JP4028185B2 - キャスティングハンドル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚釣用リールを取付けるリール脚載置部に対して径方向反対側からトリガーを突出させ、内部に挿通した竿管に固着されるキャスティングハンドルに関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなキャスティングハンドルの例が特公平1−18699号公報に記載されている。この従来のキャスティングハンドルは、握り部の断面形状を楕円型に形成することにより、指全体で握った際の握持性を向上させると共に、この握り部の後部すなわち竿尻側を釣竿の軸線対してトリガー側に傾斜させることにより、ハンドルを握った際の手首のひねりを少なくし、安定した握持を可能とするものである。
このようなキャスティングハンドルを用いた釣竿でキャスティング操作する際は、両軸受型リールあるいは片軸受型リール等のタイプのリールを装着したリールシートを握持し、親指をリールの糸巻き部に置き、ルアーをキャスト後、リールから出ていく糸やスプールをこの親指で触れ、ルアーの飛びあるいはスプールの回転を調節するサミング操作が必要となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来のキャスティングハンドルは、人差指をトリガーに掛け、中指と薬指と小指とで握り部を握持してキャスティング操作する際、サミング操作を好適に行うことが困難である。すなわち、サミング操作は親指で行うため、キャスティング時にこの親指が自由で、かつ、リールの近くに位置するほうが操作に好都合であるのに対し、従来のキャスティングハンドルにおける握り部のように、その前部と後部とがほぼ同程度の断面寸法を有する場合には、握持した中指と小指とで力を入れ難く、安定した状態で握持し続けるのが困難であり、この結果、親指の自由が制限される。また、握り部の竿尻側が釣竿の軸線に対してトリガー側に傾斜することにより、この握り部を握持した際に親指の位置がリールから離隔し、サミング操作がし難い。
【0004】
本発明は、このような従来技術の実情に基づいてなされたもので、握持性が良好であると共に安定したキャスティング操作を行うことのできるキャスティングハンドルを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によると、魚釣用リールを取付けるリール脚載置部に対して径方向反対側からトリガーを突出させ、内部に挿通した竿管に固着されるキャスティングハンドルであって、
前記トリガーの竿尻側に、トリガーに指を掛けた手で握持される握り部を備え、この握り部は、竿管軸芯からリール脚載置部側に所定距離離隔した位置に、先端部の中心軸で形成される握り部軸芯と、リール脚載置部側に形成され、中間部から竿尻側に移行するにつれて、握り部軸芯に近接する傾斜部と、握り部軸芯に沿う外周面がこの握り部軸芯から均等距離に形成されるトリガー側指係合部とを有し、前記中間部の断面形状がリール脚載置部とトリガーとを結ぶ方向に長軸を有する楕円形状に形成されるキャスティングハンドルが提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1〜図5は、本発明の好ましい実施形態によるキャスティングハンドル10を示す。
本実施形態におけるキャスティングハンドル10は、図5に概略的に示す魚釣用リール6を取付けるためのリールシート12と、このリールシートの後部すなわち竿尻側に配置された握り部14と、この握り部の竿尻側に配置された支持部16とを備え、繊維強化樹脂製であるのが好ましい内部に挿通した竿管8に固着される。
【0007】
リールシート12は、内部に竿管8が貫通して装着される合成樹脂等からなる筒状のシート本体18と、シート本体18の先端側外周に形成されたネジ部に螺合されかつこのシート本体の長手方向に沿って移動可能な移動フード20とを備える。この移動フード20の先端側外周部には、コルク材あるいは硬めの発泡性樹脂材で形成された握持部材22が固定され、この握持部材により前側支持部が形成される。また、移動フード20の後端側内周部には、魚釣用リール6の取付脚部4の先端部を導入するための図示しない開口が、全周にわたって竿尻側に向けて開口する。
【0008】
このシート本体18は、リールの取付脚部4を載置するリール脚載置部24をその中間部の一側に形成され、後端側には、上述の移動フード20と共にリール6の取付脚部4を固定する固定フード26を形成してある。この固定フード26は、このリール6の取付脚部4の後端部を受けてこれを係止させる図示しない開口を先端側に向けて開口させる。更に、このシート本体18の固定フード26の近部では、リール脚載置部24に対して径方向反対側からトリガー28が突出する。このトリガー28の先端側の部位すなわちリール脚載置部24と径方向に対向した部位は、リールの全体を手で握り込んで操作するパーミング操作を容易とするために凹設されており、したがって、リール本体18の中間部は扁平構造に形成される。本実施形態では、シート本体18は、竿管8と別体に形成されて竿管8に接着剤等によって固定されているが、竿管8と一体に形成してもよい。
【0009】
握り部14は、コルク材あるいは硬めの発泡性樹脂材から筒状に形成された弾性筒状部材30を備え、この筒状部材30は、先端部をシート本体18の後端部と嵌合させ、このシート本体18の後端部と内部に挿通した竿管8とに接着剤等によって固定される。符号32は、後端部を保護する保護リング32を示す。
【0010】
本実施形態では、握り部14を形成する弾性筒状部材30は、特に図3および図4の(A),(B),(C)から明らかなように、先端部30Aがシート本体18の後端部と連続した段部のない滑らかな外周部を形成し、中間部30Bから後端部30Cにかけて次第に縮径された外周部を形成する。また、図1に示すように、この筒状部材30は、その先端部30Aの中心軸である握り部軸芯Nが竿管8の中心軸である竿管軸芯Rからリール脚載置部24側に、例えば5mm〜10mmであるのが好ましい距離H1 に離隔してこの竿管軸芯Rと平行に配置される。
【0011】
この筒状部材30の外周部は、図1および図3に示すように、中間部30Bから後端部30Cにわたるリール脚載置部24側が、後端部30Cに移行するにつれて、握り部軸芯Nに近接する方向に傾斜した傾斜部34として形成してある。この傾斜部34は、握持を容易とする外方に突出した湾曲面で形成するのが好ましい。一方、トリガー28側の外周部は、例えば4mm以下程度でほぼ3mmであるのが好ましいほぼ均等な壁厚を有する指係合部36を形成する。この指係合部36は、先端部30Aから後端部30Cまで握り部軸芯Nから均等距離に形成され、したがって竿管8とほぼ平行な外周面を形成する。このトリガー28側の外周部は、傾斜部34に対して径方向に対向した部位に、例えば0.5〜2mm程度で好ましくは1mm程度の極めて僅かな距離だけ外方に突出する盛上げ部36aを形成してあり、この傾斜部34と盛上げ部36aとにより、この筒状部材30を容易かつ確実に握持することができる。
【0012】
更に、この筒状部材30は、図2に示すように、先端部30Aから中間部30Bに沿う側部が握り部軸芯Nとほぼ平行に延び、後端部30Cの近部では握り部軸芯Nに向けて次第に縮径する。この筒状部材30の全体は、握持し易い滑らかな外周面に形成してある。
【0013】
このような外面形状を有する本実施形態の筒状部材30は、図4の(A)に示す先端部30Aが、ほぼ25mm〜35mmであるのが好ましい握持し易い太さの円形断面を有する。また、図4の(B)に示す中間部30Bの断面形状は、上下方向すなわちリール脚載置部24およびトリガー28を結ぶ方向の長軸と横方向の短軸とを有して側部に指を当てて安定させることが容易な楕円形状に形成し、これにより、キャスティングハンドル10したがって竿管8を回転し難い形状とすることができる。更に、筒状部材30の後端部30Cは、図4の(C)に示すように、ほぼ15mm〜25mmであるのが好ましい小径断面径状を有し、竿管8と同心状に配置される。これにより、筒状部材30を握持した際に、小指に力を入れ易い構造に形成される。
【0014】
本実施形態では、竿尻に配置された支持部16は、握り部14から竿尻側に例えば50〜100mm離隔した位置に配置してあり、上述の握持部材22および筒状部材30と同様なコルク材あるいは硬めの発泡性樹脂材から先細状に形成した握持部材38と、好適な樹脂あるいは金属で形成されて尻栓を兼ねる円筒状の固定部材40とを備える。これらの握持部材38および固定部材40は竿管8と同軸状に配置され、握持部材38の後端部は固定部材40の外周面と段差のない滑らかな外周面を形成する。なお、支持部16は、このような握持部材38に限らず、投擲を容易に行うことができるものであれば、全長にわたってほぼ同じ外径の円筒状、あるいは、後端側をテーパ状に縮径させて形成することも可能である。
【0015】
この握持部材38の最大外径したがって固定部材40の外径はほぼ20mm〜30mm程度に形成するのが好ましい。この握持部材38および固定部材40のリール脚載置部24側には、軸方向に沿って平坦面を形成してもよく、この場合には、握り部14を把持した際に、この支持部16に腕を載せやすくすることができる。また、この支持部16は、手首をひねって投げる際に、邪魔にならないように、少なくともリール脚載置部24側で、竿管軸線Rからの距離H2 が筒状部材30の最大突出距離H3 よりも小さく形成する。このH3 とH2 との差は、ほぼ5〜15mmであることが好ましい。
【0016】
図5は、このようなキャスティングハンドル10に魚釣用リール6を固定した状態を示す。リール6の取付脚部4はその先端部と後端部とを移動フード20と固定フード26とでリール脚載置部24上に保持される。
【0017】
このキャスティングハンドル10は、図1に示すように、握り部軸線Nが竿管軸線Rからリール脚載置部24側に距離H1 離隔した位置に配置されるため、この握り部14を握持した手が竿管8に対して上方すなわちリール6側に近接して位置し、更に、握り部14の筒状部材30がトリガー28側の外周面が竿管8とほぼ平行に形成されるために、親指を前方まで容易に伸ばすことができる。そして、このように握り部14を握持した手の薬指および小指に対向した掌が当接する部位に、外方に湾曲した傾斜部34が形成され、次第に小径になるため、これらの薬指および小指に力を入れ易い。このため、キャスティングハンドル10したがって釣竿8を安定して保持しつつ容易にサミング操作することができる。
【0018】
また、中間部30Bが図4の(B)に示すように、上下方向に長い楕円形状の断面を有するため、中指および薬指の腹をこの中間部30Bの側部に当ててキャスティングハンドル10および釣竿8を安定して保持することができる。
【0019】
更に、本実施形態では、竿尻に位置する支持部16の握持部材38および固定部材40が、竿管8と同軸上に配置されている。このように、支持部16の軸芯が竿管軸芯Rと同軸上になく、これからずれた状態に配置されている場合には、リール6を上に配置した状態でキャスティングする場合あるいはリール6を横に配置した状態でキャスティングする場合等でサミング操作のタイミングが異なり、正確なポイントにキャスティングすることが困難である。これに対し、本実施形態では、一方の手で握り部14を握持しかつ他方の手で支持部16を握持しつつ、この釣竿を両手を使ってキャスティングする際、竿管軸芯R(図1)を基準としてキャスティング方向を定めることができ、仕掛けをコントロールし易く、狙ったポイントに正確にキャスティングすることができる。
【0020】
【発明の効果】
以上明らかなように、本発明のキャスティングハンドルによると、親指を前方まで容易に伸ばすことができ、かつ小指に力を入れやすいために握持性が良好であると共に、断面形状が楕円形状に形成された中間部に指を当てて安定して保持し、安定したキャスティング操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるキャスティングハンドルの側面図。
【図2】図2のキャスティングハンドルの平面図。
【図3】図1のキャスティングハンドルの握持部および支持部の内部構造を示す部分断面図。
【図4】図1のキャスティングハンドルの種々の部位の断面形状を示し、(A),(B),(C)および(D)はそれぞれ図3のA−A線,B−B線,C−C線およびD−D線に沿う断面図。
【図5】図1のキャスティングハンドルの使用状態の説明図。
【符号の説明】
10…キャスティングハンドル、14…握り部、24…リール脚載置部、28…トリガー、34…傾斜部、36…指係合部、R…竿管軸芯、N…握り部軸芯。
Claims (2)
- 魚釣用リールを取付けるリール脚載置部に対して径方向反対側からトリガーを突出させ、内部に挿通した竿管に固着されるキャスティングハンドルであって、
前記トリガーの竿尻側に、トリガーに指を掛けた手で握持される握り部を備え、この握り部は、竿管軸芯からリール脚載置部側に所定距離離隔した位置に、先端部の中心軸で形成される握り部軸芯と、リール脚載置部側に形成され、中間部から竿尻側に移行するにつれて、握り部軸芯に近接する傾斜部と、握り部軸芯に沿う外周面がこの握り部軸芯から均等距離に形成されるトリガー側指係合部とを有し、前記中間部の断面形状がリール脚載置部とトリガーとを結ぶ方向に長軸を有する楕円形状に形成されることを特徴とするキャスティングハンドル。 - 前記握り部の竿尻側に配置される支持部を備え、この支持部は、竿管軸芯と同軸上に配置される支持部軸芯を有することを特徴とする請求項1に記載のキャスティングハンドル。
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