JP2023084927A - タイヤの摩擦エネルギーの評価方法、及びコンピュータ - Google Patents

タイヤの摩擦エネルギーの評価方法、及びコンピュータ Download PDF

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Abstract

【課題】実測の摩耗ライフを客観的に評価し易い摩擦エネルギーの評価方法等を提供すること。【解決手段】モデルのタイヤを有限要素解析法で解析することで複数の接触節点の夫々に関して第1摩擦エネルギーを取得する。タイヤの主溝からの距離が所定以下である領域に含まれる特定領域を抽出して、その特定領域の平均の第2摩擦エネルギーを第1摩擦エネルギーに基づいて求める。複数の接触節点における複数の第1摩擦エネルギーを補間により分解能が小さい複数の第2接触節点における複数の第3摩擦エネルギーに変換し、第2摩擦エネルギーを、特定領域に含まれる第2接触節点の第3摩擦エネルギーを用いて算出してもよい。【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤの摩擦エネルギーの評価方法、及びコンピュータに関する。
従来、有限要素解析法でタイヤの摩擦エネルギーを評価することで、タイヤを実際に試作することなくタイヤの摩擦エネルギーに関する情報を取得できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006-240540号公報
タイヤの摩耗ライフを、タイヤを車に装着して、所定コースを走行した後に、タイヤの主溝の摩耗量を測定することによって数値で評価する場合がある。また、タイヤの摩耗ライフをシミュレーションで評価する手法としては、有限要素解析を用いてタイヤ表面の摩擦エネルギーを求めて、その平均値を算出する手法が考えられる。
しかし、本願発明者は、その手法では、広範囲な領域であるタイヤ表面の摩擦エネルギーが評価に寄与することになるので、タイヤの局所範囲である主溝の摩耗量のみで摩耗ライフを評価する実測の摩耗ライフを客観的に評価できないことを見出した。
そこで、本発明の目的は、実測の摩耗ライフを客観的に評価し易いタイヤの摩擦エネルギーの評価方法、及びコンピュータを提供することにある。
本発明に係るタイヤの摩擦エネルギーの評価方法は、モデルのタイヤを有限要素解析法で解析することで複数の接触節点の夫々に関して第1摩擦エネルギーを取得し、前記タイヤの主溝からの距離が所定以下である領域に含まれる特定領域を抽出して、その特定領域の平均の第2摩擦エネルギーを前記第1摩擦エネルギーに基づいて求める。
また、本発明に係るコンピュータは、モデルのタイヤを有限要素解析法で解析することで複数の接触節点の夫々に関して第1摩擦エネルギーを取得する取得部と、前記タイヤの主溝からの距離が所定以下である領域に含まれる特定領域を抽出して、その特定領域の平均の第2摩擦エネルギーを算出する平均摩擦エネルギー算出部と、を備える。
なお、上記主溝は、トレッドの外周面に形成され、直線部分、湾曲部分、及びジグザグ部分の少なくとも一つを有する溝である。主溝は、最も深さが深い溝(深さが最も深い溝として設計された溝)として定義してもよい。この場合、タイヤが、複数の主溝を有し、複数の主溝が、最大深さが略同一(最大深さが公差(製造誤差)の値だけ異なる)であり、主溝の深さが、主溝でない溝の深さよりも深くてもよい(公差(製造誤差)の値を超えた寸法深いということ)。又は、主溝は、最大幅が最も大きい溝として設計された溝として定義してもよい。又は、タイヤが、複数の主溝を有し、複数の主溝は、トレッドを複数の陸部領域に区画してもよい。つまり、主溝を、トレッドを複数の陸部領域に区画する溝として定義してもよい。又は、主溝を、インジケータが設けられた溝として定義してもよい。ここで、インジケータは、タイヤの摩耗を特定するための部分であり、例えば、タイヤの溝底に設けられたゴムの盛り上がり部分等である。
本発明の摩擦エネルギーの評価方法及びコンピュータによれば、実測の摩耗ライフを客観的に評価し易い。
本開示の一実施形態のコンピュータを示す図である。 本開示のタイヤのシミュレーションの処理手順の一例を示すフローチャートである。 シミュレーションを行うモデルのタイヤの一例を示す斜視図である。 モデルのタイヤにおいてトレッドパターンを有する部分における径方向及び幅方向を含む断面図である。 モデルAのタイヤに関し、各接触節点における摩擦エネルギーをドット密度を変えることで視覚化したトレッドパターンの部分展開図である。 複数の接触節点を複数の第2接触節点に変換した後の部分展開図であり、図5Aに示す領域部分に対応する領域部分の部分展開図である。 タイヤBにおける図5Aに対応する部分展開図である。 タイヤBにおける図5Bに対応する部分展開図である。 (a)は、実測値の摩擦エネルギーの平均値を示すグラフであり、(b)は、本開示の特定領域を抽出に基づくEaveを表すグラフであり、(c)は、特定領域を抽出しない参考例の摩擦エネルギーの平均値を表すグラフである。
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。
図1は、本開示の一実施形態のコンピュータ1を示す図である。コンピュータ1は、シミュレーターとして利用でき、本体1a、入力手段としてのキーボード1b及びマウス1c、及び出力手段としてのディスプレイ装置1dを備える。本体1aは、制御部と記憶部を含む制御装置を有する。
制御部、すなわち、プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。また、記憶部は、ハードディスクドライブ(HDD)や、半導体メモリ等で構成され、半導体メモリは、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリや、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成される。記憶部は、一つのみの記憶媒体で構成されてもよく、複数の異なる記憶媒体で構成されてもよい。CPUは、例えば、記憶部に予め記憶されたプログラム等を読み出して実行する。また、不揮発性メモリは、例えば、制御プログラムや所定の閾値等を予め記憶する。また、揮発性メモリは、例えば、読み出したプログラムや処理データを一時的に記憶する。記憶部には、後述するタイヤのシミュレーションを実行するためのプログラムが記憶されている。
図2は、本開示のタイヤのシミュレーションの処理手順の一例を示すフローチャートである。図2に示すように、シミュレーションは、先ず、ステップS1で、モデルのタイヤを有限要素解析法で解析することで複数の接触節点の夫々に関して第1摩擦エネルギーを取得する。図3は、シミュレーションを行うモデルAのタイヤの一例を示す斜視図である。モデルAのタイヤ(以下、タイヤAという)は、現実的にはコンピュータ1で取り扱われる数値データであるが、図3にこれを視覚化して斜視図として示している。
図3に示すように、タイヤAは、周方向に繰り返される3以上のトレッドパターンを周方向に部分的に有し、例えば、6つのトレッドパターン11のみを周方向に部分的に有する。図4は、モデルのタイヤAにおいてトレッドパターン11を有する部分における径方向及び幅方向を含む断面図である。図4に示すように、解析しようとするモデルのタイヤAは、有限個の小さな要素10a、10b、10c・・・に分割される。解析対象となるタイヤは、実在するものでもよく、実在しない設計段階のものでもよいが、本実施形態では、実在するもので行う場合を説明する。
各要素10a、10b、10c・・・は、有限要素法によって数値解析が可能なように定められる。具体的には、各要素10a、10b、10c・・・について、節点座標値、形状、材料特性(例えば密度、弾性率、損失正接又は減衰係数)等が定義される。各要素10a、10b、10c・・・は、例えば2次元平面としての三角形ないし四角形の膜要素、3次元要素としては、例えば4ないし6面体ソリッド要素等で形作られる。上述のように、タイヤAは、トレッドパターン11を有する。トレッドパターン11は、有限個の要素で分割され、その3次元形状が、モデルのタイヤAの中に組み入れられている。
トレッドパターン11は、例えば、縦溝9及び図示しない横溝によって区画された複数のブロックを有し、ブロックは、例えば、タイヤ赤道側からトレッド端に向かって順次配されたクラウンブロック11a、ミドルブロック11b、及びショルダブロック11cを含む。なお、溝の具体的な形状や配置は限定されない。
各ブロックの半径方向の外側面は、路面と接地するトレッド面12を構成する。モデルのタイヤAのトレッド面12は、例えば、隣接する4つの節点で囲まれた四辺形をなす要素面の連続体で構成される。トレッド面12は、仮想路面との接触が仮定される。トレッドパターン11は、溝深さが最も大きい縦溝の溝底よりも半径方向外側に位置する部分である。図3においては、トレッド端Te,Te間の部分が、路面と接地するトレッド面12と実質的に平行かつ小厚さの三次元の要素13を用いて層状にモデル化されたものを例示し、要素13は、六面体のソリッド要素で形成されている。要素13は、層状であれば六面体に限られるものではなく、種々の要素、例えば五面体等でも良い。
モデルのタイヤAを複数の要素に分割すると、次にモデルのタイヤAに必要な境界条件が設定され、それに基づき摩耗シミュレーションが行われる。境界条件としては、例えば、タイヤAが装着されるリムに関する条件、充填される空気圧に関する条件、負荷される荷重に関する条件、及び転動速度に関する条件のうちの少なくとも1つが設定される。
リムに関する条件は、タイヤAにリム組み状態を再現させるために必要なパラメータで、具体的には、タイヤAがリムと接触するリム接触域R,R、このリム接触域Rを変位不能とする拘束の定義、及び該リム接触域R,R間の幅RW(通常、これは適用リムのリム幅に等しい)、及びタイヤAの仮想の回転軸CL、回転軸CLとリム接触域Rとの相対距離r(リム半径で常に一定)等を含む。また空気圧に関する条件として、タイヤAの内腔面の全域に解析する空気圧に相当する等分布荷重wが定義される。負荷される荷重条件として、タイヤAの回転軸CLを垂直下方に押し下げる垂直荷重Fの値が設定される。転動速度に関する条件は、タイヤAの回転速度や転動時間、更には仮想路面(後述)との間の各種摩擦係数等を含む。
モデルのタイヤAを設定するモデル設定ステップ及びこの境界条件の設定は、通常、コンピュータ1を用いてユーザの要望を考慮しながら適宜設定される。摩耗シミュレーションでは、定められた境界条件に基づいてタイヤAを仮想路面15に接地させて転動シミュレーションを行う。そして、そのシミュレーションからモデルのタイヤAの摩耗特性を取得する。
仮想路面15は、タイヤAが走行する路面をモデル化したもので、例えば、水平に配置された平面の要素でモデル化される。摩耗シミュレーションは、境界条件に基づいてタイヤAを仮想路面15に接地させて転動させるとともに、トレッド面12に生じる力及び変位を計算し、より詳しくは、モデルのタイヤAの動的な変形状態を計算する。この計算は、モデルのタイヤA及び境界条件等を設定することができれば、これらの情報に基づいて例えば汎用有限要素解析アプリケーションソフトウエア(例えば米国リバモア・ソフトウエア・テクノロジー(LSTC)社製のアプリケーションソフト「LS-DYNA」など)によりコンピュータ1を用いて実行できる。なお、摩耗シミュレーションでは、必要に応じて、モデルのタイヤAのスリップ角の条件、前後Gの条件等を追加の条件としてかしてもよい。
摩耗シミュレーションを行うことにより、モデルのタイヤAの摩耗特性を取得することができる。「摩耗特性」とは、タイヤAのトレッドパターン11の耐摩耗性能を評価するためのパラメータであって、そこには、例えば、接地時の各要素のすべり量、接地圧、摩擦エネルギー、及び「すべり量×接地圧」等の物理量が含まれる。摩耗特性を取得することにより、トレッドパターン11における摩耗しやすい箇所や摩耗しにくい箇所などを特定することができる。
本実施形態では、「摩耗特性」として摩擦エネルギーが採用される。摩擦エネルギーは、転動しているトレッド面12の各要素について、作用する力とすべり量との積を、当該要素が路面に接地してから離れるまでの間、微小時間刻みで計算しかつそれらを総和した物理量である。摩擦エネルギーは、トレッドゴムの摩耗と相関があり、摩擦エネルギーが多い箇所ほど早期に摩耗し易いことを結論づけることができる。
モデルのタイヤAのトレッドパターン11において、トレッド面12に表れる少なくとも全ての節点について、接地中において受ける互いに直交する2方向における夫々のせん断力と、各せん断力の作用方向に対するすべり量とを計算し、更に、これらの値を掛け合わせて摩擦エネルギーを計算する。計算した摩擦エネルギーは、コンピュータ1の記憶部に記憶される。
図5Aは、タイヤAに関し、各接触節点における摩擦エネルギーをドット密度を変えることで視覚化したトレッドパターンの部分展開図である。より詳しくは、図5Aは、タイヤAが周方向に周期的かつ部分的に有する6ピッチのトレッドパターンの存在部分における摩擦エネルギー分布を示す部分展開図である。なお、図5Aでは、ドット密度が高い領域程、摩擦エネルギーが高いことを示している。図5Aに示すように、タイヤAでは、ショルダブロック11cの周囲のエッジ部分に大きな摩擦エネルギーが作用していることが分かる。図5Aに分布を示す摩擦エネルギーが、図2のステップS1で取得を目的とする第1摩擦エネルギーである。
再度、図2を参照して、ステップS1の後のステップS2では、複数の接触節点における複数の第1摩擦エネルギーを補間法により分解能が小さい複数の第2接触節点における複数の第3摩擦エネルギーに変換する。具体的には、複数の接触節点における複数の第1摩擦エネルギーを、補間法を用いてセルデータに変換する。1つのセルデータの分解能は、例えば、0.1mm以上かつ0.3mm以下に設定され、例えば、0.2mmに設定される。複数の接触節点は、均等に配置される必要はないが、セルを画定する第2接触節点は、展開図において均等に配置される。
ステップS2の後のステップS3では、特定領域を決定する。特定領域内に位置する第2接触節点の第3摩擦エネルギーのみが第2摩擦エネルギーの算出に用いられる。図5Bは、複数の接触節点を複数の第2接触節点に変換した後の部分展開図であり、図5Aに示す領域部分に対応する領域部分の部分展開図である。特定領域TRは、図5Bに斜線ハッチングで示す領域である。図5Bに示すように、特定領域は、主溝A,B,C,Dに間隔をおいて対向すると共に主溝A,B,C,Dに沿って延在する主溝対向領域70を含む。
<特定領域の決定条件>
特定領域は、次の(a)~(c)の条件を満たすよう決定される。
(a) 特定領域は、各主溝の幅方向中心位置から幅方向に±10mmの領域範囲に含まれる。図5Bに示す例では、4つの主溝、すなわち、主溝A、主溝B、主溝C、及び主溝Dが存在する。主溝Aの幅方向の中心は、図5Bの展開図の幅方向の中心から-51mm、幅方向の一方側(図5Bの紙面における左側)に移動した位置に存在する。また、主溝Bの幅方向の中心は、図5Bの展開図の幅方向の中心から-17mm、幅方向の一方側に移動した位置に存在する。また、主溝Cの幅方向の中心は、図5Bの展開図の幅方向の中心から17mm、幅方向の他方側(図5Bの紙面における右側)に移動した位置に存在する。主溝Dの幅方向の中心は、図5Bの展開図の幅方向の中心から51mm、幅方向の他方側に移動した位置に存在する。よって、(a)の条件により、特定領域は、図5Bの展開図の幅方向の中心を幅方向の原点とするとき、-61mmから-41mmまでの範囲、-27mmから-7mmまでの範囲、7mmから27mmまでの範囲、及び41mmから61mmまでの範囲に存在する。
(b) 特定領域は、サイプを除く全ての溝(主溝以外の溝も含む)のエッジからの距離が2mmから4mmの間の範囲である。ここで、サイプは、次のように定義される。最大の溝幅が、2mmである。最大開口面積が4mmである。
(c) 特定領域は、モデルのタイヤにおいて周方向の一部のみに存在し、周期的に繰り返される複数のトレットパターンのうちで周方向の両端に存在する2つのトレッドパターン以外の1ピッチのトレッドパターンの領域に存在する。
<各条件が意味する物理的な意義>
((a)の条件を設定する意義)
摩擦エネルギーのレベルが高いほど、摩耗ライフは悪化すると考えられる。ここで、摩擦エネルギー解析では、トレッド表面にわたる摩擦エネルギーの分布が得られるため、当該分布の平均値を算出して、摩耗ライフを評価することが考えられる。しかし、実測では摩耗ライフは、実車試験にて所定のコースを走行後に、主溝付近位置での平均的な摩耗量を基に局所的に評価されており、大局的な評価では、精密に評価しにくいという問題がある。(a)の条件をかすことで、実測で溝深さを計測する位置付近の摩擦エネルギーのみを抽出することになるので、実測における摩耗ライフの測定結果を客観的かつ正当に評価できる。
((b)の条件を設定する意義)
ブロックの端部は、実車を用いた実測で大きく削れるため、溝深さ計測の際の評価点から除外される。したがって、これに対応して、エッジから一定距離の領域の摩擦エネルギーを平均化することで、計測結果に対応する評価を行うことができる。また、微小溝であるサイプについては、ブロック端部で見られるような顕著な摩滅は小さい。よって、評価位置の対象として含めても、実測結果を客観的かつ正当に評価できる。
((c)の条件を設定する意義)
先ず、図2に示すように、周期的に繰り返される複数のトレットパターンがモデルのタイヤにおいて周方向の一部のみに存在することを仮定することで、ステップS1で複数の接触節点の夫々に関して第1摩擦エネルギーを取得するときに行う計算量(計算コスト)を格段に低減できる。そのような背景において、周方向の両端に存在するトレッドパターンにおいては、周方向の一方に隣接する領域にトレッドパターンが存在しないため、転動時における踏み込み時又は蹴り出し時に正当な評価をできない虞がある。(c)の条件をかすことで、モデルのタイヤの周方向の範囲を、中央1ピッチの領域に限定することができるので、転動時に踏み込みから蹴り出しにわたって、接地領域にパターンが存在するようにでき、実測における摩耗ライフの測定結果を客観的かつ正当に評価できる。
再度、図2を参照して、ステップS3の後のステップS4では、特定領域に含まれる第2接触節点を特定し、特定した各第2接触節点の第3摩擦エネルギーを取得する。続く、ステップS5では、ステップS4で取得した複数の第3摩擦エネルギーの平均値Eaveを算出する。この第3摩擦エネルギーの平均値Eaveは、第2摩擦エネルギーとなる。平均値Eaveは、特定領域に含まれる複数の第2接触節点に対応する複数の第3摩擦エネルギーの和を、複数の第2接触節点の数で割ることで算出できる。
ステップS5の後のステップS6では、ステップS5で算出した平均値Eaveを摩耗量の尺度として使用でき摩耗指標へ換算する。第3摩擦エネルギーのデータを抽出した後に平均化して算出した第3摩擦エネルギーの平均値Eaveをトレッドゴムの摩擦エネルギーに対する削れ易さの尺度となる指標に変換することで、予測精度を更に向上させることが可能になる。
詳しくは、次に示す(1)式、すなわち、アブレシブ摩耗における摩耗体積を求める理論式を用いて、第3摩擦エネルギーの平均値Eaveを削れ易さの尺度となる指標に変換する。
V=k((μWS)/(Hσε))・・・(1)
(1)式において、Vは、摩耗体積(質量)であり、kは、定数であり、μは、摩擦係数であり、Wは、荷重(面圧)であり、Sは、滑り距離であり、Hは、硬度(硬さ)であり、σは、破断強度(引張強さ)であり、εは、破断歪(伸び)である。
上記式(1)は、Eaveを用いた次の(2)式に書き換えられる。
V=k((μWS)/(Hσε))=k・Eave/(Hσε)・・・(2)
このことから、Eave/(Hσε)を摩耗指数(摩耗尺度)として用いることができ、この摩耗指数を用いれば、タイヤの削れ易さをより客観的に評価できる。ステップS6が完了すれば、タイヤのシミュレーションが終了する。なお、ステップS6は、省略してもよく、ステップS5で算出したEaveによって、モデルのタイヤの摩耗ライフを予測してもよい。
<シミュレーションと、実測値との比較>
本願発明者は、図5A及び図5Bを用いて説明したタイヤAと、それとは異なるモデルBのタイヤ(以下、単にタイヤBという)を用意した。図6Aは、タイヤBにおける図5Aに対応する部分展開図であり、図6Bは、タイヤBにおける図5Bに対応する部分展開図である。そして、タイヤAとタイヤBの夫々に関して、摩擦エネルギー算出のシミュレーションを行い、実測値と比較した。詳しくは、タイヤAと、タイヤBの夫々に関して、特定領域を抽出しない参考例の摩擦エネルギーの平均値と、本開示の特定領域を抽出に基づく上述のEaveを算出した。そして、それらの値を、タイヤAの実測値と、タイヤBの実測値と比較した。
図7は、その結果を示すグラフである。詳しくは、図7(a)は、実測値の摩擦エネルギーの平均値を示すグラフであり、図7(b)は、本開示の特定領域を抽出に基づくEaveを表すグラフであり、図7(c)は、特定領域を抽出しない参考例の摩擦エネルギーの平均値を表すグラフである。図7(a)に示すように、タイヤBは、タイヤAよりも摩擦エネルギーの平均値が大きく、トレッドゴムが削れ易くなっている。
そのような現実に対し、図7(c)に示す、特定領域を抽出しない参考例の摩擦エネルギーの平均値は、タイヤAとタイヤBで同程度の値となっている。したがって、特定領域を抽出しない参考例の摩擦エネルギーの平均値を用いた場合、タイヤAとタイヤBの実測値を客観的に評価できないことが分かる。
これに対し、図7(c)に示す、本開示の特定領域を抽出に基づくEaveによれば、タイヤBの値がタイヤAの値よりも大きくなっている。よって、本開示の特定領域を抽出に基づくEaveを用いれば、タイヤBが、タイヤAよりも摩擦エネルギーの平均値が大きく、トレッドゴムが削れ易いという現実をより正確かつ客観的に評価できる。
<本開示のタイヤの構成及びその作用効果>
[本開示のタイヤの必須の構成及びその作用効果]
本開示のタイヤの摩擦エネルギーの評価方法は、モデルのタイヤを有限要素解析法で解析することで複数の接触節点の夫々に関して第1摩擦エネルギーを取得し、タイヤの主溝からの距離が所定以下である領域に含まれる特定領域を抽出して、その特定領域の平均の第2摩擦エネルギーを第1摩擦エネルギーに基づいて求める。
また、本開示のコンピュータ1は、モデルのタイヤを有限要素解析法で解析することで複数の接触節点の夫々に関して第1摩擦エネルギーを取得する取得部と、タイヤの主溝からの距離が所定以下である領域に含まれる特定領域を抽出して、その特定領域の平均の第2摩擦エネルギーを第1摩擦エネルギーに基づいて算出する平均摩擦エネルギー算出部と、を備える。
本開示によれば、有限要素解析を用いて算出したタイヤ表面の摩擦エネルギーからタイヤの主溝の周辺領域のみを抽出して、その抽出した領域の摩擦エネルギーの平均値で、摩耗ライフを評価する。したがって、主溝の摩耗量のみで摩耗ライフを評価する実測の摩耗ライフに対応する摩擦エネルギーを算出でき、実測の摩耗ライフをより客観的かつ正確に評価できる。
[本開示のタイヤで採用すると好ましい構成及びその作用効果]
複数の接触節点における複数の第1摩擦エネルギーを補間により分解能が小さい複数の第2接触節点における複数の第3摩擦エネルギーに変換し、第2摩擦エネルギーを、特定領域に含まれる第2接触節点の第3摩擦エネルギーを用いて算出してもよい。
本構成によれば、2次元平面において、必ずしも均等に配置されていない複数の接触節点を、2次元平面において均等かつ分解能が高い複数の第2接触節点に変換できる。したがって、特定領域の平均の第2摩擦エネルギーの算出を正確かつ容易に行うことができる。
また、特定領域は、主溝A,B,C,Dに間隔をおいて対向すると共に主溝A,B,C,Dに沿って延在する主溝対向領域70を含んでもよい。
本構成によれば、主溝の摩耗量のみで摩耗ライフを評価する実測の摩耗ライフをより精度高く評価できる。
また、モデルのタイヤが、周方向の一部のみに複数の同一のパターン溝が周方向に繰り返される複数のピッチのパターン溝を有してもよい。また、連続する複数のピッチのうちの両端のピッチ以外の1以上のピッチに含まれる接触節点の第1摩擦エネルギーのみを用いて第2摩擦エネルギーを求めてもよい。
本構成によれば、複数の接触節点の夫々に関して第1摩擦エネルギーを取得するときに行う計算量(計算コスト)を格段に低減できる。また、モデルのタイヤの周方向の範囲を、中央1ピッチの領域に限定することができるので、転動時に踏み込みから蹴り出しにわたって、接地領域にパターンが存在するようにでき、実測における摩耗ライフの測定結果を客観的かつ正当に評価できる。
また、第2摩擦エネルギーと、アブレイシブ摩耗に関係する理論式とに基づいて、特定領域における摩耗を評価する摩耗評価式を算出してもよい。
本構成によれば、摩擦エネルギーでなくて摩耗の尺度を用いて実測の摩耗ライフをより高精度に評価できる。
<変形例>
本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。例えば、本開示では、複数の接触節点における複数の第1摩擦エネルギーを補間により分解能が小さい複数の第2接触節点における複数の第3摩擦エネルギーに変換しなくてもよい。また、モデルのタイヤは、周方向の全周に亘ってトレッドパターンが周期的に繰り返される構成でもよい。また、摩耗評価式を算出せず、特定領域の平均の第2摩擦エネルギーに基づいて摩耗ライフを評価してもよい。
また、上記(a),(b)の条件で採用した各種数値は例示であって、それらの各種数値は、他の数値に取り換えられてもよい。また、サイプの定義も、上記(b)で示されたものでなくてもよく、サイプの定義で用いられた各種数値は、他の数値に取り換えられてもよい。また、サイプを、評価位置の対象とする場合について説明したが、サイプを、評価位置の対象とせず、主溝等の他の溝と同等に扱ってもよい。
1 コンピュータ、 1a 本体、 1b キーボード、 1c マウス、 1d ディスプレイ装置、 9 縦溝、 10a,10b,10c 要素、 11 トレッドパターン、 11a クラウンブロック、 11b ミドルブロック、 11c ショルダブロック、 12 トレッド面、 13 要素、 15 仮想路面、 70 主溝対向領域、 A,B,C,D 主溝、 A,B タイヤ、 CL 回転軸、 F 垂直荷重、 R リム接触域、 RW 幅、 TR 特定領域、 Te トレッド端、 r 相対距離、 w 等分布荷重。

Claims (6)

  1. モデルのタイヤを有限要素解析法で解析することで複数の接触節点の夫々に関して第1摩擦エネルギーを取得し、
    前記タイヤの主溝からの距離が所定以下である領域に含まれる特定領域を抽出して、その特定領域の平均の第2摩擦エネルギーを前記第1摩擦エネルギーに基づいて求める、タイヤの摩擦エネルギーの評価方法。
  2. 前記複数の接触節点における複数の前記第1摩擦エネルギーを補間により分解能が小さい複数の第2接触節点における複数の第3摩擦エネルギーに変換し、
    前記第2摩擦エネルギーを、前記特定領域に含まれる前記第2接触節点の前記第3摩擦エネルギーを用いて算出する、請求項1に記載のタイヤの摩擦エネルギーの評価方法。
  3. 前記特定領域は、前記主溝に間隔をおいて対向すると共に前記主溝に沿って延在する主溝対向領域を含む、請求項1又は2に記載のタイヤの摩擦エネルギーの評価方法。
  4. 前記モデルのタイヤが、周方向の一部のみに複数の同一のパターン溝が前記周方向に繰り返される複数のピッチの前記パターン溝を有し、
    連続する前記複数のピッチのうちの両端の前記ピッチ以外の1以上の前記ピッチに含まれる前記接触節点の前記第1摩擦エネルギーのみを用いて前記第2摩擦エネルギーを求める、請求項1から3のいずれか1つに記載のタイヤの摩擦エネルギーの評価方法。
  5. 前記第2摩擦エネルギーと、アブレイシブ摩耗に関係する理論式とに基づいて、前記特定領域における摩耗を評価する摩耗評価式を算出する、請求項1から4のいずれか1つに記載のタイヤの摩擦エネルギーの評価方法。
  6. モデルのタイヤを有限要素解析法で解析することで複数の接触節点の夫々に関して第1摩擦エネルギーを取得する取得部と、
    前記タイヤの主溝からの距離が所定以下である領域に含まれる特定領域を抽出して、その特定領域の平均の第2摩擦エネルギーを前記第1摩擦エネルギーに基づいて算出する平均摩擦エネルギー算出部と、
    を備える、コンピュータ。
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