JP3656970B2 - 内燃機関用ピストンおよびその製造方法 - Google Patents

内燃機関用ピストンおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用ピストンおよびその製造方法に関し、特に、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の2サイクルエンジンおよび4サイクルエンジンのピストンとして採用するに適したピストンおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般の内燃機関用ピストンとして次のことが要求される。
【0003】
第1に、軽量であること、換言すれば(i)薄肉形状であること(薄肉でも高温の疲労強度が高い材料を使うこと、薄肉でも成型性が良い材料を使うこと)および(ii)比重が小さいこと(軽い材料を使うこと)である。
【0004】
第2に、ヘッド部のピストンリングより上側のトップランドが薄いことである。これは、圧縮比が高まり性能が向上するため、およびクレビス減少により未燃ガスが減少し、排ガス対策として有効であるためである。この場合、(i)トップランドが薄くてもピストンリングの下側においてピストンがピストンリングに熱融着しないこと(ピストン上面が350℃程度になっても硬さを保つことができる材料を使うこと)、および(ii)トップランドの角部がだれたり、変形したりしないこと(ピストン上面が350℃程度になっても耐えることができる材料を使うこと)が必要である。
【0005】
第3に、永久変形が少ないこと(剛性が高いこと)である。換言すれば(i)ヘッド部を曲がりにくくすること(ヘッド部を厚肉にすること、ピストン上面が350℃程度になってもヤング率が高い材料を使うこと)が要求される。
【0006】
以上のように、内燃機関用ピストンとしては、高温での疲労強度、耐力、硬さが高く、かつ薄肉形状が可能で良好な成形性を備えている材料を使用することが要求される。
【0007】
しかしながら、これらの要求を満たす1つの材料を見出すことは難しい。そこで、これら要求を満たすため、内燃機関用ピストンとして、ヘッド部に耐熱強度の高い材料を用い、スカート部にヘッド部と異なる性質の材料を用いることが考えられる。この考えに基づく従来の内燃機関用ピストンとして、次の3つのものが提案されている。
【0008】
その第1番目は、ヘッド部とスカート部を物理的性質の異なるクラッド材(アルミ合金とアルミ合金にウイスカー,短繊維等を混合した複合層(FRM)とからなる)で構成し、両者を鍛造で一体成型した内燃機関用ピストンである(特開昭63ー132743号公報参照)。
【0009】
その第2番目は、セラミックス粉末の配合率の異なる共通の組成のマトリックスの急冷粉末アルミ合金(パウダーメタル)を粉末成形して2層体を作り、この2層体を加圧加熱してプリフォームを作り、これを熱間鍛造して、セラミックス粉末の配合率の高い方の層をヘッド部とし、低い方の層をスカート部とした内燃機関用ピストンである(特開平1ー180927号公報参照)。
【0010】
その第3番目は、ヘッド部をパウダーメタルまたはFRMの鍛造品で構成し、スカート部をアルミ合金鋳物で構成し、両者を溶接により接合した内燃機関用ピストンである(特開平2ー107749号公報参照)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記第1従来例のピストンによれば、ヘッド部とスカート部の接合界面の特に中央部の接合強度が十分に得られない。その理由は、鍛造時、ヘッド部とスカート部との間の接合界面に充分な相対すべりが発生せず、その接合界面の酸化膜を破壊、除去できないため、十分な接合強度は得られないからである。即ち、この第1従来例のピストンによれば、鍛造時、接合界面特にその中央部に、接合作用に必要な相対すべりが生じ難いからである。もし、接合強度を高めようとすれば、そのための工数を増やさなければならない。また、FRMは、強化材であるウイスカー,短繊維とマトリックスの界面で応力集中が生じ、熱間での十分な疲労強度が得られない。また、鍛造素材としてのクラッド材は、工程が複雑になり、コストが高い。さらに、クラッド材では、ヘッド部の一部、例えばピストンリングを装着するリング溝の部分だけあるいは上面角部の部分だけに適用することができない。
【0012】
また、前記第2従来例のピストンによれば、ヘッド部とスカート部の接合界面の特に中央部の接合強度が十分に得られない。その理由は、前記第1従来例のピストンと同様、鍛造時、接合界面の中央部に相対すべりが生じ難いからである。もし、接合強度を高めようとすれば、そのための工数を増やさなければならない。また、ヘッド部とスカート部が共通のマトリックスであるため、スカート部に要求される薄肉部の成形性と、ヘッド部に要求される耐熱性を両立させることができない。すなわち成形性を確保するため熱間変形抵抗を下げると耐熱性が低下し、ヘッド部上面の角部のだれ、変形が生じる。さらに、鍛造素材としてのプリフォームは、充填率が低く、熱間鍛造時に使用する離型剤,潤滑剤が侵入し、良好な成型体を得ることができない。
【0013】
また、前記第3従来例のピストンによれば、ヘッド部にパウダーメタルを使い、ヘッド部とスカート部を溶接により接合すると、パウダーメタルの溶接部に脆い合金層ができて接合強度が低下する。また、パウダーメタルの溶接部では、本来の特性(疲労強度,耐力,硬さ等)が失われる。さらに、摩擦溶接の場合には、接合部にバリが生じる。このバリは、応力集中の原因となるため、除去する必要があるが、ピストン内側にはピンボス部等の凹凸があるため、除去が困難である。また、ヘッド部にFRMを使うと、強化材であるウイスカー、短繊維とマトリックスの界面で応力集中が生じ、熱間での十分な疲労強度が得られない。
【0014】
本発明は、上記従来技術の欠点に鑑みなされたものであって、内燃機関用ピストンにおいて、ヘッド部は耐熱強度が高く、スカート部は成形性が良好な異種部材で構成し、これらのヘッド部とスカート部同士の接合強度が高く、且つプロセスを増加させることなく生産性が良好な内燃機関用ピストンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明においては、燃焼室に露出するヘッド部とシリンダ内を摺動するスカート部とからなる内燃機関用ピストンにおいて、前記ヘッド部の一部をアルミニウム、鉄、シリコンからなるヘッド部用合金で構成し、前記スカート部をアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなるスカート部用合金で構成し、前記ヘッド部の周縁部のみを前記ヘッド部用合金で構成し、他の部分を前記スカート部用合金で構成したことを特徴とする内燃機関用ピストンを提供する。さらに本発明においては、燃焼室に露出するヘッド部とシリンダ内を摺動するスカート部とからなる内燃機関用ピストンにおいて、前記ヘッド部の全部又は一部をアルミニウム、鉄、シリコンからなるヘッド部用合金で構成し、前記スカート部をアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなるスカート部用合金で構成し、前記ヘッド部用合金が吸排気側でピストンピンボス側より厚く、ピストンピンボス側で吸排気側より薄くしたことを特徴とする内燃機関用ピストンを提供する。
【0016】
上記構成によれば、ヘッド部の全部又は一部をアルミニウム、鉄、シリコンからなる合金で構成したので、高温においても高い疲労強度が得られ、しかも軽量で所望の形状を得ることができる。また、スカート部をアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなる合金で構成したので、成形性が良く、しかも耐摩耗性および耐焼付性が大きく摺動性が良好なピストンが得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
好ましい実施の形態においては、前記ヘッド部を構成するアルミニウム、鉄、シリコンからなる合金は、急冷粉末アルミ合金であることを特徴とする。
【0018】
また、好ましい実施の形態においては、前記ヘッド部を構成するアルミニウム、鉄、シリコンからなる合金は、鉄の配合率が5%以上で、シリコンの配合率が5%以下であり、前記スカート部を構成するアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなる合金は、シリコンの配合率が5〜25%で、銅の配合率が0.5〜5%で、マグネシウムの配合率が0.5〜1.5%であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明においては、前記アルミニウム、鉄、シリコンからなる合金で構成されたヘッド部と、アルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなる合金で構成されたスカート部とを鍛造により成型するとともに接合一体化することを特徴としている。
【0020】
【実施例】
図1は、本発明の内燃機関用ピストンが適用される2サイクルエンジンの概略を示す説明図である。この2サイクルエンジン1の構成および作用は次の通りである。すなわち、シリンダ2内をピストン3が下死点から上昇していくと、クランクケース4内が負圧になり、そこにインジェクタ5からの燃料と吸気通路6からの空気との混合気がリードバルブ7を介して吸い込まれるとともに、主掃気ポート8および副掃気ポート8’が閉じられる。次いで排気ポート9が閉じられて、シリンダ2内の混合気が圧縮される。十分に圧縮されたところで、点火プラグ10から火花が飛び、混合気が燃焼し、その圧力でピストン3がシリンダ2内を押し下げられる。ある程度下がったところで、排気ポート9が開き、燃焼済みのガスが排出され始める。次いで掃気ポート8,8’が開き、クランクケース4から新しい混合気がシリンダ2内に流れ込み、それがさらに燃焼済みのガスを追い出す。このような原理の2サイクルエンジン1は、ピストン3が1往復すると、ピストンピン11、コンロッド12、クランクアーム13を介してクランクシャフト14が1回転し、1燃焼サイクルが終了する。このクランクシャフト14の回転が例えば自動二輪車であれば、チェーンを介して後輪に伝えられる。なお、混合気の量の増減は、吸気通路6に介在させたスロットルバルブ15の開度を調節することにより行われる。
【0021】
図2は、本発明の内燃機関用ピストンが適用される4サイクルエンジンの概略を示す説明図である。この4サイクルエンジン20の構成および作用は、次の通りである。すなわち、シリンダ21内をピストン22が上死点から下降すると、シリンダ21内が負圧となる。このとき吸気バルブ23が開き、インジェクタ24からの燃料と吸気通路25からの空気との混合気がシリンダ21内に吸い込まれる。次に、下死点から上昇するときには、吸排気バルブ23,26がともに閉じており、シリンダ21内に吸い込まれた混合気がピストン22により圧縮される。
【0022】
次に、混合気が圧縮されたところで、点火プラグ27に電気火花が飛び、混合気が燃焼する。この燃焼によりシリンダ21内のガスが膨張し、その膨張圧力でピストン22が押し下げられる。ピストン22が十分に押し下げられたところで、排気バルブ26が開き、ピストン22が上昇しながら、燃焼済みのガスが排気通路28から排出される。
【0023】
このような原理の4サイクルエンジン20は、ピストン22が2往復すると、ピストンピン29、コンロッド30、クランクアーム31を介してクランクシャフト32が2回転し、1燃焼サイクルが終了する。このクランクシャフト32の回転が例えば自動二輪車であれば、チェーンを介して後輪に伝えられる。なお、混合気の量の増減は、吸気通路25に介在させたスロットルバルブ33の開度を調節することにより行われる。
【0024】
図3は、本発明に係る内燃機関用ピストン58の一例の断面図で、左半部はピストンリング溝65の下側のピストンピンボス36を正面から見た状態を示し、右半部はピストンピンボス36を側面から見た状態を示す。この例では、図示するように、ピストンピンボス36のある側の肉厚が厚くなるようにして、ピストンピンを支持する強度を高めた。左半部の図から分るように、ピストン上面を構成するヘッド部に連続するスカート部(ピストン側面)は、下方に向って肉厚が徐々に薄くなっている。
【0025】
図4は、図3の内燃機関用ピストンの製造工程を順に示した説明図である。以下本図に基づいて、本発明に係る内燃機関用ピストンの製造方法の一例について説明する。
【0026】
まず、工程(A)において、スカート部用の、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)からなる合金のインゴットを準備する。ここで、シリコンは、金属組織中に硬質の初晶または共晶シリコン粒を晶出させることにより、ピストンスカート部の摺動面に要求される耐摩耗性および耐焼付性を高めるために添加されるものである。また、銅およびマグネシウムは共に高温での合金強度を高めるために添加されるものである。この場合、シリコンの配合率を5〜25%とし、銅の配合率を0.5〜5%とし、マグネシウムの配合率を0.5〜1.5%とすることが好ましい。このような範囲外では、所望の耐摩耗性、耐焼付性および高温での必要な強度が得られないからである。なお、アルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなる合金のインゴットの代わりに、アルミニウムのインゴットまたは粉末、シリコンのインゴットまたは粉末、銅のインゴットまたは粉末、及びマグネシウムのインゴットまたは粉末をそれぞれ別に準備しこれらを混合して溶融してもよい。
【0027】
次に、工程(B)において、インゴットを溶解し、連続鋳造または押し出し成形によりスカート部用ブロックを製造する。このようにして得たAl−Si系合金のブロックは、後述のAl−Fe系合金のブロックに比べて、熱間での変形抵抗が低く(400℃における耐力でAl−Fe系パウダーメタルの約50%)、薄肉部における良好な成形性が得られる。
【0028】
次に、工程(C)において、ブロックをスカート部に必要な大きさに切断し、ピストン合金50を形成する。
【0029】
一方、工程(D)において、ヘッド部用のアルミニウム(Al)、鉄(Fe)、シリコン(Si)からなる合金のインゴットを準備する。ここで、鉄は金属組織を分散強化して、200℃以上で高い疲労強度を得るために添加されるものである。また、シリコンは前述のように耐摩耗性および耐焼付性を高めるとともに、延性を大きくし、また融点を低下させる作用がある。従ってシリコンの添加量が多いと延びが大きくなりすぎて強度の低下となり、また融点が下がることにより耐熱性の低下となるため、ヘッド部の成型性や耐摩耗性に必要な最小量のみを添加して、強度や耐熱性の低下を防止することが必要である。このような点を考慮して、このヘッド用合金中の鉄の配合率は5%以上とし、シリコンの配合率は5%以下とすることが好ましい。
【0030】
次に、工程(E)において、インゴットを溶解し、冷却速度100℃/sec以上で急冷凝固させてAl−Fe系合金粉末を製造する。次に、工程(F)において、成形固化し、さらに熱間押し出しする。このようにして得た急冷粉末アルミ合金のブロックは、応力集中の原因となる部分のない一様な金属組織が得られ高い疲労強度が得られる。これは、通常の鋳造工程による冷却では、合金中に鉄の粗大な組成物が形成されて強度の低下を来すが、急冷凝固によりAl−Fe系合金粉末を成型固化し、さらに熱間押出しにより合金を形成することにより、鉄の粗大な組成物の形成を阻止し、応力集中の原因となる鉄成分の粗大組成部のない均一な金属組織が得られるため、鉄成分を多く添加することが可能になり、高い疲労強度の合金を得ることができるからである。なお、アルミニウム、鉄、シリコンからなる合金のインゴットの代わりに、アルミニウムのインゴットまたは粉末、鉄のインゴットまたは粉末、及びシリコンのインゴットまたは粉末をそれぞれ別に準備してこれらを混合して溶融してもよい。
【0031】
次に、工程(G)において、ブロックをヘッド部の大きさに切断し、パウダーメタル合金(PM合金)51を形成する。
【0032】
以上の工程を経て得られたスカート部用合金(ピストン合金)50とヘッド部用合金(PM合金)51は、工程(H)において、重ねられ、離型剤が外周に塗布される。次に、工程(K)において、成型性をよくするために加熱される。次に、工程(L)において、加熱された2層の合金を上下一対の型で挟み、強圧する鍛造によりピストンの形状に一体成型する。このとき後述のように、両合金同士が接合される。
【0033】
次に、工程(M)において、強度を高めるため、熱処理する。最後に、(N)工程において、機械加工によりピストンリング溝65を形成し、不要な部分を削り落とす等の加工処理を行って終了する。この後、必要に応じて、例えば摺動特性、耐摩耗性を良くするためスカート部の側面にメッキをする等の表面処理を行う。完成されたピストン58は、ヘッド部40が急冷粉末アルミ合金(PM合金)からなり、スカート部41がアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなる合金(ピストン合金)からなる異種材料の鍛造接合体により構成される。
【0034】
図5は、図4の工程(K)〜(N)の詳細を説明する図である。図5(A)は、図4の工程(K)に対応し、急冷粉末アルミ合金で構成されるヘッド部用PM合金51を下に、アルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなる合金で構成されるスカート部用ピストン合金50を上にして重ね、加熱された2層の合金を、予熱した下型55の凹部56内に収容し、予熱した上型であるパンチ57により加圧してピストン形状に鍛造する。図中100aは、鍛造前における2層の合金の境界面であり、本実施例では平面とされる。パンチ57はピストン58各部のそれぞれに必要な肉厚を与えるように形状が決められる。一方、前記下型55の凹部56の底面中央部に、パンチ57の突出部57aに対向して凹み59が形成される。このような下型55およびパンチ57を用いた熱間鍛造によれば、成型と接合が同時に行われ、接合界面が溶融することがないため、Al−Fe系合金およびAl−Si系合金の特性を損うことなく、かつ寸法精度良くピストンを成型できる。
【0035】
図5(B)は、図4の工程(L)に対応し、鍛造されたピストン58は、前記下型55の中央に形成された凹み59によりヘッド部40の中央に押し出し突起42を有する。この押し出し突起42の形成に際して、2層の合金の境界面が大きな面積の100bに変形する。この境界面の面積が増大する変形は、ヘッド部側とスカート部側の2つの合金の間に相対すべりを発生させ、接合界面の酸化膜を破壊、除去して十分な接合強度を得るのに有効である。換言すれば、接合界面の中央部は、平坦状態のままでは、相対すべりが生じ難く、十分な接合強度が得られないので、ヘッド中央部に鍛造による押し出し突起42を設けて、鍛造時材料を上下方向に動かすことで相対すべりを生じさせ、十分な接合強度が得られるようにしたものである。このとき、ヘッド部40の突起42およびこの突起に対応する位置のヘッド部とスカート部の接合界面近傍には、鍛造時の材料組織の移動に沿ってファイバーフローが形成される。このファイバーフローは、鍛造時に、ヘッド部側をスカート部側の2つの合金の間に起こる相対すべりに起因して形成されるものであり、この相対すべりにより接合界面の酸化膜を破壊、除去して十分な接合強度が得られる。この場合、突起42内においては、この突起42を削り落とし製品形状にした場合に、ヘッド部40の上面に対して直角方向のファイバーフローが形成され、突起42の周囲には、放射状のファイバーフローが形成される。
【0036】
図5(C)は、図4の工程(N)に対応し、ピストンを形成するための各種機械加工が施される。即ち、前記押し出し突起42は、熱間鍛造後は不要となるので削り落とされ、また、ピストンリング溝65を形成する等の加工処理がされる。このとき、図5(B)で形成されたファイバーフローは残存する。なお、押し出し突起42を設ける位置は、ヘッド部40の中央に限るものではなく、また、押し出し突起42の形状は、略円錐台形状に限るものではない。さらに、押し出し突起42の数は、2個あるいは3個以上であっても良い。
【0037】
なお、上記実施例においては、完成されたピストン58は、ピストンリング溝を含むヘッド部全体が急冷粉末アルミ合金からなり、スカート部全体がアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなる合金からなるが、これに限らず、ヘッド部の一部のみを急冷粉末アルミ合金で構成しても良い。
【0038】
図6は、ピストンのヘッド部を構成する急冷粉末アルミ合金の構成分布の別の例を示す説明図である。
(A)は、ヘッド部40のピストンリング溝65を含む周縁部のみを急冷粉末アルミ合金(PM合金)で構成した例を示す。この例によれば、特に耐熱性が要求されるヘッド部40の周縁部を耐熱性の優れたPM合金で形成し、他の部分を成形性のよいピストン合金で形成しているため、鍛造時の加工性が向上するとともに、接合面が曲面となって相対すべりが発生しやすくなり、接合強度の向上が図られる。これにより、前記実施例と同様に、ピストンリング溝65より上側のトップランドを薄くすることができ、クレビス減少により未燃ガスが減少し、排ガス対策として有効になるとともに、特に、トップランドの角部が350℃程度になっても耐えることができ、角部がだれたり、変形したりしなくなる。(C)は、(A)のピストンの展開図である。この場合には、急冷粉末アルミ合金51がピストン外周面の全周にわたって同じ厚さに形成される。
【0039】
(B)は、急冷粉末アルミ合金51の厚さを吸排気側で厚くし、ピストンピンボス側で薄くした例を示す。この例によれば、熱負荷の厳しい吸排気側の部分が選択的に耐熱性が強化される。(D)は、(B)のピストン外周面の展開図である。この場合には、急冷粉末アルミ合金51の厚さが、ピストンピンボス66の上側では、ピストンリング溝65より上側までと薄く、ピストンピンボス66間の上側では、ピストンリング溝65より下側までと厚く、全体として波形に形成される。
【0040】
上記実施例のピストン58は自動車、自動二輪車、雪上車、船外機等、高回転高出力で使用されるエンジンに使用されると効果的である。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、燃焼室に露出するヘッド部の全部又は一部をアルミニウム、鉄、シリコンからなる合金で構成し、シリンダ内を摺動するスカート部をアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなる合金で構成したので、ヘッド部は、耐熱性に優れ、しかも高温において高い疲労強度が得られ、スカート部は、成形性に優れ、しかも耐摩耗性,耐焼付性が大きく摺動性のよいピストンが得られる。これにより、耐熱性および剛性が要求されるヘッド部の合金と成形性および摺動性が要求されるスカート部の合金を各々別の部材で構成し、工程数を増やすことなく、これら異種合金同士を強固に結合して、生産性の向上が図られるとともに、トップランド部の薄肉軽量化が図られ、燃焼室内での圧縮比の増加による出力向上およびクレビス容積減少による未燃焼HCガスのエミッション対策が図られ、さらにピストン慣性力の低下による軸受け部の軽量化および耐久性の向上、および軽量化によるエンジン振動の低減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の内燃機関用ピストンが適用される2サイクルエンジンの概略を示す説明図である。
【図2】 本発明の内燃機関用ピストンが適用される4サイクルエンジンの概略を示す説明図である。
【図3】 本発明に係る内燃機関用ピストンの一例の断面図で、左半部はピストンリング溝の下側のピストンピンボスを正面から見た状態を示し、右半部はピストンピンボスを側面から見た状態を示す。
【図4】 図3の内燃機関用ピストンの製造工程を順に示した説明図である。
【図5】 図4の工程(K)〜(N)の詳細を説明する図である。
【図6】 本発明のピストンの耐熱性合金の分布状態の説明図である。
【符号の説明】
1:2サイクルエンジン、2:シリンダ、3:ピストン、4:クランクケース、5:インジェクタ、6:吸気通路、7:リードバルブ、8,8’:掃気ポート、9:排気ポート、10:点火プラグ、11:ピストンピン、12:コンロッド、13:クランクアーム、14:クランクシャフト、15:スロットルバルブ、20:4サイクルエンジン、21:シリンダ、22:ピストン、23:吸気バルブ、24:インジェクタ、25:吸気通路、26:排気バルブ、27:点火プラグ、28:排気通路、29:ピストンピン、30:コンロッド、31:クランクアーム、32:クランクシャフト、33:スロットルバルブ、36:ピストンピンボス、40:ヘッド部、41:スカート部、42:突起部、50:ピストン合金、51:PM合金、55:下型、56:凹部、57:パンチ、58:ピストン、59:凹み、65:ピストンリング溝、66:ピストンピンボス

Claims (7)

  1. 燃焼室に露出するヘッド部とシリンダ内を摺動するスカート部とからなる内燃機関用ピストンにおいて、前記ヘッド部の一部をアルミニウム、鉄、シリコンからなるヘッド部用合金で構成し、前記スカート部をアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなるスカート部用合金で構成し、前記ヘッド部の周縁部のみを前記ヘッド部用合金で構成し、他の部分を前記スカート部用合金で構成したことを特徴とする内燃機関用ピストン。
  2. 燃焼室に露出するヘッド部とシリンダ内を摺動するスカート部とからなる内燃機関用ピストンにおいて、前記ヘッド部の全部又は一部をアルミニウム、鉄、シリコンからなるヘッド部用合金で構成し、前記スカート部をアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなるスカート部用合金で構成し、前記ヘッド部用合金が吸排気側でピストンピンボス側より厚く、ピストンピンボス側で吸排気側より薄くしたことを特徴とする内燃機関用ピストン。
  3. 燃焼室に露出するヘッド部とシリンダ内を摺動するスカート部とからなる内燃機関用ピストンにおいて、前記ヘッド部の全部又は一部をアルミニウム、鉄、シリコンからなる合金で構成し、前記スカート部をアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなる合金で構成し、
    前記ヘッド部を構成するアルミニウム、鉄、シリコンからなる合金は、鉄の配合率が5%以上で、シリコンの配合率が5%以下であり、前記スカート部を構成するアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなる合金は、シリコンの配合率が5〜25%で、銅の配合率が0.5〜5%で、マグネシウムの配合率が0.5〜1.5%であることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  4. 前記ヘッド部を構成するアルミニウム、鉄、シリコンからなる合金は、急冷粉末アルミ合金であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関用ピストン。
  5. 前記ヘッド部を構成するアルミニウム、鉄、シリコンからなる合金は、鉄の配合率が5%以上で、シリコンの配合率が5%以下であり、前記スカート部を構成するアルミニウム、シリコン、銅、マグネシウムからなる合金は、シリコンの配合率が5〜25%で、銅の配合率が0.5〜5%で、マグネシウムの配合率が0.5〜1.5%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用ピストン。
  6. 前記2種の合金同士を鍛造により成型するとともに接合一体化することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載したピストンを有する内燃機関。
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