JP2533649Y2 - 防水コネクタのシール構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、コネクタハウジング本体にインナー体を挿
着して組合せるインナー体つきコネクタハウジングと、
相手側コネクタハウジングとをシールリングを介して防
水状に結合する防水コネクタのシール構造に関するもの
である。

「従来の技術」 インナー体つきコネクタハウジングと相手側コネクタ
ハウジングとを、シールリングを介して結合する防水コ
ネクタは、第３図参照、コネクタハウジング本体３の開
口中空部５に、インナー体４を挿着して組合せ、一方の
コネクタハウジング１になすと共に、その開口中空部５
の内周11に、帯状シール部６を有するシールリング７の
帯状部分を添着させて装着し、シールリング７の内周と
インナー体４の外周に設けた空隙部分に、相手側コネク
タハウジング２を挿着して結合し、コネクタハウジング
１・２を防水状に結合接続する構造になっている。

そして、シールリング７は後端外周の対称位置に外方
へ突設した固定用突片13を、中空開口部５の入口近傍の
周壁の係止孔14に嵌着して装着され、コネクタハウジン
グ１・２を結合・離脱するとき容易に外れないようにな
っている。

「考案が解決しようとする課題」 以上の従来構造の防水コネクタは、シールリング７に
よる防水性能を確保するために、固定用突片13はシール
リング７の後端（開口中空部５の入口寄り）にする必要
があり、その突片13より前方の帯状シール部６は、開口
中空部５と相手側コネクタハウジング２の周壁に機械的
に係止保持されない自由状態で介装された構造となって
いる。

従って、コネクタハウジング１・２を結合・離脱する
場合、帯状シール部６の内側とコネクタハウジング２の
周壁との間に大きな摩擦力が生じ、特にコネクタハウジ
ング２の離脱のとき、帯状シール部６の内側には、離脱
摩擦力に基づく変形外力Ｐが発生するので、コネクタハ
ウジング２が次第に抜き出されて内側フリーとなる帯状
シール部６は、容易に内側に弾性変形して姿勢を崩し、
その結合、離脱が繰り返されると、帯状シール部６のス
パン中間部分がねじれ変形を呈して防水機能を低下させ
ると共に、シールリング７が抜け出すことがある。

本考案は、以上の従来技術の不具合を解消する防水コ
ネクタのシール構造を提供するものである。

「課題を解決するための手段」 以上の技術課題を解決する本考案のシール構造は 「コネクタハウジング本体の開口中空部に、インナー
体を挿着組合せて一方のコネクタハウジングとなし、該
開口中空部の内周に「帯状シール部を有するシールリン
グ」を装着し、該帯状シール部の内側と該インナー体外
周間に、相手側コネクタハウジングを受け入れ結合する
防水コネクタにおいて、該シールリングの前端周縁に、
先端がシールリングの内側方向に臨み、かつ、前端が前
記開口中空部の底に当るＬ字状断面の係止片を前方突設
すると共に、前記インナー体の所要位置に、該係止片に
押圧当接する係止部を設け、該係止片を該開口中空部の
底と該係止部によって挟着固定する構造」が要旨であ
る。

即ち、前記構成の本考案の防水コネクタのシール構造
は、コネクタハウジングへ装着したシールリングの前記
係止片を、コネクタハウジング本体へ挿着結合したイン
ナー体の係止部と、コネクタハウジングとの間に挾着す
る機械的固定手段によって「コネクタハウジングの使用
可能状態では、そのコネクタハウジングとシールリング
を常に実質的一体物となし、通常の使用状態において予
測される最大の外力を、シールリングが受けても、シー
ルリングの装着姿勢を絶対的に安定させる」思想によっ
て構成されている。

「作用」 以上の本考案のシール構造は、帯状シール部を有する
シールリングの前端に、Ｌ字状断面の係止片が設けら
れ、その係止片が開口中空部の底とインナー体の係止部
に挟着固定されるので、その開口中空部に装着されたシ
ールリングは、先端部位が機械的に固着された構造とな
り、相手側コネクタハウジングの離脱のとき、強い摩擦
抵抗に基づく変形外力がシールリングに発生しても、シ
ールリングはその外力に抗して変形を防止することがで
きる。従って、コネクタハウジング相互の結合・離脱が
繰り返されても、シールリングは有害なねじりに基づく
塑性変形や姿勢崩れがなく、シール性能が良好に確保さ
れる。そして、シールリングの固定力が向上し、シール
リング抜けを完全防止することができる。

そして、以上の作用は、挾着固定された係止片が、通
常の使用状態において予測を超える極めて強い外力を受
けて破断されない限り、安定維持される。

「実施例」 以下、実施例に基づいて詳しく説明する。まず、本考
案の一実施例を示す第１図を参照して、ハウジング本体
３の開口中空部５に、別体のインナー体４を挿着して組
合せ、一方のコネクタハウジング１になすと共に、開口
中空部５の内周11に、「帯状シール部６を有するシール
リング７」の帯状シール部６を添着させて装着し、その
帯状シール部６とインナー体４との間隙部分に、相手側
のコネクタハウジング２の頭部を嵌着して結合し、コネ
クタハウジング１・２の結合部分を防水状になす防水コ
ネクタにおいて、 シールリング７の上下対辺の前端縁の任意位置に、先
端がシールリング７の内側方向に臨んで対向し、かつ、
前端８が開口中空部５の底10に当る横断面Ｌ字形の一対
の係止片9A9Bが二組突設されている。

一方、インナー体４の前端には、インナー体４がコネ
クタハウジング１に正常姿勢に挿着されたとき、シール
リング７の係止片9A9Bの内側に当接して後方から押し当
る係止部12（この実施例の係止部12はインナー体４の前
端面）が形成されている。

そして、第１図（Ｂ）のように、コネクタハウジング
本体３の開口中空部５に、係止片9A9Bの前端８が開口中
空部５の底10に当接するようにしてシールリング７が予
め装着され、しかるのち、インナー体４を挿着組合せ
て、係止部12と底10の間にシールリング７の係止片9A9B
を挟着してシールリング７が固定される。

そして、相手側のコネクタハウジング２が嵌合され
て、その外周をシールリング７の内周に圧接し、一対の
コネクタハウジング１・２が結合される。なお、この実
施例のシールリング７には、従来構造と同一の固定用突
片13が後端側に設けられ、コネクタハウジング本体３の
係止孔14に嵌着係止してシールリング７の後端側（コネ
クタハウジング２の挿入入口）の姿勢安定を図るように
なっている。

つぎに、第２図は本考案の他の実施例を示したもの
で、この第２図示のシールリング７は、前端縁に沿って
若干長連続する係止片9A9Bを有し、前記実施例と同様に
断面Ｌ字形をなして開口中空部５の底10とインナー体４
の係止部12によって挟着されて装着される。

以上の第１・２図実施例とも、シールリング７の先端
部位が機械的に固定された構造となるので、前記の作用
がある。

なお、本考案におけるシールリング７の係止片9A9Bの
配列は、前記実施例に制限されず、コネクタハウジング
の形状・構造に基づいて、任意数任意間隔に配列され
る。

「考案の効果」 以上の説明のとおり、本考案の防水コネクタのシール
構造は、シールリングの変形や抜けを防止して良好なシ
ール性能を安定確保し、防水コネクタの性能向上を図る
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図：本考案一実施例の防水コネクタを示し、（Ａ）
はそのコネクタハウジングの構成部材を示す斜視図、
（Ｂ）は結合状態を示す正面図、第２図：本考案の他の
実施例の防水コネクタのシールリングの斜視図、第３
図：従来構造の防水コネクタを示し、（Ａ）はその結合
状態の正面図、（Ｂ）はそのシールリングの斜視図 主な符号、1:コネクタハウジング、2:相手側コネクタハ
ウジング、3:コネクタハウジング本体、4:インナー体、
5:開口中空部、6:帯状シール部、7:シールリング、8:係
止片の前端、9A9B:係止片、10:開口中空部の底、11:開
口中空部の内周、12:係止部、13:固定用突片、14:係止
孔

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】コネクタハウジング本体の開口中空部に、
   インナー体を挿着組合せて一方のコネクタハウジングと
   なし、該開口中空部の内周に「帯状シール部を有するシ
   ールリング」を装着し、該帯状シール部の内側と該イン
   ナー体外周間に、相手側コネクタハウジングを受け入れ
   結合する防水コネクタにおいて、 該シールリングの前端周縁に「先端がシールリングの内
   側方向に臨み、かつ、前端が前記開口中空部の底に当る
   Ｌ字状断面の係止片」を前方突設すると共に、前記イン
   ナー体の所要位置に、該係止片に押圧当接する係止部を
   設け、該係止片を該開口中空部の底と該係止部によって
   挟着固定する構造を特徴とする防水コネクタのシール構
   造。