JP2592414Y2 - 車両用ドア - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、主に自動車などの車両
用ドアに関し、特にドアインナーパネルにドアトリムを
取付けた構造の車両用ドアに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、自動車等の車両用ドアは、図５
に示す如く、ドア本体１の薄板鋼板製のドアインナーパ
ネル２表面に、ドアトリム３を取付けてなる。このドア
トリム３は、裏面の前後端寄り及び下辺寄り部に装着し
た複数本のクリップ（図示せず）によりドアインナーパ
ネル２表面に一部重合する状態に止め付けると共に、上
部裏面に折曲フランジ部を有し、この部分をドアインナ
ーパネル２の上端フランジ部に上から引っ掛けること
で、動かないように取付けられる。

【０００３】この種のドアトリム３は、通常、図６に示
す如く、表皮４とこの裏面の合成樹脂製基材（芯材）５
とを一体成形したものが多く、表面には部分的に加飾布
６などが設けられている。

【０００４】また、この種のドアトリム３は、ドアイン
ナーパネル２に対し、車幅方向のたわみを規制するため
に、図６（実開平３−３２５１７号公報参照）に示され
ている如く、基材５の上部裏面に樹脂製ブラケット７を
設け、このブラケット７の基部７ａ裏面とに先端側の折
曲フランジ部７ｂ裏面とにそれぞれストッパー用リブ
８，９を、互いにドアインナーパネル２の上端フランジ
部２ａの表裏面側で対向すように設け、このストッパー
用リブ８，９でドアトリム３の外力に対する車幅方向の
たわみを規制するようにしている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ところで、近年、この
種のドアトリムは金型を用いた一体成形品が主流になっ
て来ているが、前述したブラケット７及びストッパー用
リブ８，９を持つドアトリム３の構造では、上下金型の
型抜きの関係から一体成形ができない。このために、該
ブラケット７及びストッパー用リブ８，９は基材５と別
成形し、これを接着剤により基材５裏面に後付けしなけ
ればならず、その作業が面倒で、組立工数が増えコスト
高を招くと共に、組立精度の悪化を招き、品質管理が難
しいなど実用的でなかった。

【０００６】本考案は前記事情に鑑みなされ、ドアトリ
ムの一体成形が可能で、且つそのドアトリムのドアイン
ナーパネルに対する取付けが簡単確実で、外力に対する
車幅方向のたわみを確実に規制でき、組立作業の能率ア
ップとコストの低減並びに品質向上が図れる車両用ドア
を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案の車両用ドアは、
前記目的を達成するために、ドアインナーパネルの上端
フランジ部に長手方向に間隔を存して複数の切り開き部
を設ける一方、ドアトリムの上部の基材裏面に、前記ド
アインナーパネルの表面に当接する縦長部とこの上側に
配し前記ドアインナーパネルの上端フランジ部の切り開
き部に先端が嵌合する横長部とを持つ略逆Ｌ字形状の複
数のストッパー用リブをそれぞれ一体成形すると共に、
ドアトリムの表皮上端から一体に折曲部を延出し、且つ
この折曲部に長手方向に亘りウエストシールを固定し、
このウエストシール付き折曲部を折り曲げて前記ストッ
パー用リブの横長部先端面に結合し、この状態で前記横
長部先端がドアインナーパネルの切り開き部に嵌合し且
つウエストシール付き折曲部が上端フランジ部の裏面に
接合するように、ドアトリムの上部をドアインナーパネ
ルの上端フランジ部に掛止したことを特徴とする。

【０００８】

【作用】前記構成の車両用ドアによれば、ドアトリムの
上部をドアインナーパネルの上端フランジ部に上方から
引っ掛けるように掛止すれば、そのドアトリム上部の基
材裏面の略逆Ｌ字形状の複数のストッパー用リブの縦長
部がドアインナーパネルの表面に当接する一方、上部横
長部先端がドアインナーパネルの上端フランジ部の切り
開き部に嵌合すると共に、この各横長部先端面に結合し
ているウエストシール付き折曲部が該上端フランジ部の
裏面に接合する状態となる。これでドアトリムの上部が
ドアインナーパネルの上部フランジ部にストッパー用リ
ブとウエストシールとで挟着するようにして簡単確実に
係合して、ドアトリムの外力に対する車幅方向のたわみ
が防止されるようになる。

【０００９】また、ドアトリムは、上部基材裏面に略逆
Ｌ字形状の複数のストッパー用リブを有すると共に、表
皮上端に延出する折曲部にウエストシールを固定した構
成であるので、全体を金型にセットして一体成形が可能
で、最後にウエストシール付き折曲部を折り曲げてスト
ッパー用リブの横長部先端面に結合することで完成でき
るので、組立作業の能率アップとコストの低減並びに品
質向上が図れるようになる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の車両用ドアの一実施例を図１
乃至図４により説明する。なお、図中前記図５及び図６
に示した構成と重複するものには同一符号を付して説明
の簡略化を図ると共に、ドア全体図は省略する。

【００１１】まず、図１及び図２に示す如く、自動車等
の車両用ドアの内面側に配する薄鋼板製等のドアインナ
ーパネル２の上端フランジ部２ａに長手方向に間隔を存
して複数の切り開き部２ｂが設けられている。この各切
り開き部２ｂは、ドアインナーパネル２のプレス成形と
同時に上端フランジ部２ａを部分的に舌片状に切り曲げ
ることで略Ｕ字形に開放する状態に形成されている。そ
の切り曲げた各舌片部２ｃはドアインナーパネル２の表
面側に略水平に突出する状態としておく。

【００１２】一方、ドアトリム３は、塩ビやポリオレフ
ィン等の熱可塑性合成樹脂製の表皮材の裏面に、ポリウ
レタンホ−ム又はポリオレフィン等のパッド材をラミネ
−トした表皮４と、この裏面に一体成形した剛性樹脂製
基材５とを主体とするもので、その基材５の上部裏面の
適当範囲に複数のストッパー用リブ１０が該基材５と一
体成形されている。

【００１３】この各ストッパーリブ１０は、基材５を部
分的に略逆Ｌ字形状にに肉厚にしたもので、前記ドアイ
ンナーパネル２の上端フランジ２ａの切り開き部２ｂと
略等しい幅寸法で且つ同一ピッチで並列状態に設けられ
ている。この各ストッパーリブ１０の縦長部１０ａが前
記インナーパネルの表面に当接し、この上部に配する横
長部１０ｂが前記ドアインナーパネル２の上端フランジ
部２ａの切り曲げた舌片部２ｃ上面に載って、その先端
部分を切り開き部２ｂに嵌合できるようになっている。

【００１４】また、前記ドアトリム３の表皮４の上端か
ら一体に延出し折曲部４ａが設けられている。この延出
折曲部４ａの表面にこの長手方向に亘りウエストシール
１１が固着されている。このウエストシール１１はドア
ガラスの内面に摺接して水滴等の侵入を防止するもの
で、複数段の柔軟なリップ状部を有する合成ゴム製の帯
板状をなすと共に、内部に薄板状の芯材１１ａをインサ
ートして適度な剛性を有する構造をなしている。この芯
材１１ａから複数の爪１１ｂを突出して前記表皮４の延
出折曲部４ａに止め着け固定されている。

【００１５】こうしたドアトリム３は全体が図３（ａ）
〜（ｃ）に示す如く上下金型１２，１３を用いて一体成
形されている。つまり、図３（ａ）に示す如く、上下金
型１２，１３間に表皮４をセットすると共に、その上側
の金型１２内にウエストシール１１をセットし、この状
態で型閉じして、図３（ｂ）に示す如く、下側の金型１
３の樹脂注入孔１３ａから基材用樹脂を注入しながら、
該表皮４と基材５と複数のストッパー用リブ１０を所要
の形状に一体成形すると同時に、ウエストシール１１を
表皮４の延出折曲部４ａに図４（ａ）から（ｂ）に状態
に押し付けて、爪１１ｂにより止め着け固定する。こう
して図３（ｃ）に示す如く脱型した後、表皮４の周囲を
トリミングする。

【００１６】こうして一体成形したドアトリム３をドア
インナーパネル２に取付ける場合、まず、図１（ａ）に
示す如く、ドアトリム３のウエストシール１１付き延出
折曲部４ａを折り曲げて、各ストッパー用リブ１０の横
長部１０ｂ先端面に接合し、そのウエストシール１１付
き折曲部４ａから横長部１１ｂにタッピングねじ１４を
ねじ込んで両者を結合する。

【００１７】こうした状態で、ドアトリム３の基材５裏
面の前後端寄り及び下辺寄り部に装着した複数本のクリ
ップ（図示せず）によりドアインナーパネル２表面に一
部重合する状態に止め付ける一方、ドアトリム３の上部
をドアインナーパネル２の上端フランジ部１ａに上方か
ら引っ掛けるように掛止する。つまり、図１（ｂ）に示
す如く基材５裏面の略逆Ｌ字形状の複数のストッパー用
リブ１０の縦長部１０ａをドアインナーパネル２の表面
に当接させると共に、上部横長部１０ｂ先端をドアイン
ナーパネル２の上端フランジ部２ａの切り開き部２ｂに
嵌合すると共に、この各横長部１０ｂ先端面に結合して
いるウエストシール１１付き折曲部４ａを該上端フラン
ジ部２ａの裏面に接合する。これでドアトリム３の上部
がドアインナーパネル２の上部フランジ部２ａにそれぞ
れ適度な剛性を持つストッパー用リブ１０とウエストシ
ール１１とで挟着するようにして簡単確実に係合して、
ドアトリム３の外力に対する車幅方向のたわみが防止さ
れるようになる。

【００１８】また、ドアトリム３は、上部基材５裏面に
略逆Ｌ字形状の複数のストッパー用リブ１０を設けると
共に、表皮４上端に延出する折曲部４ａにウエストシー
ル１１を固定した構造であるので、全体を金型にセット
して一体成形が可能で、組立作業の能率アップとコスト
の低減並びに品質向上が図れるようになる。

【００１９】なお、本考案は前記実施例のみに限定され
ることなく、例えば、前記ドアインナーパネル２の上端
フランジ部２ａの各切り開き部２ｂは、打ち抜きにより
前記舌片部２ｃを残さずに切り欠いて、単なる凹溝形状
に開放しても良い。

【００２０】また、前記表皮４の延出折曲部４ａに対し
ウエストシール１１を接着剤により固定しても良い。更
には、前記タッピングねじ１４を用いずに、ウエストシ
ール１１付き折曲部４ａをストッパー用リブ１０の横長
部１０ｂ先端面に接着剤を用いて結合したり、或いは該
ウエストシール１１或いは折曲部４ａから爪状又はピン
状等の突起部を一体的に裏面方に突設しておき、この突
起部を前記ストッパー用リブ１０の横長部１０ｂ先端面
に形成した孔に差し込み係合して結合するようにしても
可である

【００２１】

【考案の効果】本考案の車両用ドアは前述した如く構成
したから、ドアトリムの一体成形が可能で製作が楽とな
り、そのドアトリムをドアインナーパネルに対し簡単確
実に取り付け固定できて、外力に対する車幅方向のたわ
みを確実に規制でき、組立作業の能率アップとコストの
低減並びに品質向上が図れる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）（ｂ）は本考案の車両用ドアの一実施例
に係わるドアトリムのドアインナーパネルへの取付け過
程を順に示す上端部分のみの縦断面図。

【図２】同上実施例の一部省略した分解斜視図。

【図３】（ａ）（ｂ）（ｃ）は同上実施例のドアトリム
を一体成形する状態を順に示す断面図。

【図４】同上ドアトリムの表皮の延出折曲部にウエスト
シールを止め着け固定する状態を順に示す断面図。

【図５】従来の車両用ドア全体を示す斜視図。

【図６】図５のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【符号の説明】

２…ドアインナーパネル、２ａ…上端フランジ部、２ｂ
…切り開き部、３…ドアトリム、４…表皮、４ａ…折曲
部、５…基材、１０…ストッパー用リブ、１０ａ…縦長
部、１０ｂ…横長部、１１…ウエストシール。

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B60J 5/00 B60J 5/04

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ドアインナーパネル表面に、表皮と基材
   とを一体成形したドアトリムを取付けてなる車両用ドア
   において、前記ドアインナーパネルの上端フランジ部に
   長手方向に間隔を存して複数の切り開き部を設ける一
   方、ドアトリムの上部の基材裏面に、前記ドアインナー
   パネルの表面に当接する縦長部とこの上側に配し前記ド
   アインナーパネルの上端フランジ部の切り開き部に先端
   が嵌合する横長部とを持つ略逆Ｌ字形状の複数のストッ
   パー用リブをそれぞれ一体成形すると共に、ドアトリム
   の表皮上端から一体に折曲部を延出し、且つこの折曲部
   に長手方向に亘りウエストシールを固定し、このウエス
   トシール付き折曲部を折り曲げて前記ストッパー用リブ
   の横長部先端面に結合し、この状態で前記横長部先端が
   ドアインナーパネルの切り開き部に嵌合し且つウエスト
   シール付き折曲部が上端フランジ部の裏面に接合するよ
   うに、ドアトリムの上部をドアインナーパネルの上端フ
   ランジ部に掛止したことを特徴とする車両用ドア。