JP2009001120A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トルク伝達するギヤ対を変更して変速を行い、かつ変速の際に同期制御が可能で、しかも小型化できる動力伝達装置を提供する。
【解決手段】差動機構1に、内燃機関2と電動機3とが連結され、その差動機構から出力されるトルクを出力部材に選択的に伝達する動力伝達装置において、三つの回転要素のうち前記共線図上で中央に位置する第1回転要素Rg以外のいずれか一つの第2回転要素Crに内燃機関2が連結され、第1回転要素および第2回転要素以外の第3回転要素Snと出力部材8,9との間で選択的にトルクを伝達する一対以上の変速ギヤ対を有する第1変速ギヤ対系が設けられ、電動機を三つの回転要素に選択的に連結する切替機構SLが設けられ、さらに内燃機関もしくは第2回転要素と出力部材との間で選択的にトルクを伝達する一対以上の変速ギヤ対を有する第2変速ギヤ対系が設けられている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、内燃機関や電動機などの動力源が出力した動力を出力軸や出力ギヤなどの出力部材に伝達するための動力伝達装置に関し、特に内燃機関と電動機とが差動機構に連結され、その差動機構から変速ギヤ対を介して出力部材にトルクを出力するように構成された動力伝達装置に関するものである。
従来、変速比もしくは変速段を設定するための複数対の変速ギヤ対を備え、隣接する変速比もしくは変速段を設定するための変速ギヤ対に対するエンジンからの動力の伝達経路を切り替えることにより、動力の伝達効率が良好で、かつ同期変速の可能な変速装置が知られている。その一例が特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載された装置は、いわゆるツインクラッチ式の変速機を基本構造とするものであって、エンジンに対してそれぞれクラッチを介して選択的に連結される二本のクラッチ軸を備え、それらのクラッチ軸と出力軸との間に複数対のギヤ対が設けられ、それらのギヤ対をクラッチ軸もしくは出力軸に選択的に連結するクラッチ機構が設けられている。さらに、それらのクラッチ軸の間に、ロータとステータとが共に回転可能ないわゆる差動式のモータ・ジェネレータが設けられ、各クラッチ軸には傘歯車を介して連結されている。すなわち、モータ・ジェネレータはクラッチ軸に対して直交する方向に向けて配置されている。
上記の特許文献1に記載された装置においては、エンジンと各クラッチ軸もしくはギヤ対との間に差動作用が生じるので、一方のクラッチ軸を介して出力軸にトルクを伝達している状態で、他方のクラッチ軸もしくはこれに取り付けられたギヤ対の回転数をモータ・ジェネレータによって制御できる。したがって、特許文献1に記載された装置によれば、変速後にトルクを伝達するギヤ対の回転数を変速後の回転数に同期させることができるので、変速ショックを防止もしくは抑制でき、また変速過渡時であっても出力軸トルクを維持できる。
しかしながら、上記の特許文献1に記載された装置は、エンジンのトルクを二本のクラッチ軸に選択的に分配する構成であり、またそれらクラッチ軸の間に差動式のモータ・ジェネレータを、傘歯車を介して直角に配置した構成のため、軸数が多くなったり、軸間距離が大きくなって全体としての構成が大型化し、また重量が増大する可能性がある。
特開2002−204504号公報
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、動力の伝達効率に優れ、また変速ショックを防止でき、さらには小型化の容易な動力伝達装置を提供することを目的とするものである。
この発明は、少なくとも三つの回転要素を有しかつそれらの回転要素の回転数の関係が共線図で表すことのできる差動機構に、内燃機関と電動機とが連結され、その差動機構から出力されるトルクを出力部材に選択的に伝達する動力伝達装置において、前記三つの回転要素のうち前記共線図上で中央に位置する回転要素である第1回転要素以外のいずれか一つの回転要素である第2回転要素に前記内燃機関が連結され、前記第1回転要素および前記第2回転要素以外の他の回転要素である第3回転要素と前記出力部材との間で選択的にトルクを伝達する一対以上の変速ギヤ対を有する第1変速ギヤ対系が設けられ、前記電動機の前記差動機構への連結を前記三つの回転要素のうちの少なくとも二つの回転要素の間で切り替える切替機構が設けられ、さらに前記内燃機関もしくは前記第2回転要素と前記出力部材との間で選択的にトルクを伝達する一対以上の変速ギヤ対を有する第2変速ギヤ対系が設けられていることを特徴とするものである。
この発明は、好ましくは、前記第1回転要素を選択的に固定するロック機構を更に備え、前記切替機構は、前記ロック機構によって前記第1回転要素が固定され、かつ前記内燃機関から前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対の動力を伝達する駆動状態では、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含んでいる。
また、この発明は、好ましくは、前記内燃機関と前記第2回転要素とを選択的に連結する入力クラッチ機構を更に備え、前記切替機構は、前記入力クラッチ機構によって前記内燃機関が前記第2回転要素から切り離され、かつ前記ロック機構によって前記第1回転要素が固定され、さらに前記第3回転要素と前記出力部材とが前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対を介してトルク伝達可能に連結された駆動状態では、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含んでいる。
さらにこの発明は、好ましくは、前記第1回転要素を選択的に固定するロック機構と、前記内燃機関と前記第2回転要素とを選択的に連結する入力クラッチ機構とを更に備え、前記切替機構は、前記入力クラッチ機構によって前記内燃機関が前記第2回転要素から切り離され、かつ前記ロック機構によって前記第1回転要素が固定され、さらに前記第3回転要素と前記出力部材とが前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対を介してトルク伝達可能に連結された駆動状態では、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含んでいる。
またさらにこの発明は、好ましくは、前記第3回転要素と前記出力部材との間で選択的にトルクを伝達する後進用ギヤ対を更に備え、前記切替機構は、前記内燃機関と前記出力部材とが前記第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対を介してトルク伝達可能に連結され、かつ前記後進用ギヤ対を介して前記第3回転要素と前記出力部材とがトルク伝達可能に連結されている状態で、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含んでいる。
さらにまたこの発明は、好ましくは、前記切替機構は、前記内燃機関を始動する場合に、前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対および第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対が前記出力部材にトルクを伝達しない解放状態で前記電動機を前記内燃機関に連結する機構を含み、前記電動機が出力する動力で内燃機関を始動するように構成されている。
そしてこの発明は、好ましくは、前記電動機は、発電機能のあるモータ・ジェネレータを含み、前記切替機構は、前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対および第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対が前記出力部材にトルクを伝達しない解放状態で前記電動機を前記内燃機関に連結する機構を含み、前記内燃機関によって前記モータ・ジェネレータを駆動して発電するように構成されている。
またそしてこの発明は、好ましくは、前記切替機構は、前記電動機を前記第2回転要素に連結してその電動機で第2回転要素を固定している状態で前記電動機を前記第2回転要素から固定されている他のいずれかの回転要素に切り替えて連結する機構を含んでいる。
この発明によれば、差動機構を介して第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対から出力部材にトルクを伝達する変速状態と、内燃機関の動力をそのまま第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対から出力部材に伝達する変速状態を設定することができ、その変速状態の切替あるいは設定を差動機構によって行うことができるので、必要とする軸数が少なくなるなどのことにより、全体としての構成を小型化することができる。
つぎにこの発明を更に具体的に説明する。この発明に係る動力伝達装置は、基本的には、エンジンなどの内燃機関が出力した動力を、互いにギヤ比が異なる複数の変速ギヤ対から選択された変速ギヤ対を介して出力部材に伝達し、ここから動力を出力し、また必要に応じて電動機(発電機能を兼ね備えたモータ・ジェネレータを含む)によってトルクを補助し、あるいは走行のための動力を出力するように構成されている。その内燃機関は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどがその典型的な例である。また、電動機は、モータとして機能した場合には、正回転方向あるいは逆回転方向のトルクを出力し、発電機として機能した場合には、回転を止める方向の負トルクを出力する。さらに、変速ギヤ対は互いに常時噛み合っている駆動ギヤと被駆動ギヤ(従動ギヤ)とからなるギヤ対であり、従来の車両用の手動変速機やツインクラッチ式変速機などで採用されているギヤ対と同様の構成であってよい。また、その変速ギヤ対の数は複数であればよく、その数が多いほど、設定可能な変速比(もしくは変速段)の数が多くなって、原動機の回転数や駆動トルクを細かく制御することが可能になる。図1には、第1速ないし第6速のための変速ギヤ対と、後進段を設定するためのギヤ対とを設けた例を示してある。
この発明では、それらの変速ギヤ対を第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対と第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対とに分けてあり、内燃機関の動力をそれら第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対と第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対とに選択的に伝達するように構成されている。この発明に係る動力伝達装置は、その切り替えのための機構として差動機構を主体とした機構を備えている。より具体的には、その差動機構は、少なくとも三つの回転要素によって差動作用を行う機構であり、シングルピニオン型遊星歯車機構やダブルピニオン型遊星歯車機構がその典型的な例であるが、これらの遊星歯車機構以外の機構であってもよい。なお、回転要素とは、差動機構を構成する要素のうち、外部の何らかの部材に連結することの可能な要素である。
差動機構における三つの回転要素は、その機能で分ければ、入力要素、出力要素、反力(もしくは固定)要素であり、入力要素に前記内燃機関が連結される。出力要素には前述した変速ギヤ対における駆動側ギヤが連結される。そして、この発明における動力伝達装置では、反力要素に電動機が連結されている。なお、内燃機関はトルクを出力するだけでなく、エネルギが供給されない非動作状態ではフリクショントルクを発生し、また電動機は反転動作もしくは回生動作する場合に負のトルクを発生する。さらに動力伝達装置が車両に搭載されて車輪に連結されている場合には出力部材から差動機構に動力が入力されることもあるので、上記の入力要素および出力要素ならびに反力要素は、いずれかの回転要素が固定的にそのような要素になるのではなく、動力伝達装置の動作の状態によって入力要素が反力要素に切り替わったり、反力要素が出力要素に切り替わったりする。図1にはダブルピニオン型遊星歯車機構を主体に構成した差動機構を示してある。
この発明の好ましい実施の形態では、前記第1回転要素を選択的に固定するロック機構を更に備え、前記切替機構は、前記ロック機構によって前記第1回転要素が固定され、かつ前記内燃機関から前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対の動力を伝達する駆動状態では、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含んでいるので、上記の効果に加えて、差動機構における第2回転要素をロックして所定の変速状態を設定し、その状態で電動機を内燃機関に連結できるので、電動機によるいわゆるトルクアシストが可能になる。
この発明の他の好ましい実施の形態では、前記内燃機関と前記第2回転要素とを選択的に連結する入力クラッチ機構を更に備え、前記切替機構は、前記入力クラッチ機構によって前記内燃機関が前記第2回転要素から切り離され、かつ前記ロック機構によって前記第1回転要素が固定され、さらに前記第3回転要素と前記出力部材とが前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対を介してトルク伝達可能に連結された駆動状態では、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含んでいる。あるいは前記第1回転要素を選択的に固定するロック機構と、前記内燃機関と前記第2回転要素とを選択的に連結する入力クラッチ機構とを更に備え、前記切替機構は、前記入力クラッチ機構によって前記内燃機関が前記第2回転要素から切り離され、かつ前記ロック機構によって前記第1回転要素が固定され、さらに前記第3回転要素と前記出力部材とが前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対を介してトルク伝達可能に連結された駆動状態では、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含んでいる。したがって、このような好ましい実施の形態によれば、電動機を連結する回転要素を切り替えることにより、電動機を動力源とした駆動状態を設定することができ、しかもその場合に内燃機関を連れ回すことがないので、動力損失を防止もしくは低減することができる。また、電動機が発電機能を有していれば、効率良く、エネルギ回生することができる。
またさらにこの発明は、好ましくは、前記第3回転要素と前記出力部材との間で選択的にトルクを伝達する後進用ギヤ対を更に備え、前記切替機構は、前記内燃機関と前記出力部材とが前記第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対を介してトルク伝達可能に連結され、かつ前記後進用ギヤ対を介して前記第3回転要素と前記出力部材とがトルク伝達可能に連結されている状態で、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含んでいるので、内燃機関が出力した動力を第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対を介して出力部材に伝達している状態で、電動機が出力した動力を後進用ギヤ対を介して出力部材に伝達することができ、その場合、電動機のトルクを後進用ギヤ対によって増幅することができる。
また、この発明の更に他の好ましい実施の形態では、前記切替機構は、前記内燃機関を始動する場合に、前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対および第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対が前記出力部材にトルクを伝達しない解放状態で前記電動機を前記内燃機関に連結する機構を含み、前記電動機が出力する動力で内燃機関を始動するように構成されているから、電動機が出力した動力を出力部材に伝達することなく内燃機関に伝達して内燃機関を回転させることができるので、電動機による内燃機関の始動が可能になる。
そして、この発明の他の好ましい実施の形態では、前記電動機は、発電機能のあるモータ・ジェネレータを含み、前記切替機構は、前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対および第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対が前記出力部材にトルクを伝達しない解放状態で前記電動機を前記内燃機関に連結する機構を含み、前記内燃機関によって前記モータ・ジェネレータを駆動して発電するように構成されているから、内燃機関が出力した動力を出力部材に伝達することなくモータ・ジェネレータに伝達してモータ・ジェネレータを駆動することができるので、動力伝達装置が車両に搭載されている場合には、車両が停止している場合や、モータ・ジェネレータに接続されている蓄電装置の充電容量が低下している場合などに、内燃機関を動力源として発電を行い、電力を得ることができる。
そしてまた、この発明の更に他の好ましい実施の形態では、前記切替機構は、前記電動機を前記第2回転要素に連結してその電動機で第2回転要素を固定している状態で前記電動機を前記第2回転要素から固定されている他のいずれかの回転要素に切り替えて連結する機構を含んでいるから、電動機を連結する回転要素を変更する場合、差動機構における第2回転要素を固定状態に維持でき、したがって差動機構を介してトルクの伝達が維持されるので、出力トルクに対するトルクの遮断を防止もしくは抑制することができる。
図1に示す構成について説明すると、この発明における差動機構に相当するダブルピニオン型の遊星歯車機構1は、外歯歯車であるサンギヤSnと、そのサンギヤSnに対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤRgと、そのサンギヤSnに噛み合っている第1のピニオンギヤおよびその第1のピニオンギヤとリングギヤRgとに噛み合っている第2のピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤCrとを備えている。
そのキャリヤCrに入力クラッチC1を介してエンジン(ENG)2が連結されている。このエンジン2と遊星歯車機構1とは、それぞれの回転中心軸線が同一軸線上に位置するように配置されていることが好ましいが、これらを互いに異なる軸線上に配置して、歯車機構やチェーンなどの伝動機構を介して両者を連結してもよい。また、入力クラッチC1は、要は、トルクの断続を行う機構であって、摩擦クラッチや噛み合いクラッチなどの適宜の構成のものを採用することができる。
遊星歯車機構1の外周側にこの発明の電動機に相当するモータ・ジェネレータ(MG)3が配置されている。このモータ・ジェネレータ3は、例えば永久磁石式の同期電動機であって、ステータは図示しないケーシングなどの固定部に固定され、またロータは後述するようにいずれかの回転要素や固定部に切り替えて連結されるようになっている。さらにモータ・ジェネレータ3は全体として環状もしくは円筒状をなしており、その内周側に前記遊星歯車機構1が配置されている。すなわち、モータ・ジェネレータ3と遊星歯車機構1とは軸線方向でほぼ同じ位置に配置されており、両者が半径方向で少なくとも一部、重なっている(オーバーラップしている)。これは、モータ・ジェネレータ3の外径を相対的に大きくして高トルク化するとともに、エンジン2側に径の大きい部分を配置してスペースを有効に利用するためである。
そして、モータ・ジェネレータ3は、インバータなどのコントローラ4を介して二次電池などの蓄電装置5に接続されている。そのコントローラ4は、モータ・ジェネレータ3に対して供給する電流もしくは電圧などを変化させてモータ・ジェネレータ3の出力トルクや回転数を制御し、またモータ・ジェネレータ3が外力によって強制的に回転させられる場合の発電量や発電に要するトルクなどを制御するように構成されている。
エンジン2やモータ・ジェネレータ3の動力は、変速ギヤ対を介して出力部材に伝達されるように構成されている。その構成を具体的に説明すると、上記の遊星歯車機構1を挟んでエンジン2とは反対側に第1駆動軸6と第2駆動軸7とが配置されている。第2駆動軸7は中空軸であって、遊星歯車機構1の中心軸線と同一の軸線上に回転自在に配置されており、その一端部でキャリヤCrに連結されている。
そのキャリヤCrには前述したようにエンジン2が連結されているから、結局、第2駆動軸7はエンジン2にも連結されている。第1駆動軸6は、第2駆動軸7の内周側に相対回転自在に挿入されており、この第1駆動軸6はその一端部で前記サンギヤSnに連結されている。したがって図1に示す例では、キャリヤCrがこの発明の第1回転要素に相当し、またリングギヤRgがこの発明の第2回転要素に相当し、さらにサンギヤSnがこの発明の第3回転要素に相当している。
第1駆動軸6は中空軸である第2駆動軸7より長く、したがって第1駆動軸6は第2駆動軸7から突出している。これらの駆動軸6,7と平行に、この発明における出力部材に相当する二本の出力軸8,9が回転自在に配置されており、さらに一方の出力軸8と前記駆動軸6,7との間にアイドラ軸10が回転自在に配置されている。
そして、駆動軸6,7と各出力軸8,9との間に、前進走行用の六対の変速ギヤ対11,12,13,14,15,16と、後進走行用の一対の変速ギヤ対17とが設けられている。前進走行用の各変速ギヤ対11,12,13,14,15,16は、それぞれ駆動ギヤ11a,12a,13a,14a,15a,16aとこれに常時噛み合っている被駆動ギヤ11b,12b,13b,14b,15b,16bとを備えており、それぞれの駆動ギヤ11a,12a,13a,14a,15a,16aと被駆動ギヤ11b,12b,13b,14b,15b,16bとの歯数の比すなわちギヤ比が互いに異なっている。すなわち、これらの変速ギヤ対11,12,13,14,15,16は、第1速ないし第6速の各変速比(変速段)を設定するためのものであって、ここに挙げてある順にギヤ比が小さく設定されている。
ギヤ比が最大の変速ギヤ対11を第1速用ギヤ対11とし、以下、ギヤ比が順に大きくなる変速ギヤ対を第2速用ギヤ対12ないし第6速用ギヤ対16とすると、奇数段用のギヤ対11,13,15における駆動ギヤ11a,13,15aは、アイドラ軸10に取り付けられている。また、偶数段用のギヤ対12,14,16における駆動ギヤ12a,14a,16aは、第2駆動軸7に取り付けられている。さらに、第1駆動軸6とアイドラ軸10とは、第1駆動軸6に取り付けられたカウンタドライブギヤ18aとアイドラ軸10に取り付けられたカウンタドリブンギヤ18bからなるカウンタギヤ対18によって連結されている。したがって、奇数段を設定するための変速ギヤ対11,13,15が一方の駆動軸6と一方の出力軸(以下、仮に第1出力軸とする)8との間でトルクを伝達するように配置され、偶数段を設定するための変速ギヤ対12,14,16が他方の駆動軸7と他方の出力軸(以下、仮に第2出力軸とする)9との間でトルクを伝達するように配置されている。
上記のアイドラ軸10が設けられていることにより第1駆動軸6の回転方向と第1出力軸8の回転方向とが同じになり、これに対して第2駆動軸7の回転方向と第2出力軸9の回転方向とが互いに反対になるが、少なくとも前進走行時には、後述するように、第2駆動軸7が連結されている前記キャリヤCrと第1駆動軸6が連結されているサンギヤSnとは互いに反対方向に回転するので、結局、各出力軸8,9は同じ方向に回転する。
さらに後進用ギヤ対17について説明すると、後進被駆動ギヤ17bは第2出力軸9に回転自在に保持されるとともに前記カウンタドライブギヤ18aに噛み合っており、したがってそのカウンタドライブギヤ18aが後進駆動ギヤを兼ねている。
各変速ギヤ対11,12,13,14,15,16,17は、それぞれの出力軸8,9に対するトルクの伝達を選択的に行うように構成されている。すなわち、それぞれの変速ギヤ対11,12,13,14,15,16,17を経由するトルクの伝達経路の途中にクラッチ機構が設けられている。したがって、そのクラッチ機構は、駆動ギヤを駆動軸6,7あるいはアイドラ軸10に対して選択的に連結する構成のもの、被駆動ギヤを出力軸に選択的に連結する構成のもの、前記カウンタギヤ対18を第1駆動軸6もしくはアイドラ軸10に対して選択的に連結する構成のもののいずれであってもよい。図1には、被駆動ギヤを出力軸に選択的に連結するように構成した例を示してある。
具体的に説明すると、この発明における第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対に相当する第2速ギヤ対12および第4速ギヤ対14ならびに第6速ギヤ対16における駆動ギヤ12a,14a,16aは第2駆動軸7に互いに隣接して取り付けられている。これらの駆動ギヤ12a,14a,16aにそれぞれ噛み合っている被駆動ギヤ12b,14b,16bは、第2出力軸9上に回転自在に配置されている。さらに、第6速被駆動ギヤ16bに対して第4速被駆動ギヤ14bとは反対側に、後進被駆動ギヤ17bが配置されている。これらの被駆動ギヤ12b,14b,16,17bの間に偶数段用クラッチS2と後進段用クラッチSRとが配置されている。これらのクラッチS2,SRは、摩擦クラッチやドグクラッチなどの適宜の構造のものを使用することができるが、図1にはドグクラッチを示してある。
偶数段用クラッチS2は、第2出力軸9に一体のハブ19に軸線方向に前後動自在にスプライン嵌合されているスリーブ20と、そのハブ19を挟んだ両側に位置しかつ第2速被駆動ギヤ12bに一体のハブ21および第4速被駆動ギヤ14bに一体のハブ22を備えている。したがって、スリーブ20が第2速被駆動ギヤ12b側に移動してそのハブ21にスプライン嵌合することにより、第2速被駆動ギヤ12bがスリーブ20およびハブ19を介して第2出力軸9に連結されるように構成されている。また、スリーブ20が第4速被駆動ギヤ14b側に移動してそのハブ22にスプライン嵌合することにより、第4速被駆動ギヤ14bがスリーブ20およびハブ19を介して第2出力軸9に連結されるように構成されている。
また、後進段用クラッチSRは、第2出力軸9に一体のハブ23に軸線方向に前後動自在にスプライン嵌合されているスリーブ24と、そのハブ23を挟んだ両側に位置しかつ第6速被駆動ギヤ16bに一体のハブ25および後進被駆動ギヤ17bに一体のハブ26を備えている。したがって、スリーブ24が第6速被駆動ギヤ16b側に移動してそのハブ25にスプライン嵌合することにより、第6速被駆動ギヤ16bがスリーブ24およびハブ23を介して第2出力軸9に連結されるように構成されている。また、スリーブ24が後進被駆動ギヤ17b側に移動してそのハブ26にスプライン嵌合することにより、後進被駆動ギヤ17bがスリーブ24およびハブ23を介して第2出力軸9に連結されるように構成されている。
他方、この発明における第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対に相当する第1速ギヤ対11および第3速ギヤ対13ならびに第5速ギヤ対15における駆動ギヤ11a,13a,15aはアイドラ軸10に互いに隣接して取り付けられている。これらの駆動ギヤ11a,13a,15aにそれぞれ噛み合っている被駆動ギヤ11b,13b,15bは、第1出力軸8上に回転自在に配置されており、これらの被駆動ギヤ11b,13b,15bの間に第1奇数段用クラッチS1および第2奇数段用クラッチS3が配置されている。これら奇数段用クラッチS1,S3は、前述した偶数段用クラッチS2や後進段用クラッチSRと同様に、摩擦クラッチやドグクラッチなどの適宜の構造のものを使用することができるが、図1にはドグクラッチを示してある。
第1奇数段用クラッチS1は、前述した偶数段用クラッチS2や後進段用クラッチSRと同様な構成であって、第1出力軸8に一体のハブ27に軸線方向に前後動自在にスプライン嵌合されているスリーブ28と、そのハブ27を挟んだ両側に位置しかつ第1速被駆動ギヤ11bに一体のハブ29および第3速被駆動ギヤ13bに一体のハブ30を備えている。したがって、スリーブ28が第1速被駆動ギヤ11b側に移動してそのハブ29にスプライン嵌合することにより、第1速被駆動ギヤ11bがスリーブ28およびハブ27を介して第1出力軸8に連結されるように構成されている。また、スリーブ28が第3速被駆動ギヤ13b側に移動してそのハブ30にスプライン嵌合することにより、第3速被駆動ギヤ13bがスリーブ28およびハブ27を介して第1出力軸8に連結されるように構成されている。
また、第2奇数段用クラッチS3は、第1奇数段用クラッチS1と同様な構成であって、第1出力軸8に一体のハブ31が第5速被駆動ギヤ15bに隣接して配置され、そのハブ31の外周部にスリーブ32が軸線方向に前後動自在にスプライン嵌合されている。そのハブ31に隣接して第5速被駆動ギヤ15bに一体のハブ33が配置されている。したがって、スリーブ32が第5速被駆動ギヤ15b側に移動してそのハブ33にスプライン嵌合することにより、第5速被駆動ギヤ15bがスリーブ32およびハブ31を介して第1出力軸8に連結されるように構成されている。
なお、各スリーブ20,24,28,32をその軸線方向に往復動させるための機構は、特には図示しないが、油圧あるいは電磁力などによる推力を受けて直線的に往復動し、あるいは回転する適宜のアクチュエータによって構成されている。
上記の各出力軸8,9は、その遊星歯車機構1側の端部に設けられたカウンタギヤ34,35を介して終減速機として機能するデファレンシャル36に連結されている。このデファレンシャル36は、カウンタギヤ34,35に噛み合っているリングギヤ37に一体のデフケースの内部にピニオンギヤを取り付け、そのピニオンギヤに噛み合っている一対のサイドギヤ(それぞれ図示せず)を設けた公知の構成の歯車機構であり、そのサイドギヤのそれぞれに車輪(図示せず)にトルクを伝達する左右の車軸38が連結されている。したがって、図1に示す構成の動力伝達装置は、車両におけるトランスアクスルとして構成されている。
この発明に係る上記の動力伝達装置は、モータ・ジェネレータ3を連結する相手部材を変更する切替機構を備えている。この切替機構は、係合・解放することにより選択的にトルクを伝達するいわゆる係合装置であって、摩擦式係合装置や噛み合い式係合装置などの適宜の構成のものを採用することができ、図1には、噛み合い式のドグクラッチの例を示してある。ここに示す切替機構SLは、内周面にスプラインが形成された二つのスリーブ39,40を同時に軸線方向に移動させることにより、連結状態を切り替えるように構成されており、前記第2駆動軸7の外周側に、遊星歯車機構1側からモータハブ41、キャリヤハブ42、リングギヤハブ43、固定ハブ44が順に配列されている。そのモータハブ41はモータ・ジェネレータ3のロータに一体となるように連結され、またキャリヤハブ42は遊星歯車機構1におけるキャリヤCrに一体となるように連結され、さらにリングギヤハブ43は遊星歯車機構1におけるリングギヤRgに一体となるように連結されている。そして、固定ハブ44は所定の固定部45に連結されている。
一方(図1での右側)のスリーブ39は、所定のストローク範囲で軸線方向に移動した場合に、常時モータハブ41に係合するスプラインと、図1の右側に移動した場合にキャリヤハブ42に係合し、これとは反対に図1の左側に移動した場合にリングギヤハブ43に係合するスプラインとを有している。したがって、このスリーブ39はモータ・ジェネレータ3をキャリヤCrとリングギヤRgとに切り替えて連結するように構成されている。
また、他方(図1での左側)のスリーブ40は、リングギヤハブ43に係合するスプラインと固定ハブ44に係合するスプラインとを有している。そして、このスリーブ40は、図1の右側に移動した場合に、そのスプラインがリングギヤハブ43と固定ハブ44とに係合してリングギヤRgを固定部45に連結することによりリングギヤRgを固定(ロック)し、また図1の左側に移動した場合に、スプラインがリングギヤハブ43と固定ハブ44とから外れてリングギヤRgと固定部45との連結を解き、リングギヤRgのいわゆるロックを解除するように構成されている。
そして、各スリーブ39,40は、相対的に回転できかつ軸線方向には一体となるように連結されている。なお、これらのスリーブ39,40をその軸線方向に往復動させるための機構は、特には図示しないが、油圧あるいは電磁力などによる推力を受けて直線的に往復動し、あるいは回転する適宜のアクチュエータによって構成されている。したがって、切替機構SLは、モータ・ジェネレータ3の連結状態の切替とリングギヤRgのロックとを行うように構成され、その結果、アクチュエータを含めて必要部品数あるいは構成部品数が少なくなって小型化が図られている。上記のスリーブ40およびこれが係合するリングギヤハブ43ならびに固定ハブ44がこの発明におけるロック機構に相当している。
そして、前述したコントローラ4や各アクチュエータあるいは入力クラッチC1に制御指令信号を出力して駆動モードの設定や変速などを制御する電子制御装置(ECU)46が設けられている。この電子制御装置46は、マイクロコンピュータを主体として構成され、アクセル開度などの駆動要求量や車速、エンジン回転数、設定されている変速比などの入力データと、変速線図(変速マップ)などの予め記憶しているデータとに基づいて演算を行い、その演算結果に基づく制御指令信号を出力するように構成されている。
つぎに上記のように構成されたこの発明に係る動力伝達装置の作用について説明する。図2は、上記の切替機構SLにおけるスリーブ39,40の動作位置を示しており、図2の(a)に示すようにこれらのスリーブ39,40が遊星歯車機構1側に移動している状態では、モータハブ41とキャリヤハブ42とが一方のスリーブ39によって連結され、またリングギヤハブ43と固定ハブ44とが他方のスリーブ40によって連結されている。すなわち、モータ・ジェネレータ3がキャリヤCrに連結され、かつリングギヤRgが固定されている。
このようなスリーブ39,40の動作位置を、以下、仮にA位置とする。これに対して図2の(b)に示すように各スリープ39,40が遊星歯車機構1から離れる方向に移動している状態では、一方のスリーブ39がモータハブ41とリングギヤハブ43とに係合し、その結果、モータ・ジェネレータ3がリングギヤRgに連結され、また他方のスリーブ40はいずれのハブとも係合しないので、いずれの回転要素も固定(ロック)されない。このようなスリーブ39,40の動作位置を、以下、仮にB位置とする。
したがって、切替機構SLがA位置に動作している状態では、遊星歯車機構1のキャリヤCrにモータ・ジェネレータ3が連結され、かつリングギヤRgが固定される。その状態を遊星歯車機構1についての共線図で図3の(a)に示してある。すなわち、遊星歯車機構1はダブルピニオン型のものであるから、第1回転要素であるキャリヤCr、第2回転要素であるリングギヤRg、第3回転要素であるサンギヤSnが、ここに挙げた順で共線図上に配列される。そして、切替機構SLがA位置に動作している状態では、リングギヤRgが固定され、かつキャリヤCrにモータ・ジェネレータ3がエンジン2と共に連結された状態となる。
また、切替機構SLがB位置に動作している状態では、いずれの回転要素も固定されていずに、そのリングギヤRgにモータ・ジェネレータ3が連結された状態となる。なお、この状態でモータ・ジェネレータ3がエンジン2の出力トルクとは反対方向のトルクを発生することにより、リングギヤRgを固定しておくことができる。言い換えれば、モータ・ジェネレータ3によって回転数の制御を行うことができる。
切替機構SLによるこのような作用を利用して、以下に述べる各種の動作状態が設定される。先ず、エンジン2を動力源として走行するエンジン走行モード(E/G走行)での第1速ないし第6速および後進段について説明する。図4は、これらの各変速段を設定するための各クラッチC1,S1,S2,S3,SRおよび切替機構SLの動作状態をまとめて示す図表であり、○を付した数字は、図1に記載してある丸付きの数字と対応しており、変速段用のクラッチS1,S2,S3,SRにおけるスリーブ20,24,28,32の移動方向もしくは位置あるいは係合している変速ギヤ対の番号を示している。また図4における空欄は解放状態であること、入力クラッチC1についての「○」印は係合状態であってトルクを伝達すること、切替機構SLについての「A」は上記のA位置に動作していることを示している。
前進第1速は、第1奇数段用クラッチS1によって第1速被駆動ギヤ11bを第1出力軸8に連結し、かつ切替機構SLをA位置に動作させて、リングギヤRgを固定するとともにモータ・ジェネレータ3をキャリヤCrに連結することにより、設定される。したがって、遊星歯車機構1においては、キャリヤCrにエンジン2からトルクが入力されてこれがいわゆる正回転するが、リングギヤRgが固定されていることにより、出力要素であるサンギヤSnはエンジン2あるいはキャリヤCrとは反対方向に回転する。すなわち逆回転する。
サンギヤSnが取り付けられている第1駆動軸6と第1速駆動ギヤ11aが取り付けられているアイドラ軸10とは前記カウンタギヤ対18を介して連結されているので、第1速駆動ギヤ11aは正回転する。そして、この第1速駆動ギヤ11aに噛み合っている第1速被駆動ギヤ11bおよびこれに連結されている第1出力軸8は逆回転し、その第1出力軸8からカウンタギヤ34およびこれに噛み合っているリングギヤ37を介してデファレンシャル36にトルクが出力される。これが前進走行の際の回転方向である。
なお、第2駆動軸7は、キャリヤCrを介してエンジン2から直接動力が伝達されるので、その回転方向は正回転方向であり、そのトルクが第2速駆動ギヤ12aを介して第2速被駆動ギヤ12bに伝達されるので、第2速被駆動ギヤ12bは逆回転している。言い換えれば、第1速被駆動ギヤ11bと同様に、前進走行する方向に回転している。
したがって、第1速では、エンジン2が出力した動力は、遊星歯車機構1によって変速されて第1駆動軸6に伝達され、カウンタギヤ対18および第1速ギヤ対11ならびに第1奇数段用クラッチS1を介して第1出力軸8に出力される。こうして第1速が設定され、これは、動力の伝達をギヤなどの機械的手段で全て行うので、いわゆる機械的直結段となる。なお、第1速で発進する場合、駆動トルクを次第に増大させて滑らかに発進するために、入力クラッチC1をスリップ状態を経て次第に係合させる。いわゆるフリクションスタートを行う。また、遊星歯車機構1は差動作用を行っているので、キャリヤCrが回転しているが、キャリヤCrに連結されている偶数段用の変速ギヤ対12,14,16はいずれも第2出力軸9に対して遮断されているので、いわゆるダブルロックが生じることはない。
また、この第1速では、モータ・ジェネレータ3がエンジン2と共にキャリヤCrに連結されているので、モータ・ジェネレータ3をモータとして動作させることにより、エンジン2と同方向のトルクを出力することにより、第1出力軸8のトルク(出力軸トルク)Toを大きくすることができる。すなわち、モータ・ジェネレータ3によるトルクアシストが可能である。その出力軸トルクToは、
To=G1×Te+G1×Tm
である。ここで、G1は第1速ギヤ対11のギヤ比、Teはエンジントルク、Tmはモータ・ジェネレータ3のトルクである。
他の奇数段である前進第3速および前進第5速は、トルクを伝達する変速ギヤ対が、奇数段用クラッチS1,S3によって、第3速ギヤ対13あるいは第5速ギヤ対15に変更されて設定される。したがって、これらの変速段でのトルクの伝達の状態あるいは動作状態は、上述した第1速と特に変わるところはないので、その説明を省略する。
一方、前進第2速は、偶数段用クラッチS2によって第2速被駆動ギヤ12bを第2出力軸9に連結し、かつ切替機構SLをA位置に動作させて、リングギヤRgを固定するとともにモータ・ジェネレータ3をキャリヤCrに連結することにより、設定される。したがって、エンジン2の動力がキャリヤCrを介してそのまま第2駆動軸7に伝達され、これがエンジン2と同方向に回転する。そして、この第2駆動軸7から第2速ギヤ対12を介して第2出力軸9に動力が伝達され、第2出力軸9がエンジン2とは反対の方向に回転する。これは、前進第1速の場合と同じ回転方向であり、またトルクの伝達を行う変速ギヤ対が第2速ギヤ対12であるから、そのギヤ比に応じたトルクが第2出力軸9に現れ、その結果、第2速が設定される。その場合、遊星歯車機構1は差動作用を行っているので、サンギヤSnが回転しているが、サンギヤSnに連結されている奇数段用の変速ギヤ対11,13,15はいずれも第1出力軸8に対して遮断されているので、いわゆるダブルロックが生じることはない。
また、この第2速においても、モータ・ジェネレータ3がエンジン2と共にキャリヤCrに連結されているので、モータ・ジェネレータ3をモータとして動作させることにより、エンジン2と同方向のトルクを出力することにより、第1出力軸8のトルク(出力軸トルク)Toを大きくすることができる。すなわち、モータ・ジェネレータ3によるトルクアシストが可能である。
他の偶数段である前進第4速および前進第6速は、トルクを伝達する変速ギヤ対が、偶数段用クラッチS2および後進段用クラッチSRによって、第4速ギヤ対14あるいは第6速ギヤ対16に変更されて設定される。したがって、これらの変速段でのトルクの伝達の状態あるいは動作状態は、上述した第2速と特に変わるところはないので、その説明を省略する。
さらに後進段について説明すると、後進段は、切替機構SLをA位置に動作させたまま、後進段用クラッチSRによって後進段被駆動ギヤ17bを第2出力軸9に連結することにより設定される。この後進段においては、エンジン2とは反対方向に回転するサンギヤSnから第1駆動軸6に動力が伝達されるので、後進段駆動ギヤを兼ねているカウンタドライブギヤ18aがエンジン2とは反対の方向に回転し、したがってこれに噛み合っている後進段被駆動ギヤ17bおよび第2出力軸9がエンジン2と同じ方向に回転する。これは、前進時とは反対の回転方向であり、したがって後進段が設定される。
ところで、変速用の各クラッチS1,S2,S3,SRを前述したようにドグクラッチによって構成した場合、そのクラッチ自体にはエネルギを吸収する機能がないので、その切替動作に先立って、回転数を合わせる回転数同期制御を行うことが好ましい。その回転数同期制御は、上述した動力伝達装置では、切替機構SLを過渡的にB位置に動作させることにより行うことができる。これを第1速から第2速への変速の場合を例に採って説明すると、図5の(a)は第1速での動作状態を示す共線図であり、エンジン2とモータ・ジェネレータ3との動力をキャリヤCrに入力し、かつリングギヤRgを固定して第1速が設定されている。すなわち、第1速被駆動ギヤ11bが第1出力軸8に連結されている。この状態では、キャリヤCrに連結されている第2速ギヤ対12における被駆動ギヤ12bは第2出力軸9により幾分高速で回転している。すなわち、偶数段用クラッチS2が解放状態になっているので、第2速被駆動ギヤ12bと第2出力軸9とには回転数差が生じている。
そこで、第1速から第2速に変速する場合、先ず、エンジン2によって出力軸トルクを維持しつつ、切替機構SLをB位置に動作させる。すなわち、リングギヤRgのロックを解除してこれを回転可能な状態にするとともに、そのリングギヤRgにモータ・ジェネレータ3を連結する。これを図5の(b)に共線図で示してあり、この状態でモータ・ジェネレータ3によってエンジン2とは反対方向のトルクを発生させてリングギヤRgをキャリヤCrとは反対方向に回転させると、キャリヤCrおよびエンジン2の回転数が低下する。それに伴って第2速駆動ギヤ12aおよび第2速被駆動ギヤ12bの回転数が低下するので、第2速被駆動ギヤ12bの回転数と第2出力軸9の回転数とが一致する。すなわち回転同期する。この状態で、偶数段用クラッチS2のスリーブ20を第2速被駆動ギヤ12b側に移動させてそのハブ21にスプライン嵌合させれば、急激な回転数の変化やそれに起因するショックを生じさせることなく第2速被駆動ギヤ12bと第2出力軸9とを連結することができる。そして、第1速被駆動ギヤ11bと第1出力軸8との連結を解いて第2速を設定する。
その後、切替機構SLをA位置に動作させる。その場合、モータ・ジェネレータ3のトルクを増大させてその回転数をほぼ「0」にし、その状態で切替機構SLを切替動作させる。こうすることにより、切替ショックを防止もしくは抑制することができる。
この発明に係る上記の動力伝達装置では、モータ・ジェネレータ3を動力源とした走行(EV走行)やモータ・ジェネレータ3で走行慣性エネルギを回生する回生走行を行うことができる。その場合、入力クラッチC1を解放してエンジン2を遊星歯車機構1から切り離すとともに、切替機構SLをA位置に動作させる。また、変速用のクラッチS1,S2,S3,SRは車速や要求駆動力などの走行状態に応じた適宜の変速段を設定するように係合させる。このような動作状態を前述した図4に併せて示してある。それらの変速段のうち第1速における動作状態を図6に共線図で示してある。すなわち、共線図上で、キャリヤCrとサンギヤSnとの間に位置するリングギヤRgは固定され、これに対してキャリヤCrにはモータ・ジェネレータ3が連結され、さらにサンギヤSnはキャリヤCrとは反対方向に回転する出力要素となっている。
したがって、モータ・ジェネレータ3が出力した動力は、遊星歯車機構1のギヤ比に応じて変速されてサンギヤSnから第1駆動軸6に出力される。そして、エンジン2を動力源とする第1速の場合と同様に、アイドル軸10から第1速ギヤ対11を介して第1出力軸8に動力が伝達される。したがってその場合の出力軸トルクToは、
To=G1×Tm
となる。このように、減速比を低下させる要因がないので、減速比を大きくして必要十分な駆動力を得ることができ、また動力の伝達効率を向上させることができる。また、回生走行の場合には、エネルギの回生効率を向上させることができる。
上述した動力伝達装置では、後進用ギヤ対17を、エンジン2とは反対の方向に回転するサンギヤSnに連結されている第1駆動軸6と第2出力軸9との間に設けてあるので、いずれかの偶数段を設定して走行する際にモータ・ジェネレータ3のトルクを後進用ギヤ対17で増幅してトルクアシストすることができる。その例を第2速について説明すると、先ず、偶数段用クラッチS2によって第2速被駆動ギヤ12bを第2出力軸9に連結し、また後進段用クラッチSRによって後進段被駆動ギヤ17bを第2出力軸9に連結する。さらに、切替機構SLはB位置に動作させる。
この状態では、エンジン2のトルクがキャリヤCrおよびこれと一体の第2駆動軸7ならびに第2速ギヤ対12を介して第2出力軸9に伝達される。一方、モータ・ジェネレータ3をモータとして動作させてエンジン2と同方向にトルクを出力させると、そのモータトルクTmは遊星歯車機構1においてリングギヤRgからキャリヤCrおよびサンギヤSnに分配される。キャリヤCrに伝達されるトルクは、エンジントルクと同様に第2速ギヤ対12を介して第2出力軸9に伝達される。また、サンギヤSnに伝達されたトルクは、これと一体の第1駆動軸6および後進用ギヤ対17を介して第2出力軸9に伝達される。この状態を図7に共線図で示してある。したがって、この場合の出力軸トルクToは、
To=G2×Te+GREV×(1−ρ)×Tm+G2×Tm
となる。ここで、G2は第2速ギヤ対12のギヤ比、GREVは後進用ギヤ対17のギヤ比、ρは遊星歯車機構1のギヤ比である。
これを、切替機構SLがA位置に動作している前述の場合と比較すると、右辺第2項の「GREV×(1−ρ)×Tm」のトルクが増えている。これは、第2速以外の偶数段の場合でも同様に実行できる。したがって、偶数段を設定する際に、後進用ギヤ対17をもトルク伝達可能にし、かつ遊星歯車機構1に差動作用を生じさせることにより、モータ・ジェネレータ3によるアシストトルクを大きくして、必要十分な駆動トルクを得ることができる。
つぎにエンジン2を始動する場合について説明する。上述したこの発明に係る動力伝達装置は、モータ・ジェネレータ3を、いわゆる差動要素であるリングギヤRgと、入力要素であるキャリヤCrとに切り替えて連結することができ、そのキャリヤCrにはエンジン2が連結されている。したがって、モータ・ジェネレータ3によってエンジン2を直接、クランキング(モータリング)してエンジン2を始動することができる。具体的には、図8の共線図に示すとおりである。この場合、変速段用のクラッチS1,S2,S3,SRは全て解放状態(ニュートラル状態)に設定し、また切替機構SLはA位置に動作させる。したがって遊星歯車機構1においては、リングギヤRgが固定され、またキャリヤCrにモータ・ジェネレータ3が連結される。なお、入力クラッチC1は係合させてエンジン2をキャリヤCrに連結しておく。
この状態でモータ・ジェネレータ3をモータとして動作させ、いわゆる正回転方向のトルクを出力させると、そのトルクによってエンジン2がキャリヤCrと共に回転させられるので、エンジン2がクランキングされ、燃料を供給することによりエンジン2を始動することができる。その場合、キャリヤCrやサンギヤSnと一体の各駆動軸6,7が回転するが、各変速ギヤ対11,12,13,14,15,16,17は出力軸8,9に対して遮断されているので、駆動力が生じることはない。したがって、シフト装置(図示せず)によってパーキングレンジやニュートラルレンジなどの非走行レンジが選択されている場合にモータ・ジェネレータ3によってエンジン2を始動することができる。
上記の例は、モータ・ジェネレータ3によってエンジン2を回転させる例であるが、この発明の動力伝達装置ではエンジン2によってモータ・ジェネレータ3を回転させて発電することができる。その例を図9に示してあり、この場合、変速レンジがパーキングレンジもしくはニュートラルレンジなどの非走行レンジであるから、変速段用のクラッチS1,S2,S3,SRは全て解放状態(ニュートラル状態)に設定され、また切替機構SLはA位置に動作させる。したがって遊星歯車機構1においては、リングギヤRgが固定され、またキャリヤCrにモータ・ジェネレータ3が連結される。この状態でエンジン2を駆動し、あるいは入力クラッチC1を係合させると、そのエンジントルクによってモータ・ジェネレータ3がキャリヤCrと共に回転させられる。したがって、モータ・ジェネレータ3をコントローラ4によって発電機として機能するように制御することにより、モータ・ジェネレータ3によって発電し、電力を得ることができる。これは、車両が停止している際に前記蓄電装置5の充電容量(SOC)が低下したことが検出された場合や電気負荷が増大した場合に実行する。なお、この場合、キャリヤCrやサンギヤSnと一体の各駆動軸6,7が回転するが、各変速ギヤ対11,12,13,14,15,16,17は出力軸8,9に対して遮断されているので、駆動力が生じることはない。
つぎにこの発明の他の例を説明する。上述したように、この発明の動力伝達装置では、内燃機関の動力を差動機構を介して変速ギヤ対に伝達するように構成されている。その差動機構として上記の具体例ではダブルピニオン型の遊星歯車機構を用いているが、この発明における差動機構は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構以外のものであってもよい。図10に示す例は、差動機構としてシングルピニオン型の遊星歯車機構を使用した例であり、ここに示す遊星歯車機構1は、サンギヤSnと、そのサンギヤSnに対して同心円上に配置されたリングギヤRgと、これらサンギヤSnおよびリングギヤRgに噛み合っているピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持したキャリヤCrとを回転要素として備えている。
そして、エンジン2は、入力クラッチC1を介してリングギヤRgに連結されており、またサンギヤSnは第1駆動軸6およびアイドラ軸10を介して奇数段用の変速ギヤ対11,13,15に連結されている。そして、シングルピニオン型の遊星歯車機構における各回転要素は、図11に示すように、共線図上でサンギヤSn、キャリヤCr、リングギヤRgの順に配列される。したがって、図10に示す構成では、キャリヤCrがこの発明の第1回転要素に相当し、リングギヤRgがこの発明の第2回転要素に相当し、サンギヤSnがこの発明の第3回転要素に相当している。
上記の遊星歯車機構1の外周側にモータ・ジェネレータ3が同心円上に配置されており、そのモータ・ジェネレータ3を連結する相手部材を変更するための切替機構SLは、ハブの配列を図1に示す構成とは異ならせ、また二つのスリーブを独立して移動できるように構成されている。具体的に説明すると、前記第2駆動軸7の外周側に、遊星歯車機構1側からモータハブ41、リングギヤハブ43、キャリヤハブ42、固定ハブ44が順に配列されている。そのモータハブ41はモータ・ジェネレータ3のロータに一体となるように連結され、またリングギヤハブ43は遊星歯車機構1におけるリングギヤRgに一体となるように連結されている。これに対してキャリヤハブ42は第2駆動軸7に一体となるように連結されている。そして、固定ハブ44は所定の固定部45に連結されている。
これらのハブ41,42,43,44を選択的に連結する二つのスリーブ39,40が設けられており、一方(図10での右側)のスリーブ39は、所定のストローク範囲で軸線方向に移動した場合に、常時モータハブ41に係合するスプラインと、図10の右側に移動した場合にリングギヤハブ43に係合し、これとは反対に図10の左側に移動した場合にキャリヤハブ42に係合するスプラインとを有している。したがって、このスリーブ39はモータ・ジェネレータ3をリングギヤRgとキャリヤCrとに切り替えて連結するように構成されている。
また、他方(図10での左側)のスリーブ40は、キャリヤハブ42に係合するスプラインと固定ハブ44に係合するスプラインとを有している。そして、このスリーブ40は、図10の右側に移動した場合に、そのスプラインがキャリヤハブ42と固定ハブ44とに係合してキャリヤCrを固定部45に連結することによりキャリヤCrを固定(ロック)し、また図10の左側に移動した場合に、スプラインがキャリヤハブ42と固定ハブ44とから外れてキャリヤCrと固定部45との連結を解き、キャリヤCrのいわゆるロックを解除するように構成されている。
そして、各スリーブ39,40は、互いに独立して軸線方向に移動できるように構成され、それに伴いキャリヤハブ42は、各スリーブ39,40が同時にスプライン嵌合できるように構成されている。なお、これらのスリーブ39,40をその軸線方向に往復動させるための機構は、特には図示しないが、油圧あるいは電磁力などによる推力を受けて直線的に往復動し、あるいは回転する適宜のアクチュエータによって構成されている。したがって、切替機構SLは、モータ・ジェネレータ3の連結状態の切替とキャリヤCrのロックとを行うように構成されている。上記のスリーブ40およびこれが係合するキャリヤCrならびに固定ハブ44がこの発明におけるロック機構に相当している。
図10に示す動力伝達装置における他の構成は、図1に示す構成と同様であるから、図1に示す構成と同じ部材および部分には図1と同様の符号を付してその説明を省略する。なお、図10には前述した各アクチュエータおよびコントローラならび蓄電装置、電子制御装置は省略し、記載していないが、図1に示す動力伝達装置と同様に、これらの機構、装置が設けられている。
したがって、図10に示す構成は、図1に示す動力伝達装置における差動機構をダブルピニオン型の遊星歯車機構からシングルピニオン型の遊星歯車機構に変更し、それに伴って切替機構SLの構成すなわちハブの配列を変更したものであるから、図1に示す構成の動力伝達装置と同様に、前進6段・後進1段の変速段を設定することができる。これに加えて、図10に示すように構成した場合には、モータ・ジェネレータ3を連結する相手部材を切り替える場合にトルク遮断が生じることを防止できる。
その一例として、モータ・ジェネレータ3をキャリヤCrに連結するとともにキャリヤCrをモータ・ジェネレータ3が固定している状態からリングギヤRgにモータ・ジェネレータ3を連結する状態に切り替える場合について説明すると、モータ・ジェネレータ3でキャリヤCrを固定する場合、図12の(a)に示すように、切替機構SLにおける一方のスリーブ39が、モータハブ41とキャリヤハブ42とに係合し、モータ・ジェネレータ3をキャリヤCrに連結している。この状態でモータ・ジェネレータ3が反力トルクを発生することにより、キャリヤCrが固定されている。この状態からモータ・ジェネレータ3をリングギヤRgに連結するためには、先ず、他方のスリーブ40を軸線方向に移動させて固定ハブ44とキャリヤハブ42とにスプライン嵌合させる。すなわち、キャリヤCrを固定部45に連結してキャリヤCrをロックする。その状態を図12の(b)に示してある。
こうすることにより、モータ・ジェネレータ3が受け持っていたキャリヤCrの固定のための反力トルクを固定部45が受け持つことになる。これは、前述した図11に示す状態である。したがって、モータ・ジェネレータ3を停止状態とすることにより、スリーブ39とキャリヤハブ42との間の接触圧が低下するので、スリーブ39を軸線方向に移動させることができる。そして、図12の(c)に示すように、スリーブ39を遊星歯車機構1側に移動させてリングギヤハブ43に係合させることにより、モータ・ジェネレータ3をリングギヤRgに連結することができる。このような切替の過程で、いわゆる差動要素であるキャリヤCrにはこれを固定しておくトルクが常時作用し続けるので、キャリヤCrの固定が一時的に外れていわゆるトルク遮断が生じることが回避される。
なお、図10に示すように構成した場合には、キャリヤCrに連結されている第2駆動軸7の外周側には、リングギヤRgとリングギヤハブ43とを連結する部材、およびモータ・ジェネレータ3とモータハブ41とを連結する部材との二つの部材が配置されるだけであるから、図1に示す構成と比較して軸構造が簡素化される。
ところで、この発明に係る動力伝達装置は、少なくとも三つの回転要素を備えた差動機構におけるそれらの回転要素に、モータ・ジェネレータなどの電動機を選択的に切り替えて連結する構成を有した装置である。したがって、その差動機構が遊星歯車機構である場合、モータ・ジェネレータが選択的に連結される回転要素は、上述したリングギヤとキャリヤとに限らず、サンギヤに選択的に連結するように構成してもよい。その場合、図1や図10に示す構成では、サンギヤSnを切替機構SLに直接連結することは困難であるから、例えばアイドラ軸10などのサンギヤSnに連結されている部材に適宜のハブもしくは係合部を設け、その係合部を介して電動機を選択的に連結するように構成すればよい。
上述したように、この発明に係る動力伝達装置では、差動機構やこれに連結されている二本の駆動軸を、同一軸線上に配置することができるので、全体としての構成をコンパクト化し、車載性のよい動力伝達装置を得ることができる。また、モータ・ジェネレータ3などの電動機を複数の回転要素に切り替えて連結することができるので、多様な動作状態もしくは運転モードを設定することができ、車両に搭載した場合には走行状態に応じた運転モードを選択することにより、動力性能や燃費を向上させることができる。
なお、この発明は、上述した各具体例に限定されないのであって、設定可能な変速段数は6段より少なくともよく、あるいはそれ以上であってもよい。また、図1および図10に示す構成は、エンジンを車両の幅方向(横向き)に配置する車両に適するように構成した例であり、したがって出力軸が二本設けられているが、この発明では、各駆動軸に変速ギヤ対における駆動ギヤを直接取り付け、それに伴って出力軸を一本にした構成としてもよい。
この発明に係る動力伝達装置の一例を模式的に示すスケルトン図である。 その切替機構の動作位置を模式的に示す図である。 その遊星歯車機構における各回転要素の共線図上での配列およびモータ・ジェネレータの連結状態を示す線図である。 各変速段を設定するためのクラッチおよび切替機構の動作状態をまとめて示す図表である。 切替機構がA位置に動作している状態での第1速を示す共線図および切替機構がB位置に動作している状態での第1速から第2速への変速過渡を示す共線図である。 EV走行での第1速を示す共線図である。 第2速ギヤ対と後進用ギヤ対とをトルク伝達可能な状態にしてモータ・ジェネレータでトルクアシストしている状態を示す共線図である。 モータ・ジェネレータでエンジンを始動する状態の共線図である。 エンジンでモータ・ジェネレータを駆動して発電している状態の共線図である。 この発明に係る動力伝達装置の他の例を模式的に示すスケルトン図である。 図11に示す遊星歯車機構のキャリヤを固定部およびモータ・ジェネレータに連結した状態の共線図である。 図10に示す切替機構の動作状態を模式的に示す図である。
符号の説明
1…遊星歯車機構、 2…エンジン、 3…モータ・ジェネレータ、 4…コントローラ、 5…蓄電装置、 6…第1駆動軸、 7…第2駆動軸、 8…第1出力軸、 9…第2出力軸、 10…アイドラ軸、 11,12,13,14,15,16…変速ギヤ対、 17…後進用ギヤ対、 18…カウンタギヤ対、 46…電子制御装置(ECU)、 Sn…サンギヤ、 Rg…リングギヤ、 Cr…キャリヤ、 SL…切替機構。

Claims (8)

  1. 少なくとも三つの回転要素を有しかつそれらの回転要素の回転数の関係が共線図で表すことのできる差動機構に、内燃機関と電動機とが連結され、その差動機構から出力されるトルクを出力部材に選択的に伝達する動力伝達装置において、
    前記三つの回転要素のうち前記共線図上で中央に位置する回転要素である第1回転要素以外のいずれか一つの回転要素である第2回転要素に前記内燃機関が連結され、
    前記第1回転要素および前記第2回転要素以外の他の回転要素である第3回転要素と前記出力部材との間で選択的にトルクを伝達する一対以上の変速ギヤ対を有する第1変速ギヤ対系が設けられ、
    前記電動機の前記差動機構への連結を前記三つの回転要素のうちの少なくとも二つの回転要素の間で切り替える切替機構が設けられ、
    さらに前記内燃機関もしくは前記第2回転要素と前記出力部材との間で選択的にトルクを伝達する一対以上の変速ギヤ対を有する第2変速ギヤ対系が設けられている
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  2. 前記第1回転要素を選択的に固定するロック機構を更に備え、
    前記切替機構は、前記ロック機構によって前記第1回転要素が固定され、かつ前記内燃機関から前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対の動力を伝達する駆動状態では、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含む
    請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記内燃機関と前記第2回転要素とを選択的に連結する入力クラッチ機構を更に備え、
    前記切替機構は、前記入力クラッチ機構によって前記内燃機関が前記第2回転要素から切り離され、かつ前記ロック機構によって前記第1回転要素が固定され、さらに前記第3回転要素と前記出力部材とが前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対を介してトルク伝達可能に連結された駆動状態では、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含む
    請求項2に記載の動力伝達装置。
  4. 前記第1回転要素を選択的に固定するロック機構と、前記内燃機関と前記第2回転要素とを選択的に連結する入力クラッチ機構とを更に備え、
    前記切替機構は、前記入力クラッチ機構によって前記内燃機関が前記第2回転要素から切り離され、かつ前記ロック機構によって前記第1回転要素が固定され、さらに前記第3回転要素と前記出力部材とが前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対を介してトルク伝達可能に連結された駆動状態では、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含む
    請求項1に記載の動力伝達装置。
  5. 前記第3回転要素と前記出力部材との間で選択的にトルクを伝達する後進用ギヤ対を更に備え、
    前記切替機構は、前記内燃機関と前記出力部材とが前記第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対を介してトルク伝達可能に連結され、かつ前記後進用ギヤ対を介して前記第3回転要素と前記出力部材とがトルク伝達可能に連結されている状態で、前記電動機を前記第2回転要素に連結する機構を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の動力伝達装置。
  6. 前記切替機構は、前記内燃機関を始動する場合に、前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対および第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対が前記出力部材にトルクを伝達しない解放状態で前記電動機を前記内燃機関に連結する機構を含み、
    前記電動機が出力する動力で内燃機関を始動するように構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の動力伝達装置。
  7. 前記電動機は、発電機能のあるモータ・ジェネレータを含み、
    前記切替機構は、前記第1変速ギヤ対系の変速ギヤ対および第2変速ギヤ対系の変速ギヤ対が前記出力部材にトルクを伝達しない解放状態で前記電動機を前記内燃機関に連結する機構を含み、
    前記内燃機関によって前記モータ・ジェネレータを駆動して発電するように構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の動力伝達装置。
  8. 前記切替機構は、前記電動機を前記第2回転要素に連結してその電動機で第2回転要素を固定している状態で前記電動機を前記第2回転要素から固定されている他のいずれかの回転要素に切り替えて連結する機構を含む請求項1に記載の動力伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016132270A (ja) * 2015-01-15 2016-07-25 ジヤトコ株式会社 ハイブリッド車両の駆動装置
US20230029575A1 (en) * 2020-04-22 2023-02-02 Zf Friedrichshafen Ag Transmission and Drive System of a Motor Vehicle

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