JP2691855B2 - ポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維及びその製造方法

Info

Publication number
JP2691855B2
JP2691855B2 JP30612693A JP30612693A JP2691855B2 JP 2691855 B2 JP2691855 B2 JP 2691855B2 JP 30612693 A JP30612693 A JP 30612693A JP 30612693 A JP30612693 A JP 30612693A JP 2691855 B2 JP2691855 B2 JP 2691855B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
polyester
sulfonic acid
grooves
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP30612693A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07189032A (ja
Inventor
隆 秋田
剛士 石川
秀夫 坂倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP30612693A priority Critical patent/JP2691855B2/ja
Publication of JPH07189032A publication Critical patent/JPH07189032A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2691855B2 publication Critical patent/JP2691855B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル繊維及び
その製造方法に係わり、さらに詳しくは、高い吸水性と
レイヨン調の独特の風合とドライ感とを有するポリエス
テル繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、多くの優れた特性
を有し、各種衣料用途等に広く用いられているが、溶融
紡糸法により製造されるため、一般に繊維表面が平滑で
あり、手触りが硬く、独特のヌメリ感があるという風合
い面での欠点を有している。このような欠点を改良した
ポリエステル繊維の製造方法として、ポリエステルとポ
リエステルに非相溶性のポリマーをブレンドして溶融紡
糸する方法(特開昭55−16906号公報等)やポリ
アミドとポリエステルを複合紡糸してポリアミドの膨潤
剤で処理する方法(特公昭61−9427号公報等)が
提案されている。
【0003】また、ポリエステル繊維は、綿、絹、羊毛
のような天然繊維、レイヨン、アセテートのような半合
成繊維に比べ、吸水性、吸汗性に劣るという機能面での
欠点も有している。これらを改良するため、有機スルホ
ン酸金属塩を添加したポリエステルからなる中空繊維を
アルカリ水溶液で処理することにより、一部が中空部ま
で連通している微細孔を繊維表面に有する吸水性ポリエ
ステル繊維が提案(特公昭61−60188号、特公昭
62−44065号公報等)されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単に異
種ポリマーをブレンドする方法では、風合いはある程度
は改良されるが、吸水性に劣るという欠点を有する。ま
た、繊維表面を微多孔化した中空ポリエステル繊維は、
吸水性は改良されるが、風合いは満足すべき程度には改
良されておらず、さらに、中空ポリエステルとするため
に特殊な紡糸口金を必要とし、製造コストが上昇すると
いう欠点を有していた。本発明は、手触りが硬く、繊維
表面に独特のヌメリ感があるといったような、ポリエス
テル繊維が従来有していた風合い面における問題点、及
び、吸水性、吸汗性に劣るといった機能面での問題点を
解決しようとするものであり、本発明の目的は、高い吸
水性を有すると共に、レーヨン調の独特の風合とドライ
感とを有するポリエステル繊維を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、エチレンテレ
フタレートを主たる繰り返し単位とし、下記式(1)で
示される有機スルホン酸金属塩及び平均分子量が10,
000以下のポリエチレンを含有するポリエステルから
なる繊維であって、下記(A)、(B)の条件を満足す
るポリエステル繊維、 R−SO3M ・・・・・ (1) 但し、Rは炭素数3〜30のアルキル基または炭素数7
〜40のアリール基若 しくはアルキルアリー
ル基、Mはアルカリ金属 (A):繊維表面に、繊維軸方向に配向した多数の連続
筋状溝を有し、溝が幅0. 1〜3μm、長さ5
μm以上、隣接する溝の間隔が5μm以下である (B):繊維内部に、繊維断面における総断面積の5%
以上を占める不規則な空隙を有し、空隙の少なくとも一
部が繊維表面の筋状溝と連通している 及び、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位と
するポリエステルの重縮合反応完結前のポリマーに対し
て上記式(1)で示される有機スルホン酸金属塩と平均
分子量が10,000以下のポリエチレンの混合物、好
ましくは重量比で95:5〜50:50の混合物を0.
1〜8wt%添加し重縮合反応を完結させて得たポリエ
ステルポリマーを溶融紡糸し、得られた繊維を、120
℃以上の温度で10秒以上乾熱処理した後、アルカリ化
合物の水溶液で減量率5wt%以上の減量処理を行うこ
とからなるポリエステル繊維の製造方法である。
【0006】本発明の繊維は、エチレンテレフタレート
を主たる繰り返し単位とし、式(1)で示される有機ス
ルホン酸金属塩及び平均分子量が10,000以下のポ
リエチレンを含有するポリエステルから構成される。
【0007】本発明の繊維の構成の主体となるポリエス
テルは、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位
とするものであり、テレフタル酸またはそのエステル形
成性誘導体をジカルボン酸成分とし、エチレングリコー
ルまたはそのエステル形成性誘導体をグリコール成分と
するポリエステルが代表的なものであるが、このジカル
ボン酸成分の一部を他のジカルボン酸成分で置き換えて
もよく、またグリコール成分の一部を他のグリコール成
分で置き換えてもよい。
【0008】他のジカルボン酸成分としては、イソフタ
ル酸、5−スルホイソフタル酸のモノアルカリ金属塩、
ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジ
フェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボ
ン酸類またはそのエステル及びp−オキシ安息香酸、p
−β−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸類
またはそのエステル等が挙げられる。
【0009】また、他のグリコール成分としては、1,
4−ブタンジオール、炭素数2〜10のアルキレングリ
コール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペ
ンチルグリコール、1,4−ビス(β−オキシエトキ
シ)ベンゼン、ビスフェノールAのビスグリコールエー
テル、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
【0010】更に、ポリエステルが実質的に線状である
範囲で、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカル
ボン酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン等のポリオール、モノハイドリックポリ
アルキレンオキサイド、フェニル酢酸等の重合停止剤が
用いられたものでも差支えない。
【0011】かかるポリエステルは公知の任意の方法で
合成したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレー
トについて説明すれば、テレフタル酸とエチレングリコ
ールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジ
メチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエ
チレングリコールとをエステル交換反応させるか、また
はテレフタル酸にエチレンオキサイドを付加反応させる
かして、テレフタル酸のグリコールエステル、及び/ま
たはその低重縮合体を合成し、次いで該生成物を常法に
より重縮合させる方法が一般的である。更に、本発明に
おけるポリエステルの合成に当たっては、公知の触媒、
抗酸化剤、着色防止剤、エーテル結合副生防止剤、難燃
剤、その他の添加剤を適宜用いたものでもよい。
【0012】本発明の繊維を構成するポリエステルに含
有される式(1)で示される有機スルホン酸金属塩とし
ては、好ましい具体例としては、ブチルスルホン酸、ヘ
キシルスルホン酸、オクチルスルホン酸、デシルスルホ
ン酸、ラウリルスルホン酸、ミリスチルスルホン酸、パ
ルミチルスルホン酸、ステアリルスルホン酸等のナトリ
ウム塩、カリウム塩、リチウム塩、またはトルエンスル
ホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、
カリウム塩、リチウム塩、或いはこれらの混合物等が挙
げられる。
【0013】かかる有機スルホン酸金属塩は、単一の化
合物である必要はなく、各種有機スルホン酸金属塩の混
合物であってもよい。しかしながら、これら通常市販さ
れている有機スルホン酸金属塩は、塩化ナトリウム、硫
酸ナトリウムなどの無機塩の不純物を含んでいる。これ
ら、不純物は、溶融紡糸の安定性を阻害する。したがっ
て、本発明に用いる有機スルホン酸金属塩に含有される
無機塩は、極力少ない方が望ましく、好ましくは塩化ナ
トリウムが0.5wt%以下、さらに好ましくは0.2
wt%以下、硫酸ナトリウムが0.1wt%以下とする
ことによって、溶融紡糸の際の背圧上昇や糸切れを抑制
することができる。
【0014】また、本発明の繊維を構成するポリエステ
ルに含有されるポリエチレンは、有機スルホン酸金属塩
との混合物として有機スルホン酸金属塩の高い溶融粘度
を低下させる目的において平均分子量が10,000以
下、好ましくは5,000以下である低粘度型のポリエ
チレンを用いる。
【0015】本発明の繊維を構成するポリエステルに
は、有機スルホン酸金属塩及び平均分子量10,000
以下のポリエチレンが含有されており、これらの含有量
は、本発明の繊維の製造における添加量の相対値として
の量であり、有機スルホン酸金属塩は、0.5〜5wt
%、ポリエチレンは0.1〜2wt%、また、両者の混
合物として0.5〜5wt%含有されている。
【0016】本発明において、ポリエステルに有機スル
ホン酸金属塩とポリエチレンとを含有させることは、ポ
リマー自体の吸水性を改善させると共に、溶融紡糸して
得られたポリエステル繊維の内部に空隙形成とアルカリ
減量処理後に繊維の表面に多数の筋状溝を形成させるた
めの必須の要件である。有機スルホン酸金属塩のみを含
有させても繊維に筋状溝を生じさせることは可能である
が、ポリエチレンの共存により繊維表面の筋状溝の形成
が顕著に発現され、高度の吸水性と優れた風合いを繊維
に与える。
【0017】また、本発明において、前記(A)及び
(B)の条件は、両者の相乗効果により、ポリエステル
繊維に吸水性を付与すると共に、風合いを改良しレーヨ
ン調の風合いとドライ感を付与するために必要な条件で
ある。(A)の条件に関連すると、筋状溝の幅が0.1
μm未満または3μmを超える場合、或いは筋状溝の長
さが5μm未満の場合は、本発明の目的とするところの
繊維への吸水性の付与ができないだけでなく、風合いの
改良、ヌメリ感の解消が不十分となる。
【0018】(B)の条件に言及すると、本発明におい
ては、繊維内部に不規則な多数の空隙を有していること
より、ポリエステル繊維に優れた風合いの付与を可能と
し、この不規則な空隙は、ポリエステル繊維の剛性を緩
和させ繊維に柔軟性を付与すると共に、(A)の条件と
相まって繊維に手触りの柔らかさとドライ感を付与す
る。また、不規則な空隙は、その少なくとも一部が繊維
表面と筋状溝の凹部で連通していることより、ポリエス
テル繊維に高度な吸水性の付与を可能とし、また、繊維
を乾燥させた場合の速乾性も同時に付与を可能とする。
かかる空隙を有しない或いは繊維断面における空隙の占
める割合が5%未満の場合は、前記の柔軟性、吸水性、
速乾性は獲得されない。
【0019】本発明のポリエステル繊維を製造するに当
たっては、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単
位とするポリエステルポリマーの合成の段階で、ポリエ
ステルの重縮合反応完結前の低重縮合物或いはポリマー
に対して、有機スルホン酸金属塩と平均分子量が10,
000以下のポリエチレンとの混合物、好ましくは有機
スルホン酸金属塩:ポリエチレンの重量比で95:5〜
50:50の混合物を0.1〜8wt%反応系へ添加し
重縮合反応を完結させることが必要である。有機スルホ
ン酸金属塩の単独添加では有機スルホン酸金属塩が高い
溶融粘度を有するため均一添加が困難であるが、有機ス
ルホン酸金属塩をポリエチレンとの混合物とすることに
より、溶融粘度が低下し、ポリエステルの反応系中への
添加を容易にする。この混合物の添加時期は、ポリエス
テルの重縮合反応完結前であればいずれの段階でもよい
が、重縮合反応の途中で添加することが好ましい。
【0020】重縮合反応を完結させて得られた有機スル
ホン酸金属塩と平均分子量が10,000以下のポリエ
チレンとの混合物が配合されたポリエステルは、溶融紡
糸され、製糸工程を経て繊維とされるが、かかるポリエ
ステルを溶融紡糸するに当たっては、特別の方法を用い
る必要はなく、ポリエステル繊維を製造する際の任意の
溶融紡糸方法を用いることができる。本発明のポリエス
テル繊維は、本発明におけるポリエステルポリマーを単
独成分とする繊維だけでなく、前記(A)、(B)の条
件の連続筋状溝、不規則な空隙を発現し得る構造の繊維
であればよく、本発明におけるポリエステルポリマーを
鞘成分、貼合せ成分とする芯鞘複合繊維、サイドバイサ
イド複合繊維であってもよい。
【0021】また、本発明においては、溶融紡糸した
後、得られた繊維に、必要に応じて、延伸熱処理、仮撚
加工を施した後、120℃以上、好ましくは140℃以
上の温度で、10秒以上、好ましくは20秒以上の乾熱
処理を施す必要がある。この乾熱処理は、主として繊維
内部に不規則な空隙を形成させるために必要であり、1
20℃未満、または10秒未満の乾熱処理では、本発明
の目的とする繊維内部に不規則な空隙が形成されない。
ここで、この乾熱処理は、延伸熱処理、仮撚加工の工程
で行うことは工程速度的に不利であり、また工業的には
困難であるので、織編物にした後に施すことが好まし
い。
【0022】更に、本発明においては、製糸され、好ま
しくは製織または製編された繊維を、アルカリ化合物の
水溶液で減量処理する。このアルカリ化合物による減量
処理は、繊維表面を繊維内部の空隙と連通させると共
に、繊維の表面に多数の筋状溝を形成するために繊維表
面の一部を除去する処理として必要であり、筋状溝を繊
維表面に形成するためには、減量率で5wt%以上、好
ましくは10wt%以上の減量処理を行う。
【0023】本発明のアルカリ減量処理に用いるアルカ
リ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。なかでも
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましく用い
られる。かかるアルカリ化合物の水溶液の濃度は、アル
カリ化合物の種類、処理条件等によって異なるが、通常
0.1〜30wt%の範囲が好ましい。処理温度は常温
〜100℃の範囲が好ましく、処理時間は1分〜4時間
の範囲で通常行われる。
【0024】以上のようにして得られた本発明のポリエ
ステル繊維は、図1にその一例を示したように、繊維表
面の全周にわたって、繊維軸方向に配向した多数の連続
筋状溝を有すると共に、繊維内部にランダムで不規則な
多数の空隙が繊維軸方向に存在し、また空隙の少なくと
も一部は繊維表面の連続筋状溝に連通している構造の繊
維となる。このような、ポリエステル繊維は、繊維表面
の多数の連続筋状溝、繊維内部の不規則な多数の空隙に
より、従来のポリエステル繊維にはなかった、レーヨン
調のドライな風合いと、吸水性能、吸汗性能を発現す
る。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例中の各特性値は下記の方法により測定
したものである。また、実施例中の%、部はwt%、重
量部をそれぞれ意味する。また、表中の○、△、×は良
好、やや良好、不良をそれぞれ表す。
【0026】極限粘度:試料を、フェノール/テトラク
ロルエタン=50/50の混合溶媒に溶解し、ウベロー
デ粘度計により25℃において測定した。 溶融粘度:試料(添加用混合物)を、窒素雰囲気下所定
温度にて、充分に溶融させB型粘度計により測定した。 吸水性能:得られた原糸を次の条件の下に製織した後、 経糸:ポリエステル通常糸(50デニール/18フィラ
メント) 緯糸:本発明の原糸(75デニール/36フィラメン
ト) 経糸織密度:39.5本/cm 緯糸織密度:33.9本/cm 常法に従って精練、プリセットを施し、2%水酸化ナト
リウム水溶液を用いて沸騰温度にて減量処理した。得ら
れた織物を直径15cmの刺しゅう用丸枠に取り付け、
水滴滴下法により織物上の水滴消失時間を計測して吸水
性能を評価した。水滴には蒸留水を用い、ビュレットの
先端と織物表面との距離を1.0cmとし、織物上に水
滴を1滴滴下して、その消失時間を測定した。測定は室
温下相対湿度55〜60%の状態で行い、サンプル毎に
5〜7回測定を繰り返し、平均水滴消失時間を求めた。
なお、このときの水滴1滴の平均量は0.039mlで
あった。
【0027】(実施例1)テレフタル酸100部、エチ
レングリコール52部をエステル化槽に仕込み、4kg
/cm2 の加圧下、260℃にてエステル化反応を行っ
た。引き続き、得られた反応生成物に、トリメチルホス
フェイト、三酸化アンチモン、二酸化チタンを、各々生
成ポリマーに対して実質上0.01%、0.04%、
0.5%となるようにエチレングリコール分散液として
加え、重合槽に移した。そして、高真空下285℃にて
70分重縮合反応を行ない、この時点で、ペンタデシル
スルホン酸ナトリウム主体のアルキルスルホン酸ナトリ
ウム(松本油脂(株)製、不純物としての塩化ナトリウ
ム、硫酸ナトリウムの含有量は、それぞれ0.02%、
0.05%)70部と平均分子量2,000のポリエチ
レン30部の混合物(混合物C)を生成ポリマーに対し
て2%となるように反応系中に加え、引き続き所定時間
重縮合反応を行ない、極限粘度0.71のポリエステル
ポリマーを得た。なお、混合物Cは、170℃で溶融し
て添加したが、170℃での溶融粘度は85ポイズであ
った。
【0028】このポリマーを常法によりチップ化、乾燥
し、孔径0.25mmの円形紡糸孔を36個有する紡糸
口金を通して、285℃にて溶融紡糸した。吐出糸条を
冷却気流で冷却固化した後、油剤を付与し、1800m
/分の巻取速度で巻取った。次いでこの未延伸糸を常法
に従って延伸、熱処理し、75デニール/36フィラメ
ントの延伸糸を得た。
【0029】得られた延伸糸をメリヤス編地に製編し、
180℃で60秒間乾熱処理を施した後、2%水酸化ナ
トリウム水溶液中にて沸騰温度にてアルカリ減量処理を
行った。得られた編地の繊維の繊維内部の空隙形成状態
を走査型電子顕微鏡により観察した。その観察結果を図
1及び表1に示した。また、得られた延伸糸を製織し、
同様に乾熱処理及びアルカリ減量処理して得た織物の風
合い状態は、表1に示したように、良好な風合いを有し
レーヨン調のドライ感を呈していた。
【0030】
【表1】
【0031】また、得られたポリエステル繊維延伸糸の
吸水性能を表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】(実施例2〜11、比較例1〜4)実施例
1における混合物Cの添加量、乾熱処理の温度及び時間
を各々表1に示した如く変更した以外は、実施例1と同
様に実施して乾熱処理、アルカリ減量処理の施された編
地を得た。得られた編地の繊維の観察結果及び編地と同
様のアルカリ減量処理した織物の風合い状態を表1に示
した。なお、実施例2及び8で得られたポリエステル繊
維延伸糸の吸水性能を表2に示した。
【0034】(実施例12〜16、比較例5〜6)実施
例1における混合物Cのアルキルスルホン酸ナトリウム
とポリエチレンの混合比を90部:10部の混合物(混
合物A)、80部:20部の混合物(混合物B)、60
部:40部の混合物(混合物D)に代え、それらの添加
量を表3に示した如く変更した以外は、実施例1と同様
に実施して乾熱処理、アルカリ減量処理の施された編地
を得た。なお、混合物A、B、Dは、170℃での溶融
粘度がそれぞれ190ポイズ、130ポイズ、15ポイ
ズであった。得られた編地の繊維の観察結果及び織物で
の風合い状態を表3に示した。比較例5、6において
は、製糸工程安定性が悪く、繊維化ができなかった。
【0035】
【表3】
【0036】(比較例7)実施例1において、混合物C
に代えてアルキルスルホン酸ナトリウム単独を重縮合反
応系中に溶融して添加しようとしたが、溶融粘度が32
0ポイズと極めて高く、反応系中に定量的に添加するこ
とが困難であった。
【0037】
【発明の効果】本発明のポリエステル繊維は、その一例
を図1に示した様に、繊維軸方向に高度に配向した多数
の連続筋状溝からなる繊維表面を有し、かつその少くと
も一部が繊維表面と連通した不規則な多数の空隙を繊維
内部に有するポリエステル繊維であって、本発明のポリ
エステル繊維は、高い吸水性を有すると共に、繊維の表
面及び内部構造に基づくレイヨン調の独特の風合とドラ
イ感を有する。したがい、本発明のポリエステル繊維を
織編物の形態上で得るならば、当然ながら、織編物に対
し高い吸水性、レイヨン調の独特の風合とドライ感を与
えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル繊維の一例の繊維の表面
及び断面を示す倍率2,000倍の走査型電子顕微鏡写
真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/92 308 D01F 6/92 308H D06M 11/38 D06M 5/02 F // D06M 101:32 (56)参考文献 特開 平1−239159(JP,A) 特開 平1−183574(JP,A) 特開 昭60−20963(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
    し単位とし、下記式(1)で示される有機スルホン酸金
    属塩及び平均分子量が10,000以下のポリエチレン
    を含有するポリエステルからなる繊維であって、下記
    (A)、(B)の条件を満足することを特徴とするポリ
    エステル繊維。 R−SO3M ・・・・・ (1) 但し、Rは炭素数3〜30のアルキル基または炭素数7
    〜40のアリール基若 しくはアルキルアリー
    ル基、Mはアルカリ金属 (A):繊維表面に、繊維軸方向に配向した多数の連続
    筋状溝を有し、溝が幅0. 1〜3μm、長さ5
    μm以上、隣接する溝の間隔が5μm以下である (B):繊維内部に、繊維断面における総断面積の5%
    以上を占める不規則な空隙を有し、空隙の少なくとも一
    部が繊維表面の筋状溝と連通している
  2. 【請求項2】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
    し単位とするポリエステルの重縮合反応完結前のポリマ
    ーに対して上記式(1)で示される有機スルホン酸金属
    塩と平均分子量が10,000以下のポリエチレンの混
    合物を0.1〜8wt%添加し重縮合反応を完結させて
    得たポリエステルポリマーを溶融紡糸し、得られた繊維
    を、120℃以上の温度で10秒以上乾熱処理した後、
    アルカリ化合物の水溶液で減量率5wt%以上の減量処
    理を行うことを特徴とする請求項1記載のポリエステル
    繊維の製造方法。
JP30612693A 1993-11-12 1993-11-12 ポリエステル繊維及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2691855B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30612693A JP2691855B2 (ja) 1993-11-12 1993-11-12 ポリエステル繊維及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30612693A JP2691855B2 (ja) 1993-11-12 1993-11-12 ポリエステル繊維及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07189032A JPH07189032A (ja) 1995-07-25
JP2691855B2 true JP2691855B2 (ja) 1997-12-17

Family

ID=17953370

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30612693A Expired - Fee Related JP2691855B2 (ja) 1993-11-12 1993-11-12 ポリエステル繊維及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2691855B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101330103B1 (ko) * 2007-12-28 2013-11-18 주식회사 효성 고강력 폴리에틸렌테레프탈레이트 섬유 및 그 제조 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07189032A (ja) 1995-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003293223A (ja) 吸熱性複合繊維
JP2691855B2 (ja) ポリエステル繊維及びその製造方法
JP3293704B2 (ja) ポリエステル繊維及びその製造方法
JPH08260343A (ja) 中空ポリエステル繊維及びその製造方法
JP2939688B2 (ja) フィブリル状ポリエステル繊維及びその製造方法
JP2844334B2 (ja) 制電性ポリエステル繊維
JP2896953B2 (ja) 極細ポリエステル繊維の製造方法
JPH03113070A (ja) ポリエステル繊維の製造法
JP2772925B2 (ja) 制電性ポリエステル繊維の製造方法
JP2852920B2 (ja) 制電性ポリエステル繊維
JP2952662B2 (ja) ポリエステル霜降り調太細繊維
JP2772923B2 (ja) ポリエステル霜降り調太細繊維及びその中間体並びにポリエステル霜降り調太細繊維の製造方法
JP2772926B2 (ja) 制電性ポリエステル繊維の製造方法
JPH09291419A (ja) 改質ポリエステル繊維前駆体及び改質ポリエステル繊維並びにその製造方法
JP3901835B2 (ja) 潜在的難燃性繊維および難燃性繊維の製造方法
JP2555136B2 (ja) 微細孔ポリエステル繊維の製造法
JPH0362808B2 (ja)
JP3035521B2 (ja) 改質ポリエステル多葉断面繊維、およびその製造方法、並びにその繊維を用いた織編物とその製造方法
JP2010138508A (ja) 撥水性ポリエステル複合繊維
JPH07331530A (ja) ポリエステルシックアンドシン繊維及びその前駆体繊維の製造方法並びに前駆体繊維からのポリエステルシックアンドシン繊維の製造方法
JPH10110328A (ja) 透け防止性に優れたポリエステル繊維及びその製造方法
JPS6163711A (ja) 麻様吸水性ポリエステル繊維
JPH07166423A (ja) 濃染性ポリエステル繊維
JPH11247066A (ja) ポリエステル自発伸長繊維及びその製造方法
JPH09279417A (ja) ポリエステル繊維および異収縮混繊糸

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees