JP2024032532A - ポリエステル系樹脂発泡シート、ポリエステル系樹脂発泡シート成形体及びこれらの製造方法 - Google Patents

ポリエステル系樹脂発泡シート、ポリエステル系樹脂発泡シート成形体及びこれらの製造方法 Download PDF

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哲朗 田井
Tetsuro Tai
皓平 田積
Kohei Tazumi
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Abstract

【課題】ポリエステル系樹脂発泡シート、ポリエステル系樹脂発泡シート成形体において、耐熱強度及び耐寒性を高める。【解決手段】熱可塑性樹脂を含む発泡層22を有し、前記発泡層22のガラス転移温度(Tg)は、90~130℃であり、前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂を含み、前記ポリエステル系樹脂は、イソソルビドから誘導される単位を有することよりなる。前記イソソルビドから誘導される単位の割合は、前記ポリエステル系樹脂の総質量に対して6~20質量%であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル系樹脂発泡シート、ポリエステル系樹脂発泡シート成形体及びこれらの製造方法に関する。
従来、ポリスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂を発泡させた樹脂発泡シート及びその成形体は、軽量で断熱性が高いという特徴から、食品包装容器等に用いられている。
コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の小売店で調理済食品を購入し、これを家庭等で喫食する中食市場が拡大している。中食市場において、電子レンジでの加熱調理に対応できる食品包装容器が求められている。加熱調理に対応する食品包装容器には、電子レンジ等での加熱時に変形しにくいこと(加熱寸法安定性に優れること)、加熱した後に軟弱にならず容易に取り扱えること(耐熱強度に優れること)が求められる。
例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂とポリエーテルイミド系樹脂とを含み、ガラス転移温度(Tg)が単一である熱可塑性樹脂発泡シートが提案されている。特許文献1の発明によれば、耐熱強度を高めることが図られている。
特許第6864775号
例えば、食品包装容器に収容された調理済食品(容器入り調理済食品)は、冷蔵又は冷凍で輸送されることがある。容器入り調理済食品を冷蔵又は冷凍で輸送する場合、輸送の過程で、容器入り調理済食品が落下等で物理的衝撃を受けると、容器が破損するという問題があった。このため、食品包装容器には、低温環境下における耐衝撃強度が高い(耐寒性に優れる)ことが求められる。
そこで、本発明は、耐熱強度及び耐寒性に優れるポリエステル系樹脂発泡シートを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
<1>
熱可塑性樹脂を含む発泡層を有し、
前記発泡層のガラス転移温度(Tg)は、90~130℃であり、
前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂を含み
前記ポリエステル系樹脂は、イソソルビドから誘導される単位を有する、ポリエステル系樹脂発泡シート。
<2>
前記イソソルビドから誘導される単位の割合は、前記ポリエステル系樹脂の総質量に対して6~20質量%である、<1>に記載のポリエステル系樹脂発泡シート。
<3>
前記ポリエステル系樹脂は、非晶性芳香族ポリエステル系樹脂を含む、<1>又は<2>に記載のポリエステル系樹脂発泡シート。
<4>
前記発泡層は、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量と発熱量との差の絶対値が3.0J/g以下である、<1>~<3>のいずれかに記載のポリエステル系樹脂発泡シート。
<5>
前記熱可塑性樹脂のZ平均分子量(Mz)が200,000~500,000である、<1>~<4>のいずれかに記載のポリエステル系樹脂発泡シート。
<6>
<1>~<5>のいずれかに記載のポリエステル系樹脂発泡シートの熱成形体である、ポリエステル系樹脂発泡シート成形体。
<7>
食品包装容器である、<6>に記載のポリエステル系樹脂発泡シート成形体。
<8>
前記熱可塑性樹脂と、架橋剤と、発泡剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を押し出し、発泡して、前記発泡層を形成する工程を有する<1>~<5>のいずれかに記載のポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法。
<9>
前記架橋剤が、エポキシ基を有するエポキシ系化合物を含む、<8>に記載のポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法。
<10>
<8>又は<9>に記載のポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法でポリエステル系樹脂発泡シートを製造する工程と、
得られた前記ポリエステル系樹脂発泡シートを熱成形して成形体とする工程と、を有する、ポリエステル系樹脂発泡シート成形体の製造方法。
本発明のポリエステル系樹脂発泡シートによれば、耐熱強度及び耐寒性に優れる。
本発明の一実施形態に係るポリエステル系樹脂発泡シートの断面図である。 イソソルビドの製造工程の一例を示すフロー図である。 植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。 植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。 植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。 ポリエステル系樹脂発泡シートの製造装置の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るポリエステル系樹脂発泡シート成形体の斜視図である。 ポリエステル系樹脂発泡シート成形体の製造装置の一例を示す模式図である。 実施例7のDSC曲線である。 実施例2のDSC曲線である。
(ポリエステル系樹脂発泡シート)
本発明のポリエステル系樹脂発泡シート(以下、単に「発泡シート」ということがある)は、ポリエステル系樹脂と発泡剤とを含む熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ということがある)を発泡してなる。発泡シートの表面の一部又は全部には、樹脂の非発泡層が設けられていてもよい。
例えば、発泡シートは、発泡層のみからなる単層構造のシートのままでもよいし、その片面又は両面に非発泡層が設けられて熱可塑性樹脂積層発泡シート(以下、単に「積層発泡シート」ということがある)とされてもよい。以下、発泡層のみからなる単層構造のシート、及びこれを含む積層発泡シートを総じて「熱可塑性樹脂発泡シート」(発泡シート)ということがある。なお、発泡層のみからなる単層構造には、1層の発泡層で構成された発泡シート、及び2層以上の発泡層のみで構成された発泡シートが含まれる。
以下、本発明の実施形態を挙げて、本発明を説明する。
図1の発泡シート2は、ポリエステル系樹脂発泡シート成形体(単に、「発泡シート成形体」ということがある)の原反、又は平板状の緩衝材等に用いられる。発泡シート成形体としては、例えば、熱成形体(真空成形体、圧空成形体、真空圧空成形体、深絞成形体等)の容器等が挙げられる。
図1は、本実施形態の発泡シート2の断面図である。発泡シート2は、1層の発泡層22で構成されている。
発泡シート2の厚さTは、用途を勘案して決定できる。例えば、発泡シート2が容器成形用であれば、厚さTは、0.3~5.0mmが好ましく、0.4~3.0mmがより好ましく、0.5~2.5mmがさらに好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、容器の耐衝撃性、剛性を高められる。厚さTが上記上限値以下であると、発泡シート2の成形性を高められる。
なお、「成形性」は、例えば、発泡シートを金型に挟んで熱成形した際に、金型のキャビティに発泡シートが追随して、所望の形状に近づけられることであり、所望の形状に近づくほど、成形性は「良好」である。
発泡層22は、熱可塑性樹脂組成物を発泡してなる層である。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と発泡剤とを有する。熱可塑性樹脂組成物を発泡してなる発泡層22は、熱可塑性樹脂で形成されたマトリクス内に、2以上の気泡を有する。
<熱可塑性樹脂>
発泡層22の熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂を含む。ポリエステル系樹脂は、イソソルビドから誘導される単位を有する。かかる構成のポリエステル系樹脂を含むことで、発泡シート2は耐熱強度及び耐寒性に優れる。
熱可塑性樹脂の数平均分子量(Mn)は、10,000~40,000が好ましく、12,000~35,000がより好ましく、15,000~30,000がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のMnが上記下限値以上であると、耐寒性をより高められる。熱可塑性樹脂のMnが上記上限値以下であると、成形性をより高められる。
熱可塑性樹脂の質量平均分子量(Mw)は、50,000~200,000が好ましく、80,000~150,000がより好ましく、100,000~140,000がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のMwが上記下限値以上であると、耐寒性をより高められる。熱可塑性樹脂のMwが上記上限値以下であると、成形性をより高められる。
熱可塑性樹脂のZ平均分子量(Mz)は、200,000~500,000が好ましく、200,000~450,000がより好ましく、250,000~400,000がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のMzが上記下限値以上であると、耐寒性をより高められる。熱可塑性樹脂のMzが上記上限値以下であると、成形性をより高められる。
熱可塑性樹脂のMn、Mw及びMzは、実施例に記載の方法で測定できる。
熱可塑性樹脂のMn、Mw及びMzは、ポリエステル系樹脂及び他の樹脂のMn、Mw及びMz、熱可塑性樹脂の組成、架橋剤の種類、架橋剤の含有量、押出時の樹脂温度並びにこれらの組合せにより調節できる。
≪ポリエステル系樹脂≫
ポリエステル系樹脂のジオール成分の一部又は全部は、イソソルビド(ISB)から誘導される単位(ISB単位)を有する。ISB単位を有するポリエステル系樹脂(ISB単位含有樹脂)を含有することで、発泡シート2の耐熱強度及び耐寒性を高められる。
図2に示すように、ISBは、グルコースを還元したソルビールから脱水を経て得られる。即ち、ISBは、デンプンから誘導されるバイオモノマーである。このため、ISB単位を有するポリエステル系樹脂を含有することで、ISB単位の含有割合の分だけ、ポリエステル系樹脂のバイオマス度を高められる。
ISB単位含有樹脂としては、例えば、エチレングリコールから誘導される単位と、テレフタル酸から誘導される単位と、ISB単位と、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)から誘導される単位からなるPoly(ethylene glycol isosorbide 1,4-cyclohexane dimethylene terephthalate)(PEICT)、エチレングリコールから誘導される単位と、テレフタル酸から誘導される単位と、ISB単位からなるPoly(ethylene glycol isosorbide terephthalate)(PEIT)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)から誘導される単位と、テレフタル酸から誘導される単位と、ISB単位からなるPoly(isosorbide 1,4-cyclohexane dimethylene terephthalate)(PICT)、テレフタル酸から誘導される単位と、ISB単位からなるPoly(isosorbide terephthalate)(PIT)等が挙げられる。
PEICTとしては、例えば、商品名「ECOZAN」シリーズ(SKケミカル製)等が挙げられる。
発泡層22におけるポリエステル系樹脂の含有割合は、熱可塑性樹脂の総質量に対し、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。ポリエステル系樹脂の含有割合が上記下限値以上であると、耐熱強度及び耐寒性をより高められる。
ポリエステル系樹脂の総質量に対するISB単位の割合は、例えば、6~20質量%が好ましく、9~19質量%がより好ましく、10~18質量%がさらに好ましい。ISB単位の割合が上記下限値以上であると、耐熱強度及び耐寒性をより高められる。ISB単位の割合が上記上限値以下であると、発泡シート2の分子量(数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz))を高められ、発泡シート2の外観及び耐寒性をより高められる。
熱可塑性樹脂は、ISB単位を有しないポリエステル系樹脂を含有してもよい。
ISB単位を有しないポリエステル系樹脂(任意ポリエステル系樹脂)としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリエチレンフラノエート樹脂(PEF)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、テレフタル酸とエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの共重合体及びこれらの混合物等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましく、結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂(C-PET)がより好ましい。C-PETは、カルボン酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分がエチレングリコールであるポリエステル系樹脂である。
これらの任意ポリエステル系樹脂は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
ポリエステル系樹脂が任意ポリエステル系樹脂を含む場合、ポリエステル系樹脂の総質量に対するISB単位含有樹脂の含有割合は、例えば、40~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましく、70~100質量%がさらに好ましい。ISB単位含有樹脂の含有が上記下限値以上であると、耐熱強度及び耐寒性をより高められる。ISB単位含有樹脂の含有割合が上記上限値以下であると、発泡シート2の分子量(数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz))を高められ、発泡シート2の外観及び耐寒性をより高められる。
ポリエステル系樹脂が任意ポリエステル系樹脂を含む場合、ポリエステル系樹脂の総質量に対するISB単位の割合は、6~20質量%が好ましく、9~19質量%がより好ましく、10~18質量%がさらに好ましい。ISB単位の割合が上記下限値以上であると、耐熱強度及び耐寒性をより高められる。ISB単位の割合が上記上限値以下であると、発泡シート2の分子量(数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz))を高められ、発泡シート2の外観及び耐寒性をより高められる。
ポリエステル系樹脂は、非晶性ポリエステル系樹脂を含むことが好ましく、非晶性芳香族ポリエステル系樹脂を含むことがより好ましい。非晶性ポリエステル系樹脂を含むことで、発泡シート2の耐熱強度及び耐寒性をより高められる。
ポリエステル系樹脂が非晶性ポリエステル系樹脂を含む場合、ポリエステル系樹脂の総質量に対する非晶性ポリエステル系樹脂の含有割合は、40~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましく、70~100質量%がさらに好ましい。非晶性ポリエステル系樹脂の含有割合が上記下限値以上であると、耐熱強度及び耐寒性をより高められる。非晶性ポリエステル系樹脂の含有割合が上記上限値以下であると、発泡シート2の分子量(数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz))を高められ、発泡シート2の外観及び耐寒性をより高められる。
ポリエステル系樹脂は、石油化学品由来のポリエステル系樹脂でもよいし、いわゆるバイオPET等の植物由来のポリエステル系樹脂でもよいし、これらの混合物でもよい。
植物由来のポリエステル系樹脂としては、ISB単位含有樹脂の他に、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンフラノエート樹脂(PEF)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)等が挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂は、リサイクル原料でもよい。
これらのポリエステル系樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
以下、植物由来のポリエステル系樹脂について説明する。
植物由来のポリエステル系樹脂は、サトウキビ、トウモロコシ等の植物原料を由来とするポリマーである。「植物原料を由来とする」とは、植物原料から合成され又は抽出されたポリマーが挙げられる。また、例えば、「植物原料を由来とする」とは、植物原料から合成され又は抽出されたモノマーが重合されたポリマーが挙げられる。「植物原料から合成され又は抽出されたモノマー」には、植物原料から合成され又は抽出された化合物を原料とし合成されたモノマーが含まれる。植物由来のポリエステル系樹脂は、モノマーの一部が「植物原料を由来とする」ものを含む。
植物由来のポリエステル系樹脂について、PET、PEFを例にして説明する。
PETの合成反応を(1)式に示す。nモルのエチレングリコールとnモルのテレフタル酸(Benzen-1,4-dicarboxylic Acid)との脱水反応によって、PETが合成される。この合成反応における化学量論上の質量比は、エチレングリコール:テレフタル酸=30:70(質量比)である。
Figure 2024032532000002
[(1)式中、nは化学量論係数(重合度)であり、250~1100の数である。]
エチレングリコールは、エチレンを酸化し、水和することで、工業的に製造される。また、テレフタル酸は、パラキシレンを酸化することで、工業的に製造される。
ここで、図1に示すように、植物由来のエタノール(バイオエタノール)の脱水反応によりエチレンを得、このエチレンから合成されたエチレングリコール(バイオエタノール由来のエチレングリコール)と、石油化学品由来のテレフタル酸からPETを合成する場合、製造されるPETは、植物由来30質量%のPETである。
また、図2に示すように、植物由来のイソブタノール(バイオイソブタノール)の脱水反応によりパラキシレンを得、このパラキシレンから合成したテレフタル酸と、バイオエタノール由来のエチレングリコールとからPETを合成する場合、製造されるPETは、植物由来100質量%のPETである。
PEFの合成反応を(2)式に示す。nモルのエチレングリコールと、nモルのフランジカルボン酸(2,5-Furandicarboxylic Acid)との脱水反応によって、PEFが合成される。
Figure 2024032532000003
[(2)式中、nは化学量論係数(重合度)であり、250~1100の数である。]
フランジカルボン酸(FDCA)は、例えば、植物由来のフルクトースやグルコースの脱水反応によってヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を得、HMFを酸化して得られる。
図3に示すように、FDCA及びエチレングリコールの双方が植物由来の場合、製造されるPEFは、植物由来100質量%のPEFである。
≪その他の樹脂≫
熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(他の熱可塑性樹脂)を含有してもよい。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂等が挙げられる。
これらの他の熱可塑性樹脂は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
ポリイミド系樹脂としては、環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーが好ましく、溶融成形体を有するポリマーがより好ましく例示される。例えば、米国特許第4141927号明細書、特許第2622678号公報、特許第2606912号公報、特許第2606914号公報、特許第2596565号公報、特許第2596566号公報、特許第2598478号公報などに記載されるポリエーテルイミド、特許第2598536号公報、特許第2599171号公報、特開平9-48852号公報、特許第2565556号公報、特許第2564636号公報、特許第2564637号公報、特許第2563548号公報、特許第2563547号公報、特許第2558341号公報、特許第2558339号公報、特許第2834580号公報に記載のポリマー等が挙げられる。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリイミド系樹脂の主鎖に環状イミド以外の構造単位が含まれていてもよい。環状イミド以外の構造単位としては、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が挙げられる。
また、ポリイミド系樹脂は、リサイクル原料でもよい。ポリイミド系樹脂は、バイオポリイミド等の植物由来の樹脂でもよい。
これらのポリイミド系樹脂は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
ポリイミド系樹脂は、例えば、下記(3)式で表される化合物が好ましい。
Figure 2024032532000004
[(3)式中、Rは、炭素数6~42の炭素原子の有する芳香族基であり、R’は、炭素数6~30の2価の芳香族基、炭素数2~30の脂肪族基及び炭素数4~30の脂環族基からなる群から選ばれた少なくとも1種の2価の有機基である。pは繰り返し単位を表す数である。]
発泡層22は、熱硬化性樹脂を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、全く含まないか、発泡層22の品質に影響しない程度に含むことをいう。発泡層22に含まれる熱硬化性樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0質量%が最も好ましい。
<発泡剤>
発泡剤としては、公知の発泡剤を用いることができる。発泡剤は、大きく分けると物理発泡剤と化学発泡剤とになる。その中では物理発泡剤を用いることが好ましい。物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル等のエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン等のフロン、二酸化炭素、窒素等が挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素、窒素が好ましい。これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡剤の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、0.1~12質量部が好ましい。
<任意成分>
本実施形態の発泡層22は、熱可塑性樹脂及び発泡剤以外のその他成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、気泡調整剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、結晶化促進剤、滑剤、架橋剤、界面活性剤、収縮防止剤、難燃剤、劣化防止剤等が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、無水ピロメリット酸等の酸無水物系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン系化合物、オキサジン系化合物等が挙げられる。中でも、架橋剤としては、エポキシ系化合物が好ましい。熱可塑性樹脂組成物に架橋剤を配合することで、発泡時の破泡が抑制され、連続気泡率をより低められる。
エポキシ系化合物は、エポキシ基を有する化合物である。エポキシ系化合物は分子内に2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ系オリゴマーや多官能エポキシ系ポリマーが好ましい。そのようなエポキシ系化合物の代表例としては、商品名「CESA-Extend」シリーズ(AVIENT製)、商品名「Joncryl ADR」シリーズ(BASF製)、商品名「ARUFON UG」シリーズ(東亜合成製)、商品名「ボンドファースト」シリーズ(住友化学製)、商品名「マープルーフG」シリーズ(日油製)等が挙げられる。
これらの架橋剤はマスターバッチとして配合してもよい。また、架橋剤は1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
架橋剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、0.01~5.0質量部が好ましく、0.15~3.0質量部がより好ましく、0.2~2.0質量部がさらに好ましい。架橋剤の含有量が上記下限値以上であれば、熱可塑性樹脂の分子量(数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz))を高められ、発泡シート2の外観及び耐寒性をより高められる。架橋剤の含有量が上記上限値以下であれば、熱可塑性樹脂の過度な分子量の増加を抑制でき、発泡シート2の成形性をより高められる。
気泡調整剤は、例えば、タルク、シリカ等の無機粉末等の混合物等である。これらの気泡調整剤は、発泡層22の独立気泡率を高め、発泡層22を形成しやすい。
気泡調整剤の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、0.2~5質量部が好ましい。
安定剤は、例えば、カルシウム亜鉛系熱安定剤、スズ系熱安定剤、鉛系熱安定剤等である。
安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以下が好ましい。
紫外線吸収剤は、例えば、酸化セシウム系紫外線吸収剤、酸化チタン系紫外線吸収剤等である。
紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以下が好ましい。
酸化防止剤は、例えば、酸化セリウム、酸化セリウム/ジルコニア固溶体、水酸化セリウム、カーボン、カーボンナノチューブ、酸化チタン、及びフラーレン等である。
酸化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以下が好ましい。
着色剤は、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、酸化亜鉛、沈降性シリカ、カドミウム赤等である。
本実施形態の発泡シート2を食品用の容器に用いる場合には、上記の着色剤の中から衛生協議会登録品を選択することが好ましい。
着色剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、2質量部以下が好ましい。
結晶化促進剤は、例えば、ケイ酸塩、炭素、金属酸化物等である。ケイ酸塩としては、例えば、含水ケイ酸マグネシウムであるタルクが挙げられる。炭素としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、活性炭、グラファイト、グラフェン、コークス、メソポーラスカーボン、ガラス状炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられ、カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラックが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。
結晶化促進剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、3質量部以下が好ましい。
上述の任意成分は、それぞれ1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
発泡層22に含まれる任意成分の総量は、発泡層22の総質量に対して、0.1~5質量部が好ましく、0.5~3質量部がより好ましい。
<物性>
発泡層22のガラス転移温度(Tg)は、90~130℃であり、93~125℃が好ましく、100~120℃がより好ましい。ガラス転移温度(Tg)が上記下限値以上であれば、耐熱強度を高められる。ガラス転移温度(Tg)が上記上限値以下であれば、成形性をより高められる。
発泡層22において、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量とは発熱量との差の絶対値(吸熱発熱差)は、3.0J/g以下が好ましく、2.5J/g以下がより好ましく、2.0J/g以下がさらに好ましい。吸熱発熱差が上記上限値以下であれば、耐寒性をより高められる。吸熱発熱差の下限値は、実質的に0J/gである。
吸熱発熱差は、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められ吸熱量と発熱量との差である。
なお、発泡層22における吸熱発熱差は、発泡層22を構成する熱可塑性樹脂の吸熱発熱差と同一視できる。
発泡層22の連続気泡率は、30%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。発泡層22の連続気泡率が上記上限値以下であると、発泡シート2の耐寒性をより高め、外観及び成形性をより高められる。発泡層22の連続気泡率は、JIS K7138:2006「硬質発泡プラスチック-連続気泡率及び独立気泡率の求め方」に記載の方法により求められる。
発泡層22の坪量は、例えば、50~900g/mが好ましく、100~700g/mがより好ましく、150~500g/mがさらに好ましい。発泡層22の坪量が上記下限値以上であると、発泡シート2の耐寒性をより高められる。発泡層22の坪量が上記上限値以下であると、発泡シート2をより軽量にできる。加えて、発泡層22の坪量が上記上限値以下であると、加熱成形の際の加熱時間が長くなり過ぎず、発泡シート成形体の生産性をより高められる。
発泡層22の坪量は、以下の方法で測定することができる。
発泡層22の幅方向の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片5個以上を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定する。各切片の質量(g)の平均値を1m当たりの質量に換算した値を、発泡層22の坪量(g/m)とする。
発泡層22の見掛け密度は、例えば、0.050~0.666g/cmが好ましく、0.066~0.500g/cmがより好ましく、0.100~0.400g/cmがさらに好ましい。発泡層22の見掛け密度が上記下限値以上であると、発泡シート2の断熱性をより高め、耐寒性をより高められる。発泡層22の見掛け密度が上記上限値以下であると、発泡シート2をより軽量にできる。
発泡層22の発泡倍率は、例えば、2~20倍が好ましく、3~15倍がより好ましく、3.5~10倍がさらに好ましい。発泡層22の発泡倍率が上記下限値以上であると、樹脂発泡成形体の断熱性をより高め、耐寒性をより高められる。発泡層22の発泡倍率が上記上限値以下であると、発泡シート2の外観及び成形性をより高められる。
発泡層22の平均気泡径は、例えば、80~1000μmが好ましく、150~750μmがより好ましく、200~500μmがさらに好ましい。発泡層22の平均気泡径が上記下限値以上であると、発泡シート2の耐寒性をより高められる。発泡層22の平均気泡径が上記上限値以下であると、発泡シート2の外観をより高められる。
<発泡シートの製造方法>
発泡シート2は、従来公知の製造方法により製造される。
発泡シート2の製造方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。
図6の発泡シートの製造装置1は、押出成形により発泡シートを得る装置である。製造装置1は、押出機10と、発泡剤供給源18と、サーキュラーダイ20と、マンドレル30と、2つの巻取機40とを備える。
押出機10は、いわゆるタンデム型押出機である。押出機10は、第一の押出部11と、第一の押出部11に配管16で接続された第二の押出部12とを備える。第一の押出部11はホッパー14を備える。第一の押出部11には、発泡剤供給源18が接続されている。
第二の押出部12には、サーキュラーダイ20が接続されている。サーキュラーダイ20の下流には、カッター32を備えるマンドレル30が設けられている。サーキュラーダイ20とマンドレル30との間には、冷却用送風機(不図示)が設けられている。
なお、製造装置1の押出機10はタンデム型押出機以外の押出機でもよい。例えば、押出機10は、第一の押出部11にサーキュラーダイ20が接続された押出機でもよい。また、製造装置1の押出機10は単軸押出機であってもよいし、二軸押出機等の多軸押出機であってもよい。押出機10は任意の箇所にギアポンプを備えていてもよい。
発泡層を構成する原料をホッパー14から第一の押出部11に投入する。ホッパー14から投入される原料は、発泡層を構成する熱可塑性樹脂、及び必要に応じて配合される任意成分である。
第一の押出部11では、原料を任意の温度に加熱しながら混合して樹脂溶融物とし、発泡剤供給源18から発泡剤を第一の押出部11に供給し、樹脂溶融物に発泡剤を混合して樹脂組成物とする。
加熱温度は、樹脂の種類等を勘案して、樹脂が溶融しかつ任意成分が変性しない範囲で適宜決定される。
熱可塑性樹脂組成物に配合されるポリエステル系樹脂(原料ポリエステル系樹脂)のガラス転移温度(Tg)は、50~130℃が好ましく、60~125℃がより好ましく、70~120℃がさらに好ましい。原料ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が上記下限値以上であれば、耐熱強度をより高められる。原料ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が上記上限値以下であれば、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性をより高められる。
原料ポリエステル系樹脂の総質量に対するISB単位の割合は、6~20質量%が好ましく、9~19質量%がより好ましく、10~18質量%がさらに好ましい。ISB単位の割合が上記下限値以上であると、耐熱強度及び耐寒性をより高められる。ISB単位の割合が上記上限値以下であると、発泡シート2の分子量(数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz))を高められ、発泡シート2の外観及び耐寒性をより高められる。
原料ポリエステル系樹脂の融点は、230~270℃が好ましく、240~260℃がより好ましく、245~255℃がさらに好ましい。融点が上記下限値以上であれば、耐熱強度をより高められる。融点が上記上限値以下であれば、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性をより高められる。
原料ポリエステル系樹脂の固有粘度(IV値)は、0.4~1.5が好ましく、0.5~1.3がより好ましく、0.6~1.2がさらに好ましい。原料ポリエステル系樹脂のIV値が上記下限値以上であれば、発泡時の破泡が抑制されて連続気泡率をより低められる。原料ポリエステル系樹脂のIV値が上記上限値以下であれば、密度をより低くし、表面をより平滑にして、外観の美麗さを高められる。
原料ポリエステル系樹脂のIV値は、JIS K7367-5:2000の方法で測定できる。
原料ポリエステル系樹脂の数平均分子量(Mn)は、10,000~60,000が好ましく、15,000~50,000がより好ましく、20,000~45,000がさらに好ましい。原料ポリエステル系樹脂のMnが上記下限値以上であれば、耐寒性をさらに高められる。原料ポリエステル系樹脂のMnが上記上限値以下であれば、成形性をさらに高められる。
原料ポリエステル系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、50,000~150,000が好ましく、60,000~140,000がより好ましく、70,000~130,000さらに好ましい。原料ポリエステル系樹脂のMwが上記下限値以上であれば、耐寒性をさらに高められる。原料ポリエステル系樹脂のMwが上記上限値以下であれば、成形性をさらに高められる。
原料ポリエステル系樹脂のZ平均分子量(Mz)は、60,000~250,000が好ましく、80,000~200,000がより好ましく、90,000~180,000がさらに好ましい。原料ポリエステル系樹脂のMzが上記下限値以上であれば、耐寒性をさらに高められる。原料ポリエステル系樹脂のMzが上記上限値以下であれば、成形性をさらに高められる。
原料ポリエステル系樹脂のMn、Mw及びMzは、熱可塑性樹脂のMn、Mw及びMzと同様の方法で測定できる。
熱可塑性樹脂組成物は、第一の押出部11から配管16を経て第二の押出部12に供給され、さらに混合される。その後、樹脂組成物は、任意の温度に冷却された後、サーキュラーダイ20内の樹脂流路に導かれる。
樹脂流路に導かれた熱可塑性樹脂組成物は、サーキュラーダイ20から押し出され、発泡剤が発泡して円筒状の発泡シート2となる。
円筒状の発泡シート2は、冷却用送風機から送風された冷却用のエアーが吹き付けられつつ、マンドレル30に案内される。円筒状の発泡シート2は、マンドレル30の外面を通過し、任意の温度に冷却され、カッター32によって2枚に切り裂かれて発泡シート2となる。発泡シート2は、各々ガイドロール42とガイドロール44とに掛け回され、巻取機40に巻き取られて発泡シートロール4となる。
押出時の樹脂温度(サーキュラーダイ20に導かれる前の熱可塑性樹脂組成物の温度)は、215~315℃が好ましく、220~310℃がより好ましく、225~305℃がさらに好ましい。押出時の樹脂温度が上記下限値以上であれば、過度な分子量増加を抑制し、成形性をより高められる。押出時の樹脂温度が上記上限値以下であれば、過度な分子量低下を抑制し、耐寒性をより高められる。
<他の実施形態>
上述の実施形態の発泡シートは、発泡層のみからなる。発泡層の片面又は両面に非発泡層を設ける場合、非発泡層の素材は熱可塑性樹脂であればよい。非発泡層の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
非発泡層の厚さは、例えば、10~1000μmとされる。
(ポリエステル系樹脂発泡シート成形体)
本実施形態のポリエステル系樹脂発泡シート成形体(単に「発泡シート成形体」ということがある)は、発泡シート2を熱成形してなる。即ち、発泡シート成形体は、熱可塑性樹脂中に気泡を有する。発泡シート成形体としては、食品用トレー等の食品包装容器、電気製品又は自動車等の工業部材に用いる緩衝材、梱包材、構造部材、断熱材等が挙げられる。
発泡シート成形体について、容器を例にして説明する。
図7の容器100は、平面視形状が真円形の丼形状の容器である。容器100は、円形の底壁110と、底壁110の周縁から立ち上がる側壁120とを有する。容器100には、側壁120の上端で囲まれた開口部130が形成されている。側壁120は上端に向かうに従い、外側に広がっている。側壁120の上端で囲まれた開口部130は、平面視真円形である。底壁110は、開口部130の方向に凸となる平面視真円形の凸部112と、凸部112を囲む円環状の凹部114とから形成されている。
容器100の底壁110及び側壁120の厚さ(壁厚)は、用途等を勘案して決定され、例えば、20~1000μmが好ましく、40~800μmがより好ましく、60~600μmがさらに好ましい。容器100の壁厚が上記下限値以上であると、容器100の耐衝撃性をより高められる。容器100の壁厚が上記上限値以下であると、容器100をより軽量にできる。
容器100は、食品包装容器として好適であり、電子レンジ加熱対応容器や温湯容器として特に好適である。
なお、本実施形態の容器100は、平面視で真円形であるが、本発明はこれに限定されない。容器の平面視形状は、楕円形でもよいし、四角形等の多角形でもよい。
<発泡シート成形体の製造方法>
容器100の製造方法としては、例えば、発泡シート2を加熱して、これを雌型(キャビティ)と雄型(コア)とで挟み込んで成形(熱成形)する方法(熱成形方法)が挙げられる。
容器100の製造方法に用いられる成形装置の一例を図8に示す。
図8の成形装置200は、シャフト221と、一対の供給ローラ222と、搬送コンベア223と、予熱部203と、加熱金型204と、冷却金型205と、型抜機224とを有する。
予熱部203は、上加熱板231と、上加熱板231に対向する下加熱板232とを有する。予熱部203は、上加熱板231と下加熱板232との組み合わせに代えて、加熱炉でもよい。
加熱金型204は、加熱キャビティ241と、加熱コア242とを有する。加熱金型204としては、真空成形機、圧空成形機等が挙げられる。
冷却金型205は、冷却キャビティ251と、冷却コア252とを有する。
なお、加熱キャビティ241と冷却キャビティ251とは同形状であり、加熱コア242と冷却コア252とは同形状である。
まず、シャフト221に発泡シートロール4を取り付ける。発泡シートロール4から発泡シート2を繰り出し、一対の供給ローラ222でX方向に発泡シート2を間欠的に移送する。予熱部203は、移送された発泡シート2を加熱する(予備加熱工程)。予備加熱工程直後の発泡シート2の表面温度(TS)は、例えば、80~230℃が好ましく、90~210℃がより好ましく、95~190℃がさらに好ましい。表面温度(TS)が上記下限値以上であれば、発泡シート2を軟化して、成形性をより高められる。表面温度(TS)が上記上限値以下であれば、発泡シート2の過度な軟化(ドローダウン)を抑制して、成形性をより高められる。
予備加熱工程における加熱時間は、3~60秒が好ましく、5~40秒がより好ましく、7~30秒がさらに好ましい。
次いで、加熱金型204は、加熱キャビティ241と加熱コア242とで発泡シート2を挟み込んで、発泡シート2を加熱しつつ成形する(成形工程)。成形工程における加熱金型の温度(加熱温度)は、30~240℃が好ましく、35~200℃がより好ましく、40~180℃がさらに好ましい。加熱温度が上記下限値以上であれば、発泡シート2を軟化し、加熱キャビティ241内に押し付けて、成形性をより高められる。加熱温度が上記上限値以下であれば、発泡シート成形体の離型性をより高められる。成形工程における成形時間は、1~10秒が好ましく、2~8秒がより好ましく、3~7秒がさらに好ましい。成形時間が上記下限値以上であれば、発泡シート2を軟化し、加熱キャビティ241内に押し付けて、成形性をより高められる。加えて、加熱寸法安定性をより高められる。成形時間が上記上限値以下であれば、1サイクル当たりの時間を短縮して、生産性を高められる。
加熱金型204は、成形工程の後、加熱金型204内で発泡シート2をさらに加熱してもよい(ヒートセット工程)。発泡シート2が結晶性樹脂を含む場合は、ヒートセット工程を設けることで、発泡シート2の結晶化度を高めて、耐熱強度をより高められる。ヒートセット工程における加熱金型の温度(ヒートセット温度)は、130~240℃が好ましく、140~220℃がより好ましく、150~200℃がさらに好ましい。ヒートセット温度が上記下限値以上であれば、発泡シート2の結晶化度を高めて、耐熱強度をより高められる。ヒートセット温度が上記上限値以下であれば、発泡シート成形体の離型性をより高められる。ヒートセット工程における加熱時間(ヒートセット時間)は、3~90秒が好ましく、5~60秒がより好ましく、7~50秒がさらに好ましい。ヒートセット時間が上記下限値以上であれば、発泡シート2の結晶化度を高めて、耐熱強度をより高められる。ヒートセット時間が上記上限値以下であれば、1サイクル当たりの時間を短縮して、生産性を高められる。
なお、本実施形態の発泡シート2は、ヒートセット工程を省略しても、耐熱強度が著しく損なわれることがない。
次いで、加熱金型203を開き、所望の形状に成形された発泡シート2を冷却金型205の位置に移送し、発泡シート2を冷却キャビティ251と冷却コア252とで挟み込む(冷却工程)。
なお、冷却工程は、省略することができる。
次いで、型抜機224で発泡シート2から発泡シート成形体である容器100を切り出す。
以上説明した通り、本発明の発泡シート及び発泡シート成形体によれば、発泡層がISB単位含有樹脂を含むため、優れた耐熱強度及び耐寒性を発揮できる。さらに、本発明の発泡シート及び発泡シート成形体は、再生可能資源であるISB単位を含むISB単位含有樹脂を含むため、環境負荷の軽減を図れる。
(使用原料)
・ポリエステル系樹脂(A):SKケミカル製、商品名「ECOZEN T120」、非晶性、カルボン酸成分=テレフタル酸、ジオール成分=エチレングリコール、イソソルビド及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ガラス転移温度:119℃、IV値:0.65、イソソルビドの含有割合:18質量%、バイオマス度(バイオマス由来の炭素14Cベースの割合):15%。
・ポリエステル系樹脂(B):イーストマンケミカル製、商品名「Traitan TX2001」、非晶性、カルボン酸成分=テレフタル酸、ジオール成分=1,4-シクロヘキサンジメタノール及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、ガラス転移温度:116℃、IV値:0.76、イソソルビドの含有割合:0質量%、バイオマス度(バイオマス由来の炭素14Cベースの割合):0%。
・ポリエステル系樹脂(C):遠東新世紀製、商品名「CH-611」、結晶性、カルボン酸成分=テレフタル酸、ジオール成分=エチレングリコール、ガラス転移温度:78℃、融点:251℃、IV値:1.04、イソソルビドの含有割合:0質量%、バイオマス度(バイオマス由来の炭素14Cベースの割合):0%。
<架橋剤>
・架橋剤(X):AVIENT製、CESA-Extend OMAN698425(CT-1587)、エポキシ系化合物を含むマスターバッチ。
・架橋剤(Y):BASF製、Joncryl ADR4368C、多官能エポキシ系オリゴマー。
・架橋剤(Z):無水ピロメリット酸(PMDA)。
<気泡調整剤>
・タルク。
<発泡剤>
・ブタン:イソブタンとノルマルブタンとの混合物。イソブタン:ノルマルブタン=35:65(質量比)。
(評価方法)
<厚さ>
発泡シートの幅方向(TD方向)の両端20mmを除いた部分を、幅方向の等間隔9点について、ダイヤルシックネスゲージSM-112(テクロック製)を使用して厚さを測定し、測定値を相加平均した値を厚さとした。
<坪量>
発泡シートの幅方向(TD方向)の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片6個を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定した。各切片の質量(g)の平均値を1m当たりの質量に換算した値を、発泡シートの坪量(g/m)とした。
<密度>
発泡シートの坪量と厚みから、下記(s1)式にて算出した。
見掛け密度(g/cm)=坪量(g/m)÷厚さ(mm)÷1000・・・(s1)
<発泡倍率>
各例の配合割合から熱可塑性樹脂の密度を求め、熱可塑性樹脂の密度を得られた発泡体の見掛け密度で除した値を発泡倍率とした。なお、各樹脂の密度は以下の値を用いた。
・ポリエステル系樹脂(A):1.27g/cm
・ポリエステル系樹脂(B):1.18g/cm
・ポリエステル系樹脂(C):1.35g/cm
<連続気泡率>
発泡シートから、縦25mm×横25mmのシート状サンプル2枚以上を切り出し、切り出したサンプルを空間があかないよう重ね合わせて厚み25mmとして試験片を得た。得られた試験片の外寸を、(株)ミツトヨ製「デジマチックキャリパ」ノギスを用いて、1/100mmまで測定し、見掛け上の体積(V1:cm3)を求めた。次に、東京サイエンス製(株)「1000型」空気比較式比重計を用いて、1-1/2-1気圧法により試験片の体積(V2:cm)を求めた。下記(s2)式により連続気泡率(%)を計算し、5つの試験片の連続気泡率の平均値を求めた。試験片は予め、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23±2℃、相対湿度50±5%)、2級の標準雰囲気下で24時間以上かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下にて測定した。なお、空気比較式比重計は、標準球(大28.96cm、小8.58cm)にて補正を行った。
連続気泡率(%)=(V1-V2)/V1×100・・・(s2)
(V1:ノギスを用いて測定される見掛け上の体積、V2:空気比較式比重計で測定される体積)
<イソソルビドの含有量(H-NMR測定)>
発泡シートから切り出した試料をBruker Biospin製、AVANCE III-600with Cryo Probe型核磁気共鳴装置を用い、以下の条件でH-NMR測定を行った。
・観測周波数:600MHz。
・測定溶媒:トリフルオロ酢酸-d。
・測定温度:300K。
・化学シフト標準:11.5ppm。
・測定モード:one pulse。
・パルス幅:10μ秒。
・ポイント数:65536。
・繰り返し時間:10秒。
・積算回数:16回。
・試料濃度:約2wt%。
・測定範囲:-2ppm~18ppm。
・ウインドウ関数:指数関数。
H-NMR測定から得られたスペクトルから、各シグナルの積分強度比より発泡シート中のイソソルビドの含有割合(質量%)を算出した。
なお、各シグナルの領域に不純物由来と推測されるシグナルが観測された場合は、計算の際、これらの寄与は無視した。
<融点、結晶化温度、ガラス転移温度>
融点、結晶化温度及びガラス転移温度は、JIS K7121:1987、JIS K7121:2012に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法及び温度条件に関しては以下の通りとした。
発泡シートから切り出した試料をアルミニウム製測定容器の底に、すきまのないように5.5±0.5mg充填後、アルミニウム製の蓋をした。次いで(株)日立ハイテクサイエンス製「DSC7000X、AS-3」示差走査熱量計を用い、示差走査熱量分析を実施した。窒素ガス流量20mL/分のもと、以下のステップ1~4で試料の加熱と冷却とを施して、DSC曲線を得た。
(ステップ1)30℃で2分間保持。
(ステップ2)10℃/分の速度で30℃から300℃まで昇温し(1回目昇温過程)、10分間保持。
(ステップ3)試料を速やかに取出し、25±10℃の環境下にて放冷。
(ステップ4)10℃/分の速度で30℃から300℃まで昇温(2回目昇温過程)。
この時の基準物質にはアルミナを用いた。装置付属の解析ソフトを用いて、図9に示すように1回目昇温過程にみられる融解ピーク及び結晶化ピークのトップの温度を読みとって融点及び結晶化温度とした。なお、図10に示すように1回目昇温過程に融解ピーク及び結晶化ピークが観測されない場合は、融点及び結晶化温度は無しと判断した(表中には「-」と記載)。ガラス転移温度は2回目昇温過程にみられるDSC曲線より、装置付属の解析ソフトを用いて、中間点ガラス転移温度を算出した。この中間点ガラス転移温度は該規格(9.3)より求めた。
<吸熱量(a)、発熱量(b)>
吸熱量(a)(融解熱量)及び発熱量(b)(結晶化熱量)はJIS K7121:1987、JIS K7121:2012に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法及び温度条件に関しては以下の通りとした。
発泡シートから切り出した試料をアルミニウム製測定容器の底に、すきまのないように5.5±0.5mg充填後、アルミニウム製の蓋をした。次いで(株)日立ハイテクサイエンス製「DSC7000X、AS-3」示差走査熱量計を用い、示差走査熱量分析を実施した。窒素ガス流量20mL/分のもと、以下のステップ1~2で試料の加熱及び冷却を施して、DSC曲線を得た。
(ステップ1)30℃で2分間保持。
(ステップ2)速度10℃/分で30℃から300℃まで昇温(1回目昇温過程)。
この時の基準物質にはアルミナを用いた。吸熱量(a)及び発熱量(b)は、装置付属の解析ソフトを用いて算出した。具体的には、図9に示すように、吸熱量(a)は低温側のベースラインからDSC曲線が離れる点と、そのDSC曲線が再び高温側のベースラインへ戻る点とを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から算出した。発熱量(b)は低温側のベースラインからDSC曲線が離れる点と、そのDSC曲線が再び高温側へ戻る点とを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から算出した。なお、図10に示すように1回目昇温過程に融解(吸熱)ピーク及び結晶化(発熱)ピークが観測されない場合は、吸熱量(a)及び発熱量(b)は0J/gとした。
<数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、及びZ平均分子量(Mz)>
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、及びZ平均分子量(Mz)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した。
発泡シートから試料5mgを取り、これにヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)0.5mL、クロロホルム0.5mLの順に追加して軽く手動で振とうした。これを浸漬時間6±1.0hrで放置した。試料が完全に溶解したことを確認後に、クロロホルムで希釈して全量を10mLにして、軽く手動で振とうして混合した。その後、ジーエルサイエンス(株)製の非水系0.45μmのクロマトディスク、又は(株)島津ジーエルシー製の非水系0.45μmシリンジフィルターにて濾過して、測定試料とした。測定試料を次の測定条件にて、クロマトグラフで測定し、予め作成しておいた標準ポリスチレン検量線から試料の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、及びZ平均分子量(Mz)を求めた。測定装置及び測定条件は次の通りとした。
〔測定装置〕
・測定装置:東ソー(株)製、「HLC-8320GPC EcoSEC」、ゲル浸透クロマトグラフ(RI検出器・UV検出器内蔵)。
〔GPC測定条件〕
・カラム
〈サンプル側〉
ガードカラム:東ソー(株)製 TSK guardcolumn HXL-H(6.0mm×4.0cm)×1本。
測定カラム:東ソー(株)製 TSKgel GMHXL(7.8mmI.D.×30cm)×2本直列。
〈リファレンス側〉
抵抗管(内径0.1mm×2m)×2本直列。
カラム温度:40℃。
移動相:クロロホルム。
〈移動相流量〉
サンプル側ポンプ:1.0mL/分。
リファレンス側ポンプ:0.5mL/分。
検出器:UV検出器(254nm)。
注入量:15μL。
測定時間:25分。
サンプリングピッチ:500m秒。
〔検量線用標準ポリスチレン試料〕
検量線用標準ポリスチレン試料は、昭和電工(株)製の製品名「STANDARD SM-105」及び「STANDARD SH-75」から、質量平均分子量(Mw)が5,620,000、3,120,000、1,250,000、442,000、151,000、53,500、17,000、7,660、2,900、1,320のものを用いた。
上記検量線用標準ポリスチレンをA(5,620,000、1,250,000、151,000、17,000、2,900)及びB(3,120,000、442,000、53,500、7,660、1,320)にグループ分けした。Aを秤量(2mg、3mg、4mg、4mg、4mg)した後、クロロホルム30mLに溶解させた。Bを秤量(3mg、4mg、4mg、4mg、4mg)した後、クロロホルム30mLに溶解させた。
標準ポリスチレン検量線は、作製した各A及びB溶解液を50μL注入して、測定後に得られた保持時間から較正曲線(三次式)を作成することにより得た。その検量線を用いて数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)及びZ平均分子量(Mz)を算出した。
(発泡シートの評価方法)
<発泡シートの耐熱強度(DMA測定)>
固体粘弾性測定(DMA測定)は、(株)日立ハイテクサイエンス製「DMA7100」粘弾性測定装置を用いた。発泡シートから、押出(MD)方向が長さ方向になるように、長さ約40mm、幅約10mmに試料(試験片)を切り出した。なお、試料の厚みは発泡シートの厚みとした。試験片の寸法測定には、(株)Mitutoyo Corporation製「DIGIMATIC」CD-15タイプを用いた。固体粘弾性測定の条件は次の通りとした。
・モード:引張制御モード。
・雰囲気:窒素雰囲気。
・周波数:1Hz。
・昇温速度:5℃/分。
・測定温度:30℃~300℃。
・チャック間隔:20mm。
・歪振幅:5μm。
・最小張力:100mN。
・張力ゲイン:1.5。
・力振幅初期値:100mN。
測定温度30℃における貯蔵弾性率(E’30)及び測定温度80℃における貯蔵弾性率(E’80)は、温度に対する貯蔵弾性率の変化曲線から、装置付属の解析ソフトを用いて求めた。
測定温度30℃における貯蔵弾性率(E’30)と測定温度80℃における貯蔵弾性率(E’80)を用いて、下記(s3)式により保持率(%)を算出した。
保持率(%)=(E’80)/(E’30)×100・・・(s3)
≪評価基準≫
◎:保持率が50%以上である。
〇:保持率が30%以上50%未満である。
△:保持率が20%以上30%未満である。
×:保持率が20%未満である。
<発泡シートの耐寒性(落錘衝撃試験)>
落錘衝撃試験における全吸収エネルギーは、ASTM D-3763-15に準拠し測定した。即ち、全吸収エネルギーは、CEAST社製「CEAST9350」落錘衝撃試験機、計測ソフト「CEAST VIEW」を用いて、測定した。試験片サイズは、長さ100mm×幅100mmとした。試験片の数は最少5個とし、各試験片の坪量は、実施例及び比較例の表に記載した発泡シートの坪量の値±5%の範囲であった。試験条件は次の通りとした。
〔試験条件〕
・試験速度:1.76m/秒。
・落錘荷重:1.9265kg。
・試験片支持スパン:φ76mm。
・使用タップ:4.5kN計装化タップ(先端φ12.7mm半球状)。
試験温度0℃の試験片は温度0±2℃の恒温槽で16時間の状態調節を施し、測定に用いた。測定は状態調節と同温度環境下で行った。各試験片の全吸収エネルギーは、測定で得られたグラフの積分値を該計測ソフトで自動計算して算出し、各試験片の全吸収エネルギーの平均値を発泡シートの全吸収エネルギーとした。
≪評価基準≫
◎:試験温度0℃における全吸収エネルギーが0.30J以上。
〇:試験温度0℃における全吸収エネルギーが0.20J以上0.30J未満。
△:試験温度0℃における全吸収エネルギーが0.10J以上0.20J未満。
×:試験温度0℃における全吸収エネルギーが0.10J未満。
<発泡シートの外観>
発泡シートの表面を目視で観察し、以下の基準で外観を評価した。
≪評価基準≫
◎:発泡シート表面に凹凸や気泡の裂けが確認されず、外観が非常に良好である。
○:発泡シート表面に凹凸や気泡の裂けが僅かに確認されるが、外観が良好である。
△:発泡シート表面に凹凸や気泡の裂けが多く確認され、外観が悪い。
×:発泡シート表面に凹凸や気泡の裂けが極めて多く確認され、外観が非常に悪い。
≪総合評価≫
◎:全ての項目の評価が「◎」であった。
〇:全ての項目の評価が「◎」か「〇」であり、1つ以上が「〇」であった。
△:全ての項目の評価で「×」がなく、かついずれかの項目の評価で「△」が1つ以上であった。
×:いずれかの項目の評価が「×」であった。
(実施例1)
表1の配合に従い、ポリエステル系樹脂、架橋剤及び気泡調整剤をミキサーにて混合して、配合物とした。
直径93mmの円環状スリットで、かつ、スリット幅が0.36mmのサーキュラーダイを単軸押出機(口径65mm、L/D=34)の先端にセットし、このサーキュラーダイの押出方向前方に円筒状の冷却用マンドレル(直径206mm、長さ310mm)を配置した。冷却用マンドレル内に冷却水を循環させた。押出機を所定の温度に設定し、押出機で配合物を混練して溶融混合物とした。押出機バレルの途中から発泡剤を圧入して樹脂溶融物に加え、さらに混練して、熱可塑性樹脂組成物とした。
押出時の樹脂温度を230℃に設定し、サーキュラーダイのダイスリットから溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を吐出量30kg/hにて押出発泡させ、円筒状の発泡体を形成させた。この円筒状の発泡体を冷却用マンドレルによって拡径し、冷却用マンドレルよりもさらに下流側に配した引取機によって引き取らせた。冷却用マンドレルの外周面を発泡体の内周面に沿わせて発泡体を冷却すると共に、冷却用マンドレルの下流側において円筒状発泡体を押出方向に沿って切断した。そして、円筒状発泡体を平坦な帯状の発泡シートにして引取機によりロール状に巻き取った。得られた発泡シートの特性及び評価を表中に示す。
(実施例2)
表1の配合に従い、ギアポンプが備え付けられた同方向完全噛み合い型スクリュー二軸押出機(口径41mm、L/D=42)を用いて、スクリュー回転数50rpmとし、樹脂温度を調整した以外は、実施例1と同様にして発泡シートを作製した。得られた発泡シートの特性及び評価を表中に示す。
(実施例3~6)
表1~2の配合に従い、押出時の樹脂温度を調整した以外は、実施例2と同様にして発泡シートを作製した。得られた発泡シートの特性及び評価を表中に示す。
(実施例7~8、比較例1~3)
表3~4の配合に従い、押出時の樹脂温度を調整した以外は、実施例1と同様にして発泡シートを作製した。得られた発泡シートの特性及び評価を表中に示す。
(実施例9)
実施例1にて得た発泡シートを用意し、この発泡シートを一辺250mmの平面正方形状に裁断した。押出(MD)方向が容器の長手方向になるように発泡シートを固定する枠内にセットし、前記発泡シートを400℃のヒーター槽で7秒間予備加熱して発泡シートの表面温度(TS)を116℃にした。その後、マッチモールド成形法によって上部に開口部を有するトレー状の成形体(縦210mm×横180mm×高さ30mm)を得た。成形体は裂けや穴あきが無く、外観美麗な成形体を得られることを確認した。
(実施例10)
実施例7にて得た発泡シートを用意し、予備加熱時間を10秒間とし、発泡シートの表面温度(TS)を125℃にした以外は実施例9と同様にしてトレー状の成形体を得た。成形体は裂けや穴あきが無く、外観美麗な成形体を得られることを確認した。
Figure 2024032532000005
Figure 2024032532000006
Figure 2024032532000007
Figure 2024032532000008
本発明を適用した実施例1~7の総合評価は、「△」~「◎」であった。
ガラス転移温度(Tg)が87.6℃の比較例1、及び、ISB単位含有樹脂を含まない比較例2の総合評価は「×」であった。なお、ISB単位含有樹脂を含まない比較例3は、発泡シートの特性及び性能を評価するためのシートが得られなかったことから、総合評価を「×」とした。
実施例9~10では、本実施例を適用した発泡シートを用いて外観美麗な成形体が得られることを確認した。
以上の結果から、本発明を適用することで、ポリエステル系発泡シートの耐熱強度と耐寒性を高められることが、確認された。
2 ポリエステル系樹脂発泡シート
22 発泡層
100 容器

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂を含む発泡層を有し、
    前記発泡層のガラス転移温度(Tg)は、90~130℃であり、
    前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂を含み
    前記ポリエステル系樹脂は、イソソルビドから誘導される単位を有する、ポリエステル系樹脂発泡シート。
  2. 前記イソソルビドから誘導される単位の割合は、前記ポリエステル系樹脂の総質量に対して6~20質量%である、請求項1に記載のポリエステル系樹脂発泡シート。
  3. 前記ポリエステル系樹脂は、非晶性芳香族ポリエステル系樹脂を含む、請求項1に記載のポリエステル系樹脂発泡シート。
  4. 前記発泡層は、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量と発熱量との差の絶対値が3.0J/g以下である、請求項1に記載のポリエステル系樹脂発泡シート。
  5. 前記熱可塑性樹脂のZ平均分子量(Mz)が200,000~500,000である、請求項1に記載のポリエステル系樹脂発泡シート。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のポリエステル系樹脂発泡シートの熱成形体である、ポリエステル系樹脂発泡シート成形体。
  7. 食品包装容器である、請求項6に記載のポリエステル系樹脂発泡シート成形体。
  8. 前記熱可塑性樹脂と、架橋剤と、発泡剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を押し出し、発泡して、前記発泡層を形成する工程を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法。
  9. 前記架橋剤が、エポキシ基を有するエポキシ系化合物を含む、請求項8に記載のポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法。
  10. 請求項8に記載のポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法でポリエステル系樹脂発泡シートを製造する工程と、
    得られた前記ポリエステル系樹脂発泡シートを熱成形して成形体とする工程と、を有する、ポリエステル系樹脂発泡シート成形体の製造方法。
  11. 請求項9に記載のポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法でポリエステル系樹脂発泡シートを製造する工程と、
    得られた前記ポリエステル系樹脂発泡シートを熱成形して成形体とする工程と、を有する、ポリエステル系樹脂発泡シート成形体の製造方法。
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