JP2738028B2 - 燃料タンクの蒸発ガス処理装置における燃料パージシステムの自己診断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、エンジンにおいて燃料タンク内に発生する
燃料ベーパ（以下、蒸発ガスと称する）を処理する装置
における燃料パージシステムの異常を検出するための自
己診断装置に関する。

〈従来の技術〉 従来の燃料タンクの蒸発ガス処理装置における燃料パ
ージシステムとしては、例えば次のようなものがある。

このものは、燃料タンク内の圧力が所定値以上の正圧
になった時に、燃料タンク内の蒸発ガスをキャニスタに
導いて吸着捕集させ、該キャニスタに吸着された燃料を
パージ通路を介してエンジンに供給するようにしてい
る。

前記パージ通路には、スロットル負圧に応じて開閉制
御されるダイヤフラム弁が介装されており、該ダイヤフ
ラム弁は予め定められた適切なパージ領域でエンジンへ
の燃料パージが行われるように制御される。

非パージ領域の一つとして、例えばアイドリング時や
エンジンキーオフ時等があり、この時にはダイヤフラム
弁を閉じ、パージ燃料量の供給を止めて燃料のオーバリ
ッチ化を防止し、例えば始動性の悪化等が発生するのを
防止するようにしている（特公昭53−19729号公報等参
照）。

〈発明が解決しようとする課題〉 しかしながら、上述のような従来の燃料パージシステ
ムにあっては、システムが正常に機能しているか否かを
自己診断する装置やプログラムが設けられていないた
め、システムの異常を掌握できず、装置の信頼性に劣る
という問題点があった。

そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、
燃料パージシステムが正常に機能しているか否かを自己
診断する装置を提供し、システムの異常を掌握可能とす
ることにより、装置の信頼性の向上を図ることを目的と
する。

〈課題を解決するための手段〉 このため、本発明の燃料タンクの蒸発ガス処理装置に
おける燃料パージシステムの自己診断装置は、第１図に
示すように、燃料パージの領域であるか否かを判別する
手段と、エンジンの空燃比の状態を検出する手段と、前
記キャニスタ内部の温度を検出する手段と、を設けると
共に、これら各々検出手段から出力される検出信号によ
り、燃料パージの領域であると判別された時の、エンジ
ンの空燃比の状態とキャニスタ内部の温度とに基づいて
システムが正常であるか異常であるかを判定する判定手
段を設けた構成とする。

〈作用〉 かかる構成において、燃料パージ領域では、キャニス
タ内に吸着捕集された燃料がパージ通路を介してエンジ
ンに供給される。

一方、非燃料パージ領域では、キャニスタ内に吸着捕
集された燃料の供給が遮断される。

ここで、上記の燃料パージが実行された場合、システ
ムが正常であれば、キャニスタ内の蒸気ガスのチャージ
量に関係なく、空燃比の状態とキャニスタ内温度の少な
くともいずれか一方に変化が生じる。逆に、システムが
異常であれば、空燃比の状態比とキャニスタ内温度の両
方に変化が生じない。

従って、判定手段により、燃料パージが実行された時
に、空燃比の状態とキャニスタ内温度の少なくともいず
れか一方に変化が生じた場合に、正常と判定され、燃料
パージが実行されたにも係わらず空燃比とキャニスタ内
温度の両方の変化が生じない場合に、異常と判定され
る。

〈実施例〉 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第２図において、図示しない燃料タンクと連通路１を
介して連通されるキャニスタ２の本体2a内部には、活性
炭等の蒸気ガス吸着剤３が充填されている。このキャニ
スタ２と吸気絞り弁４下流の吸気通路5aとはパージ通路
６を介して連通され、キャニスタ２に吸着捕集された燃
料はこのパージ通路６と吸気通路5aとを介してエンジン
７に供給されるようになっている。

そして、上記パージ通路６には、スロットル負圧によ
り開閉制御されて該通路６を開閉するダイヤフラム弁８
が介装されている。

このダイヤフラム弁８の本体8aは、キャニスタ２の本
体2a上壁に連結されており、該本体2a内とはダイヤフラ
ム8bを介して仕切られている。ダイヤフラム弁８の本体
8a内部には、ダイヤフラム8bを常時は弁閉状態に付勢す
るスプリング8cが備えられている。

ダイヤフラム弁８の本体8a内部はスロットル負圧導入
通路９を介して吸気絞り弁４の直上流の吸気通路5bに連
通される。このスロットル負圧導入通路９にはオン・オ
フされて開閉動作されるソレノイド弁10が介装されてい
る。

前記吸気絞り弁４下流の吸気通路5aに連通されたパー
ジ通路６はキャニスタ２の本体2a壁に貫通支持されて該
本体2aの上部空間に開放され、その開放部はダイヤフラ
ム8bに対する弁シート部11として機能するようになって
いる。

ここで、前記ダイヤフラム弁８は、吸気絞り弁４直上
流の吸気通路5bが所定値以上の負圧（スロットル負圧）
となると開かれ、エンジン７のアイドリング時並びにエ
ンジン７の回転停止時等に、前記吸気通路5bが所定値未
満の負圧（スロットル負圧）或いは大気圧となると閉じ
られて、適正な燃料パージ領域で燃料のパージを行うよ
うになっている。

そして、前記ソレノイド弁10はこのダイヤフラム弁８
は開閉に対応して開閉されるように制御される。この制
御はコントロールユニット12によって行う。

即ち、コントロールユニット12には、例えばエンジン
回転数と吸気絞り弁４下流の負圧とによって定められた
燃料パージ領域と非燃料パージ領域のマップが備えられ
ており、このマップに基づくコントロールユニット12か
らの指令により、ソレノイド弁10が開閉制御されるよう
になっている。

上記のソレノイド弁10が、燃料パージの領域であるか
否かを判別する手段を構成する。

上記コントロールユニット12には、エンジン７の空燃
比の状態を検出する手段としての酸素センサ13からの出
力信号（空燃比信号或いは燃料供給量の空燃比補正係数
α信号等があり、本実施例では空燃比信号を採用する）
と、前記キャニスタ２内部の温度を検出する手段として
の温度センサ14からの温度信号と、が入力されている。

そして、コントロールユニット12は、上記ソレノイド
弁10のオン・オフ信号と、酸素センサ13からの出力信号
と、温度センサ14からの温度信号とにより、燃料パージ
の領域であると判別された時の、エンジン７の空燃比の
状態とキャニスタ２内部の温度とに基づいてシステムが
正常であるか異常であるかを判定する判定手段を備えて
いる。

次に、係る構成の作用について説明する。

燃料パージ領域では、ソレノイド弁10は前述したマッ
プに基づくコントロールユニット12からの指令により、
開放制御される一方、吸気通路5b内圧力が所定値以上の
負圧（スロットル負圧）となることで、この負圧が通路
９を介してダイヤフラム弁８の本体8a内に作用し、ダイ
ヤフラム8bをスプリング8cの弾性力に抗して図の上方に
移動形成させる。従って、ダイヤフラム8bが弁シート部
11から離れ、パージ通路６が開通する。この結果、キャ
ニスタ２内に吸着捕集された燃料がパージ通路６を介し
て吸気通路5aに導入されエンジン７に供給される。

一方、非燃料パージ領域では、ソレノイド弁10は前述
したマップに基づくコントロールユニット12からの指令
により閉塞制御される一方、吸気通路5b内圧力が所定値
未満の負圧（スロットル負圧）或いは大気圧となること
で、ダイヤフラム8bがスプリング8cの弾性力により図の
下方に移動変形し、弁シート部11に圧着してパージ通路
６を閉じる。この結果、キャニスタ２内に吸着捕集され
た燃料の供給が遮断される。

ここで、上記の燃料パージが実行された場合、システ
ムが正常であれば、キャニスタ２内の蒸発ガスのチャー
ジ量に関係なく、空燃比とキャニスタ２内温度の少なく
ともいずれか一方に変化が生じる。逆に、システムが異
常であれば、空燃比とキャニスタ２内温度の両方に変化
が生じない。

尚、キャニスタ２内の活性炭等の吸着剤３は蒸発ガス
を吸着すると温度上昇し、パージがなされると温度低下
する。

従って、前記コントロールユニット12に備えた判定手
段により、燃料パージが実行された時に、空燃比とキャ
ニスタ２内温度の少なくともいずれか一方に変化が生じ
た場合に、正常と判定され、燃料パージが実行されたに
も係わらず空燃比とキャニスタ２内温度の両方に変化が
生じない場合に、異常と判定される。

これを第３図に示す判定ルーチンのフローチャートに
基づいて説明する。

図において、ステップ（以下、図と同様にＳと称す
る）１では、ソレノイド弁10がOFFからONになったか否
かを判別し、ONになればS2に進む。S2では、キャニスタ
内温度が変化したか否かを判定し、変化すればS3に進ん
で、パージシステムが正常であることを判定する。キャ
ニスタ内温度が変化しなければ、S4に進んで、空燃比が
変化したか否かを判定し、変化すればS3に進んで、パー
ジシステムが正常あることを判定する。空燃比が変化し
なければ、S5に進んで、パージシステムが異常であるこ
とを判定する。

尚、キャニスタ２内の蒸気ガスのチャージ量と、燃料
パージの実行の有無（ソレノイド弁10のオン・オフ）
と、キャニスタ２内温度と、空燃比と、パージシステム
の正常・異常と、の関係を整理するため、この関係を次
の表にまとめる。

尚、上記の表のNo.2は、キャニスタ２内が空の時にパ
ージ動作が行われることにより、エンジン７に空気が供
給されるため、空燃比がリーン化するのである。

このようにして、パージシステムが異常と判定された
場合には、例えば、ランプや警報装置等の放置手段によ
り運転者等に知らせるように構成すると良い。

以上の構成によると、キャニスタ２温度と空燃比とに
より、パージシステムの自己診断を行うようにしたか
ら、システムの異常を掌握できるようになり、システム
の信頼性の向上を図ることができ、システムの異常時の
対策を速やかに行うことができる。

尚、以上の実施例においては、例えば機関回転数と吸
気絞り弁４下流の負圧とによって定められた燃料パージ
領域と非燃料パージ領域のマップに基づくコントロール
ユニット12からの指令により、開閉制御されるソレノイ
ド弁10により、燃料パージの領域であるか否かを判別す
る手段を構成するようにしたが、この手段としては実施
例のものに限定されず、例えば、ダイヤフラム弁８にダ
イヤフラム8bの動作を検出するセンサ等を設けて、燃料
パージの開始を検出するように構成しても良いし、パー
ジ通路６に、機関運転状態等に基づいてデューティー制
御されて弁開度制御される比例ソレノイド弁を介装し、
この比例ソレノイド弁へのデューティー制御信号によ
り、燃料パージの開始を検出するように構成しても良
い。尚、デューティー制御信号が０から０以外に変化し
た時が、燃料パージの開始である。

〈発明の効果〉 以上説明したように、本発明に係る燃料パージシステ
ムの自己診断装置によると、燃料パージの領域であると
判別された時の、エンジンの空燃比の状態とキャニスタ
内部の温度とに基づいてシステムが正常であるか異常で
あるかを判定するようにしたから、システムの異常を掌
握することが可能となり、システムの信頼性の向上を図
ることができる有用性大なるものである。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明に係る燃料タンクの蒸発ガス処理装置に
おける燃料パージシステムの自己診断装置のクレーム対
応図、第２図は同上装置の一実施例を示す構成図、第３
図は同上実施例の作用を説明するフローチャートであ
る。 ２……キャニスタ、３……吸着剤、６……パージ通路、
７……エンジン、10……ソレノイド弁、12……コントロ
ールユニット、13……酸素センサ、14……温度センサ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料タンク内の蒸発ガスを吸着剤を充填し
   た蒸発ガス捕集用キャニスタに導いて吸着捕集させ、該
   キャニスタに吸着された燃料をパージ通路を介してエン
   ジンに戻すようにした燃料タンクの蒸発ガス処理装置に
   おける燃料パージシステムにおいて、燃料パージの領域
   であるか否かを判別する手段と、エンジンの空燃比の状
   態を検出する手段と、前記キャニスタ内部の温度を検出
   する手段と、を設けると共に、これら各検出手段から出
   力される検出信号により、燃料パージの領域であると判
   別された時の、エンジンの空燃比の状態とキャニスタ内
   部の温度とに基づいてシステムが正常であるか異常であ
   るかを判定する判定手段を設けたことを特徴とする燃料
   タンクの蒸発ガス処理装置における燃料パージシステム
   の自己診断装置。