JP2022085303A - 薄膜トランジスタ基板および自発光装置 - Google Patents

薄膜トランジスタ基板および自発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】TFT基板の製造工程の簡略化、および、TFT基板で駆動する発光素子の高密度実装を可能にする。【解決手段】薄膜トランジスタ基板(100)は、基板(1)上に設けられた、トップゲート型の第1のTFT(101)およびボトムゲート型の第2のTFT(102)を備える。第1のTFT(101)のドレイン電極(2)および第2のTFT(102)のゲート電極(3)は、同じ第1の導電膜で構成される。第1のTFT(101)のソース電極(7E)および第2のTFT(102)のソース電極(8)は、同じ第2の導電膜で構成される。第1のTFT(101)の半導体層(9)および第2のTFT(102)の半導体層(10)は、同じ半導体膜で構成される。第1のTFT(101)のゲート電極(14E)および第2のTFT(102)のドレイン電極(15)は、同じ第3の導電膜で構成される。【選択図】図1

Description

本開示は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)および、薄膜トランジスタ基板およびそれを備えた自発光装置に関するものである。
近年、有機EL(Electro Luminescence;EL)素子およびLED(Light Emitting Diode;LED)素子のような発光素子を備えた照明装置や表示装置等の電子機器が広く用いられるようになっている。
発光素子を単に点灯させるだけでなく、色の異なる複数の発光素子を制御して様々な色を発光させたり、文字や画像をアクティブに表示したりするための発光素子実装基板として、TFTをスイッチング素子として用いたアクティブマトリックス基板(以下「TFT基板」という)が知られている。このようなTFT基板では、発光(表示)性能の向上に必要なTFT特性の高性能化および高信頼性化が要求されるだけでなく、TFTの構造や製造工程を簡略化して製造を効率的に行うことによる低コスト化が要求される。さらに、TFT基板上に発光素子を高密度に実装し、滑らかで鮮明な表示を実現するために、TFTの小型化や配線の高密度化が要求される。
有機EL素子は、アノード電極とカソード電極の間に有機EL素子を含む電界発光層を挟んだ構造を基本構成とし、アノード電極とカソード電極との間に電圧を加えて有機EL素子に電流を供給することによって、有機EL素子が発光する。LED素子は、p型半導体層とn型半導体層との間に発光層を挟んだ構造を基本構成とし、p型半導体層に接続された電極とn型半導体層に接続された電極との間に電圧を加えてLEDに順方向電流を供給することによって、LEDが発光する。
有機EL素子やLED素子のような発光素子を、TFT基板上に平面状に複数形成して発光を制御する場合、発光素子を駆動するための基本的な素子駆動回路は、少なくとも2つのTFTと1つの保持容量とで構成することができる。2つのTFTのうち、1つは発光させる発光素子を選択する(切り替える)ための選択TFTであり、もう1つは発光素子を発光させるための電流を供給するための素子駆動TFTである。保持容量は、例えば、素子駆動TFTのゲート電極を一方の電極とし、素子駆動TFTのソース電極またはドレイン電極をもう一方の電極として、この2つの電極の間に絶縁層を挟んで成る構成とすることができる。
選択TFTのゲート電極およびソース電極は、それぞれ走査線(ゲート線)および信号線(ソース線)に接続される。よって、ある走査線が選択されると、その走査線にゲート電極が接続した選択TFTがオンとなり、当該選択TFTのソース電極に接続した信号線からドレイン電極を通して信号電圧が保持容量に蓄積される。保持容量に蓄積された信号電圧は、素子駆動TFTのゲート電極に印加され、素子駆動TFTがオンとなり、設定された電流が素子駆動TFTのドレイン電極から出力される。それにより、素子駆動TFTのドレイン電極に接続された発光素子に電流が供給され、当該発光素子が発光状態となる。この発光状態は次の書き込みが行われるまで保持される。このような素子駆動回路の基本構成は、例えば下記の特許文献1に開示されている。
このようなTFT基板に用いられるTFTの半導体チャネル層としては、従来、アモルファス(非晶質)シリコン(a-Si)がよく用いられている。その主な理由として、a-Siはアモルファスであるが故に特性の均一性がよい膜を形成できること、a-Si膜を用いれば簡単な層構成でTFTを形成できること、また、a-Si膜は比較的低温(例えば350℃以下)で形成できるので、耐熱性に劣る安価なガラス基板上にTFTを形成してコストを抑制したり、さらに耐熱性に劣る樹脂製基板上にTFTを形成して折り曲げが可能なTFT基板を製造したりできること、などが挙げられる。しかしながら、a-Siで形成されたTFT(a-Si-TFT)は駆動能力が低いため、電流制御によって素子を駆動する発光素子用TFT基板に用いる場合には、TFTの小型化・高密度化に限界があった。
一方、例えば特許文献2および3、非特許文献1に開示されているように、酸化物半導体をチャネル層に用いたTFT(酸化物半導体TFT)が開発され、近年、その実用化が進められている。酸化物半導体としては、酸化亜鉛(ZnO)系、酸化亜鉛(ZnO)に酸化ガリウム(Ga)および酸化インジウム(In)を添加したInGaZnO系などが挙げられる。
酸化物半導体は、組成を適正化することによって、比較的低温でも均一性がよいアモルファス状態の膜が安定的に得られる上、酸化物半導体TFTはa-Si-TFTよりも高い駆動能力を有するため、小型で高性能なTFTを実現できるという利点がある。
しかし、酸化物半導体は、一般的に薬液耐性に乏しく、シュウ酸(Oxalic Acid)系のような弱酸系の薬液でも容易に溶けてしまうという性質がある。従って、従来のa-Siで主流となっている層構成の簡単なBCE(バックチャネルエッチング)型TFTに酸化物半導体を用いる場合、チャネル層の直上のソース電極およびドレイン電極を、酸薬液を用いたウエットエッチングで形成すると、チャネル層の酸化物半導体もエッチングされてしまい、信頼性の高いチャネル領域を形成することができないという問題があった。
特開平8-234683号公報 特開2004-103957号公報 特開2005-77822号公報 米国特許第9721973号明細書
Kenji Nomura等著、「Room-temperature fabrication of transparent flexible thin-film transistors using amorphous oxide semiconductors」、Nature 2004年,第432巻,第488頁~第492頁
特許文献1では、発光素子駆動用のTFTとしてa-Siよりも駆動能力の高いポリシリコン(p-Si)を半導体チャネル層として用いた例が開示されている。しかしながら、p-Si-TFTは構造が複雑で製造工程が多く、また、少なくとも600℃以上の高温工程が必要で石英ガラスのような高価なガラスを必要とするため、低コストで製造することが難しい。
また、特許文献4には、酸化物半導体をチャネル層に用いた有機EL駆動用のTFT基板の平面構造およびTFTの層構成の例が開示されている。例えば特許文献4のFig.7に開示されたTFT基板では、選択TFTおよび素子駆動TFTの両方が、ソース電極およびドレイン電極とチャネル層との間にエッチストッパ(etch-stopper;ES)層を備えたES型TFTで構成されている。ES型TFTでは、チャネル層上のソース電極およびドレイン電極の形成が酸薬液を用いたウエットエッチングで行われても、酸化物半導体がエッチングされないため、信頼性の高いTFTを製造することができる。
しかし、ES型TFTの製造には、ES層を形成するための工程が必要であるため、製造工程の増加を招いてしまう。さらに、選択TFTと素子駆動TFTとが同じ構造であると、選択TFTのドレイン電極と素子駆動TFTのゲート電極(DG)とを電気的に接続するために、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する工程が必要であり、これも製造工程の増加を招く要因となる。コストが増大するという問題がある。
また、例えば特許文献4のFig.6には、TFT基板の各素子領域に、選択TFT、素子駆動TFTおよび保持容量の他に、選択TFTのソース電極に接続され縦方向(列方向)に延びる信号線と、素子駆動TFTのソース電極に接続されて縦方向に延びる素子駆動用の電流供給配線と、選択TFTのゲート電極に接続されて横方向(行方向)に延びる走査線と、が配設された例が示されている。この例では、選択TFTおよび素子駆動TFTそれぞれのソース電極およびドレイン電極と、信号線と、電流供給配線とが、同層の導電膜を用いて形成されている。この場合、隣り合う信号線と電融供給配線との間隔は、導電膜をパターニングする際の写真製版工程の精度(分解能)およびエッチング工程の精度による制約を受け、例えば2μm程度にまで狭くするのが限界である。それ以上に間隔を狭くすると、パターニング不良やエッチング不良によって、信号線と電融供給配線とがうまく分離せず、配線間短絡が発生して歩留まりが低下する。これと同様の理由から、選択TFTおよび素子駆動TFTそれぞれのソース電極とドレイン電極との間隔も狭くすることが難しく、チャネル長を短縮することによるTFTの小型化には限界がある。
以上のように、発光素子駆動用のTFT基板には、TFTの製造工程の簡略化による低コスト化が難しく、また、発光素子を高密度に実装するためのTFTの小型化や配線間隔の縮小化が難しいという課題がある。
本開示は以上のような課題を解決するためになされたものであり、TFT基板の製造工程の簡略化、および、TFT基板で駆動する発光素子の高密度実装を可能にすることを目的とする。
本開示に係る薄膜トランジスタ基板は、基板と、前記基板上に設けられた、トップゲート型の第1の薄膜トランジスタおよびボトムゲート型の第2の薄膜トランジスタと、を備え、前記第1の薄膜トランジスタは、前記基板上に設けられた第1のドレイン電極と、前記第1のドレイン電極上に設けられた第1の保護絶縁層と、前記第1の保護絶縁層上に設けられた第1のソース電極と、前記第1の保護絶縁層上に設けられ、前記第1の保護絶縁層を貫通する第1の開口部を通して前記第1のドレイン電極に接するとともに、前記第1のソース電極の上面に接する第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に設けられた第1のゲート絶縁層と、前記第1のゲート絶縁層上に設けられた第1のゲート電極と、前記第1の半導体層における前記第1の開口部と前記第1のソース電極との離間領域に対応する部分である第1のチャネル領域と、を有し、前記第2の薄膜トランジスタは、前記基板上に設けられた第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極上に設けられた第2のゲート絶縁層と、前記第2のゲート絶縁層上に設けられた第2のソース電極と、前記第2のゲート絶縁層上に設けられ、前記第2のソース電極の上面に接する第2の半導体層と、前記第2のソース電極上および前記第2の半導体層上に設けられた第2の保護絶縁層と、前記第2の保護絶縁層上に設けられ、前記第2の保護絶縁層を貫通する第2の開口部を通して前記第2の半導体層に接する第2のドレイン電極と、前記第2の半導体層における前記第2の開口部と前記第2のソース電極との離間領域に対応する部分である第2のチャネル領域と、を有し、前記第1のドレイン電極および前記第2のゲート電極は、同じ第1の導電膜で構成され、前記第1の保護絶縁層および前記第2のゲート絶縁層は、同じ第1の絶縁膜で構成され、前記第1のソース電極および前記第2のソース電極は、同じ第2の導電膜で構成され、前記第1の半導体層および前記第2の半導体層は、同じ半導体膜で構成され、前記第1のゲート絶縁層および前記第2の保護絶縁層は、同じ第2の絶縁膜で構成され、前記第1のゲート電極および第2のドレイン電極は、同じ第3の導電膜で構成される。
本開示に係るTFT基板によれば、トップゲート型の第1の薄膜トランジスタおよびボトムゲート型の第2の薄膜トランジスタの各層の構成が共通化されるため、製造工程の簡略化が可能になる。また、それぞれの薄膜トランジスタにおいて、ソース電極とドレイン電極とが、半導体層または絶縁層を挟んで互いに別層に設けられるため、TFTのチャネル長を短くでき、TFTを小型化できる。
本開示の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
実施の形態1に係るTFT基板の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態1に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態1に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態1に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態1に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態1に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の全体構成を模式的に示す平面図である。 実施の形態2に係るTFT基板のEL素子駆動回路の構成を模式的に示す図である。 実施の形態2に係るTFT基板の平面構成を概略的に示す平面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する平面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する平面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する平面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する平面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する平面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する平面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する平面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する平面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する平面図である。 実施の形態2に係るTFT基板の製造方法を説明する断面図である。 実施の形態2に係るTFT基板を備えた自発光装置を模式的に示す斜視図である。 実施の形態2の変形例に係るTFT基板の平面構成を概略的に示す平面図である。 実施の形態3に係るTFT基板のLED素子駆動回路の構成を模式的に示す図である。 実施の形態3に係るTFT基板の平面構成を概略的に示す平面図である。 実施の形態3に係るTFT基板の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態3に係るTFT基板にLED素子を実装した構成を示す断面図である。 実施の形態3に係るTFT基板を備えたLED発光装置を模式的に示す斜視図である。 実施の形態4に係るTFT基板のLED素子駆動回路の構成を模式的に示す図である。 実施の形態4に係るTFT基板の構成を概略的に示す平面図である。 実施の形態4に係るTFT基板の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態5に係るTFT基板のLED素子駆動回路の構成を模式的に示す図である。 実施の形態5に係るTFT基板の構成を概略的に示す平面図である。 実施の形態5に係るTFT基板の構成を概略的に示す断面図である。
以下の実施の形態に示すTFTおよびそれを備えるTFT基板は、有機EL素子およびLED素子のような発光素子を備えた照明装置や表示装置等の自発光装置に広く用いることができる。例えば、照明装置としては、発光素子を単に点灯させるものだけでなく、色の異なる複数の発光素子を制御して様々な色を発光させたり、文字や画像をアクティブに表示したりできる照明装置に用いることができる。また、表示装置としては、発光素子を画素として用いた自発光型表示装置に用いることができ、その他にも、液晶表示装置(Liquid Crystal display;LCD)のバックライト用の自発光装置にも用いることができる。さらに、様々な信号駆動回路を有する半導体装置にも適用することができる。
<実施の形態1>
(1-1)TFT基板の構成
図1は、実施の形態1に係るTFT基板100の構成を概略的に示す断面図である。TFT基板100は、第1のTFT101(第1の薄膜トランジスタ)および第2のTFT102(第2の薄膜トランジスタ)を備えている。図1においては、第1のTFT101が形成される領域である第1のTFT部を左側に、第2のTFT102が形成される領域である第2のTFT部を右側に示している。第1のTFT101および第2のTFT102は、透明絶縁性を有する同一の基板1上に配設されている。基板1は、例えば樹脂(プラスチック)基板、ガラス基板などである。
(1-2)第1のTFT101の構成
第1のTFT101は、トップゲート構造によってチャネルを保護するトップゲート型の薄膜トランジスタである。第1のTFT101においては、基板1上に、第1の導電膜で構成されるドレイン電極2(第1のドレイン電極)が設けられ、その上に第1の絶縁膜で構成される保護絶縁層4(第1の保護絶縁層)が設けられている。保護絶縁層4には、ドレイン電極2の表面の一部を露出させる開口部6(第1の開口部)が設けられている。
保護絶縁層4上には、下層のドレイン電極2との間に一定の間隔を有するように、第2の導電膜で構成されるソース電極7E(第1のソース電極)が設けられる。さらに保護絶縁層4上には、ソース電極7Eの上面および側面の一部と接するとともに、開口部6を通して下層のドレイン電極2と接するように、半導体膜で構成される半導体層9(第1の半導体層)が設けられている。半導体層9の下層のソース電極7Eおよびドレイン電極2は、半導体層9と重なる領域内で互いに一定の間隔をあけて設けられており、半導体層9におけるソース電極7Eと開口部6内のドレイン電極2とで挟まれた離間領域が、第1のTFT101のチャネル領域CL1(第1のチャネル領域)として規定される。
そして、保護絶縁層4上、ソース電極7Eおよび半導体層9上に、第2の絶縁膜で構成されるゲート絶縁層11(第1のゲート絶縁層)が設けられている。さらに、半導体層9のチャネル領域CL1と重なる領域のゲート絶縁層11上に、第3の導電膜で構成されるゲート電極14E(第1のゲート電極)が設けられている。
チャネル領域CL1の保護絶縁層4は、半導体層9のチャネル領域CL1をプロセスダメージ等から保護するチャネル保護層(第1のチャネル保護層)として機能する。従って、第1のTFT101は、特性および信頼性に優れたTFTとなる。
ここで、TFTのチャネル領域の長さ(チャネル長)は、ソース電極とドレイン電極の離間距離で規定される。ソース電極とドレイン電極とが同じ導電膜の同層で形成される場合、ソース電極とドレイン電極の離間距離は、パターニング加工時のレジストマスクの写真製版工程の分解精度で決まる。導電膜のエッチング加工の精度も加味すれば、ソース電極とドレイン電極の離間距離の加工能力はせいぜい2μm程度である(離間距離を2μm未満に設定すると、レジストパターン不良やエッチング不良によってソース電極とドレイン電極間の短絡不良が多発する)。
これに対し、第1のTFT101では、ソース電極7Eとドレイン電極2とが保護絶縁層4を挟んでそれぞれ別層に設けられている。従って、ソース電極7Eと開口部6内のドレイン電極2との(平面視における)離間距離は、ソース電極7Eおよび開口部6の配置の位置精度でのみ規定されるため、離間距離を2μm未満にすることも可能である。このため、第1のTFT101のチャネル領域CL1を小さくすることができ、第1のTFT101全体のサイズを小型化することができる。
(1-3)第2のTFT102の構成
第2のTFT102は、ボトムゲート構造でチャネルを保護するボトムゲート型の薄膜トランジスタである。第2のTFT102においては、基板1上に、第1の導電膜で構成されるゲート電極3(第2のゲート電極)が設けられ、ゲート電極3を覆うように、第1の絶縁膜で構成されるゲート絶縁層5(第2のゲート絶縁層)が設けられている。ゲート絶縁層5上には、第2の導電膜で構成されるソース電極8(第2のソース電極)が設けられている。そして、ゲート絶縁層5上のゲート電極3と重なる領域に、ソース電極8の上面および側面の一部と接するように、半導体膜で構成される半導体層10(第2の半導体層)が設けられている。さらに、ゲート絶縁層5上、ソース電極8上および半導体層10上に、第2の絶縁膜で構成される保護絶縁層12(第2の保護絶縁層)が設けられている。
半導体層10と重なる領域の保護絶縁層12には、下層の半導体層10の表面が露出するように、開口部13(第2の開口部)が設けられている。そして、保護絶縁層12上には、開口部13を通して半導体層10と接するように、第3の導電膜で構成されるドレイン電極15(第2のドレイン電極)が設けられている。
ソース電極8およびドレイン電極15は、半導体層10と重なる領域内で互いに一定の間隔をあけて設けられており、半導体層10におけるソース電極8と開口部13内のドレイン電極15とで挟まれる離間領域が、第2のTFT102のチャネル領域CL2(第2のチャネル領域)として規定される。
チャネル領域CL2上の保護絶縁層12は、半導体層10のチャネル領域CL2をプロセスダメージ等から保護するチャネル保護層(第2のチャネル保護層)として機能する。従って、第2のTFT102は、特性および信頼性に優れたTFTとなる。
また、第2のTFT102では、ソース電極8とドレイン電極15とが半導体層10および保護絶縁層12を挟んでそれぞれ別層に設けられている。従って、ソース電極8と開口部13内のドレイン電極15との(平面視における)離間距離は、ソース電極8と開口部13の配置の位置精度でのみ規定されるため、第2のTFT102のチャネル領域CL2を小さくすることができ、TFT全体のサイズを小型化することができる。
さらに、第1のTFT101においてソース電極7Eと半導体層9との接触面積を低減し、また、第2のTFT102においてソース電極8と半導体層10との接触面積を低減することによって、第1のTFT101および第2のTFT102のサイズをさらに小型化することができる。
以上説明したように、実施の形態1のTFT基板100によれば、トップゲート構造のチャネル保護型の第1のTFT101と、ボトムゲート構造のチャネル保護型の第2のTFT102という、互いに異なる構造および特性を有する2種類のTFTを、簡単な層構成で同じ基板上に配設することができるとともに、各TFTのサイズを容易に小型化することができる。
(1-4)TFT基板100の製造方法
以下、実施の形態1に係るTFT基板100の製造方法について、図2~図6を用いて説明する。なお、製造の最終工程図は、図1に対応している。
まず、ガラス等の透明絶縁性を有する基板1を洗浄液または純水を用いて洗浄する。実施の形態1では、厚さ0.5mmのガラス基板を基板1として用いた。そして、洗浄された基板1の一方の主面上に第1の導電膜を形成する。
第1の導電膜としては、例えばクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)等の金属、またはこれらに他の元素を微量に添加した合金等を用いることができる。また、第1の導電膜を、これらの金属または合金を2層以上含む積層構造としてもよい。これらの金属、合金を用いることによって、比抵抗値が50μΩcm以下の低抵抗な導電膜を得ることができる。
実施の形態1では、第1の導電膜としてMoを使用し、アルゴン(Ar)ガスを用いたスパッタリング法でMo膜を200nmの厚さに形成した。その後、Mo膜上にフォトレジスト材を塗布し、1回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクにして、Mo膜をエッチングによりパターニングする。ここでは、リン酸(Phosphoric Acid)、酢酸(Acetic Acid)および硝酸(Nitric Acid)を含む溶液(PAN薬液)によるウエットエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、図2に示すように、基板1上に、第1のTFT101のドレイン電極2(第1のドレイン電極)および第2のTFT102のゲート電極3(第2のゲート電極)が同時に形成される。
次に、基板1の主面上の全体に第1の絶縁膜を形成する。実施の形態1では、化学的気相成膜(Chemical Vapor Deposition;CVD)法を用いて、第1の絶縁膜として酸化シリコン膜(SiO膜)を形成した。ここでは、厚さ300nmのSiO膜を、約300℃の基板加熱条件下で形成した。なお、第1の絶縁膜は、SiO膜に限ることなく、他にも例えば窒化シリコン膜(SiN膜)を用いることができる。SiN膜もSiO膜と同様にCVD法で成膜することができる。また、SiO膜とSiN膜との積層膜としてもよい。
続いて、第1の絶縁膜上に第2の導電膜を形成する。第2の導電膜としては、第1の導電膜と同様にArガスを用いたスパッタリング法でMo膜を200nmの厚さに形成した。その後、Mo膜上にフォトレジスト材を塗布し、2回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、これをマスクにして、PAN薬液を用いたウエットエッチングによりパターニングする。その後、フォトレジストパターンを除去することで、図3に示すように、第1の絶縁膜上に、第1のTFT101のソース電極7E(第1のソース電極)および第2のTFT102のソース電極8(第2のソース電極)が同時に形成される。
次に、3回目の写真製版工程で第1の絶縁膜であるSiO膜上にフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとしてSiO膜をエッチングする。このエッチング工程では、フッ素(F)を含むガス、例えば六フッ化硫黄(SF)ガスまたは四フッ化炭素(CF)ガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。
その後、フォトレジストパターンを除去することで、図4に示すように、第1のTFT101のドレイン電極2の表面の一部を露出させる開口部6(第1の開口部)が形成される。なお、第1のTFT部の第1の絶縁膜は、その後の工程における第1の半導体層形成時に、第1の半導体層をドレイン電極2から受けるダメージから保護する保護絶縁層4(第1のチャネル保護層)として機能し、第2のTFT部の第1の絶縁膜は、ゲート絶縁層5(第2のゲート絶縁層)として機能する。
次に、第1の絶縁膜上、ソース電極7E上およびソース電極8上に半導体膜を形成する。実施の形態1では、半導体膜として酸化物半導体膜を形成する。具体的には、インジウム(In)とガリウム(Ga)と亜鉛(Zn)と酸素(O)を含む酸化物(InGaZnO)を用いる。ここでは、In:Ga:Zn:Oの原子組成比が1:1:1:4であるInGaZnOターゲットを用い、Arガスを用いたスパッタリング法で酸化物半導体膜(InGaZnO膜)を形成した。
この場合、通常は、Oの原子組成比が化学量論組成よりも少なく、Oイオン欠乏状態(上記の例ではOの組成比が4未満)の酸化物膜となってしまう。従って、Arガスに酸素(O)ガスを混合させてスパッタリングすることが好ましい。実施の形態1では、Arガスに対して分圧比で10%のOガスを添加した混合ガスを用いて、スパッタリングし、InGaZnO膜を50nmの厚さで形成した。InGaZnO膜は、アモルファス(非晶質)構造で形成される。アモルファス構造のInGaZnO膜は、一般的に結晶化温度が500℃超であり、常温では膜中の大部分が非晶質構造のままで安定する。非晶質構造は、一部が結晶化された微結晶構造や多結晶構造に比べて構造の均一性を高くすることができる。従って、基板が大型化した場合でも基板全体に特性のバラツキが小さい半導体膜を形成することができる利点がある。
次に、4回目の写真製版工程でInGaZnO膜上にフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとしてInGaZnO膜をエッチングする。このエッチング工程では、シュウ酸(Oxalic Acid)薬液によるウエットエッチングを用いることができる。その後、フォトレジストパターンを除去する。
その結果、図5に示すように、第1のTFT101においては、保護絶縁層4上に、ソース電極7Eの上面および側面の一部と接するとともに、開口部6を通して下層のドレイン電極2と接するように、半導体層9(第1の半導体層)が形成される。ソース電極7Eとドレイン電極2とは、保護絶縁層4を挟んでそれぞれ別層に設けられているとともに半導体層9と重なる領域内で互いに一定の間隔を有するように形成されており、ソース電極7Eと開口部6内のドレイン電極2との離間領域が、第1のTFT101のチャネル領域CL1(第1のチャネル領域)として規定される。また、第2のTFT102においては、ゲート絶縁層5上に半導体層10(第2の半導体層)が形成される。半導体層10は、ゲート絶縁層5上のゲート電極3と重なる領域に、ソース電極8の上面および側面の一部と接するように形成される。
実施の形態1のように、半導体層として酸化物半導体膜をスパッタリング法で形成する場合、下層にソース電極7Eおよびドレイン電極2のような金属膜が露出していると、スパッタリング中に酸化物半導体が金属と反応し、還元(Oイオン欠乏)状態の特性が劣化した酸化物半導体膜が形成されてしまう場合がある。しかしながら、実施の形態1の第1のTFT101の場合は、開口部6の部分を除くドレイン電極2全体が保護絶縁層4で覆われているので、少なくともドレイン電極2ではこの現象を防止することができる。よって、保護絶縁層4は、半導体層9のチャネル領域CL1を保護するチャネル保護層(第1のチャネル保護層)として機能する。
その後、基板1を大気雰囲気下で400℃の温度で熱処理する。この熱処理によって半導体層9および半導体層10の非晶質のInGaZnO膜が構造緩和を起こし、半導体特性をさらに安定させることができる。なお、構造緩和とは、膜形成およびウエットエッチング等のプロセスダメージに起因する構成原子の格子欠陥を減らし、非晶質構造がより安定化する現象である。
非晶質のInGaZnO膜に上記の構造緩和を起こさせるための熱処理の温度は、少なくとも300℃以上であることが好ましい。一方、500℃を超えると膜全体で結晶化が始まり半導体特性が大きく変化し、例えばキャリア密度増大により導体化してしまう。従って、ここでは少なくとも基板1を300℃以上500℃以下の温度で熱処理することが好ましい。なお、このような熱処理は、製造工程の最後に実施するようにしてもよい。
次に、基板1の主面上の全体に第2の絶縁膜を形成する。実施の形態1では、第2の絶縁膜として、CVD法で厚さ300nmのSiO膜を約200℃の基板加熱条件下で形成した。なお、第2の絶縁膜は、SiO膜に限られず、他にも例えばSiN膜を用いることができる。また、SiO膜とSiN膜との積層膜としてもよい。
次に、5回目の写真製版工程で第2の絶縁膜であるSiO膜上にフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとしてSiO膜をエッチングする。このエッチング工程では、SFガスまたはCFガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。
その後、フォトレジストパターンを除去することで、図6に示すように、第2のTFT部の第2の絶縁膜に、半導体層10の表面の一部を露出させる開口部13(第2の開口部)が形成される。第1のTFT部の第2の絶縁膜は、ゲート絶縁層11(第1のゲート絶縁層)として機能する。また、第2のTFT部の第2の絶縁膜は、後の工程で形成されるドレイン電極15(第2のドレイン電極)からの加工プロセスダメージを防止する保護絶縁層12(第2のチャネル保護層)として機能する。
次に、第2の絶縁膜上に第3の導電膜を形成する。第3の導電膜としては、第1の導電膜と同じように、例えばCr、Mo、Ti、Cu、Ta、W、Al等の金属、またはこれらに他の元素を微量に添加した合金等を用いることができる。また、これらの金属または合金を2層以上含む積層構造としてもよい。これらの金属または合金を用いることによって、比抵抗値が50μΩcm以下の低抵抗な導電膜を得ることができる。
実施の形態1では、第3の導電膜としてMo膜を用い、Arガスを用いたスパッタリング法でMo膜を200nmの厚さに形成した。その後、Mo膜上にフォトレジスト材を塗布し、6回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、これをマスクにしてPAN薬液を用いたウエットエッチングによりMo膜をパターニングする。その後、フォトレジストパターンを除去することで、図1に示すように、基板1上に、第1のTFT101のゲート電極14E(第1のゲート電極)が形成され、同時に第2のTFT102のドレイン電極15(第2のドレイン電極)が形成される。
第2のTFT102のドレイン電極15は、開口部13を通して半導体層10と接するように形成される。ソース電極8とドレイン電極15は、半導体層10と保護絶縁層12とを挟んでそれぞれ別層に設けられているとともに、半導体層10と重なる領域内で互いに一定の間隔を有して設けられており、ソース電極8と開口部13のドレイン電極15とで挟まれる離間領域が、第2のTFT102のチャネル領域CL2として規定されている。
一般的に酸化物半導体膜は薬液耐性に乏しく、半導体層10の材料であるInGaZnO膜は、第3の導電膜のウエットエッチングに用いられるPAN薬液にも容易に溶けてしまう。しかしながら、第2のTFT102では、開口部13を除く基板1の全面が絶縁膜で構成される保護絶縁層12で覆われており、特に半導体層10のチャネル領域CL2上では保護絶縁層12はチャネル保護層(エッチングストッパ;ES)として機能する。従って、プロセスダメージのない信頼性の高いTFTを得ることができる。
以上のように、実施の形態1に係るTFT基板100は、第1のTFT101と第2のTFT102とが、互いにゲート電極とソース電極およびドレイン電極との位置関係(上下関係)は異なるものの、両者の半導体層が同一の半導体膜で構成され、かつそれぞれの電極や絶縁層を含めた各層の導電膜や絶縁膜が共通化できるように構成されている。従って、動作安定性および信頼性に優れるトップゲート構造でチャネル保護型の第1のTFT101と、ボトムゲート構造でチャネル保護型の第2のTFT102という、互いに異なる構造を有する2種類のTFTを、6回の写真製版工程を用いて生産性よく低コストで製造することができる。
また、第1のTFT101および第2のTFT102では、それぞれのソース電極とドレイン電極とが互いに別層に分けて設けられている。これにより、ソース電極とドレイン電極との離間距離を容易に狭小化することができ、各TFTのサイズを小型化することができる。各TFTのサイズを小型化することで、基板1上の一定面積当たりにより多くのTFTを配設することができる。
<実施の形態2>
(2-1)装置構成
図7は、実施の形態2に係るTFT基板110の全体構成を模式的に示す平面図である。図7に示すように、TFT基板110は、基板1上に、少なくとも第1のTFT101、第2のTFT102および発光素子領域PXを含む素子領域がマトリックス状に配列された素子配設領域150と、素子配設領域150の外側に隣接する額縁領域160とに大きく分けられる。発光素子領域PXには、発光素子が配置されており、TFT基板110は、発光素子駆動用のTFT基板として機能する。本実施の形態では、発光素子領域PXに配置される発光素子として、エレクトロルミネッセンス(EL)素子23が用いられている。
なお、図7において、TFT基板110の輪郭形状は四角形で示されているが、これに限られず、例えば円形または楕円形のような曲線を含む形状であってもよい。また、TFT基板110は、平坦なものに限られず、湾曲や折り曲げができるフレキシブルなものであってもよい。
図7に示すように、素子配設領域150には、複数の走査(ゲート)配線14L(第3の配線)と複数のデータ(ソース)配線7L(第1の配線)とが互いに直交するように交差して配設されている。個々の素子領域は、走査配線14Lとデータ配線7Lで規定される。各素子領域には、発光素子領域PXに配置されたEL素子23と、EL素子23を駆動するための発光素子駆動回路であるEL素子駆動回路ELC1とが設けられている。また、素子配設領域150には、複数の駆動電流配線16(第2の配線)が、複数のデータ配線7Lと隣接して平行に配設されている。
図8に、EL素子駆動回路ELC1の構成を模式的に示す。EL素子駆動回路ELC1は、走査配線14Lとデータ配線7Lとの交差部に設けられた第1のTFT101(第1の薄膜トランジスタ)と、走査配線14Lと駆動電流配線16との交差部に設けられた第2のTFT102(第2の薄膜トランジスタ)とを有している。第1のTFT101のゲート電極14Eは走査配線14Lと電気的に接続され、第1のTFT101のソース電極7Eはデータ配線7Lと電気的に接続されている。第1のTFT101は、走査配線14Lおよびデータ配線7Lの信号に対応して発光させるEL素子23を選択するための選択TFTとして機能する。
第2のTFT102のゲート電極3は、第1のTFT101のドレイン電極2と電気的に接続される。また、第2のTFT102のソース電極8は駆動電流配線16と電気的に接続され、ドレイン電極15はEL素子23を駆動させるためのアノード(陽)電極20と電気的に接続されている。またEL素子23のカソード(陰)電極26は、例えばEL素子23の上面側で接地電位に接続されている。
また、第2のTFT102には、ゲート電極3とドレイン電極15との間に接続された保持容量CsAが設けられている。第1のTFT101のドレイン電極2から出力された選択信号が保持容量CsAに書き込まれると、書き込まれた電圧によってゲート電極3に電圧が印加され第2のTFT102が動作して、駆動電流配線16からの発光信号電流が、駆動電流として第2のTFT102からアノード電極20を通してEL素子23に供給され、それによってEL素子23が発光する。
TFT基板110の額縁領域160には、走査配線14Lに走査信号電圧を与える走査信号駆動回路170と、データ配線7Lおよび駆動電流配線16にそれぞれデータ信号および駆動信号を与える表示信号駆動回路180とが設けられている。走査信号駆動回路170は、走査配線14Lの端部に設けられた走査配線端子14Tに接続されている。表示信号駆動回路180は、データ配線7Lの端部および駆動電流配線16の端部にそれぞれ設けられたデータ配線端子7Tおよび駆動電流配線端子16Tに接続されている。
なお、実施の形態2では、TFT基板110上の額縁領域160に走査信号駆動回路170および表示信号駆動回路180を配設するようにしたが、これらをTFT基板110上に配設せずに、外部の駆動IC(Integrated Circuit)として、TAB(Tape Automated Bonding)方式またはCOG(Chip On Glass)方式等でTFT基板110上の走査配線端子14T上、データ配線端子7T上および駆動電流配線端子16T上に実装するようにしてもよい。
次に、図9および図10を参照して、実施の形態2に係るTFT基板110のより詳細な構成について説明する。図9は、TFT基板110の素子配設領域150(図7)内に埋設され、第1のTFT101、第2のTFT102、保持容量CsAおよび発光素子領域PXを含む素子領域の平面構成を示す部分平面図であり、図10は、素子領域の断面構成を示す部分断面図である。
図9におけるX1-X2線は、第1のTFT101、第2のTFT102および保持容量CsAに渡り、Y1-Y2線は、第2のTFT102のドレイン電極15から発光素子領域PXに渡るように設けられており、X1-X2線に沿った断面図を図10の左側に、Y1-Y2線に沿った断面図を図10の右側に示している。
なお、実施の形態2の第1のTFT101および第2のTFT102は、実施の形態1の第1のTFT101および第2のTFT102と基本的に同じ構成であるため、これらと同じ構成要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
TFT基板110は透明絶縁性の基板1の一方の主面上に各種の要素が配設されている。基板1は、例えばガラス、プラスチックまたは樹脂等の透明かつ絶縁性の材料で構成される。なお、基板1の平面形状は、図7に例示した四角形に限定されるものではない。
図10のX1-X2線に沿った断面図に示すように、基板1上の第1のTFT101には、第1の導電膜で構成されるドレイン電極2(第1のドレイン電極)が設けられ、これらを覆うように第1の絶縁膜で構成される保護絶縁層4(第1の保護絶縁層)が設けられている。保護絶縁層4には、ドレイン電極2の表面の一部を露出させる開口部6(第1の開口部)が設けられている。
また、第2のTFT102には、第1の導電膜で構成されるゲート電極3(第2のゲート電極)および駆動電流配線16(第2の配線)が設けられ、これらを覆うように第1の絶縁膜で構成されるゲート絶縁層5(第2のゲート絶縁層)が設けられている。ゲート絶縁層5には、駆動電流配線16の表面の一部を露出させる開口部17(第3の開口部)が設けられている。
図9に示されるように、平面視で、第1のTFT101のドレイン電極2と第2のTFT102のゲート電極3は、連続した一体パターンで設けられている。駆動電流配線16は縦方向(Y方向)に延在するように配設されている。
図10のX1-X2線に沿った断面図に示すように、第1のTFT101の保護絶縁層4上に、第2の導電膜で構成されるソース電極7E(第1のソース電極)が設けられている。また、第2のTFT102のゲート絶縁層5上に、第2の導電膜で構成されるソース電極8(第2のソース電極)が設けられている。ソース電極8は、開口部17を通して下層の駆動電流配線16に接している。
図9に示されるように、平面視で、データ配線7Lが駆動電流配線16と隣接するように縦方向に平行して延在するように配設されている。第1のTFT101のソース電極7Eは、データ配線7Lの一部分である。すなわち、データ配線7Lは、駆動電流配線16とは異なる第2の導電膜で構成され、第1の絶縁膜を挟んで駆動電流配線16とは別層に配設されている。そして、データ配線7Lにおいて第1のTFT101に隣接する近傍部分がソース電極7Eとなっている。また、第2のTFT102のソース電極8は、ゲート電極3と駆動電流配線16と重なるように配設され、開口部17を通して下層の駆動電流配線16に接している。
図10のX1-X2線に沿った断面図に示すように、第1のTFT101の保護絶縁層4上に、半導体膜で構成される半導体層9(第1の半導体層)が設けられている。半導体層9は、下層のソース電極7Eの上面および側面の一部と接するとともに、開口部6を通して下層のドレイン電極2と接している。半導体層9の下層のソース電極7Eおよびドレイン電極2は、半導体層9と重なる領域内で互いに一定の間隔を有して設けられており、ソース電極7Eと開口部6内のドレイン電極2との離間領域が、第1のTFT101のチャネル領域CL1(第1のチャネル領域)として規定される。また、第2のTFT102のゲート絶縁層5上に、半導体膜で構成される半導体層10(第2の半導体層)が設けられている。半導体層10は、下層のソース電極8の上面および側面の一部と接している。
図9に示されるように、平面視で、第1のTFT101の半導体層9は、互いに一定の間隔を有して設けられたソース電極7Eとドレイン電極2とに跨るように島状のパターンで配設され、開口部6を通してドレイン電極2と接している。また、第2のTFT102の半導体層10は、ゲート電極3に重なる領域に島状のパターンで配設されている。
図10のX1-X2線に沿った断面図に示すように、第1のTFT101の保護絶縁層4、ソース電極7Eおよび半導体層9を覆うように、第2の絶縁膜で構成されるゲート絶縁層11(第1のゲート絶縁層)が設けられている。また、第2のTFT102のゲート絶縁層5、ソース電極8および半導体層10を覆うように、第2の絶縁膜で構成される保護絶縁層12(第2の保護絶縁層)が設けられている。保護絶縁層12には、下層の半導体層10の表面の一部が露出するように、開口部13(第2の開口部)が設けられている。
そして、第1のTFT101の半導体層9と重なる領域のゲート絶縁層11上には、第3の導電膜で構成されるゲート電極14E(第1のゲート電極)が設けられている。また、第2のTFT102の保護絶縁層12上には、開口部13を通して半導体層10と接するように、第3の導電膜で構成されるドレイン電極15(第2のドレイン電極)が設けられている。半導体層10の下層のソース電極8と上層のドレイン電極15とは、半導体層10と重なる領域内で互いに一定の間隔を有して設けられており、ソース電極8と開口部13内のドレイン電極15との離間領域が、第2のTFT102のチャネル領域CL2として規定される。
図9に示されるように、平面視で、第1のTFT101のゲート電極14Eは、ソース電極7Eとドレイン電極2とが互いに対向するように分離された領域において、半導体層9と重なるように配設されている。また、ゲート電極14Eから延在する走査配線14Lが、データ配線7Lおよび駆動電流配線16と直交するように横方向(X方向)に延在して設けられている。すなわち、走査配線14Lは、第3の導電膜で構成され、ゲート電極14Eと連続した一体パターンで設けられている。
また、図9に示されるように、平面視で、第2のTFT102のドレイン電極15は、半導体層10と重ならない領域で、ゲート電極3(または第1のTFT101のドレイン電極2)のパターンと重なって、これらよりもY方向の幅が広くなるように配設されている。図10のX1-X2線に沿った断面図に示されるように、ゲート電極3(またはドレイン電極2)とドレイン電極15との間には、ゲート絶縁層5(第1の絶縁膜)と保護絶縁層12が設けられており、ドレイン電極15とゲート電極3とが重なる領域によって保持容量CsAが形成される。
図10のX1-X2線に沿った断面図またはY1-Y2線に沿った断面図に示すように、第1のTFT101のゲート電極14Eと走査配線14L、および第2のTFT102のドレイン電極15を覆うように、基板1全面に第3の絶縁膜で構成される保護絶縁層18(第3の保護絶縁層)が設けられている。保護絶縁層18には、第2のTFT102のドレイン電極15の表面の一部を露出させるように開口部19(第4の開口部)が設けられている。そして、保護絶縁層18上に、開口部19を通してドレイン電極15に接続されるとともに発光素子領域PXまで延在するように、第4の導電膜で構成されるアノード(陽)電極20が設けられている。
さらに、アノード電極20上および保護絶縁層18上には、第4の絶縁膜で構成されるバンク層21が設けられている。発光素子領域PXではアノード電極20の表面が露出するようにバンク層21にはバンク開口部22が設けられ、バンク開口部22に露出したアノード電極20上には発光素子として機能するEL素子23が設けられている。
また、図9に示されるように、発光素子領域PXは、平面視で、走査配線14L、データ配線7Lおよび駆動電流配線16によって囲まれた領域で規定されている。アノード電極20は、ドレイン電極15と重なる領域に設けられた開口部19と重なる領域から、発光素子領域PXまで延在するように設けられている。図9では、アノード電極20はデータ配線7Lまたは駆動電流配線16と重ならないように配設されているが、一部が重なるように配設されていてもよい。また、バンク層21に設けられるバンク開口部22は、アノード電極20と重なる領域でアノード電極20からはみ出さないように配設されるとともに、隣り合うバンク開口部22がバンク層21によって隔離(分離)され、互いに独立した態様で配設されている。そしてEL素子23が、バンク開口部22の領域全面にアノード電極20からはみ出さないように配設されている。
実施の形態2において、EL素子23は、例えば有機系材料で構成される有機EL素子が用いられる。有機EL素子の構成としては、アノード電極20の直上にホール輸送層、有機EL層および電子輸送層が順に積層された3層構造とすることができる。さらにその直上に、アノード電極20の対極となる図示されないカソード(陰)電極が設けられる。アノード電極20とカソード電極との間の電位差によりEL素子23に電流が供給され、EL素子23が発光する。
発光した光は、例えば、下方のアノード電極20を、光を反射させるメタル膜とし、上方のカソード電極を、光を透過させる透明導電膜で構成することで、基板1の上方に放射することができる。また、逆に下方のアノード電極20を透明導電膜とし、上方のカソード電極をメタル膜で構成することで、透明な基板1を通して下方に放射することができる。さらに、アノード電極20とカソード電極をともに透明導電膜で構成することで、基板1の両面から光を放射することもできる。
実施の形態2に係るTFT基板110は以上のように構成される。EL素子23を含むTFT基板110には、さらにEL素子23を水分および不純物から遮断するための封止層が設けられる。さらに、TFT基板110と対向するように対向基板が設けられることで、有機EL素子を用いた自発光装置用のTFT基板が構成される。
(2-2)製造方法
次に、実施の形態2に係るTFT基板110の製造方法について、図11~図28を用いて説明する。なお、図11~図28では、図9を最終工程図とする平面図と、図10を最終工程図とする断面図とを交互に示しておいる。また、各断面図においては、図9のX1-X2線に沿った断面を左側に、Y1-Y2線に沿った断面を右側に示している。
まず、基板1を洗浄液または純水を用いて洗浄する。実施の形態2では、厚さ0.5mmのガラス基板を基板1として用いた。そして、洗浄された基板1の一方の主面上に、第1の導電膜を成膜する。
第1の導電膜としては、Arガスを用いたスパッタリング法でCr膜を200nmの厚さに形成した。その後、Cr膜上にフォトレジスト材を塗布し、1回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクにして、Cr膜をエッチングによりパターニングする。ここでは、硝酸第2セリウムアンモニウム(Cerium Ammonium Nitrate)を含む溶液(CAN薬液)によるウエットエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することによって、図11および図12に示すように、基板1上に、第1のTFT101のドレイン電極2、第2のTFT102のゲート電極3および駆動電流配線16が同時に形成される。
また、図11に示されるように、平面視で、ドレイン電極2とゲート電極3は、連続した一体パターンで形成されている。また、駆動電流配線16は縦方向(Y方向)に延在するように形成されている。
次に、基板1の主面上の全体に第1の絶縁膜を形成する。実施の形態2では、第1の絶縁膜として、CVD法を用いて厚さ300nmのSiO膜を、約300℃の基板加熱条件下で形成した。なお、第1の絶縁膜は、SiO膜に限ることなく、他にも例えばSiN膜を用いることができる。SiN膜もSiO膜と同様にCVD法で成膜することができる。また、SiO膜とSiN膜との積層膜としてもよい。
次に、2回目の写真製版工程で第1の絶縁膜であるSiO膜上にフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとしてSiO膜をエッチングする。このエッチング工程では、SFガスまたはCFガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。
その後、フォトレジストパターンを除去することで、図13および図14に示されるように、第1のTFT101において、ドレイン電極2の表面の一部を露出させる開口部6が、第2のTFT102において、駆動電流配線16の表面の一部を露出させる開口部17が、それぞれ形成される。図14に示すように、第1のTFT部の第1の絶縁膜は、後の工程における第1の半導体層形成時に、第1の半導体層をドレイン電極2から受けるダメージから保護する保護絶縁層4として機能し、第2のTFT102の第1の絶縁膜はゲート絶縁層5として機能する。
次に、第1の絶縁膜上に第2の導電膜を形成する。実施の形態2では、第2の導電膜として、Arガスを用いたスパッタリング法でMo膜を200nmの厚さに形成した。その後、Mo膜上にフォトレジスト材を塗布し、3回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、これをマスクにして、PAN薬液を用いたウエットエッチングによりパターニングする。その後、フォトレジストパターンを除去することで、図15および図16に示されるように、第1の絶縁膜上に、第1のTFT101のソース電極7E、第2のTFT102のソース電極8およびデータ配線7Lが同時に形成される。
図15に示されるように、データ配線7Lは、駆動電流配線16と隣接するように縦方向(Y方向)に平行して配設されている。第1のTFT101のソース電極7Eは、データ配線7Lの一部分である。すなわち、データ配線7Lにおいて第1のTFT101に隣接する近傍部分がソース電極7Eとなっている。第2のTFT102のソース電極8は、ゲート電極3から駆動電流配線16に跨るように島状のパターンで配設されている。また図16に示されるように、ソース電極8は開口部17を通して下層の駆動電流配線16に接している。
なお、開口部6では下層の第1の導電膜からなるドレイン電極2の表面が露出するが、実施の形態2では、第1の導電膜をCr膜で形成し、第2の導電膜をMo膜で形成しているため、Mo膜をPAN液でウエットエッチングした場合でも、Cr膜から構成されるドレイン電極2の表面はエッチングされることはない。
次に、第1の絶縁膜上、ソース電極7E上、ソース電極8上およびデータ配線7L上に半導体膜を形成する。実施の形態2では、半導体膜として酸化物半導体膜を形成する。具体的にはIn:Ga:Zn:Oの原子組成比が1:1:1:4であるInGaZnOターゲットを用い、Arガスに分圧比10%のOガスを添加した混合ガスを用いたスパッタリング法で酸化物半導体膜である非晶質InGaZnO膜を50nmの厚さで形成した。
次に、4回目の写真製版工程でInGaZnO膜上にフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとしてInGaZnO膜をシュウ酸薬液でウエットエッチングする。その後、フォトレジストパターンを除去することで、図17および図18に示すように、第1のTFT101の半導体層9および第2のTFT102の半導体層10が同時に形成される。
図17に示されるように、第1のTFT101の半導体層9は、互いに一定の間隔を有して形成されたソース電極7Eとドレイン電極2に跨るように島状のパターンで形成される。また、第2のTFT102の半導体層10は、ゲート電極3に重なる領域に島状のパターンで形成される。
図18に示されるように、第1のTFT101の半導体層9は、下層のソース電極7Eの上面および側面の一部と接するとともに、開口部6を通して下層のドレイン電極2と接するように形成される。半導体層9の下層のソース電極7Eおよびドレイン電極2は、半導体層9と重なる領域内で互いに一定の間隔を有して設けられており、ソース電極7Eと開口部6内のドレイン電極2との離間領域が、第1のTFT101のチャネル領域CL1として規定される。また第2のTFT102の半導体層10は、下層のソース電極8の上面および側面の一部と接している。
実施の形態2のように、半導体層として酸化物半導体膜をスパッタリング法で形成する場合、下層にソース電極7Eおよびドレイン電極2のような金属膜が露出していると、スパッタリング中に酸化物半導体が金属と反応し、還元(Oイオン欠乏)状態の特性が劣化した酸化物半導体膜が形成されてしまう場合がある。しかしながら、実施の形態2の第1のTFT101の場合は、開口部6を除くドレイン電極2全体が保護絶縁層4で覆われているので、少なくともドレイン電極2ではこの現象を防止することができる。すなわち、チャネル領域CL1の保護絶縁層4は、半導体層9のチャネル保護層として機能する。
その後、基板1を大気雰囲気下で400℃の温度で熱処理する。この熱処理によって半導体層9および半導体層10の非晶質のInGaZnO膜が構造緩和を起こし、半導体特性をさらに安定させることができる。非晶質InGaZnO膜に上記の構造緩和を起こさせるための熱処理の温度は、少なくとも300℃以上であることが好ましい。一方、500℃を超えると膜全体で結晶化が始まり半導体特性が大きく変化し、例えばキャリア密度増大により導体化してしまうことがある。従って、ここでは少なくとも基板1を300℃以上500℃以下の温度で熱処理することが好ましい。なお、このような熱処理は、製造工程の最後に実施するようにしてもよい。
次に、基板1の主面上の全体に第2の絶縁膜を形成する。実施の形態2では、第2の絶縁膜として、CVD法で厚さ300nmのSiO膜を約200℃の基板加熱条件下で形成した。なお、第2の絶縁膜は、SiO膜に限ることなく、他にも例えばSiN膜を用いることができる。また、SiO膜とSiN膜との積層膜としてもよい。
次に、5回目の写真製版工程で第2の絶縁膜であるSiO膜上にフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとしてSiO膜をエッチングする。このエッチング工程では、SFガスまたはCFガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。
その後、フォトレジストパターンを除去することで、図19および図20に示すように、第2のTFT部の第2の絶縁膜に、半導体層10の表面の一部を露出させる開口部13が形成される。第1のTFT部の第2の絶縁膜は、第1のTFT101のゲート絶縁層11として機能する。また第2のTFT部の第2の絶縁膜は、後の工程で形成されるドレイン電極15から半導体層10が受ける加工プロセスダメージを防止する保護絶縁層12(チャネル保護層)として機能する。
次に、第2の絶縁膜上に第3の導電膜を形成する。実施の形態2では、第2の導電膜としてArガスを用いたスパッタリング法でMo膜を200nmの厚さに形成した。その後、Mo膜上にフォトレジスト材を塗布し、6回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクにして、Mo膜を、PAN薬液を用いたウエットエッチングによりパターニングする。その後、フォトレジストパターンを除去することによって、図21および図22に示すように、第1のTFT101のゲート電極14Eが形成され、同時に第2のTFT102のドレイン電極15が形成される。
第1のTFT101のゲート電極14Eは、ソース電極7Eとドレイン電極2とが互いに分離された領域において、下層の半導体層9のチャネル領域CL1と重なるように形成されている。半導体層9のチャネル領域CL1は、ゲート絶縁層11で保護されているので、プロセスダメージのない信頼性の高いTFTを得ることができる。
図21に示されるように、第1のTFT101のゲート電極14Eから延在する走査配線14Lが、データ配線7Lおよび駆動電流配線16と直交するように横方向(X方向)に延在して設けられている。すなわち、走査配線14Lは、第3の導電膜で構成され、ゲート電極14Eと連続した一体パターンで設けられている。
図22に示されるように、第2のTFT102のドレイン電極15は、開口部13を通して半導体層10と接するように形成される。ソース電極8とドレイン電極15は、半導体層10および保護絶縁層12を挟んでそれぞれ別層に設けられているとともに半導体層10と重なる領域内で互いに一定の間隔を有するように形成されており、ソース電極8と開口部13内のドレイン電極15との離間領域が、第2のTFT102のチャネル領域CL2(第2のチャネル領域)として規定される。
一般的に酸化物半導体膜は薬液耐性に乏しく、半導体層10の材料であるInGaZnO膜は、第2の導電膜のウエットエッチングに用いられるPAN薬液にも容易に溶けてしまう。しかしながら、第1のTFT101では、半導体層9は全面がゲート絶縁層11で覆われて保護されている。また第2のTFT102では、開口部13を除く半導体層10の全面が保護絶縁層12で覆われているので、特にチャネル領域CL2上ではチャネル保護層(エッチングストッパ;ES層)として機能する。従って、プロセスダメージのない信頼性の高いTFTを得ることができる。
図21に示されるように、平面視で、第2のTFT102のドレイン電極15は、半導体層10と重ならない領域で、ゲート電極3および第1のTFT101のドレイン電極2のパターンと重なって、これらよりもY方向の幅が広くなるように形成されている。ドレイン電極15とゲート電極3が重なる領域によって保持容量CsAが形成される。
次に、基板1の主面上の全体に保護絶縁層18(第3の保護絶縁層)となる第3の絶縁膜を形成する。実施の形態2では、第3の絶縁膜として、樹脂系の塗布膜を用いる。具体的には感光性を有する透明アクリル樹脂膜を、スピンコート法を用いて塗布形成した。このような透明アクリル樹脂膜を形成することにより、下層の電極パターンの段差および絶縁膜の開口部パターンの段差等に起因する基板表面の凹凸形状をほぼ平坦にすることができる。
実施の形態2では、透明アクリル樹脂膜の膜厚が最も薄くなる部分で厚さが1.5μmになるように塗布形成した。また、第3の絶縁膜として透明アクリル樹脂膜を塗布形成する前に、例えばCVD法でSiO膜またはSiN膜を形成するようにしてもよい。なお、樹脂系の塗布膜は、アクリル系以外にも、SOG(Spin-On Glass)系、エポキシ系、ポリイミド系、あるいはポリオレフィン系の樹脂膜を用いることができる。
その後、7回目の写真製版工程で透明アクリル系樹脂を露光し、現像することによって、図23および図24に示すように、保持容量CsAが形成された領域の保護絶縁層18に、第2のTFT102のドレイン電極15表面の一部が露出されるように開口部19(第4の開口部)が形成される。下層にSiO膜またはSiN膜が形成されている場合には、開口部19が形成された保護絶縁層18(透明アクリル系樹脂)をマスクにして、SFガスまたはCFガスを用いたドライエッチング法を用いてSiO膜またはSiN膜をエッチングすることにより、ドレイン電極15の表面の一部を露出させて開口部19を形成する。
次に、開口部19を含む保護絶縁層18上に、第4の導電膜を形成する。実施の形態2では、第4の導電膜として、透明性を有するITO膜(酸化インジウムInと酸化すずSnOとを含む酸化物導電膜)を用いる。具体的には、InとSnOとの混合比が90:10(重量%)のITO膜をスパッタリング法で形成する。ITO膜は一般的に、常温中では結晶質(多結晶)構造が安定であるが、ここではArガスに水素(H)を含むガス、例えば、水素(H)ガスまたは水蒸気(HO)などを混合したガスを用いてスパッタリングを行い、厚さ100nmのITO膜を非晶質状態(アモルファスITO膜)で形成した。
その後、8回目の写真製版工程でアモルファスITO膜上にフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとしてアモルファスITO膜をエッチングする。このエッチング工程では、シュウ酸薬液によるウエットエッチングを用いることができる。その後、フォトレジストパターンを除去することで、図25および図26に示すように、透明性を有するITO膜で構成されるアノード(陽)電極20が形成される。アノード電極20は、保持容量CsAにおいて、保護絶縁層18の開口部19を通して下層のドレイン電極15に接続されるとともに、発光素子領域PXまで延在するように形成されている。
図25に示されるように、平面視で、発光素子領域PXは、走査配線14L、データ配線7Lおよび駆動電流配線16によって囲まれた領域で規定されている。アノード電極20は、ドレイン電極15と重なる領域に設けられた開口部19と重なる領域から、発光素子領域PXまで延在するように形成される。実施の形態2では、アノード電極20はデータ配線7Lまたは駆動電流配線16と重ならないように形成したが、一部が重なるような態様で形成してもよい。実施の形態2において第4の導電膜として形成したアモルファスITO膜は、結晶粒界がないために膜表面の平坦性を極めて高くすることができる。これにより、アノード電極20から面内均一性の高い電流信号をEL素子23(図9、図10)に供給することができるので、EL素子23の面内全体からムラの少ない均一な発光をさせることができる。
次に、基板1の主面上の全体に、バンク層21となる第4の絶縁膜を形成する。実施の形態2では、第4の絶縁膜として、樹脂系の塗布膜を用いる。具体的には感光性を有する透明アクリル樹脂膜を、スピンコート法を用いて厚さが1.5μmとなるように塗布形成した。なお、アクリル系以外にも、SOG系、エポキシ系、ポリイミド系、あるいはポリオレフィン系の樹脂膜を用いることができる。特にポリイミド系樹脂膜は吸着水分が少ないため、この後の工程で形成されるEL素子の特性および信頼性に影響を及ぼすことがないために好ましい。
その後、9回目の写真製版工程で透明アクリル系樹脂を露光し、現像することによって、図27および図28に示すように、発光素子領域PXにアノード電極20の表面が露出されるバンク開口部22を有するバンク層21が形成される。バンク開口部22は、アノード電極20上の発光素子配設領域、すなわち、この後の工程でEL素子23が形成される領域のみに形成され、互いに隣り合うバンク開口部22同士は、バンク層21によって互いに隔離された態様となる。
次に、最終工程で、バンク開口部22の領域内に、アノード電極20と接するようにEL素子23を形成することで、図9および図10に示した構成を得る。実施の形態2では、EL素子23のEL層として有機系の有機EL材料を用いる。具体的にはインクジェットによる印刷法を用いてホール輸送層、有機EL層、電子輸送層をこの順に積層してEL層を形成した。インクジェットによる印刷法によれば、バンク開口部22の凹領域内のみにEL層を選択的に形成することができるので、写真製版工程を用いることなくEL素子23を形成することができる。
ホール輸送層としては公知のトリアリールアミン類、芳香族ヒドラゾン類、芳香族置換ピラゾリン類、スチルベン類等の有機系材料から幅広く選択することができ、例えばN,N'-ジフェニル-N,N-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ジフェニル-4,4'-ジアミン等のトリフェニルアミン系(TPD)等を用いて1nm~200nmの任意の厚さで形成する。
有機EL層としては公知のジシアノメチレンピラン誘導体(赤色(R)発光)、クマリン系(緑(G)色発光)、キナクリドン系(緑(G)色発光)、テトラフェニルブタジエン系(青(B)色発光)、ジスチリルベンゼン系(青(B)色発光)等の材料が1nm~200nmの任意の厚さで形成される。電子輸送層としては公知のオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、クマリン誘導体等から選ばれる材料を用いて0.1nm~200nmの任意の厚さで形成する。
EL層は、印刷法の他にも蒸着法を用いて形成することができる。蒸着法の場合は、基板1の表面に、例えばバンク開口部22と同じ開口パターンを有する金属マスクを付けたマスク蒸着法を用いることによって、写真製版工程を用いることなくEL素子23を形成することができる。
R色発光層(R)、G色発光層(G)およびB色発光層(B)は、例えば、基板1のY方向に沿って配列された発光素子領域PXの列ごとにR-G-B-R-G-B・・・と繰り返し配設することができるが、他にもX方向に沿って配列された行ごとに互いに繰り返して配設することもできる。またこれらに限らず、自由な配列の組み合わせで配設することもできる。またR、G、Bに限らず黄(Y)色や白(W)色等も加えて配設するようにしてもよい。以上説明した工程を経て、実施の形態2に係るTFT基板110が完成される。
実施の形態2に係るTFT基板110は、第1のTFT101と第2のTFT102とが、互いにゲート電極とソース電極およびドレイン電極との位置(上下層)関係は異なるものの、両者の半導体層が同一の半導体膜で構成され、かつそれぞれの電極や絶縁層を含めた各層の導電膜や絶縁膜が共通化できるように構成されている。従って、動作安定性および信頼性に優れるトップゲート構造でチャネル保護型の第1のTFT101と、ボトムゲート構造でチャネル保護型の第2のTFT102という、互いに異なる構造の2種類のTFTを有するTFT基板110を、生産性よく低コストで製造することができる。
(2-3)実施の形態2の応用例
TFT基板110は、例えば自発光型表示装置などの自発光装置に用いることができる。図29に示すように、完成されたTFT基板110上には、アノード電極20の対向電極となるカソード(陰)電極40が形成される。カソード電極40は、例えば光を反射するAlや銀(Ag)等の金属膜で構成されている。さらに必要に応じてEL素子23を含むTFT基板110を水分および不純物から遮断するための封止層41が形成され、さらにTFT基板110と対向するように対向基板42が貼り合わされ、有機EL素子を備えた自発光装置300が完成する。このような実施の形態2に係るTFT基板110を備える自発光装置300は、EL素子の発光光ELLを、TFT基板110を通して下方(対向基板42とは反対側)に発光させて表示を行うボトムエミッション型の自発光装置である。
実施の形態2に係るTFT基板110において、第1のTFT101は、走査配線14Lおよびデータ配線7Lと電気的に接続されており、走査信号とデータ信号に応じて発光させるEL素子23を選択するための選択TFTとして機能する。また、第2のTFT102は、第1のTFT101のドレイン電極2、駆動電流配線16およびEL素子23と電気的に接続されており、EL素子23の素子駆動TFTとして機能する。第1のTFT101のドレイン電極2から出力された選択信号が保持容量CsAに書き込まれると、書き込まれた電圧によって第2のTFT102が動作して、駆動電流配線16からの発光信号電流が、駆動電流として第2のTFT102からアノード電極20を通してEL素子23に供給され、EL素子23が発光する。
第1のTFT101の半導体層9のチャネル領域CL1は保護絶縁層4で保護され、第2のTFT102の半導体層10のチャネル領域CL2は保護絶縁層12で保護されているので、いずれもプロセスダメージのない信頼性の高いTFTを得ることができる。したがって、選択されたEL素子23に確実に安定的に信号電流を供給することができるので、高品質の発光表示をすることができる。
また、実施の形態2に係るTFT基板110によれば、第1のTFT101のドレイン電極2と第2のTFT102のゲート電極3とを同じ第1の導電膜の連続パターンで一体形成しているので、例えば、両者を別体で形成し、コンタクトホールを介して電気的に接続した従来の構成に比べると、第1のTFT101から第2のTFT102への信号の伝達不良による表示欠陥の発生率を低く抑えることができる。従って、製品の歩留まりを向上させることができる。
そして、連続パターンで一体形成されたゲート電極3およびドレイン電極2を保持容量CsAの容量電極として用いることができるため、例えば米国特許第9721973号公報のFig.7に開示されているような、電荷蓄積部にコンタクトホールが形成されている構成と比べると、はるかに面積効率よく保持容量CsAを形成することができる。これにより、第1のTFT101、第2のTFT102および保持容量CsAを含む発光素子駆動用回路の形成領域を小さくすることができ、発光素子領域PXの開口率を向上させることができる。これにより、基板1を通してEL素子23の発光光を下方に放射させて表示を行うボトムエミッション型の自発光装置の場合でも、明るく高品質の発光をすることができる。
また、第1のTFT101と第2のTFT102は、それぞれのソース電極とドレイン電極とが互いに別層に分けて設けられている。これにより、ソース電極とドレイン電極との離間距離を容易に狭小化することができる。これにより半導体層のチャネル長を短くすることができるので、それぞれのTFTのサイズを小型化することができる。TFTのサイズを小型化することで、発光素子領域PXの開口率を上げることができる。あるいは、TFTを含む発光素子領域の面積を小さくして、基板1上の一定面積当たりにより多くの発光素子を配設(発光素子の高精細化を)することができる。
さらに、実施の形態2に係るTFT基板110によれば、互いに隣接するようにY方向に平行して配設される駆動電流配線16とデータ配線7Lとは、それぞれ第1の絶縁膜を挟んで別層に設けられている。これにより、駆動電流配線16とデータ配線7Lとが互いに接触して短絡不良を起こす可能性が極めて低くなり、平面視で、両者の配線をぎりぎりまで接近させて狭ピッチで配設することができるようになる(両者の一辺が重なっていてもよい)。従って、配線領域の面積を小さくすることができ、基板1上の一定面積当たりにさらに多くの発光素子を配設(発光素子の高密度化を)することができる。
実施の形態2に係るTFT基板110を備える自発光装置300は、図29のようなボトムエミッション型に限らず、EL素子23の発光光ELLをTFT基板110の上方(対向基板42側)に発光させるトップエミッション型の自発光装置とすることも可能である。その場合は、上記の8回目の写真製版工程において、アノード電極20の材料となる第4の導電膜を、透明性を有するITO膜ではなく、高い反射率を有するAl系またはAg系の金属膜で形成する。金属膜上にITO膜を形成してもよい。そして、カソード電極40を、透明性を有するITO膜等で形成する。これにより、EL素子23からの発光光ELLをアノード電極20で反射させて上方に発光させることができ、トップエミッション型の自発光装置を得ることができる。このようなトップエミッション型の自発光装置においても上記のボトムエミッション型と同じ効果を奏することが可能である。
以上のようなボトムエミッション型やトップエミッション型の自発光装置300は、例えばスマートフォン、タブレット、パソコンおよびTV等の中小型や大型の表示パネルに用いることができる。このとき、例えばタッチ操作、ペンやスタイラスによる操作、あるいはノブ型やスライド型の入力操作等による入出力システムを備えた対向基板42を貼り合わせることにより、表示画面からの入出力が可能な自発光型の表示パネルを得ることができる。また自発光装置300を複数個並べて配置(タイリング)することで、例えば100インチ以上のより大面積の大型ビジョンを実現することも可能である。
さらに、実施の形態2に係るTFT基板110を備える自発光装置300は、ボトムエミッション型やトップエミッション型に限らず、EL素子23の発光光ELLをTFT基板110の両面から発光させる両面発光型の自発光装置とすることも可能である。その場合は、TFT基板110のアノード電極20およびカソード電極40を、透明性を有するITO膜等で形成する。これにより、EL素子23からの発光光ELLをアノード電極20およびカソード電極40を透過させて両面から発光させることができる。
両面発光型の自発光装置は、例えば様々な色やパターンを発光させる発光板あるいは照明板として用いることができ、これらを備えた発光装置あるいは照明装置に応用することができる。また、このような自発光装置300を複数個並べて配置することで、より大面積の大型表示装置、大型発光装置あるいは大型照明装置を実現することも可能である。
以上のような自発光装置300によれば、各発光素子領域PX上の個々の発光素子の動作を制御できるTFT基板110を備えているので、様々な発色やパターンの発光が可能な自発光装置を低コストで実現することができる。
(2-4)実施の形態2の変形例
実施の形態2に係るTFT基板110では、発光素子領域PXを、走査配線14L、データ配線7Lおよび駆動電流配線16によって囲まれた領域において、第1のTFT101および第2のTFT102の形成領域を除いたほぼ全面としたが、図30に示されるように、アノード電極20およびEL素子23を含む発光素子領域PXの面積を縮小して形成してもよい。この場合、発光素子が形成されない領域は、光が透過する光透過領域TXとして機能する。
このようなTFT基板110を用いると、ボトムエミッション型またはトップエミッション型の半透明の自発光装置を得ることができ、例えば透明ディスプレイ用の表示パネルとして用いることができる。また両面発光型の場合は、様々な色やパターンを発光させる光透過性の発光ガラスあるいは照明ガラスとして用いることができ、色ガラス、あるいはステンドグラスのような宝飾ガラス等の用途に利用することができる。さらに、基板1を折り曲げ可能な樹脂基板とすることで、変形自在の光透過性の発光装置を得ることが可能になる。
<実施の形態3>
実施の形態2では、TFT基板上に配設されるアノード電極上に、直接的に有機EL層を作り込んだ構造の、EL素子駆動用のTFT基板の例を示したが、実施の形態3では、LED素子(LEDチップ)を実装して発光を行う方式のLED素子駆動用のTFT基板の構成例を示す。
(3-1)装置構成
以下、図31~図33を用いて、実施の形態3に係るTFT基板120の構成について説明する。なお、実施の形態1および実施の形態2と同じ構成要素には同一符号を付け、重複する説明は省略する。
図31は、実施の形態3に係るTFT基板120のLED素子駆動回路LEDC1の構成を示す図である。図32は、TFT基板120に設けられた、第1のTFT101、第2のTFT102、保持容量CsAおよび発光素子領域PXを含む素子領域の平面構成を示す部分平面図であり、図33は、素子領域の断面構成を示す部分断面図である。
図32におけるX1-X2線は、第1のTFT101、第2のTFT102、保持容量CsAおよびLED素子実装部を含む発光素子領域PXに渡り、Y1-Y2線は、第2のTFT102のソース電極8から駆動電流配線16、および第2のTFT102のドレイン電極15から陽電極32に渡るように設けられている。図33においては、X1-X2線に沿った断面を右側に、Y1-Y2線に沿った断面を左側に示している。
実施の形態3では、TFT基板120の個々の発光素子領域PXにLED素子を実装して発光を行う発光装置を構成する。従って、実施の形態3の発光素子駆動回路であるLED素子駆動回路LEDC1は、実施の形態2のEL素子駆動回路ELC1(図7、図8)とは異なり、図31のように、TFT基板120上に陽電極32と陰電極33とが設けられ、LED素子200(発光ダイオード素子)が、陽電極32および陰電極33に接続されて配設される構成となる。
また、図31および図32に示されるように、TFT基板120は、基板上に複数の走査配線14Lと、複数のデータ配線7Lとが互いに直交するように交差して配設され、走査配線14Lとデータ配線7Lとの交差部には第1のTFT101が設けられている。第1のTFT101のゲート電極14Eは走査配線14Lと電気的に接続され、第1のTFT101のソース電極7Eはデータ配線7Lと電気的に接続されている。第1のTFT101は、走査配線14Lとデータ配線7Lの信号に対応して発光素子を選択するための選択TFTとして機能する。
さらに、複数の駆動電流配線16が、複数のデータ配線7Lと隣接して平行に配設され、走査配線14Lと駆動電流配線16との交差部には第2のTFT102が設けられている。第2のTFT102のゲート電極3は第1のTFT101のドレイン電極2と電気的に接続されている。第2のTFT102のソース電極8は、駆動電流配線16と電気的に接続され、ドレイン電極15はLED素子200を駆動させるための陽電極32と電気的に接続される。また、複数の陰電極配線25(第4の配線)が、複数の走査配線14Lと隣接して平行に配設され、陰電極配線25と電気的に接続された陰電極33がLED素子200に接続されている。
さらに第2のTFT102には、ゲート電極3とドレイン電極15との間に接続された保持容量CsAが設けられている。第1のTFT101のドレイン電極2から出力された選択信号が保持容量CsAに書き込まれると、書き込まれた電圧によって第2のTFT102が動作して、駆動電流配線16からの信号電流が、陽電極32と陰電極33との電位差によってLED素子200に供給され、LED素子200が発光する。
図33に示すように、基板1上の第1のTFT101には、第1の導電膜で構成されるドレイン電極2が設けられ、これらを覆うように第1の絶縁膜で構成される保護絶縁層4が設けられている。保護絶縁層4には、ドレイン電極2の表面の一部を露出させる開口部6が設けられている。また、第2のTFT102には、第1の導電膜で構成されるゲート電極3および駆動電流配線16が設けられ、これらを覆うように第1の絶縁膜で構成されるゲート絶縁層5が設けられている。ゲート絶縁層5には、駆動電流配線16の表面の一部を露出させる開口部17が設けられている。
図32に示されるように、平面視で、第1のTFT101のドレイン電極2と第2のTFT102のゲート電極3は、連続した一体パターンとして設けられている。駆動電流配線16は縦方向(Y方向)に延在するように配設されている。
図33に示すように、第1のTFT101の保護絶縁層4上に、第2の導電膜で構成されるソース電極7Eが設けられている。また、第2のTFT102のゲート絶縁層5上に、第2の導電膜で構成されるソース電極8が設けられている。ソース電極8は、開口部17を通して下層の駆動電流配線16に接している。
図32に示されるように、平面視で、データ配線7Lが駆動電流配線16と隣接するように縦方向に平行して延在するように配設されている。第1のTFT101のソース電極7Eは、データ配線7Lの一部分である。すなわち、データ配線7Lは、駆動電流配線16とは異なる第2の導電膜で構成され、第1の絶縁膜を挟んで駆動電流配線16とは別層に配設されている。そして、データ配線7Lにおいて第1のTFT101に隣接する近傍部分がソース電極7Eとなっている。また、第2のTFT102のソース電極8は、ゲート電極3と駆動電流配線16と重なるように配設され、開口部17を通して下層の駆動電流配線16に接している。
図33に示すように、第1のTFT101の保護絶縁層4上に、半導体膜で構成される半導体層9が設けられている。半導体層9は、下層のソース電極7Eの上面および側面の一部と接するとともに、開口部6を通して下層のドレイン電極2と接している。半導体層9の下層のソース電極7Eおよびドレイン電極2は、半導体層9と重なる領域内で互いに一定の間隔を有して設けられており、ソース電極7Eと開口部6内のドレイン電極2との離間領域が、第1のTFT101のチャネル領域CL1として規定される。また、第2のTFT102のゲート絶縁層5上に、半導体膜で構成される半導体層10が設けられている。半導体層10は、下層のソース電極8の上面および側面の一部と接している。
図32に示されるように、平面視で、第1のTFT101の半導体層9は、互いに一定の間隔を有して設けられたソース電極7Eとドレイン電極2とに跨るように島状のパターンで配設され、開口部6を通してドレイン電極2と接している。また、第2のTFT102の半導体層10は、ゲート電極3に重なる領域に島状のパターンで配設されている。
図33に示すように、第1のTFT101の保護絶縁層4、ソース電極7Eおよび半導体層9を覆うように、第2の絶縁膜で構成されるゲート絶縁層11が設けられている。また、第2のTFT102のゲート絶縁層5、ソース電極8および半導体層10を覆うように、第2の絶縁膜で構成される保護絶縁層12が設けられている。保護絶縁層12には、下層の半導体層10の表面の一部が露出するように、開口部13が設けられている。
そして、第1のTFT101の半導体層9と重なる領域のゲート絶縁層11上には、第3の導電膜で構成されるゲート電極14Eが設けられている。また、第2のTFT102の保護絶縁層12上には、開口部13を通して半導体層10と接するように、第3の導電膜で構成されるドレイン電極15が設けられている。半導体層10の下層のソース電極8および上層のドレイン電極15は、半導体層10と重なる領域内で互いに一定の間隔を有して設けられており、ソース電極8と開口部13内のドレイン電極15との離間領域が、第2のTFT102のチャネル領域CL2として規定される。さらに、発光素子領域PXの保護絶縁層12上には、第3の導電膜からなる陰電極配線25が設けられている。
図32に示されるように、平面視で、第1のTFT101のゲート電極14Eは、ソース電極7Eとドレイン電極2とが互いに対向するように分離された領域において、半導体層9と重なるように配設されている。また、ゲート電極14Eから延在する走査配線14Lが、データ配線7Lおよび駆動電流配線16と直交するように横方向(X方向)に延在して設けられている。すなわち、走査配線14Lは、第3の導電膜で構成され、ゲート電極14Eと連続した一体パターンで設けられている。
また、陰電極配線25は、走査配線14Lと同じ第3の導電膜で構成され、第1のTFT101および第2のTFT102とは反対側の発光素子領域PXの端部領域に、走査配線14Lと隣接するように横方向(X方向)に延在するように配設されている。
第2のTFT102のドレイン電極15は、半導体層10と重なる領域からはみ出した領域で、ゲート電極3および第1のTFT101のドレイン電極2の一体パターンで構成される容量電極と広く重なるような形状で配設されている。そしてこのドレイン電極15とゲート電極3(またはドレイン電極2)とが重なる領域によって保持容量CsAが形成されている。
図33に示すように、第1のTFT101のゲート電極14Eと走査配線14L、および第2のTFT102のドレイン電極15等を覆うように、基板1全面に第3の絶縁膜で構成される保護絶縁層18が設けられている。保護絶縁層18には、第2のTFT102のドレイン電極15の表面の一部を露出させるように開口部30(第6の開口部)が設けられるとともに、陰電極配線25の表面の一部を露出させるように開口部31(第7の開口部)が設けられている。
そして、保護絶縁層18上に、開口部30を通して第2のTFT102のドレイン電極15と接続されるように、第5の導電膜で構成される陽電極32が配設される。また、発光素子領域PXの保護絶縁層18上に、開口部31を通して陰電極配線25と接続されるように、第5の導電膜で構成される陰電極33が配設されている。
さらに、陽電極32上および陰電極33上を含む保護絶縁層18上に、第4の絶縁膜で構成される保護絶縁層34が設けられている。発光素子領域PXの保護絶縁層34には、下層の陽電極32の表面が露出されるように陽電極開口部35、および下層の陰電極33の表面が露出されるように陰電極開口部36が設けられている。なお、保護絶縁層34は必ずしも設ける必要はなく、省略することも可能である。
図32に示されるように、平面視で、発光素子領域PXは走査配線14L、データ配線7L、陰電極配線25および駆動電流配線16によって囲まれた領域で規定されている。陽電極32は、平面視で、ドレイン電極15と重なる領域に設けられた開口部30と重なる領域から、発光素子領域PXの下部領域の領域にかけて延在するように設けられている。また、陰電極33は、平面視で、陰電極配線25と重なる領域に設けられた開口部31と重なる領域から、発光素子領域PXの上部領域にかけて延在するように設けられている。陽電極32と陰電極33とは、発光素子領域PXにおいて、互いに分離して平面視で対向した態様で配設される。そして、陽電極開口部35および陰電極開口部36は、それぞれ下層の陽電極32および陰電極33の表面が露出されるように、平面視で互いに対向した態様で配設されている。
実施の形態3に係るTFT基板120は、以上のように構成され、TFT基板120上には、例えばマトリックス状に配置された各発光素子領域PXの陽電極32および陰電極33に対応するように、LED素子(不図示)の陽電極端子および陰電極端子がそれぞれ接続されて複数個実装される。そして、例えば各LED素子を発光させて発光表示を行う自発光装置(LED発光デバイス)用のTFT基板として好適に用いることができる。
(3-2)製造方法
図32および図33に示される実施の形態3に係るTFT基板120の製造方法について説明する。実施の形態3に係るTFT基板120の平面視におけるパターン構成は実施の形態2と異なるが、断面における層構成は、基本的に実施の形態2と同じ構成である。したがって、実施の形態3に係るTFT基板120は、上記実施の形態2と同じように9回の写真製版工程を用いて製造することができる。
1回目の写真製版工程では、洗浄された基板1上に形成された第1の導電膜であるCr膜で、第1のTFT101のドレイン電極2、第2のTFT102のゲート電極3および駆動電流配線16が形成される。
次に、基板1の主面上の全体にSiO膜からなる第1の絶縁膜が形成される。そして2回目の写真製版工程で、第1のTFT101のドレイン電極2の表面の一部を露出させる開口部6と、第2のTFT102において駆動電流配線16の表面の一部を露出させる開口部17が、それぞれ形成される。
第1の絶縁膜は、第1のTFT101においては後の工程で形成される第1の半導体層形成時に、第1の半導体層をドレイン電極2から受けるダメージから保護する保護絶縁層4として機能し、第2のTFT102においてはゲート絶縁層5として機能する。
次に、第1の絶縁膜上に第2の導電膜であるMo膜が形成され、3回目の写真製版工程で、第1のTFT101のソース電極7E、第2のTFT102のソース電極8およびデータ配線7Lが同時に形成される。ソース電極8は開口部17を通して下層の駆動電流配線16に接するように形成される。
次に、第1の絶縁膜上、ソース電極7E上、ソース電極8上およびデータ配線7L上に半導体膜であるInGaZnO膜が形成され、4回目の写真製版工程で第1のTFT101の半導体層9および第2のTFT102の半導体層10が同時に形成される。
第1のTFT101の半導体層9は、下層のソース電極7Eの上面および側面の一部と接するとともに、開口部6を通して下層のドレイン電極2と接するように形成される。半導体層9の下層のソース電極7Eおよびドレイン電極2は、半導体層9と重なる領域内で互いに一定の間隔を有して形成されており、ソース電極7Eと開口部6内のドレイン電極2との離間領域が、第1のTFT101のチャネル領域CL1として規定される。また第2のTFT102の半導体層10は、下層のソース電極8の上面および側面の一部と接するように形成される。
次に、基板1の主面上の全体にSiO膜からなる第2の絶縁膜が形成され、5回目の写真製版工程で、第2のTFT102の半導体層10の表面の一部を露出させる開口部13が形成される。
第2の絶縁膜は、第1のTFT101においてはゲート絶縁層11として機能する。また第2のTFT102においては、後の工程で形成されるドレイン電極15から半導体層10が受ける加工プロセスダメージを防止する保護絶縁層12(チャネル保護層)として機能する。
次に、第2の絶縁膜上に第3の導電膜であるMo膜が形成され、6回目の写真製版工程で、第1のTFT101のゲート電極14Eおよび走査配線14L、第2のTFT102のドレイン電極15、さらに陰電極配線25がそれぞれ同時に形成される。
第1のTFT101のゲート電極14Eは、ソース電極7Eとドレイン電極2とが互いに対向するように分離された領域において、半導体層9と重なるように形成される。また、走査配線14Lは、ゲート電極14Eから延在するように、データ配線7Lおよび駆動電流配線16と直交するように横方向(X方向)に延在して形成される。すなわち、走査配線14Lは、ゲート電極14Eと連続した一体パターンで形成されている。
第2のTFT102のドレイン電極15は、開口部13を通して半導体層10と接するとともに、半導体層10と重なる領域内で下層のソース電極8と互いに一定の間隔を有して設けられており、ソース電極8と開口部13内のドレイン電極15との離間領域が、第2のTFT102のチャネル領域CL2として規定される。
陰電極配線25は、第1のTFT101および第2のTFT102とは反対側の発光素子領域PXの端部領域に、走査配線14Lと隣接するように横方向(X方向)に延在するように形成されている。
また、第2のTFT102のドレイン電極15は、半導体層10と重なる領域からはみ出した領域で、ゲート電極3および第1のTFT101のドレイン電極2の一体パターンで構成される容量電極と広く重なるような形状で形成されている。そしてこのドレイン電極15とゲート電極3(またはドレイン電極2)とが重なる領域によって保持容量CsAが形成される。
次に、基板1の主面上の全体に、保護絶縁層18として感光性を有する透明アクリル樹脂膜からなる第3の絶縁膜が形成される。そして7回目の写真製版工程で、第2のTFT102のドレイン電極15の表面の一部を露出させる開口部30と、陰電極配線25の表面の一部を露出させる開口部31が、それぞれ同時に形成される。
次に、開口部30および開口部31を含む保護絶縁層18上に、第5の導電膜である透明性を有するITO膜が形成され、8回目の写真製版工程で、陽電極32および陰電極33が同時に形成される。
平面視で、陽電極32は、ドレイン電極15と重なる領域に設けられた開口部30と重なる領域から発光素子領域PXの下方領域にかけて延在するように形成されている。また、陰電極33は、陰電極配線25と重なる領域に設けられた開口部31と重なる領域から発光素子領域PXの上方領域にかけて延在するように形成されている。陽電極32と陰電極33は、発光素子領域PXにおいて、互いに分離して平面視で対向した態様で形成される。
次に、基板1の主面上の全体に、保護絶縁層34として感光性を有する透明アクリル樹脂膜からなる第4の絶縁膜が形成される。そして、9回目の写真製版工程で、発光素子領域PXにおいて、陽電極32の表面の一部を露出させる陽電極開口部35と、陰電極33の表面の一部を露出させる陰電極開口部36が、それぞれ同時に形成される。平面視で、陽電極開口部35および陰電極開口部36は、互いに対向するように形成されている。
以上により、9回の写真製版工程で、図32および図33に示される実施の形態3に係るTFT基板120が完成する。なお、実施の形態3では、第4の絶縁膜の形成を省略することも可能である。この場合は、8回の写真製版工程で実施の形態3に係るTFT基板120を完成させることができる。
さらに、図34に示すように、完成されたTFT基板120上には、発光素子領域PXの陽電極32および陰電極33に対応して、LED素子200の陽電極端子201および陰電極端子202がそれぞれ接続されるように実装される。なお、LED素子200は、別の製造工程で完成されたLED素子のチップをTFT基板120上にそのまま実装するようにしてもよいし、TFT基板120上に、引き続き写真製版工程を続けてLED層の構造を形成するようにしてもよい。前者の場合は、LED素子とTFT基板を分けて製造することができるので、実装コストがかかることや実装工程における不良発生による歩留まり低下の問題があるが、設計自由度が高く、それぞれに適正化された工程で製造することができるという利点がある。後者の場合は、LED素子部と素子駆動用TFT部の製造工程を両立させる必要があるため、例えば、プロセス温度や使用材料および薬液等で制約を受ける問題があるが、実装にともなうコストや不良発生を抑えることができる利点がある。
そして、図35に示すように、LED素子200が実装されたTFT基板120上には、必要に応じて対向基板45が貼り合わせられ、LED素子を用いた発光システムを備えた自発光型表示装置などの自発光装置310が完成する。図35では、LED素子200の発光光LEDLをTFT基板120の上方(対向基板45側)に発光させるトップエミッション型の自発光装置を示しているが、LED素子200の発光光LEDLを、TFT基板110を通して下方(対向基板45とは反対側)に発光させるボトムエミッション型の自発光装置であってもよい。
LED素子をTFT基板に実装して動作させる実施の形態3に係るTFT基板120の場合は、実施の形態2に係るTFT基板110と異なり、TFT基板の各発光素子領域上に陽電極(アノード電極)と陰電極(カソード電極とを)配設する必要がある。実施の形態3に係るTFT基板120によれば、陰電極33を、第5の導電膜を用いて陽電極32と同時に形成することができる。さらに、陰電極33に信号電流を供給する陰電極配線25を、第3の導電膜を用いて、第1のTFT101のゲート電極14Eや第2のTFT102のドレイン電極15等と同時に形成することができる。従って、LED素子を備えた発光システム用のTFT基板120を、工程を増やすことなく、低コストで製造できる。
また、実施の形態3に係るTFT基板120は、第1のTFT101、第2のTFT102および走査配線14L、データ配線7L、駆動電流配線16が、実施の形態2に係るTFT基板110と同じ構成となっているので、TFTの小型化や発光素子領域の面積の縮小化による発光素子の高精細化等で、実施の形態2と同じ効果を得ることができる。
以上のような自発光装置310によれば、各発光素子領域PX上の個々のLED素子の動作を制御できるTFT基板120を備えているので、様々な発色やパターンの発光が可能な自発光装置を、薄型軽量および低コストで実現することができる。
なお、実施の形態3に係るTFT基板120では、保護絶縁層34となる第4の絶縁膜を、感光性を有する透明アクリル樹脂膜で形成したが、有色の感光性樹脂膜、例えばカラーレジスト膜で形成するようにしてもよい。特に黒色のブラックレジスト膜を形成するようにすれば、LED素子消灯時の黒色の均一性を向上させることができ、LED発光時の発光コントラストを高めて高品質の発光特性を有する自発光装置を得ることが可能できる。
(3-3)実施の形態3の応用例
TFT基板120とLED素子200とを含む発光システムを備えた自発光装置310は、例えばスマートフォン、タブレット、パソコンおよびTV等の表示パネル、すなわちLEDディスプレイに用いることができる。また自発光型表示装置としての自発光装置310を複数個並べて配置(タイリング)することで、例えば100インチ以上のより大面積の大型ビジョンを実現することも可能である。
LED素子は、一般的に発光効率が高く低消費電力で動作させることができること、素子寿命が長く、温度や湿度などの環境要因に対する信頼性も高いことから、高輝度で安定的な発光が可能である。従って、高輝度で高い信頼性が要求される車載用の表示装置や、様々な色を発光することができる照明システム、さらには屋内外の広告用表示装置(LEDビジョン、デジタルサイネージ)等にも用いることができる。また、実施の形態2の変形例のように、TFT基板120の発光素子領域PX上のLED素子領域を縮小化して光透過領域TXを設けることによって、透過機能を持たせることもできる。
また、例えばタッチ操作、ペンやスタイラスによる操作、あるいはノブ型やスライド型の入力操作等による入出力システムを備えた対向基板45を貼り合わせることにより、表示画面からの入出力が可能な自発光装置を得ることができ、タッチ方式の操作システムを備えた様々な電子デバイスや半導体装置にも応用することができる。さらに、紫外線LED素子(UV-LED素子)を備え、UV-LED素子を発光させるように制御することで、殺菌機能を備える自発光装置を得ることも容易に可能である。
<実施の形態4>
実施の形態4は、実施の形態3に対し、保持容量CsAの構成を変えたものである。以下、図36、図37および図38を用いて、実施の形態4に係るTFT基板130の構成について説明する。なお、実施の形態3のTFT基板120と同じ構成要素には同一符号を付け、重複する説明は省略する。
図36は、実施の形態4に係るTFT基板130のLED素子駆動回路LEDC2の構成を示す図である。図36は、TFT基板130に設けられた第1のTFT101、第2のTFT102、保持容量CsBおよび発光素子領域PXを含む発光素子駆動回路の平面構成を示す部分平面図である。
図31に示したように、実施の形態3のTFT基板120では、保持容量CsAが第2のTFT102のゲート電極3とドレイン電極15との間に接続された構成であった。これに対して、実施の形態4のTFT基板130では、図36に示すように、保持容量CsBが第2のTFT102のゲート電極3とソース電極8との間に接続された構成となっている。この場合も、第1のTFT101のドレイン電極2から出力された選択信号が保持容量CsBに書き込まれると、書き込まれた電圧によって第2のTFT102が動作して、駆動電流配線16からの信号電流が、陽電極32と陰電極33との電位差によってLED素子200に供給され、LED素子200が発光する。
図37は、実施の形態4に係るTFT基板130に設けられた第1のTFT101、第2のTFT102、保持容量CsBおよび発光素子領域PXを含む素子領域の平面構成を示す部分平面図であり、図38は、素子領域の断面構成を示す部分断面図である。図37におけるX1-X2線は、第1のTFT101、第2のTFT102、保持容量CsBおよびLED素子実装部を含む発光素子領域PXに渡り、Y1-Y2線は、第2のTFT102のソース電極39から駆動電流配線16、および第2のTFT102のドレイン電極37から陽電極32に渡るように設けられている。図38においては、X1-X2線に沿った断面を右側に、Y1-Y2線に沿った断面を左側に示している。
保持容量CsBは、実施の形態3の構成に対して、第1のTFT101のドレイン電極2およびそれと連続した一体パターンで形成された第2のTFT102のゲート電極3のパターン形状を変更し、さらに第2のTFT102のドレイン電極37およびソース電極39のパターン形状を変えることで形成できる。よって、保持容量CsBは、実施の形態3の構成から層構成を増やすことなく形成することができる。
また、図38に示されるように、実施の形態4の第2のTFT102のドレイン電極37とソース電極39との上下関係は、図33に示した実施の形態3の第2のTFT102のドレイン電極15とソース電極8との上下関係とは逆になっている。すなわち、実施の形態4において、第2のTFT102のドレイン電極37は、第2の導電膜からなりゲート絶縁層5上に設けられており、第2のTFT102のソース電極39は、第3の導電膜からなり保護絶縁層12上に設けられている。
第2のTFT102の半導体層10は、ゲート絶縁層5上に、ドレイン電極37の表面および側面の一部と接するように設けられ、ソース電極39は、保護絶縁層12の開口部38を通して半導体層10の表面に接続されている。そして、陽電極32が、保護絶縁層12および保護絶縁層18に設けられた開口部30を通してドレイン電極37の表面に接続される。
そして、図37に示されるように、平面視で、ソース電極39が半導体層10と重なる領域からはみ出した領域で、ゲート電極3とドレイン電極2との一体パターンで構成される容量電極と重なるように延在して配設されている。これにより、ソース電極39とゲート電極3とが重なる領域によって保持容量CsBが形成される。図38に示されるように、容量電極とソース電極39との間には、ゲート絶縁層5を構成する第1の絶縁膜と保護絶縁層12を構成する第2の絶縁膜とが積層されて設けられている。なお、実施の形態2の保持容量CsAも、本実施の形態の保持容量CsBに置き換えてもよいことは言うまでもない。
以上説明した実施の形態4のTFT基板130は、実施の形態3のTFT基板120と同様の効果を得ることができ、LED発光システムを備えたLEDディスプレイ、照明システム等、様々な電子デバイスおよび半導体装置に応用することが可能である。
<実施の形態5>
実施の形態5では、実施の形態3で示した保持容量CsAと、実施の形態4で示した保持容量CsBとの両方を備えるTFT基板を示す。以下、図39、図40および図41を用いて、実施の形態5に係るTFT基板140の構成について説明する。なお、実施の形態3および4のTFT基板120と同じ構成要素には同一符号を付け、重複する説明は省略する。
図39は、実施の形態5に係るTFT基板140のLED素子駆動回路LEDC3の構成を示す図である。図40は、TFT基板130に設けられた第1のTFT101、第2のTFT102、保持容量CsBおよび発光素子領域PXを含む発光素子駆動回路の平面構成を示す部分平面図である。
図39に示すように、実施の形態5のTFT基板140では、第2のTFT102に対し、ゲート電極3とドレイン電極37との間に接続された保持容量CsAと、ゲート電極3とソース電極39との間に接続された保持容量CsBとの両方が設けられる。この場合は、第1のTFT101のドレイン電極2から出力された選択信号が保持容量CsAおよびCsBに書き込まれると、書き込まれた電圧によって第2のTFT102が動作して、駆動電流配線16からの信号電流が、陽電極32と陰電極33との電位差によってLED素子200に供給され、LED素子200が発光する。
図40は、実施の形態5に係るTFT基板140に設けられた第1のTFT101、第2のTFT102、保持容量CsA,CsBおよび発光素子領域PXを含む素子領域の平面構成を示す部分平面図であり、図41は、素子領域の断面構成を示す部分断面図である。図40におけるX1-X2線は、第1のTFT101、第2のTFT102、保持容量CsA,CsBおよびLED素子実装部を含む発光素子領域PXに渡り、Y1-Y2線は、第2のTFT102のソース電極39から駆動電流配線16、およびドレイン電極37から陽電極32に渡るように設けられている。図41においては、X1-X2線に沿った断面を右側に、Y1-Y2線に沿った断面を左側に示している。
保持容量CsAおよびCsBは、実施の形態4の構成に対して、第1のTFT101のドレイン電極2およびそれと連続した一体パターンで配設される第2のTFT102のゲート電極3で構成される容量電極のパターン形状を変更し、さらに第2のTFT102のドレイン電極37およびソース電極39のパターン形状を変えることで形成できる。よって、実施の形態5の保持容量CsAおよびCsBは、実施の形態4の構成から層構成を増やすことなく形成することができる。
すなわち、図40に示されるように、平面視で、ドレイン電極37が半導体層10と重なる領域からはみ出した領域で、ゲート電極3とドレイン電極2との一体パターンで構成される容量電極と重なるように延在して配設される。これにより、ドレイン電極37と容量電極が重なる領域によって保持容量CsA(第1の保持容量)が形成される。図41に示されるように、容量電極とドレイン電極37との間には、ゲート絶縁層5が設けられている。
さらに、図40に示されるように、平面視で、ソース電極39が半導体層10と重なる領域からはみ出した領域で、ゲート電極3とドレイン電極2との一体パターンで構成される容量電極と重なるように延在して配設されている。これにより、ソース電極39と容量電極が重なる領域によって保持容量CsB(第2の保持容量)が形成される。図41に示されるように、容量電極とソース電極39との間には、ゲート絶縁層5を構成する第1の絶縁膜と保護絶縁層12を構成する第2の絶縁膜とが設けられている。
なお、実施の形態2の第2のTFT102に対しても、実施の形態5に示した保持容量CsAおよびCsBの両方を設けてもよいことは言うまでもない。
以上説明した実施の形態5のTFT基板140でも、実施の形態3のTFT基板120と同様の効果を得ることができ、LED発光システムを備えたLEDディスプレイ、照明システム等、様々な電子デバイスおよび半導体装置に応用することが可能である。
<他の応用例>
以上の実施の形態では、第1のTFT101および第2のTFT102を、発光素子駆動用TFTに適用した例を示したが、第1のTFT101および第2のTFT102の適用は、これらに限られるものではない。
上では説明を省略したが、図7には、走査信号駆動回路170が備える複数の信号発生回路GSCのうちの1つの構成例を示している。例えば、この信号発生回路GSCに第1のTFT101および第2のTFT102を適用してもよい。
図7に示す信号発生回路GSCは、クロック信号CLKの入力端子と走査信号の出力ノードN1との間に接続された駆動トランジスタ103と、出力ノードN1と接地電位VSSとの間に接続された駆動トランジスタ104と、駆動トランジスタ103のゲート電極と電源電位VDDとの間に接続された駆動トランジスタ105と、出力ノードN1と駆動トランジスタ103のゲート電極との間に接続された保持容量C1とを備えている。出力ノードN1は、走査信号駆動回路170の出力端子に相当し、ここから対応する走査配線14Lに走査信号が供給される。
駆動トランジスタ105のゲート電極には、走査信号を活性化させるための第1の駆動信号が入力され、駆動トランジスタ104のゲート電極には、走査信号を非活性化するための第2の駆動信号が入力される。第1の駆動信号によって駆動トランジスタ105がオンになると、駆動トランジスタ103がオンになるため、クロック信号CLKが出力ノードN1から走査信号として出力される。また、第2の駆動信号によって駆動トランジスタ104がオンになると、出力ノードN1の電位は接地電位VSSに固定される。
駆動トランジスタ105のドレイン電極は駆動トランジスタ103のゲート電極と接続しており、その接続関係は、実施の形態2~5に示した第1のTFT101と第2のTFT102との接続関係と同じである。よって、実施の形態2~5に示した第1のTFT101と第2のTFT102は、信号発生回路GSCの駆動トランジスタ105および駆動トランジスタ103に適用することができ、信号発生回路GSCにおいても実施の形態2~5と同様の効果が得られる。
さらに、本開示は、発光素子駆動用のTFT基板に限らず、他にも例えば同様のトランジスタの構成を有するシフトレジスタ回路を備えた半導体装置にも適用することも可能である。
また、以上説明した実施の形態1~5およびその変形例においては、半導体層9および半導体層10を構成する半導体膜として、In、GaおよびZnを含むInGaZnO系の酸化物半導体を適用した構成を説明したが、これに限らず、例えば、In、Ga、Znを適宜組み合わせた酸化物半導体であるIn-O、Ga-O、Zn-O、In-Zn-O、In-Ga-OおよびGa-Zn-Oなどの金属酸化物を用いることができる。また、これらの金属酸化物以外にも、例えばハフニウム(Hf)、すず(Sn)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)等の酸化物を適宜組み合わせた酸化物半導体を適用することも可能である。
また、酸化物半導体に限らず、13族のAl、Ga、Inから選ばれる元素と15族の窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)から選ばれる元素とを組み合わせた、いわゆるIII-V族の化合物半導体、例えば、Ga-As、Ga-P、In-P、In-Sb、In-As、Al-N、Ga-N、Al-Ga-Nあるいはこれらに他の元素を添加した半導体材料を用いてもよい。
さらに、14族の半導体元素である炭素(C)を用いたカーボンナノチューブおよびグラフェン、およびこれらにSiおよびGe元素を組み合わせた半導体材料を用いることも可能である。
以上のような半導体材料を半導体層9および半導体層10に用いた場合でも、実施の形態1~5およびその変形例で説明した本開示の効果を得ることが可能である。特に酸化物半導体、化合物半導体または炭素系半導体のようにプロセスダメージの影響を大きく受けると考えられる材料の場合には大きな効果を得ることができる。
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
上記した説明は、すべての態様において、例示であって、例示されていない無数の変形例が想定され得るものと解される。
1 基板、2 ドレイン電極、3 ゲート電極、4 保護絶縁層、5 ゲート絶縁層、6 開口部、7E ソース電極、7L データ配線、7T データ配線端子、8 ソース電極、9 半導体層、10 半導体層、11 ゲート絶縁層、12 保護絶縁層、13 開口部、14E ゲート電極、14T 走査配線端子、14L 走査配線、15 ドレイン電極、16 駆動電流配線、16T 駆動電流配線端子、17 開口部、18 保護絶縁層、19 開口部、20 アノード電極、21 バンク層、22 バンク開口部、23 EL素子、25 陰電極配線、26 カソード電極、30,31 開口部、32 陽電極、33 陰電極、34 保護絶縁層、35 陽電極開口部、36 陰電極開口部、37 ドレイン電極、38 開口部、39 ソース電極、40 カソード電極、41 封止層、42 対向基板、45 対向基板、100,110,120,130,140 TFT基板、300,310 自発光装置、101 第1のTFT、102 第2のTFT、103,104,105 駆動トランジスタ、150 素子配設領域、160 額縁領域、170 走査信号駆動回路、180 表示信号駆動回路、200 LED素子、201 陽電極端子、202 陰電極端子、PX 発光素子領域、TX 光透過領域、ELC1 EL素子駆動回路、LEDC1 LED素子駆動回路、LEDC2 LED素子駆動回路、LEDC3 LED素子駆動回路、ELL EL素子の発光光、LEDL LED素子の発光光、CsA 保持容量、CsB 保持容量、C1 保持容量、GSC 信号発生回路、CLK クロック信号、VSS 接地電位、VDD 電源電位。

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた、トップゲート型の第1の薄膜トランジスタおよびボトムゲート型の第2の薄膜トランジスタと、
    を備え、
    前記第1の薄膜トランジスタは、
    前記基板上に設けられた第1のドレイン電極と、
    前記第1のドレイン電極上に設けられた第1の保護絶縁層と、
    前記第1の保護絶縁層上に設けられた第1のソース電極と、
    前記第1の保護絶縁層上に設けられ、前記第1の保護絶縁層を貫通する第1の開口部を通して前記第1のドレイン電極に接するとともに、前記第1のソース電極の上面に接する第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層上に設けられた第1のゲート絶縁層と、
    前記第1のゲート絶縁層上に設けられた第1のゲート電極と、
    前記第1の半導体層における前記第1の開口部と前記第1のソース電極との離間領域に対応する部分である第1のチャネル領域と、
    を有し、
    前記第2の薄膜トランジスタは、
    前記基板上に設けられた第2のゲート電極と、
    前記第2のゲート電極上に設けられた第2のゲート絶縁層と、
    前記第2のゲート絶縁層上に設けられた第2のソース電極と、
    前記第2のゲート絶縁層上に設けられ、前記第2のソース電極の上面に接する第2の半導体層と、
    前記第2のソース電極上および前記第2の半導体層上に設けられた第2の保護絶縁層と、
    前記第2の保護絶縁層上に設けられ、前記第2の保護絶縁層を貫通する第2の開口部を通して前記第2の半導体層に接する第2のドレイン電極と、
    前記第2の半導体層における前記第2の開口部と前記第2のソース電極との離間領域に対応する部分である第2のチャネル領域と、
    を有し、
    前記第1のドレイン電極および前記第2のゲート電極は、同じ第1の導電膜で構成され、
    前記第1の保護絶縁層および前記第2のゲート絶縁層は、同じ第1の絶縁膜で構成され、
    前記第1のソース電極および前記第2のソース電極は、同じ第2の導電膜で構成され、
    前記第1の半導体層および前記第2の半導体層は、同じ半導体膜で構成され、
    前記第1のゲート絶縁層および前記第2の保護絶縁層は、同じ第2の絶縁膜で構成され、
    前記第1のゲート電極および第2のドレイン電極は、同じ第3の導電膜で構成される、
    薄膜トランジスタ基板。
  2. 基板と、
    前記基板上に設けられた、トップゲート型の第1の薄膜トランジスタおよびボトムゲート型の第2の薄膜トランジスタと、
    を備え、
    前記第1の薄膜トランジスタは、
    前記基板上に設けられた第1のドレイン電極と、
    前記第1のドレイン電極上に設けられた第1の保護絶縁層と、
    前記第1の保護絶縁層上に設けられた第1のソース電極と、
    前記第1の保護絶縁層上に設けられ、前記第1の保護絶縁層を貫通する第1の開口部を通して前記第1のドレイン電極に接するとともに、前記第1のソース電極の上面に接する第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層上に設けられた第1のゲート絶縁層と、
    前記第1のゲート絶縁層上に設けられた第1のゲート電極と、
    前記第1の半導体層における前記第1の開口部と前記第1のソース電極との離間領域に対応する部分である第1のチャネル領域と、
    を有し、
    前記第2の薄膜トランジスタは、
    前記基板上に設けられた第2のゲート電極と、
    前記第2のゲート電極上に設けられた第2のゲート絶縁層と、
    前記第2のゲート絶縁層上に設けられた第2のドレイン電極と、
    前記第2のゲート絶縁層上に設けられ、前記第2のドレイン電極の上面に接する第2の半導体層と、
    前記第2のドレイン電極上および前記第2の半導体層上に設けられた第2の保護絶縁層と、
    前記第2の保護絶縁層上に設けられ、前記第2の保護絶縁層を貫通する第2の開口部を通して前記第2の半導体層に接する第2のソース電極と、
    前記第2の半導体層における前記第2の開口部と前記第2のドレイン電極との離間領域に対応する部分である第2のチャネル領域と、
    を有し、
    前記第1のドレイン電極および前記第2のゲート電極は、同じ第1の導電膜で構成され、
    前記第1の保護絶縁層および前記第2のゲート絶縁層は、同じ第1の絶縁膜で構成され、
    前記第1のソース電極および前記第2のドレイン電極は、同じ第2の導電膜で構成され、
    前記第1の半導体層および前記第2の半導体層は、同じ半導体膜で構成され、
    前記第1のゲート絶縁層および前記第2の保護絶縁層は、同じ第2の絶縁膜で構成され、
    前記第1のゲート電極および第2のソース電極は、同じ第3の導電膜で構成される、
    薄膜トランジスタ基板。
  3. 前記半導体膜は、金属酸化物を含む酸化物半導体膜で構成される、
    請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタ基板。
  4. 前記第1の薄膜トランジスタおよび前記第2の薄膜トランジスタと、前記第1の薄膜トランジスタおよび前記第2の薄膜トランジスタにより駆動される発光素子が配置される発光素子領域とを含む素子領域が、前記基板上に複数配置されており、
    前記第2の導電膜で構成され、対応する前記素子領域の前記第1のソース電極と一体パターンで構成された第1の配線と、
    前記第1の導電膜で構成され、前記第1の配線と平行に延在し、対応する前記素子領域の前記第2のソース電極に電気的に接続された第2の配線と、
    前記第3の導電膜で構成され、前記第1の配線および前記第2の配線と交差して延在し、対応する前記素子領域の前記第1のゲート電極と一体パターンで構成された第3の配線と、
    を備える、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタ基板。
  5. 前記第1のドレイン電極と前記第2のゲート電極とは、連続した一体パターンで構成されて容量電極として機能し、
    前記第2のドレイン電極は、前記容量電極と平面視で重なる領域を有し、前記容量電極と前記第2のドレイン電極との間で保持容量が構成される、
    請求項4に記載の薄膜トランジスタ基板。
  6. 前記第1のドレイン電極と前記第2のゲート電極とは、連続した一体パターンで構成されて容量電極として機能し、
    前記第2のソース電極は、前記容量電極と平面視で重なる領域を有し、前記容量電極と前記第2のソース電極との間で保持容量が構成される、
    請求項4または請求項5に記載の薄膜トランジスタ基板。
  7. 前記第3の導電膜で構成され、前記第3の配線と平行に延在し、対応する前記素子領域の前記発光素子に接続される第4の配線をさらに備える、
    請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタ基板。
  8. 前記第1の配線、前記第2の配線および前記第3の配線で囲まれる領域内に、前記発光素子領域が設けられている、
    請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタ基板。
  9. 前記第1の配線、前記第2の配線および前記第3の配線で囲まれる領域内に、前記発光素子領域と光透過領域とが設けられる、
    請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタ基板。
  10. 請求項4から請求項9のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタ基板を備えた自発光装置。
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