JP2517885Y2 - 釣 竿 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は魚釣りに使用する釣竿に関する。

（従来の技術） 一般に、元竿杆と、この元竿杆に出退自由に内装する
中間竿杆とを備えた釣竿はズーム竿として知られている
が、この釣竿は、例えば実開平２−39666号公報に示さ
れているように、元竿杆の竿尻部を含めて断面円形に形
成されており、そして、断面円形に形成された元竿杆の
竿尻部内面に、円形外面をもった保持体を嵌合し、この
保持体に、前記元竿杆内に出退自由に内装する中間竿杆
の太径側外面が嵌合して前記中間竿杆を保持する円形保
持面を設け、この保持面に前記中間竿杆を嵌合して保持
させることにより、前記中間竿杆を前記元竿杆に格納し
た状態でガタつきが生ずることなく保持できるように
し、釣竿の全体長さの調節ができ、この調節状態を保持
できるようにしたものである。また、以上の如く構成す
る釣竿において、前記元竿杆の竿尻部よりも前方位置に
リール取付部を設けると共に、各竿杆に釣糸ガイドを取
付けるのであって、魚釣時、一方の手で竿尻部を握り、
他方の手で前記リール取付部の近傍位置を握って投擲動
作することにより、前記リール取付部に装着したリール
から釣糸を引出し、釣り仕掛けを投擲するのである。

（考案が解決しようとする課題） 所が、断面円形に形成された一般的な釣竿は、前記リ
ール取付部及び釣糸ガイドの配設位置に対する握持位置
が決まっていないことから、釣竿の投擲方向が定まり難
く、釣り仕掛けを所定のポイントに投擲できない問題が
あるし、又、釣り仕掛けの投擲後、元竿杆のリール取付
部近くを片手で握持し、この握持した手の肘を前記竿尻
部表面に当てて魚信を待つ場合でも、竿尻部が円形とな
っているため肘が前記竿尻部に対し非常に滑り易くて、
竿尻部を肘に安定して当てることができない問題があ
る。

また、中間竿杆の太径側外面を保持体の円形保持孔に
嵌合すると、単に中間竿杆を長さ方向外方に引張っただ
けでは中間竿杆を引出すことがむつかしいことから、中
間竿杆を元竿杆に対し回転させながら外方に引出すので
あるが、この引出時、前記保持体が中間竿杆と共回りす
ると中間竿杆を引出すことができないので、特別の回り
止め手段で前記保持体の回転を阻止する必要がある。つ
まり保持体を竿尻部内面に嵌合により固定する場合は、
保持体外面と竿尻部内面とに加工精度が要求されてコス
ト高となるし、又、保持体を竿尻部内面に接着剤で固定
する場合には、接着剤の付き具合とか或は接着剤の劣化
により保持体の固定が短期間で外れる問題がある。

本考案は以上の点に鑑み考案したもので、目的は、釣
竿の適正な投擲方向を決めることができて、しかも、魚
釣時、竿尻部を肘に安定性よく当接させたり、或は竿尻
部を脇に不快感なく挟むことが可能でありながら、更
に、竿尻部の内面形状を利用して、保持体の回り止めを
簡単かつ、有効に行うことができるようにする点にあ
る。

（課題を解決するための手段） しかして、本考案は、元竿杆（１）と、該元竿杆
（１）に出退自由に内装する中間竿杆（２）とを備えた
釣竿であって、前記元竿杆（１）の竿尻部外面と内面と
をそれぞれ非円形に形成して、この竿尻部内面（11b）
に、該竿尻部内面（11b）に対応する非円形外面をもっ
た保持体（３）を嵌合して固定し、この保持体（３）
に、中間竿杆の太径側外面（21a）が嵌合して、前記中
間竿杆を保持する円形保持面（31）を設けたものであ
る。

又、保持体（３）には、円形開口部（31）を設けて、
この円形開口部（31）に尻栓（４）を着脱可能に取付け
るのが好ましい。

（作用） 前記竿尻部内面と外面とをそれぞれ非円形に形成して
いるので、投擲動作時に釣竿の適正な投擲方向を決める
ことができるのであり、又、魚釣時、竿尻部を肘に安定
性よく当接させたり、或は竿尻部を脇に不快感なく挟む
ことが可能である。又、中間竿杆（２）を元竿杆（１）
内に後退させて、その太径側外面（21a）を保持体
（３）の円形保持面（31）に嵌合することにより、前記
中間竿杆（２）を元竿杆（１）内に固定状態で収納で
き、釣竿全体の長さを短く調節できるのであり、しか
も、竿尻部内面（11b）も非円形に形成して、この非円
形の竿尻部内面（11b）に、非円形外面をもつ前記保持
体（３）を嵌合するから、特別の回り止めをすることな
く前記保持体（３）の中間竿杆（１）との共回りを長期
間に亘って有効に防止でき、元竿杆（１）内に格納する
中間竿杆（２）の引出しを支障なく行えるのである。

（実施例） 図において、（１）は中空の元竿杆であり、（２）は
この元竿杆（１）内に出退自由に内装する複数本（図面
では２本）の中間竿杆である。そして、前記元竿杆
（１）は、その先端側を緩円錐形に形成し、竿尻部（1
1）側を先端側の径の変化率より大きい変化率で拡径す
るテーパ部（12）を介して太径に形成し、この竿尻部外
面（11a）と竿尻部内面（11b）とをそれぞれ第２、３図
のように、例えば三角形から成る非円形に形成して、該
竿尻部内面（11b）に、保持体（３）を嵌合して固定す
るのである。

しかして、この保持体（３）は、前記竿尻部内面（11
b）に対応する非円形外面（3a）をもった三角形に形成
し、その非円形外面（3a）を前記竿尻部内面（11b）に
嵌合するのであって、この嵌合により保持体（３）の回
転は、簡単に、かつ、有効に阻止されるのである。また
一方、保持体（３）の後端部には、前記竿尻部（11）の
端縁と対向する外向き鍔（3b）を設けて、前記太径中間
竿杆（21）の引出し時に保持体（３）が前方に移動する
のを防止するようにしている。また、保持体（３）の中
心部に円形保持面（31）を設け、この円形保持面（31）
に、前記中間竿杆（２）のうち太径中間竿杆（21）の太
径側外面（21a）を嵌合して、前記太径中間竿杆（21）
を保持させるのである。又、保持体（３）の前端面には
前記円形保持面（31）から先広がり状に傾斜するガイド
面（32）を、また後端面には内ねじをもった円形開口部
（33）を設けて、この円形開口部（33）に尻栓（４）を
着脱可能に螺着している。

この尻栓（４）は、外周面にねじをもった筒部（4a）
と、該筒部（4a）の一端を閉鎖する閉鎖部（4b）とから
なり、前記筒部（4a）を前記円形開口部（33）に着脱可
能に螺着している。

又、前記太径中間竿杆（21）の先端部には、太径中間
竿杆（21）の元竿杆（１）内への収納時、元竿杆（１）
の細径側内面（1a）と接触して、太径中間竿杆（21）の
細径側でガタ付きを防止する肉盛り部（21b）と、収納
時前記元竿杆（１）の先端縁から外方に突出する摘み部
（21c）とを設け、この摘み部（21c）を摘んで太径中間
竿杆（21）を元竿杆（１）内から容易に引出すことがで
きるようにしている。

尚、第１図中、（５）は空気抜き孔（5a）をもった内
蓋、（６）は穂先、（4c）は前記尻栓（４）の閉鎖部
（4b）に設ける空気抜き孔である。

又、前記元竿杆（１）及び各中間竿杆（２）は、プリ
プレグを用いて一般的な製造法で製造している。即ち、
高強度繊維に合成樹脂を含浸したシート状のプリプレグ
を緩円錐形芯金の外周に巻装し、その外周にセロファン
テープを螺旋状に巻付けて緊縛し、この緊縛により前記
巻装プリプレグを加圧し、この加圧状態で加熱炉で加熱
し、この加熱により前記巻装プリプレグにおける合成樹
脂を硬化させ、次に前記芯金を抜取ると共に、前記セロ
ファンテープを剥離し、両端側を切断して元竿杆（１）
および中間竿杆（２）を形成するのである。又、前記穂
先（６）も一般的な製造法で製造するのである。

本考案は以上の如く構成するもので、魚釣時、穂先
（６）及び各中間竿杆（２）を元竿杆（１）内から引出
すと、最長の長さで使用することができるのである。こ
の場合、太径中間竿杆（21）の太径側外面（21a）が元
竿杆（１）の細径側内面（1a）に、又、細径中間竿杆
（22）の太径側外面が太径中間竿杆（21）の細径側内面
に、又、穂先（６）の太径側外面が細径中間竿杆（22）
の細径側内面にそれぞれ接触して嵌合され、引出し長さ
を保持できるのである。

しかして、元竿杆（１）の竿尻部外面（11a）は断面
略三角形状に形成しているので、元竿杆（１）の竿尻部
（11）より前方位置を片手で握持し、竿尻部（11）をそ
の手の肘にあてて魚信を待つような場合、竿尻部外面
（11a）の一側面に、前記元竿杆（１）を握った手の肘
をあてがうことができるから、肘を前記元竿杆（１）に
安定よく当てることができ、従って、元竿杆（１）を軽
く握持すればよいのであり、手の疲れを少なくできるの
である。

又、前記元竿杆（１）の竿尻部（11）より前方位置一
側にリールを装着すると共に、各竿杆の一側に釣糸ガイ
ドを装着して投擲動作により釣り仕掛けを投擲するよう
な場合、例えば竿尻部外面（11a）の曲率半径が小さい
一つの頂部を基準にしてリール取付部及び釣糸ガイドを
装着できるので、前記竿尻部（11）の外面形状により釣
竿の適正な投擲方向を決めることができ、釣り仕掛けを
所望位置に投擲でき、釣果を高めることができるのであ
る。

又、魚釣時、長さを短くして使用する場合、各中間竿
杆（２）のうち、太径中間竿杆（21）を元竿杆（１）内
に収納し、穂先（６）と１本の細径中間竿杆（22）とを
引出して使用するのである。この場合、収納した太径中
間竿杆（21）は、その太径側外面（21a）が保持体
（３）の円形保持面（31）に嵌合して保持され、長さ方
向の移動が係止されるのであり、又、太径中間竿杆（2
1）の細径側外面に肉盛部（21b）などを設けて、この肉
盛部（21b）などを前記元竿杆（１）の細径側内面（1
a）に嵌合させるように構成すれば、太径中間竿杆（2
1）の先端側における振れを防止できるのである。

しかして、前記太径中間竿杆（21）を保持する保持体
（３）は、非円形に形成する竿尻部内面（11b）の形状
を利用して回転不能に取付けることができるので、この
保持体（３）を特別の回り止め手段で固定する必要がな
く、それでいて有効な回り止めが可能となるのであっ
て、コストを低減できるし、また、耐久性も向上できる
のである。

尚、以上説明した実施例では、２本の中間竿杆（２）
を用い、これら中間竿杆のうち、１本の太径中間竿杆
（21）を保持体（３）に保持させるようにしたが、その
他前記保持体（３）に、大径保持孔と小径保持孔とを段
階状に設けて各中間竿杆（２）を保持体（３）に保持さ
せるようにしてもよい。

又、以上の実施例では、元竿杆（１）の竿尻部（11）
を略三角形の非円形に形成したが、その他例えば断面楕
円形に形成してもよいのである。この場合、楕円形状に
より釣竿の適正な投擲方向を決めることができるのであ
り、また、元竿杆（１）の竿尻部（11）より前方位置を
片手で握持して魚信を待つような場合、竿尻部（11）の
曲率半径が大きな短軸側面を脇に不快感なく挟むことが
でき、従って、元竿杆（１）を軽く握持すればよいので
あり、手の疲れを少なくできるのである。

（考案の効果） 以上の如く本考案は、元竿杆（１）の竿尻部外面と内
面とをそれぞれ非円形に形成したから、この竿尻部外面
の形状を利用して、釣竿の適正な投擲方向を決めること
ができるのであり、更に、元竿杆（１）の竿尻部より前
方位置を片手で握持して魚信を待つような場合、前記竿
尻部を、元竿杆（１）を握持する手の肘に安定性よく当
接させたり、或は竿尻部を不快感なく脇に挟んだりし
て、元竿杆（１）を握持する手の疲れを小さくすること
が可能でありながら、しかも非円形に形成した前記竿尻
部内面の形状を利用して、円形保持面（31）を持った保
持体（３）を回転不能に固定できるので、この保持体
（３）を特別の回り止め手段で固定する必要がなく、そ
れでいて有効な回り止めが可能となるのであって、コス
トを低減できると共に、長期間に亘って有効に回り止め
することができるのである。

又、元竿杆（１）の竿尻部外面と内面とを非円形に形
成したに拘らず、保持体（３）に円形開口部（31）を設
けて、この円形開口部（31）に尻栓（４）を着脱可能に
取付けることにより、竿尻部外面及び内面と保持体
（３）の外面とが非円形であるにも拘らず、尻栓（４）
をねじ込みにより取付けることができるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案釣竿の一実施例を示す一部省略断面図、
第２図は第１図II−II線断面図、第３図は第１図III−I
II線断面図である。 （１）……元竿杆 （11b）……竿尻部内面 （２）……中間竿杆 （21a）……太径側外面 （３）……保持体 （31）……円形保持面

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】元竿杆（１）と、該元竿杆（１）に出退自
   由に内装する中間竿杆（２）とを備えた釣竿であって、
   前記元竿杆（１）の竿尻部外面と内面とをそれぞれ非円
   形に形成して、この竿尻部内面（11b）に、該竿尻部内
   面（11b）に対応する非円形外面をもった保持体（３）
   を嵌合して固定し、この保持体（３）に、中間竿杆の太
   径側外面（21a）が嵌合して、前記中間竿杆を保持する
   円形保持面（31）を設けたことを特徴とする釣竿。
2. 【請求項２】保持体（３）に円形開口部（31）を設け
   て、この円形開口部（31）に尻栓（４）を着脱可能に取
   付けている請求項１記載の釣竿。