JP2574905B2 - 車両のミッション - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、車両のミッションに係り、トラクタ等に利
用される。

（従来の技術） 車両のミッションとして、走行系にシャトル変速装置
を設けて、ローディング作業に適応可能にした技術は、
例えば実公昭62−38815号公報で知られている。

また、走行系に高低切換装置を備えた技術も知られて
いる。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、従来の車両用ミッションには、シャト
ル変速装置と高低切換装置の双方を具備したものはな
く、購客の高級指向、作業性向上および機動性の向上に
今一歩であった。

そこで本発明は、油圧式のシャトル変速装置と高低切
換装置との双方を具備させることで、購客の高級指向、
作業性向上および機動性の向上を図るとともに、大トル
クが発生する油圧シャトル変速装置は所謂オイルバスに
して耐久性の向上を図ったことを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明は、車両の車体を構成するミッションケース５
内に、エンジン３に連動する走行系ギヤ変速装置30と油
圧式高低切換装置９と油圧式シャトル変速装置47とを備
えている車両のミッションであって、 前記油圧式高低切換装置９は、遊星ギヤ手段10,13,14
とこの手段10,13,14を経由する低速と経由しない高速と
に切換える油圧クラッチ20,22とを同軸的に前後に備え
ていて前記走行系ギヤ変速装置30の入力側でエンジン３
に近い側に設けられ、一方、前記油圧式シャトル変速装
置47は、前記走行系ギヤ変速装置30の出力軸32に同軸的
に配置したクラッチ軸48上の前後に、正転と逆転とに切
換える油圧クラッチ52,53を同軸的に備えていてエンジ
ン３に遠い側にてミッションケース５の下部にオイルバ
スされて設けられていることを特徴とするものである。

（作用） 本発明によれば、図外の変速レバー等を高速位置にす
ると、コントロールバルブを介して油圧ポンプから送ら
れてくるオイルは、クラッチボディ20のシリンダ室21に
入る。

すると、ピストン22は、スプリング24を圧縮しながら
高速側のスチールプレートとクラッチディスク（クラッ
チ要素27）をプレッシャプレート26に押付ける。

すると、キャリヤ14は油圧クラッチを介してサンギヤ
13に固定されるので、リングギヤ10、プラネタリギヤ1
5、キャリヤ14、サンギヤ13は一体となって回転する。

従って、推進軸７（油圧式高低切換装置９の入力軸）
の回転は変わることなく走行系変速装置９の入力軸12
（油圧式高低切換装置９の出力軸）に伝達される。

一方、変速レバー等を低速位置にすると、シリンダ室
21にはオイルは送られてこなくなる。

すると、スプリング24の張力によって、ピストン22が
低速側のクラッチ要素29をプレッシャプレート28に押付
ける。

これにより、サンギヤ13は、油圧クラッチを介してサ
ポート18（ミッションケース）に固定され回転できな
い。

従って、推進軸７の回転は、 の比で減速されて入力軸12に伝わる。

以上によって、走行系変速装置30の入力側において、
油圧式高低切換装置９による高低切換がなされて、走行
系変速装置30に伝わる。

走行系変速装置30の出力側において、油圧シャトル変
速装置47のシリンダ室49に、オイルを送るとピストン52
がスプリング54に抗してクラッチ要素56をプレッシャプ
レートに押付け、走行系変速装置30の出力軸32とシャト
ル伝動軸（クラッチ軸）48とを直結して正転で図外のデ
フ装置等に伝わる。

一方、油圧シャトル変速装置47のシリンダ室50にオイ
ルを送るとピストン53がスプリング55に抗してクラッチ
要素57をプレッシャプレートに押付け、走行系変速装置
30の出力軸32とシャトル伝動軸48はギヤ58,59,61,62,63
を介して逆転で図外のデフ装置等に伝わる。

この油圧式シャトル変速装置47は、大トルクが作用す
るも、ミッションケース５内の潤滑油にオイルバスされ
て冷却（潤滑）される。

（実施例） 以下、図面を参照して本発明の実施例を詳述する。

第２図は本発明を適用する車両として、２軸４車輪形
のトラクタを示し、１は前輪、２は後輪、３はエンジン
であり、エンジン３にはクラッチハウジング４とミッシ
ョンケース５とが連設されてトラクタ車体を構成してい
る。

第１図は前記車両のミッションが例示されており、６
は主クラッチで、クラッチハウジング４に内蔵され、こ
の主クラッチ６の断接で、走行系の推進軸７が断続され
る。

なお、走行系推進軸７は筒軸構造で、この軸にPTO推
進軸８が内挿されてエンジン側に直結されている。

９は走行系の油圧式高低切換装置で、前記推進軸７を
介してエンジン３に連動されており、この実施例では遊
星構造として例示されている。

高低切換装置９は、推進軸７に固定されているリング
ギヤ10と、該リングギヤ10に軸受11にて支持されて走行
系変速装置の入力軸となる出力軸12に装備されているサ
ンギヤ13を有するキャリヤ14と、該キャリヤ14に支持さ
れていてリングギヤ10およびサンギヤ13に咬合している
複数のプラネタリギヤ15と、ミッションケース５の壁16
に固定されている油路17等を有するサポート18と、この
サポート18に套嵌されて軸受19によって回転自在に支持
されているとともに、サンギヤ13に咬合されているクラ
ッチボディ20と、該ボディ20のシリンダ室21に嵌合され
ているピストン22と、該ピストン22に連動軸23を介して
連結されていて、スプリング24のためのスプリングシー
ト25と、前記ピストン22にてプレッシャプレート26に押
付けられるクラッチ要素27と、スプリングシート25とプ
レッシャプレート28との間に備えられているクラッチ要
素29等からなり、遊星ギヤ手段10,13,14とこの手段10,1
3,14を経由する低速と経由しない高速とに切換える油圧
クラッチ20,22とを同軸的に前後に備えていて前記走行
系ギヤ変速装置30の入力側でエンジン３に近い側に設け
られている。

なお、クラッチ要素27は、クラッチディスクとスチー
ルプレートからなり、スチールプレートはキャリヤ14に
取付けてあり、また、クラッチ要素27は、クラッチディ
スクとスチールプレートからなり、スチールプレートは
サポート18に取付けてある。

30は走行系ギヤ変速装置であり、この実施例では変速
軸31と変速副軸32とを平行に架設して両軸31,32に備え
ている変速ギヤ群33〜42を、シフタ43,44,45で入切する
ことで変速される常時咬合式シンクロメッシュ変速とさ
れていて、変速ギヤ33は入力軸12の後端に取付けられて
いて、ここに、走行系変速装置30の入力側に、高低切換
装置９が備えられている。

なお、ギヤ群33,34,38,39はシフタ43でHLに切換可能
な副変速機構46を構成している。

47は油圧式シャトル変速装置であり、走行系変速装置
30の出力側で、かつミッションケース５の下部側にオイ
ルバスされてそのクラッチボディ等が備えられている。

油圧式シャトル変速装置47は、変速副軸32の後方軸心
上にクラッチ軸48を備え、このクラッチ軸48上に、前後
にシリンダ室49,50を有するクラッチボディ51が取付け
られていて、シリンダ室49,50に嵌合しているピストン5
2,53をスプリング54,55に抗して摺動させることでクラ
ッチ要素56,57を押付けて、クラッチ要素56が押付けら
れると正転で、クラッチ要素57が押付けられると逆転と
なって、クラッチ軸48を介してこの後方のデフ装置等に
連動される。

更に、シャトル変速装置47は、変速副軸32の後部に取
付けているギヤ58と、これに咬合するギヤ59を有する連
動軸60と、この軸60の後部に備えられているギヤ61はア
イドルギヤ62を介してギヤ63に連動されていて、ここ
に、前記油圧式シャトル変速装置47は、前記走行系ギヤ
変速装置30の出力軸32に同軸的に配置したクラッチ軸48
上の前後に、正転と逆転とに切換える油圧クラッチ52,5
3を同軸的に備えていてエンジン３に遠い側にてミッシ
ョンケース５の下部にオイルバスされて設けられている
のである。

なお、油圧式シャトル変速装置47は、ミッションケー
ス５の後部とデフ装置等を内蔵している後部ミッション
ケースの前部との間に、中間ケース64をボディ65で止着
し、この中間ケース64内に組込まれている。

（発明の効果） 以上詳述した通り本発明によれば、走行系ギヤ変速装
置の入力側でエンジンに近い側に油圧式高低切換装置を
設け、一方、出力側でエンジンに遠い側に油圧式シャト
ル変速装置を設けているので、高低切換装置及びシャト
ル変速装置はいずれも各々のバルブによって作動させレ
バーまたはボタン等で各々独立して操作することができ
て操作性、機動性を大幅に向上しつつ作業性能を向上で
きる。

更に、前記油圧式高低切換装置は、遊星ギヤ手段とこ
の手段を経由する低速と経由しない高速とに切換える油
圧クラッチとを同軸的に前後に備えているのでミッショ
ンケース内にコンパクトに収容でき、車体を構成するミ
ッションケースをいたずらに大きくすることもない。

また、前記油圧式シャトル変速装置は、前記走行系ギ
ヤ変速装置の出力軸に同軸的に配置したクラッチ軸上の
前後に、正転と逆転とに切換える油圧クラッチを同軸的
に備えているので、ミッションケース内にコンパクトに
収容でき、車体を構成するミッションケースをいたずら
に大きくすることもない。

また、油圧シャトル変速装置は、走行系変速装置の後
部でミッションケースの下部側に備えられているので大
トルクが発生しても、オイルバスにできて耐久性を向上
できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図はミッションケー
スの立面断面図、第２図は本発明ミッションを適用した
トラクタの外観側面図である。 ３……エンジン、５……ミッションケース、９……油圧
式高低切換装置、30……走行系変速装置、47……油圧式
シャトル変速装置。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両の車体を構成するミッションケース
   （５）内に、エンジン（３）に連動する走行系ギヤ変速
   装置（30）と油圧式高低切換装置（９）と油圧式シャト
   ル変速装置（47）とを備えている車両のミッションであ
   って、 前記油圧式高低切換装置（９）は、遊星ギヤ手段（10）
   （13）（14）とこの手段（10）（13）（14）を経由する
   低速と経由しない高速とに切換える油圧クラッチ（20）
   （22）とを同軸的に備えていて前記走行系ギヤ変速装置
   （30）の入力側でエンジン（３）に近い側に設けられ、
   一方、前記油圧式シャトル変速装置（47）は、前記走行
   系ギヤ変速装置（30）の出力軸（32）に同軸的に配置し
   たクラッチ軸（48）上の前後に、正転と逆転とに切換え
   る油圧クラッチ（52）（53）を同軸的に備えていてエン
   ジン（３）に遠い側にてミッションケース（５）の下部
   にオイルバスされて設けられていることを特徴とする車
   両のミッション。