JP2017226772A - インクジェット記録用インク組成物、インク収容容器及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク組成物が大気と接触しやすい形状のインク収容容器に収容された場合であっても、異物及び気泡の発生を抑制することができ、保存安定性及び吐出安定性に優れたインク組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録用インク組成物は、分散染料と、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤と、アニオン性界面活性剤と、HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤とを含み、前記ノニオン性界面活性剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して、0.01質量%以上0.7質量%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録用インク組成物は、分散染料と、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤と、アニオン性界面活性剤と、HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤とを含み、前記ノニオン性界面活性剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して、0.01質量%以上0.7質量%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット記録用インク組成物、インク収容容器及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、分散染料を含む昇華転写インクを用いるインクジェット記録方法についても種々の検討がなされている。昇華転写方式は、昇華転写インクで印刷された転写紙に熱を加えることにより分散染料が昇華して、その転写紙に密着させたポリエステル等の布帛を染着するというものである。この昇華転写方式は、布帛自体の風合いを残しながら染料の鮮やかな明るい画像が得られ、耐擦過性や耐水性にも優れていることから、のぼり旗、タペストリー、懸垂幕、Tシャツやユニフォームなど多くの用途で使われている。
ところで、この分散染料を含むインク組成物は、分散染料がインク組成物に含まれる溶剤に僅かながら溶解することがある。この溶解した分散染料が熱変化などにより再析出すると、それが異物(以下、「分散染料由来の異物」ともいう。)となってノズルの目詰まりを生じ、ノズルの吐出安定性が損なわれる場合があった。
一方、近年インクジェット記録装置による記録量の増加に伴い、インクの消費量が増しており、カートリッジの交換頻度が高くなる傾向にある。カートリッジの交換頻度を減少させるためには、カートリッジを大型化することや、カートリッジを交換するのではなく、大型のインクタンクにインクを補充することなどが試みられるようになってきた。
ところが、分散染料を含むインク組成物は、例えば大気開放型インクタンクに充填すると、その気液界面において異物(以下、「気液界面由来の異物」ともいう。)が発生する場合があり、これがノズルの吐出安定性を損なう原因となる場合があった。
このような背景の下、分散染料を含むインク組成物の保存安定性を改善するために、分散染料を含むインク組成物にアニオン性界面活性剤を添加する技術が開示されている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2に開示されている技術では、アニオン性界面活性剤の発泡性が高いために、インク組成物中に気泡が混入しやすい。その気泡がインク組成物と共にヘッドに供給されると、圧力損失を生じて、正常にドットを吐出できなくなるという課題があった。特に、ノズルが高密度化した近年のピエゾヘッドでは、これまで問題の無かった小さなサイズの気泡が、クリーニング等ではヘッドの外に排出できずにヘッド中に残存してしまうため、吐出不良を生ずるという課題があった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、インク組成物が大気と接触しやすい形状のインク収容容器に収容された場合であっても、分散染料由来の異物、気液界面由来の異物及び気泡の発生を抑制することができ、インクの保存安定性及び吐出安定性に優れたインクジェット記録用インク組成物を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録用インク組成物の一態様は、
分散染料と、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤と、アニオン性界面活性剤と、HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤とを含み、
前記ノニオン性界面活性剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して、0.01質量%以上0.7質量%以下であることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録用インク組成物の一態様は、
分散染料と、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤と、アニオン性界面活性剤と、HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤とを含み、
前記ノニオン性界面活性剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して、0.01質量%以上0.7質量%以下であることを特徴とする。
適用例1のインクジェット記録用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)によれば、分散染料がインク組成物中に溶解して再析出することによる異物の発生を抑制し、インク組成物が大気と接触しやすい形状のインク収容容器に収容された場合であっても、インク組成物の気液界面における異物の発生を抑制することができるので、保存安定性が良好となる。また、気泡の発生を抑制することもできるので、吐出安定性が良好となる。
[適用例2]
適用例1のインクジェット記録用インク組成物において、前記分散染料の分子量が380以下の昇華性をもつ分散染料であることができる。
適用例1のインクジェット記録用インク組成物において、前記分散染料の分子量が380以下の昇華性をもつ分散染料であることができる。
分散染料の分子量が380以下の昇華性をもつ分散染料であると、転写先への染料の転写を効率よく行うことができる。その一方、分散染料の分子量が380以下であると、分散染料がインク組成物中の溶剤などに溶解しやすくなり、熱変化などにより再析出すると異物となって現れる。しかしながら、適用例2のインクジェット記録用インク組成物によれば、分散染料の溶解性を低くすることができるので、分散染料の再析出による異物の発生を効果的に抑制できる。
[適用例3]
適用例1または適用例2のインクジェット記録用インク組成物において、前記アニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムであることができる。
適用例1または適用例2のインクジェット記録用インク組成物において、前記アニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムであることができる。
適用例3のインクジェット記録用インク組成物によれば、インク組成物が大気と接触しやすい形状のインク収容容器に収容された場合であっても、気液界面における異物の発生を効果的に抑制することができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット記録用インク組成物において、前記ノニオン性界面活性剤が、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールであることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット記録用インク組成物において、前記ノニオン性界面活性剤が、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールであることができる。
[適用例5]
適用例4のインクジェット記録用インク組成物において、前記アセチレングリコールが、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオールよりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例4のインクジェット記録用インク組成物において、前記アセチレングリコールが、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオールよりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
適用例4または適用例5のインクジェット記録用インク組成物によれば、気泡の発生を効果的に抑制できるので、ノズル孔の形状が気泡の排出または移動に不利な形状であっても、良好な吐出安定性を確保できる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット記録用インク組成物において、前記アニオン性界面活性剤と前記ノニオン性界面活性剤とを質量基準で1:0.02〜1:1となる量比で含むことができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット記録用インク組成物において、前記アニオン性界面活性剤と前記ノニオン性界面活性剤とを質量基準で1:0.02〜1:1となる量比で含むことができる。
適用例6のインクジェット記録用インク組成物によれば、分散染料がインク組成物中に溶解して再析出することによる異物の発生と、気泡の発生とをより効果的に抑制することができるので、インク組成物の保存安定性及び吐出安定性がさらに良好となる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか一例のインクジェット記録用インク組成物は、インク収容容器に収容され用いられることができる。
適用例1ないし適用例6のいずれか一例のインクジェット記録用インク組成物は、インク収容容器に収容され用いられることができる。
適用例7のインクジェット記録用インク組成物によれば、インク組成物をインク収容容器に収容された場合でも異物(気液界面由来の異物)の発生を抑制することができるので、インク組成物の保存安定性及び吐出安定性が良好となる。
[適用例8]
本発明に係るインク収容容器の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のインク組成物を収容するためのインク収容容器であって、前記インク収容容器が気液界面を有することを特徴とする。
本発明に係るインク収容容器の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のインク組成物を収容するためのインク収容容器であって、前記インク収容容器が気液界面を有することを特徴とする。
適用例8のインク収容容器(例えば、上記のインク組成物を収容したときに気液界面が生ずるような大気開放型インクタンク)であっても、上記のインク組成物は気液界面由来の異物の発生を抑制できるので、該インク組成物の保存安定性及び吐出安定性が良好となる。
[適用例9]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のインク組成物を記録ヘッドから吐出して記録することを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のインク組成物を記録ヘッドから吐出して記録することを特徴とする。
適用例9のインクジェット記録方法によれば、分散染料由来の異物、気液界面由来の異物及び気泡の発生が抑制されたインク組成物を用いるので、インクの吐出安定性に優れたインクジェット記録を実現できる。
[適用例10]
適用例9のインクジェット記録方法において、
前記記録ヘッドが、前記インク組成物を吐出するノズル孔を有しており、当該ノズル孔が、インク組成物の吐出方向に垂直な断面面積が前記吐出方向に向かって不連続に縮小す
る部分を有することができる。
適用例9のインクジェット記録方法において、
前記記録ヘッドが、前記インク組成物を吐出するノズル孔を有しており、当該ノズル孔が、インク組成物の吐出方向に垂直な断面面積が前記吐出方向に向かって不連続に縮小す
る部分を有することができる。
ノズル孔が上記のような形状であると、例えば70ppm(page per minute)以上の印刷速度で高速印刷する場合であっても、インク組成物のメニスカスを安定して形成することができる。その一方、ノズル孔に径が不連続に変化する縮小部分が存在すると、当該縮小部分ではインク組成物が流通する際に、流線の乱れを生じやすい。そのためインク組成物中に気泡が生じた場合には、気泡がヘッド中に残存してしまうため、吐出不良が生じやすい。しかしながら、適用例10のインクジェット記録方法によれば、気泡の発生を効果的に抑制できるので、ノズル孔の形状が上記のような気泡の排出または移動に不利な形状であっても、良好な吐出安定性を確保できる。
以下に本発明の幾つかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.インクジェット記録用インク組成物
本実施形態に係るインクジェット記録用インク組成物は、分散染料と、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤と、アニオン性界面活性剤と、HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤とを含み、前記ノニオン性界面活性剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して、0.01質量%以上0.7質量%以下であることを特徴とする。以下、本実施形態に係るインク組成物に含まれ得る成分及び用途について詳細に説明する。
本実施形態に係るインクジェット記録用インク組成物は、分散染料と、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤と、アニオン性界面活性剤と、HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤とを含み、前記ノニオン性界面活性剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して、0.01質量%以上0.7質量%以下であることを特徴とする。以下、本実施形態に係るインク組成物に含まれ得る成分及び用途について詳細に説明する。
1.1.分散染料
本実施形態に係るインク組成物は、分散染料を含有する。分散染料とは、ポリエステル、ナイロン、アセテート等の疎水性合成繊維の染着に好適に用いられる染料であり、水に不溶または難溶の化合物である。
本実施形態に係るインク組成物は、分散染料を含有する。分散染料とは、ポリエステル、ナイロン、アセテート等の疎水性合成繊維の染着に好適に用いられる染料であり、水に不溶または難溶の化合物である。
本実施形態に係るインク組成物に用いられる分散染料としては、特に制限されないが、具体的には以下に例示するものが挙げられる。
レッド分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースレッド1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298
、302、303、310、311、312、320、324、328等が挙げられる。
、302、303、310、311、312、320、324、328等が挙げられる。
イエロー分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースイエロー3、4、5、7、8、9、13、23、24、30、33、34、39、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232等が挙げられる。
オレンジ分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースオレンジ1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、46、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142等が挙げられる。
ブルー分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースブルー3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、359等が挙げられる。
バイオレット分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースバイオレット1、4、8、17、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77等が挙げられる。グリーン分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースグリーン9等が挙げられる。ブラウン分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースブラウン1、2、4、9、13、19等が挙げられる。ブラック分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースブラック1、3、10、24等が挙げられる。
上記例示した分散染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせた混色として用いてもよい。
本実施形態に係るインク組成物を昇華転写インクとして用いる場合には、上記例示した分散染料の中でも、分子量が380以下の昇華性をもつ分散染料が好適である。この昇華性をもつ分散染料の分子量は、好ましくは340以下であり、より好ましくは270以上340以下であり、特に好ましくは280以上340以下である。ここで、「昇華性をもつ」とは、加熱により昇華する性質を有することをいう。分子量が380以下の昇華性をもつ分散染料であると、転写先への染料の転写を効率よく行うことができる。その一方、分散染料の分子量が380以下であると、分散染料がインク組成物中の溶剤等に溶解しやすくなり、熱変化などにより再析出すると異物となって現れる。しかしながら、本実施形態に係るインクジェット記録用インク組成物によれば、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤の作用により分散染料の再析出による異物の発生を効果的に抑制できる。
分子量が380以下の昇華性をもつ分散染料としては、例えばC.I.ディスパースレッド11、53、55、59、60;C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71;C.I.ディスパースオレンジ1、20、25;C.I.ディスパースブルー19、26、56、72、81、359;C.I.ディスパースバイオレット8、17、27、28等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
上記例示した分散染料は、いずれも水に不溶または難溶の化合物であるが、後述するポリカルボン酸系高分子界面活性剤によって、インク組成物中に良好に分散させることができると共に、分散染料の再析出による異物の発生を効果的に抑制できる。
分散染料の含有量は、インク組成物100質量%に対して、10質量%以下、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上9.0質量%以下であり、特に好ましくは0.3質量%以上8.0質量%以下である。
分散染料の含有量が0.1質量%以上であることにより、得られる染色物(転写先)の発色性(OD値)がより優れる傾向にある。また、分散染料の含有量が10質量%以下であることにより、吐出安定性がより向上する傾向にある。
1.2.ポリカルボン酸系高分子界面活性剤
本実施形態に係るインク組成物は、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤を含有する。このポリカルボン酸系高分子界面活性剤は、上述の分散染料をインク組成物中で分散させる機能だけでなく、分散染料の再析出による異物の発生を効果的に抑制できる。分散染料の粒子の表面にポリカルボン酸系高分子界面活性剤が吸着すると、カルボキシ基に由来する静電反発効果及び高分子の立体障害の相乗効果により、分散染料のインク組成物中における分散安定性が向上する。さらに、分散染料の粒子の表面がポリカルボン酸系高分子界面活性剤によって保護されると、分散染料の表面がインク組成物中の溶剤と接触することを抑制できるので、分散染料のインク組成物中への溶解性が小さくなると考えられる。この作用により、分散染料の再析出による異物の発生を抑制できると推察される。
本実施形態に係るインク組成物は、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤を含有する。このポリカルボン酸系高分子界面活性剤は、上述の分散染料をインク組成物中で分散させる機能だけでなく、分散染料の再析出による異物の発生を効果的に抑制できる。分散染料の粒子の表面にポリカルボン酸系高分子界面活性剤が吸着すると、カルボキシ基に由来する静電反発効果及び高分子の立体障害の相乗効果により、分散染料のインク組成物中における分散安定性が向上する。さらに、分散染料の粒子の表面がポリカルボン酸系高分子界面活性剤によって保護されると、分散染料の表面がインク組成物中の溶剤と接触することを抑制できるので、分散染料のインク組成物中への溶解性が小さくなると考えられる。この作用により、分散染料の再析出による異物の発生を抑制できると推察される。
ポリカルボン酸系高分子界面活性剤は、高分子を構成する単量体のうち、不飽和カルボン酸を主体とする重合体であり、ホモポリマーであってもよく、不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体とのコポリマーであってもよく、さらに当該ホモポリマーや当該コポリマーの塩(アルカリ金属で中和された塩)であってもよい。ここで、「主体」とは、ポリカルボン酸系高分子におけるカルボン酸単量体の重合モル比が50モル%以上であることを意味する。
上記の不飽和カルボン酸としては、以下に限定されないが、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、及びイタコン酸が挙げられる。これらの中でも、分散染料の再析出による異物の発生を効果的に抑制できるため、アクリル酸及びマレイン酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体としては、以下に限定されないが、例えば、上述の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸とアンモニア又は有機アミンとの不飽和カルボン酸アミド、不飽和スルホン酸、及び、疎水性の単量体が挙げられる。これらの中でも、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤の分散性を制御しやすいため、不飽和カルボン酸アミドが好ましく、その中でもアクリル酸アミドがより好ましい。上記ポリカルボン酸系高分子がアクリル酸−アクリル酸アミド共重合体である場合、酸価は20〜100であるのが好ましく、アミン価は10〜30であるのが好ましい。
ポリカルボン酸系高分子界面活性剤の重量平均分子量は、1,500〜30,000の範囲であればよく、インク組成物中での分散性に優れることから2,000〜20,000の範囲であることが好ましい。
ポリカルボン酸系高分子界面活性剤の市販品としては、例えば、ポイズ520,521,530,535,540、デモールP、デモールEP、デモールST(以上、花王株式会社製)、アロンA−6330、アロンA−6410(以上、東亞合成株式会社製)等が挙げられる。
ポリカルボン酸系高分子界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリカルボン酸系高分子界面活性剤の含有量(固形分)は、インク組成物100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上4.0質量%以下であり、特に好ましくは1.0質量%以上3.0質量%以下である。ポリカルボン酸系高分子界面活性剤の含有量が前記範囲内であると、上述の分散染料をインク組成物中で良好に分散させることができ、また分散染料の再析出による異物の発生を効果的に抑制できる。
1.3.アニオン性界面活性剤
本実施形態に係るインク組成物は、アニオン性界面活性剤を含有する。なお、上述のポリカルボン酸系高分子界面活性剤はアニオン性界面活性剤の1種であるが、本発明における「アニオン性界面活性剤」の概念には、上述のポリカルボン酸系高分子界面活性剤は含まれないものとする。
本実施形態に係るインク組成物は、アニオン性界面活性剤を含有する。なお、上述のポリカルボン酸系高分子界面活性剤はアニオン性界面活性剤の1種であるが、本発明における「アニオン性界面活性剤」の概念には、上述のポリカルボン酸系高分子界面活性剤は含まれないものとする。
インク組成物を補充可能なインク注入口を備えたインク収容容器(すなわち、インク組成物が大気と接触しやすい形状のインク収容容器)に、分散染料を含有するインク組成物を充填使用すると、その気液界面において異物が発生する傾向にある。そこで、インク組成物中にアニオン性界面活性剤を添加することにより、アニオン性界面活性剤が気液界面に配向されるので、気液界面における異物の発生を阻害できると推察される。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型リン酸エステル、アルキル型リン酸エステル、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。これらの中でも、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩がより好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムが特に好ましい。
アニオン性界面活性剤の市販品としては、例えばペレックスSS−H、SS−L、ラテムルWX、E−150、ネオペレックスGS、G−15、G−25、G−35(以上全て花王株式会社製)等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アニオン性界面活性剤の含有量は、インク組成物100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上1.0質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上0.9質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以上0.8質量%以下である。アニオン性界面活性剤の含有量が前記範囲内であると、インク組成物の起泡性を低減しつつ、気液界面における異物の発生を抑制できる。
1.4.ノニオン性界面活性剤
本実施形態に係るインク組成物は、HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤を含有する。上述のように、気液界面における異物の発生を抑制するためには、アニオン性界面活性剤が必須成分となる。しかしながら、このアニオン性界面活性剤は、起泡性が高いため、例えばインク補充可能なインク注入口を備えたインク収容容器にインク組成物を補充する際に泡立ちやすく、その気泡がインクと共にヘッドに供給されると、圧力損失を生じて正常にドットを吐出できなくなる場合がある。そこで、インク組成物中にHLB値が5以下のノニオン性界面活性剤を添加することにより、気泡の発生が抑制されるので、吐出安定性が良好となる。
本実施形態に係るインク組成物は、HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤を含有する。上述のように、気液界面における異物の発生を抑制するためには、アニオン性界面活性剤が必須成分となる。しかしながら、このアニオン性界面活性剤は、起泡性が高いため、例えばインク補充可能なインク注入口を備えたインク収容容器にインク組成物を補充する際に泡立ちやすく、その気泡がインクと共にヘッドに供給されると、圧力損失を生じて正常にドットを吐出できなくなる場合がある。そこで、インク組成物中にHLB値が5以下のノニオン性界面活性剤を添加することにより、気泡の発生が抑制されるので、吐出安定性が良好となる。
本実施形態に係るインク組成物に含有されるノニオン性界面活性剤のHLB値は、5以下であればよいが、2以上4以下であることが好ましく、3以上4以下であることが特に好ましい。HLB値が前記範囲内にあると、インク組成物中における気泡の発生を抑制することができる。これにより、初期充填性及び吐出安定性が優れたものとなる。一方、HLB値が5超であると、気泡の発生を抑制できない場合があり、また発生した気泡を消泡する作用にも優れない。ここで、HLB値とは、グリフィン法で定義されるHLB値である。
HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、気泡の発生を効果的に抑制できるため、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましく、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールであることがより好ましく、インクへの溶解性及びインク粘度の観点から、主鎖の炭素数が10以上40以下のアセチレングリコールであることがさらにより好ましく、主鎖の炭素数が10以上30以下のアセチレングリコールであることが特に好ましい。
主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールとしては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表されるアセチレングリコールが挙げられる。
(上記一般式(1)中、R1、R1’、R2、及びR2’は互いに独立して炭素数1〜5のアルキル基を表し、主鎖の炭素数は10以上である。)
主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールの具体例としては、以下に限定されないが、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオールが好ましく挙げられる。
主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールの市販品としては、以下に限定されないが、例えば、サーフィノール104(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール)、サーフィノールDF110D(2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール)(以上、エアプロダクツ社製)が挙げられる。
また、シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、KF−945、KF−6015、KF−6016、KF−6017、KF−6028、KF−6038(以上、信越シリコーン株式会社製)等が挙げられる。
HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤の含有量は、インク組成物100質量%に対して、0.01質量%以上0.7質量%以下であるが、好ましくは0.05質量%以上0.6質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤の含有量が前記範囲内であると、インク組成物中における気泡の発生を抑制することができるので、初期充填性及び吐出安定性が優れたものとなる。HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤の含有量が0.01質量%未満では、インク組成物中での起泡の発生を抑制する効果が低く、0.7質量%超では、疎水性の高いノニオン性界面活性剤が分散染料を溶解してしまう場合があり、これにより分散染料の再析出による異物が発生することがある。
本実施形態に係るインク組成物において、アニオン性界面活性剤とHLB値が5以下のノニオン性界面活性剤との量比は、質量基準で(アニオン性界面活性剤:HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤=)1:0.02〜1:1であることが好ましく、1:0.05〜1:0.8であることがより好ましく、1:0.1〜1:0.6であることが特に好ましい。アニオン性界面活性剤とHLB値が5以下のノニオン性界面活性剤との量比が前記範囲内にあると、分散染料がインク組成物中に溶解して再析出することによる異物の発生と、気泡の発生とをより効果的に抑制することができるので、インク組成物の保存安定性及び吐出安定性がさらに良好となる。
1.5.その他の成分
本実施形態に係るインク組成物は、水、水溶性有機溶剤、その他の添加剤を適宜含有することができる。
本実施形態に係るインク組成物は、水、水溶性有機溶剤、その他の添加剤を適宜含有することができる。
<水>
本実施形態に係るインク組成物は、水を含有してもよい。水としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止される傾向にある。
本実施形態に係るインク組成物は、水を含有してもよい。水としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止される傾向にある。
水の含有量は、インク組成物の100質量%に対して、50質量%以上90質量%以下が好ましく、55質量%以上85質量%以下がより好ましい。
<水溶性有機溶剤>
本実施形態に係るインク組成物は、1種又は2種以上の水溶性有機溶剤をさらに含有してもよい。水溶性有機溶剤を含有することにより、長期放置時によるヘッドからの水分蒸発を効果的に抑制しつつ、中間記録媒体への濡れ性を高めてインク組成物の浸透性がより向上し、吐出安定性及び目詰まり回復性もより向上する傾向にある。そのような水溶性有
機溶剤としては、通常のインクに水溶性有機溶剤として使用されている化合物を用いることができ、ポリオール化合物、グリコールエーテル、糖類、ベタイン化合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくはジオール化合物やグリコールエーテルであり、より好ましくは、分子内の炭素数が2以上6以下の、両末端に水酸基を持つアルカンジオール又は1,2−アルカンジオールや、分子内の炭素数が12以下のグリコールエーテルである。このような水溶性有機溶剤は、本発明の分散剤による分散染料の分散安定に優れるため、分散染料由来の凝集異物を生ずることなく、また、HLB5以下のノニオン性界面活性剤と相溶性が高いことから、インクへノニオン性界面活性剤の含有が容易となり、また、インクの保存安定性にも優れた効果を生ずる。
本実施形態に係るインク組成物は、1種又は2種以上の水溶性有機溶剤をさらに含有してもよい。水溶性有機溶剤を含有することにより、長期放置時によるヘッドからの水分蒸発を効果的に抑制しつつ、中間記録媒体への濡れ性を高めてインク組成物の浸透性がより向上し、吐出安定性及び目詰まり回復性もより向上する傾向にある。そのような水溶性有
機溶剤としては、通常のインクに水溶性有機溶剤として使用されている化合物を用いることができ、ポリオール化合物、グリコールエーテル、糖類、ベタイン化合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくはジオール化合物やグリコールエーテルであり、より好ましくは、分子内の炭素数が2以上6以下の、両末端に水酸基を持つアルカンジオール又は1,2−アルカンジオールや、分子内の炭素数が12以下のグリコールエーテルである。このような水溶性有機溶剤は、本発明の分散剤による分散染料の分散安定に優れるため、分散染料由来の凝集異物を生ずることなく、また、HLB5以下のノニオン性界面活性剤と相溶性が高いことから、インクへノニオン性界面活性剤の含有が容易となり、また、インクの保存安定性にも優れた効果を生ずる。
ポリオール化合物としては、例えば、分子内の炭素数が2以上6以下であり、かつ、分子内にエーテル結合を1つ有してもよいポリオール化合物(好ましくはジオール化合物)等が挙げられる。具体例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールから選択されるグリコールのモノアルキルエーテルが好ましい。より具体的には、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましく例示できる。
糖類とは単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)及び多糖類をいうものとする。糖類としては、例えば、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、プシコース、アルトロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、イソトレハロース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、ソホロース、イソサッカロース、グルカン、フルクタン、マンナン、キシラン、ガラクツロナン、マンヌロナン、N−アセチルグルコサミン重合体等のホモグリカン、ジヘテログリカン、トリへテログリカンなどのヘテログリカン、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、マルトテトラオース、マルトペンタオースが挙げられ、好ましくはトレハロースが例示できる。
ベタイン化合物とは、正電荷と負電荷を同一分子内の隣り合わない位置に持ち、正電荷をもつ原子には解離しうる水素原子が結合しておらず、分子全体としては電荷を持たない化合物(分子内塩)である。好ましいベタイン化合物としては、アミノ酸のN−アルキル置換体であり、より好ましくはアミノ酸のN−トリアルキル置換体である。ベタイン化合物としては、例えば、トリメチルグリシン(「グリシンベタイン」ともいう。)、γ−ブチロベタイン、ホマリン、トリゴネリン、カルニチン、ホモセリンベタイン、バリンベタイン、リジンベタイン、オルニチンベタイン、アラニンベタイン、スタキドリン及びグルタミン酸ベタインが挙げられ、好ましくはトリメチルグリシンが例示できる。
水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物の100質量%に対して、好ましくは1質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。水溶性有機溶剤の含有量が前記範囲内であることにより、長期放置時のヘッドからの水分蒸発
を効果的に抑制しつつ、中間転写媒体への濡れ性を高めてインク組成物の浸透性により優れ、吐出安定性及び目詰まり回復性もより向上する傾向にある。
を効果的に抑制しつつ、中間転写媒体への濡れ性を高めてインク組成物の浸透性により優れ、吐出安定性及び目詰まり回復性もより向上する傾向にある。
<その他の添加剤>
本実施形態に係るインク組成物は、さらに必要に応じて、防腐防黴剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン、アジピン酸、水酸化カリウム)、又は溶解助剤、その他、通常のインクにおいて用いることができる各種添加剤を含んでもよい。なお、各種添加剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係るインク組成物は、さらに必要に応じて、防腐防黴剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン、アジピン酸、水酸化カリウム)、又は溶解助剤、その他、通常のインクにおいて用いることができる各種添加剤を含んでもよい。なお、各種添加剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1.6.インク組成物の物性
本実施形態に係るインク組成物は、記録品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が10mN/m以上40mN/mであることが好ましく、15mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
本実施形態に係るインク組成物は、記録品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が10mN/m以上40mN/mであることが好ましく、15mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、インク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上7mPa・s以下であることがより好ましく、2mPa・s以上5mPa・s以下であることが特に好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
1.7.インク組成物の用途
本実施形態に係るインク組成物は、インク組成物を補充可能なインク注入口を備えたインク収容容器に収容されることができる。そして、前記インク組成物を吐出するノズル孔を有する記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に前記インク収容容器が装着されて使用されることができる。このようなインク組成物を補充可能なインク注入口を備えたインク収容容器では、充填されたインク組成物が常に空気と接触するため、気液界面において異物が発生しやすい。ところが、本実施形態に係るインク組成物によれば、アニオン性界面活性剤がその気液界面に配向されることで、気液界面における異物の発生を抑制することができる。
本実施形態に係るインク組成物は、インク組成物を補充可能なインク注入口を備えたインク収容容器に収容されることができる。そして、前記インク組成物を吐出するノズル孔を有する記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に前記インク収容容器が装着されて使用されることができる。このようなインク組成物を補充可能なインク注入口を備えたインク収容容器では、充填されたインク組成物が常に空気と接触するため、気液界面において異物が発生しやすい。ところが、本実施形態に係るインク組成物によれば、アニオン性界面活性剤がその気液界面に配向されることで、気液界面における異物の発生を抑制することができる。
その一方、インク組成物中にアニオン性界面活性剤を添加すると、アニオン性界面活性剤の起泡性が高いために、インク組成物中に気泡が発生しやすい。ところが、本実施形態に係るインク組成物によれば、HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤を所定量添加することで、インク組成物中の気泡の発生を抑制することができる。このようなメカニズムにより、本実施形態に係るインク組成物は、保存安定性及び吐出安定性が良好となる。以上のことから、以下に例示するインクジェット記録装置のようにインク組成物が大気と接触しやすいインク収容容器を備える場合に上述の作用効果が顕著に現れる。
<インクジェット記録装置の一例>
本実施形態のインクジェット記録装置は、少なくとも記録ヘッドを備えている。また、インクジェット記録装置は、後述するインク収容容器を装着することができる。これにより、インク収容容器に収容されたインク組成物を記録ヘッドから吐出して所定の媒体に付着させることができる。
本実施形態のインクジェット記録装置は、少なくとも記録ヘッドを備えている。また、インクジェット記録装置は、後述するインク収容容器を装着することができる。これにより、インク収容容器に収容されたインク組成物を記録ヘッドから吐出して所定の媒体に付着させることができる。
インクジェット記録装置は、シリアル型のインクジェット記録装置及びライン型のインクジェット記録装置のいずれでも使用することができる。いずれの型のインクジェット記録装置であっても、記録ヘッドが搭載されており、媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させながら、記録ヘッドのノズル孔からインク組成物の液滴を所定のタイミングでかつ所定の体積(質量)で吐出させ、媒体の記録面にインク組成物を付着させて所定の画像を形成することができる。
インクジェット記録装置の方式としては、インク組成物を記録ヘッドのノズル孔より液滴として吐出して該液滴を媒体に付着させることができれば、特に制限されない。例えば、インクジェット記録方式としては、静電吸引方式、ポンプ圧力によりインク滴を噴射させる方式、圧電素子を用いる方式、インク液を微小電極で加熱発泡させインク滴を噴射させる方式等を挙げることができる。
インクジェット記録装置は、記録ヘッドの他に、装置筐体、記録ヘッドのキャリッジ機構、ローラー、各種駆動部、各種制御部、センサー類、媒体搬送機構、トレイ、操作パネル等の構成を適宜含むことができる。
(記録ヘッド)
記録ヘッドは、インク組成物を導入するインク導入口、インク組成物を吐出する機構、及びインク組成物を吐出するノズル孔を有している。インク導入口は後述するインク収容容器に接続されることができ、インク収容容器内のインク組成物が記録ヘッドへと導入される。インク組成物を吐出する機構は、例えば、ピエゾ素子によって内容積が変化される圧力室等であり、インク組成物に圧力を印加することができる機構である。そして、圧力室において圧力を印加されたインク組成物はノズル孔から所定の媒体へと吐出される。
記録ヘッドは、インク組成物を導入するインク導入口、インク組成物を吐出する機構、及びインク組成物を吐出するノズル孔を有している。インク導入口は後述するインク収容容器に接続されることができ、インク収容容器内のインク組成物が記録ヘッドへと導入される。インク組成物を吐出する機構は、例えば、ピエゾ素子によって内容積が変化される圧力室等であり、インク組成物に圧力を印加することができる機構である。そして、圧力室において圧力を印加されたインク組成物はノズル孔から所定の媒体へと吐出される。
記録ヘッドは、例えば、ノズルプレート、圧力室形成基板、ピエゾ基板、インク流路形成基板、サブタンク等の複数の部材で構成されることができる。ノズル孔は、例えば、ノズルプレートに形成されることができる。
ノズル孔はインク組成物を吐出方向に向かって流通させることができる。また、ノズル孔は、圧力室で加圧されたインク組成物を液滴として飛翔させやすいように、圧力室に比較して狭窄された流路となっている。
ノズル孔の形状は、特に限定されないが、インク組成物の吐出方向に延びる円柱状、円錐台状、楕円柱状、角柱状、角錐台状、及びそれらの形状を組み合わせた形状とすることができる。
ノズル孔は、ノズルプレートが金属である場合には、例えば、ノズルプレートをパンチにより打ち抜いて形成することができる。また、ノズルプレートがシリコンである場合には、例えば、エッチングマスク及びエッチャントを用いた異方性エッチングにより形成することができる。ノズルプレートの材質にシリコンを選択し、異方性エッチングによりノズル孔を形成すると、パンチにより形成する場合に比較して、ノズル孔の形状の精度が高く、また、複数のノズル孔を形成する際には、ノズル孔の間隔を狭くして形成することができる。そのため、記録ヘッドの解像度を高める場合には、ノズルプレートの材質をシリコンとすることが好適となる。
ノズルプレートの材質にシリコンを選択し、異方性エッチングによりノズル孔を形成する場合には、異方性エッチングの作用を利用して、ノズル孔の形状を、例えば、径の異なる2つの円柱を積み重ねた形状とする場合がある。すなわち、ノズル孔の圧力室側において円柱状であり、ノズル孔の先端側では圧力室側よりも径の小さい円柱状とする場合があ
る。このような場合には、2つの円柱の接続部分において、テーパー状とせずに、径が不連続に変化する部位が形成される場合がある。換言すると、ノズル孔は、インク組成物の吐出方向に垂直な断面の面積がインク組成物の吐出方向に向かって不連続に縮小する部分を有する形状とする場合がある。なお、ここでは円柱を例示しているが、角柱の形状とすることも可能で、その場合も同様にノズル孔は、インク組成物の吐出方向に垂直な断面の面積がインク組成物の吐出方向に向かって不連続に縮小する部分を有する形状とする場合がある。
る。このような場合には、2つの円柱の接続部分において、テーパー状とせずに、径が不連続に変化する部位が形成される場合がある。換言すると、ノズル孔は、インク組成物の吐出方向に垂直な断面の面積がインク組成物の吐出方向に向かって不連続に縮小する部分を有する形状とする場合がある。なお、ここでは円柱を例示しているが、角柱の形状とすることも可能で、その場合も同様にノズル孔は、インク組成物の吐出方向に垂直な断面の面積がインク組成物の吐出方向に向かって不連続に縮小する部分を有する形状とする場合がある。
また、例えばノズルプレートを安定に製造するためには、ノズルプレートの厚さを50μm以上とすることが好ましく、このような場合において、ノズル孔は、前記の不連続に縮小する部分を有する形状とすることが好ましい。インク組成物が吐出される側のノズル孔の径を小さくすることで、インク組成物の液滴の吐出速度を高めることが可能となる。これに対して、ノズル孔の径を単に小さくして、不連続に縮小する部分を有さない形状とすると、ノズル孔の流路抵抗が大きくなりすぎる場合がある。したがって、不連続に縮小する部分を有する形状とすることにより、安定して記録媒体に到達するインク滴の速度を得ることができるとともに適切な流路抵抗とすることができる。
図1は、このようなノズル孔の一例を模式的に示す断面図である。図1の例では、ノズルプレート1にノズル孔2が形成され、ノズルプレート1の厚み方向の中央付近において、インク組成物の吐出方向4に向かって不連続に縮小する縮小部分3が形成されている。図1の例のような不連続に縮小する縮小部分3を有する形状のノズル孔2においては、例えば、70ppm(Page per minute)以上の印刷速度で高速印刷する場合であっても、インク組成物のメニスカスを安定して形成できるという有利な効果も備えている。
一方、ノズル孔2に径が不連続に変化する縮小部分3が存在すると、当該縮小部分3ではインク組成物が流通する際に、流線の乱れを生じやすい。そのためインク組成物中に気泡が生じた場合には、気泡が図1の例における滞留部位5付近において停留しやすい。これにより、インク組成物の吐出安定性が損なわれる場合がある。しかしながら、本実施形態に係るインク組成物は、インク組成物中の気泡の発生を抑制し、または気泡が発生しても消泡することができるので、このような形状のノズル孔を有する記録ヘッドである場合であっても、インク組成物の吐出安定性を高める効果が顕著となる。
(インク収容容器)
本実施形態に係るインク組成物は、インク収容容器に収容されることができる。本実施形態のインク収容容器は、インク組成物を補充可能なインク注入口を備えている。以下にインク収容容器として、2つの実施形態を例示する。
本実施形態に係るインク組成物は、インク収容容器に収容されることができる。本実施形態のインク収容容器は、インク組成物を補充可能なインク注入口を備えている。以下にインク収容容器として、2つの実施形態を例示する。
(1)第1実施形態
第1実施形態のインク収容容器21及びインク収容容器21から供給されるインク組成物を使用するインクジェット記録装置(以下、「プリンター」ともいう。)の例を図面を参照しながら説明する。
第1実施形態のインク収容容器21及びインク収容容器21から供給されるインク組成物を使用するインクジェット記録装置(以下、「プリンター」ともいう。)の例を図面を参照しながら説明する。
図2は、第1実施形態に係るインク収容容器21が装着されたインクジェット記録装置11の斜視図である。図3は、本実施形態のインク収容容器21をスライダー34が分離された状態で示す斜視図である。図4は、本実施形態のインク収容容器21の分解斜視図である。図5は、本実施形態のインク収容容器21において、収容体ケース130にフィルム133が接着された状態の側面を模式的に示す図である。
図2に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置11は、車輪12が下端に取
り付けられた脚部13と、脚部13上に組み付けられる略直方体状の装置本体14とを備えている。なお、本実施形態においては、重力方向に沿う方向を上下方向Zとし、この上下方向Zと交差(本実施形態では直交)する装置本体14の長手方向を左右方向Xとする。また、上下方向Z及び左右方向Xの双方と交差(本実施形態では直交)する方向を前後方向Yとする。
り付けられた脚部13と、脚部13上に組み付けられる略直方体状の装置本体14とを備えている。なお、本実施形態においては、重力方向に沿う方向を上下方向Zとし、この上下方向Zと交差(本実施形態では直交)する装置本体14の長手方向を左右方向Xとする。また、上下方向Z及び左右方向Xの双方と交差(本実施形態では直交)する方向を前後方向Yとする。
図2に示すように、装置本体14の後部には、上方に向けて突出する給送部15が設けられている。給送部15内には、長尺の媒体としての用紙Sが円筒状に巻き重ねられたロール紙Rが装填されている。装置本体14の外装を構成する筐体部16において、給送部15の前側となる位置には給送部15から送り出される用紙Sを筐体部16内へ導入するための挿入口17が形成されている。
一方、装置本体14の前面側には、用紙Sを筐体部16外に排出するための排出口18が形成されている。なお、筐体部16内には、給送部15から給送された用紙Sを挿入口17側から排出口18側に向けて搬送する図示しない媒体搬送機構が収容されている。そして、装置本体14の前面側において排出口18よりも下方となる位置には、排出口18から排出された用紙Sを受ける媒体受けユニット19が設けられている。
また、装置本体14の上部において、左右方向Xで用紙Sの搬送経路の外側となる一端側(図2では右端側)には、設定操作や入力操作を行うための操作パネル20が設けられている。さらに、装置本体14の下部において、左右方向Xで用紙Sの搬送経路の外側となる一端側(図2では右端側)には、インク組成物を収容可能なインク収容容器21が固定されている。
インク収容容器21は、インク組成物の種類や色に対応して、複数(本実施形態では4つ)設けられている。そして、複数のインク収容容器21が左右方向Xに並ぶように配置されることでインク収容ユニット22を構成している。なお、インク収容ユニット22は、装置本体14に各インク収容容器21が固定された状態において、装置本体14の前方側(外方側)に露出した部分を有している。そして、インク収容ユニット22は、その露出した部分の左右方向Xの両側及び上下方向Zの下側が、装置本体14側に固定された断面略U字状をなすフレーム部材23により覆われている。
また、筐体部16内には、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ25が主走査方向となる左右方向Xに往復移動可能な状態で収容されている。なお、筐体部16内には、インク収容容器21に収容されたインク組成物を記録ヘッド24に向けて供給するためのインク供給機構(図示せず)が収容されている。そして、媒体搬送機構によって搬送される用紙Sに対して記録ヘッド24からインク組成物の液滴を噴射することで記録(印刷)が行われ、該インク組成物の液滴の噴射を通じてインク収容容器21内のインクが消費される。なお、本実施形態では、インク収容容器21がインクジェット記録装置11のフレーム部材23に装着されてインクジェット記録装置11に対して移動不能に固定された状態が、インク収容容器21の使用時の姿勢状態となる。
本実施形態のインク収容容器21は、図3に示すように、インクを収容するインク収容体33と、このインク収容体33に対して鉛直方向における反重力方向となる上側に重なって配設されたスライダー34とを備えている。
インク収容体33は、略水平方向において装置本体14の長手方向と直交する方向を長手方向(前後方向Y)とし、これと略水平方向において直交する短手方向(左右方向X)に一定幅を有する側面視略L字形状の直方体形状をしている。すなわち、インク収容体33は、その短手方向(左右方向X)から見たその側面形状が、略正方形を呈する第1収容
体部37と、第1収容体部37よりも後側で前後方向Yに長い略長方形を呈する第2収容体部38とを有している。そして、インク収容体33の上面39には、長手方向(前後方向Y)に段差なく連続して延びる平坦面部41,42が短手方向の両端部において形成され、この平坦面部41,42に沿ってスライダー34が摺動可能とされている。一方、インク収容体33の下面40は、その長手方向(前後方向Y)において、第1収容体部37の方が第2収容体部38よりも下がった段差面を呈する形状とされている。
体部37と、第1収容体部37よりも後側で前後方向Yに長い略長方形を呈する第2収容体部38とを有している。そして、インク収容体33の上面39には、長手方向(前後方向Y)に段差なく連続して延びる平坦面部41,42が短手方向の両端部において形成され、この平坦面部41,42に沿ってスライダー34が摺動可能とされている。一方、インク収容体33の下面40は、その長手方向(前後方向Y)において、第1収容体部37の方が第2収容体部38よりも下がった段差面を呈する形状とされている。
スライダー34は、図3に示すように、インク収容体33においてインクジェット記録装置11外に位置する第1部位には、インク収容体33の上面39に、インク収容体33内にインクを注入するインク注入口73が設けられている。本実施形態では、第1収容体部37が第1部位に相当し、インク注入口73は、この第1収容体部37に設けられている。そして、インクジェット記録装置11の外側から操作可能に位置するインク注入口73がインクの注入時以外は露出しないように、スライダー34によって覆うことが可能な構成とされている。
すなわち、スライダー34は、長手方向を有する略矩形形状であって、インク収容体33の上面39と略重なる外形形状で形成されている。そして、スライダー34は、その一端側がフレーム部材23内に挿入されることによりインク収容体33の上面39と略重なった状態に配設された際に、インク収容体33に設けられたインクのインク注入口73の上方を、開閉自在な開閉カバー74によって覆う構成とされている。具体的には、スライダー34には、その長手方向の端部において、インク注入口73を被覆する位置と開放する位置との間で変位する開閉カバー74が備えられている。なお、以下の説明において、「挿入方向」という場合は、特にことわらない限り、フレーム部材23に対するスライダー34の「挿入方向」を示すものとする。
本実施形態では、開閉カバー74は、インク注入口73を覆う状態でインク注入口73よりも第2収容体部38(第2部位)側となる位置において、インク収容体33の短手方向に沿って延びる軸線が回転中心となるようにスライダー34に回動自在に軸支されている。したがって、図3において二点鎖線で示すように、インク注入口73を開放する場合は、使用者が、スライダー34の長手方向の前端側となる開閉カバー74の手前側を持ち上げて第2収容体部38側となるインクジェット記録装置11側へ約180度回動させることが可能とされている。
この結果、開閉カバー74を、図3において実線で示すインク注入口73の被覆状態から、図3において二点鎖線で示すようにインク注入口73の開放状態とすることによって、インク注入口73に対して後側に位置させるように変位可能とされている。なお、本実施形態では、インク注入口73はインク収容体33の第1収容体部37における前側の端部付近に設けられ、開閉カバー74がインク注入口73を覆うために必要な前後方向Yの長さが、長くならない構成とされている。
図3に示すインク収容容器21の例では、上記の構成の他に、インクジェット記録装置11との接続に係る接続部43、記憶部の一例として記録チップ75、記憶部保持部材の一例としてチップホルダー76、チップホルダー76に設けられた突起部位80、スライダー34の摺動操作のための凸条部82、凸部93、凹部95、および指掛部96等が描かれている。もちろん本実施形態のインク収容容器21は、これらの構成または形状は、必須ではないし、また必要に応じてさらに適宜の構成を備えてもよい。
次に、インク収容体33の内部構成について説明する。図4に示すように、インク収容体33は左右方向Xから見て側面視略L字状をなす収容体ケース130と、収容体ケース130内に収容される弁機構の一種であるフロート弁131と、収容体ケース130のケ
ース開口部132に接着(例えば熱溶着)されるフィルム133と、ケース開口部132をフィルム133越しに覆う樹脂製のカバー134とを備える。なお、収容体ケース130は、右側面が開口するように一体成型されていると共に、カバー134に形成された爪部134aを係止する係止部130aが環状をなすケース開口部132の外側に形成されている。
ース開口部132に接着(例えば熱溶着)されるフィルム133と、ケース開口部132をフィルム133越しに覆う樹脂製のカバー134とを備える。なお、収容体ケース130は、右側面が開口するように一体成型されていると共に、カバー134に形成された爪部134aを係止する係止部130aが環状をなすケース開口部132の外側に形成されている。
図5に示すように、収容体ケース130のケース開口部132にフィルム133が接着されると、収容体ケース130とフィルム133とにより囲われる空間域が、大気に連通する空気室136と、インクを収容する液体収容室の一例としてのインク室137と、液体流路の一例としての導出流路138として機能する。なお、導出流路138は、その一端がインク室137に連通すると共に、その他端側には、インク室137に収容されたインクを記録ヘッド24(インクジェット記録装置11側)へ導出する導出口が形成されている。
図5に示すように、インク室137の形状は、インク収容体33の形状と同様に前側における上下方向Zの高さ寸法が、後側における上下方向Zの高さ寸法よりも大きい。さらに、インク室137は、インク室137におけるインク注入口73が形成された注入口形成面の一例としての天井面137bと交差する仕切り壁150により第1液体収容室の一例としての第1インク室151と第2液体収容室の一例としての第2インク室152とに仕切られている。
なお、仕切り壁150は、上下方向Zに沿って延びるように設けられると共に、天井面137bと対向する対向面(底面)153とも交差する。また、左右方向Xにおいて仕切り壁150の幅は、収容体ケース130の左側の側壁130bからケース開口部132までの幅と略等しい。また、仕切り壁150は、インク室137において上下方向Zの高さが大きな前側寄りの位置に、収容体ケース130の側壁130bと直交すると共に、該側壁130bからケース開口部132側(図5では手前側)に向かって突出するように収容体ケース130と一体成型されている。そのため、第2インク室152の第1インク室151側における上下方向Zの高さは、第1インク室151の上下方向Zの高さと略等しく、さらに第1インク室151と離れた後側における上下方向Zの高さよりも大きい。そして、第1インク室151の容積は、第2インク室152の容積よりも小さい。
なお、第1インク室151と第2インク室152は、壁通気開口156を介して連通している。そのため、第1インク室151と第2インク室152内の圧力が略同じとなるため、第1インク室151と第2インク室152におけるインクの液面は上下方向Zにおいて互いに略同じ高さとなるように上昇する。
また、図5に示すように、第2インク室152には、天井面137bと交差して上下方向Zに沿って延びる少なくとも1つ(本実施形態では9つ)の交差リブ部157a〜157iが、前後方向Yに間隔を有して形成されている。さらに、第2インク室152には、上下方向Z及び前後方向(水平方向)Yと交差する少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の庇部の一例としての横斜リブ部158a〜158dが形成されている。なお、これらの交差リブ部157a〜157i、横斜リブ部158a〜158dは、収容体ケース130の側壁130bと直交すると共に、該側壁130bからケース開口部132側(図5では手前側)に向かって突出するように収容体ケース130と一体成型されている。
図4,図5に示すように、一番高い位置にある第1横斜リブ部158aは、仕切り壁150と天井面137bとの交点から後方に向かって下り斜面となるように形成されている。さらに、二番目に高い位置にある第2横斜リブ部158bは、仕切り壁150において第1横斜リブ部158aよりも下方位置から後方に向かって第1横斜リブ部158aより
も緩やかな下り斜面となるように形成されている。すなわち、第1横斜リブ部158aと第2横斜リブ部158bは、仕切り壁150と交差すると共に前後方向Yと交差するように形成されている。なお、第1横斜リブ部158aと第2横斜リブ部158bは、左右方向Xの幅が仕切り壁150及び交差リブ部157a〜157iの幅よりも小さい。そのため、ケース開口部132にフィルム133が接着された場合には、第1横斜リブ部158a及び第2横斜リブ部158bとフィルム133との間に隙間が形成される。したがって、第1横斜リブ部158a及び第2横斜リブ部158bによって区分けされた空間は、隙間を介して互いに連通している。
も緩やかな下り斜面となるように形成されている。すなわち、第1横斜リブ部158aと第2横斜リブ部158bは、仕切り壁150と交差すると共に前後方向Yと交差するように形成されている。なお、第1横斜リブ部158aと第2横斜リブ部158bは、左右方向Xの幅が仕切り壁150及び交差リブ部157a〜157iの幅よりも小さい。そのため、ケース開口部132にフィルム133が接着された場合には、第1横斜リブ部158a及び第2横斜リブ部158bとフィルム133との間に隙間が形成される。したがって、第1横斜リブ部158a及び第2横斜リブ部158bによって区分けされた空間は、隙間を介して互いに連通している。
さらに、第2横斜リブ部158bよりも底面152a側であって、フロート弁131の上側位置には、第1庇部の一例としての第3横斜リブ部158cと第2庇部の一例としての第4横斜リブ部158dとが形成されている。第3横斜リブ部158cは、仕切り壁150と第1交差リブ部157aとの間に形成されていると共に、第4横斜リブ部158dは、第2交差リブ部157bよりも後側に形成されている。そして、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dは、フロート弁131の中心を通る重力方向に沿う軸線(図示略)を基準として線対称となると共に、フロート弁131の中心から端部にかけてそれぞれ下り斜面となるように形成されている。すなわち、第3横斜リブ部158cの上端と第4横斜リブ部158dの上端の距離は、第3横斜リブ部158cの下端と第4横斜リブ部158dの下端の距離よりも短い。
なお、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dは、左右方向Xにおける幅が仕切り壁150の幅と略等しい。さらに、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dの両端は、側壁130b側に向かって凹み形成されている。そのため、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dの接着面(右端面)にフィルム133が接着されると、側壁130b側に凹み形成された部分は、インクが通過可能なリブ連通開口161として機能する。したがって、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dによって区分けされた空間は、リブ連通開口161を介して互いに連通する。
さらに、交差リブ部157a〜157iには、それぞれリブ通気開口160が形成されている。そのため、第2インク室152において交差リブ部157a〜157iの両側の空間の圧力は略同じとなる。そのため、第2インク室152におけるインクの液面も上下方向Zにおいて互いに略同じ高さとなるように上昇する。
図5に示すように、導出流路138は、第2インク室152の底面152aに沿うように、第2インク室152の下側に形成されている。そして、導出流路138は、インク収容体33の形状に合わせて折れ曲がるように形成されてインク組成物の流れる方向(以下、「流動方向」という。)を変化させながらインク組成物を流動させる屈曲流路部163を有する。さらに、導出流路138は、第2インク室152と屈曲流路部163とを結ぶ連結流路部164と、屈曲流路部163と導出口69とを結ぶ傾斜流路部165とを有する。
屈曲流路部163は、上下方向Zに沿って延びる少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の縦流路部163a,163bと、縦流路部163a,163bの両端に形成される複数(本実施形態では4つ)の屈曲部173a〜173dと、前後方向Yに沿って延びる横流路部163cとを備える。
(2)第2実施形態
第2実施形態のインク収容容器200について、図面を参照しながら説明する。
第2実施形態のインク収容容器200について、図面を参照しながら説明する。
図6は、第2実施形態に係るインク収容容器200を模式的に示す断面図である。イン
ク収容容器200は、記録ヘッド300に対してインク供給路400によって接続される。
ク収容容器200は、記録ヘッド300に対してインク供給路400によって接続される。
インク収容容器200は、空気導入口212を有するインク収容室214を備え、該インク収容室214に収容されたインク組成物中に空気導入口212から空気が導入されることで、インク組成物中に気泡が発生するようになっている。また、インク収容容器200中では、大気とインク組成物とが接触可能な構造を有する。なお、空気導入口212から空気が導入されることで、インク組成物中に気泡が発生するように、インク収容室214にインクが収容された状態において、そのインク組成物と空気導入口212が接する構造を有していてもよい。
図示しないが、インクジェット記録装置は、複数のインク収容容器200を有することができる。またインク供給路400は、合成ゴム等の可撓性を有する部材で形成することができ、ホース又はチューブとすることができる。
図6に示すインク組成物供給の手法は、簡潔に言えばマリオット瓶の原理を利用するものであり、記録ヘッド300及びインク収容容器200が、インク供給路400を介して接続され、インク収容容器200から記録ヘッド300へインク組成物を吸引し供給するというものである。
図6では、インク収容容器200がインクジェット記録装置に使用状態で装着された様子を示している。インクジェット記録装置は、水平面sf上に設置されている。なお「インクジェット記録装置が使用状態にある」とは、媒体に対してインク組成物を吐出して正常に付着できる状態にあることを意味しており、必ずしも水平面に設置された状態に限らない。インク収容容器200のインク導出部216と記録ヘッド300とは、インク供給路400を介して接続されている。
インク収容容器200の外面は、第1壁270C1と、第2壁(上面壁)270C2と、底面壁270C3と、からなる。インク収容容器200は、その内部に、空気導入流路及びインク流路を有する。当該空気導入流路は、大気開放口217から、図示しない大気流路を介して大気導入口218を通り、インク収容室214へ空気を導入するための流路である。インク流路インク注入口204は、当該インク流路インク注入口204からインク収容室214へインク組成物の充填を行うための開閉機構を有する開口である。
空気導入流路は、上述の空気導入動作において用いられる流路である。空気導入流路は、外部(大気)に向かって開口する大気開放口217と、大気導入口218を一端とし且つ空気室側開口251を他端とする空気収容室230と、空気室側開口251を一端とし且つ空気導入口212を他端とするインク室連通路250と、で構成される。大気開放口217は大気に連通し、空気収容室230は一端である大気導入口218で開口し、大気開放口217及び大気導入口218は図示しない流路を介して連通している。つまり、空気収容室230は外部(大気)と連通している。インク室連通路250は、一端である空気室側開口251が空気収容室230で開口し、他端である空気導入口212がインク収容室214で開口している。つまり、空気収容室230はインク収容室214と連通している。なお、インク室連通路250は、メニスカス(液面架橋)を形成可能な程度に流路断面積が小さいことが好ましい。
このように、上記の空気導入流路は、一端である空気導入口212がインク収容室214で開口し、他端である大気開放口217が外部に向かって開口している。つまり、インク収容容器200の使用状態において、インク室連通路250(詳細には、空気導入口212近傍)には、大気と直接に接する液面が形成され、空気導入口212からインク収容
室214のインク中に空気(気泡)を導入することでインク収容室214に空気(気泡G)を導入するものである。これによりインク収容容器200から記録ヘッド300へ安定してインク組成物を供給することができる。
室214のインク中に空気(気泡)を導入することでインク収容室214に空気(気泡G)を導入するものである。これによりインク収容容器200から記録ヘッド300へ安定してインク組成物を供給することができる。
これらインク供給動作は、記録ヘッド300からの吐出動作に起因したインク収容容器200のインク貯蔵量の減少に伴って行われるとともに、上記の空気導入動作により安定的に行われる。
インク収容容器200には、使用状態と注入状態とがある。「使用状態」とは、インクジェット記録装置の使用状態におけるインク収容容器200の状態である。インク収容容器200はその使用状態では、インク注入口204が水平方向に向かって開口している(ここで、開口は栓部材202によって塞がれている。)。図6は、使用状態におけるインク収容容器200を示している。また、使用状態においては、インク収容室214と空気収容室230とが水平方向に並んでいる。さらに、使用状態においては、空気導入口212が、インク収容室214に収容されたインク組成物の液面より下方に位置する。
一方、インク収容容器200の「注入状態」とは、インク注入口204が上方に向かって開口するように設置された状態である。注入状態においては、インク収容室214と空気収容室230とが鉛直方向に並んでいる。さらに、注入状態においては、空気導入口212が、使用状態においてインク収容室214に収容されたインク組成物の液面が直線LM1(「第1状態表示線LM1」(図6参照))にあるときの液量がインク収容室214に収容されている場合に、インク収容室214に収容されたインク組成物の液面より上方に位置している。
インク収容容器200の注入状態において、利用者は、インク組成物の液面が注入状態において水平となる直線LM2(「第2状態表示線LM2」(図6参照))の近傍に到達した場合に、インクの充填を停止すればよい。このようにしてインク注入口204からインク組成物をインク収容室214に注入された後に、インク注入口204を栓部材202で密封する。さらに、記録ヘッド300からインク収容室214のインクが吸引されることでインク収容室214は負圧となる。
インク収容容器200の使用状態において、空気導入口212は、第1状態表示線LM1よりも下側に位置する。図6において空気導入口212は、インク収容室214を区画形成する容器本体211のうち、使用状態においてインク収容室214を挟んで下側に位置する底面壁270C3に形成されている。これにより、インク収容室214のインクが消費され、インク収容室214内のインク組成物の液面が低下しても、大気と接する液面(大気接触液面)LAが長時間(インク組成物の液面が第1状態表示線LM1に達する程度の時間)に亘り一定の高さに維持される。また、使用状態において、空気導入口212は、記録ヘッド300のノズル孔(図示せず)の形成された位置よりも鉛直方向において低い位置になるように配置される。
インク組成物が記録ヘッド300によって吸引されることで負圧を生じ、所定の負圧になると、インク収容室214のインク組成物がインク供給路400を介して記録ヘッド300に供給される。
インク収容室214のインクが消費されると、空気収容室230の空気がインク室連通路250を介してインク収容室214に気泡Gとして導入される。これによりインク収容室214のインク液面LFは低下する。一方、大気と接する大気接触液面LAの高さは一定に維持される。
<インクジェット記録方法>
本実施形態に係るインク組成物は、紙、布帛等の記録媒体へ前述のインク組成物を記録するインクジェット記録方法に好適に用いることができる。また、本実施形態に係るインク組成物は、分散染料を含有するので、昇華転写を利用した布帛等に対する染色方法(昇華転写インクジェット記録方法)に特に好適に用いることができる。
本実施形態に係るインク組成物は、紙、布帛等の記録媒体へ前述のインク組成物を記録するインクジェット記録方法に好適に用いることができる。また、本実施形態に係るインク組成物は、分散染料を含有するので、昇華転写を利用した布帛等に対する染色方法(昇華転写インクジェット記録方法)に特に好適に用いることができる。
昇華転写を利用した染色方法としては、例えば、紙等のシート状の中間転写媒体(第1記録媒体)に昇華性染料を含むインク組成物を用いてインクジェット方式による印刷を行う方法がある。さらに好ましくは、布帛等の被記録媒体(第2記録媒体)に上記で印刷された中間転写媒体を重ねて、加熱により昇華転写する方法がある。
昇華転写インクジェット記録方法は、インク組成物を第1記録媒体の記録面に付着させる工程と、第1記録媒体の記録面に第2記録媒体を配置する工程と、第1記録媒体及び前記第2記録媒体を加熱する工程と、を有する。換言すると、昇華転写インクジェット記録方法(染色物の製造方法)は、インクジェット法を用いて、上述したようなインク組成物を中間転写媒体に付与するインク付与工程と、インク組成物が付与された中間転写媒体を、インク組成物が付与された面と被染色物の染色面とを対向させた状態で加熱し、分散染料を被染色物に転写させる転写工程とを有する。これにより、生産性良く染色物を製造することができるインク組成物を用いた染色物の製造方法を提供することができる。以下、各工程について説明する。
(インク付与工程)
本工程では、インクジェット法を用いて、インク組成物を中間転写媒体(第1記録媒体)の記録面に付与する。インクジェット法によるインク組成物の吐出は、液滴吐出装置(例えば後述のインクジェット記録装置)を用いて行うことができる。
本工程では、インクジェット法を用いて、インク組成物を中間転写媒体(第1記録媒体)の記録面に付与する。インクジェット法によるインク組成物の吐出は、液滴吐出装置(例えば後述のインクジェット記録装置)を用いて行うことができる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、インク組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。また、発明者の検討によれば、薄膜ピエゾ方式の記録ヘッドにおいて、インク組成物に加わるシェアレートは、100s−1程度であることが分かっており、本実施形態に係るインク組成物においてより好ましいシェアレートである。
中間転写媒体としては、例えば、普通紙等の紙、インク受容層が設けられた記録媒体(インクジェット用専用紙、コート紙等で呼称される)等を用いることができるが、シリカ等の無機粒子を含有するインク受容層が設けられた紙がより好ましい。これにより、中間転写媒体に付与されたインク組成物が乾燥する過程で、記録面に滲み等が抑制された中間記録物を得ることができる。また、このような媒体であれば、さらに記録面の表面に分散染料を留めやすく、後の転写工程において、分散染料の昇華をより効率的に行うことができる。
本工程では、複数種のインク組成物を用いてもよい。これにより、例えば表現することのできる色域をより広いものとすることができる。
(転写工程)
その後、インク組成物が付与された中間転写媒体の記録面を、被染色物と対向させた状態(第1記録媒体の記録面に第2記録媒体を配置した状態)で加熱し、インク組成物を構成する分散染料を被染色物に転写させる。これにより、布帛等の被染色物とした染色物が得られる。
その後、インク組成物が付与された中間転写媒体の記録面を、被染色物と対向させた状態(第1記録媒体の記録面に第2記録媒体を配置した状態)で加熱し、インク組成物を構成する分散染料を被染色物に転写させる。これにより、布帛等の被染色物とした染色物が得られる。
本工程での加熱温度は、特に規定されるものではないが、好ましくは160℃以上220℃以下であり、より好ましくは170℃以上210℃以下であり、特に好ましくは170℃以上200℃以下である。これにより、分散染料を被染色物に転写させるのに十分なエネルギーを与えることができ、染色物の生産性を優れたものとすることができる。
本工程での加熱時間は、加熱温度にもよるが、30秒以上90秒以下、好ましくは40秒以上70秒以下であり、特に好ましくは45秒以上60秒以下である。これにより、分散染料を被染色物に転写させるのに十分なエネルギーを得ることができ、染色物の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程は、インク組成物が付与された中間転写媒体を、被染色物と対向させた状態で加熱することにより行えばよいが、中間転写媒体と被染色物とを密着させた状態で加熱することにより行うことがより好ましい。これにより、例えば、より鮮明な画像を第2記録媒体に記録する(染色する)ことができる。
被染色物としては、例えば、布帛(疎水性繊維布帛等)、樹脂(プラスチック)フィルム等のシート状の物が好適に用いられるが、シート状以外の球状、直方体形状等の立体的な形状を有する物を用いてもよい。
また、被染色物としては、例えば、樹脂、プラスチックで構成されたもののほか、ガラス、金属、陶磁器を用いてもよい。被染色物としての布帛を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維及びこれらの繊維を2種以上用いた混紡品等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維あるいは木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡品を用いてもよい。
また、被染色物としての樹脂(プラスチック)フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等が挙げられる。樹脂(プラスチック)フィルムは、複数の層が積層された積層体であってもよいし、材料の組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
このような昇華転写インクジェット記録方法によれば、本実施形態に係るインク組成物を用いるため、気泡の発生が抑制され、または気泡が発生しても消泡できるので、吐出安定性が良好となる。
2.実施例
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
2.1.インク組成物の調製
容器に、表1の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び撹拌した後、さらに、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルにて分散処理を行うことにより十分に混合した。1時間攪拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することにより、実施例及び比較例に係る各インク組成物を得た。表1中の数値は、質量%を示し、純水(イオン交換水)は各インク組成物の質量がそれぞれ100質量%となるように添加した。
容器に、表1の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び撹拌した後、さらに、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルにて分散処理を行うことにより十分に混合した。1時間攪拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することにより、実施例及び比較例に係る各インク組成物を得た。表1中の数値は、質量%を示し、純水(イオン交換水)は各インク組成物の質量がそれぞれ100質量%となるように添加した。
2.2.評価試験
(1)インクの保存安定性試験I(分散染料由来の異物の評価)
上記で得られた各インク組成物を50cc容のガラス瓶に完全に満たされるように入れ密栓した後に、これらのガラス瓶を60℃の恒温槽に入れ、5日間放置した。5日後にガラス瓶を取り出し十分に振とうした後、インク組成物を10mL採取し、孔径10μmの金属フィルターでろ過し、このフィルター上に存在する異物の数を光学顕微鏡を用いてカウントした。ここで見られる異物は、分散染料がインク組成物中の成分に溶解して再析出したものであり、針状異物として観察される。評価基準は以下の通りである。
<評価基準>
A:異物数が9個以下
B:異物数が10個以上49個以下
C:異物数が50個以上
(1)インクの保存安定性試験I(分散染料由来の異物の評価)
上記で得られた各インク組成物を50cc容のガラス瓶に完全に満たされるように入れ密栓した後に、これらのガラス瓶を60℃の恒温槽に入れ、5日間放置した。5日後にガラス瓶を取り出し十分に振とうした後、インク組成物を10mL採取し、孔径10μmの金属フィルターでろ過し、このフィルター上に存在する異物の数を光学顕微鏡を用いてカウントした。ここで見られる異物は、分散染料がインク組成物中の成分に溶解して再析出したものであり、針状異物として観察される。評価基準は以下の通りである。
<評価基準>
A:異物数が9個以下
B:異物数が10個以上49個以下
C:異物数が50個以上
(2)インクの保存安定性試験II(気液界面由来の異物の評価)
上記で得られた各インク組成物40gを50cc容のガラス瓶に入れ密栓した後に、これらのガラス瓶を60℃の恒温槽に入れ、5日間放置した。5日後にガラス瓶を取り出し十分に振とうした後、インク組成物を10mL採取し、孔径10μmの金属フィルターでろ過し、このフィルター上に存在する異物の数を光学顕微鏡を用いてカウントした。ここで見られる異物は、気液界面において発生したものであり、様々な形状の異物として観察される。評価基準は以下の通りである。
<評価基準>
A:異物数が9個以下
B:異物数が10個以上49個以下
C:異物数が50個以上
上記で得られた各インク組成物40gを50cc容のガラス瓶に入れ密栓した後に、これらのガラス瓶を60℃の恒温槽に入れ、5日間放置した。5日後にガラス瓶を取り出し十分に振とうした後、インク組成物を10mL採取し、孔径10μmの金属フィルターでろ過し、このフィルター上に存在する異物の数を光学顕微鏡を用いてカウントした。ここで見られる異物は、気液界面において発生したものであり、様々な形状の異物として観察される。評価基準は以下の通りである。
<評価基準>
A:異物数が9個以下
B:異物数が10個以上49個以下
C:異物数が50個以上
(3)吐出安定性試験
インクジェット記録装置PX−H6000(セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジに表1に記載した各例のインク組成物を充填したインク収容容器を作製した。次に、このインク収容容器をインクジェット記録装置PX−H6000のマゼンタ列に装着した。なお、評価に使用したインク収容容器は、インク組成物を補充可能なインク注入口を備えており、インクジェット記録装置PX−H6000のノズル孔は、図1に示すようなインク組成物の吐出方向に垂直な断面の面積がインク組成物の吐出方向に向かって不連続に縮小する部分を有する形状を有している。
インクジェット記録装置PX−H6000(セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジに表1に記載した各例のインク組成物を充填したインク収容容器を作製した。次に、このインク収容容器をインクジェット記録装置PX−H6000のマゼンタ列に装着した。なお、評価に使用したインク収容容器は、インク組成物を補充可能なインク注入口を備えており、インクジェット記録装置PX−H6000のノズル孔は、図1に示すようなインク組成物の吐出方向に垂直な断面の面積がインク組成物の吐出方向に向かって不連続に縮小する部分を有する形状を有している。
各実施例及び各比較例において、インク組成物をB0サイズの写真用紙<光沢>(セイコーエプソン株式会社製)(PGPP)上に吐出することにより、ベタパターン画像の印刷された記録物を10枚連続で作成した。そして、この画像におけるノズル抜けの本数を調べた。ここで発生するノズル抜けは、前述の分散染料由来の異物や気液界面由来の異物がノズル孔や流路中のフィルターを閉塞したり、ノズル孔に混入した気泡に由来するノズル抜けである。評価基準は以下の通りである。
<評価基準>
A:0〜10本
B:11〜20本
C:21本以上
<評価基準>
A:0〜10本
B:11〜20本
C:21本以上
2.3.評価結果
各実施例及び各比較例のインク組成物の組成、評価結果を下表1に示す。下表1において、各成分の数値は質量%を表す。
各実施例及び各比較例のインク組成物の組成、評価結果を下表1に示す。下表1において、各成分の数値は質量%を表す。
上表1において、成分の略称等については以下の通りである。
<分散染料>
・DR60:C.I.ディスパースレッド60、日本化薬株式会社製
・DB359:C.I.ディスパースブルー359、日本化薬株式会社製
<分散剤>
・デモールEP:商品名、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤、花王株式会社製、固形分量25%、重量平均分子量7,000〜8,000
・アロンA−6330:商品名、ポリカルボン酸ナトリウム、東亞合成株式会社製、固形分量40%、重量平均分子量10,000
<アニオン性界面活性剤>
・ラテムルWX:商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、花王株式会社製、固形分量26%
<ノニオン性界面活性剤>
・サーフィノールDF110D:商品名、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、日信化学工業株式会社製、HLB値=3
・サーフィノール104:商品名、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、日信化学工業株式会社製、HLB値=4
・サーフィノール440:商品名、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド付加物、日信化学工業株式会社製、HLB値=8
・KF−945:商品名、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン、信越シリコーン株式会社製、HLB値=4
<溶剤>
・MTG:トリエチレングリコールモノメチルエーテル
<分散染料>
・DR60:C.I.ディスパースレッド60、日本化薬株式会社製
・DB359:C.I.ディスパースブルー359、日本化薬株式会社製
<分散剤>
・デモールEP:商品名、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤、花王株式会社製、固形分量25%、重量平均分子量7,000〜8,000
・アロンA−6330:商品名、ポリカルボン酸ナトリウム、東亞合成株式会社製、固形分量40%、重量平均分子量10,000
<アニオン性界面活性剤>
・ラテムルWX:商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、花王株式会社製、固形分量26%
<ノニオン性界面活性剤>
・サーフィノールDF110D:商品名、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、日信化学工業株式会社製、HLB値=3
・サーフィノール104:商品名、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、日信化学工業株式会社製、HLB値=4
・サーフィノール440:商品名、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド付加物、日信化学工業株式会社製、HLB値=8
・KF−945:商品名、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン、信越シリコーン株式会社製、HLB値=4
<溶剤>
・MTG:トリエチレングリコールモノメチルエーテル
表1の結果から、実施例1〜7のインクジェット記録用インク組成物によれば、分散染料由来の針状異物や気液界面における異物の発生が低減され、さらにノズル孔の形状が気泡の排出または移動に不利な形状であっても、気泡由来のノズル抜けについても低減されていることが明らかとなった。これに対して、比較例1のインクジェット記録用インク組成物は、ノニオン性界面活性剤(HLB値=8)を含有しているために、気泡の発生を阻害できず、気泡由来のノズル抜けが多く認められた。比較例2のインクジェット記録用インク組成物は、ノニオン性界面活性剤(HLB値=3)の含有量が少なすぎるために、気泡の発生を阻害できず、気泡由来のノズル抜けが多く認められた。比較例3のインクジェット記録用インク組成物は、ノニオン性界面活性剤(HLB値=3)の含有量が多すぎるために、分散染料がインク組成物中に溶解してしまい、分散染料由来の針状異物の発生が多く認められた。以上の結果より、本発明に係るインクジェット記録用インク組成物によれば、インク組成物が大気と接触しやすい形状のインク収容容器に収容された場合であっても、異物や気泡の発生を抑制することができ、保存安定性及び吐出安定性が良好となることが明らかとなった。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…ノズルプレート、2…ノズル孔、3…縮小部分、4…吐出方向、5…滞留部位、11
…インクジェット記録装置、12…車輪、13…脚部、14…装置本体、15…給送部、16…筐体部、17…挿入口、18…排出口、19…媒体受けユニット、20…操作パネル、21…インク収容容器、22…インク収容ユニット、23…フレーム部材、24…記録ヘッド、25…キャリッジ、33…インク収容体、34…スライダー、37…第1収容体部、38…第2収容体部、39…上面、40…下面、41,42…平坦面部、43…接続部、69…導出口、73…インク注入口、74…開閉カバー、75…記録チップ、76…チップホルダー、80…突起部位、82…凸条部、93…凸部、95…凹部、96…指掛部、130…収容体ケース、130a…係止部、130b…側壁、131…フロート弁、132…ケース開口部、133…フィルム、134…カバー、134a…爪部、136…空気室、137…インク室、137b…天井面、138…導出流路、150…仕切り壁、151…第1インク室、152…第2インク室、152a…底面、153…対向面、156…壁通気開口、157a〜i…交差リブ部、158a〜d…第1〜第4横斜リブ部、160…リブ通気開口、161…リブ連通開口、163…屈曲流動部、163a,163b…縦流路部、163c…横流路部、164…連結流路部、165…傾斜流路部、173a〜d…屈曲部、200…インク収容容器、202…栓部材、204…インク注入口、211…容器本体、212…空気導入口、214…インク収容室、216…インク導出部、217…大気開放口、218…大気導入口、230…空気収容室、250…インク室連通路、251…空気室側開口、270C1…第1壁、270C2…第2壁、270C3…底面壁、300…記録ヘッド、400…インク供給路、R…ロール紙、S…用紙、sf…水平面、G…気泡
…インクジェット記録装置、12…車輪、13…脚部、14…装置本体、15…給送部、16…筐体部、17…挿入口、18…排出口、19…媒体受けユニット、20…操作パネル、21…インク収容容器、22…インク収容ユニット、23…フレーム部材、24…記録ヘッド、25…キャリッジ、33…インク収容体、34…スライダー、37…第1収容体部、38…第2収容体部、39…上面、40…下面、41,42…平坦面部、43…接続部、69…導出口、73…インク注入口、74…開閉カバー、75…記録チップ、76…チップホルダー、80…突起部位、82…凸条部、93…凸部、95…凹部、96…指掛部、130…収容体ケース、130a…係止部、130b…側壁、131…フロート弁、132…ケース開口部、133…フィルム、134…カバー、134a…爪部、136…空気室、137…インク室、137b…天井面、138…導出流路、150…仕切り壁、151…第1インク室、152…第2インク室、152a…底面、153…対向面、156…壁通気開口、157a〜i…交差リブ部、158a〜d…第1〜第4横斜リブ部、160…リブ通気開口、161…リブ連通開口、163…屈曲流動部、163a,163b…縦流路部、163c…横流路部、164…連結流路部、165…傾斜流路部、173a〜d…屈曲部、200…インク収容容器、202…栓部材、204…インク注入口、211…容器本体、212…空気導入口、214…インク収容室、216…インク導出部、217…大気開放口、218…大気導入口、230…空気収容室、250…インク室連通路、251…空気室側開口、270C1…第1壁、270C2…第2壁、270C3…底面壁、300…記録ヘッド、400…インク供給路、R…ロール紙、S…用紙、sf…水平面、G…気泡
Claims (10)
- 分散染料と、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤と、アニオン性界面活性剤と、HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤とを含み、
前記ノニオン性界面活性剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して、0.01質量%以上0.7質量%以下である、インクジェット記録用インク組成物。 - 前記分散染料が、分子量が380以下の昇華性をもつ分散染料である、請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記アニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムである、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記ノニオン性界面活性剤が、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールである、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記アセチレングリコールが、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオールよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記アニオン性界面活性剤と前記ノニオン性界面活性剤とを質量基準で1:0.02〜1:1となる量比で含む、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- インク収納容器に収容され用いられる、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のインク組成物を収容するためのインク収容容器であって、
前記インク収容容器が気液界面を有する、インク収容容器。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のインク組成物を記録ヘッドから吐出して記録する、インクジェット記録方法。
- 前記記録ヘッドが、前記インク組成物を吐出するノズル孔を有しており、当該ノズル孔が、インク組成物の吐出方向に垂直な断面面積が前記吐出方向に向かって不連続に縮小する部分を有する、請求項9に記載のインクジェット記録方法。
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---|---|---|---|---|
JP2021053959A (ja) * | 2019-09-30 | 2021-04-08 | セイコーエプソン株式会社 | インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインク組成物 |
CN115157868A (zh) * | 2019-09-24 | 2022-10-11 | 精工爱普生株式会社 | 记录装置 |
-
2016
- 2016-06-23 JP JP2016124225A patent/JP2017226772A/ja active Pending
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CN115157868B (zh) * | 2019-09-24 | 2023-12-26 | 精工爱普生株式会社 | 记录装置 |
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