JP2023101104A - インクジェットインク組成物及び記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦堅牢性、インク流路の部材への堆積性、及びノズル面のクリーニング性に優れるインクジェットインク組成物を提供すること。【解決手段】シリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材を少なくとも有するインク流路を備えるインクジェット記録装置に用いるインクジェットインク組成物であって、それぞれ所定の顔料と樹脂粒子とグリコール系溶剤と金属水酸化物とアミン化合物と水と、を所定の割合で含む、インクジェットインク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク組成物及び記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、微細なノズルからインクジェットインク組成物の小滴を吐出して、記録媒体に付着させて記録を行う方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度かつ高品位な画像を、高速で記録できるという特徴を有する。また、インクジェット記録方法により、布帛等を染色(捺染)するインクジェット捺染方法が検討されている。従来、布帛(織布や不織布)に対する捺染方法としては、スクリーン捺染法、ローラー捺染法等が用いられてきたが、多種少量生産性、及び即時プリント性等の観点から、インクジェット捺染方法を適用することが有利であり、より一層の発展が求められている。
顔料捺染インクは、布帛の表面近傍でインクを定着させるため発色性に優れるが、その反面、摩擦堅牢性が劣りやすいという問題がある。そのため、定着性及び摩擦堅牢性の向上を目的として捺染インクには樹脂を含有させる等の検討がなされてきた。例えば、特許文献1においては、インクジェット印刷用インクの印刷特性を確保したまま、印刷対象物への顔料の固着性を改善することを目的として、所定の、顔料と、水系分散媒体と、顔料用分散剤と、ポリウレタン系樹脂とを主体とするエマルション粒子の4種の必須成分からなることを特徴とするインクジェット印刷用水系顔料インク組成物が開示されている。
特開2003-96342号公報
しかしながら、特許文献1には、シリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材を少なくとも有するインク流路を備えるインクジェット記録装置について、インクジェットインク組成物が樹脂粒子を含む場合に、該インク流路に堆積物が生じやすいことに関する課題については何ら記載されていない。
また、インクジェットインク組成物に含まれるエマルジョン樹脂の平均粒径を所定の範囲にすることにより、インクが吐出不良になるトラブルの発生を抑えることができる旨について一部記載されているものの、吐出不良防止のために樹脂粒子の平均粒子以外の物性や、その他の成分の調整について検討しておらず、上記のインク流路を備えるインクジェット記録装置におけるインク組成物による堆積物の抑制を十分に達成しているとはいえない。
本発明のインクジェットインク組成物は、シリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材を少なくとも有するインク流路を備えるインクジェット記録装置に用いるインクジェットインク組成物であって、顔料と、樹脂粒子と、グリコール系溶剤と、金属水酸化物と、アミン化合物と、水と、を含み、上記樹脂粒子が、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含み、上記樹脂粒子の100%モジュラスが、5.0MPa以上であり、上記樹脂粒子の含有量が、上記インクジェットインク組成物の総量に対して3.0質量%以上であり、上記グリコール系溶剤の標準沸点が、250℃以上であり、上記グリコール系溶剤の含有量が、上記インクジェットインク組成物の総量に対して、10~30質量%であり、上記金属水酸化物の含有量が、上記インクジェットインク組成物の総量に対して、0.01質量%以上であり、上記アミン化合物の含有量が、上記インクジェットインク組成物の総量に対して、0.1質量%以上であり、上記金属水酸化物の含有量と上記アミン化合物の含有量との総量が、上記インクジェットインク組成物の総量に対して、0.2~1.5質量%であり、上記金属水酸化物の含有量に対する、上記グリコール系溶剤の含有量の質量比が、120~800である、インクジェットインク組成物である。
また、本発明の記録方法は、シリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材を少なくとも含むインク流路を備えるインクジェット記録装置を用いた記録方法であって、上記のインクジェットインク組成物がインク流路を通じてインクジェットヘッドまで送液する送液工程と、上記インクジェットインク組成物を上記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体へ付着させるインク付着工程と、を含む、記録方法である。
本実施形態で用いることのできる記録装置の概略図である。 本実施形態で用いることのできる自己封止弁の概略図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
1.インクジェットインク組成物
本実施形態のインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう)は、シリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材(以下、単に「部材」ともいう)を少なくとも有するインク流路を備えるインクジェット記録装置に用いるインクジェットインク組成物であって、顔料と、樹脂粒子と、グリコール系溶剤と、金属水酸化物と、アミン化合物と、水と、を含み、上記樹脂粒子が、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含み、上記樹脂粒子の100%モジュラスが、5.0MPa以上であり、上記樹脂粒子の含有量が、上記インクジェットインク組成物の総量に対して3.0質量%以上であり、上記グリコール系溶剤の標準沸点が、250℃以上であり、上記グリコール系溶剤の含有量が、上記インクジェットインク組成物の総量に対して、10~30質量%であり、上記金属水酸化物の含有量が、上記インクジェットインク組成物の総量に対して、0.01質量%以上であり、上記アミン化合物の含有量が、上記インクジェットインク組成物の総量に対して、0.1質量%以上であり、上記金属水酸化物の含有量と上記アミン化合物の含有量との総量が、上記インクジェットインク組成物の総量に対して、0.2~1.5質量%であり、上記金属水酸化物の含有量に対する、上記グリコール系溶剤の含有量の質量比が、120~800以下である、インクジェットインク組成物、であり、必要に応じて界面活性剤その他の成分を含んでいてもよい。
従来、顔料捺染インクは、布帛の表面近傍でインクを定着させているため発色性に優れるが、その反面、摩擦堅牢性が劣りやすいという問題がある。そのため、定着性及び摩擦堅牢性の向上を目的として捺染インクに樹脂粒子を含有させることが考えられる。
しかしながら、インク組成物が樹脂粒子を含む場合、特に、シリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材を含むインク流路を備えるインクジェット記録装置に対して上記インク組成物を用いる場合に、インク流路を構成する部材に堆積物が生じることがわかってきた。
これに対して、本実施形態においてはポリカーボネート骨格を有し、比較的に高い100%モジュラスを有するウレタン樹脂を含む樹脂粒子を用いることにより、摩擦堅牢性を向上しつつ、インク流路の堆積物の発生を抑制する。ウレタン樹脂と堆積物との関係については、特に限定されないが、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂は耐溶剤性や耐オイル性に優れているため、インク組成物中の溶剤やインク流路を構成する部材に含まれる可塑剤やオイルなどの影響によっても、凝集しにくく堆積物を生じさせにくいためと考えられる。また、100%モジュラスと堆積物との関係については、特に限定されないが、100%モジュラスが低いほど柔らかい堆積物が生じ、それがくっつきやすいものと考えられる。しかしながら、ポリカーボネート骨格を有し、比較的に高い100%モジュラスを有するウレタン樹脂が堆積物の発生を抑制する作用機序は上記に限定されるものではない。
また一方で、上記のようなポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂は、乾燥により凝集しやすく、ノズルの目詰まりを生じさせやすく、ノズル面のクリーニング性が低下することがわかってきた。そのため、本実施形態においては、グリコール系溶剤と、金属水酸化物と、アミン化合物とを併用することにより、インクの乾燥を抑制するとともに、ウレタン樹脂粒子の分散安定性を向上する。
そこで、本実施形態においては、所定の樹脂粒子を用いることにより摩擦堅牢性を向上させ、部材への堆積物の発生を抑制し、さらにグリコール系溶剤と金属水酸化物とアミン化合物とを所定の割合で含むことにより、ノズル面のクリーニング性を向上させることができる。
以下、インク組成物について詳説する。
1.1.顔料
顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.(Colour Index Generic Name)ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
上記顔料は、分散剤により水に分散させて得られる顔料分散液として、あるいは、顔料粒子表面に化学反応を利用して親水性基を導入した自己分散型の表面処理顔料を水に分散させて得られるか、又は、ポリマーで被覆された顔料を水に分散させて得られる顔料分散液として添加することが好ましい。
顔料の含有量は、インク組成物の総量に対して、固形分として、0.5~10質量%が好ましく、1.0~8.0質量%がより好ましく、2.0~6.0質量%がさらに好ましい。
1.2.樹脂粒子
樹脂粒子は、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含み、必要に応じてその他の樹脂を含んでいてもよい。
1.2.1.ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂
ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂とは、ウレタン系樹脂のうち、主鎖にカーボネート結合を含むものである。
なお、ウレタン系樹脂とはウレタン結合を有する樹脂の総称である。このような樹脂を含むことにより、インク組成物がシリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材と接触した場合においても部材への堆積物が生じることを抑制することができる。ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂としては、公知の方法により調製した調製品であってもよく、市販品を用いてもよい。
本実施形態の樹脂粒子は好ましくは架橋性基を有する樹脂を含み、より好ましくは架橋性基を有するウレタン樹脂を含む。ここで、架橋性基とは、架橋性基間で反応し架橋構造を形成するものであってもよく、架橋性基と架橋性基ではない官能基との間で反応し架橋構造を形成するものであってもよい。
上記の架橋性基としては、特に限定されないが、例えば、ブロックドイソシアネート基、シラノール基又は保護基により保護されたこれらの基が挙げられる。シラノール基としては、特に限定されないが、例えば、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基、及びトリス(2-メトキシエトキシ)シリル基が挙げられる。架橋性基としては、保存安定性と架橋反応の反応性の観点から、好ましくはブロックドイソシアネート基である。ブロックドイソシアネートは、公知の方法により調製した調製品であってもよく、市販品を用いてもよい。樹脂粒子が架橋性基を有するこのような樹脂を含むことで、樹脂と樹脂の間などの間に架橋構造が形成され、摩擦堅牢性をより向上させることができる傾向にある。
樹脂粒子の100%モジュラスは、5.0MPa以上であり、より好ましくは10~35MPaであり、さらに好ましくは15~30MPaである。樹脂粒子の100%モジュラスが5.0MPa以上であることにより、摩擦堅牢性を向上させることができ、また、インク組成物が部材と接触した場合においても部材への堆積物が生じることを抑制することができる傾向にある。
樹脂粒子の含有量は、インク組成物の総量に対して、固形分として、3.0質量%以上であり、好ましくは、5.0~15質量%であり、より好ましくは、5.0~10質量%である。樹脂粒子の含有量がこのような範囲であることにより、摩擦堅牢性を向上させることができ、インク組成物が部材と接触した場合においても部材への堆積物が生じることを抑制することができる傾向にある。
1.2.2.その他の樹脂
その他の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂等からなる樹脂粒子が挙げられる。これらの樹脂粒子は、エマルジョン形態のものを用いてもよく、粉体の性状のものを用いてもよく、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1.3.水溶性有機溶剤
本実施形態のインク組成物は、標準沸点が250℃以上のグリコール系溶剤を含み、その他の水溶性有機溶剤を含んでいてもよい。
1.3.1.グリコール系溶剤
本実施形態のインク組成物は、グリコール系溶剤として、標準沸点が250℃以上であるグリコール系溶剤を含み、標準沸点が250℃未満のグリコール系溶剤をさらに含んでもよい。なお、本実施形態において「グリコール系溶剤」は、グリコールのほか、グリコールモノエーテル、グリコールジエーテルを含む。
このようなグリコール系溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル(沸点255℃)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点259℃)、トリエチレングリコール(沸点276℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点278℃)、トリプロピレングリコール(沸点273℃)、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点271℃)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点290℃)、及びグリセリン(沸点290°C)等が挙げられる。
標準沸点が250℃以上のグリコール系溶剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、10~30質量%であり、好ましくは14~26質量%であり、より好ましくは18~22質量%である。グリコール系溶剤の含有量がこのような範囲であることにより、インク組成物が部材と接触した場合においても部材への堆積物が生じることを抑制することができるほか、インク組成物を保湿することで乾燥を防ぐことができ、ノズル面のクリーニング性を向上することができる傾向にある。
また、本実施形態において、後述する金属水酸化物の含有量に対する、標準沸点が250℃以上のグリコール系溶剤の含有量の質量比は、120~800であり、好ましくは150~600であり、より好ましくは180~400である。金属水酸化物の含有量に対する、グリコール系溶剤の含有量の質量比がこのような範囲であることにより、インク組成物が部材と接触した場合においても部材への堆積物が生じることを抑制することができるほか、ノズル面のクリーニング性を向上することができる傾向にある。
1.3.2.その他の水溶性有機溶剤
その他の水溶性有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン等の含窒素溶剤;メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、iso-ブタノール、n-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、及びtert-ペンタノール等のアルコール類が挙げられる。
1.4.金属水酸化物
金属水酸化物としては、強アルカリ性を有するものが好ましい。金属水酸化物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属水酸化物として、好ましくは、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を含み、より好ましくはアルカリ金属水酸化物を含み、よりさらに好ましくは及び水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうちの少なくともいずれかを含む。インク組成物がこのような金属水酸化物を含むことにより、インク組成物の分散安定性を向上させることができ、インク組成物が部材と接触した場合においても部材への堆積物が生じることを抑制することができるほか、ノズル面のクリーニング性を向上させることができる傾向にある。
金属水酸化物の含有量は、インク組成物の総量に対して、0.01質量%以上であり、好ましくは、0.03~0.5質量%であり、より好ましくは、0.05~0.2質量%である。金属水酸化物の含有量がこのような範囲であることにより、インク組成物が部材と接触した場合においても部材への堆積物が生じることを抑制することができるほか、ノズル面のクリーニング性を向上させることができる傾向にある。
1.5.アミン化合物
アミン化合物としては、弱アルカリ性のpH調整剤としての機能を有するものが好ましい。アミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン化合物は、好ましくは両親媒性のアミン化合物を含み、より好ましくはアルカノールアミンを含む。アルカノールアミンとしては、特に限定されないが、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、トリプロパノールアミン、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。インク組成物がこのようなアミン化合物を含むことにより、インク組成物が部材と接触した場合においても部材への堆積物が生じることを抑制することができるほか、ノズル面のクリーニング性を向上させることができる傾向にある。
アミン化合物の含有量は、インク組成物の総量に対して、0.1質量%以上であり、好ましくは、0.2~2.0質量%であり、より好ましくは、0.4~1.0質量%である。アミン化合物の含有量がこのような範囲であることにより、インク組成物が部材と接触した場合においても部材への堆積物が生じることを抑制することができるほか、ノズル面のクリーニング性を向上させることができる傾向にある。
1.6.界面活性剤
本実施形態のインク組成物は、界面活性剤をさらに含んでもよい。界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、面活性が高く気泡性の少ないシリコーン系界面活性剤が好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール及び2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4-ジメチル-5-デシン-4-オール及び2,4-ジメチル-5-デシン-4-オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される一種以上が好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1~2.0質量%であり、より好ましくは0.2~1.5質量%であり、さらに好ましくは0.3~1.0質量%である。
1.7.水
本実施形態のインク組成物における水の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは55~80質量%であり、より好ましくは60~80質量%であり、さらに好ましくは65~75質量%である。
1.8.その他の成分
本実施形態のインク組成物は、上記の各成分の他に、用いられ得る公知の成分の1種又は2種以上を含んでもよい。そのような公知の成分として、特に限定されないが、例えば、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤その他の添加剤及び上述の溶媒以外の溶媒等が挙げられる。
2.インクジェット記録装置
本実施形態のインクジェット記録装置は、シリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材を少なくとも有するインク流路を備え、必要に応じて、インク組成物を吐出するインクジェットヘッドと、インク組成物を収容するインク収容体と、をさらに有してもよい。
また、インク流路は、シリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材を少なくとも有し、好ましくは熱可塑性エラストマーを含む構成部材を備える。このようなインク流路を用いる場合には、堆積物の発生が特に顕著であるため本発明が特に有用となる。
本実施形態において、「インク流路」とは、インクジェット記録装置において、インクを流通させるための流路をいう。このようなインク流路としては、例えば、インクを貯留するインク収容容器からインクジェット式記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給路や、インクジェット式記録ヘッド内においてインクをノズル開口部まで流通させるための流路が挙げられる。また、インク流路の構成部材としては、自己封止弁や及びインクジェットヘッド等も含まれる。特に、自己封止弁はインクジェットヘッドからインク組成物を吐出する度に変形動作を行うため、堆積物が生じると吐出不良を招来する。そのため、本発明が特に有用となる。
本実施形態の一例であるインクジェット装置として、図1に、シリアル方式のインクジェット記録装置を示す。図1に示すように、インクジェット記録装置10は、装置フレーム11と、インクジェットヘッド13を有する記録部12と、記録部12を通過するように記録媒体Pを送る搬送部(本実施形態においては図示しない)と、を備えている。また、インクジェット記録装置10は、上記のインク供給ユニット16(機能液供給ユニット)を有し、インクジェットヘッド13にインクを供給するインク供給部15と、インクジェットヘッド13のクリーニングを行うクリーニング部17と、これら構成装置を統括制御する制御部18と、を備えている。以下、X・Y・Zの直交座標系を用いて説明する。つまり、記録媒体Pの送り方向をX軸方向、記録媒体Pの面内においてX軸方向に直交する方向をY軸方向、そしてX軸方向およびY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。
なお、本実施形態のインクジェット記録装置の一例として図1ではシリアル方式の記録装置を示しているが、本実施形態においては、上記シリアル方式の記録装置に限定されず、ライン方式の記録装置であってもよい。ライン方式の記録装置は、記録媒体の記録幅以上の長さを有するインクジェットヘッドであるラインヘッドを用いて、記録媒体に、1回の走査で記録を行う記録装置である。
搬送部14は、詳細は図示しないが、記録に際し記録媒体Pは、この搬送部14により、図1の上側から下側に向かってX軸方向に送られる。この場合、印刷部12によるインクジェットヘッド13の主走査と、搬送部14による記録媒体Pの間欠送りである副走査(行送り)により、記録媒体Pへの記録が実施される。
印刷部12は、Y・M・C・B(ブラック)の各色のインクに対応する4つの液滴を吐出するインクジェットヘッド13と、該インクジェットヘッド13が搭載されたキャリッジ23と、キャリッジ23を介してインクジェットヘッド13をY軸方向に往復動させるヘッド移動機構24と、所定のギャップを存してインクジェットヘッド13に対峙すると共に、記録媒体Pの送り経路の一部を構成する平板状のプラテン25と、を備えている。
ヘッド移動機構24は、動力源となるキャリッジモーター26と、キャリッジモーター26により駆動される駆動プーリー27aおよび従動プーリー27bと、駆動プーリー27aおよび従動プーリー27b間に掛け渡したタイミングベルト28と、キャリッジ23をY軸方向にスライド自在に支持するガイドロッド29と、を有している。キャリッジ23は、タイミングベルト28の一部に固定されており、キャリッジモーター26を介してタイミングベルト28が正逆方向に走行することで、4つの液滴吐出ヘッド13がガイドロッド29に案内されてY軸方向に往復動する。そして、この往復動に同期して4つの液滴を吐出するインクジェットヘッド13が適宜駆動することで(主走査)、記録が実施される。
インク供給部15は、Y・M・C・Bの各色のインクを貯留するカートリッジ形式の4つのインクタンク31と、4つのインクタンク31と4つの液滴を吐出するインクジェットヘッド13を接続する4本のインクチューブ32と、各インクチューブ32に介設され、各インクタンク31のインクをインクジェットヘッド13に送液する4つのインクポンプ(本実施形態においては図示しない)と、を備えている。
ここで、図2を参照して、インク供給ユニット16廻りの構造について詳細に説明する。上述のように、インク供給ユニット16は、インク色別のインクジェットヘッド13毎に設けられている。各インク供給ユニット16は、インクを圧力調整してインクジェットヘッド13に供給する自己封止弁36と、自己封止弁36を強制的に開弁(弁開放)する弁駆動装置37と、を有している。自己封止弁36は、流出側をインクジェットヘッド13に直結するように設けられ、弁駆動装置37は、自己封止弁36に対峙するように配設されている。そして、自己封止弁36の流入側には、上記のインクチューブ32の下流端が接続されている。
2.1.自己封止弁
図2に示すように、自己封止弁36は、大気圧を基準にしてインクの供給圧力を調整する、いわゆる圧力調整弁である。自己封止弁36は、樹脂製の部材であるハウジング61と、ハウジング61内に画成された流入口63を有する一次液室62と、ハウジング61内に画成された流出口65を有する二次液室64と、一次液室62と二次液室64とを連通する連通流路66と、連通流路66を一次液室62側から開閉する弁体67と、を備えている。そして、流入口63には、インクチューブ32が接続され、流出口65には、インクジェットヘッド13が直結されている。
また、自己封止弁36は、二次液室64の1の壁面(ハウジング61の開口部)に設けられ二次液室64と大気(外部)とを液密に仕切ると共に、二次液室64の圧力と大気圧との圧力差で応動する受圧部材71と、受圧部材71の応動を弁体67に伝達して弁体67を開閉動作させる作動部材72と、を備えている。弁体67と作動部材72とは、一体に形成されており、作動部材72は連通流路66を通過して受圧部材71に近傍まで延びている。一方、一次液室62に開口した連通流路66の開口縁部により弁座73が構成されており、弁体67に設けたシールリング74が弁座73に対し離接することで、連通流路66が開閉(開弁および閉弁)する。
また、一次液室62には、弁体67を閉塞(閉弁)方向に弱く付勢する弁体バネ75が内蔵されており、この弁体バネ75が、受圧部材71の応動と拮抗して弁体67の閉弁動作と調整圧力の微調整とが行われる。受圧部材71は、ハウジング61の開口部を仕切る円形の膜体77と、同心上において膜体77の外側(二次液室64と反対側)に貼着した円形の受圧板部78とを有している。膜体77に対し受圧板部78は十分に小さい径に形成されており、外部から見た受圧部材71は、中央部に位置する受圧板部78と、受圧板部78の周囲に位置する膜体77の一部である受圧膜部77aとを有している。
受圧板部78は、適度な剛性を有する樹脂板等で構成され、受圧膜部77a(膜体77)は、適度な柔軟性を有する樹脂フィルム等で構成されている。このため、二次液室64の圧力と大気圧との圧力差で応動する受圧部材71は、主に受圧膜部77aの応動により全体として応動する。受圧板部78の中心部には、膜体77を存して作動部材72の先端部が対峙しており、受圧部材71の応動が作動部材72を介して弁体67に伝達され、受圧部材71の応動と弁体バネ75の付勢力とがバランスをとりながら弁体67が開閉動作する。なお、受圧部材71は、受圧板部78に相当する硬質部と、受圧膜部77aに相当する軟質部と、から成るものであってもよい。
このように構成された自己封止弁36では、インクジェットヘッド13のインク吐出(主に印刷)により二次液室64の圧力が下がってゆくと、大気圧により受圧部材71が二次液室64側に凹状に変形する。受圧部材71が変形すると、受圧板部78が作動部材72を押圧し、弁体バネ75に抗して弁体67を開弁させる。これにより、連通流路66を介して一次液室62から二次液室64にインクが流入する。このインクの流入が継続し二次液室64の圧力が高くなってゆくと、受圧部材71が大気圧に抗して外側に凸状に変形する。受圧部材71が外側に変形すると、弁体バネ75により、弁体67が二次液室64側に移動し連通流路66を閉塞(開閉弁)する。
このように、自己封止弁36は、大気圧を基準に連通流路66を開閉し、一定の圧力でインクジェットヘッド13にインクを供給する。このため、インクジェットヘッド13から吐出されるインク滴が量的に安定することになる。
3.記録方法
本実施形態のインクジェット記録方法は、シリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材を少なくとも含むインク流路を備えるインクジェット記録装置を用いた記録方法であり、インク組成物をインク流路を通じてインクジェットヘッドまで送液する送液工程と、インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体へ付着させるインク付着工程とを含む。
3.1.送液工程
送液工程は、インク組成物をインク流路を通じてインクジェットヘッドまで送液する工程である。より具体的には、送液工程において、インク収容体に貯蔵されているインク組成物を、自己封止弁等を通じてインクジェットヘッドのノズルまで送液してもよい。この際、インクジェットヘッドからインクが吐出されたことによる圧力変化によって自己封止弁は開閉し、一定の圧力で安定的にノズルにインクを供給することができる。
3.2.インク付着工程
インク付着工程では、インクジェットヘッドからインクを吐出して記録媒体に付着させる。より具体的には、インクジェットヘッド内に設けられた圧力発生手段を駆動させて、インクジェットヘッドの圧力発生室内に充填されたインクをノズルから吐出させる。
インク付着工程において用いるインクジェットヘッドとしては、ライン方式により記録を行うラインヘッドと、シリアル方式により記録を行うシリアルヘッドが挙げられる。
ラインヘッドを用いたライン方式では、例えば、記録媒体の記録幅以上の幅を有するインクジェットヘッドを記録装置に固定する。そして、記録媒体を副走査方向(記録媒体の搬送方向)に沿って移動させ、この移動に連動してインクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出させることにより、記録媒体上に画像を記録する。
シリアルヘッドを用いたシリアル方式では、例えば、記録媒体の幅方向に移動可能なキャリッジにインクジェットヘッドを搭載する。そして、キャリッジを主走査方向(記録媒体の幅方向)に沿って移動させ、この移動に連動してインクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出させることにより、記録媒体上に画像を記録する。
3.3.記録媒体
本実施形態で用いる記録媒体は、特に制限されないが、例えば、布帛(疎水性繊維布帛等)、樹脂(プラスチック)フィルム、紙、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。また、記録媒体としては、シート状の他、例えば、球状、直方体形状等の立体的な形状を有する物を用いてもよい。
記録媒体が布帛である場合に、布帛を構成する繊維としては、特に制限されないが、例えば、木綿、絹、羊毛等の天然繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維等の人工繊維;およびこれらの繊維を2種以上用いた混紡品等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維あるいは上記天然繊維との混紡品を用いてもよい。
また、記録媒体が樹脂(プラスチック)フィルムである場合、当該樹脂(プラスチック)フィルムとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等が挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実
施例によって何ら限定されるものではない。
1.インク組成物の調製
表1~表2に記載の組成となるように、混合物用タンクに各成分を入れ、混合攪拌し、さらに5μmのメンブランフィルターでろ過することにより各例のインク組成物を得た。なお、表中の各例に示す各成分の数値は特段記載のない限り質量%を表す。なお、表1~表2における顔料及び樹脂粒子の質量%については、それぞれの固形分濃度を表す。
表1及び表2に示す材料は以下の通りである。
<顔料>
・BONJET BLACK CW-1(顔料固形分20%、オリエント化学工業株式会社製、カーボンブラック系水分散体)
<樹脂粒子>
・タケラックWS5100(三井化学社製、ポリカーボネート系ウレタン系樹脂、100%モジュラス:28MPa)
・タケラックW6110(三井化学社製、ポリカーボネート系ウレタン系樹脂、100%モジュラス:2.0MPa)
・モビニール966A(ジャパンコーティングレジン株式会社製、スチレン-アクリル系樹脂)
<グリコール系溶剤>
・グリセリン(標準沸点:290℃)
・エチレングリコール(標準沸点:198℃)
<アミン化合物>
・プロパノールアミン
<金属水酸化物>
・水酸化ナトリウム
<界面活性剤>
・BYK348(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性シロキサン界面活性剤)
2.記録物の作製
はじめに、記録物の作製に用いる布帛として白色の綿ブロード布を用意した。その後、綿ブロード布をユニセンス104L(センカ社製、水溶性カチオンポリマー)6.7部、水93.3部からなる前処理剤をパッド法にて絞り率70%でパディングした後、120℃、5分間、乾燥させることで、前処理済み布帛を得た。
続けて、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン株式会社製の製品名「SC-F2000」)を用いたインクジェット方式によりインク組成物を前処理済み布帛に付着させ、画像を形成した。上記画像の形成工程において、解像度を、1440×720dpiとし、印刷範囲をA4サイズとし、カラーインク組成物を20g/m2の塗布量のベタ印刷とすることにより画像を形成した。その後、高温スチーマー(辻井染機工業株式会社製、「HT-3-550型」)を使用し、160℃で5分間乾燥することにより前処理済み布帛に画像が形成された捺染物を製造した。ここで、ベタ印刷とは記録解像度で規定される最小記録単位領域にある画素について、その全ての画素にインクの液滴(ドット)を着弾させることを示す。
3.評価方法
3.1.部材への堆積物の評価
インクジェットプリンタ内のMNCS(ブリヂストン社製、熱可塑性エラストマー)部材への堆積物の簡易評価として、切れ込みを入れたMNCS部材とインク組成物をアルミパックに入れて封止を行い、約40℃で15日間放置した。その後、インク組成物10mlを金属メッシュフィルター(孔径10μm)でろ過し、金属メッシュフィルターに捕捉された凝集物の1mm四方あたりの個数を数え、以下の評価基準に従い評価した。
〔評価基準〕
A:凝集物の数が10個未満である。
B:凝集物の数が10個以上~30個未満である。
C:凝集物の数が30個以上である。
3.2.ノズル面のクリーニング性
各実施例及び比較例のインク組成物をインクジェットプリンタ(セイコーエプソン株式会社製品の「SC-F2000」)のインクジェットヘッド全列に充填し、全列正常に吐出することを確認した。その後、プリントヘッドを待機位置から移動させて印刷領域にて停止させた状態で、40℃、20%RH環境下において3日間放置した。その後、プリントヘッドを待機位置に戻してゴムワイパーを用いて拭き取りを行った。インクジェットヘッドからの吐出が回復するまでにかかったクリーニング数をカウントして、以下の評価基準に従い評価した。
〔評価基準〕
A:クリーニング回数3回以下で全ノズルが回復した。
B:クリーニング回数4回以上10回以下で全ノズルが回復した。
C:クリーニング回数11回以上でも回復しない。
3.3.保存安定性の評価
各インク組成物をガラス製の50ccサンプル瓶に入れて密封し、これらのガラス瓶を50℃の恒温槽内に投入し、50℃の環境下で14日間放置した。その後、十分に室温に戻ったことを確認した後に粘度を測定した。粘度はPysica社の粘弾性試験機MCR-300(製品名)を用いて、インク組成物の温度を25℃に調整した上で、Shear Rateが200のときの粘度を読み取ることにより求めた。そして、初期の粘度に対する、14日後の粘度変化率Aを計算し、以下の評価基準により評価した。
〔評価基準〕
A:粘度変化率Aが±5%以内である。
B:粘度変化率Aが±5%以上10%未満である。
C:粘度変化率Aが±10%以上である。
3.4.摩擦堅牢性の評価
表1~表2の各インク組成物を用いて上記方法により布帛に対して画像を形成して記録物を得た。各例のインク組成物により得られた記録物に対してISO-105 X12に規定の方法に従い、I型(クロックメーター)試験機を用いて摩擦に対する染色堅牢度試験を実施した。乾摩擦をISO-105 X12に規定される乾燥試験に則って試験し、汚染グレースケールを用いて、以下の評価基準により評価した。評価基準は以下の通りとした。
〔評価基準〕
A:汚染グレースケールが3級以上である。
B:汚染グレースケールが2級以上3級未満である。
C:汚染グレースケールが1級以上2級未満である。
4.評価結果
表1~表2に示すとおり、実施例1~8と比較例1~10との対比によれば、本実施形態に係るインク組成物は、該インク組成物の構成要件を満たさない比較例1~10に係るインク組成物と比較して、摩擦堅牢性、部材への堆積物、及びノズル面のクリーニング性において優れることがわかった。
10…インクジェット記録装置、12…印刷部、13…インクジェットヘッド、13a…ノズル面、14…搬送部、15…インク供給部、16…インク供給ユニット、17…クリーニング部、18…制御部、24…ヘッド移動機構、31…インクタンク、32…インクチューブ、35…インク加圧部、36…自己封止弁、37…弁駆動装置、41…キャップユニット、42…ワイピングユニット、61…ハウジング、62…一次液室、63…流入口、64…二次液室、65…流出口、66…連通流路、67…弁体、71…受圧部材、72…作動部材、75…弁体バネ、77…膜体、77a…受圧膜部、78…受圧板部、80…押圧駆動部、81…押圧部材、82…板押圧部、83…膜押圧部、84…進退動機構、86…DCモーター、87…リードネジ機構、P…記録媒体。

Claims (9)

  1. シリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材を少なくとも有するインク流路を備えるインクジェット記録装置に用いるインクジェットインク組成物であって、
    顔料と、樹脂粒子と、グリコール系溶剤と、金属水酸化物と、アミン化合物と、水と、を含み、
    前記樹脂粒子が、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含み、
    前記樹脂粒子の100%モジュラスが、5.0MPa以上であり、
    前記樹脂粒子の含有量が、前記インクジェットインク組成物の総量に対して3.0質量%以上であり、
    前記グリコール系溶剤の標準沸点が、250℃以上であり、
    前記グリコール系溶剤の含有量が、前記インクジェットインク組成物の総量に対して、10~30質量%であり、
    前記金属水酸化物の含有量が、前記インクジェットインク組成物の総量に対して、0.01質量%以上であり、
    前記アミン化合物の含有量が、前記インクジェットインク組成物の総量に対して、0.1質量%以上であり、
    前記金属水酸化物の含有量と前記アミン化合物の含有量との総量が、前記インクジェットインク組成物の総量に対して、0.2~1.5質量%であり、
    前記金属水酸化物の含有量に対する、前記グリコール系溶剤の含有量の質量比が、120~800である、
    インクジェットインク組成物。
  2. 前記樹脂粒子が、架橋性基を有する前記ウレタン樹脂を含む、
    請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記架橋性基が、ブロックドイソシアネート基を含む、
    請求項2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 前記樹脂粒子の含有量が、前記インクジェットインク組成物の総量に対して、5.0~10質量%である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  5. 前記構成部材として、自己封止弁を含む、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記構成部材が前記熱可塑性エラストマーを含む、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 前記アミン化合物が、アルカノールアミンを含む、
    請求項1~6のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  8. 前記金属水酸化物が、アルカリ金属の水酸化物及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物を含む、
    請求項1~7のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  9. シリコーンエラストマー又は熱可塑性エラストマーを含む構成部材を少なくとも含むインク流路を備えるインクジェット記録装置を用いた記録方法であって、
    請求項1~8のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物をインク流路を通じてインクジェットヘッドまで送液する送液工程と、
    前記インクジェットインク組成物を前記インクジェットヘッドから吐出して記録媒体へ付着させるインク付着工程と、を含む、
    記録方法。
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