JP2022059211A - セルロース系繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents

セルロース系繊維構造物およびその製造方法 Download PDF

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Naoki Asai
達哉 金森
Tatsuya Kanamori
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Abstract

【課題】綿の有する吸水性を維持させつつ、優れた防汚性を有するセルロース系繊維構造物の提供。【解決手段】繊維成分としてセルロース系繊維のみを有するセルロース系繊維構造物であって、前記セルロース系繊維構造物が、親水性樹脂とアミノ樹脂とを含有し、かつ、下記式(1)で表される吸湿率差ΔMRが3.5%以上であるセルロース系繊維構造物。ΔMR(%)=MR2-MR1・・(1)[MR1;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)MR2;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)]【選択図】なし

Description

本発明はセルロース系繊維構造物およびその製造方法に関する。
セルロース系繊維は、吸水性、吸湿性に優れており、風合いも良好であることから、肌着等の用途で使用されることが多いが、一方で、皮脂成分やタンパク質も繊維内に浸透しやすく、洗濯でそれらを除去しきれない(SR性が低い)という問題がある。それらの問題を解決するために今までに様々な開発がなされてきた。
フッ素加工剤で繊維表面を被膜し、汚れを付きにくくするSG性を高めた加工も広く知られている。例えば、特許文献1でフッ素含有オリゴマーと架橋剤を含侵することで防汚性と撥油性を発現することを提案している。また、特許文献2では、セルロース系繊維を含む織物のカバーファクターを所定値以下にすることで防汚性を発現させることを提案している。また、特許文献3では、単繊維表面に、トリアジン環含有重合性単量体を重合成分として含有してなる樹脂皮膜を有し、かつ、該皮膜中に、親水性ポリエステル系樹脂を含有させることを提案している。
特開2003-96673号公報 特開2009-228199号公報 特開2008-163474号公報
特許文献1では、SG(ソイルガード)性は向上するが、一旦汚れが付くと、洗濯での汚れの除去が困難であり、また、十分な吸水性が得られないため、着用時に吸汗せず不快に感じる可能性がある。
特許文献2では、カバーファクターを所定値以下にすることで防汚性を発現させることを提案しているが、カバーファクターが限定されることで展開できる用途が限定される可能性があった。
特許文献3では、ポリエステル繊維に対して皮膜を形成することで防汚性を向上できる一方で綿等のセルロース系繊維では十分な防汚性を発現できない。
よって、セルロース系繊維構造物の持つ吸水性を保持しつつ、防汚性を満足し、セルロース系繊維構造物に汎用的に使用できる技術は今までになかった。
上記課題を解決すべく、本発明は下記の構成を採用する。
(1)繊維成分としてセルロース系繊維のみを有するセルロース系繊維構造物であって、
前記セルロース系繊維構造物が、親水性樹脂とアミノ樹脂とを含有し、
かつ、下記式(1)で表される吸湿率差ΔMRが3.5%以上であるセルロース系繊維構造物。
ΔMR(%)=MR-MR (1)
MR;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
MR;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
(2)前記アミノ樹脂がセルロース系繊維に対して1質量%以上10質量%以下付着している(1)に記載のセルロース系繊維構造物。
(3)前記親水性樹脂がポリエーテル成分を有するポリエステル樹脂であり、
前記ポリエーテル成分のサイズ排除クロマトグラフィーから得られるポリエチレングリコール換算重量平均分子量が、1500~6000g/molの範囲であり、
かつ、前記ポリエーテル成分の分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比)が1.00~1.35以内の範囲である、(1)または(2)に記載のセルロース系繊維構造物。
(4)前記アミノ樹脂が、メラミン系樹脂である、(1)~(3)のいずれかに記載のセルロース系繊維構造物。
(5)親水性樹脂とアミノ樹脂を、浴中処理またはパッド・ドライ法でセルロース系繊維のみからなる繊維構造物に担持させる工程を含むことを特徴とする(1)~(4)のいずれか記載のセルロース系繊維構造物の製造方法。
(6)前記親水性樹脂が、ポリエーテル成分を有し、ポリエーテル成分のサイズ排除クロマトグラフィーから得られるポリエチレングリコール換算重量平均分子量が、1500~6000g/molの範囲であり、
かつ、前記ポリエーテル成分の分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比)が1.00~1.35以内の範囲である(5)記載の製造方法。
本発明により、綿の有する吸水性を保持しつつ、優れた防汚性を有するセルロース系繊維構造物が得られるようになった。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、セルロース系繊維構造物は、JIS-L-1907(2010年度版)の吸水性(滴下法)を測定したときに5秒未満であることが好ましい。より好ましくは3秒未満であり、さらに1秒未満であることが特に好ましい。5秒以上であると水分が肌と接触している時間が長くなり、肌離れ性が悪く、べとつきが発生するため、不快となる。
本発明で用いるアミノ樹脂としては、分子中に第1~4級のアミノ基を含む樹脂であり、かつ、熱や光等により架橋反応や硬化反応が生じ、硬化する樹脂のことを指し、例えば、メラミン系樹脂、尿素樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられるが、中でも洗濯耐久性等の観点から、メラミン系樹脂やイソシアネート系樹脂等の、セルロース系繊維の有する水酸基と反応性を有する樹脂が好ましい。アミノ樹脂は、セルロース系繊維内部で反応することで、繊維内部への汚染成分の繊維内部への浸透を抑制できる。中でもメラミン系樹脂が、浸透性制御の観点から最も好ましい。また、浸透性を制御することでSR性を向上できる一方で、添加量が多すぎると風合い硬化の原因にもなるため、セルロース系繊維構造物内中のセルロース系繊維に対する添加量を制御することが好ましい。SR性の観点から、セルロース系繊維構造物内中のセルロース系繊維に対して1~10質量%の範囲で添加することが好ましい。さらに好ましくは1~5質量%の範囲である。
本発明における親水性樹脂としては、特に制限はないが、ポリエーテル成分を有する樹脂が好ましい。具体的にはポリエステルとポリアルキレングリコール等のポリエーテル成分からなる共重合ポリエステル樹脂、ポリエーテル変性シリコーン樹脂、ポリカルボン酸、ポリエーテル系樹脂等が好ましい例として挙げられる。なかでも共重合ポリエステル樹脂がセルロース系繊維に固着し、良好な洗濯耐久性が得られるため、好適である。親水性樹脂は、単繊維表面および/または単繊維間隙に存在することで吸水性、SR性を向上できる一方で、添加量が多すぎると堅牢度の悪化等が生じるため、セルロース系繊維構造物に対する添加量が重要となる。好ましくはセルロース系繊維構造物に対して0.01~0.7質量%の範囲で添加することが好ましい。さらに好ましくは0.01~0.5質量%の範囲である。
さらに良好なSR性を得るためには、用いられる親水性樹脂が有するポリエーテル成分のポリエチレングリコール換算重量平均分子量を制御することが好適である。ポリエチレングリコール換算重量平均分子量は、1500~6000g/molの比較的高分子量のポリエーテル成分を用いることが好ましい。より好ましくは2000~4000g/molである。
さらに、用いられる親水性樹脂が有するポリエーテル成分の分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量(Mw)のポリエチレングリコール換算数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn))は、速乾性の観点から、1.00~1.35程度が好ましく、なかでも1.00~1.25といった比較的分子量の揃ったポリエーテルを用いることが好ましい。さらに好ましくは1.00~1.20である。ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量の比(Mw/Mn)から求められる。さらに、分子量分布のばらつきを小さくすることで、SR性も向上することができる。
本発明においては、特に上記のような重量平均分子量、分子量分布を有するポリエーテル成分を有するポリエステル樹脂を用いることが最も効果が高い点で好ましい。
上記セルロース系繊維構造物は、親水性樹脂とアミノ樹脂を、浴中処理またはパッド・ドライ法で、セルロース系繊維構造物を構成するセルロース系繊維の表面に担持させる工程を行うことにより製造することができる。
上記アミノ樹脂、親水性樹脂をセルロース系繊維構造物に担持させる工程の具体的な方法としては、浴中処理、パッド法等でアミノ樹脂、親水性樹脂を含む加工剤で後加工する方法のほかに、繊維それ自体を構成する素材としてのアミノ樹脂、親水性樹脂を共重合させたベースポリマーの使用や繊維への練り込みといった原糸改質等が考えられるが、原糸改質の場合、糸強度等の物性が大きく変化したり、汚れが繊維内部に浸透しやすくなる可能性があるため、物性を損なわない浴中処理、パッド・ドライ法等の後加工での処理が好ましい。浴中処理とパッド・ドライ法は、例えば親水性樹脂の担持を浴中処理で行い、アミノ樹脂の担持をパッド・ドライ法で行うなど、両者を組み合わせて行うことも可能である。
中でも、アミノ樹脂および親水性樹脂の担持を一工程で処理可能で、さらにセルロース系繊維に対して繊維内に浸透させた状態で加工でき、かつ乾熱処理で行うことで樹脂が被膜化しにくく、繊維内部で硬化しやすいパッド・ドライ法での付与が最も好ましく、湿熱処理を行うようなパッド・スチーム法のように繊維表面に被膜化しやすい加工方法では、吸湿性やSR性を損なう可能性があるため、不適である。
ここでいう浴中処理とは、染色と同様に生地を加工剤が投入された浴に浸漬させた状態で加熱処理することで繊維構造物に加工剤を付着させる方法で、親水性樹脂を繊維表面に付着させるのに好適な加工方法である。
パッド・ドライ法とは加工剤が投入された浴に生地を浸漬させ、マングルローラー等で一定量の加工剤が付着するように圧搾した後、乾燥機内で生地を乾燥しつつ、メラミン樹脂のような硬化性樹脂を硬化させる方法である。水分が乾燥しながら樹脂の硬化が進むため、繊維内部に取り込まれた樹脂についてはそのまま繊維内部で硬化しやすい方法である。
パッド・スチーム法とは加工剤が投入された浴に生地を浸漬させ、マングルローラー等で一定量の加工剤が付着するように圧搾した後、100℃の飽和水蒸気下で湿熱によりメラミン樹脂のような硬化性樹脂を硬化させる方法であり、水分が繊維表面に保持された状態で硬化が進むため、繊維表面に加工剤が被膜化しやすい方法である。
また、メラミン樹脂のように反応時にホルマリンが発生する樹脂を使用する場合、樹脂加工後に洗いの工程を行ったり、ホルマリンキャッチャー剤を併用してもよい。また、その他要求される性能に応じて、形態安定剤や抗菌剤、スリップ防止剤、帯電防止剤、フィックス剤、柔軟剤等を併用してもよい。
本発明におけるセルロース系繊維としては、セルロース構造が繊維を構成するポリマーであり、例えば、綿、麻等の天然セルロース系繊維やビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ポリノジック、リヨセル等の再生セルロース系繊維からなる繊維が挙げられる。
上記セルロース系繊維は紡績糸として繊維構造物に供することが好ましい。紡績糸の形態としては、結束紡績糸、リング紡績糸、サイロコンパクト紡績糸等特に制限はないが、なかでも風合いの点から結束紡績糸であることが好ましい。
本発明に用いるセルロース系繊維構造物の形態としては、特に限定されるものでなく、織物、編物および不織布などの布帛状物の形態のものを好ましく使用することができ、組織としては、平、ツイル、サテンおよびオックス等の織物や、カノコ、インターループ、ハーフ、デンビー、ポンチ、天竺、フライスおよび天竺などの編物でもよい。また、セルロース系繊維構造物を構成する繊維の形態としては短繊維、長繊維、長/短複合のいずれであってもよく、これらに限定されるものではない。
かくして得られるセルロース系繊維構造物は、吸湿性に優れ、以下に示す吸湿率差ΔMR(%)で3.5%以上を達成することが可能である。好ましい態様においては3.7%以上を達成することも可能である。上記範囲を満たすことで、衣服内の水蒸気の吸収性に優れ、着用快適性に優れる。
<吸湿率差;ΔMR(%)>
ΔMR(%)=MR-MR (1)
MR;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
MR;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
また本発明のセルロース系繊維構造物は、防汚性に優れる。具体的にはJIS-L1919「繊維製品の防汚性試験方法」(2006年度版)のC法に準じた油性汚れに対するSR性能として、3-4級以上を達成することが可能であり、さらに好ましい態様においては4級以上を達成することも可能である。上記範囲を満たすことにより、着用快適性に優れるだけでなく、汚れが蓄積しにくいため、繰り返し着用を行っても衣服を清潔に保つことが可能となる。
かくして得られる本発明のセルロース系繊維構造物は,綿の有する高い吸水性を維持しつつ、優れた防汚性を有するので、スポーツシャツやインナー用途に好適に用いることができる。
<評価方法>
(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量測定方法)
以下の条件でポリエチレングリコール換算重量平均分子量を測定した。
装置:ゲル浸透クロマトグラフ GPC(島津製作所製 LC-20AD)
検出器:示差屈折率検出器 RI (Waters 製RI-8020 型,感度32x)
カラム :TSKgel G3000PWXL(東ソー製)
溶媒 :0.1M塩化ナトリウム水溶液
流速 :0.8 mL/min
カラム温度 :23℃
注入量:0.1 mL
標準試料:ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド
データ処理:島津製作所製 Prominence GPCシステム
試料の調製方法を以下に示す。
1.セルロース系繊維構造物5gとアンモニア水30mL試験管に加え、密栓する。
2.120℃で5時間加熱し、放冷する。
3.開栓し、精製水30mLを加えた後、6M塩酸をテレフタル酸由来の沈殿物とセルロース系繊維由来の沈殿物が生じるまで加え、遠心分離する。
4.上澄み液を採取し、塩酸濃度が0.1Mになるよう調製する。
5.0.45μmフィルターでろ過し、分子量測定に用いた。
(NMR測定)
上記ポリエチレングリコール換算重量平均分子量の測定で試料の調整方法1~3と同じ操作を行い、得られる上澄み液5mLを乾固させたのち、50%重水素化クロロホルム/重水素化ヘキサフルオロ2-プロパノール1mLに溶解させたものをNMRチューブに入れ、以下の測定方法でH-NMR測定を行った。
NMRのスペクトルチャートで内部基準テトラメチルシラン由来のピークを0ppmとしたとき、3.7~3.8ppmに強いピークが検出されることにより、ポリエチレングリコール成分が存在することが分かる。
H-NMR測定方法)
[条件]
装置名 :ECA400 (日本電子製)
測定核 :1H
観測周波数 :399.78 MHz
溶媒 :重水素化クロロホルム+重水素化ヘキサフルオロ2-プロパノール(1/1 v/v)
内部標準 :テトラメチルシラン(TMS)
[詳細]
測定法:Single pulse
スペクトル幅: 8000 Hz
パルス幅:6.45 μs(45°パルス)
パルス待ち時間:15.0 s
データポイント:32768
(洗濯方法)
JIS L0217(1995年度版)103法)を用いた。具体的には、JIS C9606(2007年度版)に規定される遠心式脱水装置付きの家庭用電気洗濯機(Panasonic製NA-F50B9)を用い、標準水量を示す水位線まで液温40℃の水を入れ、これに標準使用量となる割合で洗濯用合成洗剤(花王製アタック高活性バイオEX)を20g添加して溶解し、洗濯液とした。この洗濯液に浴比が、1:30になるように試料、負荷布を投入して運転を開始した。
5分間処理した後、運転を止め、試料及び負荷布を脱水機で脱水し、次に洗濯液を30℃以下の新しい水に代えて、同一の浴比で2分間すすぎ洗いを行った。2分間のすすぎ洗いを行った後、運転を止め、試料と負荷布を脱水し、再び2分間すすぎ洗いを行い、脱水し、直接日光の影響を受けない状態で、つり干しをした。
(JIS-L1919 C2法での油汚れに対するSR性)
JIS-L1919「繊維製品の防汚性試験方法」(2006年度版)のC法に準じた油性汚れに対するSR性能を評価した。JIS-L1919「繊維製品の防汚性試験方法」(2006年度版)のC法に規定されている親油性汚染物質-2の成分を使用した汚染物質(オイルレッド分率0.1%)を作製し、以下の手順で試験を実施した。
方形ろ紙の上にPETフィルムを置き、その上に8cm×8cmにカットした布帛をのせた。10cmの高さから油性汚れを0.1mL滴下し、30秒放置した。円形ろ紙を乗せてろ紙の自重で汚れを吸い取った。さらに、ろ紙の位置をずらしてろ紙が汚れていない部分で再度汚れを吸い取った。ろ紙が汚れを吸い取らなくなるまでこの操作を繰り返した。ろ紙が汚染部分に触れない場合はろ紙の両端を持ち、なるべく加重をかけないようにろ紙と汚れを接触させて吸い取った。その後、汚染した布帛を縫い合わせて、約40cm×約40cmのサイズにし、汚染剤滴下後一時間以内に洗濯を行った。汚染した布帛が足りない場合は、捨て布を縫い合わせた。JIS L0805(2005年度版)汚染色用グレースケールを用いてD65光源下でSR性級判定を行った。1級から5級まであり、数値が大きいほど、SR性が高いことを示す。着用快適性の観点から、SR性として高い方が好ましい。
(セルロース系繊維に対するアミノ樹脂の付着量)
セルロース系繊維構造物中のセルロース系繊維10gを採取し、水洗、繊維表面の不純物を除去した後、乾燥する。その後、乾燥させたセルロース系繊維を精秤し、70質量%硫酸10mlにセルロース系ポリマーを溶解し、アミノ樹脂を沈殿させる。その後、遠心分離を行い、沈殿物のみを分取し、水洗し、乾固する。
得られた沈殿物の重量を測定し、セルロース系繊維に対するアミノ樹脂の付着量を算出する。
(吸湿性 ΔMR)
以下に示す吸湿率差 ΔMR(%)を測定し、吸湿性を評価した。吸湿性は、衣服内の水蒸気を吸収することで、ムレを除去するため、高いほうが好ましい。ここでいう吸湿性とは、綿が空気中の水蒸気の吸収しやすさの指標のことであって、液体の水の吸収しやすさの指標である吸水性とは別の性能である。
吸湿率(%)は、JIS L1096(2010年度版)(織物及び編物の生地試験方法)8.10の水分率に準じて算出した。始めに、3cm角にカットした試料を60℃で30分熱風乾燥した後、温度20℃、湿度65%RHに調湿された恒温恒湿機内に24時間静置し、試料の重量(W1)を測定後、温度30℃、湿度90%RHに調湿された恒温恒湿機内に試料を24時間静置し、試料の重量(W2)を測定した。その後、試料を105℃で2時間熱風乾燥し 、絶乾後の試料の重量(W3)を測定した。試料の重量W1、W3を用いて下記式(2)により絶乾状態から温度20℃、湿度65%RH雰囲気下に24時間静置したときの 吸湿率MR(%)を算出し、試料の重量W2、W3を用いて下記式(3)により絶乾状態から温度30℃、湿度90%RH雰囲気下に24時間静置したときの吸湿率MR(%)を算出した後、下記式(1)によって吸湿率差(△MR)を算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を吸湿率差(△MR)とした。
<吸湿率差;ΔMR(%)>
ΔMR(%)=MR-MR (1)
MR1(%)={(W1-W3)/W3}×100 ・・・(2)
MR2(%)={(W2-W3)/W3}×100 ・・・(3)
MR;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
MR;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
(ホルマリン残留量)
アセチルアセトン法(厚生省例34号)に準拠し、試験を行った。
(吸水性)
JIS L1907(2010年度版)吸水速度法(滴下法)に従って吸水性を評価した。
(着用評価)
実施例および比較例に記載の繊維構造物を用いて作製したTシャツ(編布)、Yシャツを着用し、繰り返し着用時の不快臭の有無により着用快適性を評価する。評価としてはA、B、C、Dの4段階でAが最も着用快適性に優れることを意味し、Dが最も着用快適性に劣る、不快であることを意味する。
A:繰り返し着用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかった。
B.繰り返し着用を行うと、皮脂成分由来の不快臭が少しだけ発生した。
C:着用時に蒸れ感を感じ、不快であった、あるいは繰り返し着用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が発生した。
D:繰り返し着用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が発生した。
[実施例1]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);20g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);2g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、30番手綿繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、130℃で2分間加熱処理してセルロース系繊維構造物を得た。実施例1で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。SR性が良好であるため、繰り返し着用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったため、着用評価はAであった。
[実施例2]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);15g/Lと、“キャタリスト”ACX(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);1.5g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、50番手綿繊維の結束紡績糸(MVS)を経糸および緯糸に用いて織布した、目付170g/cmの平織物を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、130℃で1分間加熱処理して繊維構造物を得た。実施例2で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。また、SR性が良好であるため、繰り返し着用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったため、着用評価はAであった。
[実施例3]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);40g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);4g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、50番手綿繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した、目付300g/cmの天竺編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。実施例3で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。SR性が良好であるため、繰り返し着用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったため、着用評価はAであった。
[実施例4]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);20g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);2g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/L、リケンレジンキャッチャー剤C76(三木理研(株)製、ホルマリンキャッチャー剤);20g/Lとを含む加工液に、30番手綿繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%に絞ったのち130℃で2分間加熱処理した後、60℃の湯浴に浴比1:30になるように10分間浸漬させた後、脱水し、再度130℃で2分間加熱処理を行い、繊維構造物を得た。ホルマリン残留量は、45ppmであった。実施例4で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。SR性が良好であるため、繰り返し着用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったため、着用評価はAであった。
[実施例5]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);20g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);2g/L、TO-SR-1(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、30番手綿繊維の結束紡績糸の(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。実施例5で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、繰り返し着用を行うと、皮脂成分由来の不快臭が少しだけ発生したため、着用評価はBであった。
[比較例1]
実施例1に記載のセルロース系繊維の使用率が100%で、30番手綿繊維の結束紡績糸の(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布に加工を行わず、繊維構造物を得た。比較例1で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、SR性が低いため、繰り返し着用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が発生したため、着用評価はDであった。
[比較例2]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);20g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);2g/Lを含む加工液に、30番手綿繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。比較例2で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、SR性が低いため、繰り返し着用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が発生したため、着用評価はCであった。
[比較例3]
溶媒を水とし、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lを含む加工液に、30番手綿繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。比較例3で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、SR性が低いため、繰り返し着用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が発生したため、着用評価はCであった。
[比較例4]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);20g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);2g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、30番手綿繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%に絞ったのち、100℃で10分間スチーム処理し、1分間流水で水洗した後、130℃2分間加熱処理して繊維構造物を得た。比較例4で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、吸湿性が低いため、着用時に蒸れ感を感じ、不快であったため、着用評価はCであった。
Figure 2022059211000001
Figure 2022059211000002

Claims (6)

  1. 繊維成分としてセルロース系繊維のみを有するセルロース系繊維構造物であって、
    前記セルロース系繊維構造物が、親水性樹脂とアミノ樹脂とを含有し、
    かつ、下記式(1)で表される吸湿率差ΔMRが3.5%以上であるセルロース系繊維構造物。
    ΔMR(%)=MR-MR (1)
    MR;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
    MR;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
  2. 前記アミノ樹脂がセルロース系繊維に対して1質量%以上10質量%以下付着している請求項1に記載のセルロース系繊維構造物。
  3. 前記親水性樹脂がポリエーテル成分を有するポリエステル樹脂であり、
    前記ポリエーテル成分のサイズ排除クロマトグラフィーから得られるポリエチレングリコール換算重量平均分子量が、1500~6000g/molの範囲であり、
    かつ、前記ポリエーテル成分の分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比)が1.00~1.35以内の範囲である、請求項1または2に記載のセルロース系繊維構造物。
  4. 前記アミノ樹脂が、メラミン系樹脂である、請求項1~3のいずれかに記載のセルロース系繊維構造物。
  5. 親水性樹脂とアミノ樹脂を、浴中処理またはパッド・ドライ法でセルロース系繊維のみからなる繊維構造物に担持させる工程を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか記載のセルロース系繊維構造物の製造方法。
  6. 前記親水性樹脂が、ポリエーテル成分を有し、ポリエーテル成分のサイズ排除クロマトグラフィーから得られるポリエチレングリコール換算重量平均分子量が、1500~6000g/molの範囲であり、
    かつ、前記ポリエーテル成分の分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比)が1.00~1.35以内の範囲である請求項5記載の製造方法。
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