JP2693573B2 - 広延ニップを有するプレス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は対向部材として作用する支持手段と、この支
持手段と対向して配置され、プレスシューおよびこれを
支承し、台に固着されるようになっている支承要素を備
えた加圧手段とを備え、上記プレスシューと支持手段と
により広延ニップを有する加圧帯域を形成し、プレスシ
ューと摺接して上記加圧帯域を通るように構成された液
体不透過性の少なくとも１つのエンドレス可動ベルト
と、脱水すべき繊維ウェッブとともに上記加圧帯域を通
るように構成された少なくとも１つのエンドレス液体吸
収フェルトとを備え、上記加圧手段が、ベルトを横切っ
て少なくとも一列に配置され、プレスシューに作用して
これを支持手段に押しつけるピストンロッドを有する複
数のジャッキを備えている抄紙機又は板紙抄紙機用の広
延ニップを有するプレスに関する。

〔従来技術〕

実質的に上記種類の広延ニッププレスが多くの特許明
細書に述べられている（例えば、米国特許第4272317
号、第Re.30268号、第4568423号およびFI71369を参
照）。また、例えば米国特許第3853698号、第4556454号
およびヨーロッパ特許第0254819号に記載のように、プ
レスシュー自身をジャッキ状手段の一部として設計する
ことも知られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

これらの公知なプレスの加圧手段はしばしば、製造、
組立て、および保守又は交換のための取りはずしが比較
的複雑であり、また作動中、機能上の欠陥を伴う。

本発明の目的は申し分なく機能し、安価な製造コスト
で製造容易であり、装着や、保守または交換のための取
りはずしが簡単である改良加圧手段を備えたプレスを提
供することである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明によるプレスは、プレスシューがピストンロッ
ドにより両者間に堅い機械的連結部を設けずに自由に支
持されており、加圧手段には、作動中、プレスシューに
作用する水平方向の力を吸収するようにプレスシューの
下流に配置された支持ベアリングが設けられており、こ
の支持ベアリングが支承要素に設けられた不動の支持要
素を備えていることを特徴としている。

〔実施例〕

図面を参照して本発明を以下に詳細に説明する。

第１図を参照すると、抄紙機または板紙抄紙機の湿部
に配置され形成された含水繊維ウェッブ１から水分を押
し出してウェッブを圧縮するためのウエットプレスの部
分が概略的に示されている。このウエットプレスは、図
示の実施例では回転対向ロールよりなる対向部材として
作用する支持手段２と、複数ロール（図示せず）上およ
び対向ロール２の所定セクター上を通ってループ状に走
行する液体不透過性のベルト３とを備えている。対向ロ
ール２の反対側には、加圧手段４が配置されており、こ
の加圧手段はプレスシュー５を備えており、プレスシュ
ー５は対向ロール２と協同してプレス帯域を形成してお
り、対向ロール２の上記所定セクター内には、ベルト３
が対向ロール２上を走行するような広延ニップが形成さ
れている。２つのエンドレスフエルト６、７が複数のロ
ール（図示せず）上およびプレス帯域を通って夫々のル
ープをなして走行するように配置されている。作動中、
連続した含水繊維ウエッブ１はベルト３およびフエルト
６、７と共にプレス帯域を通り、これらフエルト６、７
はこれら両者間にある繊維ウエッブ１から押し出された
液体を受ける。

ベルト３のループ内に位置決めされた加圧手段４はフ
レームを構成する支承要素41を備えており、この加圧手
段４をウエットプレスの台９に固着するための適当な取
付け手段８が設けられている。

プレスシュー５は適切には、上側摺動部分10と、下側
フレーム部分11とよりなり、摺動部分10には、ベルト３
が摺接して走行する摺動面が設けられている。対向ロー
ル２と対向して配置されたプレスシュー５は、対向ロー
ル２の回転軸線と平行にベルト３の横方向に延びてい
る。プレスシュー５には、その縁部に接近した上流部分
に、潤滑流体を摺動面12に供給するためのチャンネル系
13が設けられており、ベルト３とプレスシュー５との間
に摩擦低減フィルムが形成され保持されて、同時に流体
力学的圧力が得られるようになっている。プレスシュー
５の下流端部（より詳細には、その下側フレーム部分1
1）には、プレスシュー５の摺動面12上を通る潤滑流体
のほとんどを集めて再循環させるためのチャンネル系
（図示せず）が設けられており、プレスシュー５の下流
縁部は好適には、潤滑流体がより早く流れ去ることがで
きるように丸くなっている。

加圧手段４は、上記支承要素41に配置された複数のジ
ャッキ14を備えている。図示の実施例では、支承要素41
は、プレスシュー５と平行にベルト３の横方向に延びた
長方形のジャッキユニット15よりなる。図示の好適な実
施例では、ジャッキ14は複数のジャッキの場合には２列
に配置され、各列のジャッキの数は同じである。ジャッ
キユニット15は、ジャッキ14のピストン18用の円筒形キ
ャビティ17を備えたブロック16と、頂部でキャビティ17
を閉じ、ジャッキのピストンロッド21用の孔20を備えた
板状頂要素19とを有している。ブロック16の底部には、
キャビティ17を閉じる底要素22が設けられている。変更
例として、上記底要素およびブロックを一体に形成して
もよく、この場合、キャビティ17はずっとは通っていな
い。キャビティ17は、ピストン18の両側でチャンネル系
23、24を介して圧力媒体源と連通している。チャンネル
系は適切には、各群に１つまたはそれ以上ずつの２群ま
たはそれ以上の群のジャッキを異なる圧力下に置いて繊
維ウエッブを横方向に異なる程度に圧縮することができ
るように分割されているのがよい。ピストンロッド21の
端部はプレスシュー５に自由に当接する。すなわち、こ
れら両者間には、堅い機械的連結部が設けられていな
い。

更に、加圧手段は列をなして配置された複数の静液圧
ポケット25を備えており、これらのポケットの各々は、
プレスシュー５の摺動面12に埋められた比較手浅い矩形
の上方圧力室26と、この圧力室26と直接連通し、同じ圧
力が圧力ポケット25全体にわたって存在するのに十分大
きい横断面積を持つ垂直な連通室27とを有している。こ
の連通室27は圧力室26からプレスシュー５全体を貫通
し、支持要素まで（より詳細には、頂板19まで）適当な
距離続いており、圧力ポケット25の底部28が頂板19に位
置決めされるようになっている。

頂板19（支承要素41）とプレスシュー５との間の各圧
力ポケット25ごとの転移部は、対向した孔33、42を通っ
て圧力ポケット25の底部28まで、かつプレスシュー５の
中へ或る距離、延びているスリーブ29により形成されて
いる。図示の実施例では、スリーブ29は頂板19にしっか
り取付けられており、スリーブ29の頂部には、プレスシ
ュー５の孔壁部を密封する弾性シール30が設けられてい
る。変更例として、頂板19の孔壁部を密封するために下
方シールを設けてもよい。垂直な連通室27はスリーブ29
が直線状になるように、互いに整合しており、かくして
プレスシュー５がわずかに傾いても、スリーブ29のどれ
も変形しないようになっている。

頂板19には、圧力ポケット25より下にポケットの底面
28から所定の間隔をへだてて水平チャンネル31が延びて
おり、この水平チャンネル31により、圧力流体を源から
キャピラリ作用で個々の幅狭のスロットル穴32を通して
圧力ポケット25供給し得る。スロットル穴32は、この系
において平衡が達成されるまで圧力流体が関連した圧力
ポケット25にすばやく押し入れられたり押し出されたり
することにより或るポケット25における一時的な圧力変
化が他の圧力ポケット25内の圧力に影響しないようにす
るのに十分小さい通過流面積を有している。このように
して、ポケット25においてベルト３を横切る安定化圧力
分布が達成される。

各スリーブ29の直径はプレスシュー５の孔33の直径よ
りわずかに小さいので、両者間に小さい隙間が形成され
ており、この隙間は孔の壁部と摺接しているシール30に
より封止されている。ピストンロッドはプレスシュー５
に固着されておらずスリーブ29が上記のように成形され
て配置されているので、プレスシュー５はあらゆる方向
に或る限度まで移動されるようになっている。かくし
て、プレスシュー５は上記限度内で易流動性であるとみ
なすことができる。頂板19に対するプレスシュー５の位
置にかかわらず、シール30の弾性の限度内および各スリ
ーブ29とプレスシュー５の対向孔壁部との間の隙間内で
プレスシュー５の或る程度の傾斜も可能であることはわ
かるであろう。従って、本発明によれば、加圧手段には
明確な固定枢軸線がない。第１図で見て左側列のジャッ
キ14によりプレスシュー５の下流部分に、右側列のジャ
ッキ14によりプレスシュー５の上流部分に加えられる圧
力より大きい圧力が加えられ、その結果、プレスシュー
５が傾斜される。繊維ウエッブ１にその走行方向に漸増
する圧力を達成するためには、このような傾斜は望まし
い。

しかしながら、プレスシュー５がこれに沿って上下に
摺動できるスリーブ29は、作動中にベルト３からプレス
シュー５に伝えられる水平方向の力の多くを吸収できな
い。この目的のため、本発明による加圧手段４は、プレ
スシュー５の下流に配置された支持ベアリング34を備え
ている。第１図および第２図に示す実施例では、上記支
持ベアリング34は頂板19に固着された不動の支持要素35
と、プレスシュー５の下流側に回転可能に支承され、不
動の支持要素35の支持面およびプレスシュー５の対向し
た支持面と接触している転動体36とよりなる。第１図お
よび第２図に示す実施例では、これらの転動体はプレス
シュー５の側部に沿って分布された複数のローラよりな
る。変更例として、転動体は球体よりなってもよい。

第３図および第４図には、本発明による支持ベアリン
グの別の具体例が示されており、この具体例は頂板19に
しっかり取付けられた支持要素37を備えており、この支
持要素37には、プレスシュー５に面する複数の突出部38
が形成されている。これらの突出部はプレスシュー５の
下流側で対向した支持摺動面40と接触している凸形支持
面39を有している。

回転対向ロールの代わりに、第２プレスシューを使用
してもよく、この第２プレスシューはそのまわりに回転
する第２エンドレス加圧ベルトを有している。この場
合、図示のプレスシュー５の摺動面および第２支持手段
のプレスシューの摺動面は互いに嵌合するように調整さ
れる。これらの摺動面の両方とも一般には平らに形成さ
れるが、一方が凸形であり、他方が相応に凹形であって
もよい。

望むなら、本発明によるウエットプレスでは、プレス
シューの端部にのみ（すなわち、加圧ベルトの縁部にの
み）ジャッキユニットを使用したり、これらの端ユニッ
ト間に、例えば、細長くて抄紙機の方向に対して横方向
に配置された上流ジャッキと対応する下流ジャッキとよ
りなるジャッキを使用しりすることも、もちろん可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による加圧手段を備えて広延ニップを有
するウエットプレスの諸部分を示す図；第２図は第１図
の加圧手段の諸部分の頂面図；第３図は第１図および第
２図の加圧手段の別な具体例の支持ベアリングを示す
図；第４図は第３図の支持ベアリングの諸部分の頂面図
である。 １……含水繊維ウエッブ、２……支持手段、３……ベル
ト、４……加圧手段、５……プレスシュー、６、７……
エンドレスフエルト、９……台、14……ジャッキ、21…
…ピストンロッド、25……圧力ポケット、29……スリー
ブ、34……支持ベアリング、35……支持要素、36……転
動体、41……支承要素。

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】対向部材として機能する支持手段（２）
   と、該支持手段（２）と対向して配置され、プレスシュ
   ー（５）およびこれを支持し、台（９）に固着されるよ
   うになっている支承要素（41）を有する加圧手段（４）
   とを備え、上記プレスシュー（５）と支持手段（２）と
   により広延ニップを有する加圧帯域を形成し、プレスシ
   ュー（５）と摺接して上記加圧帯域を通るように構成さ
   れた液体不透過性の少なくとも１つのエンドレス可動ベ
   ルト（３）と、脱水すべき繊維ウェッブ（１）とともに
   上記加圧帯域を通るように構成された少なくとも１つの
   エンドレス液体吸収フェルト（６）とを備え、上記加圧
   手段（４）が、ベルト（３）を横切って少なくとも１列
   に配置され、プレスシュー（５）に作用してこれを支持
   手段（２）に押しつけるピストンロッド（21）を有する
   複数のジャッキ（14）を備えている抄紙機または板紙抄
   紙機用の広延ニップを有するプレスにおいて、プレスシ
   ュー（５）があらゆる方向に或る限度まで移動できるよ
   うに、プレスシュー（５）はピストンロッド（21）によ
   り、両者の間に堅い機械的連結部を設けることなしに自
   由に支持されており、加圧手段（４）には、作動中、プ
   レスシュー（５）に作用する水平方向の力を吸収するよ
   うにプレスシュー（５）の下流に配置された支持ベアリ
   ング（34）が設けられており、該支持ベアリング（34）
   は支承要素（41）に設けられた不動の支持要素（35、3
   7）を備えてなることを特徴とするプレス。
2. 【請求項２】支持ベアリング（34）は転動体（36）を有
   していることを特徴とする請求項１に記載のプレス。
3. 【請求項３】転動体（36）はプレスシュー（５）と不動
   の支持要素（35）の支持面との間にこれらと接触状態で
   回転可能に支承されていることを特徴とする請求項２に
   記載のプレス。
4. 【請求項４】支持ベアリング（34）は不動の支持要素
   （37）から延びている１つ又はそれ以上の突出部（38）
   を備えており、上記突出部はプレスシュー（５）の対向
   した支持摺動面（40）に当接するように配置された凸形
   支持面（39）を有していることを特徴とする請求項１に
   記載のプレス。
5. 【請求項５】加圧手段（５）は少なくとも１列に配置さ
   れた複数の静液圧ポケット（25）を備えており、各圧力
   ポケット（25）の底部（28）は支承要素（41）に位置決
   めされ、圧力流体を圧力ポケット（25）に供給するため
   に支承ポケット（25）の幅狭の穴（32）を経てチャンネ
   ル（31）と連通しており、各圧力ポケット（25）におけ
   る支承要素（41）とプレスシュー（５）との間の転移部
   はスリーブ（29）により形成されており、該スリーブ
   （29）はプレスシュー（５）を支承要素（41）に対して
   移動させることができるように圧力ポケット（25）に配
   置されていることを特徴とする請求項１に記載のプレ
   ス。
6. 【請求項６】スリーブ（29）には、圧力ポケット（25）
   の対向した孔壁部に対して密封する弾性シール（30）が
   外側に設けられており、スリーブ（29）はプレスシュー
   （５）がこのようにしてシールの弾性により１列のジャ
   ッキ（14）の作用である程度まで傾斜されるように上記
   孔壁部に小さい隙間を有して嵌合されていることを特徴
   とする請求項５に記載のプレス。
7. 【請求項７】スリーブ（29）は直線に沿って配置されて
   いることを特徴とする請求項６に記載のプレス。
8. 【請求項８】対向部材として機能する支持手段は回転対
   向ロール（２）よりなることを特徴とする請求項１ない
   し７のうちいずれか１つに記載のプレス。