反応系においては、架橋試薬の大部分は完
全に可溶化しているのではなく、これらの試薬と水相は
2相系を形成していることに留意すべきである。したが
って、架橋剤相とヒアルロン酸の水相との間の接触面積
を可能な限り大きくすることが重要である。架橋試薬は
きわめて容易に安定な懸濁液または乳化液を形成するの
で、架橋はヒアルロン酸の流動性によって結果が左右さ
れる。こと2相系の安定性はまた温度が低いほど上昇す
る。
ゲル物質は、生理的に許容される緩衝液中で膨潤させ
微粉化したのち、そのまま注射が可能である。ゲルは、
たとえばオートクレーブにより、熱安定化することもで
きる。また、注射可能な粉砕ゲル製剤のほかに、たとえ
ばフィルム、チューブ等のように整型した材料の形の他
の製剤を生成させることもできる。
エポキシ架橋ヒアルロン酸塩ゲル(Laurent,T.C.ら:A
cta Chem.Scand.,18:274〜275,1964)の場合と異なり、
本発明のゲルは、たとえば凍結乾燥によって乾燥したの
ちにも、完全に再膨潤させることができる。これは製造
上の観点からきわめて有利である。乾燥した安定な中間
生成物を保存することにより、pH7以上の緩衝液中に膨
潤状態でゲルを保存した場合に起こる分解は回避される
からである。また、最終ゲル組成物の濃度や膨潤メジウ
ムを変えることも容易になる。
乾燥ゲル中のリンの含量は100分の1%のオーダーか
ら1%程度まで変動させることができる。均一な水溶液
中で架橋したゲルでは、水溶液中で完全に膨潤したゲル
の固体含量は0.1〜10%である。一方、完全には溶解し
ていないヒアルロン酸を用い不均一系で架橋したゲルの
膨潤の程度ははるかに低い。通常、このようにして生成
されたフィルムの固体含量は30%である。
本発明のゲルはpH5.75で最大の安定性を示すが、生理
的pH(7.3)においては分解される。しかしながら、同
じく分解可能で特許出願WO86/00912号に記載されている
カルボキシレート架橋ヒアルロン酸ゲルに比較して、リ
ン酸架橋ゲルははるかに高い安定性を有する。すなわ
ち、このリン酸架橋によって、従来の種類のゲルに比
べ、分解時間が著しく長く、また分解時間をもっと変動
させることができるヒアルロン酸塩ゲルを得ることが可
能になったのである。分解時間が約1日から2カ月まで
のゲルを製造することができる。特許出願EP272,300号
にも、カルボン酸エステルとエーテル架橋の組み合わせ
によってヒアルロン酸塩ゲルの分解時間を延長する方法
が記載されているが、これらのゲルは注射が可能な形態
に製造することはできない。
本発明の一態様によれば、他の成分たとえば医薬も含
有するゲルを製造することができる。これは、所望の成
分を、架橋前または架橋後にゲルに加えることによって
達成され、たとえば徐放効果を得ることができる。
本発明の他の態様においては、ゲルは、in vivoにお
ける可溶性ヒアルロン酸塩の徐放に使用される。ヒアル
ロン酸の局所たとえば関節内への投与の有効性について
は文献によりよく知られている。この場合のこれまでの
問題点のひとつに、ヒアルロン酸は粘度が高いにもかか
わらず、投与領域から拡散によって急速に消失してしま
うことがある。本発明のゲルの分解生成物は、前述のよ
うに、ヒアルロン酸と無害なリン酸塩であり、これらの
ゲルを植込むと、ヒアルロン酸の優れた徐放性デポ剤と
なる。
本発明はしたがって、ヒアルロン酸またはその誘導体
の溶液を、リン含有試薬とくにリン(V)酸誘導体での
処理に付すことによるヒアルロン酸の架橋方法に関す
る。この場合の方法は第一に、ヒアルロン酸またはその
誘導体の水溶液を、アルカリ性条件下好ましくはpH9〜1
4において、リン(V)酸誘導体と反応させる方法であ
る。好ましいリン(V)酸誘導体としては、現時点で
は、ハライド、オキシハライドまたは無水物、たとえば
五塩化リン、塩化ホスホリル(オキシ塩化リン)または
その相当する臭化物もしくはヨウ化物、五酸化リン、お
よび三メタリン酸が考えられる。
本発明はさらに、上述のようにして製造されるリン酸
エステル架橋を含むヒアルロン酸ゲル、および医薬投与
用製剤およびヒアルロン酸投与用の徐放性デポ剤として
の上述のゲルの使用を包含する。
本発明を例示する目的で以下に多くの実施例を示す
が、これらはいかなる意味においても本発明を限定する
ものではない。
とくに指定のない場合は、ゲルの製造には高分子量ヒ
アルロン酸ナトリウム(MW3×106)を使用した。
ゲルは、等張性のSrensen緩衝液pH5.75〔100ml Na
2HPO4(9.470g/)、900ml Na2PO4・H2O(9.208g/)
および5200mg NaCl/溶液〕中で膨潤させ、洗浄し、オ
ートクレーブ処理した。
ゲルの分解時間は、リン酸緩衝食塩溶液pH7.3中37℃
でインキュベートして測定し、ゲルの完全な可溶化を
過によってチェックした。
実施例 1 ヒアルロン量ナトリウム500mgをガラスの遠沈管中に
秤量した。飽和リン酸三ナトリウム(Na3PO4)溶液8.3m
lを加えた。この多糖をリン酸塩溶液中、一夜冷蔵庫に
入れて膨潤させた。
サンプルをガラス棒で、ヒアルロン酸が完全に溶解す
るまで撹拌した。このようにして調製された6%ヒアル
ロン酸塩溶液のpHは約12.8である。
この溶液を氷浴中約+1℃に冷却した。激しく撹拌し
ながら、167μの塩化ホスホリル(POCl3)を加えた。
数分間撹拌すると、溶液はゲル化した。サンプルを全部
で5分間撹拌し、ついで均一な透明ゲルが得られるまで
遠心分離した。
さらに10分間反応させたのち、中性のpHを有する得ら
れたゲルを薄いスライスに切断した。このスライスを1
のSrensen緩衝液に移した。振盪させながらゲルを
2日間洗浄し、この間緩衝液を3回取り換えた。膨潤し
たゲルの収量は35mlであった。
ゲルはメッシュの細かいスチール線の網を通過させて
粉砕し、シリンジに充填し、ついてオートクレーブ処理
を行った。軟く、わずかに粘着性のゲルは細い注射針を
通して容易に注射することができる。
オートクレーブ処理しないゲルの分解時間は5週であ
ったが、ゲルクレーブ処理したゲルに3〜4週間以内に
分解した。透析し乾燥したゲルのリン含量は0.081%で
あった。膨潤したゲルの固体含量は1.4%であった。
実施例 2 ヒアルロン酸ナトリウム300mgを水15ml中に取り、冷
蔵庫に入れて一夜膨潤させた。撹拌してヒアルロン酸塩
を完全に溶解させると、2%の溶液が生成した。これに
固体リン酸ナトリウム(Na3PO4・12H2O)3.7gを加え
た。塩が溶解したのち、溶液を氷浴中で冷却し、ついで
400μのPOCl3を用い、実施例1と同様にして架橋を行
った。
生成したゲルを蒸留水に対して2日間透析し、ついで
生成物を粉砕し、凍結乾燥した。リン含量は0.10%であ
った。乾燥ゲルをSrensen緩衝液中で3日間膨潤さ
せ、ついでオートクレーブ処理した。このようにして得
られたゲルは、粘着性、均一で、完全に透明であり、か
なりの可動性を示した。オートクレーブ処理したゲルの
分解時間は4〜5日であった。
実施例 3 水10ml中ヒアルロン酸塩300mgと、塩基として2.5gのN
a3PO4・12H2Oを用いて3%の溶液を調製するほかは実施
例2と同様の実験を繰り返した。架橋剤としてはPOCl32
50μを使用した。
この場合は、膨潤ゲルの固体含量は3.6%であった。
オートクレーブ処理したゲルの分解時間は10日、乾燥ゲ
ルのリン含量は0.085%であった。
実施例 4 ヒアルロン酸ナトリウム400mgを水3.3mlに溶解して、
きわめて粘稠な12%溶液を生成させた。サンプルを約+
10℃に冷却し、ついでトリエチルアミン(これは+18℃
以下で水溶性である)を撹拌しながら加えた。溶液のpH
は約13.5であった。サンプルをさらに+1℃まで冷却
し、POCl3183μで架橋した。リン含量0.12%の硬いゲ
ルが得られた。オートクレーブ処理した状態でゲルの分
解時間は4週であった。
実施例 5 6%のヒアルロン酸塩溶液5mlを4−メトキシモルホ
リン1mlと混合した。溶液のpHは約11.2であった。この
溶液を上述のようにしてPOCl3200μで架橋した。
やや液化性のゲルが得られた。ゲルをpH5.0のSren
sen緩衝液で膨潤させたのちオートクレーブ処理した。
非オートクレーブ処理ゲルの分解時間は15〜19日であっ
たが、オートクレーブ処理後には分解時間は10日であっ
た。
実施例 6 この実施例では、水溶液中、塩基として様々な濃度の
水酸化ナトリウムを用いて架橋の試験を行った。
冷10%ヒアルロン酸塩溶液2.75gに様々な量の水酸化
ナトリウム溶液を加え、ついで既定量の架橋剤、100μ
のPOCl3で架橋を行った。
a)5M NaOH100μ:POCl3の添加後、溶液は急速にきわ
めて酸性になった(pH約2)。きわめて少量の水不溶性
ゲルが得られたのみであった。
b)5M NaOH250μ;この場合も、急速にきわめて酸性
の反応溶液の生成が起こった。得られたゲルはきわめて
液体に近い稠性を示し、オートクレーブ処理によって分
解した。
c)5M NaOH500μ:架橋後、かなり高い稠性を示すゲ
ルが得られた。その完全に膨潤した状態でのヒアルロン
酸塩含量は0.6%であった。しかしながら、オートクレ
ーブ処理で、ゲルのかなりの分解を生じた。オートクレ
ーブ処理サンプルの分解時間は4日であった。
d)5M NaOH1000μ:ヒアルロン酸塩はアルカリ液に
よって急速に分解され、低粘度の溶液を生成した。架橋
剤を添加してもゲルの形成は起こらなかった。
これらの例は、架橋系には適当な緩衝制御が必要なこ
とを明瞭に示している。
実施例 7 ヒアルロン酸ナトリウム3000mgを飽和Na3PO4溶液3ml
に溶解して10%溶液を生成させ、ついでこれをPOCl325
μで架橋した。硬いゲルが得られ、その分解時間は14
日であった。
実施例 8 分子量100,000の酸分解ヒアルロン酸ナトリウム80mg
を飽和Na3PO4溶液1mlに溶解した。これにさらに0.2gの
固体Na3PO4・12H2Oを加えた。この溶液をPOCl375μで
架橋した。
乳白色のもろいゲルが得られ、分解時間は2週であっ
た。
実施例 9 ヒアルロン酸ナトリウム300mgを飽和Na3PO4溶液5mlに
溶解した。この溶液を冷却し、五塩化リン(PCl5)200m
gを少量ずつ、激しく撹拌しながら加えた。五塩化リン
は塩化ホルホリルよりも急速にまた激しく反応した。わ
ずかに乳白色を帯びたゲルが得られ、分解時間は2週で
あった。
実施例 10 ヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム200mgをジメ
チルホルムアミド2mlに溶解した。この溶解をトリエチ
ルアミン1mlと混合し、ついで溶液を冷却してPOCl3100
μを加えた。ゲルの生成はほぼ瞬間的に起こった。生
成したゲルは白色のフレークからなり、水中でほとんど
膨潤性を示さなかった。このゲルのヒアルロン酸塩含量
は30%であった。
実施例 11 ヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム100mgをジメ
チルホルムアミド2mlに溶解した。トリエチルアミン200
μを加え、溶液を冷却して五酸化リン(P2O5)200mg
と混合する。ほとんどすぐに、白色のゲルの沈澱が生成
した。このゲルは実施例10で製造したゲルと同じ性質を
示した。
実施例 12 ヒアルロン酸ナトリウム100mgを3×10mlの乾燥ピリ
ジンとともに蒸発させた。この物質を10mlのピリジンに
懸濁し、ついでこの懸濁液を冷却して、POCl3400μを
加えた。この溶液を15分間振盪した。このように処理し
たヒアルロン酸塩は水に不溶性で、不規則な膨潤を起こ
しやすく、硬い白色部分と透明なゲル部分の混合物を生
成する。最も硬い架橋白色ゲル部分は生理的pHでは分解
しないが、アルカリ処理に付すと溶解する。透析乾燥ゲ
ルの中のリン含量は0.77%であった。
実施例 13 透析した、塩を含まないヒアルロン酸ナトリウムをペ
トリ皿中で乾燥して、透明な平らなフィルムを形成させ
た。このフィルムを水1部とトリエチルアミン9部の冷
却混合物で数秒間膨潤させた。膨潤したフィルムを、塩
化ホスホリル中に数秒間浸漬するかまたは塩化ホスホリ
ルの蒸気中に約1分間保持して、塩化ホスホリル処理を
行った。いずれの場合も、透明な、水不溶性の架橋フィ
ルムが得られ、その膨潤状態での固体含量は約30%であ
った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08B 37/08 A61K 9/00,31/725

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒアルロン酸またはその誘導体の溶液をリ
    ン含有試薬と反応させて架橋することを特徴とする架橋
    ヒアルロン酸またはその誘導体のゲル製造方法。
  2. 【請求項2】試薬はリン(V)酸の誘導体である請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】リン(V)酸誘導体はハライド、オキシハ
    ライドまたは無水物である請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】リン(V)酸誘導体は五塩化リン、塩化ホ
    スホリまたは五酸化リンである請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】ヒアルロン酸またはその誘導体をリン
    (V)酸誘導体と反応させることによって製造すること
    を特徴とする架橋ヒアルロン酸またはその誘導体のゲ
    ル。
  6. 【請求項6】架橋はリン酸エステル橋であることを特徴
    とする架橋ヒアルロン酸またはその誘導体のゲル。
  7. 【請求項7】架橋ヒアルロン酸またはその誘導体のゲル
    からなる可溶性ヒアルロン酸または医薬の投与のための
    徐放性デポ剤。
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