JP2024070049A - (z)-7-テトラデセン-2-オンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】(Z)-7-テトラデセン-2-オンの効率的な製造方法を提供する。【解決手段】式(1)の化合物を式(2)の化合物に変換する工程と、該化合物と式(3)の化合物との付加反応により式(4)の化合物を得る工程と、該化合物を酸化して(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)を得る工程とを含む、製造方法。JPEG2024070049000035.jpg61170(X1はハロゲン原子、M1は、Li又はMgZ1、Z1はハロゲン原子又は(4Z)-4-ウンデセニル基)【選択図】なし

Description

本発明は、セマダラコガネ(学名:Anomala orientalis、英名:Oriental beetle)の性フェロモンである(Z)-7-テトラデセン-2-オンの製造方法に関する。
セマダラコガネは、米国におけるブルーベリーの木の重要害虫である。セマダラコガネの幼虫によるブルーベリーの木の根の食害により、ブルーベリーの木の活力が低下し、結果的に果実の収穫量も低下する。また、セマダラコガネの密度が高く食害がひどい場合は、ブルーベリーの木が枯死することもある。これまでセマダラコガネを防除するためにイミダクロプリド等の殺虫剤を用いた防除が行われてきたが、セマダラコガネは、成虫期間以外は地中にもぐっているため、殺虫剤の散布タイミング把握が難しいだけでなく、イミダクロプリドはミツバチへの悪影響があるため望ましくない。そのため、害虫発生状況を性フェロモンルアーで把握し、必要な時期のみ殺虫剤散布を行う試み、及び殺虫剤使用を極力減らした生物学的防除方法が検討されている。生物学的防除方法の中でも、性フェロモンを用いた交信かく乱による防除が防除方法の一つとして期待されている(下記の非特許文献1及び2)。
セマダラコガネの性フェロモン物質は、(Z)-7-テトラデセン-2-オン及び(E)-7-テトラデセン-2-オンの7:1の混合物であることが報告されている(下記の非特許文献3)。
(Z)-7-テトラデセン-2-オンの合成方法としては、例えば、テトラヒドロフランとヘキサメチルホスホリック=トリアミド(HMPA)の混合溶媒中で、1-オクチニルリチウムと1,4-ジブロモブタンとを反応させて1-ブロモ-5-デシンを合成する。続いて、1-ブロモ-5-デシンを、メタノール溶媒中、パラジウム-硫酸バリウム触媒の存在下で還元反応に付して1-ブロモ-5-デセンを合成する。次に、該得られた1-ブロモ-5-デセンをグリニャール(Grignard)試薬に変換し、引き続き、該グリニャール試薬を無水酢酸との付加反応に付すことにより、(Z)-7-テトラデセン-2-オンを製造する方法が報告されている(下記の非特許文献3)。
また、(Z)-7-テトラデセン-2-オンの別の合成方法としては、例えば、テトラヒドロフランとヘキサメチルホスホリック=トリアミド(HMPA)の混合溶媒中で、1-オクチニルリチウムと1,3-ジブロモプロパンとを反応させて1-ブロモ-4-ウンデシンを合成する。続いて、ジメチル=スルホキシド(DMSO)中、塩基としての水素化ナトリウムの存在下、アセト酢酸エチル(3-オキソブタン酸エチル)と上記1-ブロモ-4-ウンデシンとによるアセト酢酸エステル合成反応を行うことにより、3-エトキシカルボニル-7-テトラデシン-2-オンを合成する。次に、該得られた3-エトキシカルボニル-7-テトラデシン-2-オンを水酸化カリウム、メタノール及び水の混合溶媒中、アルカリ加水分解を行い、引き続き脱炭酸反応を行うことにより、7-テトラデシン-2-オンを合成する。続いて、該得られた7-テトラデシン-2-オンをメタノール溶媒中、触媒としてのパラジウム-硫酸バリウム及び触媒毒としてのキノリンの存在下、水素を用いた接触還元反応を行うことにより、(Z)-7-テトラデセン-2-オンを製造する方法が報告されている(下記の特許文献1)。特許文献1において、(Z)-7-テトラデセン-2-オンの収率は、特許文献1の実施例の「第一工程では、蒸留により精製し、第二工程から第四工程では、精製することなく、(Z)-7-テトラデセン-2-オンを純度95%以上で製造できる。」との記載に基づいて計算すると、4工程推定収率46.53%である。
Albrecht M. Koppenhofer et al.,Environ. Entomol.,2005,34(6),1408-1417. Cesar R. Rodriguez-Saona et al.,J. Econ. Entomol.,2009,102(2),659-669. W.S.Leal et al.,Naturwissenschaften,1993,80,86-87.
特開2008-143865号公報
しかしながら、非特許文献3及び特許文献1における(Z)-7-テトラデセン-2-オンの合成方法は、発がん性物質であるヘキサメチルホスホリック=トリアミドを溶媒として大量に使用していることから安全な方法でない上に、高価なパラジウム触媒を使用していることから工業的でもない。さらに、特許文献1の製造方法では、発火性の水素化ナトリウムを使用していることから工業的でなく、かつ、特許文献1の発明者等が述べている様に、第2~第4工程では精製をしていないためにガスクロマトグラフィーで検出されない不純物が混入している可能性があり、品質管理の観点から望ましくない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、(Z)-7-テトラデセン-2-オンを工業的に、短工程で且つ効率的に製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物が、セマダラコガネの性フェロモンである(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造において有用な中間体であることを見出した。そして、該(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物を用いることにより、上記(Z)-7-テトラデセン-2-オンを工業的に、短工程で且つ効率的に製造できることを見出し、本発明を為すに至った。
本発明の第1の態様によれば、
下記一般式(1):
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
で表される(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)を下記一般式(2):
(式中、Mは、Li又はMgZを表し、Zはハロゲン原子又は(4Z)-4-ウンデセニル基を表す。)
で表される(Z)-4-ウンデセニル求核試薬に変換する工程と、
該(Z)-4-ウンデセニル求核試薬(2)を、下記式(3):
で表されるプロピレン=オキシドとの付加反応に付すことにより、下記式(4):
で表される(Z)-7-テトラデセン-2-オールを得る工程と、
前記(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)を酸化して、下記式(5):
で表される(Z)-7-テトラデセン-2-オンを得る工程と
を少なくとも含む、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法を提供する。
本発明の第2の態様によれば、上記第1の態様に記載の酸化方法が、オッペナウアー酸化によって行われる、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法を提供する。
本発明の第3の態様によれば、上記第1又は第2の態様に記載の(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)を得る工程の後に、残存する前記(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)をエステル化する工程をさらに含む、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法を提供する。該エステル化は、該エステル化後の反応混合物から、目的物である上記(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)を精製することを可能にする。
本発明の第4の態様によれば、上記エステル化の工程の後に、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)のエステル化物と(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)との混合物から、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)を精製する工程をさらに含む、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法を提供する。
本発明の第5の態様によれば、
下記一般式(6):
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
で表される1-ハロ-4-ウンデシン化合物を還元反応に付して、前記(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)を得る工程
を更に含む上記第1~第4の態様に記載の、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法を提供する。
本発明の第6の態様によれば、
下記一般式(7):
(式中、Mは、Li又はMgZを表し、Zはハロゲン原子又はヘキシル基を表す。)
で表されるヘキシル求核試薬と、下記一般式(8):
(式中、X及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。)
で表される1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物とのカップリング反応により、前記1-ハロ-4-ウンデシン(6)を得る工程
を更に含む、第4の態様に記載の(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法を提供する。
本発明によれば、発がん性物質等の危険な化合物及び発火性の水素化ナトリウムを使用する危険な反応を用いることなく、(Z)-7-テトラデセン-2-オンを工業的に、短工程で且つ効率的に、また収率良く製造することができる。また、本発明によれば、(Z)-7-テトラデセン-2-オンを製造するにあたって有用な合成中間体を提供することができる。
A.下記一般式(1)で表される(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物について
一般式(1)において、Xはハロゲン原子を表す。
具体的には、ハロゲン原子Xとして、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、汎用性の観点から塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)の具体例としては、(Z)-1-クロロ-4-ウンデセン、(Z)-1-ブロモ-4-ウンデセン及び(Z)-1-ヨード-4-ウンデセン等が挙げられる。
(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)は例えば、下記に示す化学反応式に従って製造することができる。
まず、一般式(7)で表されるヘキシル求核試薬と一般式(8)で表される1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物とのカップリング反応により、一般式(6)で表される1-ハロ-4-ウンデシン化合物を製造する。続いて、該1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)を還元反応に付すことにより、上記の(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)を製造することができる。
次に、以下の項B及び項Cにおいて、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)の具体的な製造方法について説明する。
B.ヘキシル求核試薬(7)と1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)とのカップリング反応により、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)を製造する方法
B-1.1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)について
一般式(6)において、Xはハロゲン原子を表す。
具体的には、ハロゲン原子Xとして、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、汎用性の観点から塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)の具体例としては、1-クロロ-4-ウンデシン、1-ブロモ-4-ウンデシン及び1-ヨード-4-ウンデシン等が挙げられる。
B-2.ヘキシル求核試薬(7)と1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)とのカップリング反応について
B-2-1.1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)について
一般式(8)において、X及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。
具体的には、ハロゲン原子X及びXとして、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、Xは反応性の観点から塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。また、Xは反応性の観点から臭素原子及びヨウ素原子が好ましく、臭素原子がより好ましい。XとXの好ましい組み合わせとしては、Xが塩素原子のときはXが塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましく、及びXが臭素原子のときはXが臭素原子又はヨウ素原子が好ましい。
1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)の具体例としては、1,5-ジクロロ-1-ペンチン、1,5-ジブロモ-1-ペンチン、1,5-ジヨード-1-ペンチン、5-ブロモ-1-クロロ-1-ペンチン、1-クロロ-5-ヨード-1-ペンチン、1-ブロモ-5-クロロ-1-ペンチン、1-ブロモ-5-ヨード-1-ペンチン、5-クロロ-1-ヨード-1-ペンチン及び5-ブロモ-1-ヨード-1-ペンチン等が挙げられ、反応性の観点から、1,5-ジクロロ-1-ペンチン、1,5-ジブロモ-1-ペンチン、1-ブロモ-5-クロロ-1-ペンチン、5-クロロ-1-ヨード-1-ペンチン及び5-ブロモ-1-ヨード-1-ペンチンが好ましく、1,5-ジブロモ-1-ペンチン、1-ブロモ-5-クロロ-1-ペンチン及び5-クロロ-1-ヨード-1-ペンチンが特に好ましい。
1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)は、市販されているものであってもよく、また独自に合成したものであってもよい。
B-2-2.ヘキシル求核試薬(7)について
一般式(7)において、Mは、Li又はMgZを表し、Zはハロゲン原子又はヘキシル基を表す。
具体的には、ハロゲン原子として、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、汎用性の観点から塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
ヘキシル求核試薬(7)の具体例としては、ヘキシルリチウム;並びに、ヘキシルマグネシウム=クロリド、ヘキシルマグネシウム=ブロミド及びヘキシルマグネシウム=ヨージド等のヘキシルマグネシウム=ハライド化合物等が挙げられる。
該カップリング反応における該ヘキシル求核試薬(7)の使用量は、反応性の観点から、1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)1モル(mol)に対して、好ましくは0.6~2.0モル、より好ましくは0.8~1.4モルである。
ヘキシル求核試薬(7)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。ヘキシル求核試薬(7)は、市販されているものであってもよく、また独自に合成したものであってもよい。
該カップリング反応には、必要に応じて溶媒を用いてもよい。該溶媒としては、一般的な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒;-ジメチルホルムアミド(DMF)、-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチル=スルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル、N’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ヘキサメチルホスホリック=トリアミド(HMPA)、ジクロロメタン及びクロロホルム等の極性溶媒が挙げられるが、反応性の観点から、トルエン及びキシレン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、4-メチルテトラヒドロピラン及びジエチル=エーテル等のエーテル系溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、トルエン及び、キシレンがより好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、反応性の観点から、1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)1モルに対して、好ましくは30~8000g、より好ましくは50~5000gである。
ヘキシル求核試薬(7)を1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)とカップリング反応させる為には、必要に応じて触媒を用いてもよい。
該触媒としては、塩化第一銅、臭化第一銅及びヨウ化第一銅等の一価のハロゲン化銅、並びに、塩化第二銅、臭化第二銅及びヨウ化第二銅等の二価のハロゲン化銅等の銅化合物;塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、ヨウ化鉄(II)、ヨウ化鉄(III)及びアセチルアセトン鉄(III)等の鉄化合物;塩化銀、硝酸銀及び酢酸銀等の銀化合物;四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)=メトキシド、チタン(IV)=エトキシド、チタン(IV)=イソプロポキシド及び酸化チタン(IV)等のチタン化合物;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及びジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム等のパラジウム(II)化合物;並びに、塩化ニッケル、ジクロロ[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)等のニッケル化合物が挙げられ、反応性及び/又は経済性の観点から、銅化合物が好ましく、塩化第二銅、臭化第二銅及びヨウ化第二銅等のハロゲン化第二銅がより好ましい。
該触媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該触媒は、市販されているものを用いることができる。
該触媒の使用量は、反応速度及び後処理の観点から、1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)1モルに対して、好ましくは0.0001~1.00モル、より好ましくは0.001~0.300モルである。
該カップリング反応に触媒を用いる場合は、必要に応じて補触媒を用いてもよい。該補触媒としては、亜リン酸トリエチル等の炭素数3~9の亜リン酸トリアルキル化合物;並びに、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン及び2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP)等の炭素数18~44のアリールホスフィン化合物等が挙げられるが、反応性の観点から、亜リン酸トリアルキルが好ましく、亜リン酸トリエチルが特に好ましい。
該補触媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該補触媒は、市販されているものを用いることができる。
該補触媒の使用量は、1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)1モルに対して、好ましくは0.0001~1.00モル、より好ましくは0.001~0.300モルである。
該カップリング反応に触媒を用いる場合は、必要に応じてリチウム塩を添加してもよい。該リチウム塩としては、塩化リチウム、臭化リチウム及びヨウ化リチウム等のハロゲン化リチウム、硝酸リチウム及び炭酸リチウム等が挙げられるが、反応性の観点から、塩化リチウム、臭化リチウム及びヨウ化リチウム、並びに硝酸リチウムが好ましく、塩化リチウムが特に好ましい。
該リチウム塩は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該リチウム塩は、市販されているものを用いることができる。
該カップリング反応におけるリチウム塩の使用量は、反応性の観点から、1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物(8)1モルに対して、好ましくは0.0001~1.00モル、より好ましくは0.001~0.300モルである。
該カップリング反応における反応温度は、用いるヘキシル求核試薬(7)によって異なるが、反応性の観点から、好ましくは-78~100℃、より好ましくは-25~60℃である。
該カップリング反応における反応時間は、用いる溶媒及び/又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
C.1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)を還元反応に付して、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)を製造する方法
<還元反応について>
1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)の炭素-炭素三重結合を還元して、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)を製造する還元反応としては、(i)接触還元(catalytic hydrogenation)反応、(ii)アルコール溶媒中で亜鉛化合物を用いた還元反応、(iii)ジアルキルボランを用いたヒドロホウ素化とそれに続くプロトン化による還元反応、(iv)酢酸パラジウム等のパラジウム触媒の存在下、水酸化カリウムとN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)とを用いる還元反応、並びに(v)ヒドロシリル化を行ってビニルシランを得、その後に、脱シリル化する還元反応等が挙げられるが、選択性及び生産性の観点から、上記(i)の接触還元反応、上記(ii)の亜鉛化合物を用いた還元反応及び上記(iii)のヒドロホウ素化とそれに続くプロトン化による還元反応が好ましく、(i)接触還元反応がより好ましい。
(i)接触還元反応
該接触還元反応は、金属触媒の存在下、水素ガスを添加して行われる。
該接触還元反応に用いる金属触媒としては、例えば、ホウ化ニッケル触媒、ニッケル(0)ナノ粒子(Fransisco Alonso et al, Tetrahedron, 2007,63,93-102)、及び漆原ニッケル(例えば、U-Ni-A及びU-Ni-B)等のニッケル触媒;並びに、リンドラー(Lindlar)触媒、パラジウム炭素(Palladium on carbon)、Pd/CaCO、Pd/BaSO、Pd/Al、HgでドープされたPd/SiO、Pd/McM-41、ヒドロタルサイト中のPdナノ粒子、Pd/Zn合金、及びPd-PEI(但し、ポリエチレンイミンポリマー(PEI)で被毒されたパラジウム炭素である)等のパラジウム触媒等が挙げられるが、これらに限定されない。上記のホウ化ニッケル触媒としては、例えば、P-1ホウ化ニッケル触媒、及びP-2ホウ化ニッケル触媒(Thomas J. Caggiano et al. Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis:3694-3699.)(以下、「P-2Ni触媒」ともいう。);並びに、グラファイト上に分散されたニッケル(例えば、Ni-Gr1及びNi-Gr2)、カウベレ(Caubere)触媒(Nic)、及び水素化ホウ素交換樹脂(NiB-BER)におけるニッケル(Laurence Balas,HAL,2021;<https://hal.archives-ouvertes.fr/hal-00801666>)等が挙げられるが、これらに限定されない。経済性の観点から、リンドラー触媒及びニッケル触媒が好ましい。
該金属触媒の使用量は、用いる触媒によって異なるが、反応性の観点から、リンドラー触媒等のように触媒が固体である場合は、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)1モルに対して、0.01~50gが好ましい。また、P-2Ni触媒等のように触媒が液体である場合は、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)1モルに対して、ニッケル化合物としての換算量が0.0001~2.0モルとなるように使用することが好ましい。
なお、固体の触媒は、溶媒に分散させて用いてもよい。
該金属触媒の活性が高い場合には、必要に応じて触媒毒を使用してもよい。
該触媒毒としては、ピリジン、キノリン及びエチレンジアミン等のアミン化合物;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン及び亜リン酸トリエチル等のホスフィン化合物;並びに、ベンゼンチオール、ジフェニル=スルフィド、ジメチル=スルフィド及びジメチル=スルホキシド等の硫黄化合物等が挙げられる。
該触媒毒の使用量は、用いる触媒毒により大きく異なるが、反応速度及び幾何選択性の観点から、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)1モルに対して、好ましくは0.0001~20.0モル、より好ましくは0.001~2.0モルである。
該接触還元反応に用いる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル及びプロピオニトリル等のニトリル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル及び酢酸n-ブチル等のエステル類;並びに、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2-プロパノール、2-ブタノール及びシクロヘキサノール等のアルコール類が挙げられる。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
リンドラー触媒を用いる場合は、上記溶媒は、反応性の観点から、ヘキサン、ヘプタントルエン及びキシレン等の炭化水素系溶媒が好ましく、ニッケル触媒を用いる場合は、上記溶媒は、反応性の観点から、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及び2-プロパノール等のアルコール類が好ましく、パラジウム炭素等のパラジウム触媒を用いる場合は、上記溶媒は、反応性の観点から、酢酸メチル及び酢酸エチル等のエステル類が好ましい。
該溶媒の使用量は、用いる触媒及び/又は溶媒により異なるが、反応性の観点から、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)1モルに対して、好ましくは0~1000gである。
該接触還元反応の反応温度は、用いる触媒及び/又は溶媒の種類により異なるが、幾何選択性の観点から、好ましくは0~160℃、より好ましくは20~100℃である。
該接触還元反応の反応時間は、収率の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
(ii)アルコール溶媒中で亜鉛化合物を用いた還元反応
該還元反応は、アルコール溶媒中、亜鉛化合物を用いて行われる。
該溶媒として用いるアルコールの炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~5である。溶媒に用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール及びデカノール等の直鎖状のアルコール化合物;2-プロパノール及び2-ブタノール等の2級アルコール;イソブチルアルコール等の分岐状のアルコール化合物;並びに、シクロヘキサノール等の環状のアルコール化合物等が挙げられるが、反応性の観点から、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール及び2-プロパノール等の炭素数1~5のアルコール化合物が好ましい。
該アルコールの使用量は、反応性の観点から、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)1モルに対して、好ましくは46~1000gである。
亜鉛化合物の使用量は、反応性の観点から、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)1モルに対して、好ましくは1.0~1000モル、より好ましくは1.0~200モルである。
該還元反応は、亜鉛化合物の低い反応性により、反応時間が長くなることがあるため、必要に応じて、亜鉛化合物を活性化させる活性化剤を添加してもよく、又は予め調製した活性化された亜鉛化合物を用いてもよい。
該活性化剤としては、1,2-ジブロモエタン、塩化銅第一、臭化銅第一、ヨウ化銅第一、臭化リチウム、ヨウ素及びクロロトリメチルシラン等が挙げられる。
該活性化剤は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。
該活性化剤の使用量は、反応性の観点から、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)1モルに対して、好ましくは0.01~10.0モルである。
活性化された亜鉛化合物は、例えば、塩酸等の酸で金属亜鉛を処理すること、又は塩化亜鉛をテトラヒドロフラン又は2-メチルテトラヒドロフラン中、金属リチウムで還元すること、又は金属亜鉛をテトラヒドロフラン又は2-メチルテトラヒドロフラン中、1,2-ジブロモエタンとリチウム=ジブロモクプラートと反応させること等により調製することができる。
該還元反応の反応温度は、用いる溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは20~180℃である。
該還元反応の反応時間は、反応完結の観点から、好ましくは0.5~150時間反応することが好ましい。
(iii)ジアルキルボランを用いたヒドロホウ素化とそれに続くプロトン化による還元反応
該還元反応において、まずヒドロホウ素化が、溶媒中、ジアルキルボランを用いて行われる。
ヒドロホウ素化に用いるジアルキルボランの炭素数は、好ましくは4~18、より好ましくは6~12である。
該ジアルキルボランとしては、ジシクロヘキシルボラン、ジイソアミルボラン、ジシアミルボラン、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-BBN)、ジイソピノカンフェイルボラン、カテコールボラン及びピナコールボラン等が挙げられるが、反応性の観点から、ジシクロヘキシルボラン及びジイソアミルボランが好ましい。
該ジアルキルボランの使用量は、反応性の観点から、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)1モルに対して、好ましくは1.0~4.0モルである。
該ヒドロホウ素化に用いる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン及びジエチレングリコール=ジメチル=エーテル等のエーテル系溶媒;並びに、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒が挙げられるが、反応性の観点から、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、4-メチルテトラヒドロピラン及びジエチレングリコール=ジメチル=エーテル等のエーテル類がより好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、反応性の観点から、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)1モルに対して、好ましくは100~3000gである。
該ヒドロホウ素化の反応温度は、幾何選択性の観点から、好ましくは-20℃~50℃である。
該ヒドロホウ素化の反応時間は、反応温度及び/又は反応のスケールによって変動するが、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
上記還元反応において、ヒドロホウ素化に続いて、プロトン化が、溶媒中、酸を用いて行われる。
ヒドロホウ素化に続くプロトン化に用いる酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ピバル酸、ヘプタン酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ギ酸及びシュウ酸等のカルボン酸;-トルエンスルホン酸等のスルホン酸;硫酸、塩酸、硝酸及びリン酸等の鉱酸を挙げることができるが、反応性の観点から、酢酸及びプロピオン酸等のカルボン酸が好ましい。
該酸の使用量は、反応性の観点から、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)1モルに対して、好ましくは2.0~20.0モルである。
該プロトン化に用いる溶媒及びその使用量は、プロトン化がヒドロホウ素化に続いて同一の反応系内で行われるため、ヒドロホウ素化に用いる溶媒及びその使用量と同じである。
該プロトン化の反応温度は、用いる試薬により異なるが、反応速度の観点から、好ましくは0℃~150℃である。
該プロトン化の反応時間は、反応温度及び/又は反応のスケールによって変動するが、反応性の観点から、好ましくは0.5~70時間である。
(iv)酢酸パラジウム等のパラジウム触媒の存在下、水酸化カリウムとN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)とを用いる還元反応
該還元反応は、酢酸パラジウム等のパラジウム触媒の存在下、水酸化カリウムと-ジメチルホルムアミド(DMF)とを用いて、好ましくは100~180℃にて、0.5~100時間行われる。
(v)ヒドロシリル化を行ってビニルシランを得、その後に、脱シリル化する還元反応
該ヒドロシリル化は、ウィルキンソン(Wilkinson)触媒及びトロスト(Trost)触媒等の金属触媒と、トリアルキルシランとを用いて行われる。
該金属触媒の使用量は、反応性の観点から、1-ハロ-4-ウンデシン化合物(6)1モルに対して、好ましくは0.0001~4.0モル、より好ましくは0.001~1.0モルである。
該ヒドロシリル化は、5~100℃にて0.5~100時間行われることが好ましい。
該ヒドロシリル化後の脱シリル化は例えば、硫酸及び塩酸等の酸、ヨウ化水素、塩化アセチル、四塩化チタン並びにヨウ素のうちの少なくとも一つを用いて、5℃~80℃にて、0.5~100時間行われることが好ましい。
以上の様にして、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)が製造できる。
次に、以下の項D及び項Eにおいて、上記の(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)から、下記式(5)で表される(Z)-7-テトラデセン-2-オンの製造方法について説明する。(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)は例えば、下記に示す化学反応式に従って製造することができる。
まず、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)を(Z)-4-ウンデセニル求核試薬(2)に変換し、引き続き、該(Z)-4-ウンデセニル求核試薬(2)を、プロピレン=オキシド(3)へ付加反応させることにより、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)を製造する。続いて、一般式(4)で表される(Z)-7-テトラデセン-2-オールを酸化反応に付すことにより、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)を製造することができる。
次に、以下の項Dにおいて、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)の製造方法について説明する。
D.(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)を(Z)-4-ウンデセニル求核試薬(2)に変換し、引き続き、該(Z)-4-ウンデセニル求核試薬(2)を、プロピレン=オキシド(3)との付加反応に付すことにより、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)を製造する方法
D-1.(Z)-4-ウンデセニル求核試薬(2)について
一般式(2)において、Mは、Li又はMgZを表し、Zはハロゲン原子又はヘキシル基を表す。
具体的には、ハロゲン原子として、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、汎用性の観点から塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
(Z)-4-ウンデセニル求核試薬(2)は、常法に従い、又は下記で説明する方法に従って調製することができる。
例として、(Z)-4-ウンデセニル求核試薬(2)のうち、(Z)-4-ウンデセニルマグネシウム=ハライド試薬(2:M=MgZ)の場合の製造方法について、以下に説明する。(Z)-4-ウンデセニルマグネシウム=ハライド試薬(2:M=MgZ)は、例えば、下記の化学反応式で示される通り、上記の(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)を溶媒中、マグネシウムと反応させることにより調製することができる。
(Z)-4-ウンデセニルマグネシウム=ハライド試薬(2:M=MgZ)はグリニャール(Grignard)試薬である。ここで、Zはハロゲン原子又はヘキシル基を表し、Zがハロゲン原子の場合はXと同じであり、反応の前後でハロゲン原子の種類は変化しない。
(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)は、1種類又は2種類以上を使用してもよい。また、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)は、市販されているものであってもよく、また上述の製法のように独自に合成したものであってもよい。
マグネシウムの使用量は、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)1モルに対して、反応完結の観点から、好ましくは1.0~2.0グラム原子である。
該溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒;並びに、-ジメチルホルムアミド(DMF)、-ジメチルアセトアミド(DMAC)、-メチルピロリドン(NMP)、ジメチル=スルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル、N’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ヘキサメチルホスホリック=トリアミド(HMPA)、ジクロロメタン及びクロロホルム等の極性溶媒等が挙げられるが、上記グリニャール試薬生成の反応速度の観点から、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジエチル=エーテル及び4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランがより好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)1モルに対して、反応性の観点から、好ましくは30~5000g、より好ましくは50~3000gである。
上記マグネシウムとの反応における反応温度は、用いる溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは30~120℃である。
上記マグネシウムとの反応における反応時間は、用いる溶媒及び/又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
D-2.(Z)-4-ウンデセニルマグネシウム=ハライド試薬(2:M=MgZ)をプロピレン=オキシド(3)との付加反応に付すことにより(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)を製造する方法
プロピレン=オキシド(3)の使用量は、反応性の観点から、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)1モルに対して、好ましくは1.0~10.0モル、より好ましくは1.0~5.0モルである。
上述の付加反応には、必要に応じて触媒を用いてもよい。
該触媒としては、塩化第一銅、臭化第一銅及びヨウ化第一銅等の一価のハロゲン化銅、並びに、塩化第二銅、臭化第二銅及びヨウ化第二銅等の二価のハロゲン化銅等の銅化合物;塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、ヨウ化鉄(II)、ヨウ化鉄(III)及びアセチルアセトン鉄(III)等の鉄化合物;塩化銀、硝酸銀及び酢酸銀等の銀化合物;四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)=メトキシド、チタン(IV)=エトキシド、チタン(IV)=イソプロポキシド及び酸化チタン(IV)等のチタン化合物;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及びジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム等のパラジウム(II)化合物;並びに、塩化ニッケル、ジクロロ[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)等のニッケル化合物が挙げられ、反応性及び/又は経済性の観点から、銅化合物が好ましく、塩化第一銅、臭化第一銅及びヨウ化第一銅等のハロゲン化第一銅がより好ましい。
該触媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該触媒は、市販されているものを用いることができる。
該触媒の使用量は、反応速度及び後処理の観点から、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)1モルに対して、好ましくは0.00001~1.00モル、より好ましくは0.0001~0.300モルである。
上述の付加反応には、必要に応じて溶媒を用いてもよい。該溶媒としては、一般的な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒;並びに、-ジメチルホルムアミド(DMF)、-ジメチルアセトアミド(DMAC)、-メチルピロリドン(NMP)、ジメチル=スルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル、N’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ヘキサメチルホスホリック=トリアミド(HMPA)、ジクロロメタン及びクロロホルム等の極性溶媒等が挙げられるが、反応性の観点から、ジエチル=エーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及び4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒;並びに、トルエン及びキシレン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)1モルに対して、反応性の観点から、好ましくは20~7000g、より好ましくは50~3000gである。
付加反応における反応温度は、用いる(Z)-4-ウンデセニルマグネシウム=ハライド試薬(2:M=MgZ)及び/又は溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは-40~180℃、より好ましくは-25~100℃、さらに好ましくは-10~70℃である。
付加反応における反応時間は、用いる求核試薬、溶媒及び/又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
次に、以下の項Eにおいて、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法について説明する。
E.(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)を酸化反応に付すことにより、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)を製造する方法
<酸化反応について>
該酸化反応は、例えば、-クロロスクシンイミド、ジメチルスルフィド、トリエチルアミンを用いて行うコーリー・キム(Corey-Kim)酸化、溶媒中ジメチルスルホキシド、オキサリル=クロリド、続くトリエチルアミンを用いて行うスワーン(Swern)酸化、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン=1-オキシル(TEMPO)、2-ヒドロキシ-2-アザアダマンタン等を触媒として次亜塩素酸ナトリウムを用いて行うTEMPO酸化、三酸化クロムと硫酸を用いて行うジョーンズ(Jones)酸化、クロム酸を用いて行うクロム酸酸化、デス・マーチンペルヨージナンを酸化剤として用いるデス・マーチン(Dess-Martin)酸化、テトラプロピルアンモニウムペルルテナートを酸化触媒、4-メチルモルホリン=-オキシドをルテニウムの再酸化剤として用いるレイ・グリフィス(Ley-Griffith)酸化(TPAP酸化)、アルミニウム化合物もしくはマグネシウム化合物を触媒として水素受容体を用いて行うオッペナウアー(Oppenauer)酸化又はそれらの変法等によって行うことができる。これらの酸化反応の中でも環境毒性が低く且つ爆発の懸念が小さいオッペナウアー酸化又はその変法が特に好ましい。オッペナウアー酸化は、アルミニウム化合物、特にはアルミニウム=トリイソプロポキシドを用いた反応を云う。オッペナウアー酸化の変法は、アルミニウム化合物以外の化合物、例えばマグネシウム化合物等、を用いた反応を云う。また、オッペナウアー酸化の更なる変法として、アルミニウム化合物とアルミニウム化合物以外の上記化合物との混合物を使用してもよい。
例として、酸化反応のうち、オッペナウアー酸化反応及びその変法の場合の製造方法について、以下に説明する。オッペナウアー酸化反応及びその変法は、例えば、下記の化学反応式で示される通り、上記の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)を、必要に応じて溶媒中、アルミニウム化合物及びマグネシウム化合物をそれぞれ触媒として、水素受容体の存在下で酸化させることにより行うことができる。
該アルミニウム化合物として、トリメチルアルミニウム及びトリエチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム化合物;並びに、アルミニウム=トリイソプロポキシド及びアルミニウム=トリtert-ブトキシド等のアルミニウム=トリアルコキシド化合物が挙げられる。
該マグネシウム化合物として、塩化マグネシウム及び臭化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム化合物;並びに、水酸化マグネシウム;マグネシウム=メトキシド、マグネシウム=エトキシド及びマグネシウム=tert-ブトキシド等のマグネシウム=アルコキシド化合物が挙げられる。
該触媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該触媒は、市販されているものを用いることができる。
該触媒の使用量は、反応性の観点から、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)1モルに対して、好ましくは0.1~5.0モル、より好ましくは0.5~3.0モルである。
該水素受容体としては、アセトン、エチル=メチル=ケトン、ジエチル=ケトン、エチル=プロピル=ケトン、イソブチル=メチル=ケトン、ジイソブチル=ケトン及びシクロヘキサノン等のケトン化合物;並びに、ピバルデヒド、ベンズアルデヒド及びシクロヘキサンカルボキシアルデヒド等のアルデヒド化合物が挙げられる。
該水素受容体は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該水素受容体は、市販されているものを用いることができる。
該水素受容体の使用量は、反応性の観点から、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)1モルに対して、好ましくは1.0~10000モル、より好ましくは1.0~500モルである。
該オッペナウアー酸化反応には、必要に応じて溶媒を用いてもよい。該溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒;-ジメチルホルムアミド(DMF)、-ジメチルアセトアミド(DMAC)、-メチルピロリドン(NMP)、ジメチル=スルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル、アセトン、’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ヘキサメチルホスホリック=トリアミド(HMPA)、ジクロロメタン及びクロロホルム、アセトン等の極性溶媒;並びに、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル及び酢酸n-ブチル等のエステル系溶媒等が挙げられ、反応性の観点から、4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該オッペナウアー酸化反応に用いる溶媒の使用量は、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)1モルに対して、好ましくは0~9000g、より好ましくは100~5000gである。
該オッペナウアー酸化反応における反応温度は、用いる触媒及び/又は溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは5~180℃、より好ましくは50~140℃である。
該ハロゲン化反応における反応時間は、反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
該オッペナウアー酸化反応においては、副生したアルコール化合物を留去させつつ、上述の水素受容体を追加することにより、反応率の向上、反応時間の短縮、及び/又は仕込量増による生産性の向上が図れる。例えば、触媒としてアルミニウム=トリイソプロポキシド、水素受容体としてアセトンを使用する場合、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)、アルミニウム=トリイソプロポキシド、アセトン及び溶媒を仕込んで加熱後、副生するイソプロピルアルコールを留去すること、及び一定量のアセトンを追加すること、を繰り返すことで効率よくオッペナウアー酸化反応を行うことができる。
(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)の水酸基を該オッペナウアー酸化反応により酸化して(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)を製造する場合は、平衡反応のため反応が完結しない場合がある。この様な場合は、例えば、平衡を偏らせるためにアセトンを大過剰量用いる、及び/又は未反応の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)を分離する等の方法が適用できる。しかしながら、アセトンを大過剰量用いると仕込量が大幅に減り、よって生産性が大きく低下するため、上記の未反応の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)を分離する方法が好ましい。
未反応の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)を分離する方法としては、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)の沸点と(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の沸点が近く、従って蒸留による分離が困難であるために、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製分離する方法、及び/又は未反応の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)をエステル化して、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)のエステル化化合物を生成し、該エステル化化合物の沸点が(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)の沸点よりも高くなるようにした上で、この沸点差を利用して、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)と(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)のエステル化化合物とを蒸留精製分離する方法等が挙げられる。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)と(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)との分離は、両化合物の極性が異なることを利用して分離する。シリカゲルカラムクロマトグラフィーは常法により行うことができるが、スケールが大きくなった場合は、例えばコスト及び/又は生産効率の面で適用が難しい。
未反応の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)をエステル化して、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)のエステル化化合物を生成し、沸点が(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)の沸点よりも高くなるようにした上で(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)と(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)のエステル化化合物とを蒸留精製分離する方法はスケールが大きい場合でも適用できるため、上記のシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製分離する方法と比べて好ましい。
該エステル化は、例えば、オッペナウアー酸化反応後の反応液又は該反応液から溶媒を留去した後の濃縮液にエステル化剤を添加することで行うことができる。
該エステル化反応に用いるエステル化剤は、無水酢酸、無水プロピオン酸、ブタン酸無水物、ピバロイル酸無水物及び無水安息香酸等の酸無水物;並びに、塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチリル、塩化ピバロイル及び塩化ベンゾイル等の酸クロライド等が挙げられ、沸点差の観点からブタン酸無水物、ピバロイル酸無水物及び無水安息香酸等の酸無水物;並びに、塩化ブチリル、塩化ピバロイル及び塩化ベンゾイル等の酸クロライドが好ましい。
該エステル化剤の使用量は、残存する未反応の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)1モルに対して、反応性及び経済性の観点から、好ましくは1.0~10.0モル、より好ましくは1.0~5.0モルである。未反応の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)の量は例えば、GC分析によって測定することが可能である。具体的には、例えば、オッペナウアー酸化後に、後処理、そして濃縮操作を行って(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)と(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)との反応混合物を得ることにより、該反応混合物の重量が測定可能である。そして、該反応混合物をGC分析に付すことによって得られたGC%を反応混合物の重量と掛けることによって、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)と(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)との量を計算により求めることが可能である。
該エステル化には、必要に応じて、酸又は塩基を用いてもよい。
該酸としては、塩酸、硫酸及び硝酸等の鉱酸;ベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸;並びに、三塩化アルミニウム、アルミニウム=エトキシド、アルミニウム=イソプロポキシド、酸化アルミニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、四塩化錫、四臭化錫、二塩化ジブチル錫、ジブチル錫=ジメトキシド、ジブチル錫=オキシド、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)=エトキシド、チタン(IV)=イソプロポキシド及び酸化チタン(IV)等のルイス酸が挙げられる。
該酸は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。
該酸の使用量は、残存する未反応の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)1モルに対して、反応性及び経済性の観点から、好ましくは0.001~3.00モル、より好ましくは0.01~1.50モルである。
該塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン及び-ジイソプロピルエチルアミン等のトリアルキルアミン化合物;ピペリジン、ピロリジン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)等の環状アミン化合物;ピリジン、ルチジン、-ジメチルアニリン、-ジエチルアニリン、-ジブチルアニリン及び4-ジメチルアミノピリジン等の芳香族アミン化合物;並びに、ナトリウム=メトキシド、ナトリウム=エトキシド、ナトリウム=tert-ブトキシド、ナトリウム=tert-アミロキシド、リチウム=メトキシド、リチウム=エトキシド、リチウム=tert-ブトキシド、リチウム=tert-アミロキシド、カリウム=メトキシド、カリウム=エトキシド、カリウム=tert-ブトキシド及びカリウム=tert-アミロキシド等の金属アルコキシド類が挙げられる。
該塩基は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。
該塩基の使用量は、残存(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)1モルに対して、反応性及び経済性の観点から、好ましくは0.010~10.0モル、より好ましくは0.001~5.0モルである。
該エステル化には、必要に応じて、溶媒を用いてもよい。
該溶媒としては、一般的な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒;並びに、-ジメチルホルムアミド(DMF)、-ジメチルアセトアミド(DMAC)、-メチルピロリドン(NMP)、ジメチル=スルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル、N’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ヘキサメチルホスホリック=トリアミド(HMPA)、ジクロロメタン及びクロロホルム等の極性溶媒等が挙げられるが、反応性の観点から、ジエチル=エーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及び4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒;並びに、トルエン及びキシレン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該エステル化は、必要に応じて溶媒を用いてもよいが、無溶媒で反応を行ってもよい。
該アセチル化に用いる溶媒の使用量は、上記残存(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)1モルに対して、好ましくは0~8000g、より好ましくは0~5000gである。
該エステル化における反応温度は、用いるエステル化剤及び/又は溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは-40~140℃、より好ましくは0~100℃、更に好ましくは20~80℃である。
該エステル化における反応時間は、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
以上の様にして、残存する未反応の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)をエステル化することによって、該エステル化の結果として得られた(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)のエステル化化合物と(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)との沸点差をつけることができ、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)との蒸留による分離が可能となる。なお、分離されたエステル化化合物は加水分解反応等で(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)に戻すことにより、再度、次バッチの反応原料として再利用することが可能である。
以上の様にして、合成中間体である(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)から、セマダラコガネの性フェロモンである(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)を短工程で且つ効率的に製造することができる。また、該製造法は、工業スケールでの製造に適している。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、以下において、「純度」は、特に明記しない限り、ガスクロマトグラフィー(GC)分析によって得られた面積百分率を示し、「生成比」はGC分析によって得られた面積百分率の相対比を示す。また、「収率」はGC分析によって得られた面積百分率を基に算出した。
各実施例において、反応のモニタリング及び収率の算出は、次のGC条件に従って行った。
GC条件:GC:島津製作所 キャピラリガスクロマトグラフ GC-2014,カラム:DB-5又はDB-WAX,0.25μmx0.25mmφx30m,キャリアーガス:He(1.55mL/分)、検出器:FID,カラム温度:150℃ 5℃/分昇温 230℃。
収率は、原料及び生成物の純度(%GC)を考慮して、以下の式に従い計算した。
収率(%)={[(反応によって得られた生成物の重量×%GC)/生成物の分子量]
÷[ (反応における出発原料の重量×%GC)/出発原料の分子量]}×100
なお、THFはテトラヒドロフラン、EDAはエチレンジアミン、Etはエチル基及びPrはイソプロピル基を表す。
実施例1
<1-クロロ-4-ウンデシン(6:X=Cl)の製造>
室温で、反応器に塩化第二銅(CuCl)(19.20g、0.144モル(mol))、亜リン酸トリエチル(P(OEt))(95.52g、0.56モル)、塩化リチウム(LiCl)(12.12g、0.28モル)、テトラヒドロフラン(1635.68g)及び1-ブロモ-5-クロロ-1-ペンチン(8:X=Cl、X=Br)のキシレン溶液(5341.08g、純度37.1%、1-ブロモ-5-クロロ-1-ペンチンとして10.92モル)を加えて、20~35℃にて、ヘキシルマグネシウム=クロリド(7:M=MgCl)のテトラヒドロフラン溶液(5365.64g、ヘキシルマグネシウム=クロリドとして12.00モル)を滴下した。滴下終了後、25~35℃にて3時間撹拌した。次に、反応液に酢酸水溶液(酢酸(1174.04g)と水(3522.16g))を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。該得られた有機層を減圧下で濃縮し、そして残留物を減圧蒸留することにより、1-クロロ-4-ウンデシン(6:X=Cl)(1668.32g、8.67モル、純度97.08%、b.p.=99.0~101.3℃/0.4kPa(3.0mmHg))が収率72.28%で得られた。
上記で得られた1-クロロ-4-ウンデシン(6:X=Cl)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.88(3H,t,J=7.3Hz),1.22-1.40(6H,m),1.47(2H,q-like,J=7.3Hz),1.92(2H,tt,J=6.9Hz,6.9Hz),2.13(2H,tt,J=7.3Hz,2.3Hz),2.33(2H,tt,J=6.9Hz,2.3Hz),3.65(2H,t,J=6.5Hz);13C-NMR(500MHz,CDCl):δ=14.02,16.19,18.68,22.55,28.52,28.98,31.33,31.79,43.78,77.96,81.44
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 185(M-1),123,109,95,81,67,53
〔赤外吸収スペクトル〕(D-ATR):νmax=2957,2931,2858,1456,1435,1290,727,654cm-1
実施例2
<(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン(1:X=Cl)の製造>
室温で、反応器に実施例1で得られた1-クロロ-4-ウンデシン(6:X=Cl)(1414.25g、7.35モル、純度97.08%)及びP-2Ni触媒(460.60g、Niとして0.12モル)及びエチレンジアミン(EDA)(10.04g)を加えて、45~55℃にて9.5時間撹拌しながら水素を加えた。反応率が100%であることをGCで確認し、その後、反応液に水(321.49g)を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。該得られた有機層を減圧下で濃縮し、そして残留物を減圧蒸留することにより、(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン(1:X=Cl)(1385.23g、6.96モル、純度94.79%、b.p.=92.1~95.0℃/0.40kPa(3.0mmHg))が収率94.62%で得られた。
上記で得られた(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン(1:X=Cl)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.89(3H,t,J=7.3Hz),1.23-1.38(8H,m),1.82(2H,tt,J=6.9Hz,6.9Hz),2.04(2H,q-like,J=6.5Hz),2.20(2H,q-like,J=7.3Hz),3.54(2H,t,J=6.5Hz),5.27-5.34(1H,m),5.40-5.47(1H,m);13C-NMR(500MHz,CDCl):δ=14.09,22.64,24.37,27.23,28.97,29.65,31.75,32.49,44.50,127.49,131.71
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 188(M),123,109,97,81,69,55,41
〔赤外吸収スペクトル〕(D-ATR):νmax=2956,2926,2855,1457,727,655cm-1
実施例3
<(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)の製造>
室温で、反応器にマグネシウム(51.26g、2.11モル)及びテトラヒドロフラン(602.70g)を加えて、60~65℃で19分間撹拌した。撹拌終了後、該反応器に実施例2で製造された(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン(1:X=Cl)(400.00g、2.009モル、純度94.79%)を60~75℃にて滴下した。滴下終了後、75~80℃にて4時間撹拌することにより、(Z)-4-ウンデセニルマグネシウム=クロリド(2:M=MgCl)を調製した。
続いて、上記反応器に0~10℃で塩化第一銅(CuCl)(0.42g、純度95%、0.004モル)を加え、そして、プロピレン=オキシド(3)(134.19g、2.31モル)を0~30℃で滴下した。滴下終了後、反応混合物を20~30℃において2時間撹拌した。その後、反応液に酢酸水溶液(酢酸(251.10g)と水(753.35g))及びヘキサン(178.58g)を加えて分液し、そして、水層を除去して、有機層を得た。そして、該得られた有機層を減圧下で濃縮し、残留物を減圧蒸留することにより、(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)(371.58g、1.67モル、純度95.16%、b.p.=120.8~124.2℃/0.4kPa(3.0mmHg))が収率82.87%で得られた。
上記で得られた(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.88(3H,t,J=6.9Hz),1.18(3H,d,J=6.2Hz),1.22-1.50(14H,m),1.46(1H,br.s),1.97-2.07(4H,m),3.78(1H,sext-like,J=6.1Hz),5.30-5.39(2H,m);13C-NMR(500MHz,CDCl):δ=14.06,22.62,23.44,25.39,27.12,27.21,28.96,29.69,29.72,31.75,39.23,68.09,129.50,130.14
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 212(M),194,165,152,138,123,109,95,82,67,55,41
〔赤外吸収スペクトル〕(D-ATR):νmax=3344,2959,2926,2856,1462,1376,1123,724cm-1
実施例4
<(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造>
室温で、反応器に、実施例3で製造された(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)(33.48g、0.15モル、純度95.16%)、アセトン(100.00g、1.72モル)及びトルエン(169.37g)を加えて、75~85℃にて10分間撹拌した。撹拌後、アルミニウム=トリイソプロポキシド(Al(OPr))(52.08g、0.25モル)をトルエン(254.06g)に溶解させて、アルミニウム=トリイソプロポキシドのトルエン溶液を、上記反応器に75~80℃で滴下した。滴下終了後、0.5時間還流させ、そして、イソプロピルアルコールとアセトン混合液を留出させた。内温が87℃に達したことに応じて留出を止めて、アセトン(100.00g、1.72モル)を追加した。アセトンを追加した後に、0.5時間還流させ、そして、還流終了後に、イソプロピルアルコールとアセトンとの混合液を留出させ、内温が87℃に達した時点で留出を止めて、アセトン(100.00g、1.72モル)を再度追加した。アセトンを追加した後に、0.5時間還流させ、そして、還流終了後に、イソプロピルアルコールとアセトンとの混合液を留出させ、内温が87℃に達した時点で留出を止めて、アセトン(100.00g、1.72モル)を更に追加した。アセトンを追加した後に、0.5時間還流させ、そして、還流終了後に、イソプロピルアルコールとアセトンとの混合液を留出させ、内温が91℃に達した時点で留出を止めて、内温30℃まで冷却した。冷却後、20質量%塩酸(300.00g、塩化水素として1.65モル)、水(200.00g)を加えて分液し、そして水層を除去し、続いて、炭酸水素ナトリウム水溶液(炭酸水素ナトリウム(4.0g)、水(300g))で洗浄し、そして水層を除去して、有機層を得た。該得られた有機層を減圧下で濃縮し、そして残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=40:1~2:1)により精製することにより、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)(26.30g、0.12モル、純度93.73%)が収率78.15%、原料の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)(13.87g、0.024モル、純度36.18%)が回収率15.76%で得られた。
上記で得られた(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.87(3H,t,J=7.3Hz),1.20-1.38(10H,m),1.58(2H,tt,J=7.6Hz,7.6Hz),1.97-2.05(4H,m),2.12(3H,s),2.41(2H,t,J=7.3Hz),5.28-5.39(2H,m);13C-NMR(500MHz,CDCl):δ=14.06,22.61,23.47,26.91,27.21,28.96,29.22,29.66,29.80,31.74,43.63,129.08,130.40,209.07
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 210(M),192,167,152,139,125,111,97,84,71,55,43
〔赤外吸収スペクトル〕(D-ATR):νmax=2927,2856,1718,1458,1358,1159,724cm-1
実施例5
<(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造>
反応器に、実施例3で製造された(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)(44.63g、0.20モル、純度95.16%)、アセトン(100.00g、1.72モル)及びトルエン(100.00g)を加えて、75~85℃にて10分間撹拌した。撹拌終了後、アルミニウム=トリイソプロポキシド(65.36g、0.32モル)をトルエン(300.00g)に溶解させて、該上記反応器に75~80℃で滴下した。
続いて、0.5時間還流させ、そして、イソプロピルアルコールとアセトン混合液を留出させた。内温が87℃に達した時点で留出を止めて、アセトン(100.00g、1.72モル)を追加した。アセトンを追加した後に、0.5時間還流させた、そして、還流終了後に、イソプロピルアルコールとアセトンとの混合液を留出させ、内温が87℃に達した時点で留出を止めて、アセトン(100.00g、1.72モル)を再度追加した。アセトンを追加した後に、0.5時間還流させ、そして、還流終了後に、イソプロピルアルコールとアセトンとの混合液を留出させ、内温が87℃に達した時点で留出を止めて、アセトン(100.00g、1.72モル)を更に追加した。アセトンを追加した後に、0.5時間還流させた、そして、還流終了後に、イソプロピルアルコールとアセトンとの混合液を留出させ、内温が87℃に達した時点で留出を止めて、アセトン(100.00g、1.72モル)を再度追加した。アセトンを追加した後に0.5時間還流させ、そして、還流終了後に、イソプロピルアルコールとアセトンとの混合液を留出させ、内温が91℃に達した時点で留出を止めて、内温30℃まで冷却した。冷却後、20質量%塩酸(376.00g、塩化水素として2.06モル)、水(251.00g)を加えて分液し、そして、水層を除去した後、炭酸水素ナトリウム水溶液(炭酸水素ナトリウム(4.0g)、水(300g))で洗浄し、そして水層を除去して、有機層を得た。該得られた有機層を減圧下で濃縮し、そして残留物を新たな反応器に仕込み、続いてピリジン(12.54g、0.16モル)、トルエン(100g)を加え、20~30℃で塩化ベンゾイル(17.82g、0.13モル)を滴下した。
滴下終了後、45~55℃にて2.5時間撹拌することにより、残存する未反応の(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)がベンゾエート化されて、(Z)-7-テトラデセン-2-イル=ベンゾエートになったことをGCで確認した。該(Z)-7-テトラデセン-2-イル=ベンゾエートを含む反応液に水(100.00g)を加えて分液し、そして水層を除去して、有機層を得た。該得られた有機層を減圧下で濃縮し、そして残留物を減圧蒸留することにより、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)(37.61g、0.15モル、純度86.30%、b.p.=101.1~120.2℃/0.4kPa(3.0mmHg))が収率77.13%、(Z)-7-テトラデセン-2-イル=ベンゾエート(21.54g、0.040モル、純度59.11%)が収率20.12%でそれぞれ分離されて得られた。
この様に、残存する未反応の原料をベンゾエート化することで、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の沸点と(Z)-7-テトラデセン-2-イル=ベンゾエートの沸点との間に差をつけて、この沸点差を利用して、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)と(Z)-7-テトラデセン-2-イル=ベンゾエートとが蒸留で分離が可能となった。
上記で得られた(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)のスペクトルデータは実施例4で得られたものと同じであった。
実施例6
<(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造>
室温で、反応器に、実施例3で製造された(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)(22.32g、0.10モル、純度95.16%)、アセトン(227.38g、3.91モル)、トルエン(338.75g)を加えて、75~85℃にて10分間撹拌した後、アルミニウム=トリイソプロポキシド(25.74g、0.13モル)をトルエン(169.37g)に溶解させて75~80℃にて滴下した。滴下終了後、75~85℃にて24.5時間反応させ、そして、内温30℃まで冷却した。冷却後、20質量%塩酸(300.00g、塩化水素として1.65モル)、水(400.00g)を加えて分液し、そして水層を除去し、続いて、炭酸水素ナトリウム水溶液(炭酸水素ナトリウム(4.0g)、水(300g))で洗浄し、そして水層を除去して、有機層を得た。該得られた有機層を減圧下で濃縮し、そして残留物を減圧蒸留することにより、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)と(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)の混合物が21.85g得られた。すなわち、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)(21.85g、0.15モル、純度59.18%、b.p.=101.1~120.2℃/0.4kPa(3.0mmHg))が収率61.46%で且つ(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)(21.85g、0.030モル、純度29.39%)が収率30.24%で上記混合物として得られた。
該得られた(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)と(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)は互いに沸点が近く、従って、蒸留では分離することができなかった。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1):
    (式中、Xはハロゲン原子を表す。)
    で表される(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)を下記一般式(2):
    (式中、Mは、Li又はMgZを表し、Zはハロゲン原子又は(4Z)-4-ウンデセニル基を表す。)
    で表される(Z)-4-ウンデセニル求核試薬に変換する工程と、
    該(Z)-4-ウンデセニル求核試薬(2)を、下記式(3):
    で表されるプロピレン=オキシドとの付加反応に付すことにより、下記式(4):
    で表される(Z)-7-テトラデセン-2-オールを得る工程と、
    前記(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)を酸化して、下記式(5):
    で表される(Z)-7-テトラデセン-2-オンを得る工程と
    を少なくとも含む、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法。
  2. 前記酸化が、オッペナウアー酸化によって行われる、請求項1に記載の、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法。
  3. (Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)を得る工程の後に、残存する前記(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)をエステル化する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法。
  4. 前記エステル化の工程の後に、前記(Z)-7-テトラデセン-2-オール(4)のエステル化物と(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)を含む反応混合物から、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)を精製する工程をさらに含む、請求項3に記載の、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法。
  5. 下記一般式(6):
    (式中、Xはハロゲン原子を表す。)
    で表される1-ハロ-4-ウンデシン化合物を還元反応に付して、前記(Z)-1-ハロ-4-ウンデセン化合物(1)を得る工程
    を更に含む、請求項1又は2に記載の、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法。
  6. 下記一般式(7):
    (式中、Mは、Li又はMgZを表し、Zはハロゲン原子又はヘキシル基を表す。)
    で表されるヘキシル求核試薬と、下記一般式(8):
    (式中、X及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。)
    で表される1,5-ジハロ-1-ペンチン化合物とのカップリング反応により、前記1-ハロ-4-ウンデシン(6)を得る工程
    を更に含む、請求項5に記載の、(Z)-7-テトラデセン-2-オン(5)の製造方法。
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