JP2023076366A - ポリビニルアルコールフィルム、それを含む光学フィルム及びそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明はポリビニルアルコールフィルム、それを含む光学フィルム及びそれらの製造方法を得ることにある。【解決手段】当該ポリビニルアルコールフィルムは、7~70の染色係数を有し、染色係数は10cm内の厚み偏差と位相差均等係数の積により得られ、且つ130未満の破断係数を有し、破断係数は位相差均等係数と含水率均等係数の積により得られる。本発明のポリビニルアルコールフィルムは、染色の不均一性が低く、耐破れ性が高いという特性を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)フィルム及びその製造方法に関するものであり、当該PVAフィルムは光学フィルムとして、特に偏光フィルムとして用い得る。
ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)フィルムは一種の親水性ポリマーであり、透明性、機械的強度、水溶性、良好な加工性などの性能を有し、包装材料又は電子製品の光学フィルムにおいて広く用いられている。ポリビニルアルコールフィルムは偏光板内の重要な構成要素であり、染色及び延伸後に偏光特性を有し、光線に偏光性を持たせて明暗をコントロールすることができ、現在では各種の液晶スクリーンに広く使用されている。
近年では、スクリーン技術の薄型化が進むなかで、偏光板製造工程に対する品質要求も徐々に高まっている。薄型化の過程中、延伸性や染色均一性の課題についても、薄型化するために段階的な改善が求められてきた。
ポリビニルアルコールフィルムで光学フィルムを調製する製造工程では、必要とする性能に従い選択的に官能基修飾を使用することができ、その後で延伸が行われる。製造方法は乾式と湿式に大別することができ、乾式は、一定の温湿度下において、不活性ガス雰囲気下でポリビニルアルコールフィルムの延伸を行ってから、染色などの工程を行うものである。湿式は、ポリビニルアルコールフィルムの染色を行ってから、溶液中で延伸を行うものである。乾式で調製されたポリビニルアルコールフィルムは、表面に平坦性がないか又は染色が不均一になるという問題がしばしば起こるが、湿式で製造されたポリビニルアルコールフィルムは良好な性能(例えば色が均一)を具備するため、現在では一般的に湿式法を用いてポリビニルアルコールフィルムを製造することが多い。
偏光フィルムを製造する場合には、延伸倍率が高くなるほど、得られる光学性能も高くなるため、延伸時にはポリビニルアルコールフィルムが断裂に近づく臨界近傍まで可能な限り延伸し、光学特性に優れたポリビニルアルコールフィルムを得る。
良好な偏光フィルムは色が均一で、色斑が少なく、皺がないなどの特性を有し、優れた光学特性を提供することができる。偏光フィルムの光学特性を向上させるため、従来技術ではポリビニルアルコールの構造を変化させたり、官能基(例えばカチオン基)を加えたりするなどして、粘度や鹸化度を変えることにより光学特性を向上させている。
中国特許第103992606号明細書
しかし、従来技術では、ポリビニルアルコールフィルムを用いて大きいサイズの偏光フィルムを製造する際に、染色が不均一になったり、フィルムの延伸性が悪くなったりする現象が頻繁に生じていた。例えば、特許文献1では、偏光板に使用するポリビニルアルコールフィルムについて、その幅方向の中央部の位相差は10~40nmであり、位相差が10nm未満の場合、染色斑が発生しやすくなることが記載されている。しかし、本発明者は、たとえポリビニルアルコールフィルムをその幅方向の中央部の位相差を10~40nmの間にコントロールしたとしても、やはり染色斑が存在するという問題に気づいた。また、ポリビニルアルコールフィルムを薄型化する場合には、幅が広いフィルムの物性条件に対応することが一層厳しくなるため、延伸過程でフィルムが切断しないように、フィルムの結晶均一性や水分均一性を何とかしてコントロールする必要がある。
本発明者は、フィルムの厚みについて、フィルム面の厚みの差が過度に大きい場合、厚い領域は色が濃くなり、薄い領域は色が薄くなって、見た目が不均一になることや、フィルム厚みの偏差が大きくない状況において、隣接するフィルム面の位相差の差が過度に大きい場合、位相差が大きい領域は色が濃くなり、位相差が小さい領域は色が薄くなることに気づいた。従って、フィルム表面における染色の外観の濃淡はフィルムの厚みの差及び位相差の差という複合的な要素によって決まるため、両偏差値を一定の限度内にコントロールするなら染色斑や濃度斑の発生を回避することができる。また、フィルムの切断問題について、発明者は、フィルムの含水率均一性(延伸性を表す)と位相差均一性(結晶性を表す)を一定の限度範囲内にコントロールすれば、より幅広くより薄いフィルムを製造してもフィルムの切断問題が発生しないことに気づいた。
そこで、上述の問題を解決するために、本発明が提供するポリビニルアルコールフィルムは、フィルムの10cmにおける厚み偏差、位相差均等係数により画定される染色係数と、位相差均等係数に含水率均一性を組み合わせて画定される破断係数とをコントロールすることにより、フィルムに染色の不均一性が低く、耐破れ性が高いという特性を持たせている。
本発明は、7~70の染色係数、及び130未満の破断係数を有するポリビニルアルコールフィルムを提供することを目的としており、染色係数は10cm内の厚み偏差と位相差均等係数の積であり、破断係数は位相差均等係数と含水率均等係数の積である。
好ましい実施例中、ポリビニルアルコールフィルムの染色係数は7~27の間である。
好ましい実施例中、ポリビニルアルコールフィルムの10cm内の厚み偏差は3.0μm以下である。
好ましい実施例中、ポリビニルアルコールフィルムの位相差均等係数は4.7~24.7の間である。
好ましい実施例中、ポリビニルアルコールフィルムはさらに0.3%未満の含水率標準偏差を有する。
好ましい実施例中、ポリビニルアルコールフィルムの10cm内の厚み偏差は2.0μm以下である。
本発明の別の目的は、光学フィルムを提供することであり、それは上述のポリビニルアルコールフィルムで製造されたものである。
好ましい実施例中、光学フィルムは偏光フィルムである。
本発明の別の目的は、上述のポリビニルアルコールフィルムの製造方法を提供することであり、その工程は、(a)ポリビニルアルコール系樹脂を100℃以上の温度下且つ1atm以上の圧力下で少なくとも5時間溶解し、ポリビニルアルコール溶液を形成する、溶解工程と、(b)ポリビニルアルコール溶液を押出機によって20kg/cm以上の背圧下の金型を通して吐出する、圧出成形工程と、(c)複数の乾燥ロールにおいて成膜され、そのうち第1乾燥ロールの加熱源の入口温度と出口温度の分布は4℃未満であり、幅方向の温度標準偏差は4℃未満である、水分調整工程と、(d)上述の乾燥ロールによる成膜を経た後、乾燥器内で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムを得る、乾燥工程と、を含む。
好ましい実施例中、工程(b)は金型の背圧が25kg/cm以上の下で実施される。
本発明の効果として、本発明が提供するポリビニルアルコールフィルムは、染色を経た後、偏光板を直交させて検査すると、染色斑や濃度斑がなく、染色不均一性が低いという特性を有することが認められた。また、本発明が提供するフィルムは、延伸を経た場合に、十分な延伸性を具備していて切断を回避することができ、高い耐破れ性を有する。
ポリビニルアルコールフィルムの製造方法における、水分調整工程中の乾燥工程の概念図である。
以下の実施形態は、本発明を過度に限定するものではない。本発明が属する技術分野の当業者は、本発明の精神又は範囲から逸脱せずに本明細書中で検討する実施例に対して修正や変更を行うことができ、いずれも本発明の範囲に属する。
本明細書中の「1」及び「一種」という用語は、本明細書において文法の対象が1つ以上(即ち少なくとも1つ)存在することを指す。
本発明は、7~70の染色係数、及び130未満の破断係数を有するポリビニルアルコールフィルムを提供することを目的としており、染色係数は10cm内の厚み偏差と位相差均等係数の積であり、破断係数は位相差均等係数と含水率均等係数の積である。
ポリビニルアルコールフィルムの厚み偏差は、色に落差が出るのを回避するために、幅方向の部分的な厚みの差を限られた範囲内にコントロールするものである。本明細書に記載の「10cm内の厚み偏差」とは、幅方向tmm、流れ方向50mmのポリビニルアルコールフィルム試料を採取し、そのうちt値はポリビニルアルコールフィルム試料の幅によって決まり、取得したポリビニルアルコールフィルム試料をスウィング・アルバート計器社(Thwing-Albert Instrument Company)製のProGage厚さ計に置き、1cm毎に幅方向の厚み値を記録してから、測定した厚み値を10cm毎で範囲とし(例えば0~10cm、1~11cm、…、270~280cmなど)、取得したポリビニルアルコールフィルム試料の厚みの差の最大値Mと最小値mを減算して10cmにおける厚み偏差を得たものである。即ち、10cm内の厚み偏差(μm)=M-mとなる。好ましい実施例において、ポリビニルアルコールフィルムの10cm内の厚み偏差は3.0μm以下である。具体的には、例えば3μm以下、2.5μm以下、2.0μm以下、1.5μm以下である。より好ましい実施例において、本発明のポリビニルアルコールフィルムの10cm内の厚み偏差は2.0μm以下である。
ポリビニルアルコールフィルムの位相差は、ポリビニルアルコール結晶自体が有する複屈折性に起因するものであり、その屈折現象はポリビニルアルコールの結晶性の影響を受ける。染色及び呈色後、屈折の差によって色の濃淡が異なる現象が発現するため、位相差の偏差は一定範囲内にコントロールする必要がある。本明細書に記載の「位相差均等係数」とは、幅方向tmm、流れ方向50mmのポリビニルアルコールフィルム試料を採取し、そのうちt値はポリビニルアルコールフィルム試料の幅によって決まり、取得したポリビニルアルコールフィルム試料をフォトロン社製の位相差測定計であるX-stageに置き、毎回の測定範囲の幅方向を20cm、流れ方向を30cmに設定し、幅方向の位相差平均値x及び標準偏差yを取得して位相差均等係数を計算したものである。即ち、位相差均等係数(%)=y/x*100%となる。好ましい実施例において、ポリビニルアルコールフィルムの位相差均等係数は4.7~24.7の間である。具体的には、例えば4.7、6.7、8.7、10.7、12.7、14.7、16.7、18.7、20.7、22.7又は24.7のうちの任意の2つの数値間の範囲である。
本明細書に記載の「染色係数」とは、上述の10cm内の厚み偏差と上述の位相差均等係数の積である。発明者は、厚み偏差と位相差均一性を特定の範囲内にコントロールすることにより、フィルム面の外観の濃淡が一定限度内に調整され、染色斑や濃度斑の発生を回避し得ることを発見した。好ましい実施例において、染色係数は7~70の間である。具体的には、例えば7、10、13、16、19、21、24、27、30、33、36、39、41、44、47、50、53、56、59、61、64、67又は70のうちの任意の2つの数値間の範囲である。より好ましい実施例において、本発明のポリビニルアルコールフィルムの染色係数は7~27の間である。
ポリビニルアルコールフィルムの水分分布が不均一である場合、延伸過程中に脆性破壊が発生しやすくなり、フィルムの延伸性も悪くなる。本明細書に記載の「含水率均等係数」は、長さ100mm、幅100mmのポリビニルアルコールフィルムを採取して天秤でSgを秤量し、ポリビニルアルコールフィルムを83℃の乾燥器に入れて20分間乾燥した後、取り出して乾燥皿に入れて5分間冷却してからWgを秤量し、次にその水分含量を計算する。即ち、水分含量(%)=(S-W)/S*100%となる。上述のポリビニルアルコールフィルムを幅方向に5等分して順に試料採取し、含水率を測定してから平均数m及び標準偏差nを計算し、次に含水率均等係数を計算する。即ち、含水率均等係数(%)=n/m*100%となる。好ましい実施例において、ポリビニルアルコールフィルムの含水率標準偏差は0.3%未満である。具体的には、例えば0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満又は0.1%未満である。
偏光板の延伸工程では、延伸時の切断を避けるために、位相差均一性のほかに、含水率均一性も重要なコントロール指標となる。本明細書に記載の「破断係数」は、上述の位相差均等係数と上述の含水率均等係数の積である。好ましい実施例において、ポリビニルアルコールフィルムの破断係数は130未満である。具体的には、例えば130未満、120未満、110未満、100未満、90未満、80未満、70未満、60未満、50未満、40未満、30未満、20未満、10未満である。
別の態様として、本発明は当該ポリビニルアルコールフィルムの製造方法も提供するが、その工程は、(a)ポリビニルアルコール系樹脂を100℃以上の温度下且つ1atm以上の圧力下で少なくとも5時間溶解し、ポリビニルアルコール溶液を形成する、溶解工程と、(b)ポリビニルアルコール溶液を押出機によって20kg/cm以上の背圧下の金型を通して吐出する、圧出成形工程と、(c)複数の乾燥ロールにおいて成膜され、そのうち第1乾燥ロールの加熱源の入口温度と出口温度の分布は4℃未満であり、幅方向の温度標準偏差は4℃未満である、水分調整工程と、(d)上述の乾燥ロールによる成膜を経た後、乾燥器内で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムを得る、乾燥工程と、を含む。
溶解工程は、ポリビニルアルコール系樹脂を100℃以上の温度下且つ1atm以上の圧力下で少なくとも5時間溶解し、ポリビニルアルコール溶液を形成して、後に製造するポリビニルアルコールフィルムの原液とするものである。少なくとも1つの実施例によれば、ポリビニルアルコール系樹脂を溶解する温度は100℃以上が好ましい。具体的には、例えば100℃、115℃、120℃、125℃又は130℃などである。ポリビニルアルコール系樹脂を溶解する圧力は1atm以上が好ましい。具体的には、例えば1atm、1.51atm、2atm、2.5atm又は3atmなどである。ポリビニルアルコール系樹脂を溶解する溶解時間は少なくとも5時間であるのが好ましい。具体的には、例えば少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間又は少なくとも9時間などである。
上述のポリビニルアルコール樹脂は、ビニルエステル系樹脂単量体の重合によりポリビニルエステル系樹脂を形成した後、鹸化反応を行って得たものである。そのうち、ビニルエステル系樹脂単量体は、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ペンタン酸ビニル又はオクタン酸ビニルなどのビニルエステル類を含むが、本発明はこれらに限定されず、好適には酢酸ビニルである。また、オレフィン類化合物又はアクリレート誘導体と上述のビニルエステル系樹脂単量体との共重合により形成された共重合体も使用可能である。オレフィン類化合物は、エチレン、プロピレン又はブチレンなどを含むが、本発明はこれらに限定されない。アクリレート誘導体はアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル又はアクリル酸n-ブチルなどを含むが、本発明はこれらに限定されない。
上述のポリビニルアルコール系樹脂の鹸化度/アルカリ化度は98.00%以上であるのが好ましく、これにより良好な光学特性が得られる。具体的には、例えば98.00%、98.50%、99.00%、99.50%、100.00%であり、好適には98.00%~99.00%である。
上述のポリビニルアルコールの重合度は1500~5000の間である。具体的には、例えば1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500又は5000のうちの任意の2つの数値間の範囲である。重合度が1500を上回ると良好な加工特性を具備するが、重合度が5000を上回ると溶解するのに都合が悪くなる。
圧出成形は、ポリビニルアルコール溶液を押出機によって20kg/cm以上の背圧下の金型を通して吐出し、ポリビニルアルコールフィルムを予備形成するものである。少なくとも1つの実施例によれば、金型の背圧の圧力は20kg/cm以上である。具体的には、例えば20kg/cm以上、25kg/cm以上、30kg/cm以上、35kg/cm以上又は40kg/cm以上であり、好適には23kg/cm以上、より好適には25kg/cm以上である。発明者は、ポリビニルアルコールフィルムの厚み偏差が金型から原料が吐出される時の圧力によって決まることを発見した。金型の幅方向の吐出を均一にさせるには、吐出圧力を増加させるのが一般的である。好ましい実施例中、吐出圧力は25kg/cm以上まで増加させる。
水分調整については、図1の乾燥工程100に示す通り、金型110を通して背圧下で吐出されたポリビニルアルコール溶液が複数の乾燥ロール(120は第1乾燥ロール、130は第2乾燥ロール、140は第3乾燥ロール、150は第N乾燥ロール)を経由し、加熱されて成膜される。位相差均一性及び含水率均一性は、フィルム成形時の乾燥における受熱の均一性によって決まるため、緊張状態下にあるポリビニルアルコール分子鎖が完全には引き伸ばされておらず、幅方向に受ける熱が不均一な場合、結晶度の差異が発生し、複屈折性が低下して、後の染色やヨード液と染料との架橋の呈色に影響が出てしまう。この問題を避けるためには、熱源の供給を安定させるだけでなく、成膜用の乾燥ロールの経路についても精密に設計し、乾燥ロール熱源入口210から乾燥ロール熱源出口220まで20cm毎に乾燥ロール経路の温度測定を行って、乾燥ロールの幅方向全体の温度をできる限り均一にさせる必要がある。また、乾燥ロールの温度の高さを一定範囲内にコントロールするだけでなく、第1乾燥ロール120の幅方向の温度標準偏差を一定範囲内にコントロールする必要もある。本明細書に記載の「第1乾燥ロール」とは、金型を通して背圧下で吐出されたポリビニルアルコール溶液が最初に接触する乾燥ロールをいう。少なくとも1つの実施例によれば、位相差均一性が良好なフィルムを得るために、複数の乾燥ロールの加熱源の入口温度と出口温度の差の分布は4℃未満とし、幅方向の温度標準偏差は4℃未満とする。少なくとも1つの実施例によれば、第1乾燥ロールの幅方向の温度標準偏差は4℃未満であり、好適には3℃未満、より好適には2℃未満である。
乾燥工程は、上述の乾燥ロールによる加熱及び成膜を経た後のポリビニルアルコールフィルムを乾燥器に入れて乾燥して、染色の不均一性が低く、耐破れ性が高いポリビニルアルコールフィルムを得るものである。
本発明のポリビニルアルコールフィルムは、光学フィルムとして製造することもできる。本明細書に記載の「光学フィルム」とは、偏光フィルム、ブルーライトカットフィルム、フィルターレンズなどを指すが、本発明はこれらに限定されない。好適には、本発明のポリビニルアルコールフィルムは偏光フィルムとされる。
好ましい実施例中、偏光フィルム(又は偏光板と呼ぶ)製造方法は、以下の工程を含む。ポリビニルアルコールフィルムを膨潤、染色、延伸、補色、乾燥及びトリアセチルセルロースフィルム(TAC)の貼り合わせを行うことにより、偏光フィルムが得られる。
ポリビニルアルコールフィルムをさらに光学フィルムの製造に用いる場合には、延伸と染色を行うが、偏光フィルムを例とすると、偏光フィルムの製造工程ではI 、I ヨウ化物イオンが含まれたホウ酸水溶液でポリビニルアルコールフィルムの染色が行われるため、ホウ酸がポリビニルアルコールの無定形(amorphous)エリアとの架橋結合作用を生じた後、ヨウ化物イオンが固定され、ヨウ化物イオンの溶出を防ぐことができる。
以下では、実施例と合わせて本発明についてより詳しく説明する。但し、それらの実施例は本発明をより容易に理解できるよう助けるためのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
ポリビニルアルコールフィルムの製造
ポリビニルアルコール系樹脂を加熱溶解してポリビニルアルコール溶液を形成してから、ポリビニルアルコール溶液を圧出成形し、乾燥ロールに通してポリビニルアルコール溶液を成膜し、且つ水分を調整して、ポリビニルアルコール成膜試料を乾燥器で乾燥し、ポリビニルアルコールフィルムを得る。
偏光フィルムの製造
ポリビニルアルコールフィルムを30℃の水中に浸漬して膨潤させ、且つ機械方向(MD)に向かって元の長さの2.0倍まで一軸延伸した後、0.03質量パーセントのヨウ素、及び3質量パーセントのヨウ化カリウムを含む30℃の水溶液に浸漬しながら、ポリビニルアルコールフィルムを元の長さの3.3倍まで延伸し、次に3質量パーセントのヨウ化カリウム及び3質量パーセントのホウ酸を含む30℃の水溶液中に浸漬して、元の長さの3.6倍までさらに延伸する。続けて5質量パーセントのヨウ化カリウム及び4質量パーセントのホウ酸を含む60℃の水溶液中に浸漬して、元の長さの6.0倍までさらに延伸する。その後、3質量パーセントのヨウ化カリウム水溶液に15秒間浸漬してから、60℃で4分間乾燥すれば、偏光フィルムを得ることができる。
以下は、実施例1~4及び比較例1~3の試験制御変数及び色相均一性、耐破れ性測定結果である表1を参照されたい。
Figure 2023076366000002
本実施例中、偏光板の染色均一性の評価方法は、以下を含む。
単片検査
製造した偏光板を幅方向が30cm、流れ方向が30cmの試料に裁断し、エリアライト(光度は14,000cd)を備えた載物台のある暗室中に置き、且つ載物台上に透過率が43%の偏光板を事前に貼り付けておく(測定者はバックライト側に位置する)。次にバックライト側の測定者が試料を載物台から約1mの高さになるように持ち、試料が載物台の水平に対して30~60度を呈するようにして、試料表面の染色現象を観察する。
二片検査
載物台上に1層の偏光板(透過率43%)をさらに敷き、上述と同じ方法でもう一度試料の染色を判断する。
単片検査と二片検査の目視による判断結果に基づき、偏光板の染色状態を3つの等級に区分する。二片検査に合格した場合には「◎」とし、単片検査に合格した場合には「○」とし、単片検査に不合格の場合には「×」とする。
本実施例中、偏光フィルムの切断の評価方法は以下を含む。5,000mの完成品を基準とし、内製の偏光フィルム製作試験機を使用して、偏光フィルムを30℃下で2分間膨潤させて、1回目の延伸で偏光フィルムを元の長さの2.0倍まで延伸する。次に30℃の染色液(0.5g/LのIと20g/LのKIで構成する)で3分間染色した後、2回目の延伸を行って、偏光フィルムを元の長さの3.0倍まで延伸する。次に50℃の延伸槽(溶液は60g/LのKIと60g/Lのホウ酸で構成する)中で3回目の延伸を行い、偏光フィルムを元の長さの5.5倍まで延伸して、偏光フィルムが3回の延伸過程中に切断されていないかどうかを観察する。
注目すべき点として、先行技術では、偏光板に使用するポリビニルアルコールフィルムについて、その幅方向の中央部の位相差は10~40nmであることが記載されており、さらに、位相差が10nm未満である場合、染色斑が発生しやすくなることが指摘されている。しかし、表1に示す通り、比較例1のように幅方向の位相差がいずれも10~40nmであるポリビニルアルコールフィルムを使用したとしても、やはり染色斑の問題が存在する。
表1によれば、本発明のポリビニルアルコールフィルムによって製造された偏光フィルムは、染色係数の観点で見た場合、実施例1~4の染色係数がいずれも7~70の間であり、そのうち実施例1と2の染色係数はさらに7~27の間であり、染色均一性に優れていた。一方で、比較例1~3の染色係数はいずれも70を超えており、偏光板の染色均一性試験では単片検査においていずれも不合格であり、染色均一性が悪かった。
次に破断係数の観点から見た場合、実施例1~4の破断係数はいずれも130未満であり、且ついずれにもフィルムの切断現象は発生しなかった。一方で、比較例3の染色係数は130を超えており、且つ偏光板の破断試験でフィルムの切断が発生しており、耐破れ性が悪かった。
要約すると、本発明のポリビニルアルコールフィルムは、7~70の染色係数を有し、染色係数は10cm内の厚み偏差と位相差均等係数の積により得られ、且つ130未満の破断係数を有し、破断係数は位相差均等係数と含水率均等係数の積により得られ、低い染色不均一性と高い耐破れ性を同時に兼ね備えることができる。
本明細書において提供する全ての範囲は、割り当て範囲内における各特定の範囲及び割り当て範囲の間の二次範囲の組み合わせを含むという意味である。また、別段の説明がない限り、本明細書が提供する全ての範囲は、いずれも範囲のエンドポイントを含む。例えば、範囲1~5は、具体的には1、2、3、4及び5、並びに2~5、3~5、2~3、2~4、1~4などの二次範囲を含む。
本明細書において参照される全ての刊行物及び特許出願はいずれも参照により本明細書に組み込まれ、且つありとあらゆる目的から、各刊行物又は特許出願はいずれも各々参照により本明細書に組み込まれることを明確且つ個々に示している。本明細書と参照により本明細書に組み込まれるあらゆる刊行物又は特許出願との間に不一致が存在する場合には、本明細書に準ずる。
本明細書で使用する「含む」、「有する」及び「包含する」という用語は、開放的、非限定的な意味を有する。「1」及び「当該」という用語は、複数及び単数を含むと理解されるべきである。「1つ以上」という用語は、「少なくとも1つ」を指し、従って単一の特性又は混合物/組み合わせた特性を含むことができる。
操作の実施例中又は他の指示する場所を除き、成分及び/又は反応条件の量を示す全ての数字は、全ての場合においていずれも「約」という用語を用いて修飾することができ、示した数字の±5%以内であるという意味である。本明細書で使用する「基本的に含まない」又は「実質的に含まない」という用語は、特定の特性が約2%未満であることを意味する。本明細書中に明確に記載されている全ての要素又は特性は、特許請求の範囲から否定的に除外することができる。
100 乾燥工程
110 金型
120 第1乾燥ロール
130 第2乾燥ロール
140 第3乾燥ロール
150 第N乾燥ロール
210 乾燥ロール熱源入口
220 乾燥ロール熱源出口

Claims (10)

  1. 7~70の染色係数、及び130未満の破断係数を有し、
    前記染色係数は、10cm内の厚み偏差と位相差均等係数との積であり、
    前記破断係数は、前記位相差均等係数と含水率均等係数との積である、ポリビニルアルコールフィルム。
  2. 前記染色係数は、7~27の間である、請求項1に記載のポリビニルアルコールフィルム。
  3. 前記10cm内の厚さ偏差は、3.0μm以下である、請求項1に記載のポリビニルアルコールフィルム。
  4. 前記位相差均等係数は、4.7~24.7の間である、請求項1に記載のポリビニルアルコールフィルム。
  5. 0.3%未満の前記含水率標準偏差をさらに有する、請求項1に記載のポリビニルアルコールフィルム。
  6. 前記10cm内の厚さ偏差は、2.0μm以下である、請求項1に記載のポリビニルアルコールフィルム。
  7. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のポリビニルアルコールフィルムにより製造されたものである、光学フィルム。
  8. 偏光フィルムである、請求項7に記載の光学フィルム。
  9. (a)ポリビニルアルコール系樹脂を100℃以上の温度下且つ1atm以上の圧力下で少なくとも5時間溶解し、ポリビニルアルコール溶液を形成する、溶解工程と、
    (b)前記ポリビニルアルコール溶液を押出機によって20kg/cm以上の背圧下の金型を通して吐出する、圧出成形工程と、
    (c)複数の乾燥ロールにおいて成膜され、そのうち第1乾燥ロールの加熱源の入口温度と出口温度の分布は4℃未満であり、幅方向の温度標準偏差は4℃未満である、水分調整工程と、
    (d)前記乾燥ロールによる成膜を経た後、乾燥器内で乾燥して、前記ポリビニルアルコールフィルムを得る、乾燥工程と、を含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のポリビニルアルコールフィルムの製造方法。
  10. 前記工程(b)は、金型の背圧が25kg/cm以上の下で実施されている、請求項9に記載の方法。
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