JP2693615B2 - 1‐ハロ‐4,6,10‐ヘキサデカトリエン化合物およびその製造方法 - Google Patents
1‐ハロ‐4,6,10‐ヘキサデカトリエン化合物およびその製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ココアポッドボーラーモスの性フェロモ
ン:4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテートの製造に
有用な、文献未載の新規化合物:1−ハロ−4,6,10−ヘキ
サデカトリエンとその製造方法に関するものである。
ン:4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテートの製造に
有用な、文献未載の新規化合物:1−ハロ−4,6,10−ヘキ
サデカトリエンとその製造方法に関するものである。
(従来の技術) オレフィン系不飽和化合物の合成にウィッティヒ(Wi
ttig)反応が有効な手段であることはよく知られてい
る。ところが、昆虫の性フェロモンに見られる3個以上
の不飽和結合を有するアルコール、アルデヒドまたはア
セテートのエステル類の合成では、ウィッティヒ反応後
においても、その中間生成物の末端に水酸基、ハロゲン
原子などの活性基が残されていなければならない。それ
にはウィッティヒ反応を行うためのオキソ基とホスホラ
ニリデン基のどちらかを、水酸基またはそのエーテル結
合で保護した形にするのが普通である。しかし、この方
法では水酸基の保護、脱保護のための工程数が増加する
こと、また高価で特殊な試薬を必要とするなどの欠点が
あり、工業的に必ずしも有利な方法とはいえない。これ
は本発明が目的とするココアポッドボーラーモス(Coco
a pod borermoth;Conopomorpha cramerella)の性フェ
ロモンである、4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテー
トの合成においても同様であり、これまでにP.S.Beevor
らは水酸基をテトラヒドロピラニルエーテルの形で保護
したアルデヒドを用いて合成を行っている〔Journal of
Chemical Ecology 12(1)1(1986)〕。
ttig)反応が有効な手段であることはよく知られてい
る。ところが、昆虫の性フェロモンに見られる3個以上
の不飽和結合を有するアルコール、アルデヒドまたはア
セテートのエステル類の合成では、ウィッティヒ反応後
においても、その中間生成物の末端に水酸基、ハロゲン
原子などの活性基が残されていなければならない。それ
にはウィッティヒ反応を行うためのオキソ基とホスホラ
ニリデン基のどちらかを、水酸基またはそのエーテル結
合で保護した形にするのが普通である。しかし、この方
法では水酸基の保護、脱保護のための工程数が増加する
こと、また高価で特殊な試薬を必要とするなどの欠点が
あり、工業的に必ずしも有利な方法とはいえない。これ
は本発明が目的とするココアポッドボーラーモス(Coco
a pod borermoth;Conopomorpha cramerella)の性フェ
ロモンである、4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテー
トの合成においても同様であり、これまでにP.S.Beevor
らは水酸基をテトラヒドロピラニルエーテルの形で保護
したアルデヒドを用いて合成を行っている〔Journal of
Chemical Ecology 12(1)1(1986)〕。
PCC:塩化クロム酸ピリジン THP:2−テトラヒドロピラニル p−TSOH:p−トルエンスルホン酸 この方法もウィッティヒ反応に用いるアルデヒドの合
成において、その水酸基の保護の必要性から工程が長く
煩雑であり、また工程の都合上後処理の厄介なクロム化
合物を使用しなければならず、工業的に満足できるもの
ではない。
成において、その水酸基の保護の必要性から工程が長く
煩雑であり、また工程の都合上後処理の厄介なクロム化
合物を使用しなければならず、工業的に満足できるもの
ではない。
また、前記P.S.Beevorらはω−ハロ−ブタン酸エチル
エステルを原料としたウィッティヒ反応による合成を提
案しているが、これも還元工程が必要となり、LiAlH4と
いう高価な試薬を用いなければならないという欠点があ
る。
エステルを原料としたウィッティヒ反応による合成を提
案しているが、これも還元工程が必要となり、LiAlH4と
いう高価な試薬を用いなければならないという欠点があ
る。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、ココアポッドボーラーモスの性フェ
ロモンである、4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテー
トを、文献未載の新規化合物:1−ハロ−4,6,10−ヘキサ
デカトリエンを経て、有利に製造する方法を提供するも
のである。
ロモンである、4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテー
トを、文献未載の新規化合物:1−ハロ−4,6,10−ヘキサ
デカトリエンを経て、有利に製造する方法を提供するも
のである。
(課題を解決するための手段) 本発明による新規化合物、1−ハロ−4,6,10−ヘキサ
デカトリエンは、一般式 CH3(CH2)4CH=CH(CH2)2CH=CHCH=CH(CH2)3X (式中Xはハロゲン原子である)で示されるもので、一
般式 CH3(CH2)4CH=CH(CH2)2CH2PR3X (式中Rは芳香族基または炭素原子数1〜10のアルキル
基、Xはハロゲン原子である)で示されるホスホニウム
塩を塩基と反応させた後、一般式 OHCCH=CH(CH2)3X(式中Xはハロゲン原子である)で
示される6−ハロ−2−ヘキセン−1−アールとウィッ
ティヒ反応させて得られるものである。
デカトリエンは、一般式 CH3(CH2)4CH=CH(CH2)2CH=CHCH=CH(CH2)3X (式中Xはハロゲン原子である)で示されるもので、一
般式 CH3(CH2)4CH=CH(CH2)2CH2PR3X (式中Rは芳香族基または炭素原子数1〜10のアルキル
基、Xはハロゲン原子である)で示されるホスホニウム
塩を塩基と反応させた後、一般式 OHCCH=CH(CH2)3X(式中Xはハロゲン原子である)で
示される6−ハロ−2−ヘキセン−1−アールとウィッ
ティヒ反応させて得られるものである。
(式中Xはハロゲン原子) また、この1−ハロ−4,6,10−ヘキサデカトリエン
は、酢酸アルカリ金属化合物類の存在下、加熱反応させ
ることにより、ココアポッドボーラーモスの性フェロモ
ンである、一般式 で示される4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテートと
することができる。
は、酢酸アルカリ金属化合物類の存在下、加熱反応させ
ることにより、ココアポッドボーラーモスの性フェロモ
ンである、一般式 で示される4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテートと
することができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
上記の本発明による新規化合物、1−ハロ−4,6,10−
ヘキサデカトリエンの製造に際し、出発原料として用い
られる一般式 CH3(CH2)4CH=CH(CH2)2CH2PR3X (式中Rは芳香族基または炭素原子数1〜10のアルキル
基、Xはハロゲン原子である)で示されるホスホニウム
塩は、一般式 CH3(CH2)4CH=CH(CH2)2CH2X(式中のXはハロゲン
原子)で示される1−ハロ−4−デセン化合物と一般式
PR3で示されるホスフィン類とを各種溶媒中で加熱反応
することによって得ることができる。
ヘキサデカトリエンの製造に際し、出発原料として用い
られる一般式 CH3(CH2)4CH=CH(CH2)2CH2PR3X (式中Rは芳香族基または炭素原子数1〜10のアルキル
基、Xはハロゲン原子である)で示されるホスホニウム
塩は、一般式 CH3(CH2)4CH=CH(CH2)2CH2X(式中のXはハロゲン
原子)で示される1−ハロ−4−デセン化合物と一般式
PR3で示されるホスフィン類とを各種溶媒中で加熱反応
することによって得ることができる。
この1−ハロ−4−デセン化合物としては、1−ヨー
ド−4−デセン、1−ブロモ−4−デセン、1−クロロ
−4−デセンが例示され、またホスフィン類にはトリフ
ェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリエチル
ホスフィンなどが挙げられる。溶媒にはトルエン、ベン
ゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素類やテトラヒドロ
フラン(以下THFとする)、アセトニトリルなどを使用
することができる。この反応系に微量の炭酸カリウムを
添加すると、反応速度が増大する。反応温度は溶媒の沸
点により異なるが、一般には60〜120℃、好ましくは70
〜90℃で行われる。反応は1−ハロ−4−デセンに対
し、0.9〜1.1倍当量のホスフィン類および1モル当り30
0〜1000mlの溶媒を用いてN2またはアルゴンガスの存在
下、3〜20時間撹拌させて行われる。反応後、減圧下に
溶媒を除去すれば相当するホスホニウム塩が得られる。
ド−4−デセン、1−ブロモ−4−デセン、1−クロロ
−4−デセンが例示され、またホスフィン類にはトリフ
ェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリエチル
ホスフィンなどが挙げられる。溶媒にはトルエン、ベン
ゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素類やテトラヒドロ
フラン(以下THFとする)、アセトニトリルなどを使用
することができる。この反応系に微量の炭酸カリウムを
添加すると、反応速度が増大する。反応温度は溶媒の沸
点により異なるが、一般には60〜120℃、好ましくは70
〜90℃で行われる。反応は1−ハロ−4−デセンに対
し、0.9〜1.1倍当量のホスフィン類および1モル当り30
0〜1000mlの溶媒を用いてN2またはアルゴンガスの存在
下、3〜20時間撹拌させて行われる。反応後、減圧下に
溶媒を除去すれば相当するホスホニウム塩が得られる。
なお、1−ハロ−4−デセンの幾何構造に関しては、
シス体、トランス体とも本方法により相当するホスホニ
ウム塩を得ることができ、反応中の異性化は認められな
かった。
シス体、トランス体とも本方法により相当するホスホニ
ウム塩を得ることができ、反応中の異性化は認められな
かった。
このホスホニウム塩は、これ1モルに対し500〜1500m
lの割合の溶媒を加えて溶解した後、さらに塩基を加え
てホスホラニリデン化を行う。このときの溶媒としては
THF、ジエチルエーテル、n−ブチルエーテル、トルエ
ン、ベンゼン、DMSO、DMFなどが用いられるが、これら
の内ではTHFまたはこれと他の溶媒との混合液をホスホ
ニウム塩1モルに対し800〜1200mlの割合で用いるのが
好ましい。一方、塩基としてはn−ブチルリチウム、te
rt−ブチルリチウムなどのアルカリ有機金属類、カリウ
ムtert−ブトキシド、ナトリウムエチラートなどのアル
カリ金属アルコラート、DMSOとNaHとから調製されるメ
チルスルフィニルカルバニオン、ナトリウムアミドなど
を挙げることができるが、これらの内ではn−ブチルリ
チウム、カリウムtert−ブトキシドまたはメチルスルフ
ィニルカルバニオンを、ホスホニウム塩に対し0.8〜1.1
倍当量を加えて行うのが好ましい。この反応は温度−40
〜40℃、好ましくは−10〜20℃で、30分〜2時間、N2ま
たはアルゴンガスの雰囲気下、撹拌しながら行われる。
lの割合の溶媒を加えて溶解した後、さらに塩基を加え
てホスホラニリデン化を行う。このときの溶媒としては
THF、ジエチルエーテル、n−ブチルエーテル、トルエ
ン、ベンゼン、DMSO、DMFなどが用いられるが、これら
の内ではTHFまたはこれと他の溶媒との混合液をホスホ
ニウム塩1モルに対し800〜1200mlの割合で用いるのが
好ましい。一方、塩基としてはn−ブチルリチウム、te
rt−ブチルリチウムなどのアルカリ有機金属類、カリウ
ムtert−ブトキシド、ナトリウムエチラートなどのアル
カリ金属アルコラート、DMSOとNaHとから調製されるメ
チルスルフィニルカルバニオン、ナトリウムアミドなど
を挙げることができるが、これらの内ではn−ブチルリ
チウム、カリウムtert−ブトキシドまたはメチルスルフ
ィニルカルバニオンを、ホスホニウム塩に対し0.8〜1.1
倍当量を加えて行うのが好ましい。この反応は温度−40
〜40℃、好ましくは−10〜20℃で、30分〜2時間、N2ま
たはアルゴンガスの雰囲気下、撹拌しながら行われる。
次に、得られたホスホラニリデン化合物に、一般式:O
HCCH=CH(CH2)3X(式中Xはハロゲン原子である)で
示される6−ハロ−2−ヘキセン−1−アールを反応さ
せてウィッティヒ反応を完結させる。ここで用いられる
6−ハロ−2−ヘキセン−1−アールは、本出願人によ
る特開昭63−227537号公報(ω−置換−(E)−2−ア
ルケン−1−アールの製造方法)に開示されている方法
にしたがって、5−ハロ−1−ペンチニルマグネシウム
クロリドとオルソギ酸アルキルエステルとの反応により
6−ハロ−2−ヘキシン−1−アールジアルキルアセタ
ールとし、その水素添加、次の加水分解によりトランス
体を得ることができ、またシス体は6−ハロ−(Z)−
2−ヘキセン−1−オールを酸化することにより得るこ
とができる。
HCCH=CH(CH2)3X(式中Xはハロゲン原子である)で
示される6−ハロ−2−ヘキセン−1−アールを反応さ
せてウィッティヒ反応を完結させる。ここで用いられる
6−ハロ−2−ヘキセン−1−アールは、本出願人によ
る特開昭63−227537号公報(ω−置換−(E)−2−ア
ルケン−1−アールの製造方法)に開示されている方法
にしたがって、5−ハロ−1−ペンチニルマグネシウム
クロリドとオルソギ酸アルキルエステルとの反応により
6−ハロ−2−ヘキシン−1−アールジアルキルアセタ
ールとし、その水素添加、次の加水分解によりトランス
体を得ることができ、またシス体は6−ハロ−(Z)−
2−ヘキセン−1−オールを酸化することにより得るこ
とができる。
このウィッティヒ反応は、上記ホスホラニリデン化合
物には6−ハロ−2−ヘキセン−1−アールを、ホスホ
ニウム塩に対し0.8〜1.1倍当量加えて行えばよい。反応
は温度−40〜30℃で、30分〜2時間であるが、ホスホラ
ニリデン化合物特有の暗赤色が消失するまでアルデヒド
を滴下すればよい。
物には6−ハロ−2−ヘキセン−1−アールを、ホスホ
ニウム塩に対し0.8〜1.1倍当量加えて行えばよい。反応
は温度−40〜30℃で、30分〜2時間であるが、ホスホラ
ニリデン化合物特有の暗赤色が消失するまでアルデヒド
を滴下すればよい。
(Z)−4−デセニルトリフェニルホスホニウムヨー
ダイドと6−クロロ−(E)−2−ヘキシン−1−アー
ルとのウィッティヒ反応における、シス/トランスの選
択性は次表の通りでシス体が優位に生成される。
ダイドと6−クロロ−(E)−2−ヘキシン−1−アー
ルとのウィッティヒ反応における、シス/トランスの選
択性は次表の通りでシス体が優位に生成される。
反応後、溶媒を除去して純水、n−ヘキサンを加え、
副生するホスフィンオキシドを除去して蒸留すると、文
献未載の新規化合物である1−ハロ−4,6,10−ヘキサデ
カトリエンが収率良く得られる。この単離方法は蒸留の
ほか一般的なカラムクロマト法、分取液体クロマト法、
分取ガスクロマト法などの方法が適用可能である。
副生するホスフィンオキシドを除去して蒸留すると、文
献未載の新規化合物である1−ハロ−4,6,10−ヘキサデ
カトリエンが収率良く得られる。この単離方法は蒸留の
ほか一般的なカラムクロマト法、分取液体クロマト法、
分取ガスクロマト法などの方法が適用可能である。
このようにして得られた1−ハロ−4,6,10−ヘキサデ
カトリエンは、次に酢酸アルカリ金属化合物類と共に加
熱下反応させれば、ココアポッドボーラーモスの性フェ
ロモンである、4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテー
トに効率良く変換することができ、さらにエステル加水
分解により4,6,10−ヘキサデカトリエン−1−オールに
変換することもできる。例えば、1−クロロ−4,6,10−
ヘキサデカトリエンを酢酸カリウム、氷酢酸と共に加熱
反応させると、収率91.5%で4,6,10−ヘキサデカトリエ
ニルアセテートが得られる。
カトリエンは、次に酢酸アルカリ金属化合物類と共に加
熱下反応させれば、ココアポッドボーラーモスの性フェ
ロモンである、4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテー
トに効率良く変換することができ、さらにエステル加水
分解により4,6,10−ヘキサデカトリエン−1−オールに
変換することもできる。例えば、1−クロロ−4,6,10−
ヘキサデカトリエンを酢酸カリウム、氷酢酸と共に加熱
反応させると、収率91.5%で4,6,10−ヘキサデカトリエ
ニルアセテートが得られる。
(実施例) 以下、本発明の具体的な実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。
れに限定されるものではない。
実施例1. 1−クロロ−4,6,10−ヘキサデカトリエンの合成: (Z)−4−デセニルトリフェニルオスホニウムヨー
ダイド680g(1.29モル)とTHF1290mlとを反応器に入
れ、N2雰囲気下、カリウムtert−ブトキシド122g(1.09
モル)を10〜15℃で加え、30分間撹拌した。ついで、6
−クロロ−(E)−2−ヘキセン−1−アール150g(1.
13モル)を25℃を超えないように滴下し、終了後20〜25
℃で1時間撹拌した。反応後減圧にしてTHFを除去した
後、n−ヘキサン500gを加えて晶出するトリフェニルホ
スフィンオキシドをろ過により除去し、その有機層のn
−ヘキサンを減圧により除去した。残渣を減圧下に蒸留
したところ、220gの淡黄色液体が得られた(沸点155〜1
65℃/1.5mmHg)。これについてIR、NMRおよびGC−MS分
析をしたところ、その主成分は1−クロロ−E,Z,Z−4,
6,10−ヘキサデカトリエンであり、このほかに12%の4
E、6E、10Z体および他の微量の幾何異性体が合計3%混
在していることが判った。
ダイド680g(1.29モル)とTHF1290mlとを反応器に入
れ、N2雰囲気下、カリウムtert−ブトキシド122g(1.09
モル)を10〜15℃で加え、30分間撹拌した。ついで、6
−クロロ−(E)−2−ヘキセン−1−アール150g(1.
13モル)を25℃を超えないように滴下し、終了後20〜25
℃で1時間撹拌した。反応後減圧にしてTHFを除去した
後、n−ヘキサン500gを加えて晶出するトリフェニルホ
スフィンオキシドをろ過により除去し、その有機層のn
−ヘキサンを減圧により除去した。残渣を減圧下に蒸留
したところ、220gの淡黄色液体が得られた(沸点155〜1
65℃/1.5mmHg)。これについてIR、NMRおよびGC−MS分
析をしたところ、その主成分は1−クロロ−E,Z,Z−4,
6,10−ヘキサデカトリエンであり、このほかに12%の4
E、6E、10Z体および他の微量の幾何異性体が合計3%混
在していることが判った。
・MS(m/z:スペクトル強度比) 254*(17),218(5),197(8),183(12),177
(9),143*(100),107(57),91(34),81(29),79
(64),69(26),67(45),55(29),41(45),39(1
4),29(17),27(12). (*印のピークは塩素37Clの同位体元素ピークを伴う) ・NMR δ:ppm 0.9(3H,t),1.1〜1.5(6H,m),1.73−2.30(10H,m),
3.43(2H,t),5.25(2H,t),5.00〜6.45(4H,m). ・IR cm-1(neat) 3005,2960,2930,2850,!650,1470,1450,1320,1125,990,9
50,720. 実施例2. 1−ブロモ−4,6,10−ヘキサデカトリエンの合成: 6−クロロ−(E)−2−ヘキセン−1−アール150g
(1.13モル)の代わりに6−ブロモ−(E)−2−ヘキ
セン−1−アール200g(1.13モル)を用いたほかは、実
施例1と全く同様の操作を行ったところ、186gの黄色液
体が得られた(沸点185〜191℃/1.5mmHg)。これについ
てGC−MS分析をしたところ、その主成分は1−ブロモ−
E,Z,Z−4,6,10−ヘキサデカトリエンであり、また14%
の4E、6H、10Z体および他の微量の幾何異性体が合計3
%混在していることが判った。
(9),143*(100),107(57),91(34),81(29),79
(64),69(26),67(45),55(29),41(45),39(1
4),29(17),27(12). (*印のピークは塩素37Clの同位体元素ピークを伴う) ・NMR δ:ppm 0.9(3H,t),1.1〜1.5(6H,m),1.73−2.30(10H,m),
3.43(2H,t),5.25(2H,t),5.00〜6.45(4H,m). ・IR cm-1(neat) 3005,2960,2930,2850,!650,1470,1450,1320,1125,990,9
50,720. 実施例2. 1−ブロモ−4,6,10−ヘキサデカトリエンの合成: 6−クロロ−(E)−2−ヘキセン−1−アール150g
(1.13モル)の代わりに6−ブロモ−(E)−2−ヘキ
セン−1−アール200g(1.13モル)を用いたほかは、実
施例1と全く同様の操作を行ったところ、186gの黄色液
体が得られた(沸点185〜191℃/1.5mmHg)。これについ
てGC−MS分析をしたところ、その主成分は1−ブロモ−
E,Z,Z−4,6,10−ヘキサデカトリエンであり、また14%
の4E、6H、10Z体および他の微量の幾何異性体が合計3
%混在していることが判った。
・MS(m/z:スペクトル強度比) 298*(20),241*(7),227*(14),216(6),202
(3)187*(71),177(9),163(6),150(8),13
7(9),124(10),121(11),108(14),107(73),91
(36),81(39),80(34),79(100),69(41),67(9
4),55(37),54(20),53(14),41(77). 実施例3. 4,6,10−ヘキサデカトリエン−1−イルアセテートの合
成: (1)1−クロロ−4,6,10−ヘキサデカトリエンを原料
とする場合 実施例1で得られた1−クロロ−4,6,10−ヘキサデカ
トリエン220gと無水酢酸カリ480gと氷酢酸480gとを反応
器に入れ、N2雰囲気下に140〜145℃で6時間撹拌した。
反応後、純水600mlを加えて分液し、その有機層を無水
硫酸マグネシウムで脱水して蒸留したところ、220gの淡
黄色透明液体が得られた(沸点160〜172℃/1mmHg)。こ
れについてNMRおよびGC−MS分析をしたところ、その主
成分(82%)はE,Z,Z−4,6,10−ヘキサデカトリエン−
1−イルアセテートであり、このほかに12%のE,E,Z体
と3%の他の幾何異性体を含んでいた。主成分のMSデー
タは次の通りである。
(3)187*(71),177(9),163(6),150(8),13
7(9),124(10),121(11),108(14),107(73),91
(36),81(39),80(34),79(100),69(41),67(9
4),55(37),54(20),53(14),41(77). 実施例3. 4,6,10−ヘキサデカトリエン−1−イルアセテートの合
成: (1)1−クロロ−4,6,10−ヘキサデカトリエンを原料
とする場合 実施例1で得られた1−クロロ−4,6,10−ヘキサデカ
トリエン220gと無水酢酸カリ480gと氷酢酸480gとを反応
器に入れ、N2雰囲気下に140〜145℃で6時間撹拌した。
反応後、純水600mlを加えて分液し、その有機層を無水
硫酸マグネシウムで脱水して蒸留したところ、220gの淡
黄色透明液体が得られた(沸点160〜172℃/1mmHg)。こ
れについてNMRおよびGC−MS分析をしたところ、その主
成分(82%)はE,Z,Z−4,6,10−ヘキサデカトリエン−
1−イルアセテートであり、このほかに12%のE,E,Z体
と3%の他の幾何異性体を含んでいた。主成分のMSデー
タは次の通りである。
・MS(m/z:スペクトル強度比) 278(4),218(3),163(1),162(2),161(1),
150(2),148(1),147(3),136(1),134(1),
133(3),121(2),120(1),119(3),108(9),
107(100),106(4),105(6),93(5),92(5),9
1(27),81(9),80(23),79(99),78(3),77(1
1),69(11),67(11),55(13),43(55),42(3),4
1(26). ・NMR δ:ppm 0.9(3H,t),1.1〜1.5(6H,n),1.9(3H,s),1.7〜2.4
(10H,m),3.9〜4.1(2H,t),5.3(2H,t),5.0〜6.4(4
H,m). (2)1−ブロモ−4,6,10−ヘキサデカトリエンを原料
とする場合 実施例2で得られた1−ブロモ−4,6,10−ヘキサデカ
トリエンを186gと無水酢酸カリ200gと氷酢酸200gとを反
応器に入れ、N2雰囲気下140〜145℃で4時間撹拌した。
反応後、純水500mlを加えて分液し、その有機層を無水
硫酸ナトリウムで脱水して蒸留したところ、165gの淡黄
色の透明液体が得られた(沸点160〜172℃/1mmHg)。こ
れについてGC−MS分析をしたところ、その主成分(77
%)はE,Z,Z−4,6,10−ヘキサデカトリエン−1−イル
アセテートであり、このほかに14%のE,E,Z体と4%の
他の幾何異性体を含んでいた。
150(2),148(1),147(3),136(1),134(1),
133(3),121(2),120(1),119(3),108(9),
107(100),106(4),105(6),93(5),92(5),9
1(27),81(9),80(23),79(99),78(3),77(1
1),69(11),67(11),55(13),43(55),42(3),4
1(26). ・NMR δ:ppm 0.9(3H,t),1.1〜1.5(6H,n),1.9(3H,s),1.7〜2.4
(10H,m),3.9〜4.1(2H,t),5.3(2H,t),5.0〜6.4(4
H,m). (2)1−ブロモ−4,6,10−ヘキサデカトリエンを原料
とする場合 実施例2で得られた1−ブロモ−4,6,10−ヘキサデカ
トリエンを186gと無水酢酸カリ200gと氷酢酸200gとを反
応器に入れ、N2雰囲気下140〜145℃で4時間撹拌した。
反応後、純水500mlを加えて分液し、その有機層を無水
硫酸ナトリウムで脱水して蒸留したところ、165gの淡黄
色の透明液体が得られた(沸点160〜172℃/1mmHg)。こ
れについてGC−MS分析をしたところ、その主成分(77
%)はE,Z,Z−4,6,10−ヘキサデカトリエン−1−イル
アセテートであり、このほかに14%のE,E,Z体と4%の
他の幾何異性体を含んでいた。
(発明の効果) 本発明によれば、ココアポッドボーラーモスの性フェ
ロモンである、4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテー
トを、文献未載の新規化合物:1−ハロ−4,6,10−ヘキサ
デカトリエンを経て、有利に製造することができる。
ロモンである、4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテー
トを、文献未載の新規化合物:1−ハロ−4,6,10−ヘキサ
デカトリエンを経て、有利に製造することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】一般式 CH3(CH2)4CH=CH(CH2)2CH=CHCH=CH(CH2)3X (式中Xはハロゲン原子である)で示される1−ハロ−
4,6,10−ヘキサデカトリエン。 - 【請求項2】一般式 CH3(CH2)4CH=CH(CH2)2CH2PR3X (式中Rは芳香族基または炭素原子数1〜10のアルキル
基、Xはハロゲン原子である)で示されるホスホニウム
塩を塩基と反応させた後、一般式 OHCCH=CH(CH2)3X(式中Xはハロゲン原子である)で
示される6−ハロ−2−ヘキサン−1−アールとウィッ
ティヒと反応させることを特徴とする一般式 CH3(CH2)4CH=CH(CH2)2CH=CHCH=CH(CH2)3X (式中Xはハロゲン原子である)で示される1−ハロ−
4,6,10−ヘキサデカトリエンの製造方法。 - 【請求項3】請求項1記載の1−ハロ−4,6,10−ヘキサ
デカトリエンを、酢酸アルカリ金属化合物と加熱反応さ
せることを特徴とする一般式 で示される4,6,10−ヘキサデカトリエニルアセテートの
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3552990A JP2693615B2 (ja) | 1990-02-16 | 1990-02-16 | 1‐ハロ‐4,6,10‐ヘキサデカトリエン化合物およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3552990A JP2693615B2 (ja) | 1990-02-16 | 1990-02-16 | 1‐ハロ‐4,6,10‐ヘキサデカトリエン化合物およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03240752A JPH03240752A (ja) | 1991-10-28 |
JP2693615B2 true JP2693615B2 (ja) | 1997-12-24 |
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ID=12444265
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3552990A Expired - Fee Related JP2693615B2 (ja) | 1990-02-16 | 1990-02-16 | 1‐ハロ‐4,6,10‐ヘキサデカトリエン化合物およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2693615B2 (ja) |
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JP2007070276A (ja) * | 2005-09-06 | 2007-03-22 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 1−ハロ−e,z−4,6−ヘキサデカジエン及びその製造方法並びにこれを用いた性フェロモン化合物の製造方法 |
JP4644593B2 (ja) * | 2005-12-16 | 2011-03-02 | 信越化学工業株式会社 | E,z−1,3,5−アルカトリエンの製造方法 |
JP4594371B2 (ja) * | 2007-11-30 | 2010-12-08 | 信越化学工業株式会社 | (e3,z5)−3,5−アルカジエニルアセタートの製造方法 |
CN102696597A (zh) * | 2012-06-29 | 2012-10-03 | 漳州市英格尔农业科技有限公司 | 一种人工合成的荔枝蒂蛀虫性信息素及诱芯 |
CN103626657A (zh) * | 2012-08-23 | 2014-03-12 | 昆明博鸿生物科技有限公司 | 印度谷螟性信息素9z,12e-十四碳二烯-1-醇乙酸酯的合成 |
JP6670793B2 (ja) * | 2017-04-21 | 2020-03-25 | 信越化学工業株式会社 | 1−ハロ−6,9−ペンタデカジエン及び(7z,10z)−7,10−ヘキサデカジエナールの製造方法 |
JP7019500B2 (ja) * | 2018-04-18 | 2022-02-15 | 信越化学工業株式会社 | (9e,11z)-9,11-ヘキサデカジエニル=アセテートの製造方法 |
-
1990
- 1990-02-16 JP JP3552990A patent/JP2693615B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH03240752A (ja) | 1991-10-28 |
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