JP7120085B2 - 発泡断熱紙容器用基材、発泡断熱紙容器用シート、発泡断熱紙容器およびその製造方法 - Google Patents
発泡断熱紙容器用基材、発泡断熱紙容器用シート、発泡断熱紙容器およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7120085B2 JP7120085B2 JP2019041298A JP2019041298A JP7120085B2 JP 7120085 B2 JP7120085 B2 JP 7120085B2 JP 2019041298 A JP2019041298 A JP 2019041298A JP 2019041298 A JP2019041298 A JP 2019041298A JP 7120085 B2 JP7120085 B2 JP 7120085B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- base material
- paper
- paper container
- layer
- foam
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W30/00—Technologies for solid waste management
- Y02W30/50—Reuse, recycling or recovery technologies
- Y02W30/80—Packaging reuse or recycling, e.g. of multilayer packaging
Landscapes
- Packages (AREA)
- Wrappers (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Paper (AREA)
Description
紙基材は、セルロースパルプを主成分とする。ここで、主成分とは、紙基材を構成する成分のうち50質量%以上を占める成分をいう。
セルロースパルプには特に制限はないが、強度の観点から化学パルプを含有することが好ましい。化学パルプとしては特に限定されないが、広葉樹クラフトパルプ(LKP)または針葉樹クラフトパルプ(NKP)を含有することが好ましい。パルプは晒パルプでもよく、未晒パルプでもよい。特に、紙の地合の観点から、LKPからなる紙基材が特に好ましい。以下、特に断りのない限り、LKPとNKPにはそれぞれ晒パルプまたは未晒パルプを含むが、広葉樹晒クラフトパルプをLBKP、針葉樹晒クラフトパルプをNBKPということがある。LKPとしては、アカシア材やユーカリ材等を、NKPとしてはラジアータパイン材等を使用することができる。
紙基材を抄紙する際に配合する填料は、製紙分野で一般に使用されている填料が使用可能であり、特に限定されない。填料の例としては、クレー、焼成カオリン、デラミネートカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム-シリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子などの有機填料が挙げられる。これらの填料はその目的に応じ、単独または2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
紙基材を抄紙する際に、各種内添助剤を必要に応じて適宜選択して使用することが可能である。内添助剤の例としては、サイズ剤、歩留まり向上剤、ろ水度向上剤、紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、澱粉、カチオン化澱粉等の澱粉類、硫酸バンド、多価金属化合物、シリカゾル、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が挙げられる。
紙基材は、3層以上のパルプ層から構成される。紙基材は、5層以上であることが好ましい。複数のパルプ層から構成される紙基材は、一般に、複数のインレットから抄き合わされる多層抄き合わせによって製造される。層数が多い方が、各層の坪量を小さくできるため、地合が取りやすくなり、紙基材の表面性が向上し、面質がより良好な発泡断熱紙容器用基材とすることができる。
水溶性樹脂層は、紙基材の少なくとも一方の表面に設けられる。紙基材の表面に水溶性樹脂層が存在することによって、発泡時に紙基材から熱可塑性樹脂層に供給される水蒸気が均一に分散され、熱可塑性樹脂の過発泡が抑えられ、発泡形態が均一となる。その結果、発泡断熱紙容器の断熱性と表面の美麗性を向上させることができる。
水溶性樹脂は、水に溶解する樹脂であり、紙基材の表面に塗工されて、水溶性樹脂層を形成するものである。水溶性樹脂は、造膜性を有する水溶性高分子であれば特に限定されない。水溶性樹脂としては、例えば、完全ケン化型ポリビニルアルコール、部分ケン化型ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール、澱粉類、ポリアクリルアミド類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロースエーテルおよびその誘導体などが挙げられる。これらを単独、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性樹脂層を形成する水溶性樹脂としては、加工適性の観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、化学式[-CH2CH(OH)-]n[-CH2CH(OCOCH3)-]mで表され、PVA、PVOH、ポバールなどと呼称されている。ポリビニルアルコールは、一般的には、酢酸ビニルモノマーを重合して得られたポリ酢酸ビニル樹脂をけん化することで製造される。なお、前記化学式において、nはけん化部分を示し、mは未けん化部分を示す。
前記したように、基材のシーム部における剥離には、基材間の接着面における剥離と基材自体の層内における剥離の2種類があることが判明した。そこで、本発明者らは、これらの剥離に対してそれぞれ、その防止方法についての検討を行った。
基材を巻いてカップ状とした紙容器では、シーム部において2枚の基材が貼り合わされている。シーム部には弾性力により元に戻ろうとする力が働くため、基材間の接着面において剥離するおそれがある。さらに、トップカール成形を行う際には、トップカール部の外側において、円周方向に伸長しようとする力が働くため、基材間の接着面において剥離するおそれがある。このとき、基材の横方向の比引張弾性率が大きいと、トップカール成形に際し一定のひずみを与えられた場合、その変形を生じさせるために加わる力が大きくなるため、剥離しようとする力が増大する。そのため、基材の横方向の比引張弾性率は小さい方が好ましい。基材の横方向の比引張弾性率は5.0kN・m/g以下であることが好ましく、4.7kN・m/g以下であることがより好ましい。ここで、比引張弾性率とは、密度あたりの引張弾性率のことであり、基材の引張弾性率の数値を基材の密度で除することで求められる。
前記したように、多層構造を有する紙基材からなる基材のシーム部において、積層体の厚さ方向でせん断力が働き、紙基材を構成する層間で剥離する現象が生じることになる。ここで、紙基材の層間強度の定量化方法を検討したところ、インターナルボンドテスターによる測定方法が有効であることを見出した。そこで、紙基材自体の層内における剥離を抑制するために、インターナルボンドテスターを用いて測定した層間強度として保持するべき数値範囲を発泡断熱紙容器用基材から検討したところ、530J/m2以上であることを見出した。さらに、層間強度は、600J/m2以上であることがより好ましい。ここで、層間強度は、縦方向で測定した層間強度の数値と横方向で測定した層間強度の数値との相乗平均としての数値である。なお、インターナルボンドテスターによる層間強度の測定方法は、J.TAPPI 18-2に準拠して測定される。
トップカール加工、特にシーム部のトップカール加工を容易に行うためには、基材が丸まりやすいこと、すなわち基材の縦方向の曲げ剛度が小さいことが好ましい。そこで、本発明者らは、当該目的に用いる基材の曲げ剛度の定量化方法を検討したところ、テーバー曲げ剛度が有効であることを見出した。次に、トップカール加工を容易とすることが可能な縦方向のテーバー曲げ剛度の好ましい数値範囲を検討したところ、10~17mN・mであることを見出した。縦方向のテーバー曲げ剛度が10mN・mより小さいと、そのような基材を用いて成形した発泡断熱紙容器が握力で変形し易くなる。基材の縦方向のテーバー曲げ剛度は、11~16mN・mであることがより好ましい。テーバー曲げ剛度の数値は、基材の厚さ、紙基材の離解フリーネス、紙力向上剤等の内添助剤の添加量等を調節することにより、調整することができる。なお、テーバー曲げ剛度は、JIS P8125:2000に規定されるテーバーこわさ試験機法に準拠して測定される。
基材の坪量あたりの透気抵抗度(透気抵抗度/坪量)は、1.0~2.7s/g/m2であることが好ましい。坪量あたりの透気抵抗度がこの範囲にあると、後述する発泡断熱紙容器の発泡の際、基材から熱可塑性樹脂層に供給される水蒸気の量を適度に制御することができ、発泡断熱紙容器の断熱性と美麗性のバランスが良好となる。坪量あたりの透気抵抗度は、より好ましくは1.2~2.4s/g/m2である。透気抵抗度は、JIS P8117;2009に記載の王研式試験機法に準じて測定される。
トップカール部の成形を容易にするためには、トップカール加工時の引張応力で基材が破断しないことが必要となる。本発明者らは、トップカール加工を容易とすることが可能な基材の縦方向の引張強度の数値範囲を検討したところ、15.0~40.0kN/mの範囲にあれば、トップカール加工時の基材の破断が発生しにくいことを見出した。基材の縦方向の引張強度は、20.0~38.0kN/mの範囲がより好ましい。引張強度が40.0kN/mより大きいと、剛度や圧縮力等が大きくなってしまい、十分な丸まりやすさを確保できず、シーム部のめくれが発生するおそれがある。一方、引張強度が15.0kN/mよりも小さいと、トップカール部に破れ等が発生するおそれがある。引張強度を調製する方法としては、パルプに対するNKPの配合量を増減させる方法、離解フリーネスを増減させる方法、紙力剤の添加量を増減させる方法等が挙げられる。なお、引張強度は、JIS P8113:2006に準拠して測定される。
基材の平滑度は、王研式平滑度として規定され、30~500秒であることが好ましい。平滑度は、基材表面の平滑性を規定するための指標となる単位である。平滑度が30秒以上であると、基材の表面性が高まり、面質が良好な発泡断熱紙容器用シートが得られる。また、平滑度が500秒以下であると、高平滑度を得るためにキャレンダー等で基材を潰す必要がなくなり、紙厚が極端に薄くなることを抑えられるため、発泡断熱紙容器の成形加工適性が向上する。王研式平滑度は、JIS P8155:2010に準じて測定される。
基材の地合い指数は、60以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましく、85以上であることがさらに好ましい。地合い指数は、紙の均一性(紙面内における坪量、密度の均一性)を示す指数であり、数値が大きいほど、地合いが良好であることを意味する。地合い指数を所定値以上とすることにより、発泡時の基材からの水蒸気の透過量がより一層均一となり、過発泡が抑えられ、発泡形態が均一となる。地合い指数は、M/Kシステム社製の3Dシートアナライザーを用いて測定される。紙基材の局所的な光の透過強度を一定間隔で離散的に測定し、それらのバラつきを数値化することで得られる。
基材の坪量は、好ましくは100~400g/m2であり、より好ましくは200~400g/m2であり、さらに好ましくは220~400g/m2である。坪量が100g/m2未満であると、水分量の関係から発泡が不十分になりやすく、得られた発泡断熱紙容器を手で把持したときに熱さを感じやすい。一方、坪量が400g/m2を超えると、剛度の増大により発泡断熱紙容器の成形加工適性が低下し、トップカール部の成形に不具合が発生する傾向にある。
基材の厚さは、好ましくは130~430μmであり、より好ましくは230~400μmであり、さらに好ましくは250~350μmである。厚さが130μm未満であると、水分量の関係から発泡が不十分になりやすく、得られた発泡断熱紙容器を手で把持したときに熱さを感じやすい。また、剛度が不足することにより、手で持った際に変形が生じやすい紙容器となってしまう。一方、厚さが430μmを超えると、剛度の増大により発泡断熱紙容器の成形加工適性が低下し、トップカール部の成形に不具合が発生する傾向にある。
基材の密度は、所望に応じて適宜設定すればよく、特に限定されることはないが、0.60~0.99g/cm3とすることが好ましい。基材の密度が低いと、熱可塑性樹脂層を発泡させる際に水蒸気が基材を通りやすくなり、発泡性が向上する傾向が見られる。しかし、基材の密度が0.60g/cm3未満であると、発泡断熱紙容器に必要な紙力が得られないことがある。一方、基材の密度が0.99g/cm3を超えると、熱可塑性樹脂層を発泡させる際に水蒸気が基材を通りにくくなり、発泡性が低下する傾向がある。
基材の水分量は、紙基材が含有する水分量と水溶性樹脂層が含有する水分量の合計となる。基材が含有する水分量は、基材の坪量および含水率によって決定される。基材の水分量は、好ましくは15~32g/m2であり、より好ましくは20~23g/m2である。ここで、基材の水分量は、基材の坪量(g/m2)に基材の含水率(質量%)を掛け合わせることで求められる。基材の含水率(水分)は、調湿後、JIS P8127;2010に準じて測定される。
発泡断熱紙容器用基材を構成する紙基材は、3層以上のパルプ層から構成される。また、紙基材の製造方法は、紙基材の表裏の最外層の坪量の平均値をW1とし、最外層のすぐ内側に位置する第1内層の坪量の平均値をW2としたとき、W1/W2=1.2~2.4を満足するように、パルプ層を積層する工程を含む。
等の有機溶剤を混合して用いてもよい。塗工液には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、染料、顔料、サイズ剤、耐水化剤、紙力増強剤、分散剤、可塑剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤、防腐剤、着色染料、着色顔料、紫外線防止剤等の各種公知の助剤を併用してもよい。また、後述する熱可塑性樹脂層の接着性を向上させるために、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤やポリブタジエン系アンカーコート剤などのアンカーコート剤を使用してもよい。
発泡断熱紙容器用シートは、基材の水溶性樹脂層の上に熱可塑性樹脂層を設けることによって形成される。発泡断熱紙容器用シートを加熱処理することによって、紙基材と水溶性樹脂層に含まれる水分が加熱蒸発し、発生した水蒸気によって熱可塑性樹脂層は発泡して、断熱性の発泡樹脂層となる。
熱可塑性樹脂層に使用する熱可塑性樹脂は、水溶性樹脂層上に形成可能であり、かつ発泡させることが可能であれば特に制限されない。熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂には、結晶性樹脂および非結晶性樹脂のいずれの熱可塑性樹脂も使用することが可能である。
発泡断熱紙容器用シートは、熱可塑性樹脂層を形成していない側の表面に、熱可塑性樹脂層よりも融点の高い高融点熱可塑性樹脂層やアルミニウム箔等の金属層を形成することができる。このような高融点熱可塑性樹脂層や金属層は、発泡断熱紙容器用シートを加熱して熱可塑性樹脂層を発泡させる際に、紙基材の熱可塑性樹脂層を形成した面と反対側の面から水蒸気が蒸散することを抑制する。この蒸散の抑制により、熱可塑性樹脂層に十分な水蒸気が供給され、熱可塑性樹脂層の発泡性が向上する。
発泡断熱紙容器用シートは、基材の上に熱可塑性樹脂層を形成することで製造される。熱可塑性樹脂層の形成方法は、特に制限されず、押し出しラミネート法、ウェットラミネート法、ドライラミネート法等の公知の各種方法を適宜使用して積層すればよい。
発泡断熱紙容器は、発泡断熱紙容器用シートを用いてカップ状に成形して紙容器を製造し(紙容器成形工程)、得られた容器を発泡させる(発泡断熱紙容器成形工程)ことによって製造される。以下、紙容器成形工程と発泡断熱紙容器成形工程について説明する。
紙容器成形工程では、発泡断熱紙容器用シートを用いて紙容器を成形する。発泡断熱紙容器用シートを用いて紙容器を成形する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いて製造することができる。
発泡断熱紙容器成形工程では、紙容器に公知の方法を用いて加熱処理を施して発泡断熱紙容器を成形する。加熱処理を行うと、紙容器の紙基材等に含まれる水分が気化し、発生した水蒸気によって熱可塑性樹脂層が発泡し、発泡断熱紙容器とすることができる。
(1)パルプ:NKP、LKP
(2)紙力増強剤:ポリアクリルアミド系紙力増強剤(PAM)
(3)湿潤紙力増強剤:ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系(PAE系)樹脂
(4)カチオン化澱粉
(5)硫酸バンド
(6)サイズ剤:アルキルケテンダイマー系サイズ剤(AKD)
(7)水溶性樹脂:中間けん化型ポリビニルアルコール(PVA)、けん化度96.5モル%
(8)熱可塑性樹脂:低密度ポリエチレン(LDPE)、密度918kg/m3、融点103℃
(9)高融点熱可塑性樹脂:中密度ポリエチレン(MDPE)、密度940kg/m3、融点133℃
(1)パルプの離解フリーネス(csf):基材をJIS P8220:2012に準じて離解することで得られたパルプスラリーについて、JIS P8121-2:2012に準じて測定した。
(2)坪量:JIS P8124:2011に準じて測定した。
(3)厚さ:JIS P8118:2014に準じて測定した。
(4)密度:JIS P8118:2014に準じて測定した。
(5)引張試験:JIS P8113:2006に規定される方法に準じて測定した。
(6)層間強度:JAPAN TAPPI 18-2に準拠して、基材の縦方向と横方向について測定し、その相乗平均値を求めた。
(7)テーバー曲げ剛度:JIS 8125:2000に規定されるテーバーこわさ試験機法に準じて、基材の縦方向と横方向について測定した。
(8)透気抵抗度:JIS P8117;2009に記載の王研式試験機法に準じて測定した。
(9)含水率:調湿後、JIS P8127;2010に準じて測定した。
1)28cm×28cmサイズに切り出したサンプルを80℃の湯に24時間つける。
2)サンプルを湯から取り出し、水でぬらした吸取紙の上に乗せる。吸取紙はJIS P 8222:2015に定めるものを用いる。
3)サンプルの上から吸取紙を乗せて軽く手で押し、余剰の水分を取る。
4)サンプル上の吸取紙を取り除き、紙の端部から1枚1枚ゆっくりと剥がす。その際、紙が乾燥しないように適宜サンプルを水でぬらしながら行う。
5)剥いだ紙をそれぞれ別々に、JIS P 8222:2015に定める乾燥プレートと乾燥プレートに対する手抄き紙固定器具の間に拘束して、1日以上乾燥させる。
(発泡断熱紙容器用基材)
LBKP100部を叩解し、パルプスラリーを得た。得られたパルプスラリー100質量%(固形分換算)に対し、カチオン化澱粉0.40質量%、紙力増強剤(PAM系紙力増強剤)0.75質量%、アルキルケテンダイマー系サイズ剤0.23質量%、PAE系湿潤紙力増強剤0.07質量%を添加した紙料スラリーを、5層抄きの長網抄紙機で抄紙した。抄紙に際しては、各層を各1枚のワイヤーで脱水された湿紙とし、順番に1層ずつ同一のフェルト平面上に移行させ、抄き合わせた。抄き合わせ順は、第1層、第2層、第3層、第4層、第5層の順であった。第1層から第5層までの坪量を表1に示すように調整し、紙基材とした。
実施例1の発泡断熱紙容器用基材は、坪量298g/m2、紙厚331μm、密度0.90g/cm3であった。また、実施例1の発泡断熱紙容器用基材を再離解したパルプの離解フリーネス(csf)は480mlであった。
上記発泡断熱紙容器用基材の一方の面に、厚さ40μmとなるように高融点熱可塑性樹脂(MDPE)を溶融温度360℃、積層速度50m/分で押し出した。その後、クーリングロールとニップロール(JIS-A硬度:70)を用いて、線圧2kgf/cmで押圧・圧着し、高融点熱可塑性樹脂層を形成した。
LBKP100部を叩解し、5層抄きの長網抄紙機を使って表1に示すような坪量比率となるように調整し、実施例1と同様に抄紙して、坪量298g/m2、紙厚336μm、密度0.89g/cm3の発泡断熱紙容器用基材を得た。
その後、実施例1と同様に熱可塑性樹脂層を形成して、実施例2の発泡断熱紙容器用シートを得た。
LBKP100部を叩解し、5層抄きの長網抄紙機を使って表1に示すような坪量比率となるように調整し、実施例1と同様に抄紙して、坪量297g/m2、紙厚328μm、密度0.91g/cm3の発泡断熱紙容器用基材を得た。
その後、実施例1と同様に熱可塑性樹脂層を形成して、実施例3の発泡断熱紙容器用シートを得た。
LBKP100部を叩解し、3層抄きの長網抄紙機を使って表1に示すような坪量比率となるように調整し、実施例1と同様に抄紙して、坪量299g/m2、紙厚336μm、密度0.89g/cm3の発泡断熱紙容器用基材を得た。抄き合わせ順は、第1層、第2層(表中の第2-4層に該当)、第3層(表中の第5層に該当)の順であった。
その後、実施例1と同様に熱可塑性樹脂層を形成して、実施例4の発泡断熱紙容器用シートを得た。
LBKP100部を叩解し、5層抄きの長網抄紙機を使って表1に示すような坪量比率となるように調整し、実施例1と同様に抄紙して、坪量297g/m2、紙厚343μm、密度0.87g/cm3の発泡断熱紙容器用基材を得た。
その後、実施例1と同様に熱可塑性樹脂層を形成して、実施例5の発泡断熱紙容器用シートを得た。
LBKP100部を叩解し、5層抄きの長網抄紙機を使って表1に示すような坪量比率となるように調整し、実施例1と同様に抄紙して、坪量296g/m2、紙厚327μm、密度0.90g/cm3の発泡断熱紙容器用基材を得た。
その後、実施例1と同様に熱可塑性樹脂層を形成して、実施例6の発泡断熱紙容器用シートを得た。
LBKP100部を叩解し、5層抄きの長網抄紙機を使って表1に示すような坪量比率となるように調整し、実施例1と同様に抄紙して、坪量297g/m2、紙厚343μm、密度0.87g/cm3の発泡断熱紙容器用基材を得た。
その後、実施例1と同様に熱可塑性樹脂層を形成して、比較例1の発泡断熱紙容器用シートを得た。
LBKP100部を叩解し、5層抄きの長網抄紙機を使って表1に示すような坪量比率となるように調整し、実施例1と同様に抄紙して、坪量300g/m2、紙厚345μm、密度0.87g/cm3の発泡断熱紙容器用基材を得た。
その後、実施例1と同様に熱可塑性樹脂層を形成して、比較例2の発泡断熱紙容器用シートを得た。
LBKP100部を叩解し、5層抄きの長網抄紙機を使って表1に示すような坪量比率となるように調整し、実施例1と同様に抄紙して、坪量298g/m2、紙厚346μm、密度0.86g/cm3の発泡断熱紙容器用基材を得た。
その後、実施例1と同様に熱可塑性樹脂層を形成して、比較例3の発泡断熱紙容器用シートを得た。
以上のようにして得られた紙容器および発泡断熱紙容器用シートについて以下の評価を行った。評価結果を表1に記載した。なお、トップカール加工性においては○を合格、△と×を不合格と判定した。また、発泡性においては、○と△を合格、×を不合格と判定した。
紙容器を製罐した際における、シーム部のトップカール部を目視で観察して、下記の基準で評価を行った。
○:シーム部にめくれ上がりが見られない。
△:シーム部に若干のめくれ上がりが見られる。
×:シーム部にめくれ上がりが非常に多く目立つ。
紙容器を製罐した際における、シーム部のトップカール部を目視で観察して、下記基準で評価を行った。
○:トップカール部の層内に剥離が見られない。
△:トップカール部に層内に若干の剥離が見られる。
×:トップカール部に層内の剥離が非常に多く目立つ。
得られた発泡断熱紙容器用シートから、1辺100mmの正方形の試験片を切り出した。その後、熱風を使用して、加熱温度120℃、加熱時間6分間で、熱可塑性樹脂層を発泡させた。発泡後の熱可塑性樹脂層の表面を目視で観察し、以下の基準で発泡性を評価した。
○:過発泡が見られず、形成された発泡セルは小さく概ね均質であり、表面も概ね平坦である。
△:形成された発泡セルがやや大きく、大きさにばらつきも見られるが、表面の凹凸は小さく過発泡は見られない。
×:過発泡が発生しているなど、表面に大きな凹凸がある。
Claims (10)
- セルロースパルプを主成分とする紙基材と、当該紙基材の少なくとも一方の表面に設けられた水溶性樹脂層とからなる発泡断熱紙容器用基材であって、
前記紙基材が3層以上のパルプ層から構成され、
前記発泡断熱紙容器用基材のインターナルボンドテスターを用いて測定した層間強度が530J/m2以上であり、
前記紙基材の表裏の最外層の坪量の平均値をW1とし、前記表裏の最外層のすぐ内側に位置する第1内層の坪量の平均値をW2としたとき、W1/W2=1.2~2.4を満足する
ことを特徴とする発泡断熱紙容器用基材。 - 前記発泡断熱紙容器用基材のインターナルボンドテスターを用いて測定した層間強度が600J/m2以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡断熱紙容器用基材。
- 前記紙基材が5層以上のパルプ層から構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発泡断熱紙容器用基材。
- 坪量あたりの透気抵抗度が1.0~2.7sec/g/m2であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡断熱紙容器用基材。
- 前記水溶性樹脂層を構成する水溶性樹脂がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡断熱紙容器用基材。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡断熱紙容器用基材の少なくとも一方の表面に熱可塑性樹脂層を設けたことを特徴とする発泡断熱紙容器用シート。
- 前記熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂がポリエチレンであることを特徴とする請求項6に記載の発泡断熱紙容器用シート。
- 請求項6または請求項7に記載の発泡断熱紙容器用シートからなる発泡断熱紙容器。
- セルロースパルプを主成分とする紙基材と、当該紙基材の少なくとも一方の表面に設けられた水溶性樹脂層とからなる発泡断熱紙容器用基材の製造方法であって、
前記紙基材が3層以上のパルプ層から構成され、
前記紙基材の表裏の最外層の坪量の平均値をW1とし、前記表裏の最外層のすぐ内側に位置する第1内層の坪量の平均値をW2としたとき、W1/W2=1.2~2.4を満足するように、前記パルプ層を積層する工程を含む
ことを特徴とする発泡断熱紙容器用基材の製造方法。 - 前記パルプ層を積層する工程が、表裏のいずれか一方の最外層から順に他方の最外層までパルプ層を抄き合わせる工程である、請求項9に記載の発泡断熱紙容器用基材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019041298A JP7120085B2 (ja) | 2019-03-07 | 2019-03-07 | 発泡断熱紙容器用基材、発泡断熱紙容器用シート、発泡断熱紙容器およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019041298A JP7120085B2 (ja) | 2019-03-07 | 2019-03-07 | 発泡断熱紙容器用基材、発泡断熱紙容器用シート、発泡断熱紙容器およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020143400A JP2020143400A (ja) | 2020-09-10 |
JP7120085B2 true JP7120085B2 (ja) | 2022-08-17 |
Family
ID=72353393
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019041298A Active JP7120085B2 (ja) | 2019-03-07 | 2019-03-07 | 発泡断熱紙容器用基材、発泡断熱紙容器用シート、発泡断熱紙容器およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7120085B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20160274477A1 (en) * | 2015-03-19 | 2016-09-22 | Oki Data Corporation | Two-component developer, development device and image formation apparatus |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2021132429A1 (ja) * | 2019-12-25 | 2021-07-01 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005023462A (ja) | 2003-06-30 | 2005-01-27 | Tokyo Paper Mfg Co Ltd | 高遮光性を有する容器用紙材及び包装容器 |
JP2008127703A (ja) | 2006-11-20 | 2008-06-05 | Daio Paper Corp | 多層抄き板紙及びこの多層抄き板紙を用いた包装容器 |
JP2009133030A (ja) | 2007-11-30 | 2009-06-18 | Daio Paper Corp | 発泡板紙 |
JP2009242999A (ja) | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Nippon Paper Industries Co Ltd | 液体容器用原紙 |
WO2015041276A1 (ja) | 2013-09-19 | 2015-03-26 | 日本製紙株式会社 | 白板紙およびその製造方法 |
-
2019
- 2019-03-07 JP JP2019041298A patent/JP7120085B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005023462A (ja) | 2003-06-30 | 2005-01-27 | Tokyo Paper Mfg Co Ltd | 高遮光性を有する容器用紙材及び包装容器 |
JP2008127703A (ja) | 2006-11-20 | 2008-06-05 | Daio Paper Corp | 多層抄き板紙及びこの多層抄き板紙を用いた包装容器 |
JP2009133030A (ja) | 2007-11-30 | 2009-06-18 | Daio Paper Corp | 発泡板紙 |
JP2009242999A (ja) | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Nippon Paper Industries Co Ltd | 液体容器用原紙 |
WO2015041276A1 (ja) | 2013-09-19 | 2015-03-26 | 日本製紙株式会社 | 白板紙およびその製造方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20160274477A1 (en) * | 2015-03-19 | 2016-09-22 | Oki Data Corporation | Two-component developer, development device and image formation apparatus |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020143400A (ja) | 2020-09-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6583120B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP6891829B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP7120085B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用基材、発泡断熱紙容器用シート、発泡断熱紙容器およびその製造方法 | |
JP7172819B2 (ja) | 液体容器用基材、液体用容器およびその製造方法 | |
JP6586910B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP7340332B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP5928060B2 (ja) | 発泡断熱紙製容器用シート、及びそれを用いた発泡断熱紙製容器 | |
JP7205385B2 (ja) | 紙基材、紙製シート、カップ状包装容器およびその製造方法 | |
JP6904237B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP7074016B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP7027897B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP7172818B2 (ja) | カップ用基材、液体用カップ容器およびその製造方法 | |
JP7251575B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
WO2021132429A1 (ja) | 加工用原紙、紙器用シートおよび紙器 | |
JP6809445B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP6519534B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP6958713B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP6809438B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材の製造方法、発泡断熱紙容器用シートの製造方法、発泡断熱紙容器の製造方法および発泡断熱紙容器用紙基材 | |
JP2019210593A (ja) | バリア性紙容器用紙基材、バリア性紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP7114905B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP7027894B2 (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP2019126908A (ja) | 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器 | |
JP5673289B2 (ja) | 断熱性紙製容器用シートの製造方法 | |
JP2009083202A (ja) | 断熱性紙製容器および断熱性紙製容器に用いる原材料シート | |
JP2009241544A (ja) | 断熱性紙製容器に用いる原材料シートおよび断熱性紙製容器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210802 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220512 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220705 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220718 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7120085 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |