JP2023148766A - ポリ乳酸系フィルム、食品包装用フィルム、青果物包装用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ乳酸系樹脂の剛性を低減し、フィルム化したときに柔らかさを持たせつつ、食品等の包装用フィルムとして好適に使用できるフィルムを提供する【解決手段】ポリ乳酸系樹脂(A)と可塑剤(B)とを含有する樹脂組成物からなる層(I)を有するポリ乳酸系フィルムであって、前記樹脂組成物に対する、前記可塑剤(B)の含有量が18質量%以下であり、前記層(I)をJIS K7244-4(1999)に従って測定した22℃における貯蔵弾性率(E’)が1.0GPa以上4.0GPa以下である、ポリ乳酸系フィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸系樹脂と可塑剤を含有する樹脂組成物からなる層を有するポリ乳酸系フィルムおよびそれを用いた食品包装用フィルム、青果物包装用フィルムに関する。
プラスチックは、我々の生活においてあらゆる分野に浸透しており、全世界の年間生産量が2億トン以上にも達している。プラスチックは、大半が使用後廃棄されており、これが地球環境を乱す原因の一つとして認識されている。そのため、枯渇資源である石油由来プラスチックの有効活用が近年重要視され、また、枯渇資源に替わる再生可能資源の利用が重要となっている。現在、プラスチックにおける再生可能資源の利用として最も注目されているのは、植物由来プラスチックの利用である。植物由来プラスチックは、非枯渇資源を利用し、プラスチック製造時における枯渇性資源の節約を図ることができる。植物由来プラスチックのなかでも、特に、ポリ乳酸系樹脂は、澱粉の発酵により得られる乳酸を原料とし、化学工学的に量産可能であり、かつ、透明性や剛性が優れていることから、ポリスチレンやポリエチレンテレフタレート等の代替材料としての展開が期待されている。
例えば特許文献1には、ポリ乳酸系樹脂のポリエチレンテレフタレートに類似した性質を生かしてこれをフィルム・シートとし、成形品用途へ使用することが提案されている。
また、野菜、果物等の青果物は、収穫された後も呼吸作用を持続している。そのため、収穫後の貯蔵、流通、保存中に青果物自身の呼吸によりエネルギーが消費され、鮮度劣化を引き起こす。そこで、青果物の鮮度保持方法としては、青果物の呼吸を適度に抑制して鮮度を保持する方法が知られている。このような青果物の鮮度保持に使用される包装袋は、MA(Modified Atmosphere)包装として知られている。
例えば特許文献2には、青果物包装用フィルムとして、合成樹脂層からなる低剛性部と、当該合成樹脂層の一部に紙層が積層された高剛性部から構成され、前記高剛性部の面積が50~95%であり、前記低剛性部が貫通孔を有する包装材が開示されている。
特開平10-219088号公報 特開2022-10606号公報
前記特許文献1では、ポリ乳酸系樹脂を成形品用途に用いているが、ポリ乳酸系樹脂は、常温域では弾性率が高く、フィルム化した際に剛性が大きくなるため用途によっては使用しにくいことがある。例えばポリオレフィン系樹脂やポリアミド系樹脂等が使用されている軟質のフィルムと比較すると、常温域でのフィルムの剛性が高く使用しにくいものである。
また、前記特許文献2では、低剛性部としてポリオレフィン系樹脂を用い、これに貫通孔を付与して、ガス(酸素および水蒸気)透過性を向上させて青果用フィルムとして使用することが提案されているが、この場合フィルムの外観が損なわれるほか、内容物が外気と直接触れるため衛生上の問題が生じる懸念がある。
本発明は、ポリ乳酸系樹脂の剛性を低減し、フィルム化したときに柔らかさを持たせつつ、食品等の包装用フィルムとして好適に使用できるフィルムを提供することを課題とする。
本発明者は、上記の実情に鑑み、ポリ乳酸系樹脂と特定量の可塑剤を含有する樹脂組成物からなる層の貯蔵弾性率を特定の範囲とすることにより、上記課題を解決し本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の態様を有する。
[1] ポリ乳酸系樹脂(A)と可塑剤(B)とを含有する樹脂組成物からなる層(I)を有するポリ乳酸系フィルムであって、
前記樹脂組成物に対する、前記可塑剤(B)の含有量が18質量%以下であり、
前記層(I)をJIS K7244-4(1999)に従って測定した22℃における貯蔵弾性率(E’)が1.0GPa以上4.0GPa以下である、ポリ乳酸系フィルム。
[2] 前記層(I)をJIS K7244-4(1999)に従って測定した損失正接(tanδ)のピーク温度より算出したガラス転移温度が65℃以下である、[1]に記載のポリ乳酸系フィルム。
[3] 前記ポリ乳酸系樹脂(A)における、D-乳酸(D体)の含有量が0.1~60モル%である、[1]または[2]に記載のポリ乳酸系フィルム。
[4] 前記可塑剤(B)が、ジエステル化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載のポリ乳酸系フィルム。
[5] 前記可塑剤(B)が、芳香族アルコール及び/又はジエチレングリコールモノアルキルエーテルと、炭素数2~6のジカルボン酸とが反応したジエステル化合物である、[1]~[4]のいずれかに記載のポリ乳酸系フィルム。
[6] 前記樹脂組成物に対する、前記可塑剤(B)の含有量が4質量%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリ乳酸系フィルム。
[7] 前記前記ポリ乳酸系フィルムが、層(I)と層(II)の少なくとも2層を有するポリ乳酸系フィルムであり、前記層(II)が、ポリ乳酸系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂と可塑剤(B)を含有する樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物に対する、前記可塑剤(B)の含有量が4質量%未満である、[1]~[6]のいずれかに記載のポリ乳酸系フィルム。
[8] 前記ポリ乳酸系フィルムが、層(II)/層(I)/層(II)の順に少なくとも3層を有する、[7]に記載のポリ乳酸系フィルム。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載のポリ乳酸系フィルムを用いた食品包装用フィルム。
[10] [9]に記載の食品包装用フィルムを用いた青果物包装用フィルム。
本発明のポリ乳酸系フィルムは、特定量の可塑剤を含有させることで、所定の貯蔵弾性率を有するポリ乳酸系フィルムが得られるものであり、ポリオレフィン系フィルムのような柔軟性を有し、食品等の包装用フィルムとして好適に使用できる。
以下、本発明の実施形態の一例としての本発明のポリ乳酸系フィルム、食品包装用フィルム、青果物包装用フィルムについて説明する。ただし、本発明の範囲は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分」とは、各層を構成する成分の合計を100質量%したとき、50質量%以上を占める成分であることを示し、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
また、「X~Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
更に、「X及び/又はY(X,Yは任意の構成)」とは、X及びYの少なくとも一方を意味するものであって、Xのみ、Yのみ、X及びY、の3通りを意味するものである。 また、本明細書における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものとする。
本明細書において、フィルムの縦方向(MD)とは、フィルムの製造工程における流れ方向のことであり、横方向(TD)とは、その直交方向のことである。
<ポリ乳酸系フィルム>
本発明のポリ乳酸系フィルム(以下、「本フィルム」ともいう。)は、ポリ乳酸系樹脂(A)と特定量の可塑剤(B)を含有する樹脂組成物からなる層(I)を有するポリ乳酸系フィルムであって、前記層(I)をJIS K7244-4(1999)に従って測定した22℃における貯蔵弾性率(E’)が4.0GPa以下である、ポリ乳酸系フィルムである。
以下、層(I)を形成する樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
〔ポリ乳酸系樹脂(A)〕
前記ポリ乳酸系樹脂(A)は、乳酸を重合して得られる熱可塑性樹脂であり、例えば構造単位がL-乳酸であるポリ(L-乳酸)、構造単位がD-乳酸であるポリ(D-乳酸)、構造単位がL-乳酸及びD-乳酸であるポリ(DL-乳酸)、あるいはこれらの混合樹脂等の乳酸の単独重合体、乳酸を主たるモノマー成分とし、乳酸と脂肪族ジオール及び/又は脂肪族ジカルボン酸との共重合体が挙げられる。ここで、主たるモノマー成分とは、樹脂中で50質量%以上100質量%以下を占めるモノマー成分のことをいう。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、乳酸の単独重合体が好ましく、特に好ましくは結晶性を調節できる点からポリ(DL-乳酸)が好ましい。
前記脂肪族ジオールとしては、例えばグリコール酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシn-酪酸、2-ヒドロキシ3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ3-メチル酪酸、2-メチル乳酸、2-ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
また、ポリ乳酸系樹脂(A)は、ポリ乳酸系樹脂(A)の本質的な性質を損なわない範囲(例えばポリ乳酸系樹脂(A)の10質量%未満)で、耐熱性等の向上のために共重合成分として、例えばテレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような芳香族ジオールを加えてもよい。
さらに、共重合成分としては、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えばジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を加えてもよい。
ポリ乳酸系樹脂(A)の重合法としては、縮重合法、開環重合法、その他の公知の重合法を採用することができる。例えば縮重合法では、L-乳酸またはD-乳酸、あるいは、これらの混合物を直接脱水縮重合することにより任意の組成を持ったポリ乳酸系樹脂(A)を得ることができる。
また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸系樹脂(A)を得ることができる。
前記ラクチドとしては、例えばL-乳酸の2量体であるL-ラクチド、D-乳酸の2量体であるD-ラクチド、L-乳酸とD-乳酸とからなるDL-ラクチドが挙げられる。前記開環重合法においては、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意所望の組成、結晶性をもつポリ乳酸系樹脂(A)を得ることができる。
このようにして得られるポリ乳酸系樹脂(A)は、D-乳酸(D体)の含有量が、0.1~60モル%であることが好ましく、より好ましくは0.2~40モル%であり、特に好ましくは0.3~20モル%である。
D-乳酸の含有量を上記範囲とすることで、加水分解による分子量低下を抑制しやすくなる傾向がある。
前記ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm)は、80J/g以下であることが好ましく、60J/g以下であることがより好ましい。なお下限は、通常0J/gである。結晶融解熱量を上記の範囲とすることで、結晶性が低く剛直なフィルムとなりにくい傾向がある。
前記ポリ乳酸系樹脂(A)の質量平均分子量は、5万~40万あることが好ましく、10万~25万であることがより好ましい。ポリ乳酸系樹脂(A)の質量平均分子量が前記範囲の下限値以上であれば、好ましい実用物性を得ることができる傾向があり、上限値以下であれば、溶融粘度が高過ぎることがないことから、良好な成形加工性を得ることができる傾向がある。
前記ポリ乳酸系樹脂(A)は、樹脂組成物の主成分として含まれることが好ましい。層(I)を形成する樹脂組成物の主成分として含むことで、ポリ乳酸系樹脂(A)の持つ適度な耐熱性と剛性をフィルムに付与しやすくなる傾向がある。
本発明で好ましく使用されるポリ乳酸系樹脂(A)の代表的なものとしては、海生生物材料社製の商品名「REVODEシリーズ」やNatureWorks社製の商品名「NWシリーズ」等が商業的に入手できるものとして挙げられる。
〔可塑剤(B)〕
前記可塑剤(B)としては、熱可塑性樹脂に用いられている可塑剤であれば、特に限定されず、例えばフタル酸エステル系化合物、脂肪族一塩基酸エステル系化合物、脂肪族二塩基酸エステル系化合物、トリメリット酸エステル系化合物、ポリエステル系化合物、ジエステル化合物、リン酸エステル系化合物、パラフィン系化合物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、ポリ乳酸系樹脂(A)のガラス転移温度を低下させ、フィルムに柔軟性を与える点から、ジエステル化合物であることが好ましい。
[ジエステル化合物]
前記ジエステル化合物とは、脂肪族多価カルボン酸とアルコール及び/又はエーテルアルコールとのエステルであり、生分解性を有する脂肪族鎖を有している。一方、前記ポリ乳酸系樹脂(A)も、脂肪族系ポリエステル樹脂であるため、前記ジエステル化合物との相溶性が良好となり、ジエステル化合物がフィルムの表面に溶出し難くなる傾向がある。そのため、ジエステル化合物は、ポリ乳酸系樹脂(A)の可塑剤として好適に使用できる。
前記脂肪族多価カルボン酸としては、例えば2、3価の直鎖脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。また、前記脂肪族多価カルボン酸の炭素数は、通常2~20、好ましくは4~10、特に好ましくは2~6である。
具体的には、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでもアジピン酸、コハク酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。
前記アルコールとしては、例えば直鎖又は分岐の飽和脂肪族アルコール、芳香族アルコール等が挙げられる。また、前記アルコールの炭素数は、通常1~20、好ましくは4~10である。
具体的には、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等の直鎖飽和脂肪族アルコール、2-メチル-1-プロパノール、1,1-ジメチル-1-エタノール等の分岐飽和脂肪族アルコール、フェノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等の芳香族アルコール等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、芳香族アルコールが好ましく、ベンジルアルコールが特に好ましい。
前記エーテルアルコールとしては、例えば前記アルコールのエチレンオキサイド付加物、プロピレン付加物、ブチレン付加物等であって、炭素数が、通常3~20、好ましくは3~10のものが挙げられる。
具体的には、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノベンジルエーテル等のエチレンオキサイド付加物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピングレリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノベンジルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノベンジルエーテル等のプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでもエチレンオキサイド付加物が好ましく、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルがより好ましく、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
前記ジエステル化合物としては、ポリ乳酸系樹脂(A)のガラス転移温度を低下させ、フィルムに柔軟性を与える点から、芳香族アルコール及び/又はジエチレングリコールモノアルキルエーテルと、炭素数2~6のジカルボン酸とが反応したジエステル化合物であることが好ましく、アジピン酸と、ベンジルアルコール及びジエチレングリコールモノメチルエーテルとが反応した化合物であることが特に好ましい。
前記ジエステル化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、一般に分子量が小さいほど可塑効果が大きい反面、安定性が低く、フィルム表面へのブリードアウトによるブロッキングおよび汚れ発生の可能性が大きくなる傾向がある。そのため、ジエステル化合物の数平均分子量は、通常200~1500であり、好ましくは300~1000である。
また、前記ジエステル化合物の沸点は、通常200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上である。上限は通常350℃である。
前記樹脂組成物に対する可塑剤(B)の含有量は、18質量%以下であり、好ましくは1~17質量%であり、より好ましくは2~16質量%であり、特に好ましくは、4~15質量%である。可塑剤(B)の含有量を上記範囲にすることにより可塑化効果と溶出性のバランスが取れたフィルムとなる。
[他の成分]
前記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリ乳酸系樹脂(A)以外の他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、無機機粒子、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、核剤、滑剤、顔料、染料等の添加剤添加剤等を含有することができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。なかでも、透明性と柔軟性に優れたフィルムとすることができる点から、他の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
前記他の熱可塑性樹脂としては、食品包装用に用いられる熱可塑性樹脂であれば、特に制限はないが、例えばポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、エチレン-ビニルアルコール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロースアシレート系樹脂等が挙げられ、これらのなかから選ばれる少なくとも1種の機能性樹脂を選択できる。なかでも、ポリエステル系樹脂、セルロースアシレート系樹脂が好ましい。
前記ポリエステル系樹脂としては、生分解性のポリエステル系樹脂であることが好ましく、例えば1,4-ブタンジオールとコハク酸とが重縮合したポリブチレンサクシネート系樹脂、1,4-ブタンジオールとコハク酸、アジピン酸が重縮合したポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂、1,4-ブタンジオールとアジピン酸、テレフタル酸が重縮合したポリブチレンアジペートテレフタレート系樹脂、エチレングリコールとコハク酸が重縮合したポリエチレンサクシネート系樹脂、ポリグリコール酸が重縮合したポリグリコリコール酸系樹脂、3-ヒドロキシ酪酸と5-ヒドロキシカプロン酸が重縮合した3-ヒドロキシ酪酸・5-ヒドロキシカプロン酸共重合体が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
なかでも、生分解性のポリエステル系樹脂としては、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート系樹脂、ポリエチレンサクシネート系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂がより好ましく、ポリブチレンサクシネート系樹脂とポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を併用することが特に好ましい。これらの生分解性のポリエステル系樹脂を用いることで、透明性が高く、弾性率が低いフィルムが得られる傾向がある。
前記樹脂組成物における生分解性のポリエステル系樹脂の含有量は、通常4~55質量%であり、好ましくは6~45質量%であり、特に好ましくは8~30質量%である。生分解性のポリエステル系樹脂の含有量を上記範囲にすることにより透明性が高く、弾性率が低いフィルムが得られる傾向がある。
また、前記セルロースアシレート系樹脂としては、例えばセルロースモノアセテート、セルロースジアセテート(DAC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、樹脂成形体の生分解速度向上の観点から、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)が好ましく、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)がより好ましい。
前記樹脂組成物におけるセルロースアシレート系樹脂の含有量は、通常1~40質量%であり、好ましくは5~35質量%であり、特に好ましくは10~25質量%である。セルロースアシレート系樹脂の含有量を上記範囲にすることにより透明性が高く、弾性率が低いフィルムが得られる傾向がある。
これらの成分を含有する樹脂組成物を後述する方法で製膜することにより層(I)が得られる。
層(I)の厚みは、通常20~500μmであり、好ましくは30~400μmであり、より好ましくは40~300μmであることがさらに好ましい。層(I)の厚みが上記範囲であれば柔軟性に優れる傾向がある。
層(I)のJIS K7244-4(1999)に従って測定した22℃における貯蔵弾性率(E’)は、1.0GPa以上4.0GPa以下であり、好ましくは1.3GPa以上3.8GPa以下であり、より好ましくは1.5GPa以上3.6GPa以下である。層(I)の貯蔵弾性率(E’)を上記範囲とすることで、柔軟性を有するポリ乳酸系フィルムとすることができ、包装用フィルムとして好適に用いることができる。
前記貯蔵弾性率(E’)は、粘弾性スペクトロメーターを用い、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間距離1cm、測定温度-100~200℃の条件で測定した動的粘弾性により算出される。
また、層(I)〔樹脂組成物〕のガラス転移温度は、65℃以下であることが好ましく、より好ましくは62℃以下である。下限は、通常25℃である。層(I)のガラス転移温度を上記範囲とすることで、柔軟性を有するポリ乳酸系フィルムとすることができる傾向があり、包装用フィルムとして好適に用いることができる。
前記ガラス転移温度は、JIS K7244-4(1999)に従って測定した損失正接(tanδ)のピーク温度より算出される。
本フィルムは、層(I)を有すれば、層(I)のみの単層フィルムであっても、層(I)が複数積層された多層フィルムや、層(I)と他の熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物からなる層(II)とが積層された多層フィルムであってもよい。
前記層(II)を形成する樹脂組成物に含まれる他の熱可塑性樹脂としては、食品包装用に用いられる熱可塑性樹脂であれば、特に制限はないが、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、エチレン-ビニルアルコール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂等が挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を選択できる。
前記層(II)を形成する樹脂組成物には、熱可塑性エラストマー、無機機粒子、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤(B)、核剤、滑剤、顔料、染料等の添加剤等を含有することができる。
前記層(II)を形成する樹脂組成物が可塑剤(B)を含有する場合、その含有量は、樹脂組成物に対して4質量%未満であることが好ましく、3質量%未満であることが特に好ましい。下限は通常0.1質量%である。
前記他の熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物を後述する方法で製膜することにより層(II)が得られる。
本フィルムが、例えば層(I)と層(II)を有する場合、その層構成としては、層(I)/層(II)の2層構成以外に、層(I)/層(II)/層(I)、層(II)/層(I)/層(II)等の2種3層構成を採用することができる。
また、本フィルムが、例えば層(I)と、含まれる他の熱可塑性樹脂が異なる層(II)を複数有する〔以下、層(II-1)、層(II-2)等と称する〕場合は、層(I)/層(II-1)/層(II-2)の3層構成、層(II-2)/層(II-1)/層(I)/層(II-1)/層(II-2)等の3種5層構成、層(I)/層(II-1)/層(II-2)/層(II-3)の4層構成、層(II-3)/層(II-2)/層(II-1)/層(I)/層(II-1)/層(II-2)/層(II-3)等の4種7層構成等の構成を採用することができる。
本フィルムにおいては、層数や層の順番、機能層やその他の層の種類や数に制限はないが、層(II)/層(I)/層(II)の順に少なくとも3層を有することが好ましい。
〔本フィルムの製造方法〕
本フィルム製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法により製造することができる。
例えば、押出機を用いて樹脂組成物を溶融し、ダイからフィルム状に押出し、冷却ロールや空冷、水冷にて冷却固化して得られる。
例えば本フィルムが層(I)のみの単層フィルムである場合、フィルムを構成する成分を混合、混練した後、単軸押出機、異方向二軸押出機、同方向二軸押出機等の押出機を使用し、各成分を均一に混合して樹脂組成物を調製する。
また、各成分を押出機で混合する前に、予めタンブラーミキサー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、リボンブレンダ―、スーパーミキサー等の混合機で混合した後、押出機に投入してもよく、他の混練機の先端にストランドダイを接続し、ストランドカット、ダイカット等の方法により一旦ペレット化した後に得られたペレットを押出機に投入してもよい。さらには、一部の成分を一旦ペレット化した後、得られたペレットと、残りの成分とを一緒に押出機に投入してもよい。
本フィルムが層(II)を有する積層フィルムである場合、前記層(I)の方法に従い、層(II)の樹脂組成物を調製すればよい。
その後、押出機により溶融された樹脂組成物は、押出機の先端にTダイ等の口金を接続し、フィルム状に成形された後、冷却ロールで冷却固化される。
押出温度は、160~240℃程度が好ましく、より好ましくは170~220℃である。押出温度やせん断の状態を最適化することにより、種々の物理的特性、機械的特性を所望の値にするのに有効となる。
本フィルムが積層フィルムである場合、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等により積層すればよい。
例えば複数台の押出機を用いてフィードブロックやマルチマニホールドダイを通じ、各樹脂組成物を合流させて共押出することにより、積層フィルムを製造することができる。
本フィルムは、無延伸フィルムであっても少なくとも一方向に延伸された延伸フィルムであってもよいが、少なくとも一方向に延伸することにより、力学強度が付与され、耐久性に優れた包装用フィルムとすることができるため好ましい。
本フィルムの延伸方法としては、特に制約されるものではないが、フィルムの流れ方向(以下、縦方向またはMDと表記することがある)へのロール延伸や、フィルム流れ方向に対する直交方向(以下、横方向またはTDと表記することがある)へのテンター延伸等により、少なくとも一方向に延伸される。また、未延伸フィルムを裁断し、バッチ式の延伸機により少なくとも一方向に延伸されてもよい。
さらに、本フィルムを縦方向と横方向の二軸延伸する場合は、縦方向に延伸した後、横方向に延伸してもよく、横方向に延伸した後、縦方向に延伸してもよい。また、縦方向及び横方向に延伸処理されていれば、同じ方向に2回以上延伸してもよい。さらには、縦方向に延伸した後、横方向に延伸し、さらに縦方向に延伸してもよい。また、同時二軸延伸機により縦方向、横方向に同時に延伸されてもよい。
延伸温度は、通常60~95℃であり、62~90℃が好ましく、65~85℃がより好ましい。延伸温度がかかる範囲の下限値以上であれば、延伸時におけるフィルムの破断を防ぐことができる傾向がある。一方、延伸温度がかかる範囲の上限値以下であれば、延伸時にポリ乳酸系樹脂(A)が結晶化しないため、十分な延伸を行うことができ、フィルムの破断を生じにくい傾向がある。
本フィルムは、20倍以下の面積延伸倍率で延伸されてなることが好ましく、より好ましくは16倍以下であり、特に好ましくは9倍以下である。また、下限は特に限定されないが、通常2倍以上である。
面積延伸倍率を上記範囲とすることで、フィルムに適度な剛性と強度を付与しやすくなる傾向がある。
また、前記延伸処理後は、熱収縮を抑制するために、延伸後のフィルムを把持した状態で熱処理(ヒートセット)を行うことが好ましい。通常、ロール法では延伸後加熱ロールに接触させて熱処理を行い、テンター法ではクリップでフィルムを把持した状態で熱処理を行う。熱処理温度は使用する樹脂の配合比率、種類によるが、100℃以上150℃以下の範囲とすることが好ましい。このような熱処理を施すことにより、より優れた耐熱性、機械特性を付与することができる。
本フィルムの表面には、防曇剤、帯電防止剤、離型剤等を塗工した塗工層を有してもよい。前記塗工層は、ダイからフィルム状に押出し、冷却ロールや空冷、水冷にて冷却固化後、または、フィルムの延伸後に、公知の方法でフィルム表面に塗工して形成することができる。また、塗工層の形成前に、公知の方法でフィルム表面にコロナ処理を施すことができる。
本フィルムの厚みは、通常20~500μmであり、30~400μmであることが好ましく、40~300μmであることがさらに好ましい。本フィルムの厚みが、上記範囲であれば、柔軟性に優れる傾向がある。
また、本フィルムが層(I)と層(II)とを有する積層フィルムである場合、本フィルムの厚みに対する層(I)の厚みの割合は、通常50%以下であり、好ましくは40%以下である。下限は通常10%である。
本フィルムのヘーズは、JIS K7136(2000)に従って測定したヘーズが、通常60%以下、好ましくは40%以下であり、より好ましくは20%以下である。下限は通常0%である。本フィルムのヘーズを上記範囲とすることにより、透明性の高いポリ乳酸系フィルムとすることができ、包装用フィルムとして好適に用いることができる傾向がある。
本フィルムのJIS K7244-4(1999)に従って測定した22℃における貯蔵弾性率(E’)は、通常1.0GPa以上4.0GPa以下であり、好ましくは1.3GPa以上3.8GPa以下であり、より好ましくは1.5GPa以上3.6GPa以下である。本フィルムの貯蔵弾性率(E’)を上記範囲とすることで、柔軟性を有するポリ乳酸系フィルムとすることができ、包装用フィルムとして好適に用いることができる。
また、本フィルムの可塑剤(B)の溶出率は、通常4.0質量%未満であり、好ましくは3.0質量%未満であり、より好ましくは1.5質量%未満である。
前記溶出率は、後述の実施例に記載の測定条件で測定することができる。
本フィルムは、JIS K7126-2(2006)で測定した、酸素透過率が300cc/m2/day/atm以上であることが好ましい。400cc/m2/day/atm以上であることがより好ましく、500cc/m2/day/atm以上であることがより好ましい。上限は通常2000cc/m2/day/atm以下であるが、特に青果物などの食品包装用に用いる場合は大きいほど好ましい。
本フィルムは、JIS K7129-2(2008)で測定した、水蒸気透過率が10g/m2/day以上であることが好ましい。30g/m2/day以上であることがより好ましく、50g/m2/day/atm以上であることがより好ましい。上限は、通常500g/m2/day以下であるが、特に青果物などの食品包装用に用いる場合は大きいほど好ましい。
本フィルムは、柔軟性を有するため、食品包装用フィルムとして好適に使用できる。特に本フィルムは、酸素透過率や水蒸気透過率が前記の範囲であるため、青果物を包装するための青果物包装用フィルムとして好適に用いることができる。青果物は、収穫された後も呼吸作用を持続しており、収穫後の貯蔵、流通または保存中に、青果物自身の呼吸によりエネルギーを消費し鮮度劣化を引き起こすことが知られている。そのため、適度な酸素透過率と水蒸気透過率を有する本フィルムは好適である。
そのため、本発明のフィルムは、JIS K7126-2(2006)で測定した酸素透過率およびJIS K7129-2(2008)で測定した水蒸気透過率がいずれも、上記の範囲内であることが特に好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
各実施例、比較例で使用した原材料は、下記の通りである。
また、実施例において、フィルムの縦方向(MD)とは、フィルムの製造工程における流れ方向を意味し、横方向(TD)とは、その直交方向を意味する。また、後述する貯蔵弾性率およびガラス転移温度は、フィルムの縦方向(MD)を測定方向とした。
<ポリ乳酸系樹脂(A)>
A1:D-乳酸の割合=0.9モル%、L-乳酸の割合=99.1モル%、質量平均分子量=19万、ΔHm=33.5J/g(海生生物材料社製)
A2:D-乳酸の割合=2.8モル%、L-乳酸の割合=97.2モル%、質量平均分子量=20万、ΔHm=12.2J/g(海生生物材料社製)
ポリ乳酸系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm)は、JIS K7121(2012)に基づき、10mg程度に削り出したサンプルを、熱分析装置(パーキンエルマー社製「DSC-7」)を用いて10℃/分の速度にて-70~220℃まで昇温し、得られたサーモグラムより、結晶融解熱量(ΔHm)を読み取ることで測定した。
<可塑剤(B)>
B1:ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、アジピン酸が反応したジエステル化合物、沸点293℃(大八化学工業社製「DAIFATTY-101」)
[実施例1~3、比較例1、2]
後記の表1に示す割合となるように、各原料を準備した。これら各原料をラボプラストミル(東洋精機製作所社製「4C150」)に投入し、200℃、60rpm、5分溶融混練して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、加熱プレス(井元製作所社製「IMC-18DA型」)を用いて、200℃でプレス成形し、厚み100μmまたは48μmのフィルムを得た。
[実施例4~8、比較例3]
後記の表1に示す割合となるように、各原料を準備した。これら各原料を同方向二軸押出機(φ25mm)に投入して、210℃、120rpmの条件で溶融混練して押出し、未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムの厚みは、平均で350μmになるように押出機からの溶融樹脂の吐出量とライン速度を調整した。
その後得られた未延伸フィルムを、二軸延伸機(アイランド工業社製)を用いて、70℃の温度条件下で、MDに2.7倍、TDに2.7倍に逐次延伸し、さらに熱処理オーブンで130℃の温度で熱処理して、延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの延伸面積倍率は7.29倍であり、フィルム厚みは48μmであった。
[参考例]
参考例として、市販の延伸ポリプロピレンフィルム(フィルム厚み50μm)を準備した。
得られた実施例1~8、比較例1~3のポリ乳酸系フィルム、及び参考例1の延伸ポリプロピレンフィルムを用い、下記の評価を行った。結果を後記の表1に示す。
[貯蔵弾性率]
実施例1~8、比較例1~3のポリ乳酸系フィルム、及び参考例1の延伸ポリプロピレンフィルムの貯蔵弾性率(E’)を、JIS K7244-4(1999)に従って、粘弾性スペクトロメーター(アイティー計測社製「DVA-200」)により、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間1cmの条件下、測定温度-100~200℃の範囲で動的粘弾性を測定し、貯蔵弾性率(E’)を算出した。得られた貯蔵弾性率(E’)を下記の基準により評価を行った。
(評価基準)
◎:1.0GPa以上、3.0GPa以下
〇:3.0GPaを超え、4.0GPa以下
×:1.0GPa未満、または、4.0GPaを超える
[ヘーズ]
実施例1~8、比較例1~3のポリ乳酸系フィルム、及び参考例1の延伸ポリプロピレンフィルムについて、JIS K7136(2000)に従ってヘーズを測定した。
[ガラス転移温度]
実施例1~8、比較例1~3のポリ乳酸系フィルム、及び参考例1の延伸ポリプロピレンフィルムのガラス転移温度を、JIS K7244-4(1999)に従って、粘弾性スペクトロメーター(型番:「DVA-200」、アイティー計測社製)により、測定した損失正接(tanδ)のピーク温度から算出した。
[溶出試験]
実施例1~3、比較例1、2のポリ乳酸系フィルム、及び参考例1の延伸ポリプロピレンフィルムから10cm×15cmの試験片を切り抜き、60℃、70%RHの恒温恒湿中で、24時間エージングを行った。その後、エタノールで清拭し、清拭前後の質量を測定することで可塑剤の溶出率を算出し、以下の基準で評価した。
溶出率(質量%)=(清拭前の質量-清拭後の質量)/清拭前の質量×100
(評価基準)
◎: 1.5質量%未満
○: 1.5質量%以上3.0質量%未満
△: 3.0質量%以上4.0質量%未満
×: 4.0質量%以上
[酸素透過率、水蒸気透過率]
実施例6、比較例2のポリ乳酸系フィルム、及び参考例1の延伸ポリプロピレンフィルムの酸素透過率をJIS K7126-2(2006)に準拠し測定した。また、実施例4~8、比較例2、3のポリ乳酸系フィルム、及び参考例1の延伸ポリプロピレンフィルムの水蒸気透過率をJIS K7129-2(2008)に準拠し測定した。
Figure 2023148766000001
表1の結果から実施例1~8のポリ乳酸系フィルムは、貯蔵弾性率が低く、延伸ポリプロピレンフィルムと同等の柔軟性を有するものであった。一方、比較例1のフィルムは可塑剤(B)の添加量が多く、柔軟性が高すぎて扱いにくく、可塑剤の溶出も大きく衛生上の問題があった。ポリ乳酸系樹脂のみからなる比較例2、3のフィルムは、ガラス転移温度が高く、貯蔵弾性率も高かった。そのため、剛性が高く、柔軟性に欠けるものであった。
また、実施例6のポリ乳酸系フィルムの酸素透過率および水蒸気透過率の結果より、実施例1~8のポリ乳酸フィルムは、食品包装用や青果物包装用フィルムとして良好な酸素透過率と水蒸気透過率を有するものと言える。
本フィルムは、透明性、柔軟性に優れるものであり、適度な酸素透過率と水蒸気透過率を有するため、食品包装用フィルムに好適に用いることができ、なかでも、青果物包装用フィルムとして有用である。

Claims (10)

  1. ポリ乳酸系樹脂(A)と可塑剤(B)とを含有する樹脂組成物からなる層(I)を有するポリ乳酸系フィルムであって、
    前記樹脂組成物に対する、前記可塑剤(B)の含有量が18質量%以下であり、
    前記層(I)をJIS K7244-4(1999)に従って測定した22℃における貯蔵弾性率(E’)が1.0GPa以上4.0GPa以下である、ポリ乳酸系フィルム。
  2. 前記層(I)をJIS K7244-4(1999)に従って測定した損失正接(tanδ)のピーク温度より算出したガラス転移温度が65℃以下である、請求項1記載のポリ乳酸系フィルム。
  3. 前記ポリ乳酸系樹脂(A)における、D-乳酸(D体)の含有量が0.1~60モル%である、請求項1または2記載のポリ乳酸系フィルム。
  4. 前記可塑剤(B)が、ジエステル化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリ乳酸系フィルム。
  5. 前記可塑剤(B)が、芳香族アルコール及び/又はジエチレングリコールモノアルキルエーテルと、炭素数2~6のジカルボン酸とが反応したジエステル化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリ乳酸系フィルム。
  6. 前記樹脂組成物に対する、前記可塑剤(B)の含有量が4質量%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリ乳酸系フィルム。
  7. 前記前記ポリ乳酸系フィルムが、層(I)と層(II)の少なくとも2層を有するポリ乳酸系フィルムであり、前記層(II)が、ポリ乳酸系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂と可塑剤(B)を含有する樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物に対する、前記可塑剤(B)の含有量が4質量%未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリ乳酸系フィルム。
  8. 前記ポリ乳酸系フィルムが、層(II)/層(I)/層(II)の順に少なくとも3層を有する、請求項7記載のポリ乳酸系フィルム。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載のポリ乳酸系フィルムを用いた食品包装用フィルム。
  10. 請求項9記載の食品包装用フィルムを用いた青果物包装用フィルム。
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