JP2022116600A - インクジェットインク組成物及び記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】摩擦堅牢性に優れる記録物を得ることができ、かつ凝集物を生じさせにくく、保存安定性も向上する上、ノズル面のクリーニング性も向上することができるインクジェットインク組成物を提供すること。【解決手段】顔料と、樹脂粒子と、水溶性有機溶剤と、水と、を含有し、前記樹脂粒子が、0℃以上のガラス転移温度を有し、前記水溶性有機溶剤として、標準沸点250℃以上の多価アルコールをインク組成物の総量に対して、5質量%以上含有し、前記樹脂粒子のSP値(SP1)と前記顔料のSP値(SP2)の比(SP1/SP2)が、1.75以下である、インクジェットインク組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェットインク組成物及び記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、吐出安定性等について種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、洗濯及び摩擦堅牢性などを向上することを目的として、ポリカーボネート系ウレタン樹脂をバインダー樹脂として含むインクジェットインクが開示されている。
特許文献1のように、摩擦堅牢性の向上を目的として樹脂粒子を用いることは従来より知られている。しかしながら、樹脂粒子を用いた場合には、樹脂粒子に由来する凝集物が生じたり、樹脂粒子等がヘッドに固着しノズル面のクリーニング性が低下したりする。
本発明は、顔料と、樹脂粒子と、水溶性有機溶剤と、水と、を含有し、前記樹脂粒子が、0℃以上のガラス転移温度を有し、前記水溶性有機溶剤として、標準沸点250℃以上の多価アルコールをインク組成物の総量に対して、5質量%以上含有し、前記樹脂粒子のSP値(SP1)と前記顔料のSP値(SP2)の比(SP1/SP2)が、1.75以下であるインクジェットインク組成物である。
また、本発明は、上記インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる吐出工程を有する記録方法である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
1.インクジェットインク組成物
本実施形態のインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、顔料と、樹脂粒子と、水溶性有機溶剤と、水と、を含有し、前記樹脂粒子が、0℃以上のガラス転移温度を有し、水溶性有機溶剤として、標準沸点250℃以上の多価アルコールをインク組成物の総量に対して、5質量%以上含有し、樹脂粒子のSP値(SP1)と前記顔料のSP値(SP2)の比(SP1/SP2)が、1.75以下である。
本実施形態のインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、顔料と、樹脂粒子と、水溶性有機溶剤と、水と、を含有し、前記樹脂粒子が、0℃以上のガラス転移温度を有し、水溶性有機溶剤として、標準沸点250℃以上の多価アルコールをインク組成物の総量に対して、5質量%以上含有し、樹脂粒子のSP値(SP1)と前記顔料のSP値(SP2)の比(SP1/SP2)が、1.75以下である。
樹脂粒子を含む従来のインクでは、樹脂粒子に由来する凝集物が生じたり、樹脂粒子等がヘッドに固着しノズル面のクリーニング性が低下したりする場合があった。特に、布帛に記録した時の生地の手触りや風合いを向上する観点から柔らかい樹脂粒子を使用した場合に、特に凝集物が生じやすく、保存安定性やクリーニング性が低下しやすい。
また、近年、大容量のインクタンクを有するような記録装置がより普及しているが、このようなインク収容量の大きい記録装置においては、経時的に凝集物が生じやすかったり、保存安定性が低下しやすい傾向にある。さらに、キャリッジ動作にしたがって動くインク流路の可動部分の長さが長い記録装置においても、可動部分中のインク組成物がキャリッジ動作による振動に長時間されることで、経時的に凝集物が生じやすい傾向にある。
これに対して、本実施形態においては、用いる樹脂粒子のガラス転移温度を0℃以上とし、標準沸点250℃以上の多価アルコールを所定量含み、かつ、樹脂粒子と顔料のSP値の比を所定以上とすることにより、摩擦堅牢性に優れる記録物を得ることができ、かつ凝集物を生じさせにくく、保存安定性も向上する上、ノズル面のクリーニング性も向上することができる。以下、各成分について詳説する。
1.1.顔料
顔料としては、特に制限されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンなどの無機顔料;キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料等の有機顔料が挙げられる。これら顔料は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料としては、特に制限されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンなどの無機顔料;キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料等の有機顔料が挙げられる。これら顔料は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記の顔料は、分散性顔料であってもよい。顔料の分散方法としては、たとえば、水溶性樹脂を用いて分散させる方法、界面活性剤を用いて分散させる方法、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、分散および/または溶解可能とする方法等が挙げられる。
顔料のSP値(SP2)は、好ましくは10~25(cal/cm3)0.5であり、より好ましくは11~24(cal/cm3)0.5であり、さらに好ましくは12~23(cal/cm3)0.5である。顔料のSP値(SP2)が上記範囲内であることにより、インク組成物への分散性がより向上し、凝集物の発生がより抑制され、保存安定性及びクリーニング性がより向上する傾向にある。
なお、本実施形態において、SP値としては、ハンセン(Hansen)溶解度パラメータを用いる。ハンセン(Hansen)溶解度パラメータは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、分散項δd,極性項δp,水素結合項δhの3成分に分割し、3次元空間に表したものであるが、本発明においてはSP値をδ[(cal/cm3)0.5]で表し、下記式を用いて算出される値を用いる。
δ[(cal/cm3)0.5]=(δd2+δp2+δh2)0.5
δ[(cal/cm3)0.5]=(δd2+δp2+δh2)0.5
なお、この分散項δd,極性項δp,水素結合項δhは、ハンセンやその研究後継者らにより多く求められており、Polymer Handbook (fourth edition)、VII-698~711に詳しく掲載されている。また、多くの溶媒や樹脂についてのハンセン溶解度パラメータの値が調べられており、例えば、Wesley L.Archer著、Industrial Solvents Handbookに記載されている。
本実施形態においては、今回は任意の割合で調合したアセトンと水の混合液に対する溶解性を観察することで上記SP値を算出する。
顔料の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1~15質量%であり、より好ましくは0.5~12.5質量%であり、さらに好ましくは2.0~10質量%である。顔料の含有量が0.1質量%以上であることにより発色性がより向上し、顔料の含有量が15質量%以下であることにより顔料の沈降性が低下する傾向にある。また、顔料の含有量が上記範囲内であることにより、凝集物の発生が抑制され、保存安定性及びクリーニング性がより向上する傾向にある。
1.2.樹脂粒子
樹脂粒子としては、特に制限されないが、例えば、ウレタン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子が挙げられる。このなかでも、ウレタン樹脂粒子が好ましい。このような樹脂粒子を用いることにより、得られる記録物の摩擦堅牢性や風合いやインク組成物の保存安定性がより向上するほか、凝集物が生じにくく、クリーニング性がより向上する傾向にある。樹脂粒子は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子としては、特に制限されないが、例えば、ウレタン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子が挙げられる。このなかでも、ウレタン樹脂粒子が好ましい。このような樹脂粒子を用いることにより、得られる記録物の摩擦堅牢性や風合いやインク組成物の保存安定性がより向上するほか、凝集物が生じにくく、クリーニング性がより向上する傾向にある。樹脂粒子は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ウレタン樹脂粒子としては、分子中にウレタン結合を有する樹脂粒子であれば特に限定されず、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、及び主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂が挙げられる。このなかでも、ポリエーテル型ウレタン樹脂又はポリカーボネート型ウレタン樹脂が好ましく、ポリカーボネート型ウレタン樹脂がより好ましい。また、分散安定性を良好にする等の観点で、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等を有するアニオン性のウレタン樹脂粒子が好ましい。
アクリル樹脂粒子としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体を重合させたものや、(メタ)アクリル系単量体と他の単量体とを共重合させたものが挙げられる。このなかでも、アニオン性のアクリル樹脂粒子が好ましい。
ウレタン樹脂粒子としては、特に制限されないが、例えば、非架橋性のウレタン樹脂粒子と、架橋性基を有する架橋性のウレタン樹脂粒子が挙げられる。このなかでも、架橋性のウレタン樹脂粒子が好ましい。架橋性基とは、架橋性基間で反応して架橋構造を形成するものであってもよく、架橋性基とは異なる官能基との間で反応し架橋構造を形成するものであってもよい。このような架橋性基を有する樹脂粒子を用いることにより、得られる記録物の風合いや摩擦堅牢性、インク組成物の保存安定性がより向上する傾向にある。
上記のような架橋性基としては、特に限定されないが、例えば、ブロックドイソシアネート基、シラノール基又は保護基により保護されていてもよい。シラノール基としては、特に限定されないが、例えば、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基、及びトリス(2-メトキシエトキシ)シリル基が挙げられる。架橋性基としては、保存安定性と反応性の観点でブロックドイソシアネート基であることが好ましい。ブロックドイソシアネートは、イソシアネート基がブロック剤によってブロックされたものである。
ブロック剤は、イソシアネート基をブロックして不活性化する一方、脱ブロック後にはイソシアネート基を再生又は活性化する。ブロック剤としては、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物、ピリミジン系化合物、グアニジン系化合物、アルコール系化合物、フェノール系化合物、活性メチレン系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、オキシム系化合物、カルバミン酸系化合物、尿素系化合物、酸アミド系(ラクタム系)化合物、酸イミド系化合物、トリアゾール系化合物、ピラゾール系化合物、メルカプタン系化合物、重亜硫酸塩等が挙げられる。樹脂が架橋性基を有することで、樹脂と樹脂の間などで架橋構造が形成され、摩擦堅牢性を良好なものとすることができる。
樹脂粒子のガラス転移温度は、0℃以上であり、好ましくは20~100℃であり、より好ましくは40~100℃であり、さらに好ましくは60~100℃であり、さらにより好ましくは80~100℃である。樹脂粒子のガラス転移温度が0℃以上であることにより、樹脂粒子同士や樹脂粒子と顔料の凝集が抑制される。そのため、凝集物の発生が抑制され、保存安定性及びクリーニング性がより向上する。ガラス転移温度は、示差走査熱量計等を用いて、公知の方法により測定することができる。
樹脂粒子のSP値(SP1)は、好ましくは15~25(cal/cm3)0.5であり、より好ましくは15.5~24.5(cal/cm3)0.5であり、さらに好ましくは16~24(cal/cm3)0.5である。樹脂粒子のSP値(SP1)が上記範囲内であることにより、インク組成物への分散性がより向上するため、凝集物の発生が抑制され、保存安定性及びクリーニング性がより向上する傾向にある。
また、樹脂粒子のSP値(SP1)と顔料のSP値(SP2)の比(SP1/SP2)は、1.75以下であり、好ましくは0.8~1.65であり、より好ましくは1.0~1.50である。比(SP1/SP2)が1.75以下であることにより、分散体である顔料と樹脂粒子の親和性がより向上する。そのため、インク組成物の保存安定性がより向上し、凝集物の発生が抑制され、クリーニング性がより向上する。なお、比(SP1/SP2)は、それぞれの最も低いSP値同士で計算した。
また、樹脂粒子の伸度は、好ましくは250~800%であり、より好ましくは300~700%であり、さらに好ましくは350~600%である。樹脂粒子の伸度が150%以上であることにより、得られる記録物の風合いがより向上する傾向にある。また、樹脂粒子の伸度が800%以下であることにより、得られる記録物の摩擦堅牢性がより向上する傾向にある。
樹脂粒子の伸度としては、樹脂粒子を170℃で5分間加熱して約60μmの厚さのフィルムを作製し、引張試験ゲージ長20mm及び引っ張り速度100mm/分の条件下で測定して得られる破断点伸度を採用する。
樹脂粒子の100%モジュラスは、好ましくは1~25であり、より好ましくは1~20であり、さらに好ましくは5~20である。樹脂粒子の100%モジュラスが1以上であることにより、得られる記録物の風合いがより向上する傾向にある。また、樹脂粒子の100%モジュラスが25以下であることにより、得られる記録物の摩擦堅牢性がより向上する傾向にある。
樹脂粒子の100%モジュラスとしては、樹脂粒子を170℃で5分間加熱して約60μmの厚さのフィルムを作製し、引張試験ゲージ長20mm及び引っ張り速度100mm/分の条件下で測定する引張試験において、フィルムが元の長さに対し100%伸びた時の引っ張り応力を測定して得られる値を採用した。
樹脂粒子の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは1.0~12質量%であり、より好ましくは2.0~10質量%であり、さらに好ましくは3.0~8.0質量%である。樹脂粒子の含有量が1.0質量%以上であることにより、得られる記録物の摩擦堅牢性がより向上する傾向にある。また、樹脂粒子の含有量が12質量%以下であることにより、得られる記録物の風合いや、インク組成物の保存安定性がより向上し、凝集物の発生が抑制され、クリーニング性がより向上する傾向にある。
1.3.水溶性有機溶剤
水溶性有機溶剤は、標準沸点250℃以上の多価アルコールを含み、その他の溶剤を含んでいてもよい。ガラス転移温度が0℃以上である樹脂粒子は乾燥時に硬く固着するため、クリーニング性を低下させる傾向にある。この点、標準沸点250℃以上の多価アルコールを当該樹脂粒子と併用することにより、インク組成物の乾燥を抑制し、クリーニング性を向上することができる。
水溶性有機溶剤は、標準沸点250℃以上の多価アルコールを含み、その他の溶剤を含んでいてもよい。ガラス転移温度が0℃以上である樹脂粒子は乾燥時に硬く固着するため、クリーニング性を低下させる傾向にある。この点、標準沸点250℃以上の多価アルコールを当該樹脂粒子と併用することにより、インク組成物の乾燥を抑制し、クリーニング性を向上することができる。
水溶性有機溶剤の総含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは5~30質量%であり、より好ましくは7.5~25質量%であり、さらに好ましくは10~20質量%である。水溶性有機溶剤の総含有量が上記範囲内であることにより、クリーニング性がより向上する傾向にある。
1.3.1.標準沸点250℃以上の多価アルコール
標準沸点250℃以上の多価アルコールとしては、特に制限されないが、例えば、グリセリン(290℃);トリエチレングリコール(285℃)、トリプロピレングリコール(273℃)1,6-ヘキサンジオール(250℃)、1,7-へプタンジオール(258℃)等のグリコール類;ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(260℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(271℃)、ジエチレングリコールエチルヘキシルエーテル(277℃)等のグリコールモノエーテル類が挙げられる。上記カッコ内の温度は、標準沸点である。上記多価アルコールは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
標準沸点250℃以上の多価アルコールとしては、特に制限されないが、例えば、グリセリン(290℃);トリエチレングリコール(285℃)、トリプロピレングリコール(273℃)1,6-ヘキサンジオール(250℃)、1,7-へプタンジオール(258℃)等のグリコール類;ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(260℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(271℃)、ジエチレングリコールエチルヘキシルエーテル(277℃)等のグリコールモノエーテル類が挙げられる。上記カッコ内の温度は、標準沸点である。上記多価アルコールは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記多価アルコールの標準沸点は、250℃以上であり、好ましくは260~350℃であり、より好ましくは270~320℃であり、さらに好ましくは280~300℃である。標準沸点が上記範囲内であることにより、クリーニング性がより向上する傾向にある。
標準沸点250℃以上の多価アルコールの含有量は、インク組成物の総量に対して、5質量%以上であり、好ましくは5~30質量%であり、より好ましくは7.5~25質量%であり、さらに好ましくは10~20質量%である。標準沸点250℃以上の多価アルコールの含有量が5質量%以上であることにより、クリーニング性がより向上する。
1.3.2.その他の溶剤
その他の溶剤としては、特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン等の含窒素溶剤;メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、iso-ブタノール、n-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、及びtert-ペンタノール等のアルコール類が挙げられる。
その他の溶剤としては、特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン等の含窒素溶剤;メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、iso-ブタノール、n-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、及びtert-ペンタノール等のアルコール類が挙げられる。
その他の溶剤は含まれなくてもよく、その他の溶剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0~15質量%であり、好ましくは0~10質量%であり、より好ましくは0~5質量%である。
1.4.水
水の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは50~85質量%であり、より好ましくは55~80質量%であり、さらに好ましくは60~75質量%である。
水の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは50~85質量%であり、より好ましくは55~80質量%であり、さらに好ましくは60~75質量%である。
1.5.pH調整剤
本実施形態のインク組成物は、pH調整剤をさらに含んでいてもよい。pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸等)、無機塩基(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリプロパノールアミン)、有機酸(例えば、アジピン酸、クエン酸、コハク酸等)等が挙げられる。pH調整剤を含むことにより、分散安定性がより向上する傾向にある。pH調整剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本実施形態のインク組成物は、pH調整剤をさらに含んでいてもよい。pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸等)、無機塩基(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリプロパノールアミン)、有機酸(例えば、アジピン酸、クエン酸、コハク酸等)等が挙げられる。pH調整剤を含むことにより、分散安定性がより向上する傾向にある。pH調整剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
pH調整剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.01~1.5質量%であり、より好ましくは0.05~1.0質量%であり、さらに好ましくは0.1~0.75質量%である。
1.7.界面活性剤
本実施形態のインク組成物は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。このなかでも、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。
本実施形態のインク組成物は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。このなかでも、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール及び2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4-ジメチル-5-デシン-4-オール及び2,4-ジメチル-5-デシン-4-オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される一種以上が好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、インク組成物の総量に対し、好ましくは0.3~2.5質量%であり、より好ましくは0.5~2.0質量%である。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、得られる記録物の発色性や、インク組成物の保存安定性などがより向上する傾向にある。
1.7.pH
インク組成物のpHは、好ましくは11.0以下であり、より好ましくは10.0以下であり、さらに好ましくは5.0~10.0であり、さらにより好ましくは7.5~10.0である。pHが11.0以下であることにより、分散体である顔料と樹脂粒子の分散性がより向上する。そのため、インク組成物の保存安定性がより向上し、凝集物の発生が抑制され、クリーニング性がより向上する傾向にある
インク組成物のpHは、好ましくは11.0以下であり、より好ましくは10.0以下であり、さらに好ましくは5.0~10.0であり、さらにより好ましくは7.5~10.0である。pHが11.0以下であることにより、分散体である顔料と樹脂粒子の分散性がより向上する。そのため、インク組成物の保存安定性がより向上し、凝集物の発生が抑制され、クリーニング性がより向上する傾向にある
2.記録方法
本実施形態の記録方法は、上記インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる吐出工程を有し、必要に応じて、処理液を付着させる処理液付着工程、インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドへ液送する液送工程や、インクジェットヘッドのノズル形成面を払拭する払拭工程を有していてもよい。
本実施形態の記録方法は、上記インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる吐出工程を有し、必要に応じて、処理液を付着させる処理液付着工程、インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドへ液送する液送工程や、インクジェットヘッドのノズル形成面を払拭する払拭工程を有していてもよい。
2.1.処理液付着工程
処理液付着工程は、吐出工程に先立って、インク組成物の成分を凝集させるカチオン性化合物を含有する処理液組成物を布帛に付着させる工程である。この際、インク組成物の成分を凝集させる観点から、処理液組成物の付着領域とインク組成物の付着領域とは少なくとも一部が重なるようにする。
処理液付着工程は、吐出工程に先立って、インク組成物の成分を凝集させるカチオン性化合物を含有する処理液組成物を布帛に付着させる工程である。この際、インク組成物の成分を凝集させる観点から、処理液組成物の付着領域とインク組成物の付着領域とは少なくとも一部が重なるようにする。
このような処理液付着工程を備えることにより、インク組成物の成分が記録媒体の表面で凝集しやすくなり、得られる記録物の発色性や摩擦堅牢性がより向上する傾向にある。
処理液の付着方法としては、インクジェット方式を用いて付着させる方法の他ほのか、バーコーター、ロールコーター、スプレー等を用いて、塗布してもよい。
2.2.液送工程
液送工程は、インク収容体に収容されたインクジェットインク組成物を、インク流路を介して、インクジェットヘッドへ液送する。本実施形態においては、インク収容体のインク収容量は、好ましくは3L以上であり、より好ましくは3~6Lである。このようなインク収容量の大きい記録装置においては、経時的に凝集物が生じやすかったり、保存安定性が低下しやすい傾向にあるため、本発明が特に有用となる。
液送工程は、インク収容体に収容されたインクジェットインク組成物を、インク流路を介して、インクジェットヘッドへ液送する。本実施形態においては、インク収容体のインク収容量は、好ましくは3L以上であり、より好ましくは3~6Lである。このようなインク収容量の大きい記録装置においては、経時的に凝集物が生じやすかったり、保存安定性が低下しやすい傾向にあるため、本発明が特に有用となる。
また、本実施形態においては、インク流路が長さ1000mm以上のインク流路可動部を有することが好ましい。このように可動部分の長さが長い記録装置においては、可動部分中のインク組成物がキャリッジ動作による振動に長時間さらされることで、経時的に凝集物が生じやすい傾向にあるため、本発明が特に有用となる。
ここで、「インク流路」とは、記録装置において、インクを流通させるための流路をいう。インク流路としては、例えば、インク収容体からインクジェットヘッドにインク組成物を供給するためのインク供給路や、インクジェットヘッド内においてインクをノズル開口部まで流通させるための流路が挙げられる。
また、「インク流路可動部」とは、インク収容体からインクジェットヘッドにインク組成物を供給するためのインク供給路のうち、例えば、シリアルプリンタ―のキャリッジ動作にしたがって動くインク流路の可動部分をいう。
2.3.吐出工程
吐出工程は、インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる工程である。インクジェットヘッドは、インク組成物を布帛に向けて吐出して記録を行うヘッドであり、当該ヘッドは、収容したインク組成物をノズルから吐出させるキャビティーと、インク組成物に対して吐出の駆動力を付与する吐出駆動部と、ヘッドの外へインク組成物を吐出するノズルと、を有する。吐出駆動部は、機械的な変形によりキャビティーの容積を変化させる圧電素子等の電気機械変換素子や、熱を発することによりインクに気泡を発生させ吐出させる電子熱変換素子等を用いて形成することができる。
吐出工程は、インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる工程である。インクジェットヘッドは、インク組成物を布帛に向けて吐出して記録を行うヘッドであり、当該ヘッドは、収容したインク組成物をノズルから吐出させるキャビティーと、インク組成物に対して吐出の駆動力を付与する吐出駆動部と、ヘッドの外へインク組成物を吐出するノズルと、を有する。吐出駆動部は、機械的な変形によりキャビティーの容積を変化させる圧電素子等の電気機械変換素子や、熱を発することによりインクに気泡を発生させ吐出させる電子熱変換素子等を用いて形成することができる。
吐出工程において用いるインクジェットヘッドとしては、ライン方式により記録を行うラインヘッドと、シリアル方式により記録を行うシリアルヘッドが挙げられる。
ラインヘッドを用いたライン方式では、例えば、記録媒体の記録幅以上の幅を有するインクジェットヘッドを記録装置に固定する。そして、記録媒体を副走査方向(記録媒体の搬送方向)に沿って移動させ、この移動に連動してインクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出させることにより、記録媒体上に画像を記録する。
シリアルヘッドを用いたシリアル方式では、例えば、記録媒体の幅方向に移動可能なキャリッジにインクジェットヘッドを搭載する。そして、キャリッジを主走査方向(記録媒体の幅方向)に沿って移動させ、この移動に連動してヘッドのノズルからインク滴を吐出させることにより、記録媒体上に画像を記録する。
本実施形態で用いる記録媒体としては、特に制限されないが、例えば、吸収性記録媒体、低吸収性記録媒体、又は非吸収性記録媒体が挙げられる。このなかでも吸収性記録媒体が好ましく、布帛がより好ましい。
布帛を構成する繊維としては、特に限定されないが、例えば、絹、綿、羊毛、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の天然繊維又は合成繊維が挙げられる。
2.4.払拭工程
払拭工程は、払拭部材を用いて、インクジェットヘッドのノズル形成面を払拭する工程である。払拭部材としては、弾性材料や液体吸収性材料が挙げられ、具体的にはゴム、布帛等が挙げられる。払拭工程においては、さらに洗浄液を用いてもよい。なお、払拭部材として布帛を用いる場合には、良好なクリーニング性を得られる傾向があり好ましい。
払拭工程は、払拭部材を用いて、インクジェットヘッドのノズル形成面を払拭する工程である。払拭部材としては、弾性材料や液体吸収性材料が挙げられ、具体的にはゴム、布帛等が挙げられる。払拭工程においては、さらに洗浄液を用いてもよい。なお、払拭部材として布帛を用いる場合には、良好なクリーニング性を得られる傾向があり好ましい。
2.5.その他の工程
本実施形態の記録方法は、その他の工程として、吐出工程の後に、記録媒体を加熱する加熱工程などをさらに有していてもよい。加熱することにより、得られる記録物の耐擦性がより向上する傾向にある。
本実施形態の記録方法は、その他の工程として、吐出工程の後に、記録媒体を加熱する加熱工程などをさらに有していてもよい。加熱することにより、得られる記録物の耐擦性がより向上する傾向にある。
3.記録装置
本実施形態の記録装置は、インク収容量が3L以上のインク収容体と、上記インクジェットインク組成物を吐出するインクジェットヘッドと、インク収容体からインクジェットヘッドに、前記インクジェットインク組成物を液送するインク流路と、を有し、インク流路は、長さ1000mm以上のインク流路可動部を有する。
本実施形態の記録装置は、インク収容量が3L以上のインク収容体と、上記インクジェットインク組成物を吐出するインクジェットヘッドと、インク収容体からインクジェットヘッドに、前記インクジェットインク組成物を液送するインク流路と、を有し、インク流路は、長さ1000mm以上のインク流路可動部を有する。
インクジェット記録装置の一例として、図1に、シリアルプリンタの斜視図を示す。図5に示すように、シリアルプリンタ200は、搬送部220と、記録部230とを備えている。搬送部220は、シリアルプリンタに給送された記録媒体Fを記録部230へと搬送し、記録後の記録媒体をシリアルプリンタの外に排出する。具体的には、搬送部220は、各送りローラを有し、送られた記録媒体Fを副走査方向T1,T2へ搬送する。
また、記録部230は、搬送部220から送られた記録媒体Fに対して組成物を吐出するインクジェットヘッド11と、それを搭載するキャリッジ234と、キャリッジ234を記録媒体Fの主走査方向S1,S2に移動させるキャリッジ移動機構235を備える。
インクジェットヘッド11には、インク収容体(不図示)から、インク流路可動部211を有するインク流路210を介してインク組成物が供給される。インク流路可動部211は、キャリッジ234の主走査方向S1,S2の移動に追随する。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
1.インク組成物の調製
表1に記載の組成となるように、混合物用タンクに各成分を入れ、混合攪拌し、さらに
5μmのメンブランフィルターでろ過することにより各例のインク組成物を得た。なお、表中の各例に示す各成分の数値は特段記載のない限り質量%を表す。
表1に記載の組成となるように、混合物用タンクに各成分を入れ、混合攪拌し、さらに
5μmのメンブランフィルターでろ過することにより各例のインク組成物を得た。なお、表中の各例に示す各成分の数値は特段記載のない限り質量%を表す。
表1中で使用した略号や製品の成分は、以下の通りである。
<顔料分散液>
シアン顔料(P.B.15:3、固形分15質量%、SP値:11.0~23.4(cal/cm3)0.5)
マゼンタ顔料(P.R.122、固形分15質量%、SP値:14.0~23.4(cal/cm3)0.5)
<樹脂粒子>
樹脂粒子A(タケラックW6020、三井化学社製、100%モジュラス:19、伸度:480、ガラス転移温度:90℃、SP値:16.5~23.4(cal/cm3)0.5)
樹脂粒子B(タケラックWS6021、三井化学社製、100%モジュラス:3、伸度:750、ガラス転移温度:40℃、SP値:16.5~23.4(cal/cm3)0.5)
樹脂粒子C(タケラックW6110、三井化学社製、100%モジュラス:2、伸度:550、ガラス転移温度:-20℃、SP値:16.5~23.4(cal/cm3)0.5)
樹脂粒子D(ハイドラン SFC-55、DIC社製、100%モジュラス:5、伸度:600、ガラス転移温度:-50℃、SP値:19.2~23.4(cal/cm3)0.5)
<水溶性有機溶剤>
グリセリン(標準沸点290℃)
トリエチレングリコール(標準沸点285℃)
<pH調整剤>
トリエタノールアミン
KOH(水酸化カリウム)
<界面活性剤>
E1010(オルフィンE1010、日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
シアン顔料(P.B.15:3、固形分15質量%、SP値:11.0~23.4(cal/cm3)0.5)
マゼンタ顔料(P.R.122、固形分15質量%、SP値:14.0~23.4(cal/cm3)0.5)
<樹脂粒子>
樹脂粒子A(タケラックW6020、三井化学社製、100%モジュラス:19、伸度:480、ガラス転移温度:90℃、SP値:16.5~23.4(cal/cm3)0.5)
樹脂粒子B(タケラックWS6021、三井化学社製、100%モジュラス:3、伸度:750、ガラス転移温度:40℃、SP値:16.5~23.4(cal/cm3)0.5)
樹脂粒子C(タケラックW6110、三井化学社製、100%モジュラス:2、伸度:550、ガラス転移温度:-20℃、SP値:16.5~23.4(cal/cm3)0.5)
樹脂粒子D(ハイドラン SFC-55、DIC社製、100%モジュラス:5、伸度:600、ガラス転移温度:-50℃、SP値:19.2~23.4(cal/cm3)0.5)
<水溶性有機溶剤>
グリセリン(標準沸点290℃)
トリエチレングリコール(標準沸点285℃)
<pH調整剤>
トリエタノールアミン
KOH(水酸化カリウム)
<界面活性剤>
E1010(オルフィンE1010、日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
1.1.SP値
任意の割合で調合したアセトンと水の混合液に対する溶解性を観察することにより、顔料と樹脂粒子のSP値範囲を算出した。また、樹脂粒子のSP値(SP1)と顔料のSP値(SP2)の比(SP1/SP2)は、それぞれの最も低いSP値同士で計算した。
任意の割合で調合したアセトンと水の混合液に対する溶解性を観察することにより、顔料と樹脂粒子のSP値範囲を算出した。また、樹脂粒子のSP値(SP1)と顔料のSP値(SP2)の比(SP1/SP2)は、それぞれの最も低いSP値同士で計算した。
1.2.pH
アズワン社のpH計AS800を用い、25℃の環境下で各インク組成物のpHを測定した。
アズワン社のpH計AS800を用い、25℃の環境下で各インク組成物のpHを測定した。
1.3.樹脂粒子の伸度
樹脂粒子を170℃5分間加熱して約60μmの厚さのフィルムを作製し、引張試験ゲージ長20mm及び引っ張り速度100mm/分の条件下で測定して得られる破断点伸度を測定して、樹脂粒子の伸度を求めた。
樹脂粒子を170℃5分間加熱して約60μmの厚さのフィルムを作製し、引張試験ゲージ長20mm及び引っ張り速度100mm/分の条件下で測定して得られる破断点伸度を測定して、樹脂粒子の伸度を求めた。
1.4.樹脂粒子の100%モジュラス
樹脂粒子を170℃5分間加熱して約60μmの厚さのフィルムを作製し、引張試験ゲージ長20mm及び引っ張り速度100mm/分の条件下で測定する引張試験において、フィルムが元の長さに対し100%伸びた時の引っ張り応力を測定して得られる値を測定して、樹脂粒子の100%モジュラスを求めた。
樹脂粒子を170℃5分間加熱して約60μmの厚さのフィルムを作製し、引張試験ゲージ長20mm及び引っ張り速度100mm/分の条件下で測定する引張試験において、フィルムが元の長さに対し100%伸びた時の引っ張り応力を測定して得られる値を測定して、樹脂粒子の100%モジュラスを求めた。
2.評価方法
2.1.凝集物
シリコンチューブを用いてキャリッジ流路(インク流路可動部)を5000mmまで伸ばしたインクジェットプリンタ(セイコーエプソン株式会社製の製品名「SC-F2000」)に、上記のようにして調製した各インク組成物を充填し、チューブの端をクリップで止めた状態で空走評価を10分間行った。その後、端で止めたチューブを切りとり、チューブ内に充填されていたインク組成物を取り出した。取り出したインク組成物をろ紙上で濾過し凝集物の数を顕微鏡で確認し、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
A:凝集物の数が10個未満
B:凝集物の数が10個~30個未満
C:凝集物の数が30個以上
2.1.凝集物
シリコンチューブを用いてキャリッジ流路(インク流路可動部)を5000mmまで伸ばしたインクジェットプリンタ(セイコーエプソン株式会社製の製品名「SC-F2000」)に、上記のようにして調製した各インク組成物を充填し、チューブの端をクリップで止めた状態で空走評価を10分間行った。その後、端で止めたチューブを切りとり、チューブ内に充填されていたインク組成物を取り出した。取り出したインク組成物をろ紙上で濾過し凝集物の数を顕微鏡で確認し、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
A:凝集物の数が10個未満
B:凝集物の数が10個~30個未満
C:凝集物の数が30個以上
2.2.ノズル面のクリーニング性
上記のようにして調製した各インク組成物をインクジェットプリンタ(セイコーエプソン株式会社製品の「SC-F2000」)のヘッド全列に充填し、全列正常に吐出することを確認した。その後、インクジェットヘッドを待機位置からずらして印字領域にて停止させた状態で、40℃20%RH環境下に3日間放置した。放置後、インクジェットヘッドを待機位置に戻してゴムワイパを用いて拭き取りを行った。そして吐出が回復するまでにかかった拭き取り回数を数え、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
A:拭き取り回数が3回以下で全ノズルが回復した。
B:拭き取り回数が4回以上10回以下で全ノズルが回復した。
C:拭き取り回数11回以上でも回復しなかった
上記のようにして調製した各インク組成物をインクジェットプリンタ(セイコーエプソン株式会社製品の「SC-F2000」)のヘッド全列に充填し、全列正常に吐出することを確認した。その後、インクジェットヘッドを待機位置からずらして印字領域にて停止させた状態で、40℃20%RH環境下に3日間放置した。放置後、インクジェットヘッドを待機位置に戻してゴムワイパを用いて拭き取りを行った。そして吐出が回復するまでにかかった拭き取り回数を数え、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
A:拭き取り回数が3回以下で全ノズルが回復した。
B:拭き取り回数が4回以上10回以下で全ノズルが回復した。
C:拭き取り回数11回以上でも回復しなかった
2.3.保存安定性
上記のようにして調製した各インク組成物をガラス製の50ccサンプル瓶に入れて密封し、これらのガラス瓶を50℃の恒温槽内に投入し、50℃の環境下で14日間放置した。放置終了後、十分に室温に戻ってから、粘度を測定した。粘度はPysica社の粘弾性試験機MCR-300(製品名)を用いて、インク組成物の温度を25℃に調整し、Shear Rateが200のときの粘度を読み取ることにより求めた。そして、初期の粘度に対する、14日後の粘度変化率Aを計算した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
A:粘度変化率Aが±5%未満
B:粘度変化率Aが±5%以上10%未満
C:粘度変化率Aが±10%以上
上記のようにして調製した各インク組成物をガラス製の50ccサンプル瓶に入れて密封し、これらのガラス瓶を50℃の恒温槽内に投入し、50℃の環境下で14日間放置した。放置終了後、十分に室温に戻ってから、粘度を測定した。粘度はPysica社の粘弾性試験機MCR-300(製品名)を用いて、インク組成物の温度を25℃に調整し、Shear Rateが200のときの粘度を読み取ることにより求めた。そして、初期の粘度に対する、14日後の粘度変化率Aを計算した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
A:粘度変化率Aが±5%未満
B:粘度変化率Aが±5%以上10%未満
C:粘度変化率Aが±10%以上
2.4.摩擦堅牢性
布帛として白色の綿ブロードを用意し、その綿ブロード布に対して、ユニセンス104L(水溶性カチオンポリマー:センカ株式会社製)6.7部、水93.3部からなる前処理剤をパッド法にて絞り率70%でパディングした後、120℃、5分間乾燥し、前処理済み布帛を得た。
布帛として白色の綿ブロードを用意し、その綿ブロード布に対して、ユニセンス104L(水溶性カチオンポリマー:センカ株式会社製)6.7部、水93.3部からなる前処理剤をパッド法にて絞り率70%でパディングした後、120℃、5分間乾燥し、前処理済み布帛を得た。
次に、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン株式会社製の製品名「SC-F2000」)を用いて、インクジェット方式により、上記ようにして得られた各インク組成物を前処理済み布帛に付着させて、画像を形成した。なお、インク組成物としては、50℃14日放置後のインク組成物を用いた。
上記画像の形成工程において、解像度を、1440×720dpiとし、印刷範囲をA4サイズとし、カラーインク組成物を20g/m2の塗布量のベタ印刷とした。その後、高温スチーマー(辻井染機工業株式会社製の「HT-3-550型」)を使用し、160℃で5分の条件で乾燥することにより前処理済み布帛に画像が形成された捺染物を製造した。ここで、ベタ印刷とは記録解像度で規定される最小記録単位領域にある画素について、その全ての画素にインクの液滴(ドット)を着弾させることを示す。
各例の印捺物に対してISO-105 X12に規定の方法に従い、I型(クロックメーター)試験機を用いて摩擦に対する染色堅牢度試験を実施した。湿摩擦をISO-105 X12に規定される湿潤試験に則って試験し、汚染グレースケールを用いて摩擦堅牢性を評価した。評価基準は以下の通りとした。
(評価基準)
A:2-3級以上
B:2-3級未満、2級以上
C:2級未満
(評価基準)
A:2-3級以上
B:2-3級未満、2級以上
C:2級未満
2.5.発色性
Gretag社製の測色機Spectrolinoを用いて、上記摩擦堅牢性の評価で作成した各印捺物のOD値を測定し、下記評価基準により発色性を評価した。
A:1.4以上
B:1.3以上1.4未満
C:1.3未満
Gretag社製の測色機Spectrolinoを用いて、上記摩擦堅牢性の評価で作成した各印捺物のOD値を測定し、下記評価基準により発色性を評価した。
A:1.4以上
B:1.3以上1.4未満
C:1.3未満
11…インクジェットヘッド、200…シリアルプリンタ、210…インク流路、211…インク流路可動部、220…搬送部、230…記録部、234…キャリッジ、235…キャリッジ移動機構
Claims (12)
- 顔料と、樹脂粒子と、水溶性有機溶剤と、水と、を含有し、
前記樹脂粒子が、0℃以上のガラス転移温度を有し、
前記水溶性有機溶剤として、標準沸点250℃以上の多価アルコールをインク組成物の総量に対して、5質量%以上含有し、
前記樹脂粒子のSP値(SP1)と前記顔料のSP値(SP2)の比(SP1/SP2)が、1.75以下である、
インクジェットインク組成物。 - 前記樹脂粒子のSP値(SP1)が、15~25(cal/cm3)0.5である、
請求項1に記載のインクジェットインク組成物。 - 前記顔料のSP値(SP2)が、10~25(cal/cm3)0.5である、
請求項1又は2に記載のインクジェットインク組成物。 - pHが10.0以下である、
請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。 - 前記顔料の含有量が、インク組成物の総量に対して、0.1~15質量%である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。 - 前記樹脂粒子の100%モジュラスが1~20であり、伸度が300~700%である、
請求項1~5のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。 - 前記樹脂粒子のガラス転移温度が、20~100℃である、
請求項1~6のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる吐出工程を有する、
記録方法。 - 払拭部材を用いて、前記インクジェットヘッドのノズル形成面を払拭する払拭工程を有する、
請求項8に記載の記録方法。 - インク収容量が3L以上のインク収容体に収容された前記インクジェットインク組成物を、インク流路を介して、前記インクジェットヘッドへ液送する液送工程を有する、
請求項8又は9に記載の記録方法。 - 前記インク流路が、長さ1000mm以上のインク流路可動部を有する、
請求項10に記載の記録方法。 - インク収容量が3L以上のインク収容体と、
請求項1~7のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物を吐出するインクジェットヘッドと、
前記インク収容体から前記インクジェットヘッドに、前記インクジェットインク組成物を液送するインク流路と、を有し、
前記インク流路は、長さ1000mm以上のインク流路可動部を有する、
記録装置。
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