JP2023150253A - 衛生紙ロール包装体 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023150253000001
【課題】再包装性が良好な、紙を主体とした包装基材で衛生紙ロールが包装された衛生紙ロール包装体の提供
【解決手段】
複数個の衛生紙ロールを包装基材で包装した衛生紙ロール包装体であって、包装基材は、紙基材と、包装体を封止するためのシール層と、を含む層構成を有し、包装基材の厚さは、35μm以上80μm以下であり、包装基材の破裂強度は、105kPa以上190kPa以下であり、包装体に内包される衛生紙ロールの軸方向に対して平行な包装基材の高さ方向の破断伸びと包装体に内包される衛生紙ロールの軸方向に対して垂直な包装基材の幅方向の破断伸びとの幾何平均破断伸びは、2.9%以上6.0%以下である衛生紙ロール包装体。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の衛生紙ロールを包装基材で包装した衛生紙ロール包装体に関する。
一般的に、キッチンペーパーロールやトイレットロール等の衛生紙ロールは、包装基材で複数個を包装した状態で販売される。そのような包装体は、開封して被包装体の一部を取り出した後は、残りの衛生紙ロールを清潔に保管できるように再包装し得ることが要望されている(特許文献1)。この要望は、特にキッチンペーパーロールについて顕著である。
近年、世界的にプラスチックごみ問題が深刻化しており、地球環境改善のために包装の素材をプラスチックから他の素材に代えることが望まれている。紙製品を包装する包装体の分野おいても、包装の素材をプラスチックフィルムから紙を主体とするものに代えて、紙製品を包装紙で包装した包装体が提案されている(特許文献2)
特開2003-104449号公報 特開2021-172415号公報
しかしながら、包装基材をプラスチックフィルムから紙を主体とする基材に代えると、紙がフィルムに比べて厚くて曲げにくいため、フィルムと比較して、包装体に内包される複数個の衛生紙ロールのうちの一部を取り出した後の残りの衛生紙ロールを包装基材で再包装することが困難であり、保管性が劣ることとなる。
そこで本発明では、包装体に内包される複数個の衛生紙ロールのうちの一部を取り出した後の残りの衛生紙ロールの再包装性が良好な、紙を主体とした包装基材で衛生紙ロールが包装された衛生紙ロール包装体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、複数個の衛生紙ロールを包装基材で包装した衛生紙ロール包装体であって、包装基材は、紙基材と、包装体を封止するためのシール層と、を含む層構成を有し、包装基材の厚さは、35μm以上80μm以下であり、包装基材の破裂強度は、105kPa以上190kPa以下であり、包装体に内包される衛生紙ロールの軸方向に対して平行な包装基材の高さ方向の破断伸びと包装体に内包される衛生紙ロールの軸方向に対して垂直な包装基材の幅方向の破断伸びとの幾何平均破断伸びは、2.9%以上6.0%以下である衛生紙ロール包装体により、上記課題を解決し得ることを見出した。
具体的には、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 複数個の衛生紙ロールを包装基材で包装した衛生紙ロール包装体であって、
包装基材は、紙基材と、包装体を封止するためのシール層と、を含む層構成を有し、
包装基材の厚さは、35μm以上80μm以下であり、
包装基材の破裂強度は、105kPa以上190kPa以下であり、
包装体に内包される衛生紙ロールの軸方向に対して平行な包装基材の高さ方向の破断伸びと包装体に内包される衛生紙ロールの軸方向に対して垂直な包装基材の幅方向の破断伸びとの幾何平均破断伸びは、2.9%以上6.0%以下であることを特徴とする衛生紙ロール包装体。
[2] 包装基材の透気度は、1000秒以上であることを特徴とする[1]に記載の衛生紙ロール包装体。
[3] 包装基材の幅方向の曲げこわさは、8μNm以上35μNm以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の衛生紙ロール包装体。
[4] 包装体に内包される衛生紙ロールと接する側の包装基材の面の平滑度は、100秒以上であることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の衛生紙ロール包装体。
[5] 包装基材の透明度は、60%以上であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の衛生紙ロール包装体。
[6] 紙基材は、グラシン紙であることを特徴とする[1]から[5]のいずれかに記載の衛生紙ロール包装体。
[7] 包装体の包装形式は、キャラメル包装形式であることを特徴とする[1]から[6]のいずれかに記載の衛生紙ロール包装体。
本発明によれば、包装体に内包される複数個の衛生紙ロールのうちの一部を取り出した後の残りの衛生紙ロールの再包装性が良好な、紙を主体とした包装基材で衛生紙ロールが包装された衛生紙ロール包装体を提供することができる。
本発明の実施形態に係る、衛生紙ロール包装体を示す図である。 本発明の実施形態に係る包装基材の1つの態様を示す図である。 本発明の実施形態に係る包装基材の別の態様を示す図である。 衛生紙ロール包装体の開封操作および再包装操作の例を示す図である。 衛生紙ロール包装体の開封操作および再包装操作の別の例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態および図面は例示の目的で記載したものであり、本発明を限定するものではない。
<第1の実施形態>
[衛生紙ロール包装体]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る、衛生紙ロール包装体の概略斜視図である。本発明の第1の実施形態において、衛生紙ロール包装体(以下、単に「包装体」ともいう)1は、複数個の衛生紙ロール2と、当該複数個の衛生紙ロール2を包装する包装基材10と、を含む。
[衛生紙ロール]
本明細書において、衛生紙ロールとは、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ハンドタオル等の長尺の衛生紙シートをロール状に巻き取ったロール状衛生紙製品である。衛生紙ロールの例には、非限定的に、トイレットロール、キッチンペーパーロール、ハンドタオルロール等が挙げられる。
衛生紙ロールは、衛生紙シートを1枚だけロール状に巻き取った1プライ品であってもよく、2以上の複数枚の衛生紙シートを重ね合わされた状態でロール状に巻き取った複数プライ品であってもよい。衛生紙シートには、要求品質に応じて、表面凹凸を付与するエンボス加工、切り離し用ミシン目を付与するミシン目加工等が施されていてもよく、模様、ロゴ、メッセージなどの情報等を付与するための図形や文字の印刷が施されていてもよい。
衛生紙シートは、繊維原料であるパルプ成分を含むスラリーを抄紙することによって得られる。パルプ成分としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプを挙げることができる。要求品質および操業の安定のために、任意成分として紙力剤や消泡剤のような様々な薬品が添加されていてもよい。抄紙には、知られている任意の抄紙機を用いることができる。抄紙工程において、衛生紙シートにクレープ加工等が施されていてもよい。抄紙工程やその後の任意の工程において、カレンダー処理が施されていてもよい。
図1に示される例において、衛生紙ロール2は、キッチンペーパーロールである。包装基材10は、2個のキッチンペーパーロール2を一纏めに包んでいる。
本発明において、包装体1に包装される衛生紙ロール2の数(個数)は、衛生紙ロール2の寸法、重さや包装基材10の強度(破けやすさ)などによる、包装体1の取り扱いやすさ、製品販売戦略等により決定されてもよい。包装体1に包装される衛生紙ロール2の個数は、好ましくは偶数個であり、より好ましくは4個であり、さらに好ましくは2個である。
[包装基材]
本発明の実施形態に係る包装基材10は、紙基材100と、包装体を封止するためのシール層110と、を有する。
図2および図3は、それぞれ、図1に示される包装体1を構成する包装基材10の取り得る態様の1つの非限定的な例を示す図である。図1に示される例においては、包装体1の包装形式に、キャラメルのようなソフトキャンディの個別包装や箱たばこのパッケージなどで知られている、いわゆるキャラメル包装形式が採用されている。
図2の(a)は、包装基材10の概略展開図であり、包装体1の外面側となる面(以下、「表面」とも記す)から見た包装基材10の平面図である。図2の(b)は、図2の(a)に示される包装基材10のIIb-IIb線に沿って取った概略断面図であり、図2の(c)は、図2の(a)に示される包装基材10のIIc-IIc線に沿って取った概略断面図である。
図2の(a)を参照して、本例の包装基材10は、矩形OPQRである。図中ハッチングで示される領域には、包装体1を封止するためのシール剤が付与されている。
図2の(b)および(c)の断面図を参照して、紙基材100上に付与されたシール剤は、シール層110を形成しており、包装基材10は、紙基材100と、シール層110と、を含む層構成を有する。本例において、シール層110は、紙基材100の片面を全体的に覆っている。図において、各層の厚さや各寸法は概略的に示されており、正確な縮尺ではない。
図3は、図1に示される包装体1を構成する包装基材10の取り得る態様の、図2に示される態様とは別の例を示す図である。
図3の(a)から(c)は、それぞれ、図2の(a)から(c)に対応する。すなわち、図3の(a)は、包装基材10の概略展開図であり、包装体1の外面側となる面(表面)から見た包装基材10の平面図である。図3の(b)は、図3の(a)に示される包装基材10のIIIb-IIIb線に沿って取った概略断面図であり、図3の(c)は、図3の(a)に示される包装基材10のIIIc-IIIc線に沿って取った概略断面図である。
図3は、図2と、包装基材10においてシール層110が設けられている領域の点で異なる。図3に示される態様において、シール層110は、図中、ハッチングで示される、矩形OPPで示される包装基材10の側端部の領域、矩形OORで示される包装基材10の上端部の領域、および矩形PPQで示される包装基材10の下端部の領域に設けられている。また、図中、矩形Oで示される領域には、シール層110は設けられていない。
図3の(b)および(c)の断面図を参照して、包装基材10は、紙基材100と、シール層110と、を含む層構成を有し、シール層110は、紙基材100の片面を部分的に覆っている。図において、各層の厚さや各寸法は概略的に示されており、正確な縮尺ではない。
図1の包装体1に照らして、図2および図3に示されるいずれの態様においても、包装基材10における、矩形OPPで示される領域の部分と矩形RQQ1R1で示される領域の部分(側端部)(図中、符号12Sで示される領域)が重ね合わされており、矩形OPPで示される領域に設けられたシール層110を介して接合されている。また、矩形OOR、PPQで示される領域の部分(上下端部)(図中、符号12Tおよび12Bで示される領域)が折り畳まれており、矩形OOR、PPQで示される領域に設けられたシール層110を介して接合されている。したがって、上述の包装基材10の側端部および上下端部が、包装体1の封止に実質的に寄与する部分となる。
以下、本明細書において、上述したような包装体1の封止に実質的に寄与する包装基材10の端部(側端部および上下端部)の部分を「包装体の封止部」または「包装基材の接合部」と称して符号12(12S,12T,12B)で表し、それ以外の部分を「包装体の非封止部」または「包装基材の非接合部」と称して符号N12で表すものとする。
本発明の実施形態に係る包装基材10において、シール層110が形成される領域は、図2および図3に示される例に限定されず、包装体の封止部12を含む限り、紙基材100上の任意の領域に形成されていてもよい。
[紙基材]
本発明の実施形態において、包装体1の包装基材10の紙基材100としては、種々の紙基材を用いることができる。
紙基材100は、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプのような古紙パルプなどのパルプ成分を主原料として、知られている方法で抄紙機により抄紙をすることにより製造することができる。
パルプ成分は1種が単独で用いられていてもよいし、2種以上混合されていてもよい。これらパルプ成分は紙基材の品質に大きく影響するので、要求品質に合わせて所定の種類および配合割合で適宜配合される。
例えば、針葉樹クラフトパルプ(NKP)および/または広葉樹クラフトパルプ(LKP)を、好ましくは0~60:100~40、より好ましくは20~60:80~40、さらに好ましくは40~60:60~40の配合率(質量%)で用いてもよい。
針葉樹クラフトパルプは、概して、広葉樹クラフトパルプと比べて繊維長が長い。そのため、パルプ原料中において針葉樹クラフトパルプの配合率が高くなると、概して、得られる紙基材100の紙力が強くなる。例えば、MD方向(抄紙方向、または縦方向(T方向)ともいう)の引張強度が高くなり、MD方向への力が掛かっても破れにくい紙基材100が得られる。
包装体1の包装基材10に適用可能な紙基材100は、包装体1を製造する際の加工適性(曲げやすさ、剛性、印刷適性)、包装体1とした際の強度(破けやすさ)および外観(透明度、白色度)、包装体1を開封した後の包装体1の再包装性等により決定されてもよい。
紙基材100には、要求品質および製造時の操業の安定のために、任意成分として、一般的に用いられている様々な薬品が添加されていてもよい。任意成分としては、例えば、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、サイズ剤、嵩高剤、染料、香料、分散剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、歩留向上剤等を挙げることができる。
本発明の実施形態に好適に適用可能な紙基材100の具体例としては、例えば、グラシン紙のような透明な紙や、純白紙のような片艶紙が挙げられるが、これらに限定されない。
[グラシン紙]
「グラシン紙」は、化学パルプを高度に叩解して抄造した原紙をカレンダーに通して熱と圧力をかけ、繊維間の隙間を潰して製造した透明な薄葉紙である。グラシン紙は、平滑度が高く、光沢があり、高密度で、透気度が高く(すなわち、紙の一定面積を一定量の空気が一定圧力の下で通過するのにかかる時間が長く、換言すると、透気性が低い)、半透明を呈する等の性質を有する。
一般に、「透明」とは、物体の反対側や内部にあるものが透けて見えることをいい、「半透明」とは、透明の度合が低いこと、透明と不透明との中間であること、その物の向こうにある物体の形ははっきり見えないが、色彩・明暗などは見える程度であることまたはそのさまをいう。また、「不透明」とは、それを通して向こう側の物を見ることができないさまをいう。本明細書においては、「透明」および「半透明」を総称して、単に「透明」ともいう。
また、「透明度」とは、光が紙を透過する割合を入射光量の百分率で表したものをいう。透明度の値が大きい程、反対側や内部にあるものが、よりはっきりと透けて見えることを示す。
本発明の実施形態の1つの好ましい態様として、図1の例では、包装基材10の紙基材100には、グラシン紙が用いられており、包装体1の被包装体である衛生紙ロール2(2個のキッチンペーパーロール)が包装基材10を通して透けて見えている。
被包装体である衛生紙ロール2の包装体1外部からの視認性の観点からは、本発明の実施形態の1つの好ましい態様において、包装基材10の透明度は、60%以上であり、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上である。包装基材10の透明度が60%以上であると、包装体1に内包される被包装体2の状態(例えば、被包装体2の種類、数量、色や模様、形状(印刷やエンボスの有無など)を確認しやすい。
そのような包装基材10の透明度を実現するための手段としては、透明度の高い紙基材100を採用することが挙げられる。本発明の実施形態の1つの好ましい態様において、紙基材100の透明度は、60%以上であり、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上である。紙基材100に適用可能な透明度の高い紙の例としては、グラシン紙、パーチメント紙が挙げられるが、これらに限定されない。
紙基材100および包装基材10の透明度は、ISO5-2に準じて、拡散光透過率計DOT-5(村上色彩技術研究所社製)で測定することができる。なお、包装基材10の透明度の測定は、包装基材10の非接合部(包装体1の非封止部)N12の領域について行う。
[グラシン紙を用いる態様の作用効果]
本実施形態において包装基材10の紙基材100としてグラシン紙を用いることにより、例えば次のような作用効果が奏され得る。
(1)グラシン紙は透明であるため、包装体1の外観において、包装体1の非封止部N12の領域において、透明なグラシン紙100(および存在する場合はその上に設けられた透明なシール層110)を通して、包装体1に内包されている衛生紙ロール2を容易に透かし見て判別し得る(内部可視性がある)。例えば、衛生紙ロール2の種類、数量、色や模様、形状(例えば、印刷やエンボスの有無)等を、包装体1の外側から確認し得る(図1参照)。
(2)グラシン紙は高い透気度を有するため、包装基材10に包装されている被包装体である衛生紙ロール2が、外部の湿気や外部の臭い等の影響を受けにくくなる。
[パーチメント紙]
「パーチメント紙」は、原紙中のセルロース繊維の一部が不定形のアミロイドに変化した透明な紙であり、セルロース繊維を主成分とする原紙を硫酸、塩酸、蟻酸、酢酸などの酸で処理することによって得ることができる。例えば、原紙を硫酸に浸漬した後、中和および/または水洗を繰り返し、乾燥する一連の工程によってパーチメント紙を作ることができる。浸漬時間は、一概に限定することはできないが、原紙の厚み、密度、サイズ度、洗浄能力、乾燥能力などを考慮して、適宜調節することができる。
セルロースからなるパルプ繊維で構成された原紙を硫酸に浸漬することにより、セルロースは膨潤、加水分解して溶解する。溶解したセルロースは粘稠で半透明なゼラチン状の物質となり、原紙表面を被覆し、繊維間を強く結びつけ、さらに紙層中の細孔、空隙を埋め、非常に緻密な紙層構造を形成する。その結果、紙層内での光の乱反射が軽減して、透明化が促進される。
セルロースの加水分解により生成したゼラチン状の物質は、中和および/または水洗工程によって加水分解反応が停止し、水和セルロースとなる。したがって、化学的には原紙と同一成分のセルロースによって、紙の空隙が閉塞されるために、透明性が向上するとともに、地合、或いは原紙層中の空隙に起因すると推定される微小な白斑点ムラが軽減され、結果的にムラのない、均一な透明性を有する原紙を得ることができる。
使用パルプ中にリグノセルロース原料を化学的処理や解繊処理することで得られる平均繊維幅2~50nmの微細繊維状セルロース含有させることで、より透明度の高い紙とすることも可能である。
[パーチメント紙を用いる態様の作用効果]
包装基材10の紙基材100としてパーチメント紙を用いることにより、グラシン紙を用いた場合と同様に、内部可視効果を奏し得る。すなわち、包装体1の外観において、包装体1の非封止部の透明なパーチメント紙100(および存在する場合はその上に設けられた透明なシール層110)を通して、包装体1に包装されている衛生紙ロール2を容易に透かし見て判別し得る。例えば、衛生紙ロール2の種類、数量、色や模様、形状(例えばエンボスの有無)等を、包装体1の外側から確認することができる(図1参照)。
[片艶紙]
本実施形態の1つの態様において、紙基材100は、片艶紙であってもよい。片艶紙とは、片面の平滑を高め光沢をもたせた紙であり、相対的に平滑度が高くツルツルとした感触の艶面(高平滑面)と、相対的に平滑度が低くザラザラとした感触の非艶面(低平滑面)と、を有する。
片艶紙は、パルプ原料から紙を抄造するにあたり、鏡面仕上げしたヤンキードライヤーを備えた抄紙機において抄紙を行い、鏡面仕上げしたヤンキードライヤーの表面に湿紙を圧接して乾燥させることにより、製造することができる。ヤンキードライヤーに接触する面の平滑度および光沢は、ヤンキードライヤーと接触しない面の平滑度および光沢と比べて高くなり、このようにして、艶面と非艶面とを有する紙基材(片艶紙)100を製造することができる。
例えば、グラシン紙が高度に叩解した化学パルプを原料として抄造した原紙をカレンダーに通して熱と圧力をかけ繊維間の隙間を潰して製造することにより、高密度で、平滑度が高い性質を得ているところ、片艶紙では、鏡面仕上げしたヤンキードライヤーの表面に湿紙を圧接して乾燥させることにより、ヤンキードライヤーに接した面の平滑度を向上させている。片艶紙では、カレンダー処理は施されないかまたはその条件が穏やかであることから、原紙に含まれるパルプ繊維の繊維間結合は相対的に破壊されにくいため、相対的に安価に、グラシン紙と同程度の強度の紙を得ることができる。
[純白紙]
本発明の実施形態の1つの態様において、紙基材100は、純白紙であってもよい。純白紙とは、上述した片艶紙の一種であり、漂白パルプのような白色度の高いパルプを用いて製造され、高い白色度を有する。
[白色度]
純白紙の白色度は、例えば80%以上であり、また、例えば90%以上である。白色度は、JIS P8148:2005(ISO2470)に準じて測定することができる。
[純白紙を用いる態様の作用効果]
紙基材100に純白紙を用いる態様は、上述の片艶紙の項目で説明した作用効果に加え、その高い白色度により、高品位な見栄えとなり、また、包装基材10に印刷を施す場合には、印刷の背景が白色となって印刷の視認性が向上するという作用効果を奏し得る。
[シール層]
シール層110は、シール剤を含む層である。
[シール剤]
本発明の実施形態に適用可能なシール剤としては、包装基材10を接合して包装体1を封止することのできる、本技術分野において知られている任意のシール剤を用いることができる。シール剤には、ヒートシール性を発現する任意の材料、すなわちヒートシール剤や、ヒートシール剤以外の接着性を発現する任意の材料、すなわち接着剤を適用することができる。
ヒートシール剤としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂や、他の熱可塑性樹脂を使用することができ、これらの中でも、ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、アイオノマー、非晶性ポリエステル、ポリプロピレン、スチレン-アクリル共重合体、プロピレン-エチレン共重合体(好ましくはエチレン含有量が10モル%以下の共重合体)、または、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体等をグラフト重合または共重合したポリプロピレン系樹脂、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。これらの材料は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
接着剤としては、例えば、水溶性の高分子、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどに加え、これらの誘導体ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
[シール層の形成方法]
シール層110は、例えば、以下に挙げるような通常用いられる方法を用いて形成することができる。
(1)紙基材100上に、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂を含有する組成物を、押出法によって製膜する方法。
(2)知られているヒートシール加工装置(貼合処理装置)を用いて、紙基材100に熱可塑性樹脂からなるフィルムまたは熱可塑性樹脂を含有するフィルムを貼り付ける方法。
(3)熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂組成物を水に溶解もしくは分散させた水系ヒートシール剤、または熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂組成物を溶剤に溶解もしくは分散させた溶剤系ヒートシール剤、水溶性の高分子、その誘導体もしくはその混合物を、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の知られている方法で、紙基材100上に塗工する方法。
以上のようにして、紙基材100上にシール層110を形成することで、本発明の実施形態に係る包装基材10が得られる。
[包装体の製造方法の例]
図1および図2を参照して、第1の実施形態に係る包装体1に適用可能な包装形式および包装体1の製造方法の非限定的な例について説明する。なお、図2に示される包装基材10の代わりに図3に示される包装基材10を用いた場合にも、同様の方法により包装体1を製造することができる。
図1に示される包装体1は、いわゆるキャラメル包装形式の包装体であり、例えば、以下に示す工程を経て製造することができる。
(工程1) 図2に示されるような、包装体1を封止するためのシール剤が包装基材10の所定領域(図中、ハッチングで示される領域)に付与されてシール層110が形成された、矩形OPQRの包装基材10を準備する工程。
図2の例では、包装基材10のMD方向(縦方向)、ひいては紙基材100のMD方向(縦方向)が、図中のA方向と一致するようにしているが、本実施形態において、包装基材10(紙基材100)を用いる方向は、これに限定されない。包装基材10(紙基材100)を用いる方向は、包装体1を製造する際の加工適性・開封した後の再包装性(曲げやすさ、曲げに対する強度)、包装体1とした際の姿勢や強度(破けやすさ)等の観点や、他の所望の特性の観点から、紙の繊維配向に起因する方向性に応じて決定してもよい。
(工程2) 被包装体である衛生紙ロール(2個のキッチンペーパーロール)2を、包装基材10の裏面(包装体1の内面側となる面)に面するように、およびロールの軸方向が図中、矢印Aで示されるA方向と一致するように、配置する工程。
(工程3) 包装基材10で、包装基材10の表面(包装体1の外面側となる面)が外面となるように被包装体2を巻き込み、包装基材10の両側端部(矩形OPPで示される包装基材10の側端部の領域および矩形RQQで示される包装基材10の側端部の領域)12Sを重ね合わせて、筒状に包装する工程。
この工程3により、包装基材10の両側端部12Sは、紙基材100の表面と裏面とが対接するように、紙基材100の表面に設けられたシール層110を介して接合されて、封止される。
以下、このように紙基材100の異なる面(表面および裏面)を対接させて貼り合わせる接合方式を、本明細書において、「重ね貼り」とも称するものとする。
(工程4) 次いで、工程3により形成された筒状の包装の開口する両端部(上下端部)12T、12Bのそれぞれにおいて、衛生紙ロール2の周面からはみ出た包装基材10の部分を、2対の対向するフラップ状部分が形成されるように互いに折り畳み、衛生紙ロール2の端面に沿わせて接合して、衛生紙ロール2を包封する工程。
図2の(a)において、矩形OORで示される包装基材10の上端部12Tの領域および矩形PPQQで示される包装基材10の下端部12Bの領域が、図中の山折り線UFL(破線)および谷折り線DFL(一点鎖線)に従って折り畳まれて、フラップ状部分が形成される。紙基材100の表面に設けられたシール層110を介して、フラップ状部分が接合されることにより、図1に示される状態の包装体1が得られる。
このように、包装基材10の上下端部12T,12Bでは、主に、紙基材100の表面同士が対接するようにそれぞれのシール層110を介して接合されて、封止される。以下、このように紙基材100の同一の面同士を対接させて貼り合わせる接合方式を、本明細書において、「合掌貼り」とも称するものとする。
なお、本明細書において、包装基材10の「上下端部」および包装体1の「上下端面」における「上下端」とは、図中、矢印Aで示されるA方向における両端を指し、包装基材10の「(両)側端部」とは、図2に矢印Bで示されるB方向のような、A方向と交差する方向における包装基材10の巻き回しの(両)端部を指すものとする。また、本明細書において、図中、矢印Aで示されるA方向を、「高さ方向」ともいい、図中、矢印Bで示されるB方向を、「幅方向」ともいうものとする。
以上の工程により、キャラメル包装形式を採用した本実施形態においては、シール層110を包装体1の外面側となる面(表面)に備え、重ね貼り封止および合掌貼り封止の両方が行われる。その結果、包装体1は、包装基材10の両側端部が紙基材100の表面と裏面とが対接するように重ね合わされて接合される封止部12Sと、包装基材10の上下端部のそれぞれが主に表面同士が対接するように折り畳まれて接合される封止部12T,12Bと、を有する封止部12により、封止される。
なお、以上に例示した製造工程では、あらかじめ平面視において所定サイズの矩形に切断された包装基材10を準備し、1つの包装体1を製造したが、包装体1の製造方法はこれに限定されない。例えば、包装基材10を長尺の連続シートの形態で準備し、その後の工程で、包装基材10に対して衛生紙ロール2を配置すると共に、または配置した後に、包装基材10を切断して、包装体1を製造してもよい。
本発明の実施形態において、封止部12(12S,12T,12B)において重ね合わされた包装基材10の端部同士は、包装基材10のシール層110に含まれるシール剤により接合される。シール剤がヒートシール剤である場合はヒートシール(熱融着)により接合され、シール剤が接着剤である場合は接着により接合される。
シール剤がヒートシール剤である場合は、ヒートシール層110のヒートシール処理には、知られているヒートシーラーを用いることができる。ヒートシール処理により、包装基材10が重ね合わされた封止部12(12S,12T,12B)の領域には、熱と圧力が加えられ、当該領域のヒートシール層110のヒートシール剤が軟化および溶融する。軟化したヒートシール剤のミクロの食い込みや溶融したヒートシール剤の混合一体化などの現象が生じ、冷却後、ヒートシール層110が強固に接着された封止部12(12S,12T,12B)が得られる。
シール剤が接着剤である場合は、接着剤の乾燥にある程度の時間が必要であるところ、シール剤がヒートシール剤である場合は、乾燥時間を考慮する必要がない点で好ましい。
[開封および再包装/再包装性]
図4および図5を参照して、包装体1の開封および再包装操作、および再包装性について説明する。
(開封および再包装)
図4は、包装体1の開封および再包装操作の例を説明する概略図である。
図4の(1)は、開封前の包装体1を示す。
図4の(2)は、包装体1の開封操作の例を示す。この例では、包装体1の開封は、包装体1の封止部12における包装基材10の接合を剥がすことによって行われる。
まず、衛生紙ロール2を取り出すのに十分であるように、包装体1の封止部(包装基材10の接合部)12において、シール層110による包装基材10の接合を剥がす。このとき、包装基材10の上端部、側端部、下端部12(12T、12S、12B)の接合を全体的に剥がしてもよく、部分的に剥がしてもよい。
次いで、包装体1に内包されている複数の衛生紙ロール2のうちの一部(本例では、2個のキッチンペーパーロールのうちの1個)を包装体1から取り出す。
図4の(3)は、再包装された包装体1の例を示す。
まず、図4の(2)において衛生紙ロール2を取り出すことによって生じた包装体1の内部の空間がなくなるように、包装基材10で残りの衛生紙ロール2を巻き直す。次いで、包装基材10の上下端部12(12T,12B)を衛生紙ロール2の端面に沿わせて折り曲げて、包装体1の開口部を閉じる。このようにして、被包装体(衛生紙ロール)2の再包装がなされる。再包装は、衛生紙ロール2の良好な保管性のために、包装基材10によって再包装された包装体1から内包される衛生紙ロール2が露出しないように行われる。このようにして、図4の(3)に示されるような、再包装された包装体1が得られる。
図5は、包装体1の開封および再包装操作の別の例を説明する概略図である。
図5の例において、図5の(1)は、開封前の包装体1を示し、図5の(2)は、包装体1の開封操作の例を示し、図5の(3)は、包装体1の再包装の例を示す。
図5の例では、図5の(2)に示されるように、包装体1の開封が、主に包装体1の非封止部N12において包装基材10を破くことによって行われる点が、図4の例と異なる。図5の例の再包装操作は、図4の例とほぼ同様に行われるため、重複する説明を省略する。
このように、本発明の実施形態において、包装体1の開封は、封止部12の接合を剥がすことによって行われてもよく、また、主に非封止部N12の領域において包装基材10を破断することによって行われていてもよく、封止部12における接合の剥離および主に非封止部N12の領域における包装基材10の破断等を組み合わせて行われてもよい。
いずれの場合であっても、衛生紙ロール2は、良好な保管性のために、包装基材10によって再包装された包装体1から内包される衛生紙ロール2が露出しないように、再包装されることが好ましい。
(再包装性)
紙を主体とする包装基材10は、概して、従来の包装基材であるフィルムと比べて厚くて曲げにくい。そのため、再包装にあたり、包装体1に内包される複数個の衛生紙ロール2のうちの一部を取り出した後の残りの衛生紙ロール2を露出しないように包装基材10で再包装することが困難になる傾向にある。
また、紙を主体とする包装基材10では、残りの衛生紙ロール2を、一旦、露出しないように包装基材10で再包装することができたとしても、再包装後に包装体1が経時で自然に開封されて、被包装体2が露出してしまうことがある。露出が生じると保管性が劣ることとなる。
かかる課題に対して、本発明では、包装体に内包される複数個の衛生紙ロールのうちの一部を取り出した後の残りの衛生紙ロールの再包装性が良好な、紙を主体とした包装基材で衛生紙ロールが包装された衛生紙ロール包装体を提供することを目的とするものである。
本明細書において、「再包装性」という用語は、包装体1開封後の包装基材10による被包装体2の再包装のし易さを指すものである。再包装のし易さは、包装基材10の曲がりやすさ(加工適性)、および再包装後の経時での開封されにくさを含む。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、再包装性を向上させるために単純に包装基材10の厚さを薄くしようとすると、包装基材10の坪量も小さくなり、坪量低下に伴い包装基材10が破れやすくなること、および包装基材10の厚さと、包装基材10の破裂強度と、包装基材10の幾何平均破断伸びと、を所定の範囲内に制御することにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
[坪量]
本明細書において、包装基材10の坪量、および紙基材100の坪量は、JIS P8124に従って測定する1枚当たりの坪量(g/m)である。また、シール層110の坪量は、シール層110が設けられた領域における包装基材10の坪量から、紙基材100の坪量を引くことによって求めることができる。包装基材10の坪量は、包装体1の非封止部(包装基材10の非接合部)N12において測定される。
[包装基材の坪量]
本発明の実施形態において、包装基材10の坪量は、例えば、39g/m以上65g/m以下であることが好ましく、45g/m以上60g/m以下であることがより好ましい。
包装基材10の坪量が低い場合は、概して、包装基材10に含まれる紙基材100の坪量も低く、構成パルプ繊維は少なく、繊維間結合も少なく、強度が低くて破れ易い傾向にある。したがって、包装基材10の破れにくさの観点からは、包装基材10の坪量は高い方が好ましい。
一方、包装基材10の坪量が高い場合、概して、紙厚が高くなるか密度が高くなり、包装基材10のしなやかさや柔らかさが低下して、包装体1の製造時や再包装時に包装基材10が曲がりにくく、包装体1製造時の加工適性や再包装性が低下する傾向がある。
また、紙厚が厚くなることなどにより、シール層がヒートシール層である場合は、ヒートシール処理時に熱伝達が不十分となって、ヒートシール層の加熱温度が低下して良好な接合強度を得ることができないことがある。したがって、包装体1の加工適性・再包装性、および包装体1の封止部12におけるヒートシール性(接着性)の観点からは、包装基材10の坪量は低い方が好ましい。
包装基材10の坪量が上述の範囲内にあると、包装基材10は適度な強度を有して破れにくく、且つ、包装体1の製造時の加工適性および封止部12におけるヒートシール性が保証され得る。
[シール層の坪量]
本発明の実施形態において、シール層110の坪量は、例えば、5g/m以上25g/m以下であることが好ましい。紙基材上に熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂を含有する組成物を押出法によって製膜したシール層および、熱可塑性樹脂からなるフィルムまたは熱可塑性樹脂を含有するフィルムを貼合処理装置を用いて貼り付けたシール層の場合、シール層110の坪量は、10g/m以上20g/m以下であることがより好ましい。また、紙基材上にヒートシール剤もしくは接着剤を塗工する場合、シール層110の坪量は、5g/m以上10g/m以下であることがより好ましい。
シール層110の坪量が低い場合は、概して、接合される包装基材10同士の間で接合に関与し得るシール層(接着剤またはヒートシール剤)の厚さ(量)が薄く(少なく)、封止部12において良好な接着性(封止性)が得られないことがある。
また、シール層110の坪量が高くなると、概して、シール層110は厚くなる。シール層110がヒートシール層である場合は、シール層110が厚くなると、ヒートシール処理時に、熱伝達が不十分になることがある。その場合、ヒートシール剤の溶融、融合、凹部への浸入によるアンカー効果等が得られにくくなり、良好な接合強度を得ることができず、封止性が劣ることがある。
シール層110の坪量が上述の範囲内にあると、封止部12における接着性およびヒートシール性が保証され得る。
[包装基材の厚さ(紙厚)]
本発明の実施形態において、包装基材10の厚さ(紙厚)10thは、35μm以上80μm以下であり、好ましくは40μm以上75μm以下であり、さらに好ましくは45μm以上65μm以下である。
包装基材の厚さ(紙厚)は、ISO534:2011に準拠して、測定することができる。測定における加圧面の圧力は、100kPa±10kPaとする。測定は、包装体1の封止部12を避けて非封止部N12の領域について行う。
上述のように、図1、および図2または図3を参照して、包装基材10は、包装基材10の端部が重ね合わされて当該端部のシール層110によって接合され、それによって包装体1が封止される領域である、包装体1の封止部(包装基材10の接合部)12(12S、12T、12B)と、それ以外の領域である、包装体1の非封止部(包装基材10の非接合部)N12と、を有する。
包装基材10の厚さ10thは、包装体1の非封止部(包装基材10の非接合部)N12において測定される厚さである。図1に示される包装体1においては、衛生紙ロール2の周方向(軸方向である矢印Aで示されるA方向に対して垂直のB方向)に巻き回される、包装体1の側面となる包装基材10の領域であって包装体1の封止に寄与していない領域について、包装基材10の厚さを測定する。この測定領域は、図2および図3の包装基材10の概略展開図において、矩形Oで示される領域に相当する。
このとき、図2に示されるような、シール層110が包装基材10の全面に設けられていて非封止部(非接合部)N12がシール層110を含む構成においては、包装基材10の厚さ10thは、紙基材100とシール層110とを含む厚さになる。また、図3に示されるような、シール層110が包装体1の封止部(包装基材10の接合部)12に設けられているが、包装体1の非封止部(包装基材10の非接合部)N12がシール層110を含まない構成においては、包装基材10の厚さ10thは、紙基材100を含むがシール層110を含まない厚さとなる。
以下、本実施形態において、包装基材10の厚さ、破裂強度、破断伸び、透気度、曲げこわさ、平滑度、透明度のような物性は、包装体1の非封止部(包装基材10の非接合部)N12において測定される。また、包装基材10の各物性は、JIS P8111に従ってサンプルを調湿し、サンプル調湿条件と同じ調湿条件下で測定される。
包装基材10の厚さ10thが薄いと、包装基材10の坪量も小さくなる傾向にある。坪量低下に伴い、包装基材10は破れやすくなる。
包装基材10の厚さ10thが厚いと、包装体1に内包される複数個の衛生紙ロール2のうちの一部を取り出した後の残りの衛生紙ロール2を包装基材10で再包装するにあたって、包装基材10が曲がりにくく、また、再包装後に包装体1が経時で自然に開封されやすく、再包装性に劣ることとなる。
包装基材10の厚さが35μm以上80μm以下であると、包装基材10は破れにくく、かつ、曲がりやすく、再包装後に包装体1が経時で自然に開封されにくく、再包装性が良好となる。
[包装基材の密度]
本発明の実施形態において、包装基材10の密度は、好ましくは0.850g/cm以上1.200g/cm以下であり、より好ましくは0.900g/cm以上1.150g/cm以下である。
包装基材の密度は、上記測定方法によって得られた包装基材の坪量と包装基材の厚さ(紙厚)とから求められる計算値であり、式「(包装基材の坪量)÷(包装基材の厚さ(紙厚))」によって求めることができる(単位:g/cm)。
上述した本発明の実施形態で規定される包装基材の坪量の範囲において、包装基材10の密度が0.850g/cmより小さいと、含まれる繊維が少なく、したがって繊維間結合が少なく、包装基材10は破れやすい。また、上述した本発明の実施形態で規定される包装基材の坪量の範囲において、包装基材10の密度が1.200g/cmより大きいと、包装基材10が曲がりにくく、包装体1の製造時の加工適性、および開封後の再包装性が劣る。
[包装基材の破裂強度]
本発明の実施形態において、包装基材10の破裂強度は、105kPa以上190kPa以下であり、好ましくは、105kPa以上175kPa以下であり、より好ましくは、110kPa以上170kPa以下である。上述のように、包装基材10の破裂強度は、包装体1の非封止部(包装基材10の非接合部)N12において測定される。
包装基材10の破裂強度は、JIS P8112:2008に準拠して測定することができる。
包装基材10の破裂強度が小さいと、包装体1を摘まんだ際に包装基材10は指先によって加えられる圧力により破れやすい。包装基材10の破裂強度が大きいと、包装基材10は曲がりにくく、再包装後に包装体1が経時で自然に開封されやすく、再包装性に劣ることとなる。
包装基材10の破裂強度が105kPa以上190kPa以下であると、包装基材10は、包装体1を摘まんだ際に破れにくく、かつ、曲がりやすく、再包装後に包装体1が経時で自然に開封されにくく、再包装性が良好となる。
包装基材の破裂強度は、紙基材100の抄紙時における(1)針葉樹パルプと広葉樹パルプとの配合の調整、(2)フリーネスの調整、(3)J/W比の調整、(4)乾燥紙力向上剤の種類・添加量の選択・変更、および包装基材10の製造時における(5)シール層に用いるシール剤の種類、(6)シール層の坪量のうち、いずれか1つの条件または2以上の条件の組み合わせを変更することによって調整可能である。ここで、J/W比とは、紙基材を抄造する際の抄紙機におけるパルプ分散液の噴出速度であるジェット速度(J)と、ワイヤー速度(W)と、の比であり、ジェットワイヤー比とも称される。
[包装基材の幾何平均破断伸び]
本発明の実施形態において、包装基材10の幾何平均破断伸びGEは、2.9%以上6.0%以下であり、より好ましくは、3.0%以上5.5%以下であり、さらに好ましくは、3.0%以上5.0%以下である。
包装基材10の幾何平均破断伸びが小さいと、包装体1を摘まんだ際に、指の圧力が加わる部分およびその近傍から、包装基材10は破れやすい。包装基材10の幾何平均破断伸びが大きいと、包装体1を開封するにあたって、伸びによって遊びが生じるため、包装基材10を破って開封しにくくなる。包装基材10の幾何平均破断伸びが2.9%以上6.0%以下であると、包装体1を摘まんだ際に包装基材10は破れにくく、かつ、開封の際に包装体1を開封しやすい。
包装基材10の幾何平均破断伸びGEは、包装体1に内包される衛生紙ロール2の軸方向(図1、2中、矢印Aで示されるA方向)に対して平行な包装基材10の高さ方向の破断伸びETと、包装体1に内包される衛生紙ロール2の軸方向に対して垂直な包装基材10の幅方向(図2中、矢印Bで示されるB方向)の破断伸びEHと、の幾何平均であり、次式(I)によって計算することができる。
GE=(ET×EH)1/2 ・・・(I)
包装基材10の高さ方向の破断伸びET、および包装基材10の幅方向の破断伸びEHは、包装体1の非封止部(包装基材10の接合部)N12において測定される。
包装基材10の高さ方向(A方向)の破断伸びET、および包装基材10の幅方向(B方向)の破断伸びEHは、JIS P8113:2006に準拠して包装基材10の高さ方向(A方向)の引張強度および包装基材10の幅方向(B方向)の引張強度を測定する際に、同時に測定することができる。
ここで、本発明の実施形態の1つの態様において、包装基材10は、包装基材10に含まれる紙基材100のMD方向(抄紙方向、縦方向、T方向)が包装体1における包装基材10の高さ方向(A方向)と一致し、包装基材10に含まれる紙基材100のCD方向(抄紙方向と直交する方向、横方向、Y方向)が包装体1における包装基材10の幅方向(B方向)と一致するように用いられるが、本発明において、包装体1における包装基材10の向きはこれに限定されない。本発明の実施形態の別の態様において、包装基材10は、包装基材10に含まれる紙基材100のMD方向(抄紙方向、縦方向、T方向)が包装体1における包装基材10の幅方向(B方向)と一致し、包装基材10に含まれる紙基材100のCD方向(抄紙方向と直交する方向、横方向、Y方向)が包装体1における包装基材10の高さ方向(A方向)と一致するように用いられる。
包装基材10の幾何平均破断伸びは、包装基材10の高さ方向の破断伸びおよび幅方向の破断伸びの調整によって制御することが可能であるところ、上述のように、包装基材10の高さ方向は、包装基材10のMD方向またはCD方向に相当し、包装基材10の幅方向は、包装基材10のCD方向またはMD方向に相当する。そのため、包装基材10の幾何平均破断伸びは、包装基材10のMD方向(抄紙方向、縦方向、T方向)の破断伸びと包装基材10のCD方向(抄紙方向と直交する方向、横方向、Y方向)の破断伸びとの幾何平均破断伸びと読み替えることができ、包装基材10のMD方向の破断伸びおよび包装基材10のCD方向の破断伸びの調整によって制御することが可能である。
包装基材10のMD方向の破断伸びおよび包装基材10のCD方向の破断伸びは、紙基材100の抄紙時における(1)針葉樹パルプと広葉樹パルプとの配合の調整、(2)フリーネスの調整、および包装基材10の製造時における(3)シール層に用いるシール剤の種類、(4)シール層の坪量のうち、いずれか1つの条件または2以上の条件の組み合わせを変更することによって調整可能である。
[第1の実施形態の作用効果]
本発明の第1の実施形態は、複数個の衛生紙ロールを包装基材で包装した衛生紙ロール包装体であって、包装基材は、紙基材と、包装体を封止するためのシール層と、を含む層構成を有し、包装基材の厚さは、35μm以上80μm以下であり、包装基材の破裂強度は、105kPa以上190kPa以下であり、包装体に内包される衛生紙ロールの軸方向に対して平行な包装基材の高さ方向の破断伸びと包装体に内包される衛生紙ロールの軸方向に対して垂直な包装基材の幅方向の破断伸びとの幾何平均破断伸びは、2.9%以上6.0%以下であることを特徴とする。
第1の実施形態の衛生紙ロール包装体1は、包装基材10の厚さ、破裂強度および幾何平均破断伸びが、上述の規定の範囲内にあることにより、包装基材10は曲がりやすくて包装体1の製造時の加工適性に優れ、包装体1を摘まんだ際に指圧によって破れにくいとともに開封時に包装体1を開封しやすく、および開封後に、包装体1に内包される複数個の衛生紙ロール2のうちの一部を取り出した後の残りの衛生紙ロール2を包装基材10で再包装するにあたって、包装基材10が曲がりやすくて被包装体2を再包装し易く、また、再包装後に包装体1が経時で自然に開封されにくく、再包装性が良好である、という格別な効果を奏し得る。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、第1の実施形態に適用可能な構成は、本態様に適用可能である。
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の好ましい態様であり、衛生紙ロール包装体1は、包装基材10の透気度が1,000秒以上であることを特徴とする。包装基材10の透気度は、好ましくは10,000秒以上であり、より好ましくは20,000秒以上である。
包装基材10の透気度は、包装体1の非封止部(包装基材10の接合部)N12において測定される。
包装基材10の透気度(王研式)は、王研式透気度試験機によりJIS P8117:2009に準拠して測定される、包装基材10の表面(包装体1の外面側となる面)を測定面として測圧室側に配置した透気度(表面の透気度)と、包装基材10の裏面(包装体1の内面側となる面、すなわち、包装体1の被包装体である衛生紙ロール2と接する側の面)を測定面として測圧室側に配置した透気度(裏面の透気度)と、の平均値として求めることができる。
[作用効果]
透気度が高い程(秒数が大きい程)、空気が通りにくく、通気性が劣っていることを示す。包装基材10の透気度が1000秒以上であると、包装体1を倉庫で保管する保管期間や店頭で陳列する陳列期間などにおいて、外部の臭いが包装体1に内包される被包装体(衛生紙ロール)2へ移る臭い移り現象を防止することができる。
[達成手段]
包装基材10の透気度を1000秒以上とするために、包装基材10に含まれる紙基材100として、透気度の高い紙基材を採用することができる。そのような紙基材の例には、グラシン紙が挙げられる。また、包装基材10の透気度を1000秒以上とするための他の手段として、紙基材100の片面を全面的にシール層110で覆うことが挙げられる。前記シール層110として、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂を含有する組成物を押出法によって製膜されたシール層や、熱可塑性樹脂からなるフィルムまたは熱可塑性樹脂を含有するフィルムを貼合処理装置を用いて貼り付けたシール層を用いることにより、包装基材10の透気度をさらに高くすることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、上述の実施形態に適用可能な構成は、本態様に適用可能である。
本発明の第3の実施形態は、上述の実施形態の好ましい態様であり、衛生紙ロール包装体1は、包装基材10の幅方向の曲げこわさが8μNm以上35μNm以下であることを特徴とする。包装基材10の幅方向の曲げこわさは、好ましくは10μNm以上30μNm以下であり、より好ましくは15μNm以上25μNm以下である。
包装基材10の曲げこわさは、包装体1の非封止部(包装基材10の接合部)N12において測定される
包装基材10の曲げこわさは、 JIS P8125-1:2017に記載された方法に準拠して、例えばL&W ベンディングテスター(Lorentzen& Wettre社製)のようなベンディングテスターを用いて測定することができる。詳細には、曲げこわさ(μN・m)は、包装基材10の幅38mm、長さ100mmの試験片について、曲げ角度を15度、曲げ長さ(試料台のスパン)を10mmとしたときの測定値を曲げ抵抗(荷重)とし、次の算出式(II)によって求められる。
曲げこわさ(μN・m)=60×曲げ抵抗(mN)×曲げ長10(mm)÷(π×曲げ角度15(°)×サンプル幅38(mm)) ・・・(II)
包装基材10の幅方向は、包装体1に内包される衛生紙ロール2の軸方向(図1から図3中、矢印Aで示されるA方向)に対して垂直な方向であり、図2および図3の平面図において、矢印Bで示されるB方向である。包装基材10の幅方向(図中、矢印Bで示されるB方向)を試験片の長さ方向とした際の曲げこわさが、包装基材10の幅方向の曲げこわさである。長さ100mmの試験片を採取できない場合は、試験片の長さを短くすることができる。
[作用効果]
包装基材10の幅方向の曲げこわさが小さすぎると、剛性が低いため破れ易く製造時の加工適性が劣ることとなる。包装基材10の幅方向の曲げこわさが大きくなると、包装基材10が曲がりにくくなり、再包装性が劣ることとなる。包装基材10の幅方向の曲げこわさが8μNm以上35μNm以下であると、製造時の加工適性が良好で、かつ、再包装性が良好な包装体1が得られる。
[達成手段]
包装基材10の曲げこわさは、厚さ(紙厚)の影響が大きい。厚さを薄くすると、曲げやすくなるが、破れやすくなる。厚さ(紙厚)を薄くするための1つの手段として、紙基材100の抄造時における坪量の調整を挙げることができる。概して、紙基材100の坪量が大きいと、厚さ(紙厚)は厚くなり、紙基材100の坪量が小さいと、薄さは薄くなる傾向がある。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、上述の実施形態に適用可能な構成は、本態様に適用可能である。
本発明の第4の実施形態は、上述の実施形態の好ましい態様であり、衛生紙ロール包装体1は、包装体1に内包される被包装体(衛生紙ロール)2と接する側の包装基材10の面(包装基材10の裏面)の平滑度は、100秒以上であることを特徴とする。包装基材10の裏面の平滑度は、より好ましくは300秒以上であり、さらに好ましくは500秒以上である。
包装基材10の裏面の平滑度は、包装体1の非封止部(包装基材10の接合部)N12において測定される
包装基材10の平滑度(王研式)は、JIS P 8155:2010に従って測定することができる。
[作用効果]
包装体1に内包される被包装体(衛生紙ロール)2と接する側の包装基材10の面(包装基材10の裏面)の平滑度が100秒より小さいと、その表面粗さに起因して、包装体1の製造時および製造された包装体1において、振動等が生じた際に、被包装体2と包装基材10との間に摩擦が生じて、被包装体の表面性が低下しやすい。包装基材10の裏面の平滑度が100秒以上であると、被包装体の表面性が低下する現象が生じにくい。
[達成手段]
包装基材10の平滑度を100秒以上とするための手段として、元々平滑度の高い紙を包装基材10の紙基材100として使用すること、平滑度の低い紙に対してカレンダー処理条件を強めて平滑度を調整して包装基材10の紙基材100とすること、片艶紙のような表裏差のある紙を紙基材100として用いる場合は、平滑度の高い面(艶面)を包装基材10の裏面として用いることなどが挙げられる。
<その他>
(1)包装体1の包装形式
上述の実施形態において、包装体1の包装形式の例として、キャラメル包装形式を挙げたが、本発明に適用可能な包装形式はこれに限定されない。本発明の実施形態に係る包装体1の包装形式には、ガゼット包装形式など、知られている任意の包装形式を採用することができる。詳細には、実施可能であって矛盾のない限り、包装体1を封止するための包装基材10の接合には、包装基材10の異なる面を貼り合わせる重ね貼りおよび包装基材10の同一の面を対向させて貼り合わせる合掌貼りなどの接合方式の任意の組み合わせを採用することができる。
上述の実施形態では、キャラメル包装形式を採用しており、包装基材10のシール層110が包装体1の外面側となるように包装していたが、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、ガゼット包装形式のような、合掌貼りを用いる包装形式を採用する場合には、包装基材10のシール層110が包装体1の内面側となるように包装してもよい。
包装基材10のシール層110が包装体1の外面側となるように包装する包装形式によれば、シール層110がヒートシール層である場合、包装体1に、紙基材からなる帯状の持ち手を付けたい場合などに、持ち手と包装体本体との接合に包装体1の包装基材10のシール層110を利用することができる。
(2)包装基材10の層構成
本発明の1つの実施形態では、包装基材10には、シール層110に加えて、他の層が設けられていてもよい。他の層の例としては、例えば、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバープリント層、遮光層のような機能性を有する層が挙げられる。これら他の層は、必要に応じて、例えば、包装体1の外面側となる包装基材10の面(表面)、包装体1の内面側となる包装基材10の面(裏面)、紙基材100とシール層110との間、シール層の接着性またはヒートシール性を損なわないようにシール層110の上面、等に設けられていてもよい。他の層は、1層であってもよく、2以上の複数層であってもよい。
包装基材10が他の層を含む場合においても、本発明の実施形態に係る包装基材10の物性は、包装体1の非封止部(包装基材10の接合部)N12において測定される。したがって、例えば、包装体1の非封止部N12が、上述されるような何らかの機能性を有する層(以下、機能性層とも記す)を含んでいる場合は、包装基材10の厚さ(紙厚)は、紙基材の厚さと機能性層の厚さとを含む厚さとなる。また、包装体1の非封止部N12が、シール層110および上述されるような機能性層を含んでいない場合は、包装基材10の厚さ(紙厚)は、実質的に、紙基材の厚さとなる。
(3)包装基材10における紙基材の割合(質量比)
本発明の1つの実施形態では、包装基材10における紙基材100の割合(質量比)は、好ましくは51質量%以上である。
紙基材の割合は、包装基材の坪量に占める紙基材の坪量の割合(百分率)として、式「(紙基材の坪量)÷(包装基材の坪量)×100」によって求めることができる(単位:%)。
なお、紙基材の割合を求める際に使用する包装基材の坪量は、包装基材10の非接合部N12と接合部(12S、12T、12B)を含む坪量である。包装基材10を構成する紙基材100以外の成分としては、シール層110に含まれるシール剤、上述の機能性層に含まれる機能性材料、例えば樹脂成分などがある。これらの紙基材100以外の成分は、好ましくは、生分解性を示すものが望ましい。
日本国における資源有効利用促進法において、プラスチックと紙の複合素材の場合には、質量的に主たる素材についての識別マークが必要となる。すなわち、包装基材10に含まれるプラスチックの割合が50質量%を超える場合はプラマークを、紙の割合が50質量%を超える場合は紙マークを表示する必要がある。
包装基材10における紙基材100の割合(質量比)が51質量%以上であると、包装基材10に紙マークを表示することができる。紙マークを表示することで、包装体1の包装基材10を紙と同様に廃棄することができる。
また、包装基材10における紙基材100の割合(質量比)が51質量%以上であると、衛生紙ロールの包装において一般的な、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の生分解性を除く一般的な樹脂製フィルム100%の包装フィルムに比して、少なくとも樹脂の使用量が非常に低減され、脱プラスチック、減プラスチックが可能となる。
(3)包装体の持ち手
本発明の実施形態に係る包装体1は、さらに、包装体1を持ち運ぶための持ち手(不図示)を備えていてもよい。なお、持ち手は本発明の必須の構成要素ではない。持ち手は、例えば、その両端部が包装体本体の外面に接合された帯状の持ち手であってもよい。持ち手の素材は、フィルムであってもよく、紙を主体とする基材(紙基材)であってもよい。
包装体1の包装基材10のシール層110に含まれるシール剤がヒートシール剤である場合は、持ち手の素材を紙基材とすると、持ち手と包装体本体との接合に包装体1の包装基材10のシール層110を利用することが可能となり、好ましい。
以下、本発明について実施例および比較例を挙げて説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
紙基材としてグラシン紙を用い、紙基材の片面全体に厚さ15μmのポリエチレン層を押し出し法により製膜してシール層とし、包装基材を得た。
得られた包装基材で、2個のキッチンペーパーロール(ロール幅230mm、ロール直径115mm、巻長22.7m)を横2列×縦1段に配置したものを被包装体として、包装基材のシール層が包装体の外面側となるようにキャラメル包装形式で包装して、図1に示されるような実施例1の包装体を得た。このとき、キッチンペーパーロールの軸方向(図1において矢印Aで示されるA方向)と紙基材のMD方向とが平行になるように包装基材を用いて、被包装体を包んだ。
(実施例2~4、比較例1,2)
実施例1の紙基材(グラシン紙)とは坪量の異なる紙基材(グラシン紙)を用い、実施例1と同様にして、実施例2~4ならびに比較例1および2の包装体を得た。紙基材の坪量が低い例から順に、比較例1、実施例3、実施例2、実施例1、実施例4、比較例2となる。
(実施例5,6、比較例3,4)
実施例1の紙基材(グラシン紙)とは添加された紙力剤の量が異なる紙基材(グラシン紙)を用い、実施例1と同様にして、実施例5および6ならびに比較例3および4の包装体を得た。実施例5および比較例3の紙基材は、実施例1の紙基材よりも、紙力剤添加量が少ない。実施例6および比較例4の紙基材は、実施例1の紙基材よりも、紙力剤添加量が多い。
(実施例7、実施例8)
実施例1の紙基材(グラシン紙)とはT/Y比の異なる紙基材(グラシン紙)を用い、実施例1と同様にして、実施例7および8の包装体を得た。
ここで、「T/Y比」とは、紙基材を構成するパルプ繊維配向性に基づく引張強度の方向性の指標であり、抄紙機での紙の抄紙流れ方向(MD方向)を縦方向(T)とし、それと直角をなす方向(CD方向)を横方向(Y)とした際の、両方向の強度比を取ったものであり、「縦横比」とも称される。
実施例7の紙基材は、実施例1の紙基材よりもT/Y比が小さい。実施例8の紙基材は、実施例1の紙基材よりもT/Y比が大きい。T/Y比は、例えば、紙基材を抄造する際に抄紙機においてパルプ分散液の噴出速度であるジェット速度(J)とワイヤー速度(W)との比であるジェットワイヤー比(J/W)を調整することにより制御し得る。
(実施例9)
紙基材としてグラシン紙の代わりに片艶紙を用い、実施例1と同様にして、実施例9の包装体を得た。このとき、シール層は、片艶紙の両面のうち平滑度が相対的に低い面である非艶面全体に付与した。また、片艶紙の両面のうち平滑度が相対的に高い面である艶面を、包装体に内包されるキッチンペーパーロールと接する側の面とした。なお、実施例9の紙基材(片艶紙)の坪量(30.0g/m)は、実施例1の紙基材(グラシン紙)の坪量(40.0/m)よりも低く、実施例2の紙基材(グラシン紙)の坪量(坪量30.5g/m)と同程度であった。
(実施例10)
紙基材の片面全体にポリエチレン層を押し出し法により製膜してシール層とする代わりに、紙基材の片面の一部(図3の(a)においてハッチングで示される、包装基材の接合部となる所定領域)にヒートシール剤を塗工してヒートシール層とし、実施例1と同様にして、実施例10の包装体を得た。ヒートシール剤としてはポリオレフィン系水性ヒートシール剤を用い、塗工には、ロールコーターを用いた。
(比較例5,6)
実施例10の紙基材(グラシン紙)とは坪量の異なる紙基材(グラシン紙)を用い、実施例10と同様にして、比較例5および6の包装体を得た。紙基材の坪量が低い例から順に、比較例6、比較例5、実施例10となる。
(比較例7)
紙基材としてグラシン紙の代わりに片艶紙を用い、紙基材の片面全体にポリエチレン層を押し出し法により製膜してシール層とする代わりに、紙基材の片面の一部(図3の(a)においてハッチングで示される、包装基材の接合部となる所定領域)にヒートシール剤を塗工してヒートシール層とし、実施例1と同様にして、比較例7の包装体を得た。このとき、ヒートシール層は、片艶紙の両面のうち平滑度が相対的に低い面である非艶面全体に付与した。また、片艶紙の両面のうち平滑度が相対的に高い面である艶面を、包装体に内包されるキッチンペーパーロールと接する側の面とした。実施例10と同様に、ヒートシール剤としてはポリオレフィン系水性ヒートシール剤を用い、塗工には、ロールコーターを用いた。
なお、比較例7の紙基材(片艶紙)の坪量(50.5g/m)は、実施例1の紙基材(グラシン紙)の坪量(40.0/m)よりも高かった。
[包装基材の物性]
各例に用いられた紙基材および包装基材の物性を第1表から第4表に示す。物性の測定は、日本工業規格JIS P8111に準じた環境下(温度23±1℃、湿度50±2%RH)で試料を48時間調湿し、JIS P8111に準じた環境下で行った。
(紙基材の坪量)
JIS P8124に準拠して、紙基材1枚当たりの坪量(単位:g/m)を測定した。
(包装基材の坪量)
JIS P8124に準拠して、包装基材1枚当たりの坪量(単位:g/m)を測定した。測定は、包装体の封止部(包装基材の接合部)を避けて包装体の非封止部(包装基材の非接合部)の領域について行った。
(シール層の坪量)
シール層を押し出し法により製膜した各例(実施例1から9および比較例1から4)について、シール層の坪量は、上記測定方法によって得られた包装基材の坪量から紙基材の坪量を引いた計算値であり、式「(包装基材の坪量)-(紙基材の坪量)」によって求めた(単位:g/m)。
(シール層の塗工量)
シール層をロールコーターによる塗工により形成した各例(実施例10および比較例5から7)について、シール層の坪量は、包装基材のシール剤塗工部における単位面積当たりのシール剤の塗工量として求めた。
(包装基材の厚さ(紙厚))
ISO534:2011に準拠して、包装基材の厚さ(紙厚)を測定した(単位:μm)。測定における加圧面の圧力は、100kPa±10kPaとした。測定は、包装体の封止部を避けて非封止部の領域について行った。
(包装基材の密度)
包装基材の密度は、上記測定方法によって得られた包装基材の坪量と包装基材の厚さ(紙厚)とから求められる計算値であり、式「(包装基材の坪量)÷(包装基材の厚さ(紙厚))」によって求めた(単位:g/cm)。
(包装基材の平滑度)
JIS P8155:2011に準拠して、包装基材の裏面の平滑度(王研式)を測定した(単位:秒)。測定は、包装体の封止部を避けて非封止部の領域について行った。包装体に内包されるキッチンペーパーロールと接する包装基材の面を「包装基材の裏面」とした。
(包装基材の透気度)
JIS P8117:2009に準拠して、包装基材の表面および裏面の両方の透気度(王研式)を測定し、両面の透気度の平均値を求めて、包装基材の透気度とした(単位:秒)。測定は、包装体の封止部を避けて非封止部の領域について行った。包装体に内包されるキッチンペーパーロールと接する包装基材の面を「包装基材の裏面」とし、包装体の外面側となる包装基材の面を「包装基材の表面」とした。
(包装基材の透明度)
ISO5-2に準拠して、拡散光透過率計DOT-5(村上色彩技術研究所社製)により、包装基材の透明度を測定した(単位:%)。測定は、包装体の封止部(包装基材の接合部)を避けて包装体の非封止部(包装基材の非接合部)の領域について行った。
(包装基材の破裂強度)
JIS P8112:2008に準拠して、包装基材の破裂強度を測定した(単位:kPa)。測定は、包装体の封止部(包装基材の接合部)を避けて包装体の非封止部(包装基材の非接合部)の領域について行った。
(包装基材の引張強度)
JIS P8113:2006に準拠して、包装基材の縦方向および横方向の引張強度を測定した(単位:kN/m)。測定は、包装体の封止部(包装基材の接合部)を避けて包装体の非封止部(包装基材の非接合部)の領域について行った。
(包装基材の破断伸び)
包装基材の破断伸びは、包装基材の引張強度の測定時に同時に測定し得る。上記包装基材の縦方向および横方向の引張強度の測定時に、包装基材の縦方向および横方向の破断伸びを併せて測定し、これを包装基材の高さ方向および横方向の破断伸びと読み替えた(単位:%)。
(包装基材の幾何平均破断伸び)
包装基材の幾何平均破断伸び(GE)は、上記測定方法によって得られた包装基材の高さ方向の破断伸び(ET)と包装基材の幅方向の破断伸び(EH)との幾何平均であり、式「{包装基材の高さ方向の破断伸び(ET)×包装基材の幅方向の破断伸び(EH)}1/2」によって求めた(単位:%)。
(包装基材の曲げこわさ)
JIS P8125-1:2017に準拠して、包装基材の高さ方向および幅方向の曲げこわさを、L&W ベンディングテスター(Lorentzen& Wettre社製)を用いて測定した(単位:μN・m)。詳細には、曲げこわさは、包装基材10の幅38mm、長さ100mmの試験片について、曲げ角度を15度、曲げ長さ(試料台のスパン)を10mmとしたときの測定値を曲げ抵抗(荷重)とし、次式によって曲げこわさを求めた。
曲げこわさ(μN・m)=60×曲げ抵抗(mN)×曲げ長10(mm)÷(π×曲げ角度15(°)×サンプル幅38(mm))
測定は、包装体の封止部(包装基材の接合部)を避けて包装体の非封止部(包装基材の非接合部)の領域について行った。包装体に内包される衛生ロールの軸方向に対して平行な包装基材の方向を「包装基材の高さ方向」とし、包装体に内包される衛生ロールの軸方向に対して垂直な包装基材の方向を「包装基材の幅方向」とした。包装基材の縦方向を試験片の長さ方向に取ったときの曲げこわさを「包装基材の縦方向の曲げこわさ」とし、包装基材の幅方向を試験片の長さ方向に取ったときの曲げこわさを「包装基材の幅方向の曲げこわさ」とした。
[官能試験]
各例で得られた包装体に関して以下の官能試験を行った。
(包装基材の破れにくさ)
包装体を片手で摘まんで持ち運ぶ際の、指圧の加わった箇所などからの包装基材の破れの有無を観察した。各例につき包装体20個について、試験者1名で試験を行い、破れが無かった包装体の個数の割合の結果を4段階にて評価した。評価の数値が大きいほど優れていることを示す(4(優)→1(劣))。
(被包装体の再包装し易さ)
各例で得られた包装体を人為的に開封し、内包されていた2個のキッチンペーパーロールのうちの1個を取り出した後、余った包装基材の部分を使って包装体内に残った1個のキッチンペーパーロールを被包装体としてキッチンペーパーロールの外面が露出しないように再包装する際の包装のし易さと、再包装後に包装体が経時で開封されないかどうかについて、試験者30名で評価した。試験における開封および再包装の方式は、図4および図5に例示されるが、これらに限定されず、各試験者に委ねられた。評価の数値が大きいほど優れていることを示す(4(優)→1(劣))。
(被包装体への臭い移り)
チャック付きポリ袋(ユニパック(商標登録)厚口L-8(寸法340mm×480mm、厚さ0.08mm)に、各例で得られた包装体と、コーヒーパウダー30gが入った不織布性の出汁取り用袋と、を入れて密封した後、温度23℃、湿度50%RHの環境下において1週間保管した。保管後の包装体をポリ袋から取り出して開封し、キッチンペーパーロールから感じるコーヒーの臭気を、試験者5名が下記判断基準により採点した。表に示す評価値は、試験者5名の採点結果の平均値を四捨五入した値である。評価の数値が大きいほど、臭いを感じにくく、優れていることを示す(3(優)→1(劣))。
3:コーヒーの臭気をほとんど感じない
2:コーヒーの臭気をわずかに感じる
1:コーヒーの臭気を強く感じる
(被包装体の視認性)
各例で得られた包装体について、包装体外側から被包装体(キッチンペーパーロール)の状態(エンボス、ミシン目、色)の確認のしやすさについて、試験者30名で評価した。評価の数値が大きいほど、視認性が優れていることを示す。(4(優)→1(劣))
[試験結果]
第1表から第4表に、試験結果を示した。なお、実施例10および比較例5から7は包装体の非封止部に相当する包装基材の非接合部にシール層を有さないため、実施例10および比較例5から7についての包装基材の物性は、実質的に、紙基材の物性となる。
実施例1から比較例7(全試料)はいずれも、2個の衛生紙ロールを包装基材で包装したキッチンペーパーロール包装体であって、包装基材は、紙基材と、包装体を封止するためのシール層と、を含む層構成を有するキッチンペーパーロール包装体であった。
第1表から第2表に示されるように、実施例1から実施例10のキッチンペーパーロール包装体は、いずれも、包装基材の厚さが35μm以上80μm以下であり、包装基材の破裂強度が105kPa以上190kPa以下であり、包装体に内包されるキッチンペーパーロール軸方向に対して平行な包装基材の高さ方向の破断伸びと包装体に内包されるキッチンペーパーロールの軸方向に対して垂直な包装基材の幅方向の破断伸びとの幾何平均破断伸びは、2.9%以上6.0%以下であった。
かかる実施例1から実施例10のキッチンペーパーロール包装体は、「包装基材の破れにくさ」(4段階評価)が、いずれも評価3(良)または4(優)であり、指で摘まんで持ち運ぶ際に破れにくかった。
また、「被包装体の再包装し易さ」(4段階評価)は、紙基材ひいては包装基材の坪量が相対的に高く包装基材の厚さ(紙厚)が相対的に高い実施例4と、紙基材の抄紙時に添加された紙力剤の量が相対的に多い実施例6と、紙基材のT/Y比が相対的に低く異方性の小さい実施例7と、で評価2(可)であり、他の実施例では評価3(良)または4(優)であり、再包装し易かった。
また、「被包装体への臭い移り」(3段階評価)は、シール層を水性シール剤の塗工により設けた実施例10については評価2であり臭い移りをわずかに感じたが、シール層を押し出し法により製膜して設けた実施例1から9については評価3であって、臭い移りをほとんど感じることなく、良好であった。
また、「被包装体の視認性」(4段階評価)は、紙基材が片艶紙である実施例9については、評価2であり視認性がやや低かったが、紙基材がグラシン紙である実施例1から3、実施例5から8および実施例10については、評価4であり、視認性が優れていた。
比較例1は、実施例1から3と比較して、紙基材ひいては包装基材の坪量が低かった。比較例1の包装基材の厚さは37μmであり本発明の規定の範囲内であったが、破裂強度(90kPa)および幾何平均破断伸び(2.40%)は本発明の規定の範囲外であって値が低く、「包装基材の破れにくさ」が評価1(劣)であり、破れやすかった。また、比較例1の曲げこわさ(幅方向)は6.5μNmであって実施例と比べて低く、曲げやすく、「被包装体の再包装し易さ」は評価4であり、優れていた。
比較例2は、実施例1および4と比較して、紙基材ひいては包装基材の坪量が高かった。比較例2の包装基材の厚さは78μmであり、本発明の規定の範囲内であったが、破裂強度(233kPa)および幾何平均破断伸び(6.13%)が本発明の規定の範囲外であって値が高かった。また、比較例2の曲げこわさ(幅方向)は49.8μNmであって実施例と比べて値が高かった。比較例2の「被包装体の再包装し易さ」は、評価1であり劣っていた。また、比較例2の透明度は57.0%であり、実施例と比べて低く、「被包装体の視認性」(4段階評価)は、評価1であり劣っていた。
比較例3は、実施例1と比較して、紙基材の抄紙時に添加された紙力剤の量が少なかった。比較例3の包装基材の厚さは52μmであり本発明の規定の範囲内であったが、比較例3の破裂強度(99kPa)および幾何平均破断伸び(2.33%)は本発明の規定の範囲外であって値が低く、「包装基材の破れにくさ」が評価1であり、劣っていた。また、比較例3の曲げこわさ(幅方向)は4.1μNmであって実施例1(20.1μNm)と比べて低く、「被包装体の再包装し易さ」は評価4であり、優れていた。
比較例4は、実施例1と比較して、紙基材の抄紙時に添加された紙力剤の量が多かった。比較例4の包装基材の厚さは52μmであり本発明の規定の範囲内であったが、比較例4の破裂強度(202kPa)は本発明の規定の範囲外であって値が高かった。また、幾何平均破断伸び(5.59%)は本発明の規定の範囲内であったが値が高めであった。また、比較例4の曲げこわさ(幅方向)は33.5μNmであって実施例1(20.1μNm)と比べて高かった。比較例4の「被包装体の再包装し易さ」は評価1であり、劣っていた。
比較例5は、実施例2と比較して、紙基材の坪量は同じであったが、実施例2とはシール剤の塗工方法が異なっており、シール層の塗工量(坪量)が低かった。比較例5の包装基材の厚さは29μmであり本発明の規定の範囲外であって薄く、「被包装体への臭い移り」が評価2であり、実施例2と比べて劣っていた。比較例5の破裂強度(96kPa)および幾何平均破断伸び(2.63%)は本発明の規定の範囲外であって値が低く、「包装基材の破れにくさ」が評価1であり、劣っていた。また、比較例5の曲げこわさ(幅方向)は8.7μNmであって実施例2(12.1μNm)と比べて低く、「被包装体の再包装し易さ」は評価4であり、優れていた。
比較例6は、実施例3と比較して、紙基材の坪量は同じであったが、実施例3とはシール剤の塗工方法が異なっており、シール層の塗工量(坪量)が低かった。比較例6の包装基材の厚さは25μmであり本発明の規定の範囲外であって薄く、「被包装体への臭い移り」が評価2であり、実施例3と比べて劣っていた。比較例6の破裂強度(91kPa)および幾何平均破断伸び(2.46%)は本発明の規定の範囲外であって値が低く、「包装基材の破れにくさ」が評価1であり、劣っていた。また、比較例6の曲げこわさ(幅方向)は4.8μNmであって実施例3(8.1μNm)と比べて低く、「被包装体の再包装し易さ」は評価4であり、優れていた。
比較例7は、実施例9と比較して、包装基材の種類は片艶紙であって同じであったが、実施例9とはシール剤の塗工方法が異なっており、シール層の塗工量(坪量)が低かった。比較例7の包装基材の厚さは50μmであり本発明の規定の範囲内であったが実施例9(45μm)と比べて厚かった。比較例7は、包装基材の透明度が57.3%であり、実施例9(62.0%)と比べて低かった。比較例7は、「被包装体への臭い移り」および「被包装体の視認性」の評価がいずれも1であり、実施例9と比べて劣っていた。比較例7の破裂強度(102kPa)および幾何平均破断伸び(2.73%)は本発明の規定の範囲外であって値が低く、「包装基材の破れにくさ」が評価1であり、劣っていた。
1 衛生紙ロール包装体(包装体)
2 衛生紙ロール(キッチンペーパーロール)(被包装体)
10 包装基材
100 紙基材
110 シール層(ヒートシール層、接着剤層)

Claims (7)

  1. 複数個の衛生紙ロールを包装基材で包装した衛生紙ロール包装体であって、
    前記包装基材は、紙基材と、前記包装体を封止するためのシール層と、を含む層構成を有し、
    前記包装基材の厚さは、35μm以上80μm以下であり、
    前記包装基材の破裂強度は、105kPa以上190kPa以下であり、
    前記包装体に内包される前記衛生紙ロールの軸方向に対して平行な前記包装基材の高さ方向の破断伸びと前記包装体に内包される前記衛生紙ロールの軸方向に対して垂直な前記包装基材の幅方向の破断伸びとの幾何平均破断伸びは、2.9%以上6.0%以下であることを特徴とする衛生紙ロール包装体。
  2. 前記包装基材の透気度は、1000秒以上であることを特徴とする請求項1に記載の衛生紙ロール包装体。
  3. 前記包装基材の前記幅方向の曲げこわさは、8μNm以上35μNm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の衛生紙ロール包装体。
  4. 前記包装体に内包される前記衛生紙ロールと接する側の前記包装基材の面の平滑度は、100秒以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の衛生紙ロール包装体。
  5. 前記包装基材の透明度は、60%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の衛生紙ロール包装体。
  6. 前記紙基材は、グラシン紙であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の衛生紙ロール包装体。
  7. 前記包装体の包装形式は、キャラメル包装形式であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の衛生紙ロール包装体。
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