JPH06323193A - ディーゼルエンジン用ピストン - Google Patents
ディーゼルエンジン用ピストンInfo
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- JPH06323193A JPH06323193A JP5133957A JP13395793A JPH06323193A JP H06323193 A JPH06323193 A JP H06323193A JP 5133957 A JP5133957 A JP 5133957A JP 13395793 A JP13395793 A JP 13395793A JP H06323193 A JPH06323193 A JP H06323193A
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Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02B—INTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
- F02B3/00—Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
- F02B3/06—Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F05—INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
- F05C—INDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
- F05C2201/00—Metals
- F05C2201/02—Light metals
- F05C2201/021—Aluminium
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 ディーゼルエンジン用ピストンの耐熱疲労亀
裂性および耐摩耗性を向上させる。 【構成】 Al−Si系合金鋳物4からなる母体と、燃焼室
1の上縁部を構成するピストン2の頂部のリング状また
はカップ状の熱間成形体3とからなるディーゼルエンジ
ン用ピストンにおいて、熱間成形体3が、急冷凝固法に
よって得られたAl−Si系合金粉末を成形固化することに
より調製された、0.5 〜40μm のセラミック粒子が2〜
20wt.%の範囲内で均一に分散して含有されている、Al-
Si系合金粉末固化成形体からなっている。
裂性および耐摩耗性を向上させる。 【構成】 Al−Si系合金鋳物4からなる母体と、燃焼室
1の上縁部を構成するピストン2の頂部のリング状また
はカップ状の熱間成形体3とからなるディーゼルエンジ
ン用ピストンにおいて、熱間成形体3が、急冷凝固法に
よって得られたAl−Si系合金粉末を成形固化することに
より調製された、0.5 〜40μm のセラミック粒子が2〜
20wt.%の範囲内で均一に分散して含有されている、Al-
Si系合金粉末固化成形体からなっている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐熱疲労亀裂性に優
れた、ディーゼルエンジン用ピストンに関するものであ
る。
れた、ディーゼルエンジン用ピストンに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ガソリン、ディーゼル等の内燃機関用ピ
ストンの材料として、軽量であり、そして、比較的優れ
た高温強度および比較的小さい熱膨張係数を有する、JI
S AC8Aに規定されているAl-12%Si-1%Cu-1%Mg-1%Ni で代
表されるアルミニウム合金鋳物が広く使用されている。
しかしながら、高い出力および熱効率を有し、そして、
大気汚染の防止のために不完全燃焼物の低減を極限的に
追求したピストンの場合には、上記従来のアルミニウム
合金鋳物では、しばしば、その負荷に耐え難いことがわ
かってきた。
ストンの材料として、軽量であり、そして、比較的優れ
た高温強度および比較的小さい熱膨張係数を有する、JI
S AC8Aに規定されているAl-12%Si-1%Cu-1%Mg-1%Ni で代
表されるアルミニウム合金鋳物が広く使用されている。
しかしながら、高い出力および熱効率を有し、そして、
大気汚染の防止のために不完全燃焼物の低減を極限的に
追求したピストンの場合には、上記従来のアルミニウム
合金鋳物では、しばしば、その負荷に耐え難いことがわ
かってきた。
【0003】一方、ディーゼルエンジンの場合には、第
5図に一部断面概略斜視図で示すように、ピストン2の
頂部に設けられた凹部を燃焼室1となし、この燃焼室1
の形状を工夫することにより、出力、熱効率および完全
燃焼等の面で良好な効果が得られる。特に、燃焼室1の
上縁部3の断面で燃焼室壁面と頂面とのなす角度をでき
得る限り鋭角となし、そして、その先端を鋭くすること
は、上記効果を発揮させる上において有効である。
5図に一部断面概略斜視図で示すように、ピストン2の
頂部に設けられた凹部を燃焼室1となし、この燃焼室1
の形状を工夫することにより、出力、熱効率および完全
燃焼等の面で良好な効果が得られる。特に、燃焼室1の
上縁部3の断面で燃焼室壁面と頂面とのなす角度をでき
得る限り鋭角となし、そして、その先端を鋭くすること
は、上記効果を発揮させる上において有効である。
【0004】しかしながら、燃焼室1の上縁部3を鋭角
にするほど、機関の作動に伴う繰り返し熱応力が、鋭角
部の先端に集中しやすくなる。その結果、従来のアルミ
ニウム合金鋳物では、比較的早期に上縁部3に熱疲労亀
裂が発生し、発生した熱疲労亀裂が、ピストン外周部に
向って放射状に成長する。従って、燃焼室が損傷し、所
望の燃焼状態が得られなくなる問題が生ずる。
にするほど、機関の作動に伴う繰り返し熱応力が、鋭角
部の先端に集中しやすくなる。その結果、従来のアルミ
ニウム合金鋳物では、比較的早期に上縁部3に熱疲労亀
裂が発生し、発生した熱疲労亀裂が、ピストン外周部に
向って放射状に成長する。従って、燃焼室が損傷し、所
望の燃焼状態が得られなくなる問題が生ずる。
【0005】上述した問題を解決するために、種々の研
究が行われており、最近開発された、急冷凝固アルミニ
ウム粉末を固化成形して得られる粉末冶金合金は、従来
のアルミニウム合金と比較して、多くの優れた特性を有
していることから、特開平4-183959 号公報には、これ
を利用した、下記からなるディーゼルエンジン用ピスト
ンが開示されている。
究が行われており、最近開発された、急冷凝固アルミニ
ウム粉末を固化成形して得られる粉末冶金合金は、従来
のアルミニウム合金と比較して、多くの優れた特性を有
していることから、特開平4-183959 号公報には、これ
を利用した、下記からなるディーゼルエンジン用ピスト
ンが開示されている。
【0006】Al−Si系合金鋳物からなる母体と、凹状燃
焼室の少なくとも上縁部を構成する、ピストン頂部に前
記母体と金属的に接合されたリング状またはカップ状の
熱間成形体とからなり、前記熱間成形体は、溶湯から 1
00℃/sec以上の冷却速度で急冷凝固されたAl−Si系合金
粉末を成形固化し、さらに、熱間押出しおよび/ または
熱間鍛造を付加したAl−Si系合金粉末固化成形体である
ことを特徴とするディーゼルエンジン用ピストン(以
下、先行技術という)。
焼室の少なくとも上縁部を構成する、ピストン頂部に前
記母体と金属的に接合されたリング状またはカップ状の
熱間成形体とからなり、前記熱間成形体は、溶湯から 1
00℃/sec以上の冷却速度で急冷凝固されたAl−Si系合金
粉末を成形固化し、さらに、熱間押出しおよび/ または
熱間鍛造を付加したAl−Si系合金粉末固化成形体である
ことを特徴とするディーゼルエンジン用ピストン(以
下、先行技術という)。
【0007】先行技術によれば、Al−Si系合金は、急冷
凝固作用によって、初晶Siが微細化されるために、共晶
組成のSiが12wt.%を超えても、脆化を抑制することがで
き、従って、ピストンの耐熱疲労亀裂性を向上させるこ
とができる。
凝固作用によって、初晶Siが微細化されるために、共晶
組成のSiが12wt.%を超えても、脆化を抑制することがで
き、従って、ピストンの耐熱疲労亀裂性を向上させるこ
とができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術には、次のような問題がある。即ち、先行技術は、基
本的に、材料の脆化を抑制することが主目的であるため
に、同一組成のIM材(通常のIngot Mettargy) に比べ
て、その高温強度は同等か僅かに向上するのみであり、
且つ、熱膨張係数も同等である。従って、耐熱疲労亀裂
性および耐摩耗性が劣り、製造工程数の増加によるコス
ト増に見合うだけの、ピストン性能の向上が得られず、
そして、ピストンリングによる摩耗に、ピストンリング
溝が十分に耐えることができない。
術には、次のような問題がある。即ち、先行技術は、基
本的に、材料の脆化を抑制することが主目的であるため
に、同一組成のIM材(通常のIngot Mettargy) に比べ
て、その高温強度は同等か僅かに向上するのみであり、
且つ、熱膨張係数も同等である。従って、耐熱疲労亀裂
性および耐摩耗性が劣り、製造工程数の増加によるコス
ト増に見合うだけの、ピストン性能の向上が得られず、
そして、ピストンリングによる摩耗に、ピストンリング
溝が十分に耐えることができない。
【0009】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、Al−Si系合金鋳物からなる母体と、凹状燃焼
室の少なくとも上縁部を構成するピストン頂部に前記母
体と金属的に接合してなるリング状またはカップ状の熱
間成形体とからなる、耐熱疲労亀裂性および耐摩耗性に
優れた、高性能および高効率のディーゼルエンジン用ピ
ストンを提供することにある。
を解決し、Al−Si系合金鋳物からなる母体と、凹状燃焼
室の少なくとも上縁部を構成するピストン頂部に前記母
体と金属的に接合してなるリング状またはカップ状の熱
間成形体とからなる、耐熱疲労亀裂性および耐摩耗性に
優れた、高性能および高効率のディーゼルエンジン用ピ
ストンを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
観点から、耐熱疲労亀裂性および耐摩耗性に優れた、高
性能および高効率のディーゼルエンジン用ピストンを開
発すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、Al−Si系合金
鋳物からなる母体に金属的に接合される熱間成形体を、
セラミック粒子が均一に分散しているAl−Si系合金粉末
固化成形体によって構成すれば、その耐熱疲労亀裂性お
よび耐摩耗性を向上し得ることを知見した。
観点から、耐熱疲労亀裂性および耐摩耗性に優れた、高
性能および高効率のディーゼルエンジン用ピストンを開
発すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、Al−Si系合金
鋳物からなる母体に金属的に接合される熱間成形体を、
セラミック粒子が均一に分散しているAl−Si系合金粉末
固化成形体によって構成すれば、その耐熱疲労亀裂性お
よび耐摩耗性を向上し得ることを知見した。
【0011】この発明は、上記知見に基づいてなされた
もので、この発明のディーゼルエンジン用ピストンは、
Al−Si系合金鋳物からなる母体と、凹状燃焼室の少なく
とも上縁部を構成するピストン頂部に前記母体と金属的
に接合してなるリング状またはカップ状の熱間成形体と
からなる、ディーゼルエンジン用ピストンにおいて、前
記熱間成形体は、 100℃/sec以上の冷却速度で溶湯を急
冷凝固して得られた、セラミック粒子が均一に分散して
いるAl−Si系合金粉末を成形固化し次いで熱間押出しお
よび/または熱間鍛造を施すことにより調製された、S
i:10 〜35 wt.% 、Cu: 0.5〜 5.0 wt.% 、Mg: 0.
2〜 3.0 wt.% 、および、残り:Alおよび不可避的不純
物、からなり、そして、0.5 〜40μm の粒径の前記セラ
ミックス粒子を、2〜20wt.%の範囲内で均一に分散して
含有している、Al−Si系合金粉末固化成形体からなって
いることに特徴を有するものである。
もので、この発明のディーゼルエンジン用ピストンは、
Al−Si系合金鋳物からなる母体と、凹状燃焼室の少なく
とも上縁部を構成するピストン頂部に前記母体と金属的
に接合してなるリング状またはカップ状の熱間成形体と
からなる、ディーゼルエンジン用ピストンにおいて、前
記熱間成形体は、 100℃/sec以上の冷却速度で溶湯を急
冷凝固して得られた、セラミック粒子が均一に分散して
いるAl−Si系合金粉末を成形固化し次いで熱間押出しお
よび/または熱間鍛造を施すことにより調製された、S
i:10 〜35 wt.% 、Cu: 0.5〜 5.0 wt.% 、Mg: 0.
2〜 3.0 wt.% 、および、残り:Alおよび不可避的不純
物、からなり、そして、0.5 〜40μm の粒径の前記セラ
ミックス粒子を、2〜20wt.%の範囲内で均一に分散して
含有している、Al−Si系合金粉末固化成形体からなって
いることに特徴を有するものである。
【0012】上記Al−Si系合金粉末固化成形体は、Ti:
0.03〜0.40wt.%、V :0.03〜0.40wt.%、Zr:0.03〜0.40
wt.%、Cr:0.03〜1.0 wt.%、および、Ni:0.3 〜2.5wt.
% からなる群から選んだ少なくとも1つの成分( 但し、
Ti、V およびZrのうちの少なくとも2つの成分を含有す
る場合は、その総含有量が0.03〜0.40 wt.%)を付加的に
含有していてもよい。
0.03〜0.40wt.%、V :0.03〜0.40wt.%、Zr:0.03〜0.40
wt.%、Cr:0.03〜1.0 wt.%、および、Ni:0.3 〜2.5wt.
% からなる群から選んだ少なくとも1つの成分( 但し、
Ti、V およびZrのうちの少なくとも2つの成分を含有す
る場合は、その総含有量が0.03〜0.40 wt.%)を付加的に
含有していてもよい。
【0013】
【作用】急冷凝固粉末冶金法によるAl−Si系合金材料中
のSi初晶の大きさは、主として、粉末製造時の冷却速度
に依存する。冷却速度が 100℃/sec以上の場合には、Si
初晶の大きさは約10μm 以下になる。このように初晶Si
粒子を微細化させることにより、材料の脆化が抑制され
る。これに対し、通常の過共晶Al−Si系合金鋳物のSi初
晶の大きさは、しばしば 100μm を超える。従って、溶
湯の冷却速度は、100℃/sec以上とすべきである。
のSi初晶の大きさは、主として、粉末製造時の冷却速度
に依存する。冷却速度が 100℃/sec以上の場合には、Si
初晶の大きさは約10μm 以下になる。このように初晶Si
粒子を微細化させることにより、材料の脆化が抑制され
る。これに対し、通常の過共晶Al−Si系合金鋳物のSi初
晶の大きさは、しばしば 100μm を超える。従って、溶
湯の冷却速度は、100℃/sec以上とすべきである。
【0014】急冷凝固Al−Si系合金粉末中に、0.5 〜40
μm の粒径のセラミックス粒子を、2〜20wt.%の範囲内
の量で均一に分散して含有させることにより、高温強度
が大幅に向上する。従って、このようなAl−Si系合金粉
末を成形固化し次いで熱間押出しおよび/または熱間鍛
造を施して調製された成形体を頂部に有するピストン
は、高温での高速運動に耐え得る十分な強度と共に、耐
熱疲労亀裂性が向上する。
μm の粒径のセラミックス粒子を、2〜20wt.%の範囲内
の量で均一に分散して含有させることにより、高温強度
が大幅に向上する。従って、このようなAl−Si系合金粉
末を成形固化し次いで熱間押出しおよび/または熱間鍛
造を施して調製された成形体を頂部に有するピストン
は、高温での高速運動に耐え得る十分な強度と共に、耐
熱疲労亀裂性が向上する。
【0015】図1〜図3は、この発明のピストンの一例
を示す概略垂直断面図であって、1は燃焼室、2はピス
トン、3はAl−Si系合金粉末固化成形体、4はAl−Si系
合金鋳物を示す。図1は、リング状のAl−Si系合金粉末
固化成形体3を燃焼室1の上縁部に配置した例であり、
図2は、カップ状のAl−Si系合金粉末固化成形体3を燃
焼室1の上縁部に配置した例であり、そして、図3は、
燃焼室1を含むピストン2の頭部全体をAl−Si系合金粉
末固化成形体3によって構成した例である。
を示す概略垂直断面図であって、1は燃焼室、2はピス
トン、3はAl−Si系合金粉末固化成形体、4はAl−Si系
合金鋳物を示す。図1は、リング状のAl−Si系合金粉末
固化成形体3を燃焼室1の上縁部に配置した例であり、
図2は、カップ状のAl−Si系合金粉末固化成形体3を燃
焼室1の上縁部に配置した例であり、そして、図3は、
燃焼室1を含むピストン2の頭部全体をAl−Si系合金粉
末固化成形体3によって構成した例である。
【0016】次に、この発明において、Al−Si系合金粉
末固化成形体の化学成分組成の好ましい範囲を、上述し
たように限定した理由について説明する。 (1) Si:Siは、成形体の高温強度を高めそして熱膨張係
数を低下させる作用を有している。しかしながら、Siの
含有量が10wt.%未満では、上述した作用に所望の効果が
得られない。一方、Siの含有量が35wt.%を超えると、成
形体の靭性が著しく低下する。従って、Siの含有量は、
10〜35wt.%の範囲内に限定すべきである。
末固化成形体の化学成分組成の好ましい範囲を、上述し
たように限定した理由について説明する。 (1) Si:Siは、成形体の高温強度を高めそして熱膨張係
数を低下させる作用を有している。しかしながら、Siの
含有量が10wt.%未満では、上述した作用に所望の効果が
得られない。一方、Siの含有量が35wt.%を超えると、成
形体の靭性が著しく低下する。従って、Siの含有量は、
10〜35wt.%の範囲内に限定すべきである。
【0017】(2) Cu:Cuは、固溶硬化および時効析出硬
化により、成形体の強度を向上させる作用を有してい
る。しかしながら、Cuの含有量が 0.5wt.%未満では、上
述した作用に所望の効果が得られない。一方、Cuの含有
量が 5.0wt.%を超えると、成形体の靭性が著しく低下す
る。従って、Cuの含有量は、0.5 〜5.0wt.% の範囲内に
限定すべきである。
化により、成形体の強度を向上させる作用を有してい
る。しかしながら、Cuの含有量が 0.5wt.%未満では、上
述した作用に所望の効果が得られない。一方、Cuの含有
量が 5.0wt.%を超えると、成形体の靭性が著しく低下す
る。従って、Cuの含有量は、0.5 〜5.0wt.% の範囲内に
限定すべきである。
【0018】(3) Mg:Mgは、固溶硬化により、成形体の
強度を向上させる作用を有している。しかしながら、Mg
の含有量が 0.2wt.%未満では、上述した作用に所望の効
果が得られない。一方、Mgの含有量が 3.0wt.%を超える
と、成形体の靭性が著しく低下する。従って、Mgの含有
量は、0.2 〜3.0wt.% の範囲内に限定すべきである。上
記Cuと共にMgを含有させることにより、時効析出硬化が
一段と顕著になる。
強度を向上させる作用を有している。しかしながら、Mg
の含有量が 0.2wt.%未満では、上述した作用に所望の効
果が得られない。一方、Mgの含有量が 3.0wt.%を超える
と、成形体の靭性が著しく低下する。従って、Mgの含有
量は、0.2 〜3.0wt.% の範囲内に限定すべきである。上
記Cuと共にMgを含有させることにより、時効析出硬化が
一段と顕著になる。
【0019】(4) Ti, V, Zr, Cr およびNi:Ti, V, Zr,
Cr およびNiは、Al−Si系合金中に殆ど固溶しない。し
かしながら、これらの元素を含有する溶湯を急冷凝固さ
せて過飽和固溶体となし、次いで、その合金粉末を熱間
で成形し、次いで、熱処理する過程において微細な金属
間化合物として析出させることにより、急冷凝固された
Al−Si系合金の強度および靭性を向上させることができ
る。従って、必要に応じ、Ti, V, Zr, Cr およびNiから
なる群から選んだ少なくとも1つの成分を付加的に含有
させる。
Cr およびNiは、Al−Si系合金中に殆ど固溶しない。し
かしながら、これらの元素を含有する溶湯を急冷凝固さ
せて過飽和固溶体となし、次いで、その合金粉末を熱間
で成形し、次いで、熱処理する過程において微細な金属
間化合物として析出させることにより、急冷凝固された
Al−Si系合金の強度および靭性を向上させることができ
る。従って、必要に応じ、Ti, V, Zr, Cr およびNiから
なる群から選んだ少なくとも1つの成分を付加的に含有
させる。
【0020】しかしながら、Ti, V, Zr, Cr およびNiか
らなる群から少なくとも1つの成分の含有量が多過ぎる
と、急冷凝固させた場合でも、これらの成分が初晶とし
て析出する結果、靭性が低下する。更に、Ti, V, Zr お
よび Cr には、合金の融点を高める作用がある。従っ
て、溶湯を急冷凝固して粉末を製造するための設備に対
する負荷が高くなり且つ粉末の表面酸化が激しくなり、
そして、成形体の靭性が低下する。
らなる群から少なくとも1つの成分の含有量が多過ぎる
と、急冷凝固させた場合でも、これらの成分が初晶とし
て析出する結果、靭性が低下する。更に、Ti, V, Zr お
よび Cr には、合金の融点を高める作用がある。従っ
て、溶湯を急冷凝固して粉末を製造するための設備に対
する負荷が高くなり且つ粉末の表面酸化が激しくなり、
そして、成形体の靭性が低下する。
【0021】従って、Ti, V および Zr の好ましい含有
量は、その何れか1つを含有する場合には、0.03〜0.40
wt.%の範囲内とし、そして、その2つ以上を含有する場
合には、その総含有量を、0.03〜0.40wt.%の範囲内とす
べきである。Crは、上記Ti,V および Zr に比べて強制
固溶されやすく、融点の上昇程度も小さい。従って、Cr
の好ましい含有量は、0.03〜1.0 wt.%の範囲内とすべき
である。Niは、強制固溶されにくく、その殆どが初晶と
して析出するが、その寸法が小さい場合は、高温強度を
向上させる作用を有しており、また、合金の融点を高め
る作用はない。従って、靭性を低下させずに熱間強度を
向上させる、Niの好ましい含有量は、0.3 〜2.5 wt.%の
範囲内とすべきである。
量は、その何れか1つを含有する場合には、0.03〜0.40
wt.%の範囲内とし、そして、その2つ以上を含有する場
合には、その総含有量を、0.03〜0.40wt.%の範囲内とす
べきである。Crは、上記Ti,V および Zr に比べて強制
固溶されやすく、融点の上昇程度も小さい。従って、Cr
の好ましい含有量は、0.03〜1.0 wt.%の範囲内とすべき
である。Niは、強制固溶されにくく、その殆どが初晶と
して析出するが、その寸法が小さい場合は、高温強度を
向上させる作用を有しており、また、合金の融点を高め
る作用はない。従って、靭性を低下させずに熱間強度を
向上させる、Niの好ましい含有量は、0.3 〜2.5 wt.%の
範囲内とすべきである。
【0022】Al−Si系合金粉末固化成形体中に均一に分
散しているセラミック粒子の含有量は2〜20wt.%の範囲
内とすべきである。セラミック粒子の含有量が2wt.%未
満では、熱間強度の向上効果が得られない。一方、セラ
ミック粒子の含有量が20wt.%を超えると、成形体が著し
く脆性し且つ切削性が著しく劣化する。セラミック粒子
の粒径は、0.5 〜40μm の範囲内とすべきである。セラ
ミック粒子の粒径が 0.5μm 未満では、Al−Si系合金粉
末との粒径差が大きくなり過ぎる結果、均一分散性、取
扱性およびコスト的に問題が生ずる。一方、セラミック
粒子の粒径が40μm を超えると、切削性が著しく劣化す
る。
散しているセラミック粒子の含有量は2〜20wt.%の範囲
内とすべきである。セラミック粒子の含有量が2wt.%未
満では、熱間強度の向上効果が得られない。一方、セラ
ミック粒子の含有量が20wt.%を超えると、成形体が著し
く脆性し且つ切削性が著しく劣化する。セラミック粒子
の粒径は、0.5 〜40μm の範囲内とすべきである。セラ
ミック粒子の粒径が 0.5μm 未満では、Al−Si系合金粉
末との粒径差が大きくなり過ぎる結果、均一分散性、取
扱性およびコスト的に問題が生ずる。一方、セラミック
粒子の粒径が40μm を超えると、切削性が著しく劣化す
る。
【0023】鋳物用のAl−Si系合金としては、通常のJI
S AC8A、即ちAl-12%Si-1%Cu-1%Mg-1%Ni 合金またはこれ
に類似の鋳物用合金を使用する。このようなAl−Si系合
金鋳物は、金型による重力鋳造のほか、種々の鋳造法に
よって、所望の複雑な形状に鋳造することができ、品質
特性および生産性を十分に満足する製品が得られる。
S AC8A、即ちAl-12%Si-1%Cu-1%Mg-1%Ni 合金またはこれ
に類似の鋳物用合金を使用する。このようなAl−Si系合
金鋳物は、金型による重力鋳造のほか、種々の鋳造法に
よって、所望の複雑な形状に鋳造することができ、品質
特性および生産性を十分に満足する製品が得られる。
【0024】セラミック粒子が均一に分散しているAl−
Si系合金粉末固化成形体と、Al−Si系合金鋳物とは、そ
の接合面が、十分な機械的強度を有し、且つ、機関の作
動中に燃焼室からの熱を大きな抵抗なく通過させ得るよ
うに、鋳包み、拡散接合および拡散接合等の手段によっ
て、金属的に接合することが必要である。
Si系合金粉末固化成形体と、Al−Si系合金鋳物とは、そ
の接合面が、十分な機械的強度を有し、且つ、機関の作
動中に燃焼室からの熱を大きな抵抗なく通過させ得るよ
うに、鋳包み、拡散接合および拡散接合等の手段によっ
て、金属的に接合することが必要である。
【0025】
【実施例】次に、この発明を、実施例により、比較例と
対比しながら、更に詳しく説明する。図1に示すよう
に、燃焼室1の上縁部3を、この発明の範囲内の化学成
分組成を有する、セラミック粒子が均一に分散している
Al−Si系合金粉末固化成形体によって構成し、このよう
な燃焼室上縁部3を、JIS AC8Aからなる母材としてのAl
−Si系合金鋳物4に鋳包むことによって、表1に示す本
発明の範囲内のピストン2の供試体(以下、本発明供試
体という)No. 1〜4を調製した。比較のために、表1
に併せて示す、燃焼室1の上縁部3の構成が本発明の範
囲外であるほかは、上記本発明供試体と同様の構成の、
ピストン2の供試体(以下、比較用供試体という)No.
1〜6を調製した。
対比しながら、更に詳しく説明する。図1に示すよう
に、燃焼室1の上縁部3を、この発明の範囲内の化学成
分組成を有する、セラミック粒子が均一に分散している
Al−Si系合金粉末固化成形体によって構成し、このよう
な燃焼室上縁部3を、JIS AC8Aからなる母材としてのAl
−Si系合金鋳物4に鋳包むことによって、表1に示す本
発明の範囲内のピストン2の供試体(以下、本発明供試
体という)No. 1〜4を調製した。比較のために、表1
に併せて示す、燃焼室1の上縁部3の構成が本発明の範
囲外であるほかは、上記本発明供試体と同様の構成の、
ピストン2の供試体(以下、比較用供試体という)No.
1〜6を調製した。
【0026】本発明供試体および比較用供試体の各々の
燃焼室1を、すべて同一形状になるように切削加工し
た。切削加工された燃焼室1の縦断面形状は、図4に示
すように、ピストン2の頂面5と燃焼室1の内壁面6と
のなす角度θを70度とし、そして、先端部Aを0.5Rとし
た。鋳包み等によって形成されたリング状部の外径は65
mmであり、頂面5の内径は50mmであり、頂面5と下面間
との間の距離Bは8mmとした。
燃焼室1を、すべて同一形状になるように切削加工し
た。切削加工された燃焼室1の縦断面形状は、図4に示
すように、ピストン2の頂面5と燃焼室1の内壁面6と
のなす角度θを70度とし、そして、先端部Aを0.5Rとし
た。鋳包み等によって形成されたリング状部の外径は65
mmであり、頂面5の内径は50mmであり、頂面5と下面間
との間の距離Bは8mmとした。
【0027】
【表1】
【0028】表1において、製法欄のKは、溶湯を急冷
凝固して得られた、セラミック粒子が均一に分散してい
るAl−Si系合金粉末を成形固化し次いで熱間押出しおよ
び/または熱間鍛造することによって調製した場合を示
し、そして、製法欄のIは、重力鋳造金型によって鋳造
された場合を示す。
凝固して得られた、セラミック粒子が均一に分散してい
るAl−Si系合金粉末を成形固化し次いで熱間押出しおよ
び/または熱間鍛造することによって調製した場合を示
し、そして、製法欄のIは、重力鋳造金型によって鋳造
された場合を示す。
【0029】上述した本発明供試体および比較用供試体
の各々に対して、下記により熱疲労寿命、および、燃焼
室上縁部の熱膨張係数を測定し、その測定結果を、表1
に併せて示した。
の各々に対して、下記により熱疲労寿命、および、燃焼
室上縁部の熱膨張係数を測定し、その測定結果を、表1
に併せて示した。
【0030】熱疲労寿命:燃焼室1の先端部近傍に埋設
された熱電対と、燃焼室局部の急速加熱冷却装置とによ
って、最高温度 330℃、最低温度 120℃、1周期約10秒
のサイクルによって、燃焼室1の先端部を、繰り返し急
熱そして急冷し、先端部1に目視し得る亀裂が発生する
までのサイクル数を測定した。そして、これを、比較用
供試体No.1の亀裂発生サイクル数と比較用供試体No.
1を除く各供試体の亀裂発生サイクル数との比によって
示した。
された熱電対と、燃焼室局部の急速加熱冷却装置とによ
って、最高温度 330℃、最低温度 120℃、1周期約10秒
のサイクルによって、燃焼室1の先端部を、繰り返し急
熱そして急冷し、先端部1に目視し得る亀裂が発生する
までのサイクル数を測定した。そして、これを、比較用
供試体No.1の亀裂発生サイクル数と比較用供試体No.
1を除く各供試体の亀裂発生サイクル数との比によって
示した。
【0031】熱膨張係数:燃焼室1の上縁部を構成する
材料について、その熱膨張係数を測定し、20から300 ℃
の間の平均熱膨張係数として示した。
材料について、その熱膨張係数を測定し、20から300 ℃
の間の平均熱膨張係数として示した。
【0032】表1において、比較用供試体No. 1は、燃
焼室上縁部を、JIS AC8A即ちAl-12%Si-1%Cu-1%Mg-1%-Ni
合金による金型鋳造によって構成した従来一般に使用さ
れているピストンである。比較用供試体No. 2は、燃焼
室上縁部を、先行技術であるセラミック粒子が含有され
ていないAl−Si系合金粉末固化成形体によって構成した
ピストンである。
焼室上縁部を、JIS AC8A即ちAl-12%Si-1%Cu-1%Mg-1%-Ni
合金による金型鋳造によって構成した従来一般に使用さ
れているピストンである。比較用供試体No. 2は、燃焼
室上縁部を、先行技術であるセラミック粒子が含有され
ていないAl−Si系合金粉末固化成形体によって構成した
ピストンである。
【0033】比較用供試体No. 3は、セラミック粒子の
含有量が本発明の範囲を外れて少ないAl−Si系合金粉末
固化成形体によって構成したピストンである。比較用供
試体No. 4は、セラミック粒子の含有量が本発明の範囲
を外れて多いAl−Si系合金粉末固化成形体によって構成
したピストンである。比較用供試体No. 5は、セラミッ
ク粒子がこの発明の範囲内の量で含有してはいるが、そ
の粒径が本発明の範囲を外れて小さいAl−Si系合金粉末
固化成形体によって構成したピストンである。そして、
比較用供試体No. 6は、同じく、セラミック粒子がこの
発明の範囲内の量で含有してはいるが、その粒径が本発
明の範囲を外れて大きいAl−Si系合金粉末固化成形体に
よって構成したピストンである。
含有量が本発明の範囲を外れて少ないAl−Si系合金粉末
固化成形体によって構成したピストンである。比較用供
試体No. 4は、セラミック粒子の含有量が本発明の範囲
を外れて多いAl−Si系合金粉末固化成形体によって構成
したピストンである。比較用供試体No. 5は、セラミッ
ク粒子がこの発明の範囲内の量で含有してはいるが、そ
の粒径が本発明の範囲を外れて小さいAl−Si系合金粉末
固化成形体によって構成したピストンである。そして、
比較用供試体No. 6は、同じく、セラミック粒子がこの
発明の範囲内の量で含有してはいるが、その粒径が本発
明の範囲を外れて大きいAl−Si系合金粉末固化成形体に
よって構成したピストンである。
【0034】表1から明らかなように、燃焼室上縁部
を、従来のJIS AC8A合金による金型鋳造によって構成し
た比較用供試体No. 1に対し、燃焼室上縁部をこの発明
の範囲のAl−Si系合金粉末固化成形体によって構成した
場合には、熱疲労寿命が約4倍以上に向上しそして熱膨
張係数も低減した。
を、従来のJIS AC8A合金による金型鋳造によって構成し
た比較用供試体No. 1に対し、燃焼室上縁部をこの発明
の範囲のAl−Si系合金粉末固化成形体によって構成した
場合には、熱疲労寿命が約4倍以上に向上しそして熱膨
張係数も低減した。
【0035】これに対し、燃焼室上縁部をAl−Si系合金
粉末固化成形体によって構成しても、セラミック粒子を
含有していない比較用供試体No. 2、セラミック粒子が
含有されていてもその含有量が本発明の範囲を外れてい
る比較用供試体No. 3および4、そして、セラミック粒
子が含有されていてもその粒径が本発明の範囲を外れて
いる比較用供試体No. 5および6の熱疲労寿命の向上
は、2倍以下に過ぎなかった。
粉末固化成形体によって構成しても、セラミック粒子を
含有していない比較用供試体No. 2、セラミック粒子が
含有されていてもその含有量が本発明の範囲を外れてい
る比較用供試体No. 3および4、そして、セラミック粒
子が含有されていてもその粒径が本発明の範囲を外れて
いる比較用供試体No. 5および6の熱疲労寿命の向上
は、2倍以下に過ぎなかった。
【0036】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
Al−Si系合金鋳物からなる母体と、凹状燃焼室の少なく
とも上縁部を構成するピストン頂部に前記母体と金属的
に接合してなるリング状またはカップ状の熱間成形体と
からなる、ディーゼルエンジン用ピストンの、燃焼室周
囲の耐熱疲労亀裂性および耐摩耗性を大幅に向上させる
ことができ、近年強く要求されている、高性能および高
効率のディーゼルエンジン用ピストンが得られる工業上
有用な効果が得られる。
Al−Si系合金鋳物からなる母体と、凹状燃焼室の少なく
とも上縁部を構成するピストン頂部に前記母体と金属的
に接合してなるリング状またはカップ状の熱間成形体と
からなる、ディーゼルエンジン用ピストンの、燃焼室周
囲の耐熱疲労亀裂性および耐摩耗性を大幅に向上させる
ことができ、近年強く要求されている、高性能および高
効率のディーゼルエンジン用ピストンが得られる工業上
有用な効果が得られる。
【図1】この発明のピストンの一例を示す概略垂直断面
図である。
図である。
【図2】この発明のピストンの他の例を示す概略垂直断
面図である。
面図である。
【図3】この発明のピストンの更に他の例を示す概略垂
直断面図である。
直断面図である。
【図4】この発明のピストンの燃焼室の形状を示す部分
拡大概略垂直断面図である。
拡大概略垂直断面図である。
【図5】ディーゼルエンジンのピストン頂部を示す一部
断面概略斜視図である。
断面概略斜視図である。
1 燃焼室、 2 ピストン、 3 Al−Si系合金固化成形体、 4 Al−Si系合金鋳物、 5 頂面、 6 内壁面。
フロントページの続き (72)発明者 小林 幹和 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内 (72)発明者 桜田 徹 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 Al−Si系合金鋳物からなる母体と、凹状
燃焼室の少なくとも上縁部を構成するピストン頂部に前
記母体と金属的に接合してなるリング状またはカップ状
の熱間成形体とからなる、ディーゼルエンジン用ピスト
ンにおいて、 前記熱間成形体は、 100℃/sec以上の冷却速度で溶湯を
急冷凝固して得られた、セラミック粒子が均一に分散し
ているAl−Si系合金粉末を成形固化し次いで熱間押出し
および/または熱間鍛造を施すことにより調製された、 Si:10 〜35 wt.% 、 Cu: 0.5〜 5.0 wt.% 、 Mg: 0.2〜 3.0 wt.% 、および、 残り:Alおよび不可避的不純物、 からなり、そして、0.5 〜40μm の粒径の前記セラミッ
クス粒子を、2〜20wt.%の範囲内で均一に分散して含有
している、Al−Si系合金粉末固化成形体からなっている
ことを特徴とする、ディーゼルエンジン用ピストン。 - 【請求項2】 前記Al−Si系合金粉末固化成形体は、 Ti:0.03〜0.40 wt.% 、 V :0.03〜0.40 wt.% 、 Zr:0.03〜0.40 wt.% 、 Cr:0.03〜1.0 wt.% 、および、 Ni:0.3 〜2.5 wt.% からなる群から選んだ少なくとも1つの成分、但し、T
i、V およびZrのうちの少なくとも2つの成分を含有す
る場合は、その総含有量が0.03〜0.40 wt.% 、を付加的
に含有している、請求項1記載のディーゼルエンジン用
ピストン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5133957A JPH06323193A (ja) | 1993-05-12 | 1993-05-12 | ディーゼルエンジン用ピストン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5133957A JPH06323193A (ja) | 1993-05-12 | 1993-05-12 | ディーゼルエンジン用ピストン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06323193A true JPH06323193A (ja) | 1994-11-22 |
Family
ID=15117036
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5133957A Withdrawn JPH06323193A (ja) | 1993-05-12 | 1993-05-12 | ディーゼルエンジン用ピストン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06323193A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0864660A3 (en) * | 1997-02-12 | 1999-09-29 | Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha | Piston for internal combustion engine and method for producing same |
-
1993
- 1993-05-12 JP JP5133957A patent/JPH06323193A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0864660A3 (en) * | 1997-02-12 | 1999-09-29 | Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha | Piston for internal combustion engine and method for producing same |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000801 |