JP2572889B2 - ディーゼルエンジン用ピストンの製造方法 - Google Patents

ディーゼルエンジン用ピストンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、急冷凝固アルミニウム合金粉末を利用し
て機関の高効率化を達成するためのディーゼルエンジン
用ピストンの製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
ガソリン、ディーゼル等の内燃機関用ピストンには、
軽量、比較的優れた高温強度、比較的小さい熱膨張係数
などを利して、アルミニウム合金鋳物が広く用いられて
いる。しかしながら、高い出力、熱効率、また大気汚染
の防止の為の不完全燃焼物の低減を極限的に追求した設
計において、従来のアルミニウム合金鋳物、代表的には
JIS AC8A:Al−−12%Si−1%Cu−1%Mg−1%Ni合金
では、しばしばその負荷に耐え難いことがわかってき
た。
特に、ディーゼルエンジンでは、第3図に示すように
ピストン2の頂部に凹部を設け燃焼室1とし、この燃焼
室の形状を工夫することにより、出力、効率、完全燃焼
等の面で種々の効果を得ることができる。燃焼室の形状
がもたらす効果のひとつとして、燃焼室の上縁部断面で
燃焼室壁面と頂面のなす角度をできる限り鋭角とし、そ
の先端もまた鋭くすることが良好な作用をもたらす。し
かしながら、燃焼室上縁部を鋭角にするほど、機関の作
動に伴う繰り返し熱応力が鋭角部の先端に集中する問題
がある。この為、従来のアルミニウム合金鋳物では比較
的早期に上縁部に熱疲労亀裂が発生し、ピストン外周部
にむかって放射状に成長して燃焼室が損傷し、所望の燃
焼状態が得られなくなる。
最近、種々のアルミニウム系新素材が開発され、これ
らの素材を用いてピストンまたはその一部を構成するこ
とにより、従来のアルミニウム合金鋳物ピストンを上回
る諸特性を得ようとする試みが行われている。ディーゼ
ルエンジンの燃焼室周りの熱疲労亀裂対策としては、燃
焼室上縁部を繊維強化した部分複合化ピストンが試験さ
れている。冷えばSiCあるいはチタン酸カリウム等のウ
イスカを強化繊維とし、ウイスカのプリフォームを高圧
鋳造金型内に配置し、アルミニウム合金溶湯を注いで高
圧をかけることによりプリフォームにアルミニウム合金
を含浸、複合化し、同時に所望のピストン形状を得るこ
とができる。このようにして得られた部分複合化ピスト
ンは従来のアルミニウム合金鋳物に比較し、優れた耐熱
疲労亀裂性を有する。しかしながら工業的には、ウイス
カ、プリフォームが高価であることに加え、プリフォー
ムの品質管理、取扱い時の損傷防止、高圧鋳造による含
浸、複合化過程の管理、得られた複合化部の非破壊検査
法等に多くの問題が有り、必ずしも満足できる結果は得
られていない。
急冷凝固アルミニウム合金粉末を固化成形して得られ
る粉末冶金合金も従来のアルミニウム合金と比較して多
くの優れた特性を有する。アルミニウムにSiを添加する
と熱間強度が向上し、熱膨張係数が低下することから、
ピストン用にはAl−高Si合金が広く用いられている。し
かし、従来の鋳物用合金ではAl−Si合金の共晶組成:12
%Siを超えてSiを添加すると粗大な初晶Siが晶出し、著
しく脆性的になり実用に限りがあった。一方、急冷凝固
粉末冶金合金では、初晶Siが微細化されるので、脆化を
抑制しつつ高強度で熱膨張係数の小さい合金を得ること
が可能となった。これらの特徴を生かして急冷凝固粉末
冶金法による高Siのアルミニウム合金を用い、ピストン
の諸部分の肉厚を減少させ、また広い温度範囲でピスト
ンとシリンダ間の間隙を減少させるなどにより、高効
率、高出力の内燃機関が試作された。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、急冷凝固粉末からピストンを製造する
には熱間鍛造による成形が必要であり、このため、従来
の鋳造品に比べて複雑形状が得難いこと、工程数が増
え、費用が増大することなどの問題がある。また、Si量
を増大させた急冷凝固粉末冶金法では、比較的低温での
靭性が不十分であり、ピストンのピンボス部やスカート
部等繰り返し応力や、衝撃力がかかる部分での脆性破壊
が生じやすい難点もある。
従って、この発明の目的は、特に燃焼室周りの熱疲労
亀裂を抑制して、高負荷でも効率良く作動するディーゼ
ルエンジン用ピストンの製造方法を提供することにあ
り、且つまた、その目的でAl−Si系急冷凝固粉末冶金合
金を効果的に利用し、品質、生産性、費用も含めた工業
上の利用性を確保することにある。
〔課題を解決するための手段〕
発明者らは、上述の課題と目的に沿って鋭意研究を重
ね、その結果以下の発明に到着した。
この発明の要旨は下記の通りである。
(1) 溶湯から冷却速度100℃/sec以上で急冷凝固さ
れたAl−Si系合金粉末を成形固化し、さらに熱間押出ま
たは/および熱間鍛造を付加してリング状またはカップ
状の熱間成形体を調整し、このようにして得られたAl−
Si系合金粉末固化成形体をピストン頂部に設けられた凹
状燃焼室の少なくとも上縁部を構成するように、Al−Si
系合金鋳物からなる母体と金属的に接合することを特徴
とする、ディーゼルエンジン用ピストンの製造方法。
また、用いられるべき急冷凝固Al−Si系合金粉末の好
ましい組成範囲は、 Si: 10〜 35wt.%、 Cu:0.5〜5.0wt.%、 Mg:0.2〜3.0wt.%、 残り:アルミニウムおよび不可避的不純物である。
さらに、急冷凝固Al−Si系合金粉末が、 Ti:0.03〜0.40wt.%、 V :0.03〜0.40wt.%、 Zr:0.03〜0.40wt.%、 Cr:0.03〜1.0 wt.%、 Ni:0.3 〜2.5 wt.%、 の内、いずれか1種または2種以上、但し、(Ti+V+
Zr)の総計は0.40wt.%以下を、更に、付加的に含んで
いる。
さらに、急冷凝固Al−Si系合金粉末固化成形体とAl−
Si系合金系鋳物間の金属的な接合を鋳ぐるみ、拡散接合
および摩擦圧接の内いずれか1つにより行うことによ
り、品質特性および工業的利用において一層好ましい条
件が確保される。
次に、この発明を図面を参照しながら説明する。
急冷凝固粉末冶金法によるAl−Si系合金材料中のSi初
晶の大きさは、第1に粉末製造時の冷却速度に依存す
る。冷却速度が100℃/sec以上の場合、初晶寸法はおよ
そ10μm以下となる。比較として、通常の過共晶Al−Si
系合金鋳物中の初晶寸法はしばしば100μmを超える。
初晶Si粒子の寸法が10μm以下になると、材料を脆化か
ける作用はかなり抑制され、むしろ若干の粒子強化作用
が働き、特に熱間強度が上昇する。発明者らはまた、初
晶Siが微細化された合金粉末を予備成形にて固化し、さ
らに熱間押出または/および熱間鍛造して十分な塑性流
動により緻密化を達成した成形体において、耐熱疲労亀
裂性が著しく向上し、例えばSiCウイスカ強化アルミニ
ウム合金をも上回るとの結果を得た。
加えて燃焼室の上縁部に配置される急冷凝固Al−Si系
合金は耐熱疲労亀裂性と共に、ピストンの高温での高速
運動に耐え得るのに十分な強度と靭性を有する必要があ
る。アルミニウム合金粉末の表面には安定な酸化アルミ
ニウム皮膜が形成されているため十分な熱間加工を受け
ていない焼結体では強度、靭性が不十分である。従っ
て、粉末を予備成形にて固化し、引き続き熱間押出また
は熱間鍛造を行い、あるいは熱間押出後さらに熱間鍛造
することにより緻密化、強靭化した熱間成形体を用いる
ことが本発明に不可欠である。
急冷凝固Al−Si系合金粉末の固化、熱間成形体は燃焼
室上縁部を形成するようリング形状あるいは上縁部から
底部までを形成するようカップ形状に成形され、母材と
してピストンの残部分を構成するAl−Si系合金鋳物と組
み合わされる。組合せの形状は急冷凝固Al−Si系合金の
特性の生かし方、および後述の接合方法にも関連して決
定される。第1図(a)、(b)、(c)はこの発明の
実施態様の組合せ形状の例をピストンの縦断面で示す図
である。第1図において1は燃焼室、2はピストン、3
は急冷凝固Al−Si系粉末の熱間成形体、4はAl−Si系合
金鋳物である。
第1図(a)では急冷凝固Al−Si系合金をリング状と
し燃焼室上縁部に配置し、同部分の熱疲労亀裂を防止す
る。第1図(b)では急冷凝固Al−Si系合金をカップ状
として燃焼室底部も強化し、また接合部が燃焼室壁に出
ないようにしている。第1図(c)では急冷凝固Al−Si
系合金で燃焼室を含むピストン頭部全体を構成してい
る。この場合には、急冷凝固Al−Si系合金の低い熱膨張
係数によりピストンとシリンダ間の間隙を小さく、且つ
温度による変化も少なくできるため機関の高効率化も可
能である。
鋳物用のAl−Si系合金としては、通常のJIS AC8Aまた
は類似の鋳物用合金を一般的に使用する。金型による重
力鋳造の他、種々の鋳造法により所望の複数形状が得ら
れ、品質特性、生産性を十分満足する。
急冷凝固Al−Si系合金とAl−Si系合金鋳物とは金属的
に接合することが重要である。両者の接合面は十分な機
械的強度を要すると同時に、機関の作動中に燃焼室から
の多量の熱を大きな抵抗無く通過させる必要があるから
である。
金属結合を達成する好ましい手段として、鋳ぐるみ、
拡散接合および摩擦圧接の内のいずれか1つの手段が挙
げられる。
鋳ぐるみは鋳造金型の所定の場所に急冷凝固Al−Si系
合金の熱間成形体を配置して、Al−Si系鋳物用合金の溶
湯を注ぐことにより行われるので、従来のピストンの製
造工程を多少変更するだけで良い。しかしながら、一般
にアルミニウム合金をアルミニウム合金で鋳ぐるむ場合
には、強固な酸化皮膜の存在により金属的な接合が行わ
れにくい。このため、鋳造法案、注湯条件を検討し、特
に鋳ぐるみ界面で溶湯流れを十分生じさせ、急冷凝固合
金の表面を溶解させるようにする工夫が必要である。あ
るいは、急冷凝固合金の表面処理や、第3の金属、合金
皮膜を付与することも鋳ぐるみ界面での金属的な接合を
確実に行うのに有効である。
拡散接合では、急冷凝固Al−Si系合金の熱間成形体
と、あらかじめ鋳造されたAl−Si系合金鋳物の清浄表面
同士を緊密に接触させ、拡散を生ずる温度で十分な時間
保持し、界面を通過して原子拡散を生じさせることによ
り金属的な接合を達成する。一般に若干の圧力を適用す
ると接合を生じやすい。やはり酸化皮膜が接合を阻害す
るので、表面処理、第3種金属または合金を介在させる
等が接合を確実にし、特に第3種金属または合金が両Al
−Si系合金よりも低い融点を有し、接合温度において溶
融状態となり、ろう材として働く場合には一層容易に金
属的な接合が行われる。
摩擦圧接では、急冷凝固Al−Si系合金の熱間成形体と
あらかじめ鋳造されたAl−Si系合金鋳物を対向させ、一
方を適当な慣性モーメントで回転させた後、回転軸に沿
う押し付け力により両材を面接触させ、接触面での摩
擦、発熱により金属結合を達成する。この方法では摩擦
により酸化皮膜が破壊され、短時間での接合が可能であ
るが、接触部分の材料をピストン外周へ排出するように
十分高い押し付け力を与える必要があり、寸法精度の確
保に留意する必要がある。
次に、本発明のピストンの一部を構成する急冷凝固Al
−Si系合金に用いることにより本発明の効果を一層高め
ることができる組成範囲について述べる。
(1) Si(シリコン): Siは既にのべたように高温強度を高め、熱膨張係数を
低下させる作用がある。しかしながら、Si含有量が10w
t.%未満では上述した作用に所望の効果が得られない。
一方、Si含有量が35wt.%を超えると、靭性の低下が著
しい。従って、Si含有量は10〜35wt.%の範囲とした。
(2) Cu、Mg: Cuは固溶硬化、時効祈出硬化により合金の強度を向上
させる作用を有する。Mgは固溶硬化により合金の強度を
向上させる作用を有する。CuとMgを同時に添加すると時
効折出硬化が顕著になる。しかしながら、Cu含有量が0.
5wt.%未満、Mg含有量が0.2wt.%未満では強度向上作用
が不十分である。一方、Cu含有量が5.0wt%を超えると
靭性の低下が著しい。また、Mg含有量が3.0wt.%を超え
ると靱性の低下が著しい。従って、Cu含有量は0.5〜5.0
wt.%、Mg含有量は0.2〜3.0wt.%の範囲とした。
(3) Ti、V、CrおよびNi: これら(Ti、V、Zr、CrおよびNi)の元素はAl−Si系
合金にほとんど固溶しない。しかし急冷凝固法により過
飽和固溶体を得、粉末の熱間成形およびその後の熱処理
において微細な金属間化合物として析出させることによ
り急冷凝固Al−Si系合金の強度、靭性を向上させること
ができる。一方、添加量が多過ぎると、急冷凝固によっ
ても初晶として晶出し靭性を低下させる。さらにTi、
V、ZrおよびCrの添加は合金の融点を高める作用がある
ので、溶湯を急冷凝固して粉末を製造する際の設備に対
する負荷が高くなり、且つ粉末の表面酸化が激しくな
り、成形体の靭性を低下させる。従って、Ti、V、Zrの
含有量は、1種のみを添加する場合は0.03〜0.40wt.
%、2種以上を同時に添加する場合はその総計を0.03〜
0.40wt.%の範囲とした。Crはこれら(Ti、V、Zr)の
元素に比べて強制固溶されやすく、また融点の上昇程度
も小さいので、その好ましい範囲を0.03〜1.0wt.%とし
た。Niは強制固溶されにくく、ほとんどが初晶として晶
出するが、その寸法が小さい場合、高温強度を向上させ
る作用を有し、また合金の融点を高める作用もない。従
って、熱間強度を向上させ、靭性を低下させない組成範
囲としてNi含有量は0.3〜2.5wt.%とした。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例によって更に詳しく説明する。
第1表に示すNo.1〜4のピストンは本発明の製造方法
によって得られたものであり、第1表に記載した成分組
成の急冷凝固Al−Si系合金粉末の熱間押出をJIS AC8A鋳
造用合金で第1図(a)の形状に鋳ぐるむことにより製
造した。No.5〜8は比較例である。
No.5はピストン全体を急冷凝固Al−Si系合金の熱間押
出材から切削加工して得たもので、その成分組成はNo.3
で用いた急冷凝固Al−Si系合金の成分組成と同一であ
る。No.6のピストンは高圧鋳造法により形成されたピス
トンで母材はAC8A合金からなるが、金型内の燃焼室周り
にSiCウイスカのリング状プリフォームを配置して高圧
鋳造時に、AC8A合金の溶湯を同プリフォームに含浸さ
せ、同部分を複合材としたピストンである。複合化部分
の形状、配置は第1図(a)の急冷凝固Al−Si系合金の
形状、配置とほぼ同等である。No.7のピストンはNo.1〜
4のピストンと同じ方法で製造されたが、用いた急冷凝
固合金の成分組成をAl−11wt.%Mnとして、本発明の急
冷凝固Al−Si系合金を用いた場合と比較したものであ
る。No.8はAC8A合金の金型鋳造によるピストンであり、
現在一般に用いられているものである。No.1〜4の本発
明の製造方法によるピストンと、No.5〜8の比較例のピ
ストンの燃焼室をすべて同一形状となるように切削加工
した。燃焼室の縦断面形状は、第2図に示すようにピス
トン2の頂面5と燃焼室1の内壁面6とのなす角度θを
70度とし、また、先端部Aを0.5Rとした。また、鋳ぐる
み等により形成されたリング形状部の外径は65φ、内径
(頂面における)は50φとし、頂面5と下面間の距離B
は8mmとした。
燃焼室上縁部の熱疲労亀裂の促進試験として、同先端
部近傍に埋設した熱電対と燃焼室局部の急速加熱、冷却
装置により、最高温度330℃、最低温度120℃、1周期約
10秒の急熱・急冷温度サイクルを繰り返し与え、同先端
部に目視できる亀裂が発生するまでのサイクル数を測定
した。各ピストンの亀裂発生サイクル数を、No.8のピス
トンの亀裂発生サイクル数との比で第1表に示した。ま
た各ピストンの燃焼室上縁部を構成する材料について、
別に熱膨張係数を測定し、20℃から300℃の間の平均熱
膨張係数として同じく第1表に記載した。
以上の実施例において本発明の製造方法によるNo.1〜
4のピストンはいずれも従来のアルミニウム合金鋳物の
ピストン(No.8)に比して耐熱疲労亀裂性が2倍以上向
上しており、鋳ぐるみ接合面も試験期間中の熱衝撃、応
力に対し健全に保たれた。全体が急冷凝固Al−Si系粉末
の熱間成形体であるNo.5のピストン、および燃焼室周り
をSiCウイスカで複合強化したNo.6のピストンも共に耐
熱疲労亀裂性が向上している。しかしながら既に説明し
たように、これらのピストンはそれぞれの製造方法にお
いて、複雑形状を得難い、費用がかさむ、さらに、品質
管理が困難になる等工業的利用に問題が残されている。
No.7のピストンの耐熱疲労亀裂性は現行の鋳物材より低
下している。急冷凝固アルミニウム合金で且つ熱膨張係
数も低いものを用いても必ずしも耐熱疲労亀裂性が向上
せず、本発明においては急冷凝固Al−Si系合金を用いる
べきことがわかる。
〔発明の効果〕
以上、詳述したようにディーゼルエンジン用ピストン
において益々高性能、および高効率化が要求されるに従
い、現行のAl−Si系合金鋳物により製造されるピストン
では特に燃焼室周りの熱疲労亀裂が問題となっている。
本発明によれば、耐熱疲労亀裂性に優れた急冷凝固Al−
Si系合金粉末の熱間成形体を燃焼室部分に適用し、且つ
費用や製造工程、品質管理、検査等の諸点に関し工業上
の有利性を保ちつつ問題を解決するものであり、その工
業上の効果は大である。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)、(b)、(c)はこの発明のピストンの
各実施態様を示す縦断面図、第2図はピストンの燃焼室
の形状を示す縦断面図、第3図はディーゼルエンジンの
ピストン頂部を示す斜視断面図である。 図面において、 1……燃焼室 2……ピストン 3……急冷凝固Al−Si系合金粉末の熱間成形体 4……Al−Si系合金鋳物 5……頂面 6……内壁面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02F 3/00 302 F02F 3/00 302Z F16J 1/01 F16J 1/01 (72)発明者 桜田 徹 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶湯から冷却速度100℃/sec以上で急冷凝
    固されたAl−Si系合金粉末を成形固化し、さらに熱間押
    出または/および熱間鍛造を付加してリング状またはカ
    ップ状の熱間成形体を調整し、このようにして得られた
    Al−Si系合金粉末固化成形体をピストン頂部に設けられ
    た凹状燃焼室の少なくとも上縁部を構成するように、Al
    −Si系合金鋳物からなる母体と金属的に接合することを
    特徴とする、ディーゼルエンジン用ピストンの製造方
    法。
  2. 【請求項2】急冷凝固Al−Si系合金粉末が、 Si: 10〜 35wt.%、 Cu:0.5〜5.0wt.%、 Mg:0.2〜3.0wt.%、 を含み、 残り:アルミニウムおよび不可避的不純物からなる組成
    を有する請求項1記載のディーゼルエンジン用ピストン
    の製造方法。
  3. 【請求項3】急冷凝固Al−Si系合金粉末が、 Ti:0.03〜0.40wt.%、 V :0.03〜0.40wt.%、 Zr:0.03〜0.40wt.%、 Cr:0.03〜1.0 wt.%、 Ni:0.3 〜2.5 wt.%、 の内、いずれか1種または2種以上、但し、(Ti+V+
    Zr)の総計は0.40wt.%以下を、更に、付加的に含んで
    いる請求項2記載のディーゼルエンジン用ピストンの製
    造方法。
  4. 【請求項4】急冷凝固Al−Si系合金粉末固化成形体とAl
    −Si系合金鋳物間の金属的な接合を、鋳ぐるみ、拡散接
    合および摩擦圧接の内いずれか1つによって行う請求項
    1、2または3記載のディーゼルエンジン用ピストンの
    製造方法。
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