JP2023173451A - ワークの切断方法、スライス装置及びスライスベース - Google Patents

ワークの切断方法、スライス装置及びスライスベース Download PDF

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Abstract

【課題】効率的にインゴットの冷却を可能としたワークの切断方法、スライス装置及びスライスベースを提供する。【解決手段】ワイヤを複数の溝付ローラに巻き掛けることによってワイヤ列を形成し、前記ワイヤを軸方向に往復走行させながら、ワークの上部が接着されたスライスベースを介してワーク保持手段に保持された前記ワークを相対的に前記ワイヤ列に対して押し当てて切り込み送りし、前記ワークをウェーハ状に切断するワークの切断方法であって、前記ワークと前記スライスベースとの間に空間を設け、該空間にクーラントを供給しながらワークの切断を行うワークの切断方法。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体インゴットなどのワークの切断方法、スライス装置及びスライスベースに関する。
従来、シリコンなどの半導体インゴットを形成し、この半導体インゴットをエポキシ系等の接着剤によってガラスやカーボン材もしくは樹脂製のスライスベースに接着した後、所定の厚さとなるように複数枚に切断して半導体基板を形成している。
このように切断する方法としては、ワイヤソーを用いた切断方法が一般的である。通常用いられているワイヤソー装置では、スライスベースと接着した半導体インゴットを設置して、一定間隔でワイヤを多数の溝に巻きつけて互いに平行に配置させる。そして、2本のメインローラー間に複数本張られたワイヤを高速で移動走行させながら、半導体インゴットをワイヤに向けて徐々に下降させて半導体インゴットに押しつけることによって半導体インゴットを切断し、半導体基板を作製する。
ワイヤソーによる切断方法は、ワイヤを高速に走行させながら半導体インゴットに押し当てるが、半導体インゴットを切断すると切断部分で摩擦熱が生じ、摩擦熱により半導体インゴットの切断部分が高温になると切断精度が悪化したり、形成された半導体基板にマイクロクラック等が生じたりする問題がある。
そこで、特許文献1では、半導体インゴットを切断する際に生じる摩擦熱を吸収し、切断精度、面粗度の悪化、マイクロクラックの発生を抑制することのできる半導体基板の製造方法として、半導体インゴットの頂部側と、この半導体インゴットにワイヤが切り込む入口部側及び出口部側とに冷却用のクーラント液を供給しながら切断する技術が記載されている。
また、特許文献2では、切断されたウェーハの反り、うねり及び厚さバラツキを抑制し、均一な厚さのウェーハを切断できるワイヤソーとして、被加工物をスライスベースを介して保持するワークプレートについて工夫がされている。つまりワークプレートの上表面に加工液を供給する加工液供給部と、上表面に設けられた加工液供給口と、この加工液供給口に連通しかつワークプレートを貫通し加工液を被加工物に供給する貫通流路と、この貫通流路から供給される加工液を被加工物にむらなく供給するための整流板を有する技術が開示されている。
特開2006-239795号公報 特開2005-276851号公報
これらの特許文献に記載の発明では、被加工物(ワーク)を、樹脂やセラミックなどで形成されたスライスベース(接合部材、ビーム、当て板、樹脂部などとも呼ばれることもある)に接着し、このスライスベースを介して被加工物(ワーク)がワーク保持部に保持されている。
従来技術では、加工物の頂部側や側面部でクーラントや加工液が供給されるため、切断位置付近の発熱は効率的に冷却できるものの、スライスベース部分では冷却効果が不十分であった。従来のクーラントや加工液の供給方法や冷却方法では、スライスベース部分で熱の蓄積などの影響を受けてしまうことがわかった。特にスライスベースが貼られている部分と貼られていない部分での温度差など熱挙動がばらつきやすく、切終わり付近の形状が悪化したり、割れが発生しやすくなったりする問題があった。
特に、固定砥粒によるスライスでは、切断時のワーク(インゴット)の熱膨張に起因した切断されたワーク(ウェーハ)のWarpの悪化やワーク(インゴット)と接着しているスライスベースにおいて、ワーク(インゴット)と樹脂の熱膨張の差による切断されたワーク(ウェーハ)の割れが発生しやすい。
本発明では、上記問題を解決するためになされたものであり、インゴットの熱膨張を抑制するため、インゴットの冷却能力を強化することを目的とし、効率的にインゴットの冷却を可能とするワークの切断方法、スライス装置及びスライスベースを提供し、安定したウェーハ形状や割れなどを防止することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、ワイヤを複数の溝付ローラに巻き掛けることによってワイヤ列を形成し、前記ワイヤを軸方向に往復走行させながら、ワークの上部が接着されたスライスベースを介してワーク保持手段に保持された前記ワークを相対的に前記ワイヤ列に対して押し当てて切り込み送りし、前記ワークをウェーハ状に切断するワークの切断方法であって、前記ワークと前記スライスベースとの間に空間を設け、該空間にクーラントを供給しながらワークの切断を行うワークの切断方法を提供する。
このようなワークの切断方法によれば、インゴット加工側面への通常の加工液(スラリ)やクーラント供給とは別にワークの上部にクーラントを供給して、特にスライスベース部分を冷却することで、効率的にワークの冷却を行いながらワークの切断を行うことができる。これにより、ワークの形状が安定し、且つ、割れ等の問題も防止できる。
このとき、前記ワイヤとして、ワイヤの表面に砥粒を固着した固定砥粒ワイヤを用いるワークの切断方法とすることができる。
本発明は、特にこのような固定砥粒ワイヤを用いるワークの切断方法においてより効果的である。
本発明は、また、ワイヤが複数の溝付ローラに巻きかけられることによって形成されたワイヤ列と、ワークの上部が接着されるスライスベースと、該スライスベースを介して前記ワークを保持するワーク保持手段とを具備し、前記ワイヤを軸方向に往復走行させながら、前記ワーク保持手段により保持された前記ワークを相対的に前記ワイヤ列に対して押し当てて切り込み送りすることにより、前記ワークを軸方向に並ぶ複数の箇所で同時に切断するスライス装置であって、前記スライスベースは、前記ワークとの接着面に、前記ワークを接着したときに前記ワークとの間に空間を形成する凹部を備え、前記空間にクーラントを供給するクーラント供給部を備えるものであるスライス装置を提供する。
このようなスライス装置によれば、インゴット加工側面への通常の加工液(スラリ)やクーラント供給とは別にワークの上部にクーラントを供給して、特にスライスベース部分を冷却することで、効率的にワークの冷却を行いながらワークの切断を行うことができるものとなる。そして、ワークの形状が安定し、且つ、割れ等の問題も防止できるものとなる。
このとき、前記ワイヤが、ワイヤの表面に砥粒を固着した固定砥粒ワイヤであるスライス装置とすることができる。
本発明は、特にこのような固定砥粒ワイヤを用いる装置においてより効果的である。
本発明は、また、ワイヤを複数の溝付ローラに巻き掛けることによってワイヤ列を形成し、前記ワイヤを軸方向に往復走行させながら、ワークの上部が接着されたスライスベースを介してワーク保持手段に保持された前記ワークを相対的に前記ワイヤ列に対して押し当てて切り込み送りし、前記ワークをウェーハ状に切断するワークを切断するスライス装置に用いるスライスベースであって、前記スライスベースは、前記ワークとの接着面に、前記ワークを接着したときに前記ワークとの間にクーラントを流すための空間を形成する凹部を備えるものであるスライスベースを提供する。
このようなスライスベースによれば、インゴット加工側面への通常の加工液(スラリ)やクーラント供給とは別にワークの上部にクーラントを供給して、効率的にワークの冷却を行うことができるものとなる。そして、ワークの形状が安定し、且つ、割れ等の問題も防止できるものとなる。
以上のように、本発明のワークの切断方法によれば、ワークの上部にクーラントを供給して、特にスライスベース部分を冷却することで、効率的にワークの冷却を行いながらワークの切断を行うことが可能となる。また、本発明のスライス装置によれば、効率的にワークの冷却を行いながらワークの切断を行うことができるものとなる。本発明のスライスベースによれば、効率的にワークの冷却を行うことができるものとなる。これにより、切断されたワーク(ウェーハ)の形状が安定し、且つ、割れ等の問題の発生を抑制できる。
本発明に係るスライスベースの適用例(断面図)を示す。 本発明に係るスライスベースの斜視図を示す。 本発明に係るスライスベースの凹部の他の例(断面図)を示す。 本発明に係るスライスベースの他の適用例(断面図)を示す。 本発明に係るスライスベースとクーラント供給部の適用例(断面図)を示す。 実験例1における実施例、参考例、比較例の評価結果を示す。 実験例2における実施例、比較例の評価結果を示す。 実験例3で評価したスライスベース(断面図)を示す。 スライス装置について説明する図面である。 ワーク保持手段について説明する図面である。 従来例に係るスライスベースの適用例(断面図)を示す。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上述のように、効率的にインゴットの冷却を可能としたワークの切断方法、スライス装置及びスライスベースが求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、ワイヤを複数の溝付ローラに巻き掛けることによってワイヤ列を形成し、前記ワイヤを軸方向に往復走行させながら、ワークの上部が接着されたスライスベースを介してワーク保持手段に保持された前記ワークを相対的に前記ワイヤ列に対して押し当てて切り込み送りし、前記ワークをウェーハ状に切断するワークの切断方法であって、前記ワークと前記スライスベースとの間に空間を設け、該空間にクーラントを供給しながらワークの切断を行うワークの切断方法により、インゴット加工側面への通常の加工液(スラリ)やクーラント供給とは別にワークの上部にクーラントを供給して、特にスライスベース部分を冷却することで、効率的にワークの冷却を行いながらワークの切断を行うことができることを見出し、本発明を完成した。
本発明者らは、また、ワイヤが複数の溝付ローラに巻きかけられることによって形成されたワイヤ列と、ワークの上部が接着されるスライスベースと、該スライスベースを介して前記ワークを保持するワーク保持手段とを具備し、前記ワイヤを軸方向に往復走行させながら、前記ワーク保持手段により保持された前記ワークを相対的に前記ワイヤ列に対して押し当てて切り込み送りすることにより、前記ワークを軸方向に並ぶ複数の箇所で同時に切断するスライス装置であって、前記スライスベースは、前記ワークとの接着面に、前記ワークを接着したときに前記ワークとの間に空間を形成する凹部を備え、前記空間にクーラントを供給するクーラント供給部を備えるものであるスライス装置により、インゴット加工側面への通常の加工液(スラリ)やクーラント供給とは別にワークの上部にクーラントを供給して、特にスライスベース部分を冷却することで、効率的にワークの冷却を行いながらワークの切断を行うことができるものとなることを見出し、本発明を完成した。
本発明者らは、また、ワイヤを複数の溝付ローラに巻き掛けることによってワイヤ列を形成し、前記ワイヤを軸方向に往復走行させながら、ワークの上部が接着されたスライスベースを介してワーク保持手段に保持された前記ワークを相対的に前記ワイヤ列に対して押し当てて切り込み送りし、前記ワークをウェーハ状に切断するワークを切断するスライス装置に用いるスライスベースであって、前記スライスベースは、前記ワークとの接着面に、前記ワークを接着したときに前記ワークとの間にクーラントを流すための空間を形成する凹部を備えるものであるスライスベースにより、インゴット加工側面への通常の加工液(スラリ)やクーラント供給とは別にワークの上部にクーラントを供給して、効率的にワークの冷却を行うことができるものとなることを見出し、本発明を完成した。
以下、図面を参照して説明する。
[スライス装置]
まず、スライス装置について説明する。図9に一般的なスライス装置(ワイヤソー)の一例を示す。図9に示すように、このスライス装置(ワイヤソー)201は、インゴット状のワークWを切断するためのワイヤ202(高張力鋼線)、ワイヤ202を巻き掛けた溝付きローラ103、ワイヤ202の張力を調整する機構104、104’、切断されるワークWを下方へ送り出す機構105、切断時にスラリを供給する機構206で構成されている。
ワイヤ202は、一方のワイヤリール107から繰り出され、トラバーサ108、張力調整機構104、プーリー109を経て、溝付きローラ103に300~500回程度巻き掛けられてワイヤ列を形成した後、もう一方のプーリー109’、張力調整機構104’、トラバーサ108’を経てワイヤリール107’に巻き取られている。
また、溝付きローラ103は例えば鉄鋼製円筒の周囲にポリウレタン樹脂を圧入し、その表面に略一定のピッチで溝を切ったローラであり、巻き掛けられたワイヤ202が溝付きローラ駆動モータ110によって、一方向あるいは、予め定められた周期で軸方向に往復駆動できるようになっている。
ワイヤリール107、107’はワイヤリール駆動モータ111、111’によって回転駆動され、溝付きローラ駆動モータ110とワイヤリール駆動モータ111、111’の速度をそれぞれ制御することにより、ワイヤ202にかかる張力を調整することができる。
また、図9に記載のワークWを下方へ送り出す機構105は、図10のように、ワーク保持部112、ワークプレート113から構成されるワーク保持手段114を有しており、ワークプレート113には、ワークWに貼り付けられたスライスベース120を介してワークWが保持される。スライスベース120は、例えば樹脂、カーボン、ガラス、セラミックス等により形成された部材である。従来のスライスベース120、ワークプレート113、ワークWを拡大した、従来例に係るスライスベースの適用例(断面図)を図11に示す。
ワークWの切断時には、ワーク保持手段114に保持されたワークWを相対的にワイヤ列に対して押し当てて切り込み送りし、インゴット状のワークをウェーハ状のワークに切断する。例えば、ワークWを下方へ送り出す機構105によってワークWは保持されつつ押し下げられ、溝付ローラ103に巻き掛けられたワイヤ202からなるワイヤ列に対して送り出される。
このようなワイヤソー201を用い、ワイヤ202に張力付与機構104、104’を用いて適当な張力をかけて、ワイヤリール駆動モータ111、111’によりワイヤ202を該ワイヤ202の軸方向に往復走行させながら、スラリを供給する機構206から供給されたスラリを供給し、ワークWを下方へ送り出す機構105でワークを切り込み送りすることでインゴット状のワークWを該ワークWの軸方向に並ぶ複数の箇所で同時に切断する。
図9に示すような砥粒を含むスラリを使用せず、ワイヤ202としてダイヤモンド砥粒等をワイヤの表面に固着した固定砥粒ワイヤを使用してワークを切断する方法、装置も知られている。この固定砥粒ワイヤによる切断では、図9に示した一般的なワイヤソー201におけるワイヤ202の代わりに、固定砥粒ワイヤを装着する。また、図9に示した一般的なワイヤソー201において供給するスラリを、砥粒が含まれない冷却水などのクーラントに変えた、クーラントを供給する機構を含むワイヤソーを用いる。このように、この固定砥粒ワイヤによる切断では、一般的なワイヤソーをそのまま使用することができる。
(スライスベース)
本発明者は、このスライスベースの形状に着目し、このスライスベースとワーク(インゴット)の間にクーラントを供給するクーラント供給機構を新たに設けることに想到した。
そのために、本発明のスライスベースでは従来の形状を変更し、インゴット上部とスライスベースの間に空間を設ける構造とした。本発明のスライスベースは、ワークとの接着面に、ワークを接着したときにワークとの間にクーラントを流すための空間を形成する凹部(溝)を備えるものである。この空間にクーラントを供給することで、効率的にインゴットを冷却することが可能となることを見出した。
スライスベースの形状例としては、図1,2に示すようにワーク(インゴット)との接着面(接触面)に凹部(溝)300を設け、ワーク(インゴット)Wとスライスベース120の間に空間ができるような形状としている。図1,2の例では凹部(溝)300の形状は、凹部が延在する方向に垂直な断面(ワークの切断面に平行な断面。以下、単に「断面」というときには、この断面を指す。)で、略四角状としている。
空間幅Bは30mm以上が好ましく、50mm以上がより好ましい。上限は、空間が大きければそれだけ冷却効果が大きいが、ワークの直径やスライスベースの種類などを考慮し適宜設定する。例えばスライスベース幅Lに対する空間幅Bの割合を20%以上70%以下の幅で設定すれば良い。スライスベース幅Lは特に限定されず、スライスベースの強度及びワークとスライスベースの接着強度等を勘案して適宜設定することができる。例えば、300mmインゴットの切断では、スライスベース幅Lは80mm~160mm程度に設定することができる。
図1,2の例では断面形状が略四角状の空間を形成する凹部(溝)300としたが、特にこれに限定されない。図3(A)に示すように凹部の断面形状が半楕円状のものであってもよく、図3(B)に示すように図3(A)の凹部を複数(2つ)形成したものであっても同様な効果が得られる。凹部300の形成のしやすさや、スライスベースの強度やスライスベースとワークを接着した時に十分な接着強度が得られるような接触面積になるように設計する。なお、スライスベース120におけるワーク(インゴット)との接着面は、ワーク(インゴット)の外形に応じた形状であり、例えばワーク(インゴット)が円柱状の場合は、ワーク断面の直径に応じた円弧状の断面形状となっている。
例えば、図4のように、断面形状が略四角状の空間が複数あってもよい。なお、スライスベースの強度やワークとスライスベースの接着強度にもよるが、ワークとスライスベースの各接着幅(A1、A2、A3、A4・・・)は10mm以上が望ましい。接着幅の上限は、特に限定はないが、スライスベース付近の冷却を効率的に行うには20mm以下の幅で設定することが好ましい。なお、各接着幅の合計はインゴットの直径やスライスベースの種類や幅によるが、スライスベース幅Lに対し、接着幅(接着面積)の合計の割合が30%以上、80%以下に設定することが好ましい。また、空間幅(B1、B2、B3・・・)の合計は30mm以上が望ましい。空間が大きければそれだけ冷却効果が大きいが、ワークの直径やスライスベースの種類、幅などを考慮し適宜設定する。例えばスライスベース幅Lに対する空間幅の割合を20%以上、70%以下の幅で設定すれば良い。
特にインゴットの重量、接着剤の接着強度などを考慮し、最適な接触面積になるようにスライスベースの形状を設計することができる。
(クーラント供給部)
次にスライス装置における、特にスライスベースとワークの間の空間にクーラントを供給する機構について説明する。スライス装置自体は従来より用いられるスライス装置を用いればよく、例えば図5に示すように、従来の装置を用い、新たにスライスベースとワークとの間に形成された空間の部分にクーラントを供給するクーラント供給部301を設ける。スライスベースの凹部(空間)の一方側の空間の開口部にクーラント供給部301を設置し、このクーラント供給部301からクーラントを供給し、他方側の空間の開口からクーラントを排出するようにできる。なお、図5(A)は、図5(B)を右方向から見た図である。なお、クーラントは、冷却効果を有するものであれば特に限定されないが、例えば、砥粒を含むスラリを用いたスライスでは、この切断に使用しているスラリを、また固定砥粒ワイヤを用いたスライスでは、砥粒を含まない冷却水などを、この部分に供給する(つまり、従来から使用しているスラリやクーラントを用い、別な配管を経由しスライスベースとワークの間に供給できるようにすれば良い)。
以下、実験例、実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
図1に示すような断面略四角状の溝を形成したスライスベースを準備した。スライスベースは合成樹脂で作られたものである。
まず、直径300mmのインゴットをスライスベースに接着剤を用い接着した。そののち、ワークプレートにスライスベースを介しインゴットを保持させた。そして、このインゴットを保持させたワークプレートを、本発明のスライス装置にセットした。セット後にスライスベースにクーラントを供給するためのクーラント供給部をセットし、この部分にクーラントを流しながら、従来と同様に切断を行った。
まず、本発明の効果や、好ましい流量や溝幅について調査した。
[実験例1]
スライスベース幅Lを90mm、スライスベースの空間幅Bを50mm、接着幅40mm(両端20mmずつ)(スライスベース幅Lに対する空間幅Bの割合約56%、接着面積の割合約44%)で固定し、実施例として、凹部(空間)300に流すクーラントを流量20L/minから120L/minで供給し、切断後のウェーハ状のワークのWarp形状を確認した。参考例としてクーラントを流さない条件(0L/min)でも切断した。比較例として従来の溝の無いスライスベース(図11参照)で切断を行った。
なお、切断終了後のウェーハ状のワーク形状は、従来の溝の無いスライスベースで加工した時のWarp値を1.0として、その相対評価で実施した。結果を図6に示す。
図6に示すように、スラースベースの凹部(空間)300にクーラントを流すことでWarp値の改善傾向がみられるようになり、今回の確認では、特に40L/min以上でクーラントを供給することでWarp値がより安定して低減した。
[実験例2]
スライスベースの凹部(空間)300へ供給するクーラントの流量は40L/minで固定し、空間幅Bを0~100mmに水準を振り切断した。なお、空間幅B=0mmとは、従来の溝の無いスライスベース(比較例)を指す。また、スライスベース幅Lは140mmとした。つまり、スライスベース幅Lに対する空間幅Bの割合を0~71%、接着幅:140mm~40mm(スライスベース幅Lに対する接触面積の割合を100~29%)と振り切断した。
切断終了後のウェーハ状のワーク形状は、従来の溝の無いスライスベースで加工した時のWarp値を1.0として、その相対評価で実施した。結果を図7に示す。
図7に示すように、空間部を設けることで改善傾向はみられ、本実験例の確認では、特に空間幅Bを30mm以上(スライスベース幅Lに対する空間幅Bの割合:20%程度以上)、好ましくは50mm以上(スライスベース幅Lに対する空間幅Bの割合:36%以上)の空間にする(冷却領域を形成する)ことでWarpがより安定して低減した。このように一定面積以上でクーラントの供給することが冷却効果をより安定化させることができる。
[実験例3]
スライスベース幅Lを110mm、スライスベースの空間幅Bの合計を70mm(スライスベース幅Lに対する空間幅Bの割合:64%程度)で、かつ、スライスベースの凹部(空間)300へ供給する流量は60L/minに固定し、図8に示すように、凹部(空間)300の個数を1個から3個に水準を振り、つまり、
1個の時は各接着幅(2か所)を各接着幅20mm、空間幅70mm、
2個の時は各接着幅(3か所)を各接着幅13mm、それぞれの空間幅35mm、
3個の時は各接着幅(4か所)を各接着幅10mm、それぞれの空間幅23mm、
に設定し切断した。切断後のウェーハ状のワークのWarp形状を確認した。
この結果、凹部(空間)300の個数に依らず、スライスベースの凹部(空間)300にクーラントを供給できるようにすることで、ほぼ同程度の改善効果があった。すなわち、この部分の冷却が重要な要素であることがわかる。
今回の結果では、直径300mmインゴットの加工の場合、空間幅Bを30mm以上、凹部(空間)300に流すクーラントの流量として40L/min以上とするとより効率よく冷却できることが確認できた。また、凹部(空間)300を複数に分割しても同様の効果が得られることがわかった。切断後にウェーハ状のワークのかけなども見られなかった。
以上のとおり、本発明の実施例によれば、本発明のスライスベースに凹部(空間)を設置し、その部分にクーラントを供給し冷却効果を高めることで、スライスベースが貼られている部分と貼られていない部分での温度差など熱挙動ばらつきが改善され、切終わり付近の形状の安定性が改善し、ウェーハ状のワークの割れの発生を防止することができた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
103…溝付きローラ、 104、104’…ワイヤの張力を調整する機構、
105…ワークを下方へ送り出す機構、 107、107’…ワイヤリール、
108、108’…トラバーサ、 109、109’…プーリー、
110…溝付きローラ駆動モータ、 111、111’…ワイヤリール駆動モータ、
112…ワーク保持部、 113…ワークプレート、 114…ワーク保持手段、
120…スライスベース(接合部材、ビーム、当て板、樹脂部)、
201…スライス装置(ワイヤソー)、 202…ワイヤ(高張力鋼線)、
206…スラリを供給する機構、 300…凹部(空間、溝)、
301…クーラント供給部。
A1、A2、A3、A4…接着幅、 B、B1、B2、B3…空間幅、
L…スライスベース幅、 W…ワーク。

Claims (5)

  1. ワイヤを複数の溝付ローラに巻き掛けることによってワイヤ列を形成し、前記ワイヤを軸方向に往復走行させながら、ワークの上部が接着されたスライスベースを介してワーク保持手段に保持された前記ワークを相対的に前記ワイヤ列に対して押し当てて切り込み送りし、前記ワークをウェーハ状に切断するワークの切断方法であって、
    前記ワークと前記スライスベースとの間に空間を設け、該空間にクーラントを供給しながらワークの切断を行うことを特徴とするワークの切断方法。
  2. 前記ワイヤとして、ワイヤの表面に砥粒を固着した固定砥粒ワイヤを用いることを特徴とする請求項1に記載のワークの切断方法。
  3. ワイヤが複数の溝付ローラに巻きかけられることによって形成されたワイヤ列と、
    ワークの上部が接着されるスライスベースと、
    該スライスベースを介して前記ワークを保持するワーク保持手段とを具備し、
    前記ワイヤを軸方向に往復走行させながら、前記ワーク保持手段により保持された前記ワークを相対的に前記ワイヤ列に対して押し当てて切り込み送りすることにより、前記ワークを軸方向に並ぶ複数の箇所で同時に切断するスライス装置であって、
    前記スライスベースは、前記ワークとの接着面に、前記ワークを接着したときに前記ワークとの間に空間を形成する凹部を備え、
    前記空間にクーラントを供給するクーラント供給部を備えるものであることを特徴とするスライス装置。
  4. 前記ワイヤが、ワイヤの表面に砥粒を固着した固定砥粒ワイヤであることを特徴とする請求項3に記載のスライス装置。
  5. ワイヤを複数の溝付ローラに巻き掛けることによってワイヤ列を形成し、前記ワイヤを軸方向に往復走行させながら、ワークの上部が接着されたスライスベースを介してワーク保持手段に保持された前記ワークを相対的に前記ワイヤ列に対して押し当てて切り込み送りし、前記ワークをウェーハ状に切断するワークを切断するスライス装置に用いるスライスベースであって、
    前記スライスベースは、前記ワークとの接着面に、前記ワークを接着したときに前記ワークとの間にクーラントを流すための空間を形成する凹部を備えるものであることを特徴とするスライスベース。
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