JP2022175336A - 変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動時における動力損失を低減することができるとともに、構造を簡素化または小型化することができる変速装置を提供する。【解決手段】モータ2が連結された第1回転要素S、出力軸19が連結された第2回転要素C、第3回転要素Rf、および第4回転要素Rrを有する遊星歯車機構と、第3回転要素Rfと固定部材25とを選択的に連結する噛み合い式の第1ブレーキ機構Bfと、第4回転要素Rrと固定部材25とを選択的に連結する噛み合い式の第2ブレーキ機構Brとを備え、第1ブレーキ機構Bfを係合しかつ第2ブレーキ機構Brを解放することにより変速比が第1所定比となるドライブモードを設定し、第1ブレーキ機構Bfを解放しかつ第2ブレーキ機構Brを係合することにより変速比が第1所定比よりも大きい第2所定比となるエクストラローモードを設定するように構成されている。【選択図】図1
Description
この発明は、駆動力源のトルクを変化させて出力する変速装置に関するものである。
特許文献1には、遊星歯車機構と、その遊星歯車機構のうちの所定の回転要素とケースとを摩擦接触させることにより所定の回転要素を選択的に固定するHighブレーキと、他の回転要素とケースとを摩擦接触させることにより他の回転要素を選択的に固定するLowブレーキとによって構成された変速装置が記載されている。この遊星歯車機構は、駆動力源としてのモータに連結されたサンギヤと、そのサンギヤに噛み合う第1歯車および第1歯車と一体に形成されるとともに第1歯車よりも歯数の少ない第2歯車とを有するピニオンギヤと、第1歯車に噛み合う第1リングギヤと、第2歯車に噛み合う第2リングギヤと、ピニオンギヤを自転および公転可能に保持しかつ出力軸が連結されたキャリヤとにより構成されている。また、Highブレーキは、第1リングギヤを固定することにより相対的に変速比が小さい変速段を形成し、Lowブレーキは、第2リングギヤを固定することにより相対的に変速比が大きい変速段を形成するように構成されている。なお、ブレーキは、湿式多板ブレーキやバンドブレーキによって構成されている。
特許文献1に記載された変速装置は、HighブレーキとLowブレーキとの伝達トルク容量を変化させることにより、駆動輪に伝達されるトルクが一時的に低下することを抑制しつつ、変速比が小さい変速段と変速比が大きい変速段とを切り替えることができる。しかしながら、摩擦式のブレーキは、互いに摩擦接触する二つのプレートと、それらのプレートのうちの一方のプレートを他方のプレートに押圧するための押圧部材と、その押圧部材に押圧力を作用させるアクチュエータとを少なくとも設けることになり、構造が複雑になるとともに、変速装置が大型化する可能性がある。また、摩擦力によってトルクを伝達するものであるため、係合する二つの回転部材が相対回転している場合には、その摩擦損失を要因として動力損失が大きくなる可能性がある。さらに、押圧力を維持することにより係合状態を維持することができるものであるため、変速段を設定して走行している間は、常時、アクチュエータを作動させる必要がある。そのため、アクチュエータによって押圧力を維持することによって動力損失が大きくなる可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、駆動時における動力損失を低減することができるとともに、構造を簡素化または小型化することができる変速装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、モータの回転軸と同一軸線上に配置されるとともに、前記モータのトルクを変化させて出力軸から終減速機付きの差動機構に出力する変速装置において、前記モータが連結された第1回転要素、前記出力軸が連結された第2回転要素、第3回転要素、および第4回転要素を有する遊星歯車機構と、前記第3回転要素と固定部材とを選択的に連結する噛み合い式の第1ブレーキ機構と、前記第4回転要素と前記固定部材とを選択的に連結する噛み合い式の第2ブレーキ機構とを備え、前記第1ブレーキ機構を係合するとともに前記第2ブレーキ機構を解放することにより前記モータの回転軸と前記出力軸との変速比が第1所定比となる第1変速段を設定し、前記第1ブレーキ機構を解放するとともに前記第2ブレーキ機構を係合することにより前記変速比が前記第1所定比よりも大きい第2所定比となる第2変速段を設定するように構成され、前記第1ブレーキ機構と前記第2ブレーキ機構とのうちの係合するブレーキ機構を切り替えることにより、前記第1変速段と前記第2変速段との切り替えを行うように構成されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、モータが連結された第1回転要素、出力軸が連結された第2回転要素、第3回転要素、および第4回転要素を有する遊星歯車機構と、第3回転要素と固定部材とを選択的に連結する噛み合い式の第1ブレーキ機構と、第4回転要素と固定部材とを選択的に連結する噛み合い式の第2ブレーキ機構とにより構成されている。したがって、第1ブレーキ機構と第2ブレーキ機構との係合および解放を制御するためのシフトフォークなどをケースの外側に配置することができる。言い換えると、第1ブレーキ機構や第2ブレーキ機構を制御するためのアクチュエータをケースの内部に設ける必要がないため、アクチュエータを含むブレーキ機構の軸長を短縮することができる。また、噛み合い式の係合機構によって各ブレーキ機構を構成することにより、接触面がスリップするなどによる動力損失や係合状態を維持するための押圧力などを出力し続けることによる動力損失を低減することができる。さらに、油膜などを介した引き摺りトルクが解放しているブレーキ機構に作用することを抑制できる。
この発明の実施形態における変速装置の一例を説明するための断面図を図1に示してある。図1に示す変速装置1は、駆動力源としてのモータ2と図示しない駆動輪との変速比を変更するように構成されている。図1に示すモータ2は、従来知られている電気自動車やハイブリッド車両に設けられた駆動力源としてのモータと同様に構成することができ、例えば、三相交流モータ、より具体的には、永久磁石式同期モータや誘導モータによって構成することができる。なお、図1に示すモータ2は、永久磁石式同期モータによって構成されている。
このモータ2は、環状のロータ3と、ロータ3と同軸上に配置されるとともに、ロータ3の外周面と所定の隙間を空けて設けられた環状のステータ4とによって構成されている。このロータ3は、従来のモータ2と同様に、円筒状の複数の鋼板をモータ2の回転軸線方向に積層するとともに、その外周側に永久磁石5が組み込まれて構成されている。また、ステータ4も同様に、円筒状の複数の鋼板をモータ2の回転軸線方向に積層して構成されている。さらに、ステータ4には、内周側に突出した複数のステータティースが円周方向に所定の間隔を空けて形成され、それぞれのステータティースにコイル6が巻き付けられている。
上述したように構成されたモータ2は、円筒状に形成されたフロントハウジング7に収容されている。そのフロントハウジング7における所定の位置に、ステータ4の外周部分が図示しないボルトなどによって固定されている。また、ロータ3の内周部には、円筒状に形成されたロータ軸8がスプライン係合などによって連結されている。さらに、フロントハウジング7における出力側(図1における右側)には、環状の隔壁部9が形成されていて、ボールベアリング10を介して隔壁部9にロータ軸8が回転可能に保持されている。
なお、図1に示す例では、ロータ3の軸線方向における両側から積層鋼板を挟み付けるための環状のプレート11が配置され、そのプレート11を位置決めし、また挟み付ける押圧力を維持するためにナット12がロータ軸8に締め付けられている。
上述したように構成されたモータ2の出力トルクを変化させて出力するための変速装置1が設けられている。図1に示す変速装置1は、サンギヤS、フロントリングギヤRf、リヤリングギヤRr、およびキャリヤCの四つの回転要素が互いに差動回転できるように構成された遊星歯車機構によって構成されている。なお、サンギヤSが、この発明の実施形態における「第1回転要素」に相当し、キャリヤCが、この発明の実施形態における「第2回転要素」に相当し、フロントリングギヤRfが、この発明の実施形態における「第3回転要素」に相当し、リヤリングギヤRrが、この発明の実施形態における「第4回転要素」に相当する。
サンギヤSは、ロータ軸8の内周部にスプライン係合したサンギヤ軸13の先端に形成されていて、そのサンギヤSおよびフロントリングギヤRfにフロントピニオンギヤPfが噛み合っている。なお、フロントピニオンギヤPfは、サンギヤSおよびフロントリングギヤRfの円周方向に所定の間隔を空けて複数設けられている。
フロントリングギヤRfの軸線方向における入力側(図1における左側)の内周部には、環状に形成されたフロント支持プレート14がスプライン係合などによって一体回転可能に連結されていて、そのフロント支持プレート14の内周部分が、サンギヤ軸13と相対回転可能に嵌合している。なお、フロント支持プレート14の内周部分は、サンギヤSと隔壁部9との間に位置していて、そのフロント支持プレート14の位置決めを行うためのスラストベアリングが、隔壁部9とフロント支持プレート14との間、およびフロント支持プレート14とサンギヤSとの間にそれぞれ設けられている。
リヤリングギヤRrは、フロントリングギヤRfと軸線方向に並んで配置されるとともに、フロントリングギヤRfよりも小径に形成されている。また、フロントリングギヤRfと同様に、リヤリングギヤRrの内周部には、環状に形成されたリヤ支持プレート15がスプライン係合などによって一体回転可能に連結されていて、そのリヤ支持プレート15の内周部分が、後述する出力軸19と相対回転可能に嵌合している。また、リヤ支持プレート15の内周部分は、後述するキャリヤプレート16とリヤカバー17との間に位置していて、そのリヤ支持プレート15の位置決めを行うためのスラストベアリングが、キャリヤプレート16とリヤカバー17との間に設けられている。そのリヤリングギヤRrには、フロントピニオンギヤPfと一体に形成されかつフロントピニオンギヤPfよりも小径に形成されたリヤピニオンギヤPrが噛み合っている。
そして、上記のフロントピニオンギヤPfおよびリヤピニオンギヤPrを自転および公転可能に保持するようにキャリヤCが設けられている。具体的には、フロントピニオンギヤPfおよびリヤピニオンギヤPrは、中空状に形成されていて、その中空部にピニオンシャフト18が挿入され、ピニオンシャフト18の両端を環状に形成されたキャリヤプレート16,16によって保持している。
キャリヤCは、遊星歯車機構の出力要素として機能するように構成されている。したがって、図1における右側のキャリヤプレート16の内周部には、円筒状に形成された出力軸19が一体に形成されている。この出力軸19の入力側とサンギヤSとの間にスラストベアリングが介在している。また、キャリヤプレート16が形成された位置よりも出力側の部分にボールベアリング20,21が嵌合している。このボールベアリング20,21は、上記フロントハウジング7の開口部に当接した円筒状のリヤカバー17に嵌合している。そして、出力軸19の先端には、フランジ部22を有する接合軸23がスプライン係合していて、その接合軸23に、図示しないプロペラシャフトが連結され、そのプロペラシャフトを介して終減速機付きの差動機構が連結されている。
なお、出力軸19、サンギヤ軸13、およびロータ軸8の中空部には、図示しないオイルポンプを駆動するなどのためのシャフト24が挿入されていて、そのシャフト24と出力軸19とがスプライン係合している。
上述したように構成された変速装置1は、フロントリングギヤRfとリヤリングギヤRrとのいずれか一方を係合することにより、モータ2の出力トルクを増大させて出力する減速機として機能することができる。そのため、図1に示す変速装置1は、フロントリングギヤRfとリヤカバー17とを連結することによりフロントリングギヤRfを固定するフロントブレーキBfと、リヤリングギヤRrとリヤカバー17とを連結することによりリヤリングギヤRrを固定するリヤブレーキBrとを備えている。なお、フロントブレーキBfが、この発明の実施形態における「第1ブレーキ機構」に相当し、リヤブレーキBrが、この発明の実施形態における「第2ブレーキ機構」に相当する。
具体的には、リヤカバー17の内周面に圧入するなどによって塑性変形させることにより締結された塑性締結部25と、塑性締結部25にスプライン係合するとともにフロントリングギヤRfに係合可能に構成された円筒状のフロントスリーブSfと、塑性締結部25にスプライン係合するとともにリヤリングギヤRrに係合可能に構成された円筒状のリヤスリーブSrとを備えている。
塑性締結部25は、この発明の実施形態における「固定部材」に相当するものであり、フロントリングギヤRfの外周面と所定の間隔が空くように形成された円筒状のフロントスプライン部26と、リヤリングギヤRrの外周面と所定の間隔が空くように形成された円筒状のリヤスプライン部27とを備えている。具体的には、フロントスプライン部26の軸線方向における出力側の端部に環状の連結プレート28が一体に形成され、その連結プレート28の内周部に、出力側に向けて延出したリヤスプライン部27が連結されている。そして、フロントスプライン部26の内周面に、第1フロントスプライン歯29が形成され、同様にリヤスプライン部27の内周面に、第1リヤスプライン歯30が形成されている。
そして、フロントスプライン部26とフロントリングギヤRfとの間にフロントスリーブSfが移動可能に挿入されている。このフロントスリーブSfは、フロントリングギヤRfやフロントスプライン部26と同心円上に設けられた円筒状の部材であって、その外周面には、第1フロントスプライン歯29に常時噛み合う第2フロントスプライン歯31が形成されている。また、フロントスリーブSfの先端側の内周面には、ドグ歯が形成され、フロントリングギヤRfの外周面には、フロントスリーブSfのドグ歯に噛み合うドグ歯が形成されている。そして、図示しないシフトドラムが作動することにより、軸線方向に移動することができるフロントシフトフォークFfがフロントスリーブSfの入力側の外周面に係合している。したがって、シフトドラムを駆動してフロントシフトフォークFfが軸線方向に移動することにより、フロントスリーブSfが作動して、フロントスリーブSfとフロントリングギヤRfとに形成されたドグ歯が噛み合う係合状態と、その噛み合いが解消された解放状態とを切り替えることができる。
同様に、リヤスプライン部27とリヤリングギヤRrとの間にリヤスリーブSrが移動可能に挿入されている。このリヤスリーブSrは、リヤリングギヤRrやリヤスプライン部27と同心円上に設けられた円筒状の部材であって、その外周面には、第1リヤスプライン歯30に常時噛み合う第2リヤスプライン歯32が形成されている。また、リヤスリーブSrの先端側の内周面には、ドグ歯が形成されている。さらに、リヤリングギヤRrの外周面には、リヤスリーブSrのドグ歯に噛み合うドグ歯が形成されている。そして、図示しないシフトドラムが作動することにより、軸線方向に移動することができるリヤシフトフォークFrがリヤスリーブSrの入力側の外周面に係合している。したがって、シフトドラムを駆動してリヤシフトフォークFrが軸線方向に移動することにより、リヤスリーブSrが作動して、リヤスリーブSrとリヤリングギヤRrとに形成されたドグ歯が噛み合う係合状態と、その噛み合いが解消された解放状態とを切り替えることができる。
なお、フロントシフトフォークFfとリヤシフトフォークFrとは、同一のシフトドラムによって移動するように構成されていてもよく、それぞれのシフトフォークFf,Frに対応したシフトドラムを備えていてもよい。
また、フロントスリーブSfとフロントリングギヤRfとの回転数差が大きい状態で意図せずにフロントスリーブSfとフロントリングギヤRfとが噛み合うことを抑制するために、フロントスリーブSfに形成されたドグ歯とフロントリングギヤRfに形成されたドグ歯を、それらのドグ歯が軸線方向で対向する先端が先細るように形成するとともに、フロントシフトフォークFfとフロントスリーブSfとの間、あるいはシフトドラムとフロントシフトフォークFfとの間に、フロントスリーブSfの移動方向に圧縮可能な弾性部材を設けることが好ましい。
同様に、リヤスリーブSrとリヤリングギヤRrとの回転数差が大きい状態で意図せずにリヤスリーブSrとリヤリングギヤRrとが噛み合うことを抑制するために、リヤスリーブSrに形成されたドグ歯とリヤリングギヤRrに形成されたドグ歯を、それらのドグ歯が軸線方向で対向する先端が先細るように形成するとともに、リヤシフトフォークFrとリヤスリーブSrとの間、あるいはシフトドラムとリヤシフトフォークFrとの間に、リヤスリーブSrの移動方向に圧縮可能な弾性部材を設けることが好ましい。
上述した変速装置1は、フロントブレーキBfを係合し、かつリヤブレーキBrを解放したドライブモードと、フロントブレーキBfを解放し、かつリヤブレーキBrを係合したエクストラローモードと、フロントブレーキBfおよびリヤブレーキBrを係合したパーキングモードと、フロントブレーキBfおよびリヤブレーキBrを解放した切り離しモードとを設定することができる。
図2は、各モードを設定した場合における変速装置1における各回転要素の回転数を説明するための共線図であり、各回転要素を示す直線をギヤ比の間隔を空けて互いに平行に引き、これらの直線に直交する基線からの距離をそれぞれの回転要素の回転数として示している。なお、図2では、キャリヤCの回転数を所定の回転数で固定して、各回転要素の回転数を示している。
図2に示すようにドライブモード(実線)を設定した場合におけるサンギヤSの回転数(すなわち、モータ2の回転数)は、エクストラローモード(一点鎖線)を設定した場合におけるサンギヤSの回転数よりも低回転数となる。すなわち、ドライブモードを設定した場合の方が、エクストラローモードを設定した場合よりも減速比が小さくなる。また、切り離しモード(破線)を設定した場合には、モータ2と駆動輪とのトルクの伝達が遮断されるため、モータ2を停止することができる。さらに、パーキングモードを設定した場合には、各回転要素が停止する。すなわち、図1に示すように構成された変速装置1は、高低二段の減速段を設定することができる。ここで、図2では、切り離しモードを設定した場合にモータ2を停止した状態を示しているが、モータ2は、任意の回転数に回転させていてもよい。なお、ドライブモードが、この発明の実施形態における「第1変速段」に相当し、その変速比が、この発明の実施形態における「第1所定比」に相当し、エクストラローモードが、この発明の実施形態における「第2変速段」に相当し、その変速比が、この発明の実施形態における「第2所定比」に相当する。
図3には、上述した各モードを切り替えるためのシフトドラムの一例を示してある。図3に示すシフトドラムは、所定の角度ずつ回転角を変化させることにより、フロントシフトフォークFfとリヤシフトフォークFrとが移動するように構成されている。図3では、シフトドラムの回転角を上下方向に示し、フロントシフトフォークFfの係合および解放の状態を図中の左側に示し、リヤシフトフォークFrの係合および解放の状態を図中の右側に示し、それぞれ係合状態を「●」のシンボルで示し、開放状態を「○」のシンボルで示してある。
図3に示すようにシフトドラムを一方向に回転させることにより、ドライブモード、切り離しモード、エクストラローモード、パーキングモードの順にモードが切り替えられるように構成されている。なお、シフトドラムの回転角がパーキングモードが設定される回転角よりも更に大きくなるようにシフトドラムを回転させた場合には、図3に示すようにドライブモードに切り替えられ、また反対方向にシフトドラムを回転させた場合には、図3における下側から上側に向けてモードが切り替えられる。すなわち、ドライブモードとエクストラローモードとは、切り離しモードやパーキングモードを介して切り替えられる。言い換えると、ドライブモードとエクストラローモードとのいずれか一方の駆動モードを設定している状態から、切り離しモードやパーキングモードへの切り替えは、シフトドラムをいずれか一方に所定角度回転させるのみで切り替えられる。
なお、運転者によってスイッチやシフトレバーなどが操作された場合に限り、エクストラローモードを設定するように構成してもよい。
上述した変速装置1は、フロントブレーキBfとリヤブレーキBrとの係合および解放を制御するためのシフトフォークFf,Frをフロントハウジング7やリヤカバー17の外側に配置することができる。言い換えると、フロントハウジング7やリヤカバー17の内部に、フロントブレーキBfやリヤブレーキBrを制御するためのアクチュエータを設ける必要がないため、アクチュエータを含むブレーキBf,Brの軸長を短縮することができる。また、噛み合い式の係合機構によってフロントブレーキBfやリヤブレーキBrを構成することにより、接触面がスリップするなどによる動力損失や係合状態を維持するための押圧力などを出力し続けることによる動力損失を低減することができる。さらに、解放しているブレーキBf(Br)に油膜などを介した引き摺りトルクが作用することを抑制できる。
各ブレーキBf,Brを噛み合い式の係合機構によって構成する場合には、走行中の変速時に一時的に各ブレーキBf,Brを解放することになり、駆動トルクが一時的に低下する可能性がある。そのため、上述したように運転者によってスイッチやシフトレバーなどが操作された場合に限り、エクストラローモードを設定するように構成することにより、上記のような一時的な駆動トルクの低下を運転者に許容されやすく、運転者が違和感を抱くことを抑制できる。
また、二つのリングギヤRf,Rrのいずれか一方を固定することにより変速段を設定するステップドピニオン型の遊星歯車機構によって変速装置1を構成することにより、各ギヤ(特にピニオンギヤPf,Pr)の歯面で生じる滑りを小さくすることができ、動力損失を低減することができるとともに、発熱を抑制できる。言い換えると、モータ2に要求される電力を低減すること、つまり、電力消費量を低減することができる。
さらに、シフトドラムを回転させることにより、ドライブモード、切り離しモード、エクストラローモード、パーキングモードの順にモードが切り替わるように構成することにより、一つのアクチュエータによってそれぞれのブレーキBf,Brを制御することができ、変速装置1を小型化することができる。また、二つのブレーキBf,Brを係合状態とすることによりパーキングロックすることができるため、パーキングポールなどの他の装置を設ける必要がなく、変速装置1を含む駆動装置全体を小型化することができる。またさらに、ドライブモードやエクストラローモードから、切り離しモードやパーキングモードへは、他のモードを介することなく切り替えることができるため、例えば、駆動走行から惰性走行への切り替え時間や、停車時におけるパーキングへの切り替え時間を短縮することができる。
また、フロントスリーブSfに形成されたドグ歯とフロントリングギヤRfに形成されたドグ歯を、それらのドグ歯が軸線方向で対向する先端が先細るように形成するとともに、フロントシフトフォークFfとフロントスリーブSfとの間、あるいはシフトドラムとフロントシフトフォークFfとの間に、フロントスリーブSfの移動方向に圧縮可能な弾性部材を設けることにより、比較的高車速での走行時などに意図せずにパーキングロックされることを抑制することができるとともに、パーキングモードを設定する際にドグ歯の先端が接触して係合できない場合であっても、シフトドラムの回転角をパーキングモードを設定する位置に維持することによって、車両が僅かに移動した時点でドグ歯を係合することができ、パーキングロックを確実に行うことができる。
さらに、各ブレーキBf,Brの固定側の部材をリヤカバー17に塑性締結された塑性締結部25によって構成することにより、固定側部材の材料の選定自由度が向上する。そのため、鋼などの比較的強度の高い材料によって塑性締結部25を構成することにより、塑性締結部25を小型化することができる。また、リングギヤRf,Rrを囲うように塑性締結部25を構成することによって、塑性締結部25の外径が大きくなり、その結果、スプライン歯29,30に作用する荷重を低減することができるとともに、接触面積を大きくすることができることにより、各歯面に作用する荷重を低下させることができる。
1 変速装置
2 モータ
7 フロントハウジング
8 ロータ軸
17 リヤカバー
19 出力軸
25 塑性締結部
26,27 スプライン部
29,30,31,32 スプライン歯
Bf,Br ブレーキ
C キャリヤ
Ff,Fr シフトフォーク
Pf,Pr ピニオンギヤ
Rf,Rr リングギヤ
S サンギヤ
Sf,Sr スリーブ
2 モータ
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26,27 スプライン部
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Bf,Br ブレーキ
C キャリヤ
Ff,Fr シフトフォーク
Pf,Pr ピニオンギヤ
Rf,Rr リングギヤ
S サンギヤ
Sf,Sr スリーブ
Claims (1)
- モータの回転軸と同一軸線上に配置されるとともに、前記モータのトルクを変化させて出力軸から終減速機付きの差動機構に出力する変速装置において、
前記モータが連結された第1回転要素、前記出力軸が連結された第2回転要素、第3回転要素、および第4回転要素を有する遊星歯車機構と、前記第3回転要素と固定部材とを選択的に連結する噛み合い式の第1ブレーキ機構と、前記第4回転要素と前記固定部材とを選択的に連結する噛み合い式の第2ブレーキ機構とを備え、
前記第1ブレーキ機構を係合するとともに前記第2ブレーキ機構を解放することにより前記モータの回転軸と前記出力軸との変速比が第1所定比となる第1変速段を設定し、前記第1ブレーキ機構を解放するとともに前記第2ブレーキ機構を係合することにより前記変速比が前記第1所定比よりも大きい第2所定比となる第2変速段を設定するように構成され、
前記第1ブレーキ機構と前記第2ブレーキ機構とのうちの係合するブレーキ機構を切り替えることにより、前記第1変速段と前記第2変速段との切り替えを行うように構成されている
ことを特徴とする変速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021081650A JP2022175336A (ja) | 2021-05-13 | 2021-05-13 | 変速装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021081650A JP2022175336A (ja) | 2021-05-13 | 2021-05-13 | 変速装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022175336A true JP2022175336A (ja) | 2022-11-25 |
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ID=84145768
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021081650A Pending JP2022175336A (ja) | 2021-05-13 | 2021-05-13 | 変速装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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-
2021
- 2021-05-13 JP JP2021081650A patent/JP2022175336A/ja active Pending
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