JP2521703B2 - リンホトキシンの細胞溶解活性を中和する抗体 - Google Patents

リンホトキシンの細胞溶解活性を中和する抗体

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Description

【発明の詳細な説明】 技術的背景 本発明はリンホカイン類に関するものである。更に詳
しくは、本発明はリンホトキシンおよびその誘導体に関
するものである。
リンホトキシンは当初、新生細胞系統(ネオプラスチ
ツク・セルライン)に対して抗細胞活性を有する生物学
的因子として確認された、ミトゲン刺激−リンパ細胞か
ら得られ、リンホトキシンと命名された活性体は、ある
種の腫瘍細胞系統に対する細胞抑制作用から、他の形質
転換細胞に対する著しい細胞溶解作用に至る範囲の細胞
毒活性スペクトルを有する。しかしながら、リンホトキ
シン活性は、一次細胞培養および正常な細胞系統に関す
る試験では、殆んどまたは全く、抗細胞活性を示さない
という特徴を有する。この様に、リンホトキシンは識別
性のある抗細胞特性を有すると予測されることから、リ
ンホトキシンが強力な抗腫瘍活性を有しているかも知れ
ないことを示唆するインビボ実験が行われる様になつ
た。
リンホトキシンのいう語句は一連の分子の呼称に用い
られてきた。リンホトキシン分子は、分子量に基いて5
つのクラスに分けられる糖蛋白質類であり、各クラスは
その電荷に関してヘテロジーニアス(異質)である。ヒ
ト−アルフア(MW70−90,000)およびベータ(MW25−5
0,000)クラスのものは、ほとんどのリンパ球上澄液中
に優勢に存在している様である。このアルフアMWクラス
は電荷に基いて少くとも7つのサブクラスに分けること
ができるが、ベータクラスは2つの明確に区別し得るサ
ブクラスに分けられている〔G.グランガー(Granger)
ら、モーゼ(Mozes)ら編、1981、セルラー・レスポン
スイズ・トウ・モレキユラー・モジユレーターズ(Cell
uler Responses to Moleculer Modulators)pp287−31
0〕。更に、コンプレツクス(MW>200,000)およびガン
マ(MW10−20,000)リンホトキシン形も確認されてい
る。様々なリンホトキシン形やクラスは、安定性や培養
中の出現動力学において互いに異つている。さらに、そ
れらは低イオン強度条件下でコンプレツクス・クラスの
ものと凝集することもある。リンホトキシンの内、低分
子量クラスのものは高分子量クラスのものに比べて比較
的不安定であり、細胞溶解作用が弱いとされている〔ヒ
セロツト(Hiserodt)ら、1976、“セルラー・イムノロ
ジイ(Cell.Immun.)”26:211;グランガー(Granger)
ら、ドウエツク(De Weck)ら編、1980、バイオケミカ
ル・キヤラクタリゼイシヨン・オブ・リンホカインズ
(Biochemical Characterization of Lymphokines)pp2
79−283〕。ガンマ・クラスは不安定なので、その活性
について広範な研究はなされていない〔G.グランガー
ら、1978“セルラー・イムノロジイー”38:388−40
2〕。ベータ・クラスも不安定であると報告されている
〔ウオーカー(walker)ら、“ジヤーナル・オブ・イム
ノロジイー(J.of Immun.)”116〔3〕:807−815〔197
6、3月〕〕。
リンホカインに関する用語は一定でないことを理解し
ておく必要がある。今日では、細胞培養産物に対する命
名は、この産物を生成すると思われる細胞、および生物
学的分析における該産物の示す性質に基いてなされてい
る。しかしながら、大多数の研究が部分的に純粋な標品
を使用しており、また、産物を特徴づけるために採用さ
れた分析法が分子特異的でないために、十分な特徴づけ
がなされているとは言えず、いずれにしてもかなり変動
しやすい。種々の細胞毒性因子類の真の同定は、アミノ
酸配列や免疫エピトープ(抗原決定基)の如き明確に分
析し得る識別可能な特性に基づいた標準的な用語がない
と、わからないままにおかれることになるであろう。細
胞毒性を有する細胞培養産物に付されたその他の名称と
しては、例えば、腫瘍壊死因子、NK細胞細胞毒性因子、
出血性壊死因子およびマクロフアージ細胞毒素またはマ
クロフアージ細胞毒性因子を挙げることができる。
同時係属出願のU.S.N.608,316(1984年5月7日出
願)、およびEP100,641A(1984年2月15日公開)には、
ヒト−リンパ芽球(様)細胞系統(セルライン)RPMI−
1788から単離されたヒト−リンホトキシンのアミノ酸配
列が示されている。
ハヤシらは、ウサギの細網内皮系を刺激した後、該ウ
サギから単離されるタンパク質について述べている(EP
132,125A、1985年1月23日公開)。このタンパク質は抗
腫瘍活性を有し、そのN−末端アミノ酸配列は、式:Ser
−Ala−Ser−Arg−Ala−Leu−Ser−Asp−Lys−Pro−Leu
−Ala−His−Val−Val−Ala−Asn−Pro−Gln−Val−Glu
−Gly−Gln−Seu−Trp−Leuで示されることを報告して
いる。
また、同時係属出願のU.S.S.N.628,059(1984年7月
5日出願)には、腫瘍壊死因子として確認され、式:Val
−Arg−Ser−Ser−Ser−Arg−Thr−Pro−Ser−Asp−Lys
−Pro−Val−Ala−His−Val−Val−Ala−Asn−Proで示
されるN末端アミノ酸配列を有する細胞毒性活性を持つ
たヒト−ポリペプチドの精製およびその組換え合成法が
開示されている。
オオニシらは、BALL−1細胞培養から、ヒト−腫瘍細
胞の増殖を抑制し、Ala−Ala N末端を有する7−91000M
Wの物質(CB×3と命名)を得たことを開示している
(アメリカ特許第4,481,137号)。
トスおよびグランガー(Toth and Granger)〔“モレ
キユラー・イムノロジイ(Mol.Immun.)”16:671−679
(1979)〕によると、ノイラミノダーゼ処理によつてリ
ンホトキシン含有リンパ球上澄液からシリアル酸を除去
しても、あるいは該上澄液にN−アセチル−グルコサミ
ン、ガラクトース、ラクトース、マンノース、α−メチ
ルマンノシツドまたはフコースを加えても、インビトロ
での細胞溶解活性になんら影響を及ぼさないことが報告
されている。従つて、トスらは、単糖類がこれらのリン
ホトキシン活性に寄与しているとは思われないと結論し
ている。しかしながら、トスらはまた、他のリンホカイ
ン類の作用には糖類が重要な役割を果していることを観
察しており、従つて、それら糖類がリンホトキシンの細
胞毒性において、より複雑なオリゴ糖の形で関与してい
る、という説を排除し得ない、と結論している。
次いで、プロクター(Proctor)、クロスターガード
(Klostergaard)およびグランガー(Granger)、ツニ
カマイシン(tunicamycin)の存在下(N−結合炭水化
物部分がリンホトキシン分子に付加されるのを避けるた
め)、PHAでヒト−リンパ球を刺激すると、生物学的に
不活性なリンホトキシンが放出される、ということを報
告している(“クリニカル・リサーチ(Clinical Resea
rch)”、1982、30(1):55A)。彼らはまた、免疫化
学的研究により、リンホトキシンの炭水化物部分は、活
性化されたリンパ細胞からその上澄液中へのリンホトキ
シンの移送および放出、にとつて必須の部分ではない
が、該炭水化物部分は、リンホトキシン分子(類)が適
切な立体配座をとるのに寄与していることから、標的細
胞を効果的に破壊する上では必須の部分である、という
ことを明らかにした。
本発明との関係において検討されるべき他の文献に
は、エバンス(Evans)、“カンサー・イムノロジイ・
アンド・イムノセラピイ”12:181−190(1982);リー
(Lee)ら、“セル・イムノロジイ”48:166−181(197
9);ドウエツク(De Weck)ら編(1980)、バイオケミ
カル・キヤラクタリゼーシヨン・オブ・リンホカインズ
pp279−312;カーン(Khan)ら編(1982年6月30日)ヒ
ユーマン・リンホカインズ(Human Lymphokines)pp459
−477;アガーワル(Aggarwal)ら、第3回国際リンホカ
イン学会〔(ハバーフオード(Haverford)、PA.にて、
1982年8月1日〜5日)〕における発表;ランソム(Ra
nsom)ら、“カンサー・リサーチ”43:5222−5227(198
3年11月);カル(Kull)ら、“ジヤーナル・オブ・イ
ムノロジイー”126(4):1279−1283(1981年4月);
J.サワダら“ジヤパン・ジヤーナル・オブ・エクスペリ
メンタル・メデイソン(Jpn.J.Exp.Med、)”46:263−2
67(1976):G.グランガーら、“セルラー・イムノロジ
イー”38:388−402(1978);J.ランデル(J.Rundell)
ら、“イムノフアーマコロジイ(Immunopharmacolog
y)”:9−18(1981);G.グランガーら“ジヤーナル・
オブ・リンホカイン・リサーチ(J.Lymphokine Re
s.)”:45−49(1982);N.ラツデル(N.Ruddle)ら、
“リンホカイン・リサーチ(Lymphokine Res.)”:23
−31(1983);M.ミツハシら(イギリス特許出願第2,10
6,117号);H.エノモト(ヨーロツパ特許出願第87,087A
号);B.ウイリアムソン(B.Williamson)”ら、“P.N.
A.S.USA"80:5397−5401(1983)およびS.ライト(S.Wri
ght)ら、“ジヤーナル・オブ・イムノロジイー"126:15
16−1521(1981)が含まれる。
これまでにリンパ球培養物から得られたリンホトキシ
ン(またはリンホトキシンであると同定された物質)
は、RPMI−1788細胞または−次リンパ細胞の上澄液中に
0.05−2×106単位/程度の低濃度で含まれているに
すぎない。収穫量にはかなりの開きがあり、また一次リ
ンパ細胞は高価である。従つて、リンホトキシンの経済
的な製造方法が求められている(ヤマモトら、“ジヤー
ナル・オブ・バイオロジカル・レスポンス・モデイフア
イヤース(J.of Biological Response Modifiers)"3:
〔1〕76−87〔1984〕)。
また、先行技術は、薬物の有用性にとつて重要な点で
あり、アミノ酸配列に関してホモジーニアス(均質)な
リンホトキシンを得ることに成功を収めていない。細胞
系統(セルライン)の培養物から回収されたリンホトキ
シンは、多分タンパク質分解的なプロセツシングに起因
して、そのアミノ末端が不均質である(前記U.S.S.N.60
8,316参照)。一次リンパ細胞(例、アデノイドまたは
末梢血液から得たもの)の培養物は、経済上の理由か
ら、必然的に様々な供給源の細胞を含有することにな
る。しかしながら、これらの細胞の産物は供給源間の遺
伝的な変動を反映しているので、得られた“リンホトキ
シン”は事実上、アレイツク(対立遺伝子)性の種(sp
ecies)の混合物となる。その様なアレル(対立遺伝
子)の比率を知り、同定することは、ロツトごとに異な
るので、明らかに不可能である。従つて、アミノ酸配列
に関して均質なリンホトキシンを製造する方法が求めら
れている。
先行技術の方法は、天然に見出される物質の、一次ア
ミノ酸配列に相当する配列を有するリンホトキシンの生
産に限定されている。これらの配列中のアミノ酸を置換
または欠失させ、あるいは別のアミノ酸をその中に挿入
することは、それがかりに達成されたにしても、広範囲
に及ぶ、高価な化学的装飾を必要とする。従つて、リン
ホトキシンのアミノ酸配列中に、容易に変異を導入する
方法が求められている。
リンホトキシン活性の抗腫瘍効果、およびその明白な
治療的価値は1968年から文献中に報告されているにもか
かわらず、従来法で得られたリンホトキシンが少量であ
ることと、ヘテロジーニアス性を有していることから、
広範囲に及ぶ臨床的なプロトコールにおいて研究がなさ
れておらず、また商業化もされていない。従つて、臨床
研究に適切な量のリンホトキシンを経済的に製造する方
法が求められている。
リンホトキシンとして同定された物質をも含めて、種
々の細胞毒の細胞溶解活性を中和し得るウサギの抗血清
が文献に記載されている(ヤマモトら“セルラー・イム
ノロジイー”38:403−416(1978);ゲイトリイ(Gatel
y)ら、“セルラー・イムノロジイー”27:82−93(197
6);ヒセロツト(Hiserodt)ら、“ジヤーナル・オブ
・イムノロジイー”119(2):374−380(1977);ザカ
ルチヤツク(Zacharchuk)ら、“P.NA.S.USA"80:6341−
6345(1983年);ラツドルら“リンホカイン・リサー
チ”(1)23−31(1983);マンネル(Mannel)ら、
“インフエクシヨン・アンド・イムニテイー(Infectio
n and Immunity)”33(1):156−164(1981);ワラ
ツク(wallach)ら、E.ドウメイヤー(E.De Maeyer)ら
編(ザ・バイオロジイー・オブ・ザ・インターフエロン
・システム(The Biology of the Interferon System)
pp293−302(1983年9月発行);およびストン−ウオル
フ(Stone−Wolff)ら、“ジヤーナル・オブ・エクスペ
リメンタル・メデイソン”159:828−843(1984年3
月))。この抗血清はポリクローナルであるので、免疫
原であるリンホトキシンに対する多種多様の抗体を含有
している。これらの抗体のどれか1つまたはそれ以上が
“リンホトキシン”活性を中和するのに働いている。ま
た、一般的に、これらの文献報告は、免疫原として用い
られたリンホトキシン活性に係る物質の分子としての同
定が不明確である。診断および免疫親和性(イムノアフ
イニテイ)精製法においては、明確かつ明瞭に同定され
たリンホトキシン分子に対する単一特異性抗体が必要と
される。本発明の目的は、その様な抗体を提供すること
にある。
本発明の他の目的は、実質的に全てのリンホトキシン
分子の一次アミノ酸配列が同じである様なリンホトキシ
ン形の組成物の経済的な製造方法を提供することにあ
る。
さらにまた本発明は、リンホトキシン形のアミノ酸配
列中に所定の変化をもたらす方法、特に、アミノ酸の欠
失、挿入、置換またはそれらを組合わせて行う方法を提
供せんとするものである。
発明の要約 本発明者らは、組換え法によつてリンホトキシン活性
を有するタンパク質を発現させることに成功し、上記の
目的を達成した。本明細書において、その活性および天
然のあるいは変異型のアミノ酸配列によつて示されるリ
ンホトキシン種は、以降リンホトキシンと称する。驚く
べきことに、ホモローガスな細胞内では微少レベルのリ
ンホトキシンしか発現されず、また、どの時点でリンホ
トキシンを暗号化したメツセンジヤーRNAがホモローガ
ス細胞中に現れるかが不確かであるにもかかわらず、リ
ンホトキシンを暗号化しているDNAが同定された。さら
に驚くべきことに、リンホトキシンをグリコシル化しな
い組換え細胞(あるいは、ホモローガス細胞と同様にそ
の様な作用を持たないだろうと考えられる組換え細胞)
内で、生物学的に活性なリンホトキシンを発現させると
共に、この様にして発現された、実質的に均一なアミノ
酸配列を有するリンホトキシンを、N末端の酵素的加水
分解を伴なうことなく、回収することができた。リンホ
トキシンを暗号化しているDNAは、細胞培養内で、培養
リゼイト(溶菌液1中に0.1〜1×10″単位以上とい
うおびただしい量で発現される。
組換え宿主細胞によるリンホトキシンの発現は、リン
ホトキシンまたはその前駆体を暗号化するのに用いたDN
A、並びに選択した宿主細胞によつて左右される。本発
明においてリンホトキシンの合成に用いた核酸配列は新
規である。それらのヌクレオチド配列は、固有の、また
は天然の配列から、以下に示す相違点の1またはそれ以
上において異ることを特徴としている:DNA中にイントロ
ンが含まれていない(ヒト−リンホトキシンの場合、ヌ
クレオチド284と285の間にイントロンが存在する(第2a
図);DNA中に、該DNAの起源である生物の他のタンパク
質を暗号化している核酸が含まれていない;リンホトキ
シンを暗号化している核酸がベクター内にライゲートさ
れている;そして/またはこの核酸は、リンホトキシン
を暗号化している核酸と雑種形成(ハイブリダイズ)す
ることができる(ただしこのハイブリダイズする核酸
は、リンホトキシンを暗号化している天然のDNAまたはR
NAのヌクレオチド配列を持つてはいない。)。
リンホトキシンを暗号化している核酸突然変異体は組
換え操作によつて生産される。リンホトキシンの5′非
翻訳または翻訳核酸に於けるサイレント突然変異を行な
う。例えばmRNAの核酸の5′領域にステム・アンド・ル
ープ構造が生じる可能性を減少させたり、天然の核酸単
離体中に見出されるコドンを宿主にとつて好ましいコド
ンで置換したりすることにより、選択した宿主内での発
現を促進することができる。
サイレントではなくて、発現される核酸の突然変異に
より、固有のリンホトキシンのアミノ酸配列を持つリン
ホトキシン種、または固有のリンホトキシンと異なるア
ミノ酸配列を有する、その一次配列変異体を生成させる
ことができる。突然変異体リンホトキシンはそのまま回
収するか、または宿主細胞内でさらに加工され、所望の
リンホトキシンを得る。
これらの核酸またはそれのハイブリダイズする核酸、
あるいはそれらのフラグメントを標識化し、リンホトキ
シンを暗号化している遺伝的物質の同定または確認のた
めのハイブリダイゼーシヨン・アツセイに用いる。
リンホトキシンの合成法は、リンホトキシンを暗号化
しているDNAをベクターにライゲートし、このベクター
を用いて宿主細胞を形質転換し、この宿主細胞を培養
し、その培養からリンホトキシンを回収することからな
る。この一般的な方法を用い、ベクターの組立ておよび
形質転換のための宿主の選択に応じて、固有のリンホト
キシンのアミノ酸配列を有するリンホトキシンを合成す
るか、あるいは、新規なリンホトキシン変異体を組立て
る。本発明に従つて得ることができるリンホトキシン種
には、ロイシル(ロイシン)−アミノ末端リンホトキシ
ン、ヒスチジル(ヒスチジン)−アミノ末端リンホトキ
シン、プレーリンホトキシン、並びに以下に示す種々の
リンホトキシン変異体が含まれる:(a)ヘテロローガ
スなタンパク質またはポリペプチドがペプチド結合によ
つてリンホトキシンのアミノ末端および/またはカルボ
キシ末端に結合してなる融合タンパク質、(b)リンホ
トキシンフラグメントであつて、特に、そのフラグメン
トのアミノ末端アミノ酸がプレリンホトキシンの−34か
ら+23までのアミノ酸のいずれかである様な、プレリン
ホトキシンのフラグメント、(c)1または1以上のア
ミノ酸残基が置換、挿入または欠失しているリンホトキ
シン突然変異体、(d)メチオニルアミノ末端誘導体、
または装飾されたメチオニル(ホリミルメチオニル、そ
の他の保護されたメチオニル基)アミノ末端誘導体、お
よび/または(e)以上全てについて、グリコシル化さ
れていないものおよび様々にグリコシル化されたもの。
真核性の分泌型リーダー配列(リンホトキシン固有の
分泌型リーダーを含む)に機能的にライゲート(結合)
したリンホトキシン暗号化核酸によつて哺乳類細胞を形
質転換するか、あるいはリンホトキシンを暗号化してい
る核酸を、ベクター内の原核性または酵母性の分泌リー
ダー配列であつて形質転換しようとしている宿主細胞が
認識し得るリーダー配列(通常、宿主細胞は、リーダー
配列の供給源微生物である)に機能的にライゲートし、
このベクターで形質転換した宿主を培養すると、その培
養物からアミノ末端がメチオニル化されていないリンホ
トキシン種を常法通り回収することができる。
また、リンホトキシンを暗号化しているDNAを分泌リ
ーダー配列を含んでいないベクターに機能的にライゲー
トさせ、これを用いて宿主細胞を形質転換する場合は、
通常合成されるリンホトキシン種は、アミノ末端メチオ
ニル残基またはホルミルメチオニルの如き修飾されたメ
チオニル残基で置換される。
本発明は、これまでは入手することができなかつたリ
ンホトキシン変異体を発現させる様、インビトロにおい
てリンホトキシンを暗号化している核酸に突然変異を起
こす方法を提供するものである。第一の方法は、リンホ
トキシンを暗号化しており、直接的に発現される(即
ち、分泌リーダー配列と機能的に結合していない)核酸
で形質転換した宿主細胞により、N末端メチオニル、ま
たは修飾メチオニルリンホトキシンを発現させる方法で
ある。
第二の方法は、インビトロにおいて、部位特異的に、
所定のまたはランダムは突然変異を誘発し、リンホトキ
シンを暗号化している核酸に、欠失、置換および/また
は挿入を行なう。この様にしてリンホトキシン融合物を
生成させる。突然変異した核酸の発現によつて得られる
リンホトキシンは、改良された特徴を示す。
最後の方法では、新規なリンホトキシン種である、グ
リコシル化されていないまたは異様にグリコシル化され
たリンホトキシンを得る。非−グリコシル化リンホトキ
シンは、リンホトキシンを暗号化しているDNAの原核生
物内での発現によつて生産される。異様にグリコシル化
されたリンホトキシン種は、より高等な真核細胞(通
常、哺乳類の細胞)の形質転換体の組換え培養により、
生産される。
本発明方法で生産されたリンホトキシンは、培養物の
上澄みまたはリゼイト(溶解物)から、不溶化されたリ
ンホカイン中和抗体を使用したイムノアフイニテイ吸着
法により精製することができる。モノクローナル細胞培
養中で最も効率良く生産されるこの抗体は、明ばん(ア
ルム)に吸着させたリンホトキシンで免疫化したマウス
で生成させる。
本発明に係るリンホトキシンは、生理学的に無毒な安
定剤や賦形剤と混合し、投薬ビン内で凍結乾燥して滅菌
投与剤形にするか、安定化した水剤の形で保存し、治療
に用いることができる。あるいは、このリンホトキシン
をポリマー・マトリツクスの中に組込ませ、腫瘍部位ま
たは腫瘍切除に係る術後部位に埋め込むことにより、リ
ンホトキシンが局所的に高い濃度勾配で、好機に放出さ
れる様にすることもできる。
本発明に係る治療用組成物は、その治療有効量を、悪
性腫瘍を有する動物、特に人間の患者に、埋め込み、注
射または注入することにより、投与し得る。
図面の解説 第1a図はリンホトキシンフラグメントを暗号化してい
るDNA配列および推定のアミノ酸配列の模式図である。
第1b図は第1a図に示したフラグメントを暗号化してい
る合成DNAの組立て模式図である。
第2a図はプレリンホトキシンの全アミノ酸配列、並び
に、5′および3′非翻訳領域をも含めた、その暗号DN
Aの模式図である。
第2b図はメチオニル・ロイシル−アミノ末端リンホト
キシンおよびそのアミノ末端メチオニル誘導体のための
発現ベクターの組立て方法を示す模式図である。
第3図はメチオニル・ヒスチジル−アミノ末端リンホ
トキシンのための発現ベクターの組立て方法を示す模式
図である。
第4図はヒト、ネヅミおよびウシのリンホトキシンア
ミノ酸配列、並びにこれらの哺乳類におけるリンホトキ
シン共通(コンセンサス)塩基配列を示す模式図であ
る。
第5aおよび5b図はリンホトキシンと細菌性シグナル配
列の融合物を暗号化しているプラスミドの組立て模式図
である。
詳細な説明 本明細中では、リンホトキシンを、実質上、第2a図に
示したリンホトキシンのアミノ酸配列の少くとも1部分
とホモロジイ(相同)な構造アミノ酸領域を有する、生
物学的に活性なポリペプチドと定義する。生物学的活性
は以下に述べる選択的な細胞毒活性、細胞毒リンホトキ
シンとの免疫交差反応活性、あるいは細胞表面のリンホ
トキシン受容体に対する細胞毒リンホトキシンとの競合
能力に基づいて定められる。後二者の場合においては、
リンホトキシンがそれ自体、細胞毒性であることを要し
ない。免疫学的交差反応性を有する突然変異体は動物の
体内に抗リンホトキシンを生成させるための免疫原とし
て有用であり、例えばイムノアツセイ用試薬を製造する
上で有用であり、一方非−細胞毒性の競合的突然変異体
は、生物学的に活性なリンホトキシンの競合的なイムノ
アツセイにおいて、標識化した試薬として用いることが
できる。
選択的細胞毒活性とは、インビボまたはインビトロに
おいて、同じ条件下にある正常細胞と比較した場合に、
腫瘍細胞を優先的に破壊するかまたはその増殖を阻害す
る様な活性である、と定義する。活性の測定において
は、インビトロでは溶解、インビボでは壊死による腫瘍
細胞の破壊を終末点に用いるのが好ましいが、細胞性塞
栓活性または増殖阻害活性を利用してもよい。
リンホトキシンの抗細胞活性を検出するのに好適の測
定法はB.アガーワル(B.Aggarwal)ら“ジヤーナル・オ
ブ・バイオロジカルケミストリイ”259(1)、689−69
1およびE.カースウエル(E.Carswall)ら、1975、“プ
ロシーデイングス・オブ・ザ・ナシヨナル・アカデミイ
・オブ・サイエンスイズ・オブ・ザ・USA"72、3666−36
70によつて示されている。
本明細中では、リンホトキシンの特異活性を、細胞塞
栓活性ではなく標的細胞の溶解に基づいて定義する。リ
ンホトキシン1単位は、実施例1に記載する如く、各ウ
エルにプレートした標的細胞の50%を溶解させるのに必
要な量である、と定義する。しかしながら、他の細胞毒
活性の測定方法も可能である。
実質的に構造上ホモロジイ(相同)である、とは、通
常、そのポリペプチド中のアミノ酸残基の内約60%以
上、一般的には約70%以上が第2a図に示した対応する残
基と同じであるかまたは保存的置換であることを意味す
る。
リンホトキシンポリペプチドの全配列が第2a図に示し
た配列とホモローガスである必要はない。そのものが所
望の生物学的活性を示す限り、一部分だけが第2a図の配
列中のどこかとホモローガスであつてもよい。通常、ホ
モロジイ領域は、ホモロジイを最大にするために時折ギ
ヤツプを導入する必要があるということをふまえた上
で、約20〜100アミノ酸残基の領域について証明される
ことが必要である。
第2a図に示した配列とホモロジイである領域がリンホ
トキシンの鍵(key)領域(即ち、細胞毒活性にとつて
重要な領域)の1つでない場合は、この定義の範囲に入
るポリペプチドに要求されるホモロジイはもつと少なく
てよい。第2a図の配列中の鍵領域は残基約162〜171、52
〜83および127〜148の領域であると思われる。
リンホトキシンは、具体的にヒトの腫瘍の壊死因子、
または天然の動物におけるその類似体を除くと定義され
ている(D.ペニカ(D.Pennica)ら、“ネイチヤー”31
2:20/27 1984年12月号、pp.724−729、およびB.アガー
ワルら“ジヤーナル・オブ・バイオロジカル・ケミスト
リイ”260〔4〕:2345−2354〔1985〕)。
構造上の類似性とは、アミノ酸側鎖の主要な特性、例
えば塩基性、中性または酸性、親水性または疎水性、あ
るいは立体的な大きさがあるか無いか等の性質について
の類似性をいう。構造上類似であるアミノ酸の一方を他
方と置換することは、当該技術分野で通常、保存的置換
として知られている。
あるポリペプチドがリンホトキシンであると同定する
上で重要なフアクターは、実質的にホモジーニアスなリ
ンパ芽球様(または天然の)リンホトキシンを実質上中
和し得る抗血清が、該ポリペプチドの細胞毒活性をも実
質上中和することができる、ということである。しかし
ながら、免疫学的な同定と細胞毒に基く同定とは必ずし
も同じ幅を持つている訳ではないことは理解されよう。
例えば、第2a図のリンホトキシンに対する中和抗体は、
該中和抗体がたまたまリンホトキシンの細胞毒活性にと
つて必要な領域に隣接した領域に結合するものである、
という理由で(ただしこの中和抗体はリンホトキシン活
性部位に対する立体障害作用を介して中和作用を奏す
る)、リンホトキシン候補のタンパク質とは結合しない
かもしれない。この様な無関係な領域に突然変異を生じ
た候補タンパク質はもはや中和抗体とは結合しないが実
質的なホモロジイーおよび生物学的活性、という観点か
らは依然、リンホトキシンである。
リンパ芽球様細胞系統(セルライン)の培養によつて
得られたリンホトキシンは次の特徴を有する:分子量は
グリコシル化およびN末端の変化の程度に応じて、20,0
00または25,000である:Asn+62(第2a図参照)がグリコ
シル化されている;凝集し易く、特にマルチマー(重合
体)を形成し易い;等電点は約5.8である;pH変化に不安
定である(重炭酸アンモニウム緩衝液(濃度10μg/ml)
中、pHレベル約5以下または約10以上で24時間保つと、
細胞毒活性が50%以上失われる);水溶液中で、80℃に
おいて5分間インキユベートすると実質的に活性が消失
する。2種類の分子量のリンパ芽球様リンホトキシン種
が同定されている。それらリンパ芽球様リンホトキシン
の内、25,000da種はアミノ末端にロイシン残基を有して
いる。この25,000da種の一次アミノ酸配列を有するポリ
ペプチドはロイシル(ロイシン)−アミノ末端リンホト
キシンと呼ばれる。リンパ芽球様リンホトキシンの内、
20,000da種はアミノ末端にヒスチジンを有することが特
徴であり、相当する配列をヒスチジル(ヒスチジン)−
アミノ末端リンホトキシンと称する。これらの特徴がリ
ンパ芽球様細胞培養から得られた天然の、あるいは野生
型のヒト−リンホトキシンを表わしているということを
認識することは重要なことである。本明細書で定義した
リンホトキシンには天然の、グリコシル化されたリンホ
トキシンが含まれるが、その他の関連の細胞毒性ポリペ
プチドも定義の範囲内に含まれる。例えば、動物のリン
ホトキシンに一般に付随しているグリコシル化部分は、
ヘテロローガスな真核性の組換え宿主細胞内で発現され
る場合には修飾されるかもしれず、その結果、ヒト−リ
ンパ芽球様リンホトキシンについて確立されている分子
量あるいは等電点と異なる性質の、修飾されたリンホト
キシンが生成されることになる。組換え細菌培養中で
は、それ相応の修飾を受けた分子量、等電点、およびそ
の他の特性を持つた、全くグリコシル化されていないリ
ンホトキシンが生産される。さらに、ある動物種(第1
番目の動物)から得られた細胞系統内で他種動物(第2
番目の動物)のプレリンホトキシンが翻訳後プロセツシ
ングを受けると、その第2番目の動物種の場合において
通常であるものとは異るアミノ末端残基が得られるかも
しれない。同様に、本発明の突然変異誘発方法によつ
て、例えばリンホトキシンのアミノ酸配列やN末端を変
化させ、そうすることにより、pH安定性や等電点を改良
することができる。
翻訳されたヒト−リンホトキシンのアミノ酸配列を第
2a図に示した。この配列中には34残基からなるプレー配
列が含まれており(その突然変異体を含めて、ここでは
“プレーリンホトキシン”と称する)、これはヒト−細
胞内での翻訳された転写体の正常なプロセツシング過程
で除去され、その結果ロイシル(ロイシン)−アミノ末
端種が得られる、という点に留意すべきである。ヒスチ
ジル(ヒスチジン)−アミノ末端種は、このロイシル−
アミノ末端種の最初の23個のアミノ酸を有しないことを
除いて、該ロイシル−アミノ末端種とホモローガスであ
る。これらの3種、即ち、プレーリンホトキシン、ロイ
シル−アミノ末端リンホトキシン、およびヒスチジル−
アミノ末端リンホトキシンは全て、そのメチオニル突然
変異体、修飾されたメチオニル突然変異体、および非−
グリコシル化体と共に、本発明のリンホトキシンの範囲
内に包含される。非−グリコシル化体およびヒスチジル
−アミノ末端種は、前記のリンパ芽球様細胞からのホモ
ローガスな種よりも低分子量であろう。
プレーリンホトキシンは前記の定義の範囲内に含まれ
るリンホトキシンの一種である。その特徴は、分子のア
ミノ末端にシグナル(またはリーダー)ポリペプチドが
存在することにある。一般に、リンホトキシンの天然の
シグナル(信号)ポリペプチドは、このタンパク質が細
胞から分泌される際の分泌プロセスの−プロセスとし
て、リンホトキシンからタンパク分解的に開裂される。
この信号ペプチドは微生物あるいは哺乳動物(天然の、
この34残基からなるプレー配列をも含む)のいずれのも
のであつてもよいが、宿主細胞にとつてホモローガスな
信号であることが好ましい。ある種の信号−リンホトキ
シン融合物は宿主細胞によつて認識されず、N−末端の
メチオニ不含リンホトキシンに加工“プロセス”されな
い。微生物性の信号を含有する融合物は、例えばリンホ
トキシン免疫源として用いることができる。
“細胞毒活性を有する”という語句は、例えば酵素的
加水分解を受けて、酵素原に似た不活性な状態から、所
望の生物学的活性を現わすポリペプチドフラグメントへ
と変換され得るポリペプチドを含むリンホトキシンを示
すことに注目されたい。インビトロまたはインビボで
“細胞毒性活性を有する”という語句は、例えば酵素的
加水分解により、酵素原に似た不活性な状態から明確な
生物学的活性を現わすポリペプチドフラグメントに変換
され得る、非−細胞毒性ポリペプチドを包含する。一般
に、不活性は前駆体は、リンホトキシンのカルボキシ末
端に他のタンパク質またはポリペプチドがペプチド結合
を介して結合している融合タンパク質である。インビボ
で、あるいはまたインビトロにおける製造工程の一段階
として、タンパク分解的加水分解を受け易くしてリンホ
トキシンを放出させるために、このポリペプチド結合ま
たはその近くの配列を選択する。代表的な結合配列はly
s−lysまたはarg−lysである。その様なプロリンホトキ
シン中の非リンホトキシン成分は、該融合物の免疫原性
を最少限度にするため、ホモローガスなタンパク質であ
ることが好ましい。このホモローガスなタンパク質は無
毒であり、かつ細胞表面と結合しないものであることを
要する。この様にして生成したリンホトキシンは、明確
な、所望の細胞毒活性を現わす。
通常、リンホトキシンとはヒト−リンホトキシンを表
わすが、ネズミ、ブタ、ウマまたはウシの様な他の供給
源から得られたリンホトキシンも、それが、ホモローガ
ス領域および生物学的活性に関して述べた前の基準に合
致する限り、リンホトキシンの定義内に含まれる。例え
ば、ウシおよびネズミのリンホトキシンはヒト−リンホ
トキシンと高度(約80%)のホモローガス性を有する。
リンホトキシンは種特異的でなく、例えばヒト−リンホ
トキシンはマウスの腫瘍および新生細胞系統に対して活
性である。従つて、ある種から得たリンホトキシンを他
の種の治療に用いることができる。
リンホトキシンには重合形も含まれる。リンホトキシ
ンは自然に凝集し、通常、二重体またはそれ以上のマル
チマーに重合する。マルチマーは細胞毒性を有するので
イビボでの治療に用い得る。組換え宿主内で発現される
リンホトキシンはモノマーである。しかしながら、その
後、リンホトキシンは自然にマルチマーを形成する傾向
がある。均質なマルチマー、あるいは種々のマルチマー
の混合物は治療上有用である。
変異型リンホトキシンには、第2a図に示した分子の予
め定められた、または標的をしぼつた変異体、即ち、部
位特異的突然変異体またはそのフラグメントが含まれ
る。変異型リンホトキシンとは、そのアミノ酸配列が、
残基の欠損、置換または挿入のいずれかによつて第2a図
に示した配列と異つていることを特徴とする、という点
を除けば、リンホトキシンについて定義した特性を有す
るポリペプチドを意味する。本明細書中に述べる非−ヒ
トリンホトキシン、およびヒト−リンホトキシンのアレ
ル体は、天然の対応物を持たない部位指定性突然変異リ
ンホトキシンであるといえる。突然変異変異型誘発の目
的は、上に定義したリンホトキシンをコードしており、
かつ、天然のリンホトキシンの生物学的活性を改良し、
あるいは、リンホトキシンの製造を容易ならしめるとい
う特性を示すDNAを組立てることにある。例えば、リジ
ン残基の代りにヒスチジン残基を発現させるためにリジ
ン+89コドンを突然変異させる。このヒスジン+89はも
はやトリプシンで加水分解されない(トリプシンは、通
常、arg−Xまたはlys−X結合の位置でタンパク質を開
裂する)。かくしてプロテアーゼ耐性を得たこの突然変
異体は、第2a図の配列を有するリンホトキシン(または
そのフラグメント)よりも長い生物学的半減期を有する
ことになる。その他のリンホトキシン内のリジンまたは
アルギニン残基(例、リジン+28、リジン+19またはア
ルギニン+15)もヒスチジンに変異させることができ
る。
前記の如く、リンホトキシン分子のある領域は腫瘍壊
死因子と呼ばれる類似した活性を有するタンパク質と実
質上ホモロジイである。この様な、実質的にホモロジイ
な領域またはそのすぐ両隣りの領域のアミノ酸残基は、
様々な生物活性、および細胞毒活性を示すリンホトキシ
ン突然変異体を同定することを目的として突然変異を誘
発するのに好都合である。その様な突然変異体は自体既
知の方法で生成させることができ、所望の生物学的活
性、例えば治療すべき特定の新生物に対して増強された
細胞毒性、あるいは動物の免疫化を目的とするリンホト
キシン種の場合ならば、より強力な免疫応答を若起させ
る能力等に関してスクリーニングする。その様なリンホ
トキシン変種の例を次下に示す:Ala+168を分枝鎖アミ
ノ酸(val、ileまたはleu)に変異させる;thr+163とva
l+164の間に疎水性アミノ酸(例、phe、val、ileまた
はleu)を挿入する;thr+163をチロシンで置換する;ser
+82をリジンで置換する;ser+42をイソロイシン、ロイ
シン、フエニルアラニン、バリンまたはヒスチジンで置
換する;lys+84をグリタミン、トリプトフアン、セリン
またはヒスチジンで置換する;ser+82を欠失させる;leu
+171に疎水性のジ−またはトリペプチドを融合させる;
thr+163をアスパラギン酸またはリジンで置換する;glu
+127とpro+128との間にala−lysを挿入する;ser+70
をリジンまたはグリシンで置換する;thr+69をチロシン
で置換する;lys+28をアルギニンまたはフスチジンで置
換する;his+32をアルギニンまたはリジンで置換する;a
sp+36をプロリン、セリン、スレオニン、チロシンまた
はグルタミン酸で置換する;ser+38をチロシン、メチオ
ニンまたはグルタミン酸で置換する;ser+61をスレオニ
ン、チロシン、ヒスチジンまたはリジンで置換する;gly
+124をアスパラギン酸、セリンまたはチロシンで置換
する;his+135をアルギニン、リジン、チロシン、トリ
プトフアンまたはプロリンで置換する;thr+142をアス
パラギン酸で置換する;そしてgln+146をリジンまたは
スレオニンで置換する。
ヒト−リンホトキシン残基の+20、+120および+133
におけるメチオニン残基が欠失している突然変異体が特
に望ましく、あるいは、更に好ましくは、それらが本明
細書中に記載した他の種のリンホトキシン中に見出され
る、対応する残基で置換されている突然変異体が特に好
ましい。例えば、met+20、+120および+133をそれぞ
れスレオニン、セリンおよびバリンで置換する。これら
はウシ−リンホトキシン中の対応残基である。置換は、
自体既知の方法に従い、更にM13Mp8をフアージを用いた
突然変異誘発工程を経てmet+133をvalに変異させるこ
とを除けば、実施例9に示した方法によつて行うことが
できる。この突然変異体である、動物種ハイブリツドリ
ンホトキシンDNAを実施例7におけるロイシル−アミノ
末端DNAの代りに用い、融合物として発現させる。既知
の方法に従い、臭化シアンを用いてこのハイブリツドリ
ンホトキシンからSTIIシグナル(信号)を開裂させ、成
熟ロイシル−アミノ末端リンホトキシン変種を回収す
る。
その他の有用なリンホトキシン変種は、腫瘍壊死因子
中の残基対応するリンホトキシン残基が置換されて形成
されたハイブリツド・腫瘍壊死因子−リンホトキシン変
異体である。その代表例は、成熟腫瘍壊死因子の最初の
8、9または10個の残基(例、val−arg−ser−ser−se
r−arg−thr−pro−ser−asp−)でロイシル・アミノ末
端リンホトキシンの最初の27残基が置換されたものであ
る。この変種は大腸菌(E.coli)内での直接発現に際し
て、N末端の脱メチオニル化をより起こし易いと思われ
る。
突然変異誘発部位は予め定めておくが、突然変異その
ものを予め定めておく必要はない。例えばヒスチジン+
89での適切なリンホトキシン突然変異体を得るために
は、リジン+89に関するコドンの無作為な変異誘発を行
い、発現されたリンホトキシン突然変異体を、細胞毒活
性とタンパク分解酵素耐性の適当な組合わせについてス
クリーニングする。
リンホトキシンには、通常、アミノ酸残基数約1〜10
程度の挿入、または約1〜30残基の欠失も含まれる。置
換、欠失、挿入、またはそれらの併用、等を組合わせて
最終的な組立てを行う。挿入には、アミノ末端またはカ
ルボキシ末端の融合、例えばカルボキシ末端に疎水性の
延長部分を付加すること、も含まれる。しかしながら、
置換的突然誘発だけを行うことが好ましい。言うまでも
なく、暗号DNA内における突然変異は、その配列をリー
デイングフレーム外に位置せしめるようなものであつて
はならず、また、mRNAの二次構造を形成させる可能性の
ある相補領域をつくらないことが好ましい。ロイシル−
アミノ末端リンホトキシンの後部16個のカルボキシ末端
アミノ酸、または前部約33個のアミノ末端残基が欠失さ
れたリンホトキシン突然変異体を暗号化しているDNAを
含有するベクターで形質転換された大腸菌の抽出液は細
胞毒活性を示さない。しかしながら、この活性の欠如の
原因は不明であり、後述の実施例1に示した理由のいづ
れかによるものであろう。
リンホトキシンを暗号化しているDNAに於ける突然変
異の全てが組換え細胞培養内で最終的な生産物として発
現されるわけではない。例えば、置換型のDNA突然変異
体の主なものは、第2a図の分泌リーダーが、その34個の
リーダー残基内での欠失、または置換のいずれかによ
り、固有のリーダー配列の全部または大部分を所望の宿
主によつて一層認識され易いリーダーに置き換え、別の
リーダー配列に変えたものである。例えば、原核性の発
現ベクターを組立てるには、第2a図の分泌リーダーを細
菌性のアルカリ性ホスフアターゼまたは熱安定性エンテ
ロトキシンIIリーダーに有利な様に欠失させ、酵母のた
めの発現ベクターを組立てるには、第2a図のリーダー配
列を酵母インバターゼ、アルフア因子、または酸ホスフ
アターゼ・リーダーに好都合な様に置換する。しかしな
がら、このことはヒト分泌リーダがヒト細胞系統以外の
宿主では認識されない、ということを意味するものでは
ない。宿主によつて分泌リーダーが“認識”されると、
通常、リンホトキシンとリーダーからなる融合タンパク
質はリーダー−リンホトキシン間のペプチド結合の位置
で切り開かれ、通常リンホトキシンが分泌される。この
様に、宿主の形質転換に突然変異DNAを用いても、得ら
れるリンホトキシン生産物は、融合物のプロセツシング
に関する宿主の機能に応じて、融合型、または固有のリ
ンホトキシンのいずれかとなる。
リンホトキシン変異体として発現されないもう一つの
主要なDNA突然変異体は、発現を促進する様にヌクレオ
チド置換を行なうものであり、(それは、主として転写
されたmRNA内でステム・アンド・ループ構造が生じるこ
とを避ける(同時出願係属中のU.S.S.N.303,687号参
照)ことにより行なう)、かもう1つは選択した宿主内
で、より転写され易いコドンを与える(例えば、大腸菌
内で発現させるには、よく知られている大腸菌にとつて
好ましいコドンがある)ためにヌクレオチド置換を行な
うものである。
突然変異した核酸は、自体周知の方法によつて製造さ
れる〔A.フイ(A.Hui)ら、1984、“EMBOジヤーナル(T
he EMBO Journal)(3):623−629;J.アデルマン
(J.Adelman)ら、1983“DNA"(3):183−193;イギ
リス特許出願第2,130,219A;G.ウインター(G.Winter)
ら、1982、“ネイチヤー"299:756−758;およびR.ワラス
(R.Wallace)ら、1981、“ヌクレイツク・アシツズ・
リサーチ(Nucleic Acids Research)”(15):3647
−3656〕。これらの方法には、M13フアージ突然変異誘
発、実施例1およびそれ以降に伸べ、突然変異体リンホ
トキシン遺伝子の合成、あるいはその他の、当該技術分
野で既知の、または既知となるであろう方法が含まれて
いる。
リンホトキシンを暗号化している核酸には、そのヌク
レオチド配列が天然に見い出される配列に相当するか否
かに係らず、本発明のリンホトキシンの定義内に含まれ
るポリペプチドを暗号化しているあらゆるDNAまたはRNA
配列が含まれる。更に、少くとも低いストリツジエンシ
イ(stringency)条件下に、リンホトキシンを暗号化し
ている核酸とハイブリダイズし得る核酸は、例えそのハ
イブリダイズし得る拡散が、それ以外の点ではリンホト
キシンの明確な定義にかなうタンパク質をコード(暗号
化)していなくても、本発明の範囲内に含むものとす
る。後者の例としてプローブがある。何故ならば、それ
が暗号化している短いポリペプチドは、生物学的に活性
なリンホトキシンを発現しないからである。リンホトキ
シンを暗号化している核酸、またはそれとハイブリダイ
ズし得るものは、実質上、実施例1に示した有機合成法
に従つて製造するか、あるいは本明細書中の実施例に示
した如く、ゲノムまたはcDNAライブラリイをプローブす
ることにより、天然起源のものから得ることができる。
本発明のリンホトキシンは、一般に、所望のリンホト
キシンを暗号化している核酸を担つたベクターによる宿
主細胞の形質転換を必要とする方法によつて得られる。
ベクターとは、複製可能なDNA組立て物である。本発明
においては、リンホトキシンを暗号化しているDNAの増
幅、あるいは発現のためにベクターを用いる。発現ベク
ターとは、その内部で、リンホトキシンを暗号化してい
るDNA配列が、適当な宿主内でリンホトキシンを発現さ
せ得る適当なコントロール配列と機能的に結合してい
る、DNA組立て物である。その様なコントロール配列に
は転写プロモーター、転写をコントロールするための任
意のオペレーター配列、適切なmRNAリボゾーム結合部位
をコードしている配列、および転写および翻訳の終止を
コントロールするための配列が含まれる。
ベクターはプラスミド、ウイルス(フアージを含
む)、または組込み可能なDNAフラグメント(即ち、組
換えによつて宿主のゲノム内に組込まれ得るもの)であ
つてよい。適当な宿主に導入(トランスフオーム)され
ると、ベクターは宿主ゲノムとは独立に複製、機能し、
または、ある場合にはゲノムそのものの中に組込まれ
る。プラスミドは、今日最も普通に用いられるベクター
であるため、本明細書中では、時に、“プラスミド”と
“ベクター”とを相互変換可能な用語として用いること
とする。しかしながら、同等の機能を有し、当該技術分
野で知られており、またはいずれ知られるであろう、そ
の他の形のベクターも全て、本発明方法に用いるのに好
適である。
好適なベクターは、発現させようとする宿主と適合し
得る種から導かれたレプリコンおよびコントロール配列
を含んでいる。形質転換された宿主細胞とは、組換えDN
A技術を用いて組立てられたリンホトキシンベクターで
形質転換され、もしくはトランスフエクトされた細胞で
ある。形質転換された宿主細胞は、通常、リンホトキシ
ンを発現する。発現されたリンホトキシンは、選択され
た宿主細胞により、細胞内に止まるか、あるいはペリプ
ラスミツク空間、または培養液の上澄に分泌される。
DNA領域は、それらが、互いに機能的に関連している
場合は、機能的に結合している。例えば、プレ配列また
は分泌リーダーのためのDNAは、それがポリペプチドの
分泌に当るプレタンパク質として発現されるならば、該
ポリペプチドに関するDNAと機能的に結合している;プ
ロモーターは、それが結合している暗号配列の転写をコ
ントロールするならば、該配列と機能的に結合してい
る;リボゾーム結合部位は、それが結合している暗号配
列を翻訳され得る位置に置くならば、該配列と機能的に
結合している。一般に、機能的に結合している、という
ことは近接(コンテイギユアス)していることを意味
し、特に分泌リーダー配列の場合には、近接し、かつ解
読相内にあることを意味する。
適当な宿主細胞は、原核細胞、酵母細胞およびより高
等な真核細胞である。原核生物にはグラム陽性またはグ
ラム陰性の微生物、例えば、大腸菌やバチルス(桿菌、
Bacilli)が含まれる。より高等な真核細胞には、以下
に述べる如く哺乳類動物起源から得られた細胞系統(セ
ルライン)が含まれる。好適な宿主細胞は実施例に記載
した、フアージ耐性のE.coli W3110(ATCC27,325)株で
あるが、他の原核性物、例えばE.coli B、E.coli X 177
6(ATCC31,537)、E.coil 294(ATCC31,446)、シユー
ドモーナス(pseudomonas)種、あるいはセラシア・マ
ーセサンス(Serratia Marcesans、霊菌)等も適する。
リンホトキシンの発現には原核性宿主−ベクター系が
好ましい。適当な微生物系ベクターは、多数手に入れる
ことができる。一般に、微生物類のベクターは所望の宿
主が認識し得る複製起源、宿主内で機能し得るプロモー
ター、並びに表現型の選択性遺伝子(例えば抗生物質耐
性を付与する遺伝子、または栄養要求変異種の要求を与
える様な遺伝子)を含む。他の宿主に関しても、同様な
組立て物を作ることができる。大腸菌は、通常、E.coli
種から得られるプラスミドpBR322を用いて形質転換され
る(ボリバー(Bolivar)ら、1977、“ジーン(Gen
e)”:95)。pBR322はアンピシリンおよびテトラサイ
クリン耐性のための遺伝子を含有しており、これらは形
質転換細胞を容易に同定し得る手段となる。
発現ベクターは宿主微生物によつて認識され得るプロ
モーターを含有する必要があるが、クローニングベクタ
ーにはその必要がない。一般にプロモーターは所望の宿
主にとつてホモローガスである。組換えDNAの組立てに
最も普通に用いられるプロモーターは、β−ラクタマー
ゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーター系
(チヤン(Chang)ら、1978“ネイチヤー”、275:615;
およびゲツデル(Goeddel)ら、1979“ネイチヤー”281
544)、トリプトフアン(trp)プロモーター系(ゲツ
デル(Goeddel)ら、1980“ヌクレイツク・アシツズ・
リサーチ”:4057およびEPO出願公開番号第36,776)、
並びにsacプロモーター〔H.ドウボエル(H.De Boer)
ら、“プロシーデイングス・オブ・ザ・ナシヨナル・ア
カデミイ・オブ・サイエンスイズ、U.S.A"80:21−25(1
983)〕が含まれる。これらが最も普通に用いられてい
るが、その他の微生物プロモーターも使用し得る。それ
らの詳しいヌクレオチド配列は公開されており、それに
よつて当業者は、それらをプラスミドベクター内のリン
ホトキシン暗号化DNA(シーベンリスト(Siebenlist)
ら、1980、“セル”20:269)、およびリンホトキシンを
暗号化しているDNAと、機内的にライゲート(結合)さ
せることができる。現在のところ好ましいベクターは、
大腸菌アルカリ性ホスフアターゼプロモーターとtrpシ
ヤイン−ダルガノ配列を有するpBR322誘導体である。こ
のプロモーターおよびシヤイン−ダルガノ配列を、リン
ホトキシンを暗号化しているDNAと機能的に結合させる
(即ち、DNAからのリンホトキシンmRNAの転写を促進す
る様に位置せしめる)。
この原核生物に加えて、酵母培養の如き真核性微生物
もリンホトキシン−暗号ベクターにより、形質転換され
る。下等な真核性微生物宿主の内、サツカロミケス・セ
レビシエ(saccharomyces cereviciae)または通常のパ
ン酵母が最も一般的に用いられるが、その他多数の菌株
も普通に用い得る。酵母ベクターは、通常、2ミクロン
酵母プラスミドからの複製起源または自律的複製配列
(ARS)、プロモーター、リンホトキシン(特にヒト−
プレリンホトキシンを含む)を暗号化しているDNA、並
びにポリアデニル化、転写終止、および選択遺伝子のた
めの配列を含有している。酵母内でリンホトキシンを発
現させるのに好適なプラスミドはYRp7である(ステイン
チコム(Stinchcnmb)ら、1979、“ネイチヤー”282:3
9;キングスマン(Kingsman)ら、1979、“ジーン”、
:141;チエンパー(Tschemper)ら、1980“ジーン”1
0:157)。このプラスミドは既にtrp1遺伝子を含有して
いるので、トリプトフアン中で増殖する能力を持たな
い、酵母の突然変異株(例えばATCC No.44076またはPEP
4−1(ジヨーンズ(Jones)、1977、“ジエネテツク
ス"85:12)に選択マーカーを与える。この酵母宿主細胞
ゲノムにtrp1障害があるので、形質転換体をトリプトフ
アンの非存在下で増殖させることによつて、形質転換体
を検出する際の有効な環境を提供することになる。
酵母用ベクターの好適なプロモーテイング配列には、
以下のものに対するプロモーターが含まれる:メタロチ
オナイン(metallothionein)、3−ホスホグリセレー
ト・キナーゼ(ヒツツマン(Hitzeman)ら、1980“ジヤ
ーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリイ”255:20
73)またはエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホス
フエート・デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベ
ート・デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、
グルコース−6−ホスフエート・イソメラーゼ、3−ホ
スホグリセレート・ムターゼ、ピルベート・キナーゼ、
トリオセホスフエート・イソメラーゼ、ホスホグルコー
ス・イソメラーゼ、グルコキナーゼ等の他の解糖酵素類
(ヘス(Hess)ら、1968、“ジヤーナル・オブ・アドバ
ンス イズ・イン・エンザイム・レグ(J.Adv.Enzyme R
eg.)”:149;およびホランド(Holland)ら、1978、
“バイオケミストリイ”17:4900)。更に、酵母内で発
現させる上で好適なベクターおよびプロモーターはR.ヒ
ツツマン(R.Hitzeman)により、EPO公開番号第73,657
号の中に記述されている。
その他、増殖条件によつて転写がコントロールされる
という利点をさらに有するプロモーターとして、アルコ
ール・デヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸ホ
スフアターゼ、窒素代謝に関連する減成酵素、前記メタ
ロチオナイン、グリセルアルデヒド−3−ホスフエート
・デヒドロゲナーゼ、並びにマルトースおよびラクトー
スの利用に与る酵素類等に関するプロモーター領域が含
まれる。適当な発現プラスミドを組立てるには、これら
の遺伝子に伴なつた終止配列を、発現ベクター内の、リ
ンホトキシン暗号配列の3′側にライゲートし、mRNAの
ポリアデニル化および終止を提供する。
微生物に加えて、多核生物からの細胞培養を宿主とし
て用いることもできる。しかしながら、リンホトキシン
発現は、これまで微生物によつて卓越した成果が得られ
ているので、それが好ましいとは言えない。原則とし
て、脊椎動物であるか無脊椎動物であるかに拘らず、あ
らゆる高等な真核細胞培養を使用し得る。しかしなが
ら、最近では脊椎動物細胞に大きい関心が寄せられてお
り、培養(組織培養)で脊椎動物細胞を増殖させること
は日常的な操作となつている〔テイツシユ・カルチヤー
(Tissue Culture)アカデミツク・プレス、クルスおよ
びパターソン(Krus and Patterson)編、(1973)〕。
有用な宿主細胞系統の例には、VEROおよびHeLa細胞、チ
ヤイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系、並びにW13
8、BHK、COS−7および MDCK細胞系等が含まれる。その
様な細胞のための発現ベクターには、通常(必要なら
ば)複製起源および発現されるべき遺伝子の前方に位置
しているプロモーターが、リボゾーム結合部位、RNAス
プライス部位(イントロン含有ゲノムDNAを用いる場
合)、ポリアデニル化部位および転写終止配列と共に含
有されている。
形質転換される脊椎動物細胞内で使用するための発現
ベクター用の転写およびコントロール配列は、しばしば
ウイルス性起源によつて供給される。例えば、普通用い
られているプロモーターはポリオーマ、アデノウイルス
2、および最も頻繁にはシミアンウイルス40(SV40)か
ら導かれる。このさきのおよびあとプロモーターは、い
ずれも該ウイルスから、SV40のウイルス性複製起源含有
フラグメントとして容易に得られるので特に有用である
(フアイヤーズ(Fiers)ら、1978“ネイチヤー”273:1
13)。SV40のより小さい、またはより大きいフラグメン
トも、それらがウイルス性複製起源内に位置するHind I
II部位からBgl I部位に至る約250bpの配列を含有してい
る限り用いることができる。更に、正常な状態でリンホ
トキシンと関連しているヒト−ゲノムプロモーター、コ
ントロールおよび/または信号配列も、その様なコント
ロール配列が宿主系に適合し得ることを条件として用い
ることができ、またしばしば好ましいことである。
複製起源は、例えばSV40その他のウイルス性起源(例
えばポリオーマ、アデノウイルスVSV、BPV等)から得ら
れるものの様に、外来性の起源を含む様にベクターを組
立てるか、あるいは宿主細胞の染色体性複製機構によつ
て与えられる。もしもベクターが宿主細胞染色体に組込
まれるのなら、その様な染色体でもよい。リンホトキシ
ンは、高等動物の真核細胞をヒト−プレリンホトキシン
DNAで形質転換することにより、アミノ末端のメチオニ
ル化なしにつくられる。
リンホトキシンとデヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の両
者を暗号化しているDNA配列を含むベクターでトランス
フエクトするのに好適な哺乳類宿主細胞を選択するに際
しては、用いるDHFRタンパク質のタイプに従つて宿主を
選択するのが適当である。野生型DHFRタンパク質を用い
る場合には、DHFR欠損宿主細胞を選択するのが好まし
く、そうすることにより、ヒポキサンチン、グリシンお
よびチミジンを欠く選択用培地内で、満足のいくトラン
スフエクシヨンを選択するためのマーカーとしてDHFR暗
号配列を用いることができる。この場合、好ましい宿主
細胞はDHFR活性を欠くチヤイニーズハムスターの卵巣
(CHO)細胞系統であり、これは、ウーラウブおよびチ
ヤツシン(Urlaub and Chasin)(1980、“プロシーデ
イングス・オブ・サ・ナシヨナル・アカデミイ・オブ・
サイエンスイズ”(USA)77:4216)の述べた如くにして
調製し、増殖させることができる。
他方、メトトレキセート(MTX)に対する結合親和性
の低いDHFRタンパク質をコードしているDNAをコントロ
ール配列に用いる場合には、DHFR耐性細胞を用いる必要
はない。何故ならば突然変異DHFRはMTX耐性であるの
で、宿主細胞自身がMTX感受性であるならば、MTX含有培
地を選択の手段として用いることができるからである。
MTXを吸着することのできる真核細胞の大多数は、メト
トレキセート感受性であると思われる。その様な、有用
な細胞系統の1つはCHO系、CHOK 1(ATCC No. CCL 61)
である。
形質転換された宿主細胞とは、組換えDNA技術を用い
て組立てられたリンホトキシンベクターで形質転換また
はトランスフエクトされた細胞である。形質転換された
細胞は通常、リンホトキシンを発現する。発現されたリ
ンホトキシンは、一般に細胞内に保持される。
リンホトキシンは、非分泌細胞での組換え培養物か
ら、これを溶解し、次いで遠心分離する等によつて顆粒
成分を除去することにより回収される。リンホトキシン
分泌細胞の場合は、遠心によつて培養上澄液からこれを
分離する。不純物を含むリンホトキシン溶液を、上で示
した方法、または後述の実施例4に示すイムノアフイニ
テイ法により、精製する。薬学的な使用に適する程度に
精製した後、リンホトキシンを通常の使用形態、例えば
投薬ビンや注射器に入れる。リンホトキシンの混合物、
例えば一連の細胞毒性を示すリンホトキシン突然変異体
を用いる。リンホトキシンの長期保存には凍結乾燥が適
しており、あるいは安定剤や賦形剤を入れた水溶液(例
えば等張食塩水)に入れ、B.アガーワル(B.Aggarwal)
らがヨーロツパ特許出願第100641号で開示している様に
患者に対して投与することができる。
リンホトキシン組成物は、腫瘍を有する動物に投与する
ことができる。投与経路は、静脈内、腹腔内、皮下、筋
肉内投与、滅菌リンホトキシン溶液の病巣内注入または
注射の如く既知の方法により、あるいは以下に述べる如
き放出時間調節系により投与することもできる。リンホ
トキシンは病巣内投与(即ち、固状の腫瘍内に直接注射
する)し得る。白血病の様な播種性腫瘍の場合には、静
脈性内またはリンパ系への投与が好ましい。卵巣腫瘍の
様な腹部器官の腫瘍は、腹膜透析器を使用し、腹膜適合
性の溶液で腹腔内に注入することにより、有効に治療で
きる。ボーラス注入も可能であるが、通常、リンホトキ
シンは連続注入法で投与する。
リンホトキシンは、埋め込み可能な、時間調節製品を
介して投与することができる。リンホトキシンの二量体
または三量体の分子量を有するタンパク質に対する適当
な系の列には、Lグルタミン酸とγ−エチル−L−グル
タマートとのコポリマー(U.シドマン(U.Sidman)ら、
1983、“バイオポリマーズ(Biopolymers)”22(1):
547−556)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレ
ート)〔R.ランガー(R.Langer)ら、1981“ジヤーナル
・オブ・バイオメデイカル・マテリアルズ・リサーチ
(J.Biomed.Mater.Res.)”15:167−277、およびR.ラン
ガー、1982"ケミカル・テクノロジイ(Chem.Tech.)”1
2:98−105〕またはエチレングリコール(R.ランガー
ら、同)が含まれる。リンホトキシン含有製品は腫瘍が
切除された後の外科的部位に埋め込まれる。別法とし
て、リンホトキシンを半透膜のマイクロカプセルまたは
リポゾーム内に封入し、腫瘍内部へ注射してもよい。こ
の方法は、脳腫瘍の如き外科的な切除術を適用できない
腫瘍に対して特に有用である。
リンホトキシンの投与量は、例えば、投与経路、問題
となつている腫瘍、および患者の症状等によつて左右さ
れる。治療を施す者は、標的腫瘍に対して適切な細胞毒
性を奏す様に、例えば腫瘍の生検、または胎生期がん抗
原の如き推定の腫瘍マーカーの診断学的測定、等によ
り、用量の増加に伴なう組換え体の毒性を考慮しながら
用量を検討して定め、投与経路を改良する必要がある。
通常、マウスに対しては、組換えリンホトキシン約50〜
200μg/kg体重/日の静注投与が実質上、非毒性であ
り、インビボで有効であることが分つている。もちろ
ん、この投与計画は動物が異なれば変化する。
本発明はまた、インホトキシン中和抗体の製造法をも
提供するものである。本明細書中では中和抗体を、ここ
で定義したリンホトキシンと免疫学的に結合し、その活
性を、後に述べるネズミL929アツセイの様な細胞抑制ま
たは細胞溶解性リンホトキシン活性の測定法において、
実質上減少させることができる抗体である、と定義す
る。この抗体がリンホトキシンの活性を中和し得るとい
うことは、必ずしも該抗体がリンホトキシンの活性部位
または受容体結合部位に結合しなければならない、とい
う意味ではない。抗体は、その様な臨界的な部位に隣接
した領域(即ち、これは立体配座の上で隣接しているこ
とを意味し、アミノ酸配列という観点から、隣接してい
ることは必須でない)に立体的(ステリカリー)に結合
している場合にも、実質上、リンホトキシン活性を中和
し得る。
リンホトキシンに対する中和モノクローナル抗体を調
製する試みにおいて、マウスの体内でリンホトキシン中
和抗体を生成させ、あるいは高めるように該動物を免疫
することが困難であるということが分つた。リンパ芽球
様リンホトキシン、あるいはグルタルアルデヒドと交差
結合したリンホトキシンのいずれで免疫した場合にも、
免疫化されたマウス中に酵素免疫法で検出可能な非中和
性の抗−リンホトキシン抗体は生成しているにも拘ら
ず、該動物の血清中には、検出可能な中和抗体は生成さ
れなかつた。しかしながら、リンホトキシン−明ばん
(alum、水酸化アルミニウムまたはアルミナ、Al2O3・3
H2O)吸着コンプレツクスで免疫すれば、この明ばんコ
ンプレツクスで免疫する前には活性な抗体を生成し得な
かつた動物においても中和抗体を若起させ得る。明ばん
の製造方法および抗血清製造のためのその使用について
はC.ウイリアムス(C.Williams)らが開示している(C.
ウイリアムス編、1967、メソツズ・イン・イムノロジイ
・アンド・イムノケミストリイ(Methods in Immunolog
y and Immunochemistry)I、pp197−229)。
中和抗体を産性する動物の脾細胞とネズミ骨髄腫細胞
との融合物を調製する。中和抗体を合成する1個のクロ
ーンを同定するためには、平均、約50〜100個のクロー
ンをスクリーニングする必要がある。所望の活性を有す
るクローンのスクリーニング法は当該技術分野において
日常的に、容易に行なわれており、極く僅かな実験作業
で再現することができる。
免疫された動物から得た血清、血漿、またはIgGフラ
クシヨンは、免疫動物の脾臓またはリンパ細胞から得ら
れたハイブリドーマによつて分泌される免疫グロブリン
と同様、本発明において使用することができる。本発明
の好ましい態様では、中和抗体は実質上、ハイブリドー
マ培養物中の他の抗−リンホトキシン抗体を含まない状
態で得られる。
中和抗体をポリスチレンの様な熱プラスチツク等の表
面に吸着させるか、臭化シアン活性化セフアロースの如
きマトリツクス構造と共有結合的に結合させることによ
り、固定化する。次いで、これをイムノアツセイまたは
イムノアフイニテイ精製法に用いる。この抗体は中和抗
体なので、生物学的に活性なリンホトキシンまたはその
フラグメントのみを吸着しやすく、それらを検出しやす
い。この抗体は、非中和性の抗−リンホトキシン・モノ
クローナル抗体または非中和性の抗−リンホトキシンを
含有するポリクローナル抗血清に関するイムノラジオメ
トリツク・イムアツセイ(“サンドイツチ法”)に用い
るのに、特に有用である。この免疫検定(イムノアツセ
イ)は、蛍光、化学発光、または放射性同位元素等の検
出可能な物質により、当業者周知の標識化法で有効に標
識した中和抗体または非中和抗体を、標識化成分として
用いて行なう。リンホトキシンのための競合型のイムノ
アツセイにおいては、同様にしてリンホトキシンを標識
する。リンホトキシンおよびリンホトキシン抗体トレー
サーの製造にはクロラミン−Tラジオアイオデイネーシ
ヨン(放射性沃素化)が好適であり、あるいはJ.クロス
ターガード(J.Klostergaard)らの方法(“モレキユラ
ー・イムノロジイ(Mol.Immun.)“18:455(1980))を
採用することができる。
実施例の記載を簡単にするため、頻繁に用いられる方
法を短い熟語に略して示す。
プラスミドは小文字のpを先頭にし、そして/または
大文字および/または数字を続けることによつて表わさ
れる。本発明の出発物質であるプラスミドは市販されて
いるか、または非制限的な施設から一般に入手可能であ
り、あるいはこの様にして入手し得るプラスミドから、
公知の方法に従つて組立てることができる。更に、その
他の同等なプラスミドも当業者には知られており、通常
の技術者にとつては自明であろう。
DNAの“消化”とはDNAを、該DNAのある位置に対して
のみ作用する酵素で触媒的に開裂することを指す。その
様な酵素を制限酵素と称し、該酵素にとつて特異的な部
位を制限部位(サイト)と称する。“部位”消化とは、
制限酵素による不完全な消化であり、与えられたエンド
ヌクレアーゼに対するDNA基質中の部位の全てでなく、
そのうちのいくつかを開裂する様な条件を選ぶことをい
う。本発明において用いる様々な制限酵素は市販品され
ており、その反応条件、コフアクター、およびその他必
要なものは、酵素の供給業者の指示に従つて使用した。
制限酵素類は、各制限酵素が最初に得られた微生物を表
示する大文字、次いで他の文字、更に、通常、数字から
なる略号で表わされる。一般に、約1μgのプラスミド
またはDNAフラグメントは、約20μの緩衝液中、約1
単位の酵素と共に使用する。特定の酵素について適当な
緩衝液および基質の量は、製造業者によつて明示されて
いる。通常、インキユベーシヨン時間は37℃で1時間と
するが、供給者の指示に従つてかえてもよい。インキユ
ベーシヨンした後、フエノールおよびクロロホルムでタ
ンパク質を抽出して回収し、水性のフラクシヨンからエ
タノール沈殿によつて消化された核酸を回収する。制限
酵素による消化の後、5′未満のホスフエートを細菌性
アルカリホスフアターゼで加水分解することが多い。こ
れは、DNAフラグメントの2つの制限的開裂末端が“閉
環(サーキユライデイング)”したり、閉じたループを
形成することにより、該制限部位に他のDNAフラグメン
トが挿入されにくくなるのを防止するためである。明示
しない限り、プラズミドの消化には、5′末端の脱りん
反応は伴わないものとする。脱りんの方法および試薬は
常法に従う(T.マニアテイス(T.Maniatis)ら、1982、
モレキユラー・クローニング(Molecular Cloning)pp.
133−134)。
制限酵素による消化によつて得られたDNAフラグメン
トの“回収”または“単離”とは、この消化物をポリア
クリルアミドゲル電気泳動にかけて分離し、フラグメン
トンの移動度を分子量既知のマーカーDNAフラグメント
のそれと比較して所望のフラグメントを同定し、該フラ
グメントを含むゲルの部分を取り除き、該ゲルからDNA
を分離することを意味する。この方法は一般的に知られ
ている。例、R.ローン(R.Lawn)ら、1981、“ヌクレイ
ツク・アシツズ・リサーチ”:6103−6114およびD.ゲ
ツデル(D.Goeddel)ら、1980“ヌクレイツク・アシツ
ズ・リサーチ“8:4057参照。
“サザーン分析”とは、消化物またはDNA含有組織物
中のDNA配列の存在を、既知の、標識したオリゴヌクレ
オチドまたはDNAフラグメントとのハイブリダイゼーシ
ヨンによつて確認する方法である。本明細書中では、特
に断らない限り、サザーン分析という時は、E.サザーン
(E.Southern)、1975“ジヤーナル・オブ・モレキユラ
ー・バイオロジイ(J.Mol.Biol)”98:503−517、の方
法に従つて消化物を1%アガロース上で分離し、変性
し、そしてニトロセルロース上に移し、T.マニアテイス
らの方法(1978“セル”15:687−701)に従つてハイブ
リダイゼーシヨンを行なうことを意味する。
“形質転換”とは、DNAを生物内に導入することを意
味し、その結果DNAが染色体外成分として、あるいは染
色体内に組込まれて複製されることを意味する。特に明
示しない限り、本発明における大腸菌の形質転換法には
マンデル(Mandel)らのCaCl2法(1970、“ジヤーナル
・オブ・モレキユラー・バイオロジイ”53:154)を採用
した。
“ライゲーシヨン(結合)”とは、2個の二重鎖核酸
フラグメントの間にホスホジエステル結合を形成する工
程を言う(T.マニアテイスら、前掲p146)。特に明示し
ない限り、ライゲーシヨンは既知の緩衝液と条件を使用
し、略等モル量のライゲートすべきDNA0.5μg当たりT4
DNAリガーゼ(“リガーゼ”)10単位を用いて行う。
形質転換体からDNAを“調製する”とは、プラスミドD
NAを微生物培養物中から単離することを意味する。明示
しない限り、マニアテイスらのアルカリ性/SDS法(同
上)を採用する。
“オリゴヌクレオチド”とは、短かい一本鎖または二
本鎖ポリデオキシヌクレオチドであつて、実施例1に記
載の引用文献の方法によつて化学的に合成され、次いで
ポリアクリルアミドゲル上で精製されたものである。
引用した文献は全て参照例として示した。
実施例1 リンホトキシンの精製および配列決決 ヒトのリンパ芽球様セルラインRPMI−1788(ATCC NO.
CCL−156)を、15Lのスピナー(撹拌)フラスコ中、血
清不含培養培地(RPMI−1640)を使つて、4×105細胞/
mlの細胞密度になるまで増殖させた。血清不含RPMI−16
40培地中にフオルボール(phorbol)ミリステートアセ
テート20ng/mlを含ませることによつて、リンホトキシ
ンを基礎レベルの10〜20倍生成させた(下記の方法で測
定した場合、500〜1000リンホトキシン単位/ml)。培養
65時間後に細胞を取回収し、5mMりん酸緩衝液(pH7.
4)で平衡化した、5cm×20cmのカラム中の、孔径を調節
したガラスビーズ(Electronucleonics)に、液中の
リンホトキシン活性物を吸収させ、5mMりん酸緩衝液(p
H7.4)中に50%エチレングリコールで溶出した。この精
製中、微生物の増殖を阻止するために、全ての緩衝液に
0.1mMフエニルメチルスルホニルフルオライド(PMS
F)、プロテアーゼ阻害剤および1mMのアジ化ナトリウム
を含ませた。ガラスビーズからの溶出液は84,000単位の
リンホトキシン/mgタンパク質を含んでいた。次いで、
アガルウオール(B.Aggarwal)らの方法〔ジヤーナル・
オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)
259(1):686−691〕に従い、DEAEセルロースクロマト
グラフイー、レンチル(Lentil)レクチンセフアロース
クロマトグラフイーおよびプレパラテイブ天然PAGEを行
なつた。細胞毒性活性に関与しているタンパク質である
かどうかは、SDS−PAGE、リクロソルブ(Lichrosorb)R
P−18カラムでの逆相HPLCおよびアミノ末端配列決定に
より調べた。
このリンホトキシン標本は、SDS−PAGEにおいて約25,
000の分子量を示すロイシンアミノ末端リンホトキシン
を95重量%以上含んでいた。このN−末端ロイシン種の
タンパク成分の理論分子量は18,664ダルトンであり、残
りの約6,500ダルトンはAsn+62のグルコシル側鎖と、多
分、その他のO−結合糖残基によるものである。組織培
養の上清は、この種類の推定上のマルチマー(多量体)
を含んでいた(TSK−HPLCにより60,000Da、あるいはセ
フアデツクスG−100クロマトグラフイーにより64,000D
a)。
このリンホトキシン混合物の残りの5%は、分子量約
20,000のN末端ヒスチジン種であつた。この両種の物質
は、少なくとも、下に述べるネズミ線維芽細胞溶解分析
法に由来する偏差の限度内で実質的に同じ細胞溶解活性
を示す。
無傷のリンホトキシン分子をトリプシン消化すると、
ほんの少数のフラグメントが得られた。ヒスチジン・ア
ミノ末端リンホトキシンは、89位および90位のアミノ酸
間で2個のフラグメントに消化され、一方、ロイシン・
アミノ末端体は、トリプシン消化により、15位と16位、
19位と20位、および89位と90位間で切断された4個のフ
ラグメントを生成した。
エドマン(Edman)の分解法によつてミクロ配列決定
を行なうことにより、無傷の分子およびトリプシン開裂
により生成したフラグメントについての配列情報が得ら
れた。
カルボキシペプチダーゼPおよびキモトリプシン消
化、酢酸消化および臭化シアン開裂により生成したリン
ホトキシンフラグメントにより、更に配列情報を得た。
この方法により、ヒトリンホトキシンのほとんど全配列
を決定した。156個の隣接残基群はアミノ末端から決定
した。この配列情報により、2つのリンホトキシン種間
の違いは、ヒスチジンアミノ末端種には存在しない23個
のアミノ末端残基がロイシンアミノ末端種には存在する
という事実であることが明らかになつた。最初の3個の
残基の先のカルボキシ末端配列は、この領域に、ある種
のペプチド結合が存在すること、およびその残基が疎水
性であることから、決定するのが困難であることがわか
つた。
ミクロ配列決定により測定したタンパク質の配列をコ
ードする様に合成遺伝子を設計した。この遺伝子設計に
は、一般的な大腸菌のコドンバイアス(性癖)を採用し
た。即ち、めつたに使われない大腸菌コドンは、この配
列に使用しなかつた。大腸菌コドンバイアスが明らかで
ない場合は、ヒトにとつて好ましいコドンで代用した。
このバイアスは、大腸菌に於ける発現に役立つ様に、そ
してまた、この合成遺伝子がヒトcDNAまたはゲノムライ
ブラリーからの天然のDNA配列を同定するためのプロー
ブとして役立つ様に選択した。フラグメントの組立てに
役立つ様に、そしてその後の遺伝子操作を可能にするた
めに、特異な制限部位Xba I、Bam HI、Hind IIIおよびB
gl IIを配列内にデザインした。
マテウシ(M.Matteucci)らの方法〔ジヤツクス(J.A
mer.Chem.Soc)、103:3185−3190、1981〕およびボイカ
ーゲ(S.Beaucage)らの方法〔テトラヘドロンレタース
(Tet.Letters)、22:1859−1862、1981〕である固相ホ
スフアイト法により、合成リンホトキシン遺伝子のため
に設計された58オリジナルオリゴマーを合成した。16塩
基から20塩基の範囲のこれらのオリゴマーの寸法を第1a
図に示す。オリゴマー間の重複は長さが6塩基であり、
特異的である様に設計した。全遺伝子を第1b図に示した
様に組立てた。
この遺伝子は3個の断片にして組立てた。最初の断
片、セグメントAは、長さ117の塩基対であり、ロイシ
ンアミノ末端種のアミノ末端の5′暗号領域を表わして
いる。セグメントBはリンホトキシン分子の中央部をコ
ードしている長さ145塩基対のDNAである。長さ217塩基
対のセグメントCは、リンホトキシンカルボキシ末端
の、16アミノ酸残基を除く全てをコードしていると考え
られるものである。各セグメントを合成するのに必要な
オリゴマーは、電気泳動により精製してプールした。合
成の誤りを減らすために、比較的寸法の小さいオリゴマ
ー(即ち、16〜20塩基)を選んだ。
50μ中に20mMトリスーHCl(pH7.5)、10mM MgCl2
20mMジチオトレイツト、0.5mM ATP、および15単位のT4
ポリヌクレオチドキナーゼを含んでいる反応系で、各グ
ループのオリゴマーをりん酸化した。この反応系には約
50ピコモルの各オリゴマーを含ませた。37℃で30分間反
応させた後、反応物を65℃に加熱してキナーゼ活性を失
活させ、1時間かけて20℃まで徐々に冷却した。りん酸
化したオリゴマーに10単位のT4DNAリガーゼを添加し、2
0℃で2時間反応させて結合させた。DNAリガーゼを加熱
して失活させ、連結したオリゴマーを、設計した末端部
位を認識する制限酵素(エンドヌクレアーゼ)例えばセ
グメントAについてはXba IおよびBam HI)によつて37
℃で3時間消化した。各セグメントのフラグメントを、
7%ポリアクリルアミドゲル上の電気泳動により分離し
た。正しい移動率のフラグメントを、各セグメントにつ
いて、エチジウムブロミド染色法で同定し、ゲルから電
気溶出した。pFIFtrp69〔ゲツデル(Goeddel)らのネー
チヤー(Natere)、287:411−416(1980)、またはクレ
ア(Crea)らのヨーロツパ特許出願第0048970号参照〕
をXba IおよびBam HIで消化し、大きいベクターフラグ
メントを6%ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により
分離した。セグメントA約50ngをpFIFtrp69フラグメン
トに結合させた。同様にして、セグメントBをBam HIお
よびHind III消化pBR322に、そしてセグメントCをHind
IIIおよびBgl II消化pLeIFA−125−1に結合した〔ゲ
ツデル(D.Goeddel)ら、ヌク・アシツド・レス(Nuc.A
cids Res.)、:4057−4073、1980参照〕。
このライゲーシヨン(結合、連結)混合物を使つて大
腸菌ATCC31446を形質転換し、得られた組換えプラスミ
ドの特性を、制限酵素分析およびマキサムおよびギルバ
ード(Maxam and Gilbert)の化学分解法によるDNAの配
列決定法により決定した。6個のセグメントAクローン
の内5個が正しい配列を含んでいた。4個のセグメント
Bおよび4個のセグメントCプラスミドを分離した。こ
れらの全ての挿入物は正しい配列を持つていた。各セグ
メントを、末端部位を認識する制限エンドヌクレアーゼ
で消化して分離し、Xba IおよびBgl IIで消化したプラ
スミドベクターpFIFtrp69に結合させた。得られた組換
えプラスミド、pLTXB1を、挿入したXba I−Bgl IIフラ
グメントを配列化することにより特性化した。これは第
1a図に示された配列を含んでいた。
この合成遺伝子が生物学的に活性なリンホトキシンを
実際に生産するかどうかを調べるために、大腸菌pLTXB1
形質転換体を、trpプロモーターを脱抑制し合成リンホ
トキシン遺伝子を発現し得る条件下、最小培地中で増殖
させた。550nmにおける光学密度が1.0になるまで培養
し、遠心分離により回収した。細胞ペレツトを1/10容に
懸濁し、音波破壊により溶菌した。
リンホトキシン活性は、スポフオード(B.Spofford)
の改良細胞溶解法〔ジヤーナル・イミユノロジー(J.Im
munol.)1122111、1984〕に従つて測定した。簡単に説
明すると、マウスのL−929線維芽細胞を、アクチノマ
イシンDの存在下、マイクロタイター平板で増殖させ
る。12−18時間後、リンホトキシンを分析しようとする
順次希釈した試料を各ウエルに加える。18時間後、平板
を洗浄し、リンホトキシンによつて惹起された細胞の溶
解(菌)性を、メタノール:水(1:4v/v)中の1%クリ
スタル・バイオレツト溶液で平板を染色し、平板に付着
したものを検出することにより検出した。染色の強さを
肉眼およびダイナテク(Dynatech)分光器を使つて450n
mおよび570nm透過率の吸収により、分光光度学的に測定
した。培地のみと一緒にマイクロタイターウエルに入れ
た細胞を0%溶菌と定め、3Mグアニジン塩酸縁溶液を入
れたものを100%溶菌の終末点とした。各ウエルに入れ
た12,000細胞の内の50%の細胞を溶菌するのに必要な量
をリンホトキシン1単位と定義する。
細胞毒性活性を分析するためのその他の方法も使用し
得ることに留意すべきである〔アガルウオル(B.Aggarw
all)らの「チミツクホルモンとリンホキン(Thymic Ho
rmones and Lymphokines)」、1983、編者、ゴールドシ
ユタイン(A.Goldstein)、スプリング・シンポジウム
・オン・ヘルス・サイエンス・ジヨージ・ワシントン・
ユニバーシテイ・メデイカル・センター(Spring Sympo
sium on Health Sciences,George Washington Univ.Med
ical Center)〕(ここでA549セルライトと呼ばれてい
るものは、ATCCから、CCL185として入手可能)。培養溶
菌液は、上記のネズミの細胞分析に於いて、検出不能の
細胞溶解活性を示した。ガンマーインターフエロンを発
現する培養物からの対照溶菌液は、ガンマーインターフ
エロン活性を含んでいた。この結果は、合成遺伝子が活
性リンホトキシンをコードづけていなかつたことを示唆
していた。これにはいくつかの説明が成り立つ。例えば
(1)大腸菌がリンホトキシンを分解した、(2)リン
ホトキシン遺伝子は大腸菌では転写されなかつた、
(3)リンホトキシンの情報(メツセージ)が大腸菌内
で翻訳されなかつた、(4)タンパク質配列決定の誤り
により、タンパク質が適切な配列を持つていなかつた、
または(5)リンホトキシン分子を活性または適切な立
体配置には、16の残基カルボキシ末端配列またはその一
部が実際に必要である。
実施例2 リンホトキシンをコードしているcDNAの入手
法 ホルボールミリステートアセテート(10ng/ml)、ス
タフイロコツカルエンテロトキシンB(1μg/ml)およ
びチモシンα−1〔ベルガー(S.Berger)らのバイオケ
ミストリー(Biochemistry)、18:5143−5149、1979〕
で誘導した48時間後に、ヒトの末梢血液リンパ球の非粘
着(付着)細胞フラクシヨンの培養物は400単位のリン
ホトキシン活性/上清1mlを生産していた。このmRANを
固定化オリゴdTに吸着させて濃縮し、溶出し、逆転写
〔グレイ(P.Gray)らのネーチャー(Nature)、295:50
3−508、1982参照〕によりcDNAを調製した。メツセンジ
ヤーRNAのcDNAコピーを作成するために逆転写酵素を使
用し、第2の鎖をクレノー(Klenow)処理により常法通
り調製し、そのcDNAをS−1ヌクレアーゼで処理してヘ
アピンループを除去した。このcDNAをベクターに挿入す
るために、その末端をアダプターまたはリンカーと結合
させ、予定の制限酵素部位のための5′および3′制限
酵素部位、または好ましくは粘着末端を作成した。この
目的に式: 5′HO−AATTCATGCGTTCTTACAG GTACGCAAGAATGTC−P5′ のオリゴヌクレオチドを使用した。このオリゴヌクレオ
チドをcDNAに結合させ、そのcDNAをポリアクリルアミド
ゲル電気泳動法によつて再び分離した。一般に入手可能
なフアージλgt10(またはその実質的な等価物、λgt1
1、これはATCCから入手できる)をEcoRIで消化し、線状
フラグメントを回収した〔ウイツケンズ(M.Wickens)
ら、ジヤーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリイ
(J.Biol.Chem.)253:2483−2495、1978〕。リンカーを
付けた逆転写体とこのλgt10消化物をライゲート(結
合)させ、このライゲーシヨン混合物を使つて、大腸菌
C−600またはその他のλフアージ感染に感受性のある
既知の宿主をトランスフエクト(DNA感染)した。約10,
000の組換えフアージを15cmのプレートにまき、低スト
リンジエンシーのプラーク・ハイブリダイゼーシヨン法
〔マニアテイス(T.Maniatis)ら、セル(Cell)、15:6
87−701、1978、およびグレイ(P.Gray)ら、プナス(P
NAS)、80:5842−5846〕により、第1a図のセグメントA
から調製した32P−標識プローブを使つてスクリーニン
グした〔この標識プローブは、テイラー(J.Taylor)ら
の方法(バイオケミツク、バイオフイジク、アクタ(Bi
ochem.Biophys.Acta)442:324−330、1976)に従つて調
製した。ここで牛胸腺DNAプライマーを使用した(PL Bi
ochemicals)〕。20%ホルムアミド中の5×107cpmのプ
ローブを使用し、低ストリンジエンシー法により2重の
ニトロセルロースフイルターをハイブリダイズさせた。
フイルターを、0.3M塩化ナトリウム、0.03Mクエン酸ナ
トリウムおよび0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中
37℃で2回洗浄した。
2個のフアージがこのプローブとハイブリダイズし、
プラーク精製を行なつた。精製したフアージは、セグメ
ントAプローブとセグメントBから調製したプローブの
両者とハイブリダイズした。2個のハイブリダイズフア
ージ、λLT1およびλLT2のcDNA挿入物をM13mp8にサブク
ローンし、ジデオキシ鎖ターミネーシヨン法〔スミス
(A.Smith)、メソツド・イン・エンザイモロジー(Met
hods in Enzymology)、1980、65:560−580〕により配
列決定した。λLT2の挿入体は僅か600bpであり、リンホ
トキシンのための全3′暗号領域を含んでいなかつた。
λLT1の挿入体はロイシンアミノ−末端リンホトキシン
のための全暗号領域および650bp 3′非翻訳領域(一致
したポリアデニル化信号を含む)およびロイシン末端へ
の18アミノ酸アミノ末端のためのコドンを含んでいた。
これは全リンホトキシン暗号領域を構成していなかつた
ので、λLT1のcDNA挿入体から、更に32p−標識プローブ
を調製し、非常に厳密に追加の25,000組換えλgt10フア
ージのスクリーニングに使用した〔フイーン(T.Huyn
h)ら、プラクチカル・アプローチ・イン・バイオケミ
ストリイ(Practical Approaches in Biochemistry)、
IRLプレス、オツクスホード〕。12の追加のハイブリダ
イズフアージを分離し、最も長い挿入体の配列を(λLT
11から)、第2a図に示した。最も長いオープン・リーデ
イング・フレームは、最初に観察されたATGから出発し
て翻訳された。各列の上の番号はアミノ酸の位置、各列
の下の番号はヌクレオチドの位置を表している。1の記
号を付したロイシン残基は、ロイシンアミノ末端リンホ
トキシン(第1a図)の配列決定された最初の残基であ
り、多分、成熟リンホトキシン種の最初のアミノ末端残
基である。最初の34残基はシグナル配列である。156−1
71残基はリンホトキシンのタンパク質列決定法により決
定できなかつたのでヌクレオチド配列から転用した。
実施例3 ロイシンアミノ末端リンホトキシンのための
ハイブリツド合成遺伝子/天然のcDNA発現ベクターの組
立て この組立ては第2b図に示した。pLTXB1(非活性合成遺
伝子を含む)をEcoRIとPst Iで部分消化し、リンホトキ
シンの125N−末端残基をコードしているDNAを含んでい
る685bpフラグメントを回収した。部分的Pst I消化を行
つた理由は、残基10にもう1つのPst I部位が存在する
からである(第1a図)。リンホトキシンのC−末端の51
個のアミノ酸をコードしているDNAを含んでいる301bpフ
ラグメントを、λLT1のサブクローンしたcDNAをEcoRIと
Pst Iで消化することにより分離した(これらの部位
は、第2a図に於いて、554および855ヌクレオチド位に示
されている)。これらのフラグメントを、5%ポリアク
リルアミド上の電気泳動および電気溶出により分離し
た。このフラグメントを、バツクグランド形質転換体を
減らすために、EcoRIで消化し細胞性アルカリホスフア
ターゼで脱りん酸化したpBR322に結合させた。得られた
発現プラスミド、pLTtrp1の適切な方向性および配列
を、制限エンドヌクレアーゼ消化およびDNA配列決定法
により特徴づけた。ロイシンアミノ末端リンホトキシン
は、大腸菌31446をpLTtrp1で形質転換し、その形質転換
体をテトラサイクリン含有培地中、ODが1.0になるまで3
7℃で4〜6時間培養することにより発現させた。細胞
溶解液は細胞毒性活性を持つていた。発現されたリンホ
トキシン種のロイシンアミノ末端は、保護されたメチオ
ニン残基で置換されることがわかつた。この合成の生成
物はメチオニン残基ではなくホルミルメチオニンである
と考えられる。
実施例4 リンホトキシンの免疫アフイニテイーによる
精製 抗リンホトキシンを分泌するネズミのモノクローナル
セルラインをマウス中で増殖させ、イオン交換クロマト
グラフイーにより、腹水から精製した。イオン交換溶出
物を、臭化シアン活性化セフアローズに、2mg/ml(樹
脂)の濃度でカツプリングさせた。20mlのカラムをTBS
(0.05Mトリス−HCl(pH7.0)、0.15M塩化ナトリウムお
よび2mM EDTAを含有している)、次いで溶出緩衝液(0.
1M酢酸(pH4.5)、150mM塩化ナトリウム)、および最後
にTBSで順次平衡化させた。pLTtrp1−形質転換大腸菌の
音波処理溶菌液(先に遠心分離により清澄化したもの)
の40%飽和硫酸アンモニウム沈殿物を0.1Mトリス塩酸
(pH7.4)および5mM EDTAに懸濁させ、1時間当たり1
カラム容量の割合でカラムに入れた。0.05%のツウイー
ン20を含んでいるTBSでよく洗浄した後、溶出用緩衝液
で特異的に結合した物質を溶離し、直ちにpHを、0.1容
量の1Mトリス−HCl(pH8.5)で7.8に調節し、4℃で保
存した。この精製したリンホトキシンの比活性は、上記
ネズミL−929分析法で測定したところ、2−10×107
位/mgであつた。
この溶出液は、カラムに入れた活性の大部分を含んで
いた。全溶出タンパクの大部分は、SDSポリアクリルア
ミドゲル電気泳動法において、還元条件下でも、非還元
条件下でも、単一のバンド(帯)として泳動した。この
バンドの移動率は、約18,000MWに相当し、これは、推定
したアミノ酸配列に基づくグリコシル化されていないロ
イシン−アミノ末端リンホトキシンの予想値、18,664MW
に合致している。その生物活性を更に特性化するため
に、精製した組換えリンホトキシンを、インビトロに於
ける細胞溶解活性、およびインビボに於ける抗腫瘍活性
について試験した。
実施例5 組換えリンホトキシンのインビボに於ける生
物活性 組換えのおよびリンパ芽球のリンホトキシンをインビ
ボにおける腫瘍壊死分析法で試験した。MethA(a)肉
腫を感受性マウス〔BALB/CX C57B1/6f1またはCB6f1〕中
で7〜10日間増殖させ、その腫瘍に、実験例4のリンホ
トキシン、リンパ芽球のリンホトキシン(既述の方法で
調製し、精製)、または対照試料を直接注射した。20〜
24時間後にマウスを殺し、腫瘍を摘出し、壊疸(ネクロ
ーゼ)の程度を組織学的に評価した。表1に示した様
に、組換えおよびリンパ芽球のリンホトキシンは、共
に、インビボに於けるMethA(a)肉腫に著しいネクロ
ーゼを生ぜしめた。対照試料は、MethA(a)肉腫のネ
クローゼを惹起しなかつた。
リンパ芽球のリンホトキシンは緩衝液1(0.01Mトリ
ス−HCl、0.05M(NH42HCO3、pH8.0)に溶解して注射
し、組換えリンホトキシンは緩衝液2(0.15M NaCl、0.
1M酢酸ナトリウム、および0.1Mトリス−HCl、pH7.8)に
溶かして注射した。
組換え体の培養物(2−10×107単位/mg)によつて調
製されたリンホトキシン活性は、リンパ芽球のリンホト
キシン(4×107単位/mg)について報告されているもの
と同じであつたので、組換えリンホトキシンに炭水化合
が存在しないことは生物活性に影響を与えない様であ
る。
組換えリンホトキシン活性は天然のリンホトキシンに
似た非耐熱性を示した。即ち、水溶液中、80℃で1時間
加熱すると不活性化する。
実施例6 メチオニン・ヒスチジンアミノ末端リンホト
キシンのための発現ベクターの組立て メチオニン・ヒスチジンアミノ末端リンホトキシンを
大腸菌で発現するプラスミドの組立てを第3図に示す。
ヒスチジンアミノ末端リンホトキシンのヒスチジンコド
ン(第2a図の残基24)に隣接して開始メチオニンコドン
をコードする様に、発現プラスミドに合成オリゴヌクレ
オチドを挿入した。これは、pLTtrp1からXba IおよびCl
a I消化によつて4630bpベクターフラグメントを分離
し、プレパラテイブ1%アガロースゲル電気泳動および
電気溶出により行なつた。リンホトキシン暗号配列の大
部分を含んでいる570bpBam HI−Cla Iフラグメントを、
同様にしてPLTtrp1から分離した。先に述べた方法で2
個の合成オリゴヌクレオチドを合成し、第1a図のオリゴ
ヌクレオチド6、7、52および53と混合した。各オリゴ
ヌクレオチド約50ピコモルを、実施例1に記載した様に
ポリヌクレオチドキナーゼで処理した。このオリゴヌク
レオチドをアニーリングし、570bpBam HI−Cla Iフラグ
メントおよび4630bp Xba I−Cla Iベクターフラグメン
トの混合物と結合させた。この結合混合物で大腸菌ATCC
31446を形質転換し、組換え体を、テトラサイクリン耐
性に基いて選択した。1個の形質転換体からプラスミド
p20KLTを回収した。プラスミドp20KLTは制限酵素および
DNA配列分析により特性化した。
実施例7 細胞毒性性リンホトキシン融合変異体の調製 リンホトキシンと細菌タンパク質との融合物をコード
しているDNAを含有しているプラスミドを、リンホトキ
シンの構造遺伝子に隣接した細菌性シグナル配列をコー
ドしている配列をクローニングすることにより組立て
た。大腸菌の熱安定性エンテロトキシン II(ST II)の
ための遺伝子配列は特性化されており〔ピツケン(R.N.
Picken)ら、1983、インフエクシヨン・アンド・イミユ
ニイテイ(Infection and Immunity)、42:269−27
5〕、大腸菌のペリプラスム間隙へST IIを***させる23
個のアミノ酸シグナル配列をコードしている。
プラスミドpWM501〔ピツケン(Picken)ら、1983、イ
ンフエクシヨン・アンド・イミユニイテイ、42〔1〕:2
69−275〕は熱安定性エンテロトキシン(ST II)遺伝子
を含んでいる。このST II遺伝子をコードしているDNA部
分を、以下の方法でpWM501から回収した。pWM501をRsaI
で消化し、550bpDNAフラグメントを分離した。この遺伝
子フラグメントを予めSma Iで消化したフアージM13mp8
〔メツシング(J.Messing)ら、“巨大分子についての
第3回クリーブランド・シンポジウム”、:組換えDN
A、編者:ワルトン(A.Walton)、エルスビール、アム
ステルダム〔1981〕、143−153頁〕に結合させた。結合
したDNAを使つて大腸菌JM101(M13フアージと共に使用
するための市販株)を形質転換した。澄明なプラークを
回収した。標準的な方法〔メツシングら、上記〕を使
い、このフアージで感染させた大腸菌JM101から、2本
鎖M13mp8 ST II Rsa誘導体を分離した。今述べたM13mp8
サブクローニング法を使うことにより、ST IIリーダー
遺伝子を含んでいる約550塩基対フラグメントは今や、
フアージによつて提供された一連の異なつた制限エンド
ヌクレアーゼで囲まれている。次いで、このM13mp8 ST
II Rsa誘導体をEcoRIおよびPst Iで消化し、550bpDNAフ
ラグメントより少し大きいDNAフラグメントを分離し
た。
このEcoRI−Pst IフラグメントをpBR322にサブクロー
ンした。これは、pBR322をEcoRIとPst Iで消化し、この
ベクターを単離することにより行なつた。単離したベク
ターをEcoRI−Pst I DNAフラグメントに結合させた。こ
のDNA混合物を使つて大腸菌ATCC31446を形質転換し、テ
トラサイクリン耐性コロニーを選択した。耐性大腸菌コ
ロニーからプラスミドを分離し、pST II−部分体と命名
した。
pST II−部分体をMnl IおよびBam HIで消化し、ST II
シヤイン−ダルガルノ(Shine−DaIg−arno)配列、ST
IIシグナル配列、および成熟ST II遺伝子の最初の30コ
ドンを含んでいる180bpフラグメントを分離した。180bp
DNAフラグメントを、trpプロモーターを含んでいるプラ
スミドに結合させた。この様なプラスミドの1つ、pHGH
207−1は既に記載されている〔ボイアー(H.de Boer)
ら、1982、“プロモーター:構造および機能”、編者:
ロドレゲツツ(R.Rodreguez)ら、Chamberlin,Praeger
出版、ニユーヨーク、NY、462−481頁〕本実施例では、
このプラスミドの誘導体、pHGH207−1〔これはtrpプ
ロモータの5′へのEcoRI部位が、DNAポリメラーゼI
(DNA pol I)による充填および平滑末端のライゲーシ
ヨンによる結合によりEcoRIに変換されている(キヤ
ビリイ(S.Cabilly)ら、1984、プロナス(Proc.NaH.Ac
ad.Sci.)、USA、81:3273−3277)〕を使用した。このt
rpプロモーター含有プラスミドをXba Iで消化し、DNApo
l Iおよび全ての4個のdNTPで処理して突出配列を満た
した。このDNA標品をBam HIで消化し、ベクター含有フ
ラグメントを分離した。このベクターフラグメントと、
上で分離した180bpST IIシグナル−含有DNAフラグメン
トと結合させた。この結合混合物を使つて大腸菌ATCC31
446を形質転換してアンピシリン耐性とした。ST II−リ
ーダーと命名したプラスミドを、アンピシリン耐性コロ
ニーから分離した。
ST II暗号領域を含んでいるM13フアージを、pST II−
リーダーの180bpXba I−Bam HIフラグメントを、Xba I
およびBam HI消化M13mp10に結合させることにより、先
ず組立てた。得られたフアージDNA、pST シヤトル、を
制限エンドヌクレアーゼ分析およびヌクレオチド配列決
定により特性化した。次いでpLTtrp1のHpa I−EcoRI700
bpフラグメントをSma I−EcoRI消化pST II−シヤトル複
製可能形(RF.2本鎖)DNAに結合させることにより、LT
暗号配列をこのベクターに導入した;Sma IおよびHpa I
部位を両者共に平滑末端化し、互い結合させた(両部位
を失なうことになる)。得られたフアージDNA、M13−ST
II−LTを特性化し、以下の如くして突然変異誘発に使
用した:プライマー5′pCAAATGCCTATGCACTGCCAGGCGTAG
Gをキナーゼ処理し、リガーゼ緩衝液およびXba I−EcoR
I消化M13mp10RF DNA(DNAのプライム化を促進するた
め、アデルマン(J.P.Adelman)ら、1983、「DNA」:1
83−193頁参照)の存在下で鋳型(M13−ST II−LT)と
混合した;この混合物を95℃に加熱し、室温で30分間ア
ニーニングさせ、氷上に30分間放置した。ATP、T4 DNA
リガーゼ、および大腸菌DNAポリメラーゼIの大きいフ
ラグメント(Klenow)と共に、全ての4個のデオキシヌ
クレオチド・トリホスフエートを添加した。この混合物
を14℃で1時間インキユベートし、これを使つて市販株
であるコンピテントな大腸菌JM101、またはその他のM13
のフアージ宿主をトランスフエクトした。プローブとし
て32P−標識プライマーを使つて、正しく突然変異した
フアージをハイブリダイゼーシヨン・スクリーニング法
で同定した。得られたフアージST−LT−mutを、DNA配列
分析により特性化した。このフアージから複製型DNAを
調製し、ロイシン−アミノ末端リンホトキシンの暗号配
列に隣接したST IIシグナル配列のためのDNAを含んでい
る761bpXba I−EcoRIフラグメントの分離に使用した。
このDNAを、Xba I−Bam HI消化p20KLT(大きい4285bpベ
クターフラグメント)およびpBR322の375bpEcoRI−Bam
HIフラグメントと結合させた。得られたプラスミド、pS
T18LTを制限地図およびDNA配列決定により特性づけた。
同様にして、ST IIシグナルアミノ末端とヒスチジンア
ミノ末端リンホトキシンのヒスチジン残基の融合物をコ
ードしている組立て物を調製した。得られたプラスミド
で大腸菌31446を形質転換した。プラスミドpSTLT18とpS
TLT16を回収した。制限酵素分析およびジデオキシ配列
決定法により、それらがST II融合物をコードしている
ことを確認した。プラスミドpSTLT18またはpSTLT16で形
質転換した大腸菌は、ゲル電気泳動により計算された分
子量と一致することにより決定される様に、ロイシンア
ミノ−末端およびヒスチジンアミノ−末端リンホトキシ
ンとのST IIシグナル配列融合体を合成する。これらの
融合タンパク質を含んでいるこの大腸菌溶解物は細胞毒
性活性を示した。
実施例8 リンホトキシン中和能を有するモノクローナ
ルネズミ抗体の調製法 実施例1で得た、純化したリンパ芽球リンホトキシン
を、りん酸緩衝食塩水(PBS)に対して透析した。透析
物には200μgのリンホトキシン/mlが含まれていた。グ
ルタルアルデヒドを、70mMグルタルアルデヒドの濃度に
なるまで透析物に加え、この混合物を室温で2時間イン
キユベートし、更にグルタルアルデヒドを加えてその全
添加濃度を140mMとし、更に6時間インキユベートを続
け、この混合物をPBSに対して再び透析した。グルタル
アルデヒドで交叉結合したリンホトキシン(以降、「ポ
リリンホトキシン」という)50μgとフロインドの完全
アジユバント0.5mlをマウス(BALB/C株)に皮下注射し
た。1週間後、このマウスに、ポリリンホトキシン50μ
gおよびフロインドの不完全なアジユバント0.5を、半
分は筋肉内に、そして半分は腹腔内に注射してブースタ
ー(促進)免疫した。7日後に血清をとり、ELISA分析
により抗−リンホトキシン活性を調べた。
ELISA分析は次の様にして行なつた:純化リンホトキ
シンの緩衝溶液をマイクロタイター・ウエルに入れ、約
100ngのリンホトキシンで各ウエルが覆われる様にし
た。吸着しなかつたリンホトキシン溶液を、アスピレタ
ーでウエルから除去した。適当に希釈した被検試料50μ
を、5mg/mlの牛血清アルブミンを含むPBS100μ(PB
S−BSA緩衝液)と混合し、各ウエルに加え、室温で2時
間インキユベートし、0.05%のツウイーン20を含んでい
るPBSで洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼー標識化
山羊抗−マウスIgG(PBS−BSA緩衝液中)100μを各ウ
エルに加え、1時間インキユベートした。各ウエルを0.
05%のツウイーン20を含んでいるPBS、次いで0.1mgのオ
ルトフエニレンジアミン/ml(基質溶液)を含んでいる
クエン酸りん酸緩衝液(pH5)で洗浄し、30%H2O2水溶
液(基質溶液10ml当たり30%(v/v)H2O2溶液4μの
割合)を各ウエルに加えた。ウエルを30分間インキユベ
ートし、2.5M硫酸50μで反応を停止させ、492nmに於
ける吸光度を測定した。10.0以上の吸光度を示したウエ
ルを抗−リンホトキシン陽性とみなした。
ネズミL929に於ける、リンホトキシンの細胞溶解活性
の中和能についても被検試料を分析した。免疫動物から
採取した血清またはハイブリドーマ上澄液を、10%の牛
胎児血清および約100リンホトキシン単位/mlを含むRPMI
−1640培地に入れて任意に希釈し、その他は細胞溶解分
析の常法に従い、培養したL929細胞を含んでいるマイク
ロタイターウエルに入れた。対照では、全ての細胞が溶
解した。リンホトキシンガL929細胞を溶解しないことを
もつて中和抗体を検出した。
グルタルアルデヒド−ポリメリ化リンホトキシンで免
疫した動物は、ELISA分析で活性を示す抗体を生成した
が、血清中和活性(活性中和血清)は検出されなかつ
た。
100μgのリンホトキシンおよび水酸化アルミニウム
〔Al(OH)〕の1.64%(w/v)懸濁液1mlを含む懸濁液
を調製し、同じマウスを免疫するのに使用した。マウス
には、この懸濁液の100μを筋肉内注射し、400μを
腹腔内投与した。1週間後、PBS100μに入れた、ポリ
メリ化していない、吸着しなかつたリンパ芽球リンホト
キシン10μgを静脈内注射した。3日後、この動物の血
清の1/80希釈液を試験すると、リンホトキシン中和抗体
の存在することがわかつた。
この動物の脾臓を摘出した。3×107の脾臓細胞を5
×107のネズミミエローマ細胞と融合させ、フアゼカス
(S.Fazekas)らの方法に従つて、HAT培地および約3000
個の腹膜マクロフアージ/マイクロタイターウエルを含
んでいるマイクロタイタウエルに入れた〔フアゼカスお
よびグロス(St.Groth)、1980、ジヤーナル・オブ・イ
ミユノロジカル・メソツド(J.Immunol.Meth.)35:1−2
1〕。上記のELISA分析で陽性であつた上澄液を含んでい
るウエルからのハイブリドーマを、20%の牛胎児血清、
10%のNCTC−135培地、5×10-5Mのβ−メルカプトエタ
ノールおよびHATを含んでいるDMEM培地1ml中で増殖さ
せ、統計学的にウエル当たり平均細胞数が1となる様
に、マイクロタイターウエルに分配し、同じ培地1mlま
たは5ml中で培養した。次いで上澄液を中和抗体につい
つ分析した。統計学的に、水酸化アルミニウム免疫法か
らのELISA陽性ハイブリドーマの約2%が中和抗体を合
成した。高親和性リンホトキシン抗体は、所望により、
このグルーブのハイブリドーマから選択した。
実施例9 リンホトキシンの部位特異的突然変異誘発 合成オリゴヌクレオチドのセグメント6が、配列:5′
CTCAACTCTGCACCCA3′を持つ様に修飾し、その相補鎖
(セグメント53)が配列:3′AGACGTGGGTCGTCGT5′を持
つ様に修飾するほかは実施例3と全く同様の操作を行な
つた。
修飾したオリゴヌクレオチドを残りのオリゴヌクレオ
チドとアニーリングさせ、実施例6に述べた如く発現ベ
クターに結合させた。このベクターは2bp置換を含んで
おり、これがリシン+28コドンをリシンからヒスチジン
に変換した。このヒスチジン突然変異体は、大腸菌ATCC
31446の形質転換により発現される。
その他の部位指向的突然変異体も、同様の方法で調製
される。この場合、EcoR I制限部位を導入しない様にコ
ドンを選択するのが好ましい。さもないと、実施例3で
必要となるpLTXB1の消化に於いて、部分的EcoR I制限消
化を用いなければならなくなる。この突然変異は、フラ
グメントA(第1b図)に更にXba IまたはBam HI部位を
導入しない様に、フラグメントBにBam HIまたHind III
部位を導入しない様に、そしてフラグメントCにHind I
IIまたはBgl II部位を導入しない様にしなければならな
い。さもないと、pLTXB1突然変異体を適切に組合せるの
に部分消化が必要となる。完全に消化してしまうと、こ
のケースにおいて目的とする置換変異体よりも欠落変異
体が生成することになる。
実施例10 ネズミおよびウシのリンホトキシンをコード
しているゲノムDNAの同定:ネズミおよびウシのリンホ
トキシンのアミノ酸配列 ネズミおよびウシのリンホトキシン遺伝子をゲノム−
λライブラリーから分離した。ヒトのリンホトキシンcD
NAフラグメント(Pvu−EcoRI、600bp)を、ニツクトラ
ンスレーシヨンにより32Pを用いて放射標識し、ネズミ
のゲノムDNA−λライブラリー(λシヤロン4A中のM600
株ネズミゲノムDNA、マニアテイス(T.Maniatis)ら、
モレキユラー・クローニング(Molecular Cloning)、3
1頁、1982)および、別々に、ウシゲノムDNAライブラリ
ー(EP88622A)をスクリーニングするためのプローブと
して使用した。ハイブリダイゼーシヨンは、20%ホルム
アミド中、低いストリンジエンシーで行ない〔グレイ
(Gray)およびゲツデル(Goeddel)、P.N.A.S.USA80:5
842−5846(1983)〕、0.3M塩化ナトリウム、0.03Mクエ
ン酸ナトリウム、および0.1%SDSの水溶液中で2回洗浄
した。ヒトのリンホトキシンプローブとハイブリダイズ
した数個のフアージをプラーク精製した〔マニアテイス
(T.Maniatis)ら、細胞(Cell)、15:687−701、197
8〕。フアージDNAをつくり〔マニアテイスら、細胞、1
5:687−701(1978)〕、制限エンドヌクレアーゼで消化
し、サウザン・ハイブリタイゼーシヨン法で分析した。
3500bpのEcoRIネズミDNAフラグメントおよび2200bp Eco
RIウシDNAフラグメントが、それぞれヒトのリンホトキ
シンプローブとハイブリダイズした。これらのDNAフラ
グメントをプラスミドpBR322にサブクローンし、ジデオ
キシ鎖−末端法〔スミス(A.J.H.Smith)、メソツド・
イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、6
5:560−580、1980〕で配列決定した。この推論されたネ
ズミおよび牛リンホトキシンのタンパク質配列を、比較
のためのヒトリンホトキシンの配列と共に第4図に示
す。
実施例11 ADHプロモータのコントロール下にある酵母
に於けるリンホトキシンの発現。
プラスミドpLTtrp1を、リンホトキシンの開始コドン
にすぐ近接しているXba I部位でプラスミドを開裂する
ために、Xba1で消化した、このXba I粘着末端を大腸菌D
VAポリメラーゼIのクレナウフラウメントにより、4個
のdNTPを用いて平滑化した。以下の式: で示されるEcoRIアダプターを平滑化したプラスミドフ
ラグメントと結合させ、突出している5′ヒドロキシ末
端をポリヌクレオチドキナーゼを使つて燐酸化し、この
結合混合物を使つて大腸菌ATCC31446形質転換し、リン
ホトキシン開始コドンに近接した追加のEcoRI部位を持
つているプラスミドpLTtrp1R1を同定した。プラスミドp
LTtrp1R1を分離し、EcoRIで消化し、リンホトキシンDNA
含有フラグメントSPを回収した。
プラスミドpFRPn(EP60,057A)をEcoRIで消化し、再
環化を妨ぐためにアルカリホスフアターゼで処理し、T4
DNAリガーゼを使つてSPリンホトキシンフラグメントに
結合させ、その結合混合物を使つて大腸菌ATCC31,446を
形質転換した。アガロース電気泳動ゲル上で制限分析に
よつて決定したところ、アンピシリン耐性コロニーか
ら、SP挿入物を互いに反対方向に持つている2種のプラ
スミドが得られた。プラスミドを大腸菌形質転換体から
純化し、これを使つてtrp1突然変異を持つた酵母(例え
ば酵母株RH218、非制限的ATCC寄託No.44076)を形質転
換し、trp+表現型にした。セグメントSPの開始コドン
がアルコールデヒドロゲナーゼ・プロモーターフラグメ
ントに隣接して存在する様に配向しているプラスミド
は、リンホトキシンを発現する様に酵母を形質転換する
ことがわかつた。酵母形質転換体の抽出物からリンホト
キシンを回収する。pFRPn染色体複製起源(ars1)の代
りに2ミクロン複製起源を含有している発現プラスミ
ド、および適合し得る宿主株〔ベツウス(J.Beggs)、1
978、ネーチヤー(Nature)、275:104−109〕を用いる
ことにより、大規模な発酵に於けるプラスミドの安定性
を改良することができる。
実施例12 哺乳動物細胞内でのリンホトキシンの発現 λLT11(実施例2)をEcoRIで消化し、リンホトキシ
ン含有DNAフラグメント(逆転写体)を回収する。プラ
スミドpEHER(EP117,060A)をEcoRIで消化し、牛腸内性
アルカリホスフアターゼで処理し、λLT11のEcoR1−リ
ンカー処理逆転写体と結合させた。得られたプラスミド
を大腸菌ATCC31446(EP 117,060A)を使つて増殖させ、
pEHERLT IおよびpEHERLT IIと命名した。ポリアクリル
アミドゲル上で制限分析した結果、これらは互いに逆方
向のリンホトキシンDNAを含有していた。これらのプラ
スミドを使つてトランスフエクトを行ない、CHODHFR−D
UX−B11,CHO1およびLtK-細胞を選択する。
上で調製したpEHERLT IまたはpEHERLT II 1μgを10
μgのラツトのキヤリアーDNA(250μの容量中、0.25
M CaCl2)と混合し、次いで250μのHEPES緩衝食塩水
(280mM NaCl、1.5mM Na2PO4、50mM HEPES、pH7.1)を
滴加することにより組織培養細胞をトランスフエクトし
た。室温で30分間放置した後、60mmのプラスチツク製組
織培養皿中で増殖している組織培養細胞にこの溶液を加
える。CHO1、CHO DHLR−DUX−B11およびLtK-細胞を使用
する。皿は宿主細胞に適した3mlの培養培地を含んでい
る。
CHO1およびCHO DHFR−DUX−B11細胞についての培地
は、10%の牛血清、100μ/mlのペニシリン、100μg/ml
のストレプトマイシンおよび2μmMのL−グルタミンを
補充したHam F−12培地(Gibco)であり、LtK-セルライ
ンについての培地は、上と同様の補充を行なつたドルベ
ツコ(Dulbecco)の改良イーグル(Eagle)培地であ
る。
3−16時間後、培地を除去し、りん酸緩衝食塩水中の
20%グリセロールで洗浄する。各プレートに新しい培地
を加え、更に2日間細胞をインキユベートする。
2日間増殖させた後細胞をトリプシン処理し(これ
は、0.2mg/mlのEDTAを含有している滅菌トリプシン0.5m
g/mlで細胞を処理することからなる)、約3×105細胞
を、選択性培地を有する10mmの組織培養プレートに加え
ることによりトランスフエクトした宿主細胞を選択す
る。dhfr-細胞のための培地は、グリシン、ヒポキサン
チンおよびチミジンを含まない(F−12 GIBCO)培地
(GHT-培地)の系統である。DHFR+宿主細胞について
は、正常な増殖培地にメトトレキセート(100−1000n
M)を添加する。プラスミドを使用しないか、正常なDHF
Rを含有しているプラスミドpFD−11(EP 117,060A)を
使つて、トランスフエクシヨンの条件下で対照実験を行
なう。DHFRを取り込み、これを発現する細胞から生じる
コロニーは1〜2週間以内に観察される。成熟リンホト
キシンを発現する形質転換体を同定する。
【図面の簡単な説明】
第1a図はリンホトキシンを暗号化しているDNA配列およ
び推定のアミノ酸配列を示す模式図、第1b図は組換えプ
ラスミドpLTXB1の組立てを示す模式図、第2a図はプレリ
ンホトキシンの全アミノ酸配列並びに5′および3′非
翻訳領域をも含めた暗号DNA配列を示す模式図、第2b図
は発現ベクターpLTtrp1の組立てを示す模式図、第3図
は発現ベクターp20KLTの組立てを示す模式図、第4図は
ヒト、ネズミ、ウシのリンホトキシン、および哺乳類に
共通したリンホトキシンの塩基配列を示す模式図、第5a
図および第5b図はプラスミドpST18LTの組立てを示す模
式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 パトリツク・ウイリアム・グレイ アメリカ合衆国カリフオルニア94127、 サン・フランシスコ、サン・フアーナン ド・ウエイ219番 (72)発明者 グレン・エバン・ネドウイン アメリカ合衆国コネチカツト06437、ギ ルフオード、エス・フープ・ポール・ロ ード429番 (56)参考文献 特開 昭59−84827(JP,A) 特開 昭60−126298(JP,A) J.Biol.Chem.259(1), 686−691(1984) Nature,312,721−724(1984)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下に示すアミノ酸配列を有するヒトリン
    ホトキシン(i)、または該アミノ酸配列と60%以上の
    アミノ酸残基が同一であるリンホトキシンであって前記
    リンホトキシン(i)と実質的に同一の細胞溶解活性を
    保持しているヒトリンホトキシン(ii)、の細胞溶解活
    性を中和する抗リンホトキシンモノクローナル抗体であ
    って、非中和抗体を含んでいない抗体:
  2. 【請求項2】検出可能な物質で標識されている請求項1
    に記載の抗体。
  3. 【請求項3】検出可能な物質が蛍光、化学発光、または
    放射性同位元素標識である請求項2に記載の抗体。
  4. 【請求項4】表面またはマトリックスに固定されている
    請求項1に記載の抗体。
  5. 【請求項5】ヒトに存在するリンホトキシンを診断する
    ことができる請求項1に記載の抗体。
  6. 【請求項6】(a)グルタルアルデヒド−重合化リンホ
    トキシンを含んでなる抗原であって、該リンホトキシン
    が以下のアミノ酸配列: を有するリンホトキシン(i)であるか、又は該アミン
    酸配列と60%以上のアミノ酸残基が同一である領域を含
    んでなり前記リンホトキシン(i)と実質的に同一の細
    胞溶解活性を保持しているリンホトキシン(ii)である
    抗原で動物を免疫し、次いで (b)リンホトキシンと明ばんの吸着複合体に対して前
    記動物を免疫する、 ことを含んでなる、以下に示すアミノ酸配列: を有するヒトリンホトキシン(i)、または該アミノ酸
    配列と60%以上のアミノ酸残基が同一であるリンホトキ
    シンであって前記リンホトキシン(i)と実質的に同一
    の細胞溶解活性を保持しているヒトリンホトキシン(i
    i)、の細胞溶解活性を中和する抗リンホトキシンモノ
    クローナル抗体であって 非中和抗体を含んでいない抗
    体を製造する方法。
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