JP2522517B2 - 床 材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［技術分野］ 本発明は、防音及び防振機能を備えた床材に関する。

［背景技術］ 従来床材は例えば、合板よりなる基板の上に化粧板
（突板）を張っただけのものであるため、床材に直接衝
撃を受けたとき、床材を伝わって建物の床基材に振動が
伝わり、これが下階に伝わるという問題があり、防音上
好ましくなかった。例えば、マンション等の集合住宅で
は上階で子供が走り回れば下階の人からやかましいとク
レームがつくという問題があった。

［発明の目的］ 本発明は、上記の点に鑑みて発明したものであって、
その目的とするところは、床材そのものに防音及び防振
機能を持たせることができる床材を提供するにある。

［発明の開示］ 本発明の床材は、本質化粧板１の裏面に発泡倍率が1.
5〜３倍のSBRシート２を積層一体化すると共にSBRシー
ト２の裏面に基板３を積層一体化し、この基板３の裏面
に裏面が凹凸となった弾性体５を積層一体化して成るこ
とを特徴とするものであって、このような構成を採用す
ることで上記した従来例の問題点を解決して本発明の目
的を達成したものである。すなわち本発明の床材にあっ
ては、SBRシート２と木質化粧板１とを貼り合わせるこ
とで防音ができ、更に弾性体５でも防音ができ、しかも
弾性体５の裏面が凹凸となっていることで、いっそう振
動が伝わりにくくなるようにしたものである。

以下本発明を実施例により詳述する。木質化粧板１の
裏面にSBRシート（スチレンブタジエンゴム）２を積層
一体化すると共にSBRシート２の裏面に基板３を積層一
体化してあり、基板３には切溝４を設けてあり、更に基
板３の裏面に弾性体５が積層一体化してあって床材６が
構成してある。ここで、木質化粧板１は例えば合板1aの
上に木質化粧単板1bを積層したものである。木質化粧板
１には第３図のように化粧単板ｂのみに床材６の長手方
向乃至巾方向に表面側溝７を設けたり、あるいは第４図
のように木質化粧板１の下部まで至る表面側溝７を床材
６の長手方向乃至巾方向に設けたりしてもよいのであ
る。上記表面側溝７はＶ溝あるいはＵ溝である。このよ
うに表面側溝７を設けると床材６の自由度が高くなりい
っそう床衝撃音を小さくできるものである。SBRシート
２としては発泡倍率が1.5〜３倍のものを用い、厚みは
0.8〜1.2mmのものとする。ここでSBRシート２の配合例
を示すと、天然ゴム10重量部、SBR（スチレンブタジエ
ンゴム）40重量部、着色剤10重量部、発泡剤５重量部、
加硫促進剤１重量部、充填剤20重量部、オイル５重量
部、その他９重量部である。SBRシート２の発泡倍率を
1.5〜３倍としたのは、発泡倍率が1.5倍以下であると遮
音性能がでないためであり、また発泡倍率が３倍以上で
あると遮音性能はでるが荷重に対するへたり量が大きく
なりすぎるためである。すなわち、木質化粧板１の厚み
が3mm、SBRシート２の厚みが1mm、合板よりなる切溝４
を有する基板３の厚みが9mm、ゴム発泡体製の弾性体５
の厚みが8mmの床材において、SBRシート２の発泡倍率の
異なる数種類のサンプルを用意し、各サンプルにおける
JISA1418による床衝撃音遮音性能のテストをしたとこ
ろ、第13図のような結果が得られた。この第13図に示さ
れたグラフにより明らかなように、防音性能及び荷重に
よるへたりの両方から最適と考えられる範囲はSBRシー
ト２の発泡倍率が1.5〜３倍の範囲であることが判明し
た。第13図において荷重によるへたりとは1Kg/cm²（グ
ランドピアノ１台分）の荷重によるSBRシート２のへた
りん量を示している。基板３としては例えば合板が用い
られる。基板３は切溝４を施した実施例のもの（第１図
乃至第７図に示す）と切溝４を施していない実施例のも
の（第12図に示す）とがある。第１図乃至第７図に示す
実施例では基板３の裏面に切溝４が施してあるが、この
切溝４は基板３の裏面側から上方に向けて切り込んであ
り、SBRシート２に至るまで切り込んだり、あるいはSBR
シート２に至らない状態まで切り込んだりするものであ
る。ここで切り込み深さの異なる切溝４を併用して用い
てもよいものである。また切溝４は第７図（ａ）に示す
ように床材６の長手方向に平行に１乃至複数個設けても
よく、あるいは第７図（ｂ）に示すように床材６の巾方
向に１乃至複数個設けてもよく、あるいは第７図（ｃ）
に示すように床材６の長手方向及び巾方向にそれぞれ１
乃至複数個設けてもよく、あるいは第７図（ｄ）に示す
ように床材６の長手方向に対して斜め方向に１乃至複数
個設けてもよく、あるいは第７図（ｅ）に示すように床
材６の長手方向に対して斜めとなった斜め格子状に設け
たりしてもよいのである。また、切溝４としては溝巾及
び溝深さは任意でよいが、特に下記の条件の場合にその
防振性が顕著に発揮される。

溝深さ…基板３の厚み1/2以上の時。但し、SBRシート２
に至るまで切り込むのが防振性能を最大限に発揮する。

溝巾……0.5mm〜5mmの時（ただし、3mm程度が最適と思
われる。） ところでこのように切溝４を設けることで、床材６を
伝わる音の振動エネルギーを切溝４部分で減衰させるこ
とができるのである。第７図（ｃ）中ｍは切溝４のピッ
チを示しており、１例として上げれば切溝４のピッチｍ
は長手方向及び巾方向とも約60mmであるが必ずしもこれ
にのみ限定されるものではない。基板３の裏面には弾性
体５が接着してあるが、添付図面の実施例にあっては弾
性体５の表面（すなわち上面）に不織布14が取着してあ
って、この不織布14を介して弾性体５を基板３に接着し
てある。弾性体５はゴム発泡体製である。弾性体５はそ
の表裏面に凹凸を形成したもの、あるいは裏面のみに凹
凸を形成したものが考えられる。この中で例えば表裏面
に凹凸を形成したものを考えると、その凹凸の面積比が
下記のものの場合に特に防振性が高まる 凸部の面積比率…25％〜75％ 第８図、第９図、第10図には表裏面に凹凸を形成した
実施例が示してある。この実施例では弾性体５の裏面の
下方に突出する凸部10部分に対応して表面側が凹んで凹
溝11となり、弾性体５の裏面の凹部12に対応して表面側
が突出して凸出部13となっている。なお弾性体５の下面
側に突出する凸部10を第10図に示すように平坦面といて
おくと建物のスラブのような床基材の上に敷いて例えば
接着する場合の接着性が向上するものである。なお、第
11図には弾性体５の裏面にのみ凸部10と凹部12とを設け
た実施例が示してある。

床材６には長手方向の一側に嵌合突部８が突設してあ
り、他側に嵌合凹部９が凹設してある。

しかして、上記のような構成の床材６は建物のスラブ
のような床基材の上に直接載設したり、あるいは、弾性
下地材を床基材の上に敷いてその上に載設したりするこ
とができる。勿論床基材の上に根太等を組み、その上に
敷設するようにしてもよいものである。

［発明の効果］ 本発明にあっては、叙述のように木質化粧板の裏面に
発泡倍率が1.5〜３倍のSBRシートを積層一体化すると共
にSBRシートの裏面に基板を積層一体化し、この基板の
裏面に裏面が凹凸となった弾性体を積層一体化したの
で、SBRシートを貼り合わせることで木質化粧板の共振
をおさえ、床表面に衝撃を加えた時の発生音を小さくで
き、しかも下層の弾性体により防振ができ、更に弾性体
の裏面が凹凸となっているので、建物のスラブのような
床基材側へ弾性体からいっそう振動が伝わりにくくな
り、より確実な防音、防振効果を発揮できるものであ
る。またSBRシートとして発泡倍率が1.5〜３倍のものを
用いるので、防音性能を確保しながらへたりを防止でき
るものであって、床材として好適である。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の床材の一実施例の断面図、第２図は同
上の斜視図、第３図は本発明の床材の他の実施例の断面
図、第４図は同上の更に他の実施例の断面図、第５図は
同上の更に他の実施例の断面図、第６図は同上の更に他
の実施例の断面図、第７図（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）
（ｅ）はそれぞれ床材に切溝を設けた各実施例の底面
図、第８図（ａ）（ｂ）はそれぞれ弾性体の表裏面に凹
凸を設けた実施例の平面図及び断面図、第９図（ａ）
（ｂ）は同上の他の実施例の斜視図及び平面図、第10図
は同上の更に他の実施例の断面図、第11図は同上の更に
他の実施例の断面図、第12図は本発明において基板に切
溝を設けない場合の実施例の斜視図、第13図はSBRシー
トの発泡倍率と床衝撃音遮音性能と荷重によるへたりと
の関係を示すグラフであって、１は木質化粧板、２はSB
Rシート、３は基板、５は弾性体である。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】木質化粧板の裏面に発泡倍率が1.5〜３倍
   のSBRシートを積層一体化すると共にSBRシートの裏面に
   基板を積層一体化し、この基板の裏面に裏面が凹凸とな
   った弾性体を積層一体化して成ることを特徴とする床
   材。
2. 【請求項２】基板に切溝を設けて成ることを特徴とする
   請求項１記載の床材。
3. 【請求項３】基板に切溝を設けてないことを特徴とする
   請求項１記載の床材。
4. 【請求項４】木質化粧板の表面に表面側溝を設けて成る
   ことを特徴とする請求項１記載の床材。