JP2514279B2 - 生産性の高い連続鋳造スラブを用いた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
生産性の高い連続鋳造スラブを用いた方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Description
用いられる軟磁性材料である方向性電磁鋼板に関するも
のであり特に、溶鋼を連続鋳造してスラブを得るに際
し、倍尺幅(2倍幅)に鋳造し、これを幅方向において
分割すべく縦断して得たスラブを出発材として方向性電
磁鋼板を製造する方法において、熱間圧延に先立つスラ
ブ加熱段階においてスラブの幅方向分割縦断面相互間の
融着を防止する方法に関するものである。
を連続鋳造機によって100〜300mm厚さのスラブに
鋳造した後、連続式加熱炉によって加熱し、次いで、熱
間圧延して熱延板製品とする方法、或は熱延板をさらに
冷間圧延、焼鈍して冷延薄板製品とする方法さらに、熱
延板、冷延薄板、焼鈍板にめっきを施して表面処理鋼板
とする方法等が一貫製鉄所において採用されている。こ
れらの製造方法にあっては、鋼板(ストリップ)幅が広
いほど生産性を高くすることができる。また、製品をユ
ーザにおいて使用される場合の必要最大幅を考慮して、
鋼板製造メーカーにおいては、標準的には6フィート
(1828.8mm)幅の鋼板(ストリップ)を加工或は
処理できるような製造設備を設けている。
られる軟磁性材料である一方向性電磁鋼板は、製品をユ
ーザにおいて使用される場合の必要最大幅が3フィート
(914.4mm)前後である。また、一方向性電磁鋼板
の製造プロセスにおける高温仕上焼鈍工程においては、
ストリップコイルが1200℃といった高温域で長時間
保持されるから、3フィートを超える広幅の鋼板(スト
リップ)では、製品の形状(平坦さ)を良好なものとす
ることができない、という問題が一方において存在す
る。これらの理由から、従来、方向性電磁鋼板は、3フ
ィート前後の幅のスラブを出発材として製造されてき
た。
尺幅と呼び、3フィート幅の電磁鋼用スラブを単尺幅と
呼んでいる。方向性電磁鋼板の製造プロセスにあって
は、このような単尺幅のスラブを出発材料とする処か
ら、多大の設備費を投じた連続鋳造機の能力を半分しか
稼働させないこととなり、生産性を極めて低いものとし
ている。
板製造用のスラブは、熱伝導率が低いから連続鋳造時に
割れを生じ易い。このため、溶鋼を連続鋳造してスラブ
とする過程で、Siを含有しない普通鋼の連続鋳造にお
ける鋳片引き抜き速度に比し、より低い鋳片引き抜き速
度としているから、この面からも生産性を低いものとし
ている。
は所謂倍尺幅で溶鋼を連続鋳造し、得られた鋳片(スラ
ブ)を幅方向中心部でガス切断或は機械的に切断するこ
とによって幅方向において2分割して単尺幅スラブと
し、これを熱間圧延する方法が考えられた。しかしなが
ら、前記方法によるときは、特開昭58−217633
号公報に記載されている問題を惹起する。即ち、熱間圧
延工程におけるスラブ加熱段階で、前後のスラブの間隔
を設けることなく接触した状態でスラブが加熱されるか
ら、幅方向において切断、分割して単尺幅としたスラブ
の場合、スラブ相互間で融着を生じる。スラブ加熱段階
で、前後のスラブの間隔を設けることなく接触した状態
でスラブを加熱するのは、間隔を置いてスラブを加熱す
ると、熱間圧延中にストリップの耳荒れ発生を招くから
である。
には、スラブの幅方向における切断、分割面相互が接触
しないよう、切断単尺スラブを1本おきに前後を反転さ
せて加熱炉に装入することが提案されている。この方法
による場合、大重量かつSiを多量に含有して割れ易い
スラブを1本おきに反転させるという作業を伴うから、
生産性を低くする。
程においては所謂倍尺幅で溶鋼を連続鋳造し、得られた
鋳片(スラブ)を幅方向において2分割して単尺幅スラ
ブとし、これを熱間圧延する段階を含む方向性電磁鋼板
の製造プロセスにおいて、スラブ加熱段階でスラブ1本
おきに前後を反転させることを必要とせず、前後のスラ
ブの間隔を置くことなく融着を生ぜしめずに加熱するこ
とができる方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを
目的とする。
ては、(1)電磁鋼用溶鋼を連続鋳造プロセスにおいて
倍尺幅(2倍幅)のスラブに鋳造した後、幅方向におい
て分割切断したスラブを加熱した後熱間圧延し、焼鈍お
よび冷間圧延を組合せ施して最終板厚とし、次いで、脱
炭焼鈍、焼鈍分離剤塗布、高温仕上焼鈍を施して二次再
結晶させて{110}<001>方位からなる一方向性
電磁鋼板を製造する方法において、鋼中のSを重量で、
0.014%以下としたスラブを出発材とすることによ
りスラブ加熱時にスラブの幅方向分割縦断面相互の融着
を防止するようにしたこと、 (2)電磁鋼用溶鋼を連続鋳造プロセスにおいて倍尺幅
(2倍幅)のスラブに鋳造した後、幅方向において分割
切断したスラブを加熱した後熱間圧延し、焼鈍ならびに
一方向冷間圧延およびこれに直交するクロス方向の冷間
圧延を組合せ施して最終板厚とし、次いで、脱炭焼鈍、
焼鈍分離剤塗布、高温仕上焼鈍を施して二次再結晶させ
て{100}<001>方位からなる一方向性電磁鋼板
を製造する方法において、鋼中のSを重量で、0.01
4%以下としたスラブを出発材とすることによりスラブ
加熱時にスラブの幅方向分割縦断面相互の融着を防止す
るようにしたこと、 (3)上記(1)または(2)において、鋼中成分とし
て、さらに重量で、酸可溶性Al:0.008〜0.0
55%、total N:0.0035〜0.0095%を含
有するスラブを用い、AlNを二次再結晶に必要なイン
ヒビターとして機能せしめること、および (4)上記(1)または(2)において、鋼中成分とし
て、さらに重量で、酸可溶性Al:0.008〜0.0
55%、Si:0.8〜4.8%を含有するスラブを用
い、最終冷間圧延以降高温仕上焼鈍における二次再結晶
発現までの間の何れかの段階で鋼板を窒化処理して(A
l,Si)N系の析出物を形成し、これをインヒビター
として機能せしめることを特徴とするものである。
は、分割単尺幅スラブを加熱するときの上記スラブ融着
現象の原因について、新たな観点から解明を行い、スラ
ブ融着が極めて起こり難い条件を見出し、この知見に基
づいて、スラブの縦断面相互が接触した状態で加熱して
も融着がない方向性電磁鋼板の製造プロセスを確立する
ことに成功した。本発明によれば、スラブを1本おきに
前後を反転させるといった煩雑な作業を必要とせず、生
産性を大きく向上せしめ得る。
001>方位をもつ)および二方向性電磁鋼板({10
0}<001>方位をもつ)は、適切な焼鈍と冷間圧延
を組合せて製造される。たとえば、一方向性電磁鋼板
は、スラブを熱間圧延して得られる熱延板を焼鈍した
後、80%以上の圧下率を適用する冷間圧延を施して最
終板厚とするプロセス或は熱延板を中間焼鈍を挟む2回
の冷間圧延工程によって最終板厚とするプロセスによっ
て得られた冷延板に脱炭を兼ねる一次再結晶焼鈍施し焼
鈍分離剤を塗布し巻き取ってストリップコイルとした
後、高温仕上焼鈍工程において1200℃までの高温域
で焼鈍し、この過程で所望の結晶粒のみを優先的に成長
させる、所謂二次再結晶現象を用いて製造される。
て得られる熱延板を焼鈍した後、一方向に第1回の冷間
圧延を施し、次いで、第1回の冷間圧延方向に直角な方
向に第2回目の冷間圧延を施して最終板厚とするプロセ
スによって得られた冷延板を脱炭を兼ねる一次再結晶焼
鈍し焼鈍分離剤を塗布し巻き取ってストリップコイルと
した後、高温仕上焼鈍工程において1200℃までの高
温域で焼鈍し、この過程で所望の結晶粒のみを優先的に
成長させる、所謂二次再結晶現象を用いて製造される。
而して何れの製造プロセスにおいても、インヒビターと
呼ばれる微細析出物を二次再結晶発現前の材料(鋼板)
に存在させておく必要がある。インヒビターとして機能
する微細析出物として、MnS,MnSe,AlN,
(Al,Si)N等が知られている。また、その付加的
効果も狙って、Sn,Sb,As等の粒界析出型元素も
インヒビターとして用いられることが知られている。
盤的に使用されている。現在、工業生産されている方向
性電磁鋼板の製造方法として3つの技術がある。第1
は、M. F. Littmannによって特公昭30−3651号公
報に開示された、熱延板を2回の冷間圧延工程によって
最終板厚とし、高温仕上焼鈍工程における二次再結晶に
おいてインヒビターとしてMnSを用いる製造プロセス
である。
15644号公報に開示された、熱延板を1回の強圧下
冷間圧延工程によって最終板厚とし、高温仕上焼鈍工程
における二次再結晶においてインヒビターとしてAlN
+MnSを用いる製造プロセスである。第3は、今中ら
によって特公昭51−13469号公報に開示された、
2回の冷間圧延工程によって最終板厚とし、高温仕上焼
鈍工程における二次再結晶においてインヒビターとして
MnS(および/またはMnSe)+Sbを用いる製造
プロセスである。
方法にあっては、MnSの存在が必須でありまた有効で
あると考えられてきた。特開昭58−217633号公
報において問題として指摘されている切断、分割単尺幅
スラブの縦断面相互間の融着も、このような、MnSの
存在を必須とする従来の方向性電磁鋼板の製造方法の中
で惹起していた。
が得られる、特公昭40−15644号公報に開示され
ている製造プロセスに準じた製造プロセスにおいて発生
する切断、分割単尺幅スラブの縦断面相互間の融着現象
を研究した結果、新たな知見を得、本発明を完成するに
至った。重量で、C:0.06%,Si:3.10%,
Mn:0.07%,S:0.026%,Al:0.03
0%,N:0.0080%を含む倍尺幅スラブを、幅方
向中央で縦断して単尺幅スラブとし、縦断面相互を接触
させて加熱しながら、該接触面を分析してみると、雰囲
気制御をしないガス燃焼加熱において通常生成する酸化
物であるファイアライト(2FeO・SiO2 )を主成
分とするスケールの融点である1205℃以下の115
0℃前後から既に融着の前駆現象のような部分が観察さ
れ、その部分のS量は鋼中S量よりもかなり多く、0.
046%程度であった。その後、加熱温度が上昇するに
つれて融着部が拡がり、両方のスラブを離すことが困難
となった。
縦断面相互の接触面でのFe−Si−O系で生成するス
ケールとして、融点の低いファイアライトが、状態図か
らも推測されるように、Sが高濃度に存在していた部位
でさらに融点が低くなり、融着が生じ易くなっているも
のと考えられる。ところで、よく知られているように、
連続鋳造過程でSを含有する溶鋼を凝固させると、凝固
初期に比し凝固終期の鋳片の厚さ方向中心部にはSの濃
厚偏析帯が生じる。これに加えて、Siを含む溶鋼を連
続鋳造する場合、熱伝導率が小さくなるため、凝固、冷
却中にスラブの厚さ方向における温度差が大きくなり、
このことに起因して熱応力が大きくなって鋳片に割れを
生じ易く、その割れ部にSが濃化した溶鋼が流れ込みS
偏析帯を生じる。その一例として、図1に、EPMAで
Sを点分析し、その値を画像処理してSの分布として示
す。
mm厚スラブのマクロ組織を示す図であり、同図(b)は
上記スラブの測定範囲40mm厚部分のEPMA分析によ
るS分布状況を示す図である。この図に示すようにSは
鋳片(スラブ)の厚さ方向において若干の傾きをもった
状態で分布していることが分る。この調査によって、S
はスラブ断面における中心部に、さらにSi量が増すと
鋳片厚さ方向1/4近傍に偏析し、その最大値は初期溶
鋼中のS含有量の2倍以上に達することが分った。これ
らの知見から、発明者は、スラブの融着の原因を、スラ
ブを一旦縦断してS偏析帯を表面に出し、その後両者を
接触させて加熱させると、Fe−Siと加熱雰囲気中の
酸素が反応して生成する酸化物が高濃度S部で一層低融
点となるためであると考えた。前記知見に基づいて発明
者は、二次再結晶に必要なインヒビターとしてAlNを
機能せしめ、さらにSを含む場合と含まない場合におけ
るスラブの融着状況を調べた。鋼成分として、(A)重
量で、C:0.063%,Si:3.05%,Mn:
0.080%,S:0.027%,酸可溶性Al:0.
028%,total N:0.0080%、残部:Feおよ
び不可避的不純物(B)重量で、C:0.060%,S
i:3.07%,Mn:0.080%,S:0.007
%,酸可溶性Al:0.030%,total N:0.00
82%、残部:Feおよび不可避的不純物からなる2種
類の溶鋼を、連続鋳造して200mm厚さ×2000mm幅
のスラブとし、これをガス火炎によって縦断し1000
mm幅の単尺幅スラブとした。さらにこれを100kg程度
に小さく切断し、切断面相互が接触する状態で、115
0℃,1270℃,1370℃にそれぞれ1時間、加
熱、灼熱した後、各接触面における融着状況を調査し
た。この融着領域面積を、鋼成分系別に第2図に示す。
S含有量が少ない(B)成分系スラブにおいては殆ど融
着しないが、S含有量が多い(A)成分系スラブにおい
ては、温度が高くなると急激に融着し、1370℃に加
熱、灼熱したスラブはガス切断によらなければ分離でき
なかった。
さのストリップとした処、S含有量が少ない(B)成分
系スラブにおいては殆ど耳荒れを生じなかったのに対
し、S含有量が多い(A)成分系スラブにおいては12
70℃加熱材ではガス火炎による縦断面側に大きな耳荒
れを生じた。また、1370℃加熱材においては、スラ
ブ相互を分離するのに時間を多く要してスラブの降温が
著しく熱間圧延できなかった。
を説明する。先ず、成分組成については、本発明の目的
である、倍尺幅スラブを縦断して単尺幅スラブとしたも
のを、縦断面相互を接触させて加熱するときに融着を生
じないようにするためには、S含有量が0.014%以
下であることが必須である。S含有量がこの範囲内であ
れば、加熱炉からスラブを抽出するときにスラブを離間
せしめることが可能でありまた、熱間圧延時にストリッ
プの耳荒れも工業的量産に耐えられる程度に軽微であ
る。
段階における融着は軽減されるけれども、二次再結晶に
必要なインヒビターが少なくなるため二次再結晶不良と
なり、S含有量が0.007%未満になると二次再結晶
は実質的に起こらない。この二次再結晶不良を解消する
ため、インヒビターとしてAlN,(Al,Si)Nを
機能させることが望ましい。AlNをインヒビターとし
て利用する場合は、酸可溶性Al:0.008〜0.0
55%,total N:0.0035〜0.0095%を含
有せしめる必要がある。
用する場合は、酸可溶性Al:0.008〜0.055
%,Si:0.8〜4.8%とし、最終板厚まで冷間圧
延した後から高温仕上焼鈍工程における二次再結晶発現
までの何れかの段階で鋼板(ストリップ或はストリップ
コイル)を窒化処理してNを鋼中に付加する必要があ
る。
特性が向上する(鉄損値が低くなる)。(Al,Si)
Nをインヒビターとして機能せしめる場合を除いては、
その含有量は必ずしも限定する必要はない。上記成分に
限定された溶鋼を連続鋳造してスラブとする。鋳造厚さ
は、通常、200mm程度であり、厚くなるほどSの偏析
が大きくなるから本発明の効果が顕在化してくる。鋳造
幅は、通常、倍尺幅である約6フィート(1828.8
mm)であり、鋳造後に幅方向中心部を縦断して2等分す
る。スラブの縦断手段として種々の技術があるが、本発
明が対象とする方向性電磁鋼板のように、一般的にSi
を含有する鋼の場合、割れ易いので機械的切断ではなく
てガス切断のような熱的切断を用いるほうが好ましい。
単尺幅とされたスラブは、反転することなくそのままの
順番で連続式加熱炉に装入される。当然のことながら、
スラブ相互間での融着を生じることがないから、スラブ
側面を密に接触させて装入することができ、熱間圧延工
程でストリップの耳荒れを少なくすることができる。ス
ラブ加熱温度が高いほどスラブ相互が融着する傾向にあ
るから、本発明の効果は高温加熱であるときにより発揮
される。Fe−O−Si系のファイアライト酸化物の融
点は約1200℃であるから、この温度近傍から融着が
発生しはじめる。本発明の効果は、前記加熱温度以上に
縦断単尺幅スラブを加熱するときに、より発揮される。
加熱後、スラブは熱間圧延される。加熱段階で融着を生
じたスラブを熱間圧延すると、融着部が鋼板(ストリッ
プ)耳荒れ原因となり、製品歩留りを低下させる。ま
た、甚だしい場合には、熱間圧延中において板破断を惹
起する。
て最終板厚とされ、脱炭を兼ねる一次再結晶焼鈍、焼鈍
分離剤塗布、高温仕上焼鈍(二次再結晶および鋼の純
化)を施されて方向性電磁鋼板とされる。{110}<
001>方位をもつ一方向性電磁鋼板にいて、本発明で
は、インヒビター形成元素であるSを0.014%以下
にするため、MnSのみをインヒビターとして機能させ
る特公昭30−3651号公報に開示されている2回冷
延法による製造プロセスでは、二次再結晶が不良となり
製品の磁束密度は低いものとなる。しかしながら、Sが
0.008%以上含有されておれば、二次再結晶は発現
する。前記2回冷延法による製造プロセスにおいても、
MnS以外のAlN,Tin,(Al,Si)N,B,
NbNをインヒビターとして機能させることによって、
二次再結晶をより安定化させることにより本発明を適用
することができる。
ている1回強冷延法による製造プロセスの場合は、得ら
れる製品の磁束密度も高く、方向性電磁鋼板の製造方法
として優れており、本発明を適用することによって製品
の磁束密度は若干低くなるものの、連続鋳造工程の生産
性向上効果を享受することができる。この1回強冷延法
による製造プロセスの場合、高温仕上焼鈍工程で二次再
結晶させるためにインヒビター形成元素である酸可溶性
Al:0.008〜0.055%,total N:0.00
35〜0.0095%を含有せしめる必要がある。スラ
ブを縦断した単尺幅スラブを加熱する段階で、スラブ相
互間が融着する原因がSの偏析部の存在にあるという新
知見に基づく本発明を適用する製造プロセスとして、特
公昭62−45285公報に開示されている方向性電磁
鋼板の製造プロセスは最も適切である。即ち、この方向
性電磁鋼板の製造プロセスは、鋼中Sを少なく限定する
条件下で、むしろ二次再結晶が良好になるからである。
本発明における第4の発明は、基本的には特公昭62−
45285公報に開示されている方向性電磁鋼板の製造
プロセスをベースとするものであるが、二次再結晶に必
要な最低限の条件として、酸可溶性Al:0.008〜
0.055%,Si:0.8〜4.8%を本発明におけ
る成分限定範囲とする。
方向性電磁鋼板について、本発明においては、その冷間
圧延工程、焼鈍工程は、特公昭35−2657号公報に
開示されているクロス冷間圧延方法を採る。このクロス
冷間圧延方法によって二方向性電磁鋼板を製造すること
ができるインヒビターの条件は、特公昭35−2657
号公報に開示されているAlNおよび特公平01−43
818号公報に開示されている、鋼板の窒化処理によっ
て形成される(Al,Si)Nの2種類である。本発明
は、この2種類の二方向性電磁鋼板の製造方法に、S含
有量を0.014%以下とすることによるスラブを縦断
した単尺幅スラブの加熱段階におけるスラブ相互間の融
着防止効果を重畳させるものである。
0.087%,P:0.015%,S:0.011%、
酸可溶性Al:0.003%、残部:Feおよび不可避
的不純物からなる鋼を連続鋳造して250mm厚さ×18
00mm幅の倍尺幅スラブとした。
方向中央部で縦断して単尺幅スラブとし、ガス燃焼炎を
熱源とする連続加熱炉で1310℃に加熱した後、熱間
圧延して2.3mm厚さの熱延板とした。ガス火炎によっ
て幅方向中央部で縦断した面同志の接触面もまた、鋳造
ままの側面も何れも融着なく良好なストリップ側端縁と
なった。この熱延板を0.7mm厚さまで冷間圧延し、8
30℃×120秒間焼鈍し、さらに0.35mm厚さまで
冷間圧延した後、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍(一次再結
晶を兼ねる)し、次いで、MgOを主成分とする焼鈍分
離剤を塗布した後1200℃×10時間の高温仕上焼鈍
を施した。得られた製品の磁束密度(B8 値)は1.8
2Tesla であり、二次再結晶した一方向性電磁鋼板とな
った。
0.078%,P:0.014%,S:0.007%、
酸可溶性Al:0.027%,total N:0.0085
%、残部:Feおよび不可避的不純物からなる鋼を連続
鋳造して250mm厚さ×1800mm幅の倍尺幅スラブ
(A)とした。一方、連続鋳造途中で溶鋼にSをS:
0.028%となるように添加して250mm厚さ×18
00mm幅の倍尺幅スラブ(B)に鋳造した。これらスラ
ブ(A)(B)を、ガス火炎によって幅方向中央部で縦
断して単尺幅スラブとし、ガス燃焼炎を熱源とする連続
式加熱炉で1320℃に加熱した後、熱間圧延して2.
3mm厚さの熱延板とした。スラブ(B)を、ガス火炎に
よって幅方向中央部で縦断して単尺幅スラブとしたもの
の縦断面同志の接触面では、融着部が数%見られ、熱延
板の側端縁に耳荒れが発生した。これに対しスラブ
(A)は、縦断面同志の接触面でも融着はなく、良好な
熱延板が得ることができた。この2種類の熱延板を、1
080℃×2分間焼鈍した後、0.35mm厚さまで冷間
圧延し、次いで、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍(一次再結
晶を兼ねる)した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤
を塗布した後、1200℃×20時間の高温仕上焼鈍を
施した。得られた製品の磁束密度(B8値)は、次の通
りであった。
スラブ(B)からのもの:1.93Teslaスラブ(A)
からの製品は、スラブ(B)からの製品に比し磁束密度
(B8 値)が低いけれども、連続鋳造工程における生産
性向上、熱間圧延工程でのストリップの耳荒れ解消によ
る製品歩留り向上さらには生産コストの低減等多大な効
果があった。
0.13%,S:0.007%、酸可溶性Al:0.0
30%,total N:0.0065%、残部:Feおよび
不可避的不純物からなる鋼を連続鋳造して250mm厚さ
×1800mm幅の倍尺幅スラブに鋳造した。この倍尺幅
スラブを、ガス火炎によって幅方向中央部で縦断して単
尺幅スラブとした。得られたスラブを温度(A):11
50℃、温度(B):1250℃、温度(C):135
0℃にそれぞれ加熱した後、2.3mm厚さまで熱間圧延
した。
における融着程度は、スラブ加熱温度が高くなるのに応
じて若干増加する傾向にはあるけれども、実操業上問題
とならない軽微なものであり、熱間圧延工程でのストリ
ップの耳荒れも殆ど問題とならない程度であった。これ
ら熱延板に1080×2分間の焼鈍を施した後、0.3
5mm厚さまで冷間圧延し、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍し
た後アンモニア・ガスを含有する雰囲気中で鋼中N:
0.0210%となるまで鋼板(ストリップ)を窒化処
理し、次いで、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
した後、1200℃×20時間の高温仕上焼鈍を施し
た。
下の通りであり、ほぼ同一水準であった。 スラブ加熱温度(A)からのもの:1.91Tesla スラブ加熱温度(B)からのもの:1.91Tesla スラブ加熱温度(C)からのもの:1.90Tesla 実施例4 実施例2で得られた2種類の熱延板について、1050
℃×2分の焼鈍を施した後、熱間圧延方向と同一方向に
0.90mm厚さまで冷間圧延しさらに、この冷間圧延方
向に直角な方向に0.40mm厚さまで冷間圧延した。そ
の後、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍し、次いで、MgOを
主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、1200℃×2
0時間の高温仕上焼鈍を施した。得られた製品の磁束密
度(B8値)は、以下の通りであった。
は、スラブ加熱段階でのスラブ相互間で融着がなく、熱
間圧延段階でのストリップに耳荒れもなくまた、製品の
磁束密度(B8 値)も高いものが得られた。
℃×2分間の焼鈍を施した後、熱間圧延方向と同一方向
に0.90mm厚さまで冷間圧延しさらに、この冷間圧延
方向に直角な方向に0.40mm厚さまで冷間圧延した。
その後、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍した後アンモニア・
ガスを含有する雰囲気中で鋼中N:0.018%となる
まで鋼板を窒化処理し、次いで、MgOを主成分とする
焼鈍分離剤を塗布した後、1200℃×20時間の高温
仕上焼鈍を施した。得られた製品の磁束密度(B8 値)
は、以下の通りであった。
による縦断面相互間での融着もなく、熱間圧延段階での
ストリップに耳荒れもなかった。また、得られた製品の
磁束密度(B8 値)も高いものが得られた。
プロセスにおける連続鋳造工程で、2倍幅でスラブと
し、然る後幅方向中央部で縦断して単尺幅スラブとして
逐次連続して加熱炉に装入して加熱しても、縦断面同志
の接触面で融着を惹起することがないから、連続鋳造工
程の生産性を倍増せしめ、また、スラブを反転させると
いった煩雑な作業も必要とせず、品質面でも高い水準の
一方向性電磁鋼板および二方向性電磁鋼板を製造するこ
とができる。
写真であって、(a)は上記スラブのマクロ組織を示す
顕微鏡写真であり、(b)は(a)の一部をEPMA分
析して得られたSの分布状況を示すX線写真である。
じる融着領域面積に及ぼす溶鋼S含有量とスラブ加熱温
度の影響を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 電磁鋼用溶鋼を連続鋳造プロセスにおい
て倍尺幅(2倍幅)のスラブに鋳造した後、幅方向にお
いて分割切断したスラブを加熱した後熱間圧延し、焼鈍
および冷間圧延を組合せ施して最終板厚とし、次いで、
脱炭焼鈍、焼鈍分離剤塗布、高温仕上焼鈍を施して二次
再結晶させて{110}<001>方位からなる一方向
性電磁鋼板を製造する方法において、鋼中のSを、重量
で、0.014%以下としたスラブを出発材とすること
によりスラブ加熱時にスラブの幅方向分割縦断面相互の
融着を防止するようにしたことを特徴とする生産性の高
い連続鋳造スラブを用いた一方向性電磁鋼板の製造方
法。 - 【請求項2】 電磁鋼用溶鋼を連続鋳造プロセスにおい
て倍尺幅(2倍幅)のスラブに鋳造した後、幅方向にお
いて分割切断したスラブを加熱した後熱間圧延し、焼鈍
ならびに一方向冷間圧延およびこれに直交するクロス方
向の冷間圧延を組合せ施して最終板厚とし、次いで、脱
炭焼鈍、焼鈍分離剤塗布、高温仕上焼鈍を施して二次再
結晶させて{100}<001>方位からなる一方向性
電磁鋼板を製造する方法において、鋼中のSを、重量
で、0.014%以下としたスラブを出発材とすること
によりスラブ加熱時にスラブの幅方向分割縦断面相互の
融着を防止するようにしたことを特徴とする生産性の高
い連続鋳造スラブを用いた二方向性電磁鋼板の製造方
法。 - 【請求項3】 鋼中成分として、重量で、酸可溶性A
l:0.008〜0.055%、total N:0.003
5〜0.0095%を含有するスラブを用い、AlNを
二次再結晶に必要なインヒビターとして機能せしめる請
求項1または2記載の製造方法。 - 【請求項4】 鋼中成分として、重量で、酸可溶性A
l:0.008〜0.055%、Si:0.8〜4.8
%を含有するスラブを用いさらに、最終冷間圧延以降高
温仕上焼鈍における二次再結晶発現までの間の何れかの
段階で鋼板を窒化処理して(Al,Si)N系の析出物
を形成し、これをインヒビターとして機能せしめる請求
項1または2記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13239491A JP2514279B2 (ja) | 1991-03-25 | 1991-03-25 | 生産性の高い連続鋳造スラブを用いた方向性電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13239491A JP2514279B2 (ja) | 1991-03-25 | 1991-03-25 | 生産性の高い連続鋳造スラブを用いた方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06220538A JPH06220538A (ja) | 1994-08-09 |
JP2514279B2 true JP2514279B2 (ja) | 1996-07-10 |
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ID=15080366
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JP13239491A Expired - Lifetime JP2514279B2 (ja) | 1991-03-25 | 1991-03-25 | 生産性の高い連続鋳造スラブを用いた方向性電磁鋼板の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2514279B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
CN113020283B (zh) * | 2021-03-18 | 2023-01-17 | 鞍钢股份有限公司 | 一种取向硅钢热轧钢带的板形控制方法 |
-
1991
- 1991-03-25 JP JP13239491A patent/JP2514279B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH06220538A (ja) | 1994-08-09 |
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