JP2023140771A - 粘着シート - Google Patents

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Saori Ito
直也 三ツ谷
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Abstract

【課題】活性エネルギー線照射前の粘着力が良好であり、かつ、活性エネルギー線照射後の剥離性(微粘着性)に優れ、更に帯電防止性能にも優れた粘着剤を得ることができる粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】 アクリル系樹脂(A)と導電性材料(B)を含有する粘着剤組成物(i)から形成される粘着剤層(I)と導電性材料(B)を含有しない粘着剤組成物(ii)から形成される粘着剤層(II)を少なくとも有する粘着シートであって、
上記粘着剤組成物(i)において、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、導電性材料(B)を0.01~1重量部含有し、
上記導電性材料を含有しない粘着剤層(II)が被着体との貼り合わせ面である粘着シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル系樹脂(A)と導電性材料(B)を含有する粘着剤組成物(i)から形成される粘着剤層(I)と導電性材料(B)を含有しない粘着剤組成物(ii)から形成される粘着剤層(II)とを少なくとも有する粘着シートに関するものであり、とりわけ、金属板、プラスチック板等の一時的な表面保護や半導体ウエハ等のダイシング工程等の半導体固定用の粘着シートとして有用な粘着シートに関するものである。
従来、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射することで硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が知られており、接着剤、粘着剤、塗料、インク、コーティング剤、光造形材等の用途に用いられている。
また、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、半導体ウエハを用いた集積回路の作製や穴開け等の加工工程において、被加工部材の汚れや損傷を防ぐことを目的として一時的に上記被加工部材の表面を保護するための表面保護用の粘着シートの粘着剤層として用いられることがある。そして、上記粘着シートは、近年の加工技術の微細化や被加工部材の薄膜化等の理由から被加工部材に対して適度な粘着力が求められる一方、表面保護の役目を終えた後には表面保護用の粘着シートを剥離する必要があり、活性エネルギー線を照射した後は、軽い力で糊残りなく剥離できることが求められている。さらに、近年では半導体ウエハに限らず様々な部材の加工時にも表面保護用の粘着シートが利用されている。
かかる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、例えば、アクリル系樹脂にエチレン性不飽和基を有するモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方を配合したり、アクリル系樹脂自体にエチレン性不飽和基を含有させたりすることで、活性エネルギー線硬化性を発現させている。なかでも、アクリル系樹脂自体にエチレン性不飽和基を含有させたエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂は、活性エネルギー線照射による硬化後においても低分子成分が少ないことから、剥離後の糊残り低減に有利である。
上記一時表面保護用の粘着シートとして、例えば、特許文献1では、アクリル系樹脂自体にエチレン性不飽和基を含有させたエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂を用いた粘着剤組成物として、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレートを共重合したアクリル系ポリマーに対して、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートをウレタン化反応させることにより、エチレン性不飽和基を含有させたアクリル系樹脂を用いた再剥離型粘着剤が記載されている。
一方、上記粘着シートは、所定の処理工程が終了すると被着体から剥離されるが、このときに、粘着シートと被着体である半導体ウエハや半導体チップ等との間で、剥離帯電と呼ばれる静電気が発生することがあり、このような静電気は、半導体ウエハ・半導体チップやこれらに形成された回路等が破壊される原因となる。このような剥離帯電を防ぐため、粘着シートに帯電防止性能を付与することが求められている。
半導体ウエハの加工時に用いられる粘着シートにおいて、帯電防止性能を付与した粘着シートとして、特許文献2に、4級アンモニウム塩およびエネルギー線硬化性基を有するポリマーと、エネルギー線硬化性粘着成分とを含有する粘着剤組成物を用いることが記載されている。
また、表面保護粘着シートとして、例えば、特許文献3には、2-(メタ)アクリロイルオキシアルキルフタル酸が金属カチオンを含む塩基性物質によって中和された塩および特定のアルキレンオキシド基含有モノマーの構造単位を含有するアクリル系ポリマーを用いることが記載されている。
特開2010-53346号公報 特開2015-115385号公報 特開2017-119807号公報 特開2008-55710号公報
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、紫外線照射による剥離性はある程度良好であるが、帯電防止性能については考慮されていないものであり、更なる改良が求められるものである。
また、特許文献2の開示技術では、ある程度の帯電防止性能は得られているものの、その表面抵抗値は1012程度であり、まだまだ満足のいくものではない。更に、紫外線照射後の粘着力についても更なる微粘着化が求められる。
特許文献3の開示技術では、良好な帯電防止性能が得られており、更に活性エネルギー線照射後の粘着力は低粘着力であるものの、活性エネルギー線照射前の粘着力は考慮されていないものであり、活性エネルギー線照射前は粘着力に優れ、照射後は剥離性に優れることが重要な半導体ウエハの加工用粘着シートとしてはまだまだ満足のいくものではない。
特許文献4の開示技術では、帯電防止剤が粘着剤表面にブリードアウトして粘着力を悪化させたり、糊残りを生じさせたりする原因となること解決するために、導電性材料を分散させた粘着剤層と導電性材料を含有しない粘着剤層を有する帯電防止性粘着テープが提案されているが、剥離性(微粘着性)の点ではまだまだ満足いくものではなかった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、活性エネルギー線照射前の粘着力が良好であり、かつ、活性エネルギー線照射後の剥離性(微粘着性)に優れ、更に帯電防止性能にも優れた粘着シートを提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者らは、粘着シートを構成する粘着剤層(I)において、特定量のアクリル系樹脂および導電性材料を含有し、さらにもう一層、導電性材料を含有しない粘着剤層(II)を有する粘着テープにより、活性エネルギー線照射前の粘着力が良好であって、活性エネルギー線照射後の剥離性(微粘着性)に優れ、更には、帯電防止性能に優れることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、アクリル系樹脂(A)と導電性材料(B)を含有する粘着剤組成物(i)から形成される粘着剤層(I)と導電性材料(B)を含有しない粘着剤組成物(ii)から形成される粘着剤層(II)を少なくとも有する粘着シートであり、
上記粘着剤組成物(i)において、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、導電性材料(B)を0.01~1重量部含有し、
上記導電性材料を含有しない粘着剤層(II)が被着体との貼り合わせ面である粘着シートを要旨とする。
本発明によると、特定量のアクリル系樹脂(A)と導電性材料(B)を含有する粘着剤組成物(i)から形成された粘着剤層(I)を有し、更に導電性材料(B)を含有しない粘着剤組成物(ii)から形成された粘着剤層(II)を貼り合わせ面とした粘着シートとすることにより、活性エネルギー線照射前の粘着力が良好であり、電気特性(帯電防止性)、活性エネルギー線照射後の剥離性(微粘着性)、活性エネルギー線照射後の被着体の非汚染性に優れた粘着テープとなる。
さらに、基材上に粘着剤層(I)を設け、導電性材料(B)を含有しない粘着剤層(II)を貼り合わせ面とした粘着シートとし、粘着剤層(II)を厚さ2~10μmとすることで、帯電防止性と非汚染性が両立できる粘着テープとなる。
本発明の粘着剤シートは、活性エネルギー線照射前の粘着力が良好であって、活性エネルギー線照射後の剥離性(微粘着性)に優れ、更には、帯電防止性能にも優れたものとなり、とりわけ、半導体ウエハを用いた集積回路の作製や穴開け等の加工工程での表面保護用粘着シート等の粘着剤組成物として非常に有用である。
以下、本発明を実施するための形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
また、「アクリル系樹脂」とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む全構造単位を重合して得られる樹脂である。
なお、本発明において、「シート」とは、特に「フィルム」、「テープ」と区別するものではなく、これらも含めた意味として記載するものである。
本発明で用いられる粘着剤組成物は、通常、金属板、プラスチック板、半導体ウエハ等の被加工部材と貼り合せた後に剥離することを主な目的とする、粘着シートの粘着剤層を形成する粘着剤組成物として好ましく用いられる。上記粘着シートは、粘着剤組成物を基材シート上に塗工して、粘着剤層が形成されてなるものであり、被加工部材と貼り合せた後、活性エネルギー線を照射することにより粘着剤層が硬化して粘着力が低下し、容易に被加工部材から剥離することができるものである。
本発明の粘着シートは、アクリル系樹脂(A)と導電性材料(B)を含有する粘着剤組成物から形成される粘着剤層(I)を少なくとも一層有する粘着シートであって、
前記粘着剤組成物において、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、導電性材料(B)を0.01~1重量部含有し、
さらに導電性材料を含有しない粘着剤層(II)を有する粘着シートである。
以下、各構成成分について説明する。
<アクリル系樹脂(A)>
上記アクリル系樹脂(A)は、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)としては、(メタ)アクリレート系化合物由来の構造単位を主成分とし、必要に応じて官能基含有モノマー由来の構造単位やその他の共重合性モノマー由来の構造単位を含有する。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、アルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構造単位を有することが好ましい。
なお、「主成分とする」とは、全ての構造単位の中で最も含有量が大きいもので、通常40重量%以上含有することを意味する。
[アルキル(メタ)アクリレート(a1)]
上記アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、アクリル系樹脂(A)を構成する全構造単位の主成分である。また、上記アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、アルキル基の炭素数が、通常1~20であり、好ましくは1~12、特に好ましくは1~8である。炭素数が大きすぎると、粘着剤組成物中でアクリル系樹脂(A)と導電性材料(B)が均一に分散せず、被加工部材への糊残りが生じやすくなる傾向がある。
またアルキル基の炭素数1~3のアルキル(メタ)アクリレート(a1-1)とアルキル基の炭素数4以上のアルキル(メタ)アクリレート(a1-2)を併用することが好ましい。
上記アルキル基の炭素数1~3アルキル(メタ)アクリレート(a1-1)として、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが挙げられ、
アルキル基の炭素数4以上のアルキル(メタ)アクリレート(a1-2)としては、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アルキル(メタ)アクリレート(a1)のなかでも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさおよび原料入手しやすさの点で、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレートを併用することが特に好ましい。
また、上記アルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構造単位の含有量はアクリル系樹脂(A)の全構造単位全構造単位の通常30~99重量%であり、好ましくは40~93重量%、特に好ましくは60~90重量%である。かかる含有量が少なすぎると、活性エネルギー線照射前の粘着力が低下しやすくなる傾向があり、多すぎると活性エネルギー線照射前の粘着力が高くなりすぎる傾向がある。
アルキル基の炭素数1~3のアルキル(メタ)アクリレート(a1-1)由来の構造単位の含有量はアクリル系樹脂(A)の全構造単位全構造単位の通常1~50重量%であり、好ましくは5~40重量%、特に好ましくは10~30重量%である。かかる含有量が少なすぎると、活性エネルギー線照射前の粘着力が低下しやすくなる傾向があり、多すぎると活性エネルギー線照射前の粘着力が高くなりすぎる傾向がある。
アルキル基の炭素数4以上のアルキル(メタ)アクリレート(a1-2)由来の構造単位の含有量はアクリル系樹脂(A)の全構造単位の通常10~90重量%であり、好ましくは20~85重量%、特に好ましくは50~80重量%である。かかる含有量が少なすぎると、活性エネルギー線照射前の粘着力が低下しやすくなる傾向があり、多すぎると導電性材料(B)の分散性が悪化したり、活性エネルギー線照射後の粘着力が高くなりすぎる傾向がある。
[水酸基含有モノマー(a2)]
本発明のアクリル系樹脂(A)は、共重合成分として水酸基含有モノマー(a2)を用いることが好ましい。上記水酸基含有モノマー(a2)をアクリル系樹脂(A)の共重合成分として用いることで、アクリル系樹脂(A)が水酸基含有モノマー(a2)由来の構造部位、すなわち水酸基を有することとなる。この水酸基は、後述するエチレン性不飽和基を導入する際の反応点となり、また、後述する架橋剤(C)との反応点ともなる。
上記水酸基含有モノマー(a2)としては、水酸基含有(メタ)アクリレート系モノマーであることが好ましく、具体的には、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有モノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマー等を挙げることができる。
上記水酸基含有モノマー(a2)のなかでも、架橋剤(D)との反応性に優れる点で、1級水酸基含有モノマーが好ましく、特には2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
上記アクリル系樹脂(A)の全構造単位における水酸基含有モノマー(a2)由来の構造単位の含有量は、通常0.1~60重量%であり、好ましくは1~50重量%、より好ましくは7~40重量%であり、特に好ましくは10~30重量%である。かかる含有量が多すぎると、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向があり、少なすぎると後述するエチレン性不飽和基も少なくなるために粘着力の低下が不十分となり、被加工部材への汚染性が増大しやすくなる傾向がある。
[官能基含有モノマー(a3)]
本発明のアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a2)由来の構造単位の他に、官能基含有モノマー(a3)由来の構造単位を含有してもよい。上記官能基含有モノマー(a3)としては、官能基を有するモノマーであって、上記水酸基含有モノマー(a2)を除くものであり、例えば、カルボキシ基含有モノマー(a3―1)、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー等が挙げられる。また、これらの官能基含有モノマー(a3)は、単独でもしくは2種類以上を併用することができる。
上記水酸基含有モノマーの含有量(a2)を含有させ、さらにカルボキシ基含有モノマー(a3―1)を含有させる場合、カルボキシ基含有モノマー(a3―1)の含有量は、樹脂の保存安定性の観点からアクリル系樹脂(A)の全構造単位の通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
上記カルボキシ基含有モノマー(a3-1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN-グリコール酸、ケイ皮酸や、これらカルボキシ基含有モノマーのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
なかでも共重合性の点で(メタ)アクリル酸が好ましい。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマー由来の構造単位の含有量は、上記アクリル系樹脂(A)の全構造単位の通常20重量%以下であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、樹脂の保存安定性が低下したり、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向がある。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、(メタ)アクリルアミドN-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマー由来の構造単位の含有量は、カルボキシ基含有アクリル系樹脂(α)の全構造単位の通常20重量%以下であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向がある。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記グリシジル基含有モノマー由来の構造単位の含有量は、上記アクリル系樹脂(A)の全構造単位の通常10重量%以下であり、好ましくは7重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向がある。
上記スルホン酸基含有モノマー由来の構造単位としては、例えば、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチロールプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有モノマー由来の構造単位の含有量は、上記アクリル系樹脂(A)の全構造単位の通常1重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向がある。
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
上記アセトアセチル基含有モノマー由来の構造単位の含有量は、アクリル系樹脂(A)の全構造単位の通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向がある。
[その他の共重合性モノマー(a4)]
上記その他の共重合性モノマー(a4)としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステルモノマー;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン等の芳香環を含有するモノマー;ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のビフェニルオキシ構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基またはオキシアルキレン基を含有するモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アクリル系樹脂(A)の共全構造単位におけるその他の共重合性モノマー(a4)由来の構造単位の含有量としては、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。その他の共重合性モノマー(a4)が多すぎると粘着特性が低下しやすくなる傾向がある。
〔アクリル系樹脂(A)の製造方法〕
本発明では、アルキル(メタ)アクリレート(a1)、水酸基含有モノマー(a2)、必要に応じて官能基含有モノマー(a3)、その他の共重合性モノマー(a4)を共重合成分として重合することにより、(メタ)アクリル系樹脂(A)を製造する。かかる重合法としては通常、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法が適宜行われる。なかでも溶液ラジカル重合で製造することが、安全に、安定的に、任意のモノマー組成でアクリル系樹脂(A)を製造できる点で好ましい。
上記溶液ラジカル重合は、例えば、有機溶剤中に、アルキル(メタ)アクリレート(a1)、必要に応じて官能基含有モノマー(a2)、その他の共重合性モノマー(a3)等のモノマー成分および重合開始剤を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは通常50~98℃で0.1~20時間程度重合すればよい。
上記溶液ラジカル重合に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。また、上記有機溶剤の使用量は、通常、共全構造単位100重量部に対して10~900重量部である。
上記重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を用いることができ、具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。
上記アクリル系樹脂(A)は、そのまま用いてもよいが、本発明においては、アクリル系樹脂(A)が、さらにエチレン性不飽和基を有することが好ましい。アクリル系樹脂(A)がエチレン性不飽和基を有することにより、活性エネルギー線を照射した際に、エチレン性不飽和基が重合し硬化が起こり、粘着力が低下する。そのため、アクリル系樹脂(A)を含む粘着剤組成物を粘着シートとした際に易剥離性を付与することができる。
上記アクリル系樹脂(A)にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、アクリル系樹脂(A)とエチレン性不飽和基含有化合物とを反応させればよく、例えば、
(i)アクリル系樹脂(A)が有する水酸基とイソシアネート基含有エチレン性不飽和化合物とを反応させる方法、
(II)アクリル系樹脂(A)が有する水酸基と(メタ)アクリル酸無水物とを反応させる方法、
(III)アクリル系樹脂(A)が有する水酸基とエチレン性不飽和基含有カルボン酸とを反応させる方法、
(Iv)アクリル系樹脂(A)が有するカルボキシ基とビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類とを反応させる方法、
等が挙げられる。なかでも、反応性の点から(i)の方法が好ましい。
以下、好ましい方法である(i)について説明する。
上記(i)の方法においては、アクリル系樹脂(A)が有する水酸基含有モノマー(a3)由来の水酸基と、上記イソシアネート基含有エチレン性不飽和化合物のイソシアネート基とが反応し、アクリル系樹脂(A)にエチレン性不飽和結合およびウレタン結合を含むエチレン性不飽和基が導入された、エチレン性不飽和基を含有するアクリル系樹脂を得ることができる。
[イソシアネート基含有エチレン性不飽和化合物]
上記イソシアネート基含有エチレン性不飽和化合物は、イソシアネート基を持ち、重合可能なエチレン性不飽和基を持つモノマーである。
上記イソシアネート基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3-(メタ)アクリロイルオキシ-n-プロピルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシイソプロピルイソシアネート、4-(メタ)アクリロイルオキシ-n-ブチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-tert-ブチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシブチル-4-イソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシブチル-3-イソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシブチル-2-イソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシブチル-1-イソシアネート、5-(メタ)アクリロイルオキシ-n-ペンチルイソシアネート、6-(メタ)アクリロイルオキシ-n-ヘキシルイソシアネート、7-(メタ)アクリロイルオキシ-n-ヘプチルイソシアネート、2-(イソシアナトエチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3-(メタ)アクリロイルオキシフェニルイソシアネート、4-(メタ)アクリロイルオキシフェニルイソシアネート、1,1-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)メチルイソシアネート、1,1-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2’-ペンテノイル-4-オキシフェニルイソシアネート等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
これらの化合物のなかでも特に、合成のしやすさ、原料の入手のしやすさから、(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、さらに、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-(イソシアナトエチルオキシ)エチルメタクリレート、2-(イソシアナトエチルオキシ)エチルアクリレート、および1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが好ましい。
アクリル系樹脂(A)とイソシアネート基含有エチレン性不飽和化合物との反応における両者の使用割合は、水酸基とイソシアネート基との比を考慮して適宜設定され、両化合物の種類によって異なるが、通常、アクリル系樹脂(A)中の水酸基含有モノマー(a3)100mol%に対して、イソシアネート基含有エチレン性不飽和化合物10~100mol%、好ましくは15~95mol%、特に好ましくは20~90mol%である。
また、両化合物の反応は反応触媒の存在下で行ってよく、反応触媒の添加量によって反応速度を調節することができる。
上記反応触媒としては、公知の反応触媒を用いることができる。反応触媒の具体例としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジルコニウムアセチルアセトナート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、ビスマストリス(2-エチルヘキサノアート)と2-エチルヘキサン酸の混合物等が挙げられる。これらの反応触媒の中から選ばれる1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
両化合物を反応させる際の反応温度は、-10~100℃が好ましく、0~80℃がより好ましい。反応時間は、30分間~50時間が好ましく、1時間~20時間がより好ましい。
両化合物の反応させる際には、必要に応じて、重合禁止剤を反応系に添加してもよい。重合禁止剤としては、通常使用されているものを用いることができ、例えば、フェノール系化合物、ヒドロキノン系化合物等を使用することができる。重合禁止剤の具体例としては、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、カテコール、p-tert-ブチルカテコール、クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)等が挙げられる。
その他、両化合物の反応に際し、目的に応じて、公知の添加剤を添加してもよい。
またウレタン化率の算出方法としては、アクリル樹脂の水酸基量(mol)に対するイソシアネート基含有エチレン性不飽和化合物のイソシアネート基量(mol)の割合から算出している。尚、IRによってイソシアネート基のピークの消失を確認することで、仕込んだイソシアネート基が100%反応したと判断した。
上記においては、アクリル系樹脂(A)にエチレン性不飽和基を導入するための好ましい態様である(i)の方法について説明したが、前記(II)~(Iv)の方法においても常法に従うことにより、アクリル系樹脂(A)にエチレン性不飽和基を導入することができる。
〔アクリル系樹脂(A)の物性〕
上記の重合方法によって得られるアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、通常10万~200万、好ましくは15万~150万、特に好ましくは20万~120万、殊に好ましくは、30万~100万である。重量平均分子量が小さすぎると、被加工部材に対する汚染性が高くなる傾向があり、大きすぎると塗工性が低下しやすくなり、またコストの面で不利となる傾向がある。
さらに、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、特には10以下が好ましく、さらには7以下が好ましく、殊には5以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると被加工部材に対する汚染性が増大する傾向がある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100~2×107、理論段数:10000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)を3本直列にして用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法で得ることができる。
また、アクリル系樹脂(A)の25℃での粘度は、100~50000mPa・sであることが好ましく、特に好ましくは500~10000mPa・sである。かかる粘度が上記範囲外では塗工性が低下する傾向がある。なお、粘度の測定法はE型粘度計による。
そして、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、通常40℃以下であり、好ましくは-60~20℃であることが好ましく、特に好ましくは-50~-5℃、さらに好ましくは-40~-10℃である。ガラス転移温度が高すぎると粘着性が低下する傾向があり、低すぎると被加工部材に対する汚染性が増大する傾向がある。
なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、アクリル系樹脂(A)を構成するそれぞれのモノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度および重量分率を、下記のFoxの式に当てはめて算出した値である。
Figure 2023140771000001
ここで、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定されるものであり、JIS K 7121-1987や、JIS K 6240に準拠した方法で測定することができる。
上記アクリル系樹脂(A)の酸価は、20mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは15mgKOH/g以下であり、特に好ましくは10mgKOH/g以下である。上記アクリル系樹脂(A)の酸価が高すぎる場合は、活性エネルギー線照射後の剥離性が低下する傾向がある。
〔導電性材料(B)〕
本発明に用いられる粘着剤組成物は、導電性材料(B)をアクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01~1重量部含有する。
導電性材料(B)としては、例えば、金属系導電性フィラーや炭素系導電性フィラー(b1)が一般的である。金属系導電性フィラーは導電性に優れるが、高比重であるため、長時間放置すると金属系導電性フィラーが沈降し、導電性のバラツキが生じる場合がある。一方、炭素系導電性フィラー(b1)は比較的導電性が良好であり、低比重で分散性に優れている。
炭素系導電性フィラー(b1)としては、粘着シートに用いられるものであれば、特に限定されないが、例えば、カーボンブラックやカーボンナノ材料等が挙げられ、好ましくはカーボンナノ材料である。
カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。これらのカーボンブラックの種類は、目的とする導電性により適宜選択することができ、その用途によって、酸化処理、グラフト処理等の酸化劣化を防止したものや、溶剤への分散性を向上させたものを用いることが好ましい。
カーボンナノ材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノウォール、及びフラーレン、カーボンナノファイバー等が挙げられる。これらを含有した粘着剤は、導電性に優れており、帯電防止性が要求される粘着テープに使用することは、有効である。
前記カーボンナノ材料として、特に、炭素系繊維状導電性フィラーであるカーボンナノファイバーや、炭素系繊維状導電性フィラーに類する中空チューブ状フィラーのカーボンナノチューブ等を用いることが好ましい。これらは、アスペクト比が大きく、アンカー効果を有し、界面の接着特性に非常に効果がある。また、粘着剤層(I)からフィラーの脱落を抑えることができる。
前記カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブは、導電性に優れ、化学的に安定であるため、粘着剤層(I)に含有さカーボンナノチューブせた場合に、品質安定性に優れた帯電防止性粘着テープを得ることができる。
カーボンナノチューブの形状としては、単層、多層などあるが、単層がより電気導電性が良好な点で好ましい。
カーボンナノチューブの直径が、50nm以下、好ましくは1~30nm以下が好ましい。
かかる範囲内であると帯電防止性能に優れる。
カーボンナノチューブの長さが、2000μm以下、好ましくは1~100μmが好ましい。
かかる範囲内であると帯電防止性能に優れる。
導電性材料(B)の含有量は、導電性材料の種類にもよるが、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~1重量部であり、より好ましくは 0.05~0.5 重量部である。
導電性材料(B)の含有量が上記の範囲内であれば、活性エネルギー線照射前の粘着力が良好であり、かつ、活性エネルギー線照射後の剥離性(微粘着性)に優れ、更に帯電防止性能にも優れた粘着シートを得ることができる。
少なすぎると、粘着剤層の帯電防止特性が劣る原因になり、一方、多すぎると、増粘により生産が困難になるほか、粘着力が著しく低下する。
〔光重合開始剤(C)〕
本発明で用いられる粘着剤組成物は、活性エネルギー線照射における硬化性を向上させ、活性エネルギー線照射後の剥離性を向上させる点から、光重合開始剤(C)を配合させることが好ましい。
上記光重合開始剤(C)としては、光の作用によりラジカルを発生するものであればよく、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;
ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチル-ジフェニルサルファイド、3,3',4,4'-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4-ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;
2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-(3-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサントン-9-オンメソクロリド等のチオキサントン類;
2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;
等が挙げられる。なかでも、好ましくは、アセトフェノン類、とりわけ1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンや、チオキサントン類、とりわけ2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイドである。
なお、これら光重合開始剤(C)は、単独で用いるか、または2種以上を併用することができる。
上記光重合開始剤(C)の含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.1~20重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.5~15重量部、殊に好ましくは0.5~5重量部である。
光重合開始剤(C)の含有量が少なすぎると活性エネルギー線照射後の剥離性が低下しやすくなる傾向があり、多すぎると被加工部材に対する汚染性が増大する傾向がある。
また、これら光重合開始剤(C)の助剤として、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。これらの助剤も単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
〔架橋剤(D)〕
本発明で用いられる粘着剤組成物には、活性エネルギー線照射前の粘着力を向上させるために、更に架橋剤(D)を含有させることが好ましい。上述のように架橋剤(D)は、アクリル系樹脂(A)中の官能基と反応し、架橋構造を形成するものである。
上記架橋剤(D)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。これらのなかでも、粘着シートの基材シートとの接着性を向上させる点やアクリル系樹脂(A)との反応性の点から、イソシアネート系架橋剤、金属キレート系架橋剤を用いることが好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個以上含むものであり、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート等、およびこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等が挙げられる。これらのなかでも薬剤耐性や官能基との反応性の点で芳香族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体が好ましく、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体が特に好ましい。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3-ビス(N,N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ-β-アジリジニルプロピオネート、トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)、トリス-1-(2-メチルアジリジン)フォスフィン、トリメチロールプロパントリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等が挙げられる。
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるアミノ基含有メチロールメラミン、イミノ基含有メチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロールメラミン誘導体、メチロールメラミン誘導体にメチルアルコールやブチルアルコール等の低級アルコールを反応させて部分的または完全にエーテル化した、部分または完全アルキル化メチロールメラミン、イミノ基含有部分または完全アルキル化メチロールメラミン等のアルキル化メチロールメラミン等が挙げられる。
上記アルデヒド系架橋剤とは、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4-ジオキサン-2,3-ジオール、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-2-イミダゾリジン、ジメチロール尿素、N-メチロールアクリルアミド、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂等の水溶液中でアルデヒドを遊離するアルデヒド系化合物、または、ベンズアルデヒド、2-メチルベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド系化合物が挙げられる。
上記アミン系架橋剤としては、例えば、4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、変性4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、ジエチルトルエンジアミン等が挙げられる。
上記金属キレート系架橋剤には、例えば、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等のキレート化合物があげられ、性能の点からアルミニウムキレート化合物が好ましい。アルミニウムキレート化合物としては、例えば、ナーセムアルミニウム、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート等が挙げられる。なかでもナーセムアルミニウムが好ましい。
上記架橋剤(D)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤(D)の含有量は、通常、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.1~30重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.2~10重量部、さらに好ましくは0.2~3重量部である。架橋剤(D)が少なすぎると、粘着剤の凝集力が低下し、糊残りの原因となる傾向があり、多すぎると、粘着剤の柔軟性および粘着力が低下し、被加工部材との間に浮きが生じる傾向がある。
〔その他の成分〕
本発明で用いられる粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに例えば、エチレン性不飽和化合物を配合することも活性エネルギー線照射後の剥離性の点で好ましく、また、帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、充填剤、顔料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、粘着付与樹脂等の添加剤をさらに含有していてもよい。これらの添加剤は単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。特に酸化防止剤は、粘着剤層の安定性を保つのに有効である。酸化防止剤を配合する場合の含有量は、特に制限はないが、好ましくは0.01~5重量%である。なお、添加剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されていてもよい。
かくして、アクリル系樹脂(A)、好ましくは光重合性開始剤(B)、架橋剤(D)、必要に応じてその他の成分を混合することにより、本発明で用いられる粘着剤組成物が得られる。
〔粘着剤層(I)〕
本発明で用いられる粘着剤層(I)は、上記の粘着剤組成物のアクリル系樹脂(A)が上記架橋剤(D)により架橋されることで粘着剤層(I)としての性能を発揮するのであるが、その後、活性エネルギー線照射することにより、アクリル系樹脂(A)が有するエチレン性不飽和基が重合して粘着剤が硬化し、粘着力の低下が起こることで剥離性を発揮することとなる。
粘着剤層(I)の厚さは、2~100μm、好ましくは5~25μmであり、かかる厚さが薄すぎると帯電防止性能が低くなり、厚すぎると活性エネルギー線照射後の粘着力が高くなりすぎる傾向がある。
〔粘着剤層(II)〕
本発明で用いられる粘着剤層(II)は、被着体との貼り合わせ面であり、導電性材料(B)を含有しないものであり、上記のアクリル系樹脂(A)、架橋剤(C)、光重合開始剤(D)などを含有する。
〔粘着シート〕
本発明の粘着シートは、通常、電子基板、半導体ウエハ、ガラス加工品、金属板、プラスチック板等の被加工部材を加工する際、一時的に表面を保護するための粘着シートの粘着剤層として好ましく用いられる。
本発明の粘着シートは、アクリル系樹脂(A)と導電性材料(B)を含有する粘着剤組成物から形成される粘着剤層(I)、導電性材料を含有しない粘着剤層(II)、を有し、さらに通常は、基材シート、離型フィルムを有する。
本発明の粘着シートは、各層を基材シート/粘着剤層(I)/粘着剤層(II)/離型フィルムの順に積層されたものが好ましい。
かかる粘着シートの作製方法としては、まず本発明で用いられる粘着剤組成物をそのまま、または適当な有機溶剤により濃度調整し、剥離フィルム上または基材シート上に直接塗工する。その後、例えば80~105℃、0.5~10分間加熱処理等により乾燥させ、これを基材シートまたは離型フィルムに貼付することにより粘着シートを得ることができる。また、粘着物性のバランスをとるために、乾燥後にさらにエージングを行ってもよい。
上記基材シートとしては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド等の合成樹脂シート、アルミニウム、銅、鉄の金属箔、上質紙、グラシン紙等の紙、硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。これらの基材シートは、単層体としてまたは2種以上が積層された複層体として用いることができる。これらのなかでも、軽量化等の点から、合成樹脂シートが好ましい。
さらに、上記離型フィルムとしては、例えば、上記基材シートで例示した各種合成樹脂シート、紙、織物、不織布等に離型処理したものを使用することができる。
また、上記粘着剤組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。
上記エージングの条件としては、温度は通常、常温(23℃)~70℃、時間は通常、1~30日間であり、具体的には、例えば23℃で1~20日間、23℃で3~10日間、40℃で1~7日間等の条件で行なえばよい。
上記粘着シートの粘着剤層(I)、粘着剤層(II)のゲル分率は、粘着性の点から10~99重量%であることが好ましく、特に好ましくは20~97重量%であり、さらに好ましくは25~95重量%である。ゲル分率が低すぎると被加工部材に対する粘着力が低下する傾向にあり、高すぎても被加工部材に対する粘着力が低下する傾向にある。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。粘着シートをSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼合して、粘着シートを包み込んだ後、酢酸エチルの入った密封容器にて24時間浸漬した際の、酢酸エチル浸漬前後の粘着剤層の重量変化から下記式によりゲル分率を求める。
ゲル分率(%)=酢酸エチル浸漬後の粘着剤層の重量(g)
/酢酸エチル浸漬前の粘着剤層の重量(g)×100
なお、粘着剤層(I)、粘着剤層(II)のゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、架橋剤の種類と量を調整すること等により達成される。
本発明の粘着シートは、活性エネルギー線を照射することにより、粘着力が低下するものであるが、上記活性エネルギー線としては、通常、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できる。なかでも、硬化速度、照射装置の入手のしやすさ、価格等から紫外線が好ましい。
上記紫外線を照射する場合の積算照射量は、通常50~3000mJ/cm2、好ましくは100~1000mJ/cm2である。また、照射時間は、光源の種類、光源と粘着剤層との距離、粘着剤層の厚み、その他の条件によっても異なるが、通常は数秒間、場合によっては数分の1秒間でもよい。
上記粘着シートの粘着剤層(I)、粘着剤層(II)の粘着力は、基材シートの種類、被加工部材の種類等によっても異なるが、活性エネルギー線照射前は、0.1~30N/25mmが好ましく、さらには0.5~20N/25mmが好ましい。
また、上記粘着シートは、粘着剤層(I)、粘着剤層(II)の粘着力が、80Wの高圧水銀灯を1灯用いて、積算照射量250mJ/cm2の紫外線照射を施し、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間静置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した場合、0.01~1N/25mm未満が好ましく、さらには0.05~0.5N/25mmが好ましい。
本発明で用いられる粘着剤組成物は、例えば、これを粘着剤層として用いた粘着シートを、被加工部材と貼り合せ、被加工部材の表面を一時的に保護した後に、必要に応じて活性エネルギー線を照射することにより、粘着剤層が硬化して粘着力が低下し、容易に被加工部材から剥離することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」とあるのは、重量基準を意味する。
また、下記実施例中におけるアクリル系樹脂の重量平均分子量、分散度は前述の方法に従って測定した。
アクリル系樹脂のガラス転移温度についてはFoxの式を用いて算出し、アクリル系樹脂を構成するモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度は通常DSCにより測定されてなる文献値及びカタログ記載値を用いた。
まず、実施例に先立って下記の成分を準備した。
<アクリル系樹脂(A-1)の調製>
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、酢酸エチル320部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.28部を仕込み、還流温度まで加熱し、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)112部、メチルメタクリレート(MMA)80部、n-ブチルアクリレート(BA)208部の混合モノマーを2時間かけて滴下した後、1時間加熱し、さらに2アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)酢酸エチル溶液を適宜滴下しながら還流温度で4時間反応させた。その後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(α―1)溶液(固形分39.7重量%、粘度5700mPa・s/25℃、ガラス転移温度(Tg)-23.7℃)を得た。
上記で得られたアクリル系樹脂(αー1)溶液に、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」と称する。)(昭和電工社製)と、ウレタン化触媒としてジブチル錫ジラウレートとを適宜追加し、50℃で18時間反応させ、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A―1)溶液を得た(固形分35.7%、粘度2200mPa・s/25℃、アクリル系樹脂(α-1):重量平均分子量(Mw)67万、分散度(Mw/Mn)4.6)。MOIによるウレタン化率は45mol%であった。
<導電性材料(B)>
導電性材料(B)として以下のものを用意した。
(B-1)単層カーボンナノチューブ(OCSiAI社製「MatrIx604」 可塑剤90%、TUBALL10%、)
(B-2)イオン液体型帯電防止剤(3M社製「FC4400」)
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤(C)として以下のものを用意した。
(C-1)アセトフェノン系光重合開始剤(IGM RESINS社製「Omnirad184」)
<架橋剤(D)>
架橋剤(D)として以下のものを用意した。
(D-1)トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(東ソー社製「コロネートL55E」)
<アクリル系樹脂(A)と導電性材料(B)を含有する粘着剤組成物(i)溶液の調整>
用意したアクリル系樹脂(A-1)と導電性材料(B)を配合、3000ppmで30分間撹拌したのち、300メッシュの濾布でろ過した後、光重合開始剤(C-1)、架橋剤(D-1)を用いて、表1に示す通りの配合割合にて各成分を混合した後、酢酸エチルによって固形分濃度を30重量%に調液して、粘着剤組成物(i)溶液を得た。
<導電性材料(B)を含有しない粘着剤組成物(ii)溶液の調整>
用意したアクリル系樹脂(A-1)と光重合開始剤(C-1)、架橋剤(D-1)を用いて、表1に示す通りの配合割合にて各成分を混合した後、酢酸エチルによって固形分濃度を30重量%に調液して粘着剤組成物(ii)溶液を得た。
得られた粘着剤組成物について、下記の評価を行った。
<ゲル分率>
得られた粘着剤組成物(i)、(ii)の溶液をそれぞれ重剥離38μmポリエステル系離型シート(三井化学東セロ社製「ルミラーSP03-38BU」)に乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で5分間乾燥した後、軽剥離38μmポリエステル系離型シート(三井化学東セロ社製「ルミラーSP01-38BU」)に貼合し、粘着シート[1´]を得た。さらに得られた粘着シート[1´]を40℃の乾燥機に3日間静置し、粘着シート[1]を得た。得られた粘着シート[1]を用いて以下の評価を実施した。
上記で得られた粘着シート[1]を40mm×40mmに裁断した後、軽剥離38μmポリエステル系離型シートを剥がし、粘着剤層側を50mm×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)の短手方向の両端から5mm、長手方向の端から10mmの位置に貼合してから、重剥離38μmポリエステル系離型シートを剥がし、SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返してサンプルを包み込んだ後、酢酸エチル250gの入った密封容器にて24時間浸漬した際の、酢酸エチル浸漬前後の粘着剤層の重量変化から下記式によりゲル分率を求めた。
ゲル分率(%)=〔酢酸エチル浸漬後の粘着剤層の重量(g)
/酢酸エチル浸漬前の粘着剤層の重量(g)〕×100
<紫外線(UV)照射前粘着力>
(実施例1)
上記で得られたアクリル系樹脂(A)と導電性材料(B)を含有する粘着剤組成物溶液(i)を未処理38μmポリエステル系シート(三井化学東セロ社製「ルミラー60T」)に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で5分間乾燥して粘着シート[2´´]を得た。
上記で得られた導電性材料(B)を含有しない粘着剤組成物溶液(ii)を軽剥離38μmポリエステル系離型シート(三井化学東セロ社製「ルミラーSP03-38BU」)に乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、100℃で5分間乾燥した後、上記で得られた粘着剤層(I)付き粘着シートに貼合し、粘着剤層粘着シート[2´]を得た。
さらに得られた粘着シート[2´]を40℃の乾燥機に3日間静置し、粘着剤層粘着シート[2]を得た。
上記で得られた粘着剤層粘着シート[2]について、以下の評価を実施した。
粘着シート[2]から25mm×100mmの試験片を作製し、ポリエステル系離型シートを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に23℃、50%RHの雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、直ちに剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
(比較例)
得られた粘着剤組成物溶液を未処理38μmポリエステル系シート(三井化学東セロ社製「ルミラー60T」)に乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で5分間乾燥した後、軽剥離38μmポリエステル系離型シート(三井化学東セロ社製「ルミラーSP01-38BU」)に貼合し、粘着シート[3´]を得た。さらに得られた粘着シート[3´]を40℃の乾燥機に4日間静置し、粘着シート[3]を得た。以下の評価を実施した。
粘着シート[3]から25mm×100mmの試験片を作製し、ポリエステル系離型シートを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に23℃、50%RHの雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、直ちに剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
<紫外線(UV)照射後粘着力>
上記の粘着シート[2]及び粘着シート[3]から25mm×100mmの試験片を作製し、ポリエステル系離型シートを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に23℃、50%RHの雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、高圧水銀灯80Wを1灯用いて、未処理38μmポリエステル系シート側から紫外線照射(積算照射量250mJ/cm2)を施した。さらに30分間、23℃、50%RHの雰囲気下で静置した後、直ちに剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。評価基準は下記の通りである。
(基準)
〇・・・0.3N/25mm未満
×・・・0.3N/25mm以上
<帯電防止性能>
上記の粘着シート[2]及び粘着シート[3]を未処理38μmポリエステル系シート側から紫外線照射(積算照射量250mJ/cm2)を施し、それぞれを40mm×40mmに裁断した後、ポリエステル系離型シートを剥がし、表面抵抗率測定装置(三菱化学アナリテック社製、装置名「Hiresta-UP MCP-HT450」)を用いて、粘着剤層の表面抵抗率を測定した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
○・・・UV照射後に9.0×1011 Ω/□未満
×・・・UV照射後に9.0×1011 Ω/□以上
Figure 2023140771000002
<加熱紫外線(UV)照射後粘着力>
上記の粘着シート[2]及び粘着シート[3]から25mm×100mmの試験片を作製し、ポリエステル系離型シートを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に23℃、50%RHの雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、60℃のオーブンで30分加熱後30分間、23℃、50%RHの雰囲気下で静置した後に、高圧水銀灯80Wを1灯用いて、未処理38μmポリエステル系シート側から紫外線照射(積算照射量250mJ/cm)を施した。さらに30分間、23℃、50%RHの雰囲気下で静置した後、直ちに剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。評価基準は下記の通りである。
(基準)
〇・・・0.7N/25mm未満
×・・・0.7N/25mm以上
〔加熱・活性エネルギー線照射(高圧水銀灯での照射)後の糊残り評価(1)〕
異物が付着していないステンレス板(SUS304BA板:サイズ70mm×150mm)の表面に、上記で得られた粘着シート(S2)から切り出した25mm×100mmの試験片を貼付し、その後60℃で30分間加熱処理を行った。加熱処理後の粘着シートを貼付したステンレス板を、23℃、50%RHの雰囲気下で1時間静置した後、80Wの高圧水銀灯1灯を用いて、未処理38μmポリエステル系シート側から紫外線照射(積算照射量250mJ/cm)を施し、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間静置した後、ステンレス板の表面から粘着シートを剥離し、剥離後のステンレス板について、デジタルマイクロスコープ(ハイロックス社製HR-2000)を用いて1000倍に拡大した状態で糊残りを確認し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・糊残りなし
×・・・糊残りあり
Figure 2023140771000003
上記表1の結果より、帯電防止剤を使用しない比較例1は表面抵抗値が不十分であり、比較例2はUV照射後の表面抵抗値が悪化する。
また直接導電性材料(B)を含有する粘着層が被着体に接している比較例3,4,5は、加熱後UV照射後の粘着力が高くなってしまい、被着体汚染性も悪化することがわかった。
本発明で用いられる粘着剤シートは、半導体ウエハ、プリント基板、ガラス加工品、金属板、プラスチック板等を加工する際の一時的な表面保護用粘着フィルムに好適に用いることができ、とりわけ、半導体ウエハ等のダイシング工程等の半導体固定用の粘着シートとして有用である。

Claims (14)

  1. アクリル系樹脂(A)と導電性材料(B)を含有する粘着剤組成物(i)から形成される粘着剤層(I)と導電性材料(B)を含有しない粘着剤組成物(ii)から形成される粘着剤層(II)を少なくとも有する粘着シートであって、
    上記粘着剤組成物(i)において、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、導電性材料(B)を0.01~1重量部含有し、
    上記導電性材料を含有しない粘着剤層(II)が被着体との貼り合わせ面である粘着シート。
  2. 上記アクリル系樹脂(A)が、アルキル基の炭素数1~3アルキル(メタ)アクリレート(a1-1)由来の構造を含有する請求項1記載の粘着シート。
  3. 上記アクリル系樹脂(A)が、エチレン性不飽和基を含有する請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 上記導電性材料(B)が炭素系導電性フィラー(b1)である請求項1~3いずれか一項に記載の粘着シート。
  5. 上記炭素系導電性フィラー(b1)がカーボンナノ材料である請求項4記載の粘着シート。
  6. 上記カーボンナノ材料がカーボンナノファイバー又はカーボンナノチューブである請求項5記載の粘着シート。
  7. 上記カーボンナノチューブが、単層のカーボンナノチューブである請求項6記載の粘着シート。
  8. 上記カーボンナノチューブの直径が、0.5~5nmである請求項6又は7記載の粘着シート。
  9. 上記粘着剤組成物(i)が、更に光重合開始剤(C)を含有することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の粘着剤シート。
  10. 上記粘着剤組成物(i)が、更に架橋剤(D)を含有することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の粘着剤シート。
  11. 上記アクリル系樹脂(A)と導電性材料(B)を含有する粘着剤組成物から形成される粘着剤層(I)が、上記粘着剤組成物が架橋されてなる請求項1~10のいずれか一項に記載の粘着シート。
  12. 上記粘着剤層(II)の厚さが2~10μmである請求項1~11いずれか一項に記載の粘着シート。
  13. 上記粘着剤組成物(ii)が、アクリル系樹脂(A)を含有する請求項1~12いずれか一項に記載の粘着シート。
  14. 活性エネルギー線照射により粘着剤層が硬化され剥離可能となることを特徴とする請求項1~13いずれか一項に記載の粘着シート。
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