JP2022057431A - ポリウレタン変性エポキシ樹脂および樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高弾性と高靭性を両立できるポリウレタン変性エポキシ樹脂組成物を提供する。【解決手段】エポキシ当量150~300g/eq、水酸基当量800~2000g/eqのビスフェノール系エポキシ樹脂(a)を、数平均分子量500以上の中高分子量ポリオール化合物(b)、ポリイソシアネート化合物(c)および数平均分子量500未満の低分子量ポリオール化合物(d)によって変性してなり、エポキシ樹脂(a)を、成分(a)、(b)、(c)及び(d)の合計量に対して50~75重量%使用し、成分(d)を成分(b)及び(d)の合計量に対して5~10重量%使用していることを特徴とするポリウレタン変性エポキシ樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン変性エポキシ樹脂およびその組成物に関する。
エポキシ樹脂は、加工性に優れかつ高耐熱性、高絶縁信頼性、高剛性、高接着性、高耐蝕性等の多様な硬化物特性が引き出させるので、電気絶縁材料(注型、含浸、積層板、封止材)、CFRPのような複合材料のマトリックスレジン、構造用接着剤、重防蝕塗料等各種の用途で多量に使用されている。
反面、エポキシ樹脂硬化物は、低破断伸度性、低破壊靭性、低剥離強度性であるため、これらの特性が要求される複合材料のマトリックスレジン用途や構造用接着剤用途では、ゴム変性、ポリウレタン変性などの各種変性によって上記特性の改良が行われてきた。
ポリウレタン変性の手法としては、例えば、特許文献1、2は、ビスフェノールA-アルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル(A)と、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂中に分散しているポリウレタンとを含有し、ポリウレタンが、エポキシ樹脂中で、ポリイソシアネート化合物と、ポリイソシアネート化合物と反応しうる硬化剤とを反応させて得られたポリウレタンであるエポキシ樹脂/ポリウレタン混合物(B)を開示する。
特許文献3は、エポキシ基を有する化合物と、分子内に一般式(II)で表される構造単位を含むポリウレタンとを含有する樹脂組成物を開示する。
特許文献4は、ビスフェノール系エポキシ樹脂(a)を、中高分子量ポリオール化合物(b)、ポリイソシアネート化合物(c)および鎖長延長剤としての低分子量ポリオール化合物(d)によって変性してなり、エポキシ樹脂(a)を所定量使用し、かつ中高分子量ポリオール化合物(b)とポリイソシアネート化合物(c)を所定使用量にて反応させたのち、所定量の低分子量ポリオール化合物(d)を加えて得られるポリウレタン変性エポキシ樹脂を開示する。
特許文献5は、水酸基含有エポキシ樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B) 及びポリカーボネートポリオール(C)を必須の反応原料とし、ポリカーボネートポリオール(C)が所定量であるポリカーボネート変性エポキシ樹脂を開示する。
特許文献6は、エポキシ樹脂(A)と、ポリエーテルポリオール由来の構造を有し、且つ、分子鎖の両末端にイソシアネート基又は水酸基を有するウレタンプレポリマー(B)、及び硬化剤(C ) を配合して得られるエポキシ樹脂組成物であって、硬化反応前は(A)と(B)が相溶しており、硬化反応後は(A)が海構造を形成し、且つ(B)が島構造を形成して、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物が海島相分離構造である繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を開示する。
本発明は、先行特許文献1~6に開示されたウレタン変性手法とは異なる手法によって、各種用途における要求物性を満たし、耐熱性(Tg)、破壊靭性(KIC)及び引張特性に優れたポリウレタン変性エポキシ樹脂を提案するものである。
また、エポキシ樹脂をポリウレタン変性する場合、原料のエポキシ樹脂としては、一般に、水酸基当量が2000~4000g/eqのビスフェノール型エポキシ樹脂を使用しており、水酸基当量の大きさのため多量のビスフェノール型エポキシ樹脂を使用することとなり、ウレタン濃度を大きくできない問題があった。
そのため、ポリウレタン変性エポキシ樹脂を含有するエポキシ組成物において、設計自由度が制限され、各種用途の要求特性に適用できないという難点もあった。
特開2007-284467号公報 特開2007-284474号公報 特開2007-224144号公報 特開2016-11409号公報 特開2017-226717号公報 特開2017-82128号公報
本発明は、注型材、複合材、構造用接着剤等で使用されるウレタン変性エポキシ樹脂において、ガラス転移温度の低下が無く、硬化物の強度と破壊靭性のバランスに優れた新規なポリウレタン変性エポキシ樹脂組成物および硬化物を提供しようとするものである。
本発明は、エポキシ当量150~300g/eq、水酸基当量800~2000g/eqの下記式(1)で示されるビスフェノール系エポキシ樹脂(a)を、数平均分子量500以上の中高分子量ポリオール化合物(b)、ポリイソシアネート化合物(c)および数平均分子量500未満の低分子量ポリオール化合物(d)によって変性してなり、エポキシ樹脂(a)を、成分(a)、(b)、(c)及び(d)の合計量に対して50~75重量%使用し、成分(d)を成分(b)及び(d)の合計量に対して5~10重量%使用していることを特徴とするポリウレタン変性エポキシ樹脂である。
Figure 2022057431000001

ここで、R、RはそれぞれH又はメチル基であり、aは0~10の数である。
本発明のポリウレタン変性エポキシ樹脂は、中高分子量ポリオール化合物(b)が、分子内にエステル構造を有するポリエステルポリオール化合物(b-1)と非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)を有し、成分(b-1)と成分(b-2)の重量比が1:5~5:1であることがよい。
本発明は、上記ポリウレタン変性エポキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。本発明のエポキシ樹脂組成物は、ポリウレタン変性エポキシ樹脂(A)、30℃で液状のポリウレタン未変性液状エポキシ樹脂(B)及び硬化剤(C)を必須成分として含み、組成物の合計量(固形分)に対してポリウレタン変性エポキシ樹脂(A)を10~60重量%含有することが好適である。
本発明は、上記エポキシ樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形物である。
本発明のポリウレタン変性エポキシ樹脂は、これを最適量用いることで、硬化物の弾性率と強度、破壊靭性を共に向上でき、さらにガラス転移温度も高く維持できるので、その樹脂組成物および硬化物が、接着剤用、コーティング材用、電気電子材料用、複合材料用マトリックス樹脂等に適するものとなる。ポリウレタン変性エポキシ樹脂のウレタン濃度を高めることが可能となり、組成物の設計自由度が広がり、各種用途の要求特性に適応できる。
本発明のポリウレタン変性エポキシ樹脂は、特定のビスフェノール系エポキシ樹脂(a)、分子量500以上の中高分子量ポリオール化合物(b)、ポリイソシアネート化合物(c)、および分子量500未満の低分子量ポリオール化合物(d)を必須成分として使用する。
好ましくは、分子量500以上のポリオール化合物(b)は、ポリエステルポリオール化合物(b-1)と非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)とを含む。ここで、非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)は、ポリエステルポリオール化合物(b-1)とは異なり、分子内にエステル構造を有さないポリオール化合物をいう。
以下、各成分について説明する。
ポリウレタン変性されるエポキシ樹脂(a)は、下記一般式で表される常温液状のビスフェノール系エポキシ樹脂である。
Figure 2022057431000002

式中、Rはそれぞれ独立に、H又はアルキル基であり、aは0~10の数である。Rがアルキル基である場合、好ましくは炭素数1~3の範囲であり、より好ましくは炭素数1である。
特に、式(2)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂または式(3)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂である。
Figure 2022057431000003

式中、a1、a2は0~10の数である。
本発明において、エポキシ樹脂(a)は、常温で液状であり、エポキシ当量が150~300g/eqで、水酸基当量800~2000g/eqの2級水酸基含有ビスフェノール系エポキシ樹脂であることを特徴とする。水酸基当量が小さいことから、少量のビスフェノール型エポキシ樹脂を使用することによって、得られる変性エポキシ樹脂のウレタン濃度を大きくすることが可能となる。
より好ましくは、エポキシ当量150~280g/eqであり、水酸基当量800~1600である。
中高分子量ポリオール化合物(b)としては、分子内にエステル構造を有するポリエステルポリオール(b-1)と非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)とを有し、成分(b-1)と成分(b-2)の重量比が1:5~5:1であることが好ましい。
ポリエステルポリオール化合物(b-1)としては、分子内にエステル結合を有するポリオールであれば、芳香族、脂肪族、脂環等の構造を有する化合物が使用できる。
例えば、脂肪族ジオール化合物と二塩基酸成分とを反応させることで得られるもの等を使用することができ、具体的なジオール化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジエチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400などが挙げられる。これらのジオール化合物は1種又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。2種類以上を組み合わせて使用する場合各々のジオール化合物の重量平均分子量が570以下、好ましくは550以下であることが好ましい。これらの中でも特に3-メチル-1,5-ペンタンジオールが物性上好ましい。
二塩基成分としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アセライン酸、セパシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、ダイマー酸などの脂肪族二塩基酸、また1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、またフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族二塩基酸などが挙げられる。なかでも、入手性などを加味すると、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸を用いることが好ましい。これらの二塩基酸は一種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。市販のものとしては、DIC株式会社製RX-4800、OD-X-2523、OD-X-2547や株式会社クラレ製P2010、P2011、P2020、P2050、P5010などが挙げられる。
ポリエステルポリオール化合物(b-1)は、分子量が500以上であり、柔軟性や他の樹脂との相溶性などを踏まえると数平均分子量(Mn)が1000~4000くらいのものが特に好ましい。
ポリエステルポリオール化合物(b-1)として、具体的には、以下の式(4)又は(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022057431000004

ここで、nは1~50の数である。
非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)としては、数平均分子量(Mn)が500以上であって、ポリエステルポリオール化合物(b-1)以外のものが使用される。
ポリオール化合物(b)、(d)において、OH基は2級水酸基であってもよいが、1級水酸基であると、反応性が優れる。
非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)は、好ましくは、下記式(6)~(8)のいずれかで示される化合物であり、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
Figure 2022057431000005

ここで、RはH又はメチル基であり、b1,b2,b3は独立に1~50の数で、cは0もしくは1の数である。
Figure 2022057431000006

ここで、q1,q2,q3,q4は独立に1~20の数である。
Figure 2022057431000007

ここで、r,s,tは独立に1~20の数であり、nは1~50の数である。
非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)は、数平均分子量(Mn)500以上で、上記式(6)~(8)のいずれかの分子構造を有し、エポキシ樹脂(a)との相溶性に優れるものが好ましい。例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを開環重付加させたポリエチレングリコール類やポリプロピレングリコール類が例示できるが、式(6)において、cが0、Rがメチル基である式(9)で表されるポリプロピレングリコールが、入手の容易さ、価格と特性のバランスの良さの点から好ましい。また、ポリオール化合物(b)のOH基の数は2以上であればよいが、2であることが好ましい。
Figure 2022057431000008

ここで、b1,b2は独立に1~50の数である。
ポリプロピレングリコールとしては、数平均分子量(Mn)が1500~5000、好ましくは2000~4000のポリプロピレングリコールが、ポリウレタン変性エポキシ樹脂組成物を増粘もしくは半固形化させず、この組成物の良好なタック性、接着面への追従性、注型性および炭素繊維やガラス繊維への良好な含浸性を担保する観点から好ましい。
ポリイソシアネート化合物(c)は、式(10)で示され、Rは式(10a)~(10f)から選ばれる2価の基であるものが好ましい。これらの中でエポキシ樹脂(a)との相溶性に優れるものが好ましい。
具体的には例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素化キシリレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ナフタレンジイソシアネート等を挙げることができるが、低分子量で増粘性がなく低価格、安全性などの観点から式(11)で示されるMDIが好ましい。ポリイソシアネート化合物(c)のNCO基の数は2以上であればよいが、2であることが好ましい。
Figure 2022057431000009

ここで、Rは式10a~10fから選ばれる2価の基である。
Figure 2022057431000010


Figure 2022057431000011
低分子量ポリオール化合物(d)は、数平均分子量が500未満、より好ましくは200未満のポリオール化合物である。これは、鎖長延長剤として使用される。好ましくは、式(12)で示され、1級水酸基を2個有するジオール化合物である。
Figure 2022057431000012

ここで、Rは式12aで表されるアルキレン基であり、gは1~10の数である。
低分子量ポリオール化合物(d)は、具体的には1,4-ブタンジオール、1,6-ペンタンジオール等の多価アルコールなどが挙げられる。特に、1,4-ブタンジオールが入手の容易さ、価格と特性のバランスの良さの点からより好ましい。
次に、各成分(a)、(b-1)、(b-2)、(c)及び(d)を用いたポリウレタン変性エポキシ樹脂について、反応機構を交えながら説明する。各成分はそれぞれ、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
エポキシ樹脂(a)中のOH基は、主に2級OH基である。一方、ポリエステルポリオール化合物(b-1)及びポリオール化合物(b-2)のOH基は、主に1級OH基である。そのため、エポキシ樹脂(a)、ポリエステルポリオール化合物(b-1)、非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)およびポリイソシアネート化合物(c)を仕込んで反応させたとき、ポリエステルポリオール化合物(b-1)、非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)の1級OH基とポリイソシアネート化合物(c)のNCO基が優先的に反応する。
代表的には、ポリエステルポリオール化合物(b-1)及びポリオール化合物(b-2)中の1級OH基とポリイソシアネート化合物(c)中のNCO基が先に反応して、NCO基末端のウレタンプレポリマー(P1)が生成する。その後、エポキシ樹脂(a)の中の2級OH基が、ウレタンプレポリマー(P1)の末端NCO基の一部と反応してウレタン結合を形成し、ウレタンプレポリマーの両末端もしくは片末端にエポキシ樹脂(a)が付加したウレタンプレポリマー(P2)となると考えられる。
すなわち、ウレタンプレポリマー(P)は、NCO基末端のウレタンプレポリマー(P1)とP1の両末端もしくは片末端にエポキシ樹脂(a)が付加したウレタンプレポリマー(P2)の混合物と考えられるが、NCO基のモル比が大きく、またエポキシ樹脂も大過剰に使用するため主に両末端にエポキシ樹脂が付加したウレタンプレポリマー(P2)が生成していると考えられる。
ウレタン変性されるエポキシ樹脂(a)の仕込み割合としては、成分(a)、(b-1)、(b-2)、(c)、(d)の合計量に対して50~75重量%使用することが好ましい。
換言すれば、エポキシ樹脂(a)のウレタン変性率、ないし得られるポリウレタン変性エポキシ樹脂のウレタン濃度を、25~50重量%に高めることができる。35重量%以上、さらには40重量%以上にすることも可能である。
エポキシ樹脂(a)の仕込み割合を増加させるにつれ、両末端もしくは片末端がエポキシ樹脂(a)で封止され、末端NCO基が消費され、鎖長延長剤である低分子量ポリオール化合物(d)とも反応しないウレタンプレポリマー(P2)量が増加し、末端がNCO基である当初のウレタンプレポリマー(P1)の割合が減少し、P1の末端NCO基と鎖延長剤である低分子量ポリオール化合物(d)のOH基との反応で生成するポリウレタンの生成量が減少するため、ポリウレタン変性エポキシ樹脂の分子量分布も低分子量側にシフトすると考えられる。
反対に、エポキシ樹脂(a)の仕込み割合を減少させると、両末端もしくは片末端がエポキシ樹脂(a)で封止されたウレタンプレポリマー(P2)の量が減少し、末端がNCO基のままの当初のウレタンプレポリマー(P1)の割合が増大する。そのため、P1の末端NCO基と鎖延長剤である低分子量ポリオール化合物(d)のOH基との反応で生成するポリウレタンの生成量が増大するため、ポリウレタン変性エポキシ樹脂の分子量分布も高分子量側にシフトすると考えられる。
エポキシ樹脂(a)は、繰り返し数aが0の単量体と、1以上の多量体の混合物であることが多いが、多量体の場合はエポキシ基が開環して生じる2級OH基を有する。このOH基はポリイソシアネート化合物(c)のNCO基又はウレタンプレポリマー(P)の末端のNCO基と反応性であるため、エポキシ樹脂(a)中のa=1以上体は、これと反応する。なお、OH基を有しないa=0体はこの反応には関与しない。
本発明でこのエポキシ樹脂(a)は、エポキシ当量150~300g/eqで、水酸基当量800~2000 g/eqのものを用いており、繰り返し数a、a1又はa2が1以上の多量体の割合が多いものを使用することを特徴としている。繰り返し数a、a1又はa2の平均値(数平均)は1~5の範囲であり、好ましくは2~5の範囲である。
そのため反応に関与しないa=0体が少ないため、相対的にほかの成分(b)(c)(d)の割合が多くなる。そのためウレタン濃度の高いポリウレタン変性エポキシ樹脂を合成することが可能になる。
ポリウレタン変性エポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物が高靭性を発現するのは、ウレタン変性エポキシ樹脂部がエポキシ樹脂組成物中において、相分離し海島構造を取るためである。外部からの応力に対し、相分離した島部(ポリウレタン変性エポキシ樹脂部)が塑性変形してエネルギーを吸収したり、島部と海部の界面剥離によりエネルギーを吸収すると考えられている。そのため島部のサイズや数、海部との密着性などの制御が必要となってくる。
相分離する島部のサイズを支配するのは、ポリウレタン変性エポキシ樹脂の分子量だけでなく、海部のとの相溶性も重要となってくる。相溶性が低いとエポキシ樹脂組成物の硬化時に海部と島部の相分離が顕著になり、島部が大きくなり数も少なくなる。そのため好ましいサイズと数の島部を形成させるために、島部のポリウレタン変性エポキシ樹脂には、海部のエポキシ樹脂とある程度の相溶性(親和性)が必要となってくる。その相溶性を支配するのは、ポリウレタン変性エポキシ樹脂構造中の極性をもつ官能基である。これまで、分子量500以上の非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)と分子量500未満のポリオール化合物(d)がポリイソシアネート化合物(c)とウレタン結合を形成することで極性を有する官能基が形成されていたが、極性を上げようとすると分子量500未満のポリオール化合物(d)を増やすことになり、分子量の小さいポリウレタン変性エポキシ樹脂が形成されることになってきた。分子量が小さいため高弾性にはなるが島部が小さいため靭性を付与することが難しかった。また分子量500未満のポリオール化合物(d)を減らすと、相対的に分子量500以上の非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)が増えることとなり、分子量は大きくなり、海部のエポキシ樹脂との相溶性が下がるため島のサイズが大きくなり数は少なくなり、同様に靭性を十分に付与することが難しかった。
そこで、本発明ではポリエステルポリオール化合物(b-1)を用いることで成分(d)の量を過剰に増やすことなく、島部の分子量を保持しながら海部との相溶性を適度に高めることができ、高靭性を発現させることが可能になったと考えられる。またポリエステルポリオール化合物に剛直な構造を導入することで高弾性化も可能になったと考えられる。
このような組成の最適化を検討した結果、分子量500未満のポリオール化合物(d)の仕込み量としては、ウレタン結合を形成する全ポリオール、すなわち、成分(b-1)、(b-2)、(d)の合計量に対して、5~10重量%使用することが好ましい。より好ましくは8重量%以下である。
ポリエステルポリオール化合物(b-1)は非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)に対して、1:5~5:1の比率で含むことが好ましい。比率が1:5より小さいと、成分(b-1)の剛直構造による高弾性の効果が小さくなり、また比率が5:1より大きいと、成分(b-1)の高弾性の効果が発現するが、成分(b-2)の高靭性の効果が小さくなる。特に好ましくは1:2~2:1の比率である。
ポリエステルポリオール化合物(b-1)の仕込み量としては、ウレタン結合を形成する全ポリオール、すなわち成分(b-1)、(b-2)、(d)の合計量に対して、好ましくは15~80重量%、より好ましくは20~70重量%、さらに好ましくは30~65重量%使用するとよい。
ポリウレタン変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3000以上30000以下であることが好ましい。より好ましくは5000以上である。
本発明に使用するポリウレタン変性エポキシ樹脂の製造方法としては、例えばエポキシ樹脂(a)を、ポリエステルポリオール化合物(b-1)、非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)、ポリイソシアネート化合物(c)およびポリオール化合物(d)の合計量に対して50~75重量%使用し、かつポリエステルポリオール化合物(b-1)、非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)、ポリイソシアネート化合物(c)を、エポキシ樹脂(a)の存在下で反応させる(反応1)。この反応1では、ポリエステルポリオール化合物(b-1)及びポリオール化合物(b-2)とポリイソシアネート化合物(c)の反応が優先的に起こり、ウレタンプレポリマー(P1)が生成する。その後、ウレタンプレポリマー(P1)の一部とエポキシ樹脂(a)との反応が起こり、主に両末端がエポキシ化されたウレタンプレポリマー(P2)が生成し、わずかに生成する片末端がエポキシ化されたウレタンプレポリマー(P2)および両末端がNCOのままのウレタンプレポリマー(P1)との混合物となることがよい。
上記ウレタンプレポリマー(P1)とエポキシ樹脂(a)の反応は、エポキシ樹脂(a)中の低反応性な2級OH基をNCO基と反応させてウレタン結合を生成させる必要から、反応温度は80~150℃の範囲に、反応時間は1~5hの範囲とすることが好ましい。
その後、ウレタンプレポリマー(P)中のNCO基と低分子量ポリオール化合物(d)中のOH基のモル比(P):(d)が0.9:1~1:0.9の範囲になるように低分子量ポリオール化合物(d)を加えてポリウレタン化反応させる(反応2)。なお、エポキシ樹脂のエポキシ基とポリオール化合物(d)のOH基はアルコール性OH基なので反応しない。
反応2の反応温度は、80~150℃の範囲に、反応時間は1~5hの範囲とすることが好ましいが、上記NCO基と低分子量ポリオール化合物(d)中のOH基との反応であるため反応1より穏やかな条件で良い。
反応(反応1及び2)の過程においては、必要に応じて触媒を用いることができる。この触媒は、ウレタン結合の生成を十分に完結させる目的のために使用するものであり、エチレンジアミン等のアミン化合物やスズ系化合物、亜鉛系化合物などが例示できる。
反応2では、わずかに存在する両末端もしくは片末端がNCOであるウレタンプレポリマー(P1)は、低分子量ポリオール化合物(d)と反応して鎖長が延長されポリウレタン化し、両末端がエポキシ樹脂(a)の付加物であるウレタンプレポリマー(P2)は、未反応のまま存在する。
よって、反応1、2で得られるポリウレタン変性エポキシ樹脂は、主にウレタンプレポリマー(P)の両末端にエポキシ樹脂(a)が付加した樹脂成分、少量成分としてウレタンプレポリマー(P)の一方の片末端にエポキシ樹脂(a)が付加し、もう一方の片末端はNCO基である樹脂成分、ウレタンプレポリマー(P)の両末端がNCO基である樹脂成分および未変性エポキシ樹脂(a)の混合物である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ポリウレタン変性エポキシ樹脂(A)に、ポリウレタン濃度の調整剤としてのポリウレタン未変性液状エポキシ樹脂(B)、アミン系硬化剤(C)を必須成分として含み、エポキシ樹脂組成物の合計量(固形分)に対して、ポリウレタン変性エポキシ樹脂(A)を10~60重量%含有することを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、粘度やTgの微調整のためそのほかのエポキシ樹脂(D)、硬化促進剤(E)、さらには炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン等の無機フィラーを増量材、補強材として配合できる。
ポリウレタン未変性の液状エポキシ樹脂(B)としては、ポリウレタン変性されておらず、30℃で液状のエポキシ樹脂であれば特に制限はないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂が入手の容易さ、価格と特性のバランスの良さの点から好ましい。
液状エポキシ樹脂(B)の配合量を増減することによって、エポキシ樹脂組成物中のポリウレタン濃度を増減することができる。ここで、エポキシ樹脂組成物中のポリウレタン濃度は、下記式で計算される。
ポリウレタン濃度={(b-1)+(b-2)+(c)+(d)}×100/{(a)+(b-1)+(b-2)+(c)+(d)+(B)+(C)}
ここで、(a)~(d)、(B)、(C)は、対応する各必須成分の使用重量である。なお、必須成分に加えてその他の成分、例えばそのほかのエポキシ樹脂(D)、硬化促進剤(E)などを配合する場合、これらの他成分が分母に加算される。
硬化物中のポリウレタン濃度が増えると、曲げ歪みや耐衝撃強度およびガラス転移温度といった硬化物特性が変化する。ポリウレタン濃度が増大すると、一般的に硬化物の曲げ歪みは増大傾向を、耐衝撃強度は増加傾向を示す。
ポリウレタン未変性の液状エポキシ樹脂(B)として、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂や液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いた場合には、硬化物中のポリウレタン変性率(=ポリウレタン濃度)が7~15wt%の範囲とするのが好ましい。
アミン系硬化剤(C)は、貯蔵安定性に優れた1液化が可能で、かつ容易に入手できる点でジシアンジアミド(DICY)又はその誘導体を使用する。
アミン系硬化剤(C)の配合量は、硬化剤がDICYの場合はポリウレタン変性エポキシ樹脂とポリウレタン未変性エポキシ樹脂(B)を含む全エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数とDICYの活性水素基のモル数の比が1:0.3~1:1.2の範囲、好ましくは1:0.9~1:1.1に設定することが、硬化物特性の点から好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、粘度の微調整やTgを上げたりするために、そのほかのエポキシ樹脂(D)として、3官能以上の多官能エポキシ樹脂を用いることができる。多官能のエポキシ樹脂を用いると架橋密度が上がり、相分離状態が変化したり破壊靱性が失われたりするため、全組成物重量に対して0.1~10重量%にするのが好ましい。3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルフェニルエーテル型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノールのようなグリシジルアミン型かつグリシジルフェニルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。さらにはこれらのエポキシ樹脂を変性したエポキシ樹脂、これらのエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物はさらに硬化促進剤(E)を含むことが出来る。硬化促進剤(E)としては、2,4-ジアミノ-6-[2`-メチルイミダゾリル-(1`)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加塩(2MA-OK)等の結晶性イミダゾール化合物や3-(3,4- ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素(DCMU)等の尿素化合物を用いることができる。硬化促進剤(E)の配合量は、ポリウレタン変性エポキシ樹脂とポリウレタン未変性の液状エポキシ樹脂(B)を含む全エポキシ樹脂と硬化剤(D)の合計に対し、0.1~5wt%の範囲が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、タック性、接着面への追従性、金型への注型性や炭素繊維やガラス繊維およびそれらの織物への含浸性といった加工性を阻害することがない。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、エポキシ樹脂組成物を金型注型した後、もしくは接着剤として被着体に塗布して貼り合わせた後、もしくは塗料として被塗物に塗布した後、あるいは炭素繊維やガラス繊維およびそれらの織物への含浸した後、80℃~200℃の温度に加熱し、数時間保持することで、得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上の温度となり、引張弾性2.8GPa以上、引張強度80MPa以上、引張伸び6.5%以上、破壊靭性1.7MPa・m1/2以上とすることができる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。本発明はこの具体例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
物性の評価方法は、次の通りである。
(1)IRによる残存NCO基の有無判定: 得られたポリウレタン変性エポキシ樹脂0.05 gを10 mlのテトラヒドロフランに溶解した後、マイクロシュパーテル平板部を用いてKBr板上に塗り付け、室温で15分間乾燥してテトラヒドロフランを蒸発させてIR測定用試料を調製した。これをパーキンエルマー社製FT-IR装置Spectrum-Oneにセットし、NCO基の特性吸収帯である2270cm-1の伸縮振動吸収スペクトルが消失した場合に残存NCO基なし、と判定した。
(2)エポキシ当量: JIS K 7236 に従って定量した。
(3)水酸基当量: ジメチルホルムアミド25mlを200mlガラス栓付三角フラスコにとり、水酸基11mg/当量以下を含む試料を精秤して加え溶解させる。1mol/L-フェニルイソシアネートトルエン溶液20mlとジブチルスズマレート触媒溶液1mlとをそれぞれピペットで加え、よく振り混ぜて混合し、密栓して30~60分間反応させる。反応終了後2mol/L-ジブチルアミントルエン溶液20mlを加えよく振り混ぜて混合し、15分間放置して過剰のフェニルイソシアネートと反応させる。次に、メチルセロソルブ30mlとブロムクレゾールグリーン指示薬0.5mlとを加え、過剰のアミンを標定済の過塩素酸メチルセロソルブ溶液で滴定する。指示薬は青から緑さらに黄色へと変化するので、黄色になった最初の点を終点とし、以下の式i、式iiを用いて水酸基当量を求めた。
水酸基当量 (g/eq)=(1000×W)/C(S-B)・・・(i)
C:過塩素酸メチルセロソルブ溶液の濃度 mol/L
W:試料量 (g)
S:過塩素酸メチルセロソルブ溶液の滴定量 (ml)
B:滴定の際のブランクテストに要した過塩素酸メチルセロソルブ溶液の滴定量 (ml)
C=(1000×W)/{121×(s-b)}・・・(ii)
w:標定のために秤取したトリス-(ハイドロキシメチル)-アミノメタンの採取量 (g)
s:トリス-(ハイドロキシメチル)-アミノメタンの滴定に要した過塩素酸メチルセロソルブ溶液の滴定量 (ml)
b:標定の際のブランクテストに要した過塩素酸メチルセロソルブ溶液の滴定量 (ml)
(4)ガラス転移温度(Tg):昇温速度10℃/分の条件下、示差走査熱量計(DSC)を用いて、ベースラインと変曲点での接線の交点をガラス転移温度(Tg)とした。
(5)引張試験:JIS K 7161の形状に金型注型によって成形した硬化物を試験片とし、万能試験機を用いて、室温23℃下で引張試験を行い、引張強度、引張伸度、引張弾性率をおのおの測定した。
(6)破壊靭性(KIC):JIS K 6911の形状に金型注型によって成形した硬化物を試験片とし、万能試験機を用いて、室温23℃下、クロスヘッドスピード0.5mm/分の条件で試験を行った。尚、試験前における試験片へのノッチ(刻み目)の作成は、剃刀の刃を試験片にあて、ハンマーで剃刀の刃に衝撃を与えることで行った。
使用した原料は次のとおりである。
成分A
エポキシ樹脂(a):
日鉄ケミカル&マテリアル製エポトートYDF-170、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq、水酸基当量2600g/eq
日鉄ケミカル&マテリアル製エポトートYD-128、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量187g/eq、水酸基当量3000g/eq
開発品1:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量192g/eq、水酸基当量1500g/eq
開発品2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量262g/eq、水酸基当量915g/eq
中高分子量ポリエステルポリオール(b-1):
クラレ製P2020、ポリエステルジオール、数平均分子量2000、水酸基当量1020g/eq
中高分子量非ポリエステル型ポリオール(b-2):
ADEKA製アデカポリエーテルP-2000、ポリプロピレングリコール、数平均分子量2000、水酸基当量1020g/eq
ポリイソシアネート(c):
三井化学製コスモネートPH、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
低分子量ポリオール(d):
1,4-ブタンジオール(試薬)、分子量90
成分B
液状エポキシ樹脂(B):日鉄ケミカル&マテリアル製エポトートYD-128、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量187g/eq、水酸基当量3000g/eq
成分C
硬化剤:EVONIK製DICYANEX 1400F、ジシアンジアミド
成分E
四国化成工業製結晶性イミダゾール、キュアゾール2MA-OK、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加塩
合成例1
エポキシ樹脂(a)としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(開発品1)、ポリエステルポリオール(b-1)としてクラレP2020、非ポリエステル型ポリオール(b-2)としてアデカポリエーテルP-2000を窒素導入管、攪拌機、温度調節機を備えた1000ml四つ口セパラブルフラスコに、表1記載の重量で各々仕込み、室温で15分間攪拌混合した。次に、ポリイソシアネート(c)としてコスモネートPHを同フラスコに表1記載の重量で仕込み、120 ℃で2時間反応させた。
その後、鎖長延長剤である低分子量ポリオール(d)として1,4-ブタンジオールを同フラスコに表1記載の重量で仕込み、120℃で2時間反応させて、ポリウレタン変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂を得た(樹脂1)。
ここで、エポキシ樹脂(a)は、反応2の生成物100重量%に対して70重量%となるように仕込んだ。化合物(d)は、化合物(b-1)、(b-2)、(d)の合計量に対して7重量%になるように仕込んだ。化合物(b-1)と(b-2)は1:1の重量%になるように仕込んだ。
反応が完結していることは、IR測定により、NCO基の吸収スペクトルが消失したことで確認した。得られたポリウレタン変性ビスフェノーF型エポキシ樹脂(樹脂1)のエポキシ当量は275g/eq、Mwは5500であった。
合成例2~11
原料仕込み組成を表1、表2記載の通りとした以外は、合成例1と同じ手順で反応を行い、ポリウレタン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂(樹脂2~11)を得た。
Figure 2022057431000013
Figure 2022057431000014
次に、上述した合成例1~11で得られたポリウレタン変性エポキシ樹脂(樹脂1~11)を使用したエポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物の実施例を示す。併せて、その結果を、表3、表4にまとめて示す。
実施例1
ポリウレタン変性エポキシ樹脂(A)として、合成例1で得たポリウレタン変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(樹脂1)、ポリウレタン未変性液状エポキシ樹脂(B)としてエポトート YD-128、硬化剤(C)としてジシアンジアミド、硬化促進剤(E)として2MAOK を、各々表2記載の配合で300 mlの専用ディスポカップに仕込み、自転・公転ラボ用真空プラネタリーミキサーを用いて5分間真空脱泡しつつ攪拌混合し、液状の樹脂組成物を得た。ここで、エポキシ基とジシアンジアミドのモル比は、1:0.5とし、硬化物中のポリウレタン濃度が12 wt%となるポリウレタン変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂組成物を140 g調製した。
次に、この液状樹脂組成物をJISK7161の形状を有する金型に注型した。次に、樹脂を注型した金型を熱風オーブン中に入れ、120℃で50分、さらに150 ℃で50分 の加熱硬化を行い、エポキシ樹脂硬化物試験片を調製した。この試験片を使用した試験結果を、表2に示す。
実施例2~7、参考例1,2、比較例1、2
ポリウレタン変性エポキシ樹脂(A)、未変性液状エポキシ樹脂(B)、硬化剤(C)および硬化促進剤(E)を表3、表4に記載の配合組成とした以外は、実施例1と同じ手順で硬化物中のポリウレタン濃度が変更されたポリウレタン変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂組成物を調製した。
次に、実施例1と同様の手順で液状樹脂組成物を金型注型して熱硬化させ、特性評価用の試験片を調製した。得られた組成物の物性及び試験結果を表3、表4に示す。各表において、配合量はgを示す。
実施例1~7の水酸基当量が800~2000g/eqのビスフェノール系エポキシ樹脂を用いたウレタン変性エポキシ樹脂を含有する組成物は、耐熱性(Tg)、破壊靭性(KIC)及び引張特性に優れ、高弾性高靭性を両立することが確認された。
また、ウレタン変性する原料として水酸基当量が小さいエポキシ樹脂を使用することにより、ポリウレタン変性エポキシ樹脂のウレタン濃度を高めることが可能となり、組成物の設計自由度が広がり、各種用途の要求特性に適応できる。
Figure 2022057431000015
Figure 2022057431000016

Claims (5)

  1. エポキシ当量150~300g/eq、水酸基当量800~2000g/eqの下記式(1)で示されるビスフェノール系エポキシ樹脂(a)を、数平均分子量500以上の中高分子量ポリオール化合物(b)、ポリイソシアネート化合物(c)および数平均分子量500未満の低分子量ポリオール化合物(d)によって変性してなり、エポキシ樹脂(a)を、成分(a)、(b)、(c)及び(d)の合計量に対して50~75重量%使用し、成分(d)を成分(b)及び(d)の合計量に対して5~10重量%使用していることを特徴とするポリウレタン変性エポキシ樹脂。
    Figure 2022057431000017

    ここで、R、RはそれぞれH又はメチル基であり、aは0~10の数である。
  2. 中高分子量ポリオール化合物(b)が、分子内にエステル構造を有するポリエステルポリオール化合物(b-1)と非ポリエステル型ポリオール化合物(b-2)を有し、成分(b-1)と成分(b-2)の重量比が1:5~5:1であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン変性エポキシ樹脂。
  3. 請求項1または2に記載のポリウレタン変性エポキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  4. ポリウレタン変性エポキシ樹脂(A)、30℃で液状のポリウレタン未変性液状エポキシ樹脂(B)及び硬化剤(C)を必須成分として含み、組成物の合計量(固形分)に対してポリウレタン変性エポキシ樹脂(A)を10~60重量%含有することを特徴とする請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項3または4に記載のエポキシ樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形物。
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