JP2691986B2 - ピリジン骨格を有する光学活性化合物の製造法 - Google Patents
ピリジン骨格を有する光学活性化合物の製造法Info
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- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P17/00—Preparation of heterocyclic carbon compounds with only O, N, S, Se or Te as ring hetero atoms
- C12P17/10—Nitrogen as only ring hetero atom
- C12P17/12—Nitrogen as only ring hetero atom containing a six-membered hetero ring
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
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- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P41/00—Processes using enzymes or microorganisms to separate optical isomers from a racemic mixture
- C12P41/003—Processes using enzymes or microorganisms to separate optical isomers from a racemic mixture by ester formation, lactone formation or the inverse reactions
- C12P41/004—Processes using enzymes or microorganisms to separate optical isomers from a racemic mixture by ester formation, lactone formation or the inverse reactions by esterification of alcohol- or thiol groups in the enantiomers or the inverse reaction
Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は生化学的手法による光学活性な化合物の製造
法に関するものである。 〔従来の技術と発明が解決しようとする問題点〕 一般式: (Xは、 の群の中から選ばれ、Z1,Z2,Z3,Z4は、水素原子、ハロ
ゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ
基、アルキルアミノ基、 および炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基
の群から選ばれ、W1,W2,W3,W4,W5は、水素原子、ハロゲ
ン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、
アルキルアミノ基、および炭素数1〜20のアルキル基も
しくはアルコキシ基の群から選ばれ、Yは、ハロゲン原
子、水素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基の群か
ら選ばれ、Rは、炭素数1〜20のアルキレン基であり、
nは、0または1であり、Qは、炭素数1〜20のアルキ
レン基であり、mは、0または1である。)で表される
ような化合物は、光学異性体が存在することから、R−
体およびS−体のどちらか一方を純度良く含む物でなけ
れば、多くの場合、農薬、医薬、液晶化合物などとして
十分な生理活性、あるいは特性を示さない。 そのため光学活性体を得るためには、通常の合成化学
的手法で得られるラセミ体を光学分割するか、不斉合成
を行うか、あるいは光学活性な物質から立体化学的手法
で変換して合成するしかなければならず、工程が繁雑で
あり、工業的には不利なものが殆どであった。 それゆえ、工業的に有利な方法によって光学活性体を
得る技術の開発が望まれてきた。 現在知られている生化学的手法としては、例えば、特
開昭59−205989号公報のようにラセミ体のエステルをリ
パーゼによって加水分解し、目的とするアルコールを得
る方法がある。この場合、基質であるエステルは水に不
溶の場合が多く、エマルジョンにするか大量の水で激し
く攪拌する必要があった。また、酵素は水溶性でありか
つ水分に対して不安定なため、安定に作用させるため、
また反応後に酵素を容易に除去したり、再使用するた
め、酵素を固定化する必要があった。 また、クリバノフ(Klibanov)らは酵素粉末を直接反
応系に添加することを報告している。(J.Am.Chem.So
c.,107,7072(1985))が、エステル交換のエステルが
非常に限定されており、酪酸2,2,2−クリクロロエチル
を使用している。また、有機溶媒を必須としており、溶
媒としてヘプタンまたは工業的に使用するには問題の多
いエーテルを使用している。 本発明者らは工業的に有利な方法で光学活性な前記一
般式(I)で表される化合物の製造法を見いだすべく研
究を行った結果、前記一般式(I)で表されるラセミ体
を原料とし、生化学的に不斉エステル交換反応を行い、
効率良く光学活性なエステルとその対掌体である光学活
性な化合物に分割できることを見いだした。 〔問題点を解決するための手段〕 即ち、本発明は前記一般式(I)で表される(R,S)
−化合物に作用して、R−体およびS−体のどちらか一
方の化合物と優先的にエステルと不斉エステル交換反応
させる能力を有する酵素を用い、前記(R,S)−化合物
を水分の実質的に存在しない条件下で、前記エステルと
エステル交換反応を行い、R−体、およびS−体のどち
らか一方に富む光学活性な化合物とそのエステル体に分
割する方法である。 本発明の方法は、従来の方法と異なり、水分の実質的
に存在しない条件下で反応を行う。この方法は水分や水
分の代わりに低級アルコールなどを用いる必要のないこ
とから、交換されるエステルや合成されるエステルの加
水分解、目的物でないエステルの生成等の副反応を殆ど
起こさず、酵素を有機溶媒中で安定に保ち、反応後の容
易な分離、再使用が可能である。さらに直接酵素を用
い、有機溶媒中で反応を行うため、微生物汚染が起こら
ず、特別な装置、防腐剤、滅菌処理などの必要がなく、
開放系で反応を行なえる。また、溶媒量も通常の有機合
成反応と同等かそれ以下の高い基質濃度で行える。 次に本発明について詳細に述べる。 本発明において、原料となる(R,S)−化合物は入手
可能、あるいは容易に合成することができる化合物であ
る。 また、エステルも容易に入手できる市販品で充分であ
り、中でもトリグリセリドが好ましく、例えばトリアセ
チン、トリプロピオニン、トリブチリン、トリステアリ
ン、トリラウリン、トリミリスチン、トリオレイン等が
その代表的な例として挙げられる。その他に、例えばプ
ロピオン酸メチル、酪酸エチル、ステアリン酸エチル、
ウラリン酸トリクロロエチル、ウラリン酸ブチル、エチ
レングリコールジアセテート等も使用できる。 本発明において用いられる酵素としては、リパーゼ、
リポプロテインリパーゼ、あるいはエステラーゼ等が好
ましい。しかし、(R,S)−化合物に作用してR−体、
S−体のどちらか一方の化合物と優先的にエステルと不
斉エステル交換反応させる能力を有するものであれば種
類を問わない。例えば、市販されている酵素として次表
に示したものが挙げられる。 また、これらの酵素の他に、上記の反応を行う能力を
有する酵素を産生する微生物であれば、その種類を問わ
ずに、その酵素は使用できる。かかる微生物の例とし
て、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アクロモバ
クター(Acromobacter)属、アルカリゲネス(Alcalige
nes)属、アスペルギルス(Asperigillus)属、クロモ
バクテリウム(Chromobacterium)属、カンディダ(Can
dida)属、ムコール(Mucor)属、シュウドモナス(Pse
udomonas)属、リゾプス(Rhizopus)属等に属するもの
が挙げられる。 本発明を実施するに際し、(R,S)−化合物、および
トリグリセリドなどのエステルは、いずれも特別の処理
をせずに使用することができる。 (R,S)−化合物をエステル、好ましくはトリグリセ
リドと混合し、(エステルに(R,S)−化合物が難溶の
場合はヘプタンやトルエン等の有機溶媒を加える)、酵
素と効率良く接触させることにより反応が行われる。 このとき反応温度は20ないし70℃が適当であり、特に
好ましくは30ないし45℃である。反応時間は幅広く、5
ないし2000時間であり、反応温度を高めたり、活性の高
い酵素を用いたり、基質濃度を下げたりすることにより
反応時間の短縮も可能である。 基質である(R,S)−アルコールとエステルの割合は
1:0.5ないし1:2(モル比)であり、好ましくは1:1.1な
いし1:1.5(モル比)である。 このようにして不斉エステル交換反応を行った後、酵
素は通常の濾過操作で除去することができ、そのまま再
使用することができる。濾液である反応液を減圧蒸留、
あるいはカラムクロマトグラフィー等により光学活性な
化合物とエステルにそれぞれ分離することができ、さら
に得られたエステルは、加水分解をすることにより、前
述の化合物との対掌体である光学活性な化合物となる。 以上の操作により、R−体、S−体それぞれ、光学活
性なアルコールを得ることができる。 〔発明の効果〕 本発明の効果を列挙すれば、以下のようなことが言え
る。 エステル交換反応については実質的に水分の存在し
ない条件で反応を行うことから、不必要なエステルの加
水分解が殆ど起こらない。 酵素の回収、再使用が容易に行える。 反応が比較的低温で、なおかつ開放系で行なえるた
め、特別の装置、材料を必要としない。 一段階の反応で高純度の光学活性体を得ることがで
きる。 緩衝溶液などを必要としないため、生化学反応にも
かかわらず基質濃度を高くでき、基質に対して大容量の
反応容器を必要としない。 〔実施例〕 次に本発明を実施例によって、更に詳しく説明する
が、本発明はこれらの実施例によって制限されるもので
はない。 実施例1 酵素(天野製薬、リパーゼ「アマノ」P)3.0g、(R,
S)−1−(4−ピリジル)エタノール7.3g(0.059mo
l)、およびトリブチリン19.7g(0.065mol)を三口フラ
スコに入れ、35℃で6日間攪拌した。反応停止後、濾過
により酵素を除き、濾液を減圧下で濃縮後、カラムクロ
マトグラフィーによって目的物を単離した。その結果、
S−(−)−1−(4−ピリジル)エタノール3.0g(収
率82.6%、〔α〕D=−26.6゜(C=1.0,EtOH))と、
R−1−(4'−ピリジル)エチルブチレートを得た。さ
らに、R−1−(4'−ピリジル)エチルブチレートをア
ルカリ加水分解して、R−(+)−1−(4−ピリジ
ル)エタノール1.8g(収率49.5%、〔α〕D=+32.4゜
(C=1.0,EtOH))を得た。 得られた化合物の同定は、NMRによる構造解析と旋光
計による旋光度測定により行った。 実施例2 酵素(天野製薬、リパーゼ「アマノ」P)3.4g、(R,
S)−1−(3−ピリジル)エタノール8.4g(0.068mo
l)、およびトリブチリン22.7g(0.075mol)を三口フラ
スコに入れ、35℃で16日間攪拌した。反応停止後、濾過
により酵素を除き、濾液を減圧下で濃縮後、カラムクロ
マトグラフィーによって目的物を単離した。その結果、
S−(−)−1−(3−ピリジル)エタノール4.3g(収
率102.7%、〔α〕D=−25.0゜(C=1.0,EtOH))
と、R−1−(3'−ピリジル)エチルブチレートを得
た。さらに、R−1−(3'−ピリジル)エチルブチレー
トをアルカリ加水分解して、R−(+)−1−(3−ピ
リジル)エタノール3.6g(収率86.0%、〔α〕D=+4
9.3゜(C=1.0,EtOH))を得た。 得られた化合物の同定は、NMRによる構造解析と旋光
計による旋光度測定により行った。 実施例3 酵素(天野製薬、リパーゼ「アマノ」P)3.9g、(R,
S)−1−(2−ピリジル)エタノール9.7g(0.079mo
l)、およびトリブチリン26.2g(0.087mol)を三口フラ
スコに入れ、35℃で16日間攪拌した。反応停止後、濾過
により酵素を除き、濾過を減圧下で濃縮後、カラムクロ
マトグラフィーによって目的物を単離した。その結果、
S−(−)−1−(2−ピリジル)エタノール2.59g
(収率72.8%、〔α〕D=−23.0゜(C=1.0,EtOH))
と、R−1−(2'−ピリジル)エチルブチレートを得
た。さらに、R−1−(2'−ピリジル)エチルブチレー
トをアルカリ加水分解して、R−(+)−1−(2−ピ
リジル)エタノール3.54g(収率53.2%、〔α〕D=+4
5.0゜(C=1.0,EtOH))を得た。 得られた化合物の同定は、NMRによる構造解析と旋光
計による旋光度測定により行った。
法に関するものである。 〔従来の技術と発明が解決しようとする問題点〕 一般式: (Xは、 の群の中から選ばれ、Z1,Z2,Z3,Z4は、水素原子、ハロ
ゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ
基、アルキルアミノ基、 および炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基
の群から選ばれ、W1,W2,W3,W4,W5は、水素原子、ハロゲ
ン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、
アルキルアミノ基、および炭素数1〜20のアルキル基も
しくはアルコキシ基の群から選ばれ、Yは、ハロゲン原
子、水素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基の群か
ら選ばれ、Rは、炭素数1〜20のアルキレン基であり、
nは、0または1であり、Qは、炭素数1〜20のアルキ
レン基であり、mは、0または1である。)で表される
ような化合物は、光学異性体が存在することから、R−
体およびS−体のどちらか一方を純度良く含む物でなけ
れば、多くの場合、農薬、医薬、液晶化合物などとして
十分な生理活性、あるいは特性を示さない。 そのため光学活性体を得るためには、通常の合成化学
的手法で得られるラセミ体を光学分割するか、不斉合成
を行うか、あるいは光学活性な物質から立体化学的手法
で変換して合成するしかなければならず、工程が繁雑で
あり、工業的には不利なものが殆どであった。 それゆえ、工業的に有利な方法によって光学活性体を
得る技術の開発が望まれてきた。 現在知られている生化学的手法としては、例えば、特
開昭59−205989号公報のようにラセミ体のエステルをリ
パーゼによって加水分解し、目的とするアルコールを得
る方法がある。この場合、基質であるエステルは水に不
溶の場合が多く、エマルジョンにするか大量の水で激し
く攪拌する必要があった。また、酵素は水溶性でありか
つ水分に対して不安定なため、安定に作用させるため、
また反応後に酵素を容易に除去したり、再使用するた
め、酵素を固定化する必要があった。 また、クリバノフ(Klibanov)らは酵素粉末を直接反
応系に添加することを報告している。(J.Am.Chem.So
c.,107,7072(1985))が、エステル交換のエステルが
非常に限定されており、酪酸2,2,2−クリクロロエチル
を使用している。また、有機溶媒を必須としており、溶
媒としてヘプタンまたは工業的に使用するには問題の多
いエーテルを使用している。 本発明者らは工業的に有利な方法で光学活性な前記一
般式(I)で表される化合物の製造法を見いだすべく研
究を行った結果、前記一般式(I)で表されるラセミ体
を原料とし、生化学的に不斉エステル交換反応を行い、
効率良く光学活性なエステルとその対掌体である光学活
性な化合物に分割できることを見いだした。 〔問題点を解決するための手段〕 即ち、本発明は前記一般式(I)で表される(R,S)
−化合物に作用して、R−体およびS−体のどちらか一
方の化合物と優先的にエステルと不斉エステル交換反応
させる能力を有する酵素を用い、前記(R,S)−化合物
を水分の実質的に存在しない条件下で、前記エステルと
エステル交換反応を行い、R−体、およびS−体のどち
らか一方に富む光学活性な化合物とそのエステル体に分
割する方法である。 本発明の方法は、従来の方法と異なり、水分の実質的
に存在しない条件下で反応を行う。この方法は水分や水
分の代わりに低級アルコールなどを用いる必要のないこ
とから、交換されるエステルや合成されるエステルの加
水分解、目的物でないエステルの生成等の副反応を殆ど
起こさず、酵素を有機溶媒中で安定に保ち、反応後の容
易な分離、再使用が可能である。さらに直接酵素を用
い、有機溶媒中で反応を行うため、微生物汚染が起こら
ず、特別な装置、防腐剤、滅菌処理などの必要がなく、
開放系で反応を行なえる。また、溶媒量も通常の有機合
成反応と同等かそれ以下の高い基質濃度で行える。 次に本発明について詳細に述べる。 本発明において、原料となる(R,S)−化合物は入手
可能、あるいは容易に合成することができる化合物であ
る。 また、エステルも容易に入手できる市販品で充分であ
り、中でもトリグリセリドが好ましく、例えばトリアセ
チン、トリプロピオニン、トリブチリン、トリステアリ
ン、トリラウリン、トリミリスチン、トリオレイン等が
その代表的な例として挙げられる。その他に、例えばプ
ロピオン酸メチル、酪酸エチル、ステアリン酸エチル、
ウラリン酸トリクロロエチル、ウラリン酸ブチル、エチ
レングリコールジアセテート等も使用できる。 本発明において用いられる酵素としては、リパーゼ、
リポプロテインリパーゼ、あるいはエステラーゼ等が好
ましい。しかし、(R,S)−化合物に作用してR−体、
S−体のどちらか一方の化合物と優先的にエステルと不
斉エステル交換反応させる能力を有するものであれば種
類を問わない。例えば、市販されている酵素として次表
に示したものが挙げられる。 また、これらの酵素の他に、上記の反応を行う能力を
有する酵素を産生する微生物であれば、その種類を問わ
ずに、その酵素は使用できる。かかる微生物の例とし
て、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アクロモバ
クター(Acromobacter)属、アルカリゲネス(Alcalige
nes)属、アスペルギルス(Asperigillus)属、クロモ
バクテリウム(Chromobacterium)属、カンディダ(Can
dida)属、ムコール(Mucor)属、シュウドモナス(Pse
udomonas)属、リゾプス(Rhizopus)属等に属するもの
が挙げられる。 本発明を実施するに際し、(R,S)−化合物、および
トリグリセリドなどのエステルは、いずれも特別の処理
をせずに使用することができる。 (R,S)−化合物をエステル、好ましくはトリグリセ
リドと混合し、(エステルに(R,S)−化合物が難溶の
場合はヘプタンやトルエン等の有機溶媒を加える)、酵
素と効率良く接触させることにより反応が行われる。 このとき反応温度は20ないし70℃が適当であり、特に
好ましくは30ないし45℃である。反応時間は幅広く、5
ないし2000時間であり、反応温度を高めたり、活性の高
い酵素を用いたり、基質濃度を下げたりすることにより
反応時間の短縮も可能である。 基質である(R,S)−アルコールとエステルの割合は
1:0.5ないし1:2(モル比)であり、好ましくは1:1.1な
いし1:1.5(モル比)である。 このようにして不斉エステル交換反応を行った後、酵
素は通常の濾過操作で除去することができ、そのまま再
使用することができる。濾液である反応液を減圧蒸留、
あるいはカラムクロマトグラフィー等により光学活性な
化合物とエステルにそれぞれ分離することができ、さら
に得られたエステルは、加水分解をすることにより、前
述の化合物との対掌体である光学活性な化合物となる。 以上の操作により、R−体、S−体それぞれ、光学活
性なアルコールを得ることができる。 〔発明の効果〕 本発明の効果を列挙すれば、以下のようなことが言え
る。 エステル交換反応については実質的に水分の存在し
ない条件で反応を行うことから、不必要なエステルの加
水分解が殆ど起こらない。 酵素の回収、再使用が容易に行える。 反応が比較的低温で、なおかつ開放系で行なえるた
め、特別の装置、材料を必要としない。 一段階の反応で高純度の光学活性体を得ることがで
きる。 緩衝溶液などを必要としないため、生化学反応にも
かかわらず基質濃度を高くでき、基質に対して大容量の
反応容器を必要としない。 〔実施例〕 次に本発明を実施例によって、更に詳しく説明する
が、本発明はこれらの実施例によって制限されるもので
はない。 実施例1 酵素(天野製薬、リパーゼ「アマノ」P)3.0g、(R,
S)−1−(4−ピリジル)エタノール7.3g(0.059mo
l)、およびトリブチリン19.7g(0.065mol)を三口フラ
スコに入れ、35℃で6日間攪拌した。反応停止後、濾過
により酵素を除き、濾液を減圧下で濃縮後、カラムクロ
マトグラフィーによって目的物を単離した。その結果、
S−(−)−1−(4−ピリジル)エタノール3.0g(収
率82.6%、〔α〕D=−26.6゜(C=1.0,EtOH))と、
R−1−(4'−ピリジル)エチルブチレートを得た。さ
らに、R−1−(4'−ピリジル)エチルブチレートをア
ルカリ加水分解して、R−(+)−1−(4−ピリジ
ル)エタノール1.8g(収率49.5%、〔α〕D=+32.4゜
(C=1.0,EtOH))を得た。 得られた化合物の同定は、NMRによる構造解析と旋光
計による旋光度測定により行った。 実施例2 酵素(天野製薬、リパーゼ「アマノ」P)3.4g、(R,
S)−1−(3−ピリジル)エタノール8.4g(0.068mo
l)、およびトリブチリン22.7g(0.075mol)を三口フラ
スコに入れ、35℃で16日間攪拌した。反応停止後、濾過
により酵素を除き、濾液を減圧下で濃縮後、カラムクロ
マトグラフィーによって目的物を単離した。その結果、
S−(−)−1−(3−ピリジル)エタノール4.3g(収
率102.7%、〔α〕D=−25.0゜(C=1.0,EtOH))
と、R−1−(3'−ピリジル)エチルブチレートを得
た。さらに、R−1−(3'−ピリジル)エチルブチレー
トをアルカリ加水分解して、R−(+)−1−(3−ピ
リジル)エタノール3.6g(収率86.0%、〔α〕D=+4
9.3゜(C=1.0,EtOH))を得た。 得られた化合物の同定は、NMRによる構造解析と旋光
計による旋光度測定により行った。 実施例3 酵素(天野製薬、リパーゼ「アマノ」P)3.9g、(R,
S)−1−(2−ピリジル)エタノール9.7g(0.079mo
l)、およびトリブチリン26.2g(0.087mol)を三口フラ
スコに入れ、35℃で16日間攪拌した。反応停止後、濾過
により酵素を除き、濾過を減圧下で濃縮後、カラムクロ
マトグラフィーによって目的物を単離した。その結果、
S−(−)−1−(2−ピリジル)エタノール2.59g
(収率72.8%、〔α〕D=−23.0゜(C=1.0,EtOH))
と、R−1−(2'−ピリジル)エチルブチレートを得
た。さらに、R−1−(2'−ピリジル)エチルブチレー
トをアルカリ加水分解して、R−(+)−1−(2−ピ
リジル)エタノール3.54g(収率53.2%、〔α〕D=+4
5.0゜(C=1.0,EtOH))を得た。 得られた化合物の同定は、NMRによる構造解析と旋光
計による旋光度測定により行った。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.一般式 (Xは、 の群の中から選ばれ、Z1,Z2,Z3,Z4,は、水素原子、ハロ
ゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ
基、アルキルアミノ基、および炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基
の群から選ばれ、W1,W2,W3,W4,W5は、水素原子、ハロゲ
ン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、
アルキルアミノ基、および炭素数1〜20のアルキル基も
しくはアルコキシ基の群から選ばれ、Yは、ハロゲン原
子、水素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基の群か
ら選ばれ、Rは、炭素数1〜20のアルキレン基であり、
nは、0または1であり、Qは、炭素数1〜20のアルキ
レン基であり、mは、0または1である。)で表される
(R,S)−化合物に作用して、R−体およびS−体のど
ちらか一方の化合物と優先的に対応するトングリセリド
と不斉エステル交換させる能力を有するシュードモナス
属由来のリパーゼの存在下に、実質的に水分の存在しな
い条件下で、前記(R,S)−化合物と、前記トリグリセ
リドを反応させエステル交換反応を行い、R−体に富む
光学活性な化合物およびそのエステル体に分割すること
を特徴とするピリジン骨格を有する光学活性化合物の製
造法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62212674A JP2691986B2 (ja) | 1987-08-28 | 1987-08-28 | ピリジン骨格を有する光学活性化合物の製造法 |
US07/227,248 US4971909A (en) | 1987-08-28 | 1988-08-02 | Process for producing optically active compounds having pyridine skeletons |
DE8888112789T DE3876039T2 (de) | 1987-08-28 | 1988-08-05 | Verfahren zur herstellung von optisch aktiven verbindungen mit pyridin-kernen. |
EP88112789A EP0304706B1 (en) | 1987-08-28 | 1988-08-05 | Process for producing optically active compounds having pyridine skeletons |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62212674A JP2691986B2 (ja) | 1987-08-28 | 1987-08-28 | ピリジン骨格を有する光学活性化合物の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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