JP2009228181A - 繊維構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】
一旦付着した汚れを洗濯により容易に除去することができると同時に制電性をも有する優れた防汚性を有する繊維構造物を提供する。
【解決手段】
繊維上で重合したポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として2個以上のアクリル基および/またはメタクリル基を有する重合性単量体からなる重合物およびセルロース誘導体からなる樹脂被膜を繊維表面に有することが好ましい。
【選択図】 なし
一旦付着した汚れを洗濯により容易に除去することができると同時に制電性をも有する優れた防汚性を有する繊維構造物を提供する。
【解決手段】
繊維上で重合したポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として2個以上のアクリル基および/またはメタクリル基を有する重合性単量体からなる重合物およびセルロース誘導体からなる樹脂被膜を繊維表面に有することが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、一旦付着した汚れを洗濯により容易に除去することができ、且つ制電特性をも有する優れた防汚性を有する繊維構造物に関するものである。
従来、防汚性を有する繊維構造物は多数提案されている。具体的には衣料等を含む繊維構造物に親水性を付与し洗濯による汚れを除去させる手段として、繊維構造物にポリエチレングリコールなどの親水基を有する親水性樹脂を付与したり(特許文献1参照)、繊維上で親水性ビニルモノマーを重合させたものや(特許文献2参照)、またセルロース誘導体を使用したものとしては、アクリル系モノマーでグラフトしたセルロースグラフト重合体をメラミン系架橋剤やイソシアネート系架橋剤、またはフェノール系架橋剤や多価金属などを併用し不溶化させて繊維に固着させる方法などが提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、前記親水性樹脂やビニルモノマーの重合体を固着させただけでは、制電性は得られるものの、汚れの洗濯除去性には限界があった。
また、セルロース誘導体を固着させたものは、洗濯耐久性が十分でなく、また残存ビニルモノマーをグラフトさせた後、繊維に固着させた場合にも、樹脂がブロック状に固着しやすく、汚れが微細凹凸部分に入り込みやすく、同じく洗濯除去性は十分でない上に、制電性といった機能は付与できないのが現状である。
特公昭48−27066号公報
特公平6−280164号公報
特開2004−100111号公報
本発明の目的は、上記従来技術の背景に鑑み、一旦付着した汚れを洗濯により容易に除去することができると同時に制電性をも有する優れた防汚性を有する繊維構造物を提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、次の手段を採用するものである。すなわち、本発明の繊維構造物は、ポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として2個以上のアクリル基および/またはメタクリル基を有する重合性単量体と、セルロース誘導体とを重合成分として、繊維上で重合してなる樹脂被膜を繊維表面に有する繊維構造物である。
本発明の繊維構造物の好ましい態様によれば、前記セルロース誘導体が、セルロース水酸基の一部をメトキシ化、ヒドロキシエトキシ化またはヒドロキシプロポキシ化してなるものであることを特徴とする繊維構造物である。
本発明の繊維構造物の好ましい態様によれば、前記重合性単量体と該セルロース誘導体の重量比が1:2〜5:1の割合であることを特徴とする繊維構造物である。
本発明の繊維構造物の好ましい態様によれば、前記被膜が、トリアジン環含有化合物からなる被膜を介して、層状に繊維表面に固着していることを特徴とする繊維構造物である。
本発明によれば、一旦付着した汚れを洗濯により容易に除去することができ、また制電性をも有し、各々が優れた洗濯耐久性を有する繊維構造物を得ることができる。
本発明は、前記課題、つまり洗濯耐久性を有する優れた洗濯除去性を有する防汚性繊維構造物および制電性を有する繊維構造物について鋭意検討した結果、ポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として2個以上のアクリル基および/またはメタクリル基を有する重合性単量体と、セルロース誘導体とを重合成分として、繊維上で重合してなる樹脂被膜を形成することにより、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
本発明の繊維構造物に使用される繊維材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル系繊維、芳香族ポリエステルに第三成分を共重合した芳香族ポリエステル系繊維、L-乳酸を主成分とするもので代表される脂肪族ポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリルを主成分とするアクリル系繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維などの合成繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維、木綿、絹および羊毛などの天然繊維などが挙げられる。中でも、かかる重合樹脂を均一に被膜化させるという観点からは、ポリエステル繊維、ポリエステル繊維/綿、ポリアミド系繊維およびポリアミド系繊維/綿が好ましく、特にポリエステル繊維が好ましく用いられる。本発明では、これらの繊維を単独または2種以上の混合物として使用することができる。
本発明の繊維構造物には、前記の繊維を使用してなる編物、織物または不織布などの布帛状物、あるいは紐状物、およびそれらを用いてなる衣料等が含まれる。 本発明におけるポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として2個以上のアクリル基および/またはメタクリル基を有する重合性単量体としては、例えばポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート等を、単独あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
本発明の繊維構造物には、前記の繊維を使用してなる編物、織物または不織布などの布帛状物、あるいは紐状物、およびそれらを用いてなる衣料等が含まれる。 本発明におけるポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として2個以上のアクリル基および/またはメタクリル基を有する重合性単量体としては、例えばポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート等を、単独あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
かかる単量体が繊維表面で重合し、さらに耐久性を向上させるためにペンタエリスリトールテトラアクリレートを併用しても良い。
本発明は更にかかる被膜内にセルロース誘導体を含むものである。
本発明のセルロース誘導体とは特に限定されるものではないが、かかるセルロース誘導体において重量平均分子量は、防汚性を得る観点から100〜10万が好ましく、更に好ましくは400〜10000程度が好ましい。分子量が100より小さいと洗濯耐久性が得られにくく、また10万より大きいと溶解した場合に粘度が高すぎて取り扱いが困難になる場合がある。
また、かかるセルロース誘導体は、セルロースの水酸基の一部をメトキシ化、ヒドロキシエトキシ化またはヒドロキシプロポキシ化したものが水溶性となり好ましい。メトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、ヒドロキシプロポキシ基への置換率は、防汚性の観点から全水酸基のうち10〜50%が好ましい。また水酸基を架橋し、更に耐久性を向上させるために架橋剤を混合することも好ましく、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤などが挙げられる。
また、かかる重合性単量体とセルロース誘導体は、重量比で1:2〜5:1の割合で用いられることが好ましい。セルロース誘導体が1:2を超えて多くなると繊維上での均一被膜形成がしにくく、ブロック状に固着しやすくなり、汚れが入り込みやすく、耐久性のある制電性が得られにくい場合がある。また、重合性単量体が5:1を超えて多くなると、均一被膜性や制電性は向上するものの、防汚性を向上させることが難しい場合がある。
ポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として2個以上のアクリル基および/またはメタクリル基を有する重合性単量体からなる重合物およびセルロース誘導体からなる樹脂被膜を形成するためには、かかる単量体およびセルロース誘導体に重合開始剤を使用することが好ましい。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリ、アゾビスイソブチロニトリル、硫酸アンモニウム等、一般的なビニル重合開始剤を使用することができる。重合するための熱処理としては、好ましくは50〜180℃の温度で0.1〜30分間の条件で乾熱処理または蒸熱処理するものであるが、蒸熱処理の方が繊維表面に均一な樹脂皮膜を形成し易く、かつ、樹脂被膜形成後の風合いが柔軟であり、単繊維表面に均一に樹脂被覆しやすく、汚れと繊維が直接接触する機会を少なくする。蒸熱処理には、好ましくは80〜160℃の温度の飽和水蒸気または過熱水蒸気が用いられる。より好ましくは90〜130℃の温度の飽和水蒸気または110〜160℃の温度の過熱水蒸気が用いられ、いずれも数秒から数分の処理を行う。
ポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として2個以上のアクリル基および/またはメタクリル基を有する重合性単量体からなる重合物およびセルロース誘導体からなる樹脂被膜を形成するためには、かかる単量体およびセルロース誘導体に重合開始剤を使用することが好ましい。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリ、アゾビスイソブチロニトリル、硫酸アンモニウム等、一般的なビニル重合開始剤を使用することができる。重合するための熱処理としては、好ましくは50〜180℃の温度で0.1〜30分間の条件で乾熱処理または蒸熱処理するものであるが、蒸熱処理の方が繊維表面に均一な樹脂皮膜を形成し易く、かつ、樹脂被膜形成後の風合いが柔軟であり、単繊維表面に均一に樹脂被覆しやすく、汚れと繊維が直接接触する機会を少なくする。蒸熱処理には、好ましくは80〜160℃の温度の飽和水蒸気または過熱水蒸気が用いられる。より好ましくは90〜130℃の温度の飽和水蒸気または110〜160℃の温度の過熱水蒸気が用いられ、いずれも数秒から数分の処理を行う。
蒸熱処理を行った後、未反応のモノマーや重合触媒の除去、また染色堅牢度の確保のために、50〜95℃の温度での湯洗か、ノニオン界面活性剤や炭酸ナトリウム等を使用しての洗浄を行うことが好ましい。 本発明は、上記樹脂被膜を直接被膜上に形成していても良いが、トリアジン環含有化合物からなる被膜を介して、層状に繊維表面に固着することも好ましい。
本発明で用いられるトリアジン環含有化合物とは、トリアジン環を含有しかつ重合性官能基を少なくとも2個有する化合物である。このようなトリアジン環含有化合物としては、例えば、下記一般式
本発明で用いられるトリアジン環含有化合物とは、トリアジン環を含有しかつ重合性官能基を少なくとも2個有する化合物である。このようなトリアジン環含有化合物としては、例えば、下記一般式
(式中、R0〜R2は、−H、−OH、−C6H5、−Cn0H2n0+1(n0:1〜2)、−COOCn1H2n1+1(n1:1〜20)、−CONR3R4、−NR3R4(ただし、R3、R4:−H、−OCn3H2n3+1、−CH2COOCn3H2n3+1(n3:1〜20)、−CH2OH、−CH2CH2OH、−CONH2、−CONHCH2OH−O−(X−O)n4−R5(X:C2H4、C3H6、C4H8、n4:1〜1500、R5:−H、−CH3、−C3H7))を表す。)で示される化合物に重合性官能基を付与した化合物等が挙げられる。
具体的な化合物としては、トリメチロールメラミンやヘキサメチロールメラミン等が挙げられる。
また、重合性官能基としては、アミノ基、アミド基、水酸基、フェニル基、アルキルエステル基、アルコキシメチル基、メチロール基、エチロール基およびN−メチロールアミド基などが挙げられる。
市販されているトリアジン環含有化合物としては、“ベッカミンM−3”(大日本インキ化学工業(株)製)、“UNIKA RESIN 380−K”(ユニオン化学(株)製)および“リケンレジンMM−35”(三木理研工業(株)製)などが挙げられる。
本発明のトリアジン環含有化合物を含有する樹脂被膜は、単繊維表面に均一に形成されていることが好ましい。
樹脂被膜の形成方法としては、トリアジン環含有化合物と重合触媒からなる水溶液を繊維上に付与した後、重合すべく熱処理を行う。
重合触媒としては、酢酸、蟻酸、アクリル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フタル酸、硫酸、過硫酸、塩酸、燐酸などの酸類およびこれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩およびマグネシウム塩などが挙げられ、これらの一種以上を使用することができる。中でも、触媒として過硫酸アンモニウムと過硫酸カリウムが好ましく用いられる。重合触媒は、モノマーの使用量に対して0.1〜20重量%の割合で使用することが好ましい。
トリアジン環含有化合物の重合のための熱処理としては、好ましくは50〜180℃の温度で0.1〜30分間の条件で乾熱処理または蒸熱処理するものであるが、蒸熱処理の方が繊維表面に均一な樹脂皮膜を形成し易く、かつ、樹脂被膜形成後の風合いが柔軟であり、単繊維表面に均一に樹脂被覆しやすく、汚れと繊維が直接接触する機会を少なくする。蒸熱処理には、好ましくは80〜160℃の温度の飽和水蒸気または過熱水蒸気が用いられる。より好ましくは90〜130℃の温度の飽和水蒸気または110〜160℃の温度の過熱水蒸気が用いられ、いずれも数秒から数分の処理を行う。
蒸熱処理を行った後、未反応のモノマーや重合触媒の除去、また染色堅牢度の確保のために、50〜95℃の温度での湯洗か、ノニオン界面活性剤や炭酸ナトリウム等を使用しての洗浄を行うことが好ましい。 本発明の繊維構造物は、優れた制電性と防汚性を有することから作業服やエプロンなど汚れが付着しやすい衣料用途に適するものである。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例中の品質評価は、次の方法で実施した。
<制電性>
JIS L 1094B法(摩擦帯電圧測定法)に規定される方法で、家庭洗濯20回後に20℃×40%RHの雰囲気中で、対象布を木綿として摩擦帯電圧を測定し、(V)で表示した。数値が大きいほど、制電性が悪いことを示す。
<防汚性>
試験手順は、次のとおりである。
(1)10cm×10cmの試験片を採取する。
(2)その試験片を10cm×10cmのガラス板上に置き、B重油を試験片の中央部に0.05cc滴下し、その上に厚さ1mmの5cm×5cmのガラス板を置き、そのガラス板の上に200gの荷重を乗せて1分間放置する。
(3)荷重とガラス板を取り除いて、試験片を濾紙の上に移してティッシュペーパーをかぶせ、その上からローラー掛けして汚れを拭き取り、水平状態で24時間放置して自然乾燥する。
(4)汚染後の試験片を、自動反転渦巻き電気洗濯機に、JIS K 337(1972年制定、1994改定)に規定される弱アルカリ性合成洗剤を0.1容量%の濃度になるように溶解した液25Lで、浴比1:50で40±2℃の温度で強条件で5分間洗濯し、次いで排水し、水洗を5分行う。
(5)洗濯後の試験片を絞らずに取り出し、濾紙で軽く押さえて水を切り、水平状態で自然乾燥する。
(6)乾燥した試験片の汚染性をグレースケールで等級判定し、「洗濯除去性」(防汚性)とする。JIS L 0805(1965年制定、2005年改正)の汚染用グレースケールにより等級判定する。1級から5級になるに従って防汚性が良好であることを示す。 自動反転渦巻き電気洗濯機に、JIS K 337(1972年制定、1994改定)に規定される弱アルカリ性合成洗剤を0.1容量%の濃度になるように溶解し、浴比1:50で、40±2℃の温度で、試料を、強条件で10分間洗濯し、次いで排水しオーバーフロー水洗10分×2回をする工程を1回としてこれを10回繰り返した後、風乾した。得られた洗濯布を前記した方法で防汚性を測定し、洗濯耐久性能を評価した。
[実施例1] ポリエチレンテレフタレートからなる84dtex、36フィラメント双糸の仮撚り加工糸をタテ糸に、167dtex、72フィラメント双糸の仮撚り加工糸をヨコ糸に使用して平織物を製織した後、得られた平織物を95℃の温度で、連続式精練機で常法に従い精練し、湯水洗し、次いで130℃の温度で乾燥し、180℃の温度でピンテンターセットした。次いで、得られた平織物を、液流染色機を用いて130℃の温度で蛍光白色に染色し、常法により洗浄し、湯水洗し、乾燥し170℃の温度でピンテンターセットし、(タテ/ヨコ)密度(83本/55本)/2.54cmの染色布を作成し試共布とした。
得られた試供布を下記の加工液に浸漬し、絞り率90重量%になるようにマングルで絞り、次いで104℃の温度の飽和水蒸気雰囲気中で5分の処理を行った。
<制電性>
JIS L 1094B法(摩擦帯電圧測定法)に規定される方法で、家庭洗濯20回後に20℃×40%RHの雰囲気中で、対象布を木綿として摩擦帯電圧を測定し、(V)で表示した。数値が大きいほど、制電性が悪いことを示す。
<防汚性>
試験手順は、次のとおりである。
(1)10cm×10cmの試験片を採取する。
(2)その試験片を10cm×10cmのガラス板上に置き、B重油を試験片の中央部に0.05cc滴下し、その上に厚さ1mmの5cm×5cmのガラス板を置き、そのガラス板の上に200gの荷重を乗せて1分間放置する。
(3)荷重とガラス板を取り除いて、試験片を濾紙の上に移してティッシュペーパーをかぶせ、その上からローラー掛けして汚れを拭き取り、水平状態で24時間放置して自然乾燥する。
(4)汚染後の試験片を、自動反転渦巻き電気洗濯機に、JIS K 337(1972年制定、1994改定)に規定される弱アルカリ性合成洗剤を0.1容量%の濃度になるように溶解した液25Lで、浴比1:50で40±2℃の温度で強条件で5分間洗濯し、次いで排水し、水洗を5分行う。
(5)洗濯後の試験片を絞らずに取り出し、濾紙で軽く押さえて水を切り、水平状態で自然乾燥する。
(6)乾燥した試験片の汚染性をグレースケールで等級判定し、「洗濯除去性」(防汚性)とする。JIS L 0805(1965年制定、2005年改正)の汚染用グレースケールにより等級判定する。1級から5級になるに従って防汚性が良好であることを示す。 自動反転渦巻き電気洗濯機に、JIS K 337(1972年制定、1994改定)に規定される弱アルカリ性合成洗剤を0.1容量%の濃度になるように溶解し、浴比1:50で、40±2℃の温度で、試料を、強条件で10分間洗濯し、次いで排水しオーバーフロー水洗10分×2回をする工程を1回としてこれを10回繰り返した後、風乾した。得られた洗濯布を前記した方法で防汚性を測定し、洗濯耐久性能を評価した。
[実施例1] ポリエチレンテレフタレートからなる84dtex、36フィラメント双糸の仮撚り加工糸をタテ糸に、167dtex、72フィラメント双糸の仮撚り加工糸をヨコ糸に使用して平織物を製織した後、得られた平織物を95℃の温度で、連続式精練機で常法に従い精練し、湯水洗し、次いで130℃の温度で乾燥し、180℃の温度でピンテンターセットした。次いで、得られた平織物を、液流染色機を用いて130℃の温度で蛍光白色に染色し、常法により洗浄し、湯水洗し、乾燥し170℃の温度でピンテンターセットし、(タテ/ヨコ)密度(83本/55本)/2.54cmの染色布を作成し試共布とした。
得られた試供布を下記の加工液に浸漬し、絞り率90重量%になるようにマングルで絞り、次いで104℃の温度の飽和水蒸気雰囲気中で5分の処理を行った。
(a)重合性単量体
ポリエチレングリコールジメタクリレート 20g/l
(ポリアルキレンオキサイドセグメント分子量1000、有効成分100重量%)
(b)触媒 過硫酸アンモニウム 2g/l
(c)セルロース誘導体
“マーポローズM400” (松本油脂製薬(株)製)(3重量%溶液を作成) 100g/l
次いで、70℃の温度で湯洗し、水洗し、130℃の温度で乾燥し加工品を得た。
ポリエチレングリコールジメタクリレート 20g/l
(ポリアルキレンオキサイドセグメント分子量1000、有効成分100重量%)
(b)触媒 過硫酸アンモニウム 2g/l
(c)セルロース誘導体
“マーポローズM400” (松本油脂製薬(株)製)(3重量%溶液を作成) 100g/l
次いで、70℃の温度で湯洗し、水洗し、130℃の温度で乾燥し加工品を得た。
得られた加工品は、洗濯後も高い制電性と汚れ除去性を示した。評価した結果を表1に示す。
[実施例2]
試供布を下記の加工液に浸漬し、絞り率90重量%になるようにマングルで絞り、次いで104℃の温度の飽和水蒸気雰囲気中で5分の処理を行った。
試供布を下記の加工液に浸漬し、絞り率90重量%になるようにマングルで絞り、次いで104℃の温度の飽和水蒸気雰囲気中で5分の処理を行った。
(a)重合性単量体
ポリエチレングリコールジメタクリレート 20g/l
(ポリアルキレンオキサイドセグメント分子量1000、有効成分100重量%)
(b)触媒 過硫酸アンモニウム 2g/l
(c)セルロース誘導体
“メトローズ60SH−4000” (信越化学工業(株)製)(3重量%溶液を作成)
100g/l
次いで、70℃の温度で湯洗し、水洗し、130℃の温度で乾燥し加工品を得た。
ポリエチレングリコールジメタクリレート 20g/l
(ポリアルキレンオキサイドセグメント分子量1000、有効成分100重量%)
(b)触媒 過硫酸アンモニウム 2g/l
(c)セルロース誘導体
“メトローズ60SH−4000” (信越化学工業(株)製)(3重量%溶液を作成)
100g/l
次いで、70℃の温度で湯洗し、水洗し、130℃の温度で乾燥し加工品を得た。
得られた加工品は、洗濯後も高い制電性と汚れ除去性を示した。評価した結果を表1に示す。
[実施例3]
試供布を下記の加工液に浸漬し、絞り率90重量%になるようにマングルで絞り、次いで
150℃の温度の加熱蒸気雰囲気中で5分の処理を行った。
[実施例3]
試供布を下記の加工液に浸漬し、絞り率90重量%になるようにマングルで絞り、次いで
150℃の温度の加熱蒸気雰囲気中で5分の処理を行った。
(a)重合性単量体
ポリエチレングリコールジメタクリレート 10g/l
(ポリアルキレンオキサイドセグメント分子量1000、有効成分100重量%)
(b)触媒 過硫酸アンモニウム 2g/l
(c)セルロース誘導体
“マーポローズM400” (松本油脂製薬(株)製)(3重量%溶液を作成) 200g/l
次いで、70℃の温度で湯洗し、水洗し、130℃の温度で乾燥し加工品を得た。
ポリエチレングリコールジメタクリレート 10g/l
(ポリアルキレンオキサイドセグメント分子量1000、有効成分100重量%)
(b)触媒 過硫酸アンモニウム 2g/l
(c)セルロース誘導体
“マーポローズM400” (松本油脂製薬(株)製)(3重量%溶液を作成) 200g/l
次いで、70℃の温度で湯洗し、水洗し、130℃の温度で乾燥し加工品を得た。
得られた加工品は、洗濯後も高い制電性と汚れ除去性を示した。評価した結果を表1に示す。
[実施例4]
下記加工液に、上記試供布を浸漬し、水溶液の付着量が90重量%になるようにマングルで絞り、次いで104℃の温度の飽和水蒸気雰囲気中で5分の処理を行った。
(a)“ベッカミンM−3”
(大日本インキ化学工業(株)製 トリアジン環含有化合物(アミノ基を有するトリメチロールメラミン)、固形分80重量%) 30g/l
(b)触媒 過硫酸アンモニウム 3g/l
次いで、70℃の温度で湯洗し、水洗し、130℃の温度で乾燥した。
[実施例4]
下記加工液に、上記試供布を浸漬し、水溶液の付着量が90重量%になるようにマングルで絞り、次いで104℃の温度の飽和水蒸気雰囲気中で5分の処理を行った。
(a)“ベッカミンM−3”
(大日本インキ化学工業(株)製 トリアジン環含有化合物(アミノ基を有するトリメチロールメラミン)、固形分80重量%) 30g/l
(b)触媒 過硫酸アンモニウム 3g/l
次いで、70℃の温度で湯洗し、水洗し、130℃の温度で乾燥した。
次いで、実施例1と同様の処理を行い、加工品を得た。
得られた加工品は、洗濯後も高い制電性と汚れ除去性を示した。評価した結果を表1に示す。
得られた加工品は、洗濯後も高い制電性と汚れ除去性を示した。評価した結果を表1に示す。
[比較例1]
試供布を下記の加工液に浸漬し、絞り率90重量%になるようにマングルで絞り、次いで104℃の温度の飽和水蒸気雰囲気中で5分の処理を行った。
試供布を下記の加工液に浸漬し、絞り率90重量%になるようにマングルで絞り、次いで104℃の温度の飽和水蒸気雰囲気中で5分の処理を行った。
(a)重合性単量体
ポリエチレングリコールジメタクリレート 20g/l
(ポリアルキレンオキサイドセグメント分子量1000、有効成分100重量%)
(b)触媒 過硫酸アンモニウム 2g/l
次いで、70℃の温度で湯洗し、水洗し、130℃の温度で乾燥し加工品を得た。
ポリエチレングリコールジメタクリレート 20g/l
(ポリアルキレンオキサイドセグメント分子量1000、有効成分100重量%)
(b)触媒 過硫酸アンモニウム 2g/l
次いで、70℃の温度で湯洗し、水洗し、130℃の温度で乾燥し加工品を得た。
得られた加工品は、洗濯後も高い制電性を示すが、汚れ除去性の性能は低いものであった。評価した結果を表1に示す。
[比較例2]
試供布を下記の加工液に浸漬し、絞り率90重量%になるようにマングルで絞り、次いで130℃の乾熱処理により乾燥した後、160℃で1分間乾熱セットを行い、加工品を得た。 (a)セルロース誘導体
“マーポローズM400” (松本油脂製薬(株)製)(3重量%溶液を作成) 100g/l
得られた加工品は、風合いが硬く衣料品としては適しておらず、制電性、防汚性についても効果が低く、洗濯耐久性も低いものであった。
[比較例2]
試供布を下記の加工液に浸漬し、絞り率90重量%になるようにマングルで絞り、次いで130℃の乾熱処理により乾燥した後、160℃で1分間乾熱セットを行い、加工品を得た。 (a)セルロース誘導体
“マーポローズM400” (松本油脂製薬(株)製)(3重量%溶液を作成) 100g/l
得られた加工品は、風合いが硬く衣料品としては適しておらず、制電性、防汚性についても効果が低く、洗濯耐久性も低いものであった。
評価した結果を表1に示す。[比較例3]
染色上がり布をそのまま制電性、防汚性評価に供した。いずれの効果も低いものであった。結果を表1に示す。
染色上がり布をそのまま制電性、防汚性評価に供した。いずれの効果も低いものであった。結果を表1に示す。
本発明の繊維構造物は、一旦付着した汚れを洗濯により容易に除去することができ、且つ制電特性をも有する優れた防汚性を有する繊維構造物である。
Claims (4)
- ポリアルキレンオキサイドセグメントを主体とする主鎖の両末端または一方の末端あるいは主鎖の側鎖として2個以上のアクリル基および/またはメタクリル基を有する重合性単量体とセルロース誘導体とを重合成分として、繊維上で重合してなる樹脂被膜を繊維表面に有する繊維構造物。
- 該セルロース誘導体が、セルロース水酸基の一部をメトキシ化、ヒドロキシエトキシ化またはヒドロキシプロポキシ化してなるものであることを特徴とする請求項1に記載の繊維構造物。
- 該重合物と該セルロース誘導体の重量比が1:2〜5:1の割合であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維構造物。
- 該被膜が、トリアジン環含有化合物からなる被膜を介して、層状に繊維表面に固着していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008077717A JP2009228181A (ja) | 2008-03-25 | 2008-03-25 | 繊維構造物 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2009228181A true JP2009228181A (ja) | 2009-10-08 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018100465A (ja) * | 2016-12-21 | 2018-06-28 | 株式会社日本触媒 | 繊維処理剤 |
-
2008
- 2008-03-25 JP JP2008077717A patent/JP2009228181A/ja active Pending
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JP7086451B2 (ja) | 2016-12-21 | 2022-06-20 | 株式会社日本触媒 | 繊維処理剤 |
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